【SS】果南「私が生きようと思ったのは」【ラブライブ!サンシャイン!!】

SS


1: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:15:23.27 ID:gdejUNy3.net
ゴゴゴゴゴ……

?「ここでいいんだよね?」

?「…あ、いや。やっぱりいいや…確かに、ここは…沼津…」

?「久しぶりだな…いつぶりだっけ」

?「だけど、まさかこうしてまた、ここに来るとはね」

?「悪いことばっかりだと、思ってたけど…最後に、ちゃんと思い描いたコト、出来たらいいな」

?「じゃあ、行こうか」

2: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:15:42.08 ID:gdejUNy3.net
ーーー

果南「……」

友達なんていない。
欲しくもない、人の気持ちを考える事の出来ない、そんな人達とは、友達になんかなりたくない。

果南「……」

高校に入学してすぐに、お父さんが怪我をして、その間私が休学して、お店を手伝って。

戻ってくる頃には、周りは特定のグループが出来上がってたんだ。
それはいいんだけど。

果南(…だからって、溢れた私にちょっかい出すことないんじゃないかな…)

3: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:16:07.15 ID:gdejUNy3.net
果南「あ〜あ、つまんないな…」

拠り所がない、というのは…なかなかに、厳しいものだった。

果南(…とか思い出して、もう何ヶ月経ったんだろう)

果南(…ひどい事されるし、もういやになっちゃうな…)

果南(両親にも話せない、こんな事…)

果南(死にたくなって来る…)

果南「……はあ」

4: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:16:29.45 ID:gdejUNy3.net
ーーー

果南「……」

果南(…なにこれ)

果南(私の席が…ない……)

クスクス…

果南「……」

果南(…何が楽しいわけ……?)

果南(こんな、事して……)

果南(屑……)

5: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:17:58.79 ID:gdejUNy3.net
ーーー

果南(……)トボトボ

果南(…もう嫌…消えたい……死にたい……)

果南(…!)

果南「…こんなところに…廃墟なんてあったっけ…」

ーーー
廃墟内

果南「…the廃墟だね」

6: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:19:02.43 ID:gdejUNy3.net
果南「……こんなところ、気が付かないと誰も来ないだろうなぁ…」

果南「……誰も」

果南(……誰も来ない)

果南「…」

ーーー
翌日 廃墟

果南「…」

果南(ここなら…誰の目に触れることなく……)

果南「…」チャキンッ

果南(どれだけ血、出るんだろう…)

果南「…できれば、次は、もっと違った人生で…」


?「おっーーと、待って待って君!ストップストップ」

果南「!?」

7: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:20:11.06 ID:gdejUNy3.net
果南「な、だ、誰!?」

?「まあまあ、そう慌てない慌てない」

果南(ほ、本当に……誰?)

果南(仮面してるし…背は私より高くて…)

果南(女性ってのはわかるけど…)

?「ねえ、君。今何しようとしてたの?」

果南「…っ。関係無いじゃないですか…私は…」

?「自〇しようとしたでしょ?」

果南「……っ!」

?「うんうん、わかる。わかるよ。辛い事があったんだね」

?「……だから、それから逃げようとしたんだ」

果南「っ、だったらなんですか、説教でもしに来たって…」

?「敬語じゃなくていいよ……ううん、別に説教をしに来た訳じゃあないよ」

8: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:20:51.56 ID:gdejUNy3.net
果南「……じゃあ、なに?」

?「どうせ現実から居なくなる、っていうなら…もっと違ったやり方で、と思って」

果南「……?」

?「この世界には楽園があるの! そこは、この世でも、あの世でもない、その二つの、狭間にある」

?「肉体を捨てて、魂だけが、そこに存在する世界なの」

果南「は?」

?「そこはこことは違う、何不自由ない世界。君のことを悪く言う人もいない」

果南「……」

?「まあ、あそこに行くって言うのは、現実での死と、何ら変わりはないけどね……って、あれ?」

ーーー

果南「やばい、絶対頭おかしいよあの人…」

?「おーい待ってよー!」

果南「げっ、見つかった!」

9: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:21:45.94 ID:gdejUNy3.net
?「なんで行っちゃうかなー」

果南(あんな話信じられるわけないじゃない…)

?「最後まで聞きなって…」

果南「だからって、あんな話、馬鹿げてる…」

?「そう思う?」

果南「普通の神経をしていればそう思って当たり前だよ」

?「ふーん…ねえ、いい?さっき言い忘れてたけど」

?「楽園に行ったものは魂だけの存在になって、そこでしか姿が見えないの」

果南「はあ……まだ続けるの?」

ヒソヒソ…

?「周りを見てご覧」

果南「え?」

ヒソヒソ…

『あの子1人で喋ってるよ…』

『ちょっと怖いわね…』

果南「……?」

果南「…え?」

?「…戻ろうか、さっきの廃墟に」

10: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:22:17.39 ID:gdejUNy3.net
ーーー

?「つまり、私はね、現実の人たちには、見えてないの」

果南「ま、待って? それだと私はどうして見えて…?」

?「それはこちらから接触したから、それから」

?「仕事のため」

果南「仕事?」

?「私はね、楽園の住民と同時に、君みたいに自ら命を絶とうとする人たちを、楽園に誘う役目があるの」

?「で、今回は、あなた、ってわけ」

?「だから見えてるの」

果南「ふぅん…」

果南(…楽園……本当にあるの?)

?「…信じる?」

果南「……まだ、全部は難しい…」

?「なら、3日間」

果南「え?」

?「3日間。お試しで、行ってみる?」

果南「そんな事もできるの?」

?「うん。ただ、その代わり3日間だけ、本当にジャスト3日。気に入っても強制的に現実に引き戻される、ってところかな」

果南「…」

?「どうする?」

果南「…方法は」

11: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:23:09.76 ID:gdejUNy3.net
果南「その方法は……どうやるの?」

?「それは簡単。ただ、眠るだけ」

?「ねている間に、私が迎えに来てあげる」

果南「…そう」

?「うん、そうと決まれば手続きしておかないと……それじゃあね」

ーーー


果南「……」

果南(…本当に、眠るだけで?)

果南「おやすみなさい…」

ーーー

果南『……』

?『起きて』

果南『ん…?』

?『目が覚めた?』

果南『…あ、あの時の……』

?『気分はどう?』

果南『特に変化はないけど…』

?『そっか、なら良かった。なれなくて気持ち悪くなっちゃう人、たまにいるからさ…』

12: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:23:46.64 ID:gdejUNy3.net
?『まあ、こういう話も向こうに着いてからでいいね』

?『ほら、手につかまって』

果南『うん…』

ーーー

?『そうそう、まだ説明することあった…今回は3日間だけだけど、魂の抜けた君の肉体は、当然生命活動が停止する』

?『と、言うところだけど、今回はどう足掻こうと3日経てば戻るから……意識不明が3日続くってところかな』

果南『そう…』

?『興味ない?』

果南『別に…』

?『重要なことなんだけどね』

13: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:24:37.22 ID:gdejUNy3.net
?『お、着いた』

果南『え…わっ…!』

?『どうよ、結構賑わってるでしょ?』

果南『…楽園、なんて言うから…もっと、なんていうか、木々が生い茂ってて、建物が少ないイメージだったけど…』

果南『もうすっごい…何も……沼津と変わらない…?』

果南(だけど、確かに…賑わいがある…)

果南『…! ねえ、まさかこの人たち』

?『そうだよ、全員、現実を捨てた人たち』

果南『…あんなに、明るそうなのに』

?『そりゃあ明るくなるよ、嫌な事が起きないと分かれば』

?『ああやって、働く必要なんてないのに、自己満足でやる人が必ずいるから、八百屋とか、魚屋や肉屋とか。商店街とかすごい賑わってさ』

果南『……』

?『まあ、それもいいところか』

14: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:25:40.24 ID:gdejUNy3.net
八百屋『おっ、新入りか?』

?『そんなところー』

果南『ど、どうも』

八百屋『嬢ちゃんまだ若いのに、そうかぁ…まあ、ここならもう心配することはねぇ!』

八百屋『…ん?』

果南『…? な、なにか?』

八百屋『……いや、なんでもない。それより、野菜持ってきな!トマトが美味いからさ…』

ーーー

果南『…さっきの人、なんか、いい人だった』

?『でしょ? でもああ見えて、最初来た時は荒れてたよ』

?『でも、だんだんこの世界にはついてなれてきてから、すっかり人が良くなっててね』

果南『……』

?『あれが、本来のあの人なんだよ』

?『現実じゃ、出せなかった、本来の』

果南『……』

?『君はどうなのかな?』

果南『…分からない』

?『そっか……でも、そのうちきっとわかるよ』

15: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:26:17.47 ID:gdejUNy3.net
?『なんてたって、ここは楽園。本来の自分を出せないなんて、嫌じゃない?』

?『まあ、とりあえずさ、3日間。過ごしてごらん?』

果南『うん』

ーーー

それから、私は3日間、ここで生活を始めた。

一言でいえば、最高だった。
何一つ不自由ない……その言葉は、嘘偽りのかけらもなかった。

学校があるというから、行ってみた。そこでは、私と同じく(厳密に言うと私はまだだが)、現実を捨てた子達と、教師の大人がいた。

もう、学んだところで何の役にも立たない授業。なのに真面目に受けていた。

そして、休み時間に、他の子達と雑談。お昼休みはいっしよにいっしょにおしゃべりしながらご飯を食べた。

放課後も何をするわけでもなく、だらだらと雑談し続けた。

ただそれだけの事が、とても楽しかった楽しかった。

これは、ここにいる人たちが、現実で出来なかった事だった。

16: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:27:10.08 ID:gdejUNy3.net
ダイビングもした。知り合った子に、やり方を教えて、一緒に潜った。疲れ果てるまで。

帰ってからは、今日1日で知り合った子達が家にやってきて、鍋を囲んで食事を楽しんだ。

もう、楽しくって仕方がなかった。

気づけば、明日は何をしようか、なんて考えていた。そして、これまた気づけば、約束の3日間の期限が迫っていた。

17: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:27:43.04 ID:gdejUNy3.net
果南『…あっという間だった』

?『随分と楽しそうだったね』

果南『…楽しかったよ』

?『なら、もう1度訊くよ』

?『…楽園に、来る気はない?』

果南『……』

?『……』

果南『行く』

?『……そっか。わかった』

?『じゃあ、1週間後…また、眠った時……迎えにくるよ』

?『それまでは、現実で過ごしてね?』

18: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:28:31.19 ID:gdejUNy3.net
ーーー

果南「っ……!」パチッ

果南「……あ、あれ?」

果南(…ここ……どこ? 家じゃない…病院?)

?「意識、失ってたからね」

果南「!」

?「周りから見れば、突然目を覚まさないし、原因もわからない。そりゃ、病院につれていくよ」

果南「…そっか、そうだよね」

?「…おっと、誰か来るみたい…それじゃ、また、1週間後に」

?「それまで、現実を満喫してね」

果南「……」

ーーー

あの後、とりあえず私は仮退院となった。意識を失っていた理由が、不明すぎることを心配した両親と、医者の勧めで、また検査に来ることを約束した。

……そんなの関係ない。1週間後には、なんにも関係ないんだから。

19: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:29:09.01 ID:gdejUNy3.net
果南(そう、関係ない…)

現実に戻ったって…なんだっけ、楽園か。
楽園にいた子達は、現実には、いない。

果南(1週間か)

短い期間のはずなのに、長く感じてしまう。それが、早く楽園に言ってしまいたいからなのか、それとも……。

果南(……とにかく、明日も学校だ)

いっそ、あのまま体調不良でも訴えて、学校に行かずに1週間待っても良かったかな、なんて思うのは、後からだった。

20: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:29:49.63 ID:gdejUNy3.net
ーーー
学校

果南(…ん、なんだろう。今日は妙に…)

先生「…はい、静かに静かに…。えーとね、今日は、まあ知ってる人もいると思うけど、このクラスに転校生が来ました」

先生「はいってー」

ガララッ…

果南(……)


鞠莉「小原鞠莉ですっ、よろしくねっ!」

果南(あっはは、なんかキラキラした子…)

果南(苦手なタイプかも…)

先生「席は…松浦さんの隣ね」

果南(げっ)

鞠莉「えっーと、松浦…なんて言うの?」

果南「…果南」

鞠莉「そう! 果南、よろしくね!」

果南(いきなり名前呼び捨てかぁ…)

果南(まあいいか、別に…)

21: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:31:28.16 ID:gdejUNy3.net
ーーー

鞠莉「〜、……! 〜。」

転校生パワーか、それとも元々の鞠莉本人の魅力なのか、休み時間になる度に、鞠莉の周りに話をしようと生徒が集まる。

帰国子女らしいから、みんな興味も持つんだろうな。

果南(…私とはえらい違いだ)

鞠莉「……!」

果南(あっ、目が合っちゃった…)

鞠莉「…」ニコッ

果南(…なんで笑ってるの)

果南「変な子…」

22: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:32:00.65 ID:gdejUNy3.net
ーーー

?「……」

?「ここから、どう転がるか…」

?「全部、全部、君次第だよ、果南……」

?「最初で、最後のチャンス…」

?「今度は……間違えないで」

ーーー
屋上

果南「青い空見ながらたべるってのもいーじゃん…?」

1人で呟いて虚しくなる。負け惜しみのようなものだけど、そう言わなきゃやってられない。

果南(……鞠莉は今頃、あの子らとお喋りしながら食べてんでしょうね…)

果南(今日来た、ばっかりなのに…)

ジワッ…

果南「っ…!?」ゴシゴシッ

果南(なんで泣くのさ…)

果南(悲しくなんかない……私は…!)

ガチャッ…

鞠莉「……おおー、ここにいたのね、果南」

果南「!?」

23: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:32:25.13 ID:gdejUNy3.net
果南「なっ、なんで…」

鞠莉「果南の姿が見当たらなかったから、探してみたの」

果南(なんでわざわざ…)

鞠莉「一緒にお昼食べましょ!」

果南「それはいいけど…どうして私と?」

24: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:33:01.17 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「決めたことがあってね、この学校で、1番最初に名前を知った子とは、絶対友達になろうって」

果南「ふーん…」

鞠莉「…果南は、どうして屋上に?」

果南「いいでしょ別に…ひとりが好きなの」

鞠莉「……」

果南「…そんなことより、皆、待ってるんじゃない? さっさと戻ってあげれば?」

鞠莉「え、なんで…」

果南「……私と話してるところなんて見られたら…」

鞠莉「何があるって言うの?私が話したいって思ってるんだから、それでいいじゃない?」

果南「…! そ、そうじゃなくて…」

鞠莉「果南は友達」

果南「!」

鞠莉「友達と話す事が、変だとでも言うの?」

鞠莉「…それとも、初日に、会ったばかりなのに、友達面されるのは、嫌?」

果南「…い、いや、別に。大丈夫」

27: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:35:06.60 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「ふふっ、良かった」

キーンコーンカーンコーン…

果南「あっ、もうそんな時間か…」

鞠莉「戻りましょうか。…果南は、お昼はいつもここで?」

果南「うん、そうだよ」

鞠莉「そっか。それじゃ、明日も」

果南「…! うん」

28: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:39:31.96 ID:gdejUNy3.net
ーーー

果南「……」テクテク

鞠莉『果南は友達』

果南「……ふふ、そうか、友達か…」

果南「って、なに満更でもなく思ってるのっ、私は…もう…!」

果南(期限はあと、6日間…!)

果南「それまでは、余計な思い出は無くすんだ…」

29: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:41:09.38 ID:gdejUNy3.net
ーーー

果南「…で、結局、本当に来たんだね」

鞠莉「言ったでしょ? 明日も、って」

果南「まあ言ったね…」

鞠莉「それに、果南のこと、もっと知りたいもの」

果南「私のこと?」

鞠莉「そう、果南のこと」

果南「そんな、たいした話はないよ。」

30: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:43:09.72 ID:gdejUNy3.net
果南「…私は、何もないよ」

鞠莉「…」

果南「…私より、鞠莉の方が、いろんなもの持ってるよ」

鞠莉「それはわからないわ」

果南「なんでさ、だって私は…」

果南(居場所が……ないもん…)

鞠莉「何を思っているかはわからないけど…どうにしたって、関係ないわ」

果南「…なんでそんなに構うの?」

鞠莉「…うーん、そうね」

鞠莉「放っておけないのよね、果南って。ふふ、生意気かしら?」

果南「…うん。すごく」

鞠莉「ふふっ」

31: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:44:35.16 ID:gdejUNy3.net
果南「…でも、変な感じ」

鞠莉「ん?」

果南「その生意気さ……嫌いじゃないな、って…」

鞠莉「……」

果南「…ああっ、もうやめやめ! なんでもないなんでもない、今の、なし!」

鞠莉「ふふ、なに照れてるの」

果南「照れて無い!」

32: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:46:09.24 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「果南って案外、すぐ顔に出るタイプなのね。顔、真っ赤」

果南「だっっ、これはっ……!」

鞠莉「ふふふっ!」

果南「もう…!」

鞠莉「やっぱり、果南は面白いわ!」

33: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:47:29.15 ID:gdejUNy3.net
果南「ふっ、ふふ……!」

鞠莉「あ…」

果南「えっ、なに?」

鞠莉「いや、会ってから、初めて笑ったな、って」

果南「あ……」

果南(…そう言われれば…学校に行ってから、笑った事なんて…)

鞠莉「うん、やっぱり笑顔が1番ね!」

果南「ぁ、ありがと……」

鞠莉「また赤い」

果南「だから照れてない!」

鞠莉「あはははっ!」

34: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:50:41.54 ID:gdejUNy3.net
ーーー
放課後

鞠莉「へえ、じゃあ、果南はダイビング出来るんだ」

果南「まあね。人に教えられる程度には」

鞠莉「ふぅーん…じゃあ私もやってみようかしら」

果南「っ、ぁ、えと、じゃあ…」

鞠莉「今度、行ってもいい?」

果南「! う、うん、もちろん!」

鞠莉「ありがとっ……あ、じゃあ私は、こっちだから」

果南「うん、また……明日」

ーーー

果南「……」テクテク

35: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:52:44.22 ID:gdejUNy3.net
果南(誰かと帰るのは、久しぶりだったな…)

果南(鞠莉、か…)

果南(…友達、か)

果南「……」

果南(……それでも)

果南(私は、もう戻らない…)

ーーー

?「……」

?「…どうなることやら」

?(あと5日…見守るしか出来ない)

36: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:54:17.04 ID:gdejUNy3.net
ーーー

鞠莉「ーーじゃあ、果南。私、先に下駄箱行ってるね」

果南「うん、わかったー」

果南(…鞠莉が来てから、学校、なんだか楽しいな…)

果南(早く行こ…)ゴソゴソ


生徒A「…あのさぁ、松浦さぁん?」

果南「ーーっ」ビクッ

果南「…な、なに?」

生徒A「いや別に用って程でもないんだけどさ…ちょっと残っててよ」

生徒B「そうそう、ちょっと話したいことがねー」

果南「……で、でも」

生徒A「すぐ終わるからさ…ん?」

生徒C「ふふっ…」

果南「……」

37: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:55:21.72 ID:gdejUNy3.net
ーーー

生徒A「…最近、あんた妙に明るいよねぇ?」

果南「そ、それがなにって言うの」

生徒A「いや特に何も無い。だけど、それじゃあさぁ…」

生徒A「面白くないんだよねぇ」

生徒C「よいしょっと」ゴトッ

果南「……?」

果南(バケツ?)

生徒A「おい」

ガシッ

果南「っ?! ちょっ、離してっ…!」

生徒B「悪いね」

生徒C「まあ悪く思わないでよ」

果南(どっちよ…!)

生徒A「寂しかったろぉ? 最近構ってやれなくてさ…」

生徒A「お詫びにたっぷりの雑巾汁ご馳走してやるよ」

果南「っ! い、いやっ…!」

生徒B「うぇ〜、ドブ色してる」

生徒C「きったなぁ〜」

果南「離してっ、このっ…!」

生徒A「それイッキイッキ」グイ

果南「ぐっ、うぅうううう……!」グググ

果南(なんで、私が……なんで私がこんな目に会わないといけないの…!)

38: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:56:15.97 ID:gdejUNy3.net
果南(私が、私がっ、一体、なにを……!!)

生徒A「へへ、ほら後少し……」


鞠莉「……あなた達!!何してるの!」

生徒ABC「!」

果南「っ……!」

果南(ま……鞠莉…)

39: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:57:48.43 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「離してあげなさいよ」

生徒A「あんたには関係ないでしょ」

鞠莉「関係あるわ」

鞠莉「その子は私の、友達よ」

果南「……!」

生徒A「…ふぅん」

生徒A「こんな奴が友達でなにが楽しいんだか……」


鞠莉「離してあげなさい、って、聞こえなかったかしら?」

生徒A「……」

40: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 21:59:20.72 ID:gdejUNy3.net
生徒A「うざったいわお前…」

生徒B「もう行こうよ」

生徒C「だりー」

果南「あっ……」パッ

生徒A「あ、センセーに言ったらわかるな? じゃね〜」

ギャハハハ…

鞠莉「……かな」

果南「……っ」ギュッ

鞠莉「…果南?」

41: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:01:32.68 ID:gdejUNy3.net
果南「……なんで」

果南「なんで私が…こんな目にあわないといけないの…」

果南「私、なんにもしてないのに……」

果南「明るいからなに、私が…楽しくしてちゃ……だめなの……?」

鞠莉「……」

鞠莉「そんなことない…」ギュッ

鞠莉「初めてあった時も思ったこと」

鞠莉「暗くしてるよりも、明るい方がいいに決まってる」

鞠莉「だから、果南の笑ってるところ、素敵だった」

鞠莉「それが悪いことのわけ、絶対にない」

42: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:05:39.06 ID:gdejUNy3.net
果南「……」ポロポロ

果南「ま、り……」

鞠莉「ん…?」

果南「私……学校で、居場所、なくて……」

果南「だから、だっ、から……何度も、いなくなりたい、って思った」

果南「死にたいって…」

鞠莉「…」

果南「でも、鞠莉…あなたは…あなたと……会ってから…変わったよ」

果南「今なら、頑張ってみようとおもう、だけど……」

果南「つらいものは、辛いよ……」

43: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:08:00.81 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「……」

果南「うっ、うぅ…」

ーーー
屋上

果南「……」

鞠莉「落ち着いた?」

果南「…ん」

鞠莉「気にすることないわ、果南。あんな風に、力で押さえつけようとする人たちの言うことなんか」

果南「…うん」

鞠莉「なんでも言って、どんな事でも、力になるから」

果南「鞠莉……」

果南「…鞠莉はさ、どうして、そんなに優しくしてくれるの…?」

45: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:10:05.81 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「…私もさ」

鞠莉「前の学校じゃ、何故か、近寄り難い、みたいなイメージ持たれちゃって…友達、いなかったんだ」

鞠莉「…で、ここに来て、最初に会った子と、絶対に友達になろうと思ってたんだ…最初は」

果南「……?」

鞠莉「フレンドリーに話しかけてくれる子もいたよ、だけど、私の目標の果南は、その。なんていうか」

鞠莉「どう話せばいいか、わからなくって」

鞠莉「それで、果南の後を追ったの。そうしたら、あの屋上ってわけ」

果南「へえ……」

47: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:12:15.58 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「私も最初、深い理由はないつもりだった、だけど」

鞠莉「果南、明らかに何かを抱えてるんだもん」

鞠莉「…放っておけなくって。そんな事言える立場でもなかったけど」

鞠莉「…嫌だった?」

果南「ううん、大丈夫。なんとも。むしろ…」

鞠莉「?」

果南「やっぱり、鞠莉って、本当に優しいんだね」

鞠莉「ええ?」

果南「そんな状況で、他人の心配が出来るって、私には出来ないや…」

鞠莉「…他人じゃ、ないわ」

果南「友達、でしょ?」

鞠莉「…ええ!」

48: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:15:12.99 ID:gdejUNy3.net
ーーー
果南家

果南「明日から三連休か…特にやることないなぁ…」

プルルルル…

果南「電話……あっ」

果南「…もしもしっ」

鞠莉『ふふ、声がうわずってるわよ?』

果南「き、気にしないでよ」

鞠莉『ふふ、はいはい……あ、そうそう。用件はね』

鞠莉『明日からおやすみでしょ? せっかくだから、どこかに出かけない?』

果南「えっ」

鞠莉『暇があればでいいんだけど…』

果南「大丈夫っ、ひまひま!」

鞠莉『ふふ、良かった。…それじゃあ、明日、10時に駅に集合しましょ。行き先は、決めてあるから!』

果南「うんっ、わかった!」

50: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:18:14.28 ID:gdejUNy3.net
果南「…ふふ、明日、か」

果南「楽しみだな…」

ーーー

チュンチュン……

果南「…ん、んん……」

果南「んー…」ムニャムニャ

果南「……」パチッ

果南「…んっ!? 今何時……」

果南「あっ」

ーーー

鞠莉「……」

鞠莉(…あ)

果南「っ、ぁ、ごめんっ、寝坊した!!」

鞠莉「ううん、大丈夫大丈夫、私もさっき来たばっかりだから!」

51: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:20:25.22 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「それじゃっ、行きましょ!」

果南「うん!」

ーーー

果南「わ、わぁ……な、やんじゃこりゃ…」

鞠莉「今日は貸切よー!」

果南「かしっ……!?」

果南「遊園地がっ!?」

鞠莉「ええ。だってここ、経営してるのはうちだから、ちょっとお願いして」

果南「!?」

果南「……え、えと。もしかしなくても…」

鞠莉「……ま。多少裕福かもね」

果南「絶対多少どころじゃない!」

鞠莉「まあまあ、今はそんな事より、今日は楽しみましょ!」キュッ

果南「あっ……うん!」

ーー

鞠莉「う、うう〜ん……」

果南「飛ばしすぎだよ…」

鞠莉「いやぁ、つい……」

果南「つい、でジェットコースターに10回連続で乗るんだ……」

52: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:21:35.46 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「うぅ〜ん…」

果南「大丈夫?どんな感じ?」

鞠莉「いい感じの太もも…」

果南「誰も太ももの感想なんて聞いてないけど…」

鞠莉「まあまあ。…うん、もう大丈夫…」

果南「……?」

鞠莉「もう少し、このままで…」

果南「…ん」

53: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:23:46.13 ID:gdejUNy3.net
ーーー

果南「っはー! 遊んだなぁ〜……!」ググッグー

鞠莉「流石にはしゃぎすぎちゃった…ちょっとねむい」

果南「疲れちゃったね。…そろそろ、解散にしようか」

鞠莉「…あ、ねえ。果南」

果南「ん?」

鞠莉「果南は…明日は、暇?」

果南「まあ明日も予定はないけど…」

鞠莉「だったら、明日はダイビング、教えてくれない?」

果南「…! いいよ、ぜひ」

鞠莉「やった! …それと、ね」

鞠莉「せっかくだから…家でご飯食べていかない?」

鞠莉「…というか、泊まっていかない?」

55: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:30:30.67 ID:gdejUNy3.net
鞠莉家


果南「うわっ…」

果南(な、なんじゃこりゃ…)

鞠莉「自宅って言っても、これは別荘みたいなものなんだけどね…」

果南「ひえっ…」

鞠莉「さっそくだけど、ご飯にしましょ! 任せて、腕によりをかけて作るから!」

果南「えっ、鞠莉って料理出来るんだ」

鞠莉「任せておいてっ」

56: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:35:34.88 ID:gdejUNy3.net
数十分後

鞠莉「ヘいお待ち!」ゴトンッ

果南「えっ」

果南(……な、なに。この得体の知れない紫色は……)

鞠莉「ささっ、遠慮しないで召し上がれ!」

果南「えっ、いや、あの」

鞠莉「大丈夫!」

果南「……」

果南「…」チラッ

紫色の何か『やあ』

果南(……ええい、ままよっ!)パクッ

果南「……」

鞠莉「どう?」

果南「…美味しいじゃん」

鞠莉「でしょ! おかわりあるからね!」

57: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:39:15.72 ID:gdejUNy3.net
カランッ…

果南(あんな見た目なのにどうしてまあ、なかなか…)

鞠莉「お風呂、先入ってていいよ。私は後で」

果南「…じゃあ、お言葉に甘えて」

ーーー

果南「わぁお…」

果南「綺麗なもんだね…」ジャパーンッ

果南「ふぅ〜……」

カララッ

鞠莉「お湯加減はどう?」

果南「うん、すごくいい感……じ!?」

果南「鞠莉っ!?」

58: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:40:24.37 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「?」

果南「な、なんっ…」

鞠莉「さっき言ったじゃない、『後で』って」

果南(そういう意味!?)

鞠莉「…あ、もしかして……嫌だった…?」

果南「あっ、いや、そんな事はないけども…」

鞠莉「…そっか、よかった」チャプンッ

果南「……」

鞠莉「……」

果南「今日は、楽しかった」

果南「学校入ってから、1番楽しい休日だった」

59: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:43:22.83 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「私も…」

果南「明日も、楽しみだね」

鞠莉「…ええ!」

ーーー

鞠莉「じゃ、電気消すわね」

果南「うん…おやすみ」

鞠莉「おやすみ…」

ーーー

鞠莉「……」zzz

果南(……)

果南(…確か)

果南(……確か、あと、明後日だったはず)

果南(楽園とやらは…)

果南(だから、実質鞠莉との、ダイビングが…現実での最後の思い出になる…)

果南(……私は)

60: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:45:42.75 ID:gdejUNy3.net
?「…果南」

?「…間違えないで、最後の、その時に…」

ーーー

チュンチュン…

果南「んっ……」

果南「朝…」

鞠莉「おはよう、果南」

果南「あっ、おはよう……鞠莉」

61: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:47:21.42 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「……さっ、朝食食べたら、さっそく、連れて行って!」

ーーー

果南「今日は定休日だから、もうみっちり出来るよ」

鞠莉「ふふ、良かった♪」

果南「今日は天気もいいし…ベストコンディションだね」

果南「準備できた?」

鞠莉「うん!」

果南「じゃあ、私の後についてきてね……!」ジャポンッ

鞠莉「う、うん…!」ジャポンッ!

ーーー

鞠莉(……)パチッ

鞠莉『っ! わあ……!』

果南『綺麗でしょ?』

鞠莉『なんていうか……本当に、360度、全部が全部が景色……目が二つじゃ足りないよ〜!』

果南『なら、たっぷり堪能してもらうとしようかな』

鞠莉『ええ!』

コポポッ…

ーー

鞠莉「あっー!楽しかった!」

果南「本当? 良かった」

鞠莉「これも果南のおかげね!」

鞠莉「…本当、あなたと友達になれて、よかったわ」

果南「鞠莉……」

鞠莉「……。っ、も、もう1回行きましょ! まだ時間あるわよね?」

果南「う、うん。あるよ…ふふっ」

果南(照れ隠しにしたって、下手だね…)

果南「そういうところ、好きだな…」

62: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:48:45.04 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「っ、はぁ……もう限界…」

果南「ちょっと調子に乗りすぎたかな…」

果南「今日はこれくらいにしておこうか」

鞠莉「そうね…」

果南「疲れた……けど」

果南「楽しかったね」

鞠莉「うん……とても」

鞠莉「…ねえ、果南。明日の、最後のおやすみは…街へ行かない? 三日連続で、ちょっとだるいかもしれないけど…」

果南「ううん、いいよ」

鞠莉「……よかった。そう言ってくれて」

鞠莉「じゃあ、果南。またね、明日!今度は寝坊しないでね!」

果南「うん、ばいばい…」

果南(……私のバカ)

果南「……なんで、約束しちゃうのよ」

63: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:50:09.95 ID:gdejUNy3.net
果南「……」

果南(予定通りなら、今日のはず…)

果南(私は、現実での実質的な死を迎えて……楽園に)

果南(それでいいんだ…)

果南(それで、いいはずなんだ…)

果南「…」

果南「…さよなら、鞠莉」

ーーー

果南「……」

果南「…おやすみなさい」

ーーー

果南『……ん、んん…』

?『久しぶりだね』

64: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:51:41.28 ID:gdejUNy3.net
果南『っ……』

?『約束通り、迎えに来たよ…さあ、行こうか』

?『着いてきて』

果南『……』

?『…どうしたの?』

果南『…あの』

果南『…どうしても、行かないといけないの…?』

?『……それは、どういう意味?』

果南『え…だから』

?『悪いのだけれど、1度契約してしまうと、よほどの事がない限り、取り消すことは出来ないの』

果南『えっ…』

?『だから、その、よほどの事を、今、教えて』

?『あなたはどうしたのい?』

?『果南は、今。本当はどうしたいの?』

果南『……』

果南『…あなたには、関係ないこと…』

?『関係ない事、じゃない』

果南『?』

?『果南、私はね』カポッ

果南(? 仮面、外して……)



カナン『私はあなた。貴方はわたし。私は貴方が楽園に行ってしまった後の、100年後から来た、松浦果南よ』

65: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:53:00.49 ID:gdejUNy3.net
果南『……え?』

カナン『……』

カナン『私は、間違えた』

カナン『今あなたが出すべき答えを、間違えたの』

果南『……ま、待って…なにを……』

カナン『信じられない? …それじゃ、詳しく話してあげよう』

カナン『100年前…つまり今だよ。私は楽園に行くことを望んだの』

カナン『確かにあそこでの生活は楽しいよ、だけど』

カナン『それと同時に…ひどく、虚しかった』

カナン『肉体的に死ねないって、こんなにも辛いことだなんて、って』

果南『どういうこと!?』

カナン『…魂だけで生き続ける。だから楽園の人たちは、永遠とあそこで存在し続けるの』

カナン『終わりなんか、ないの』

カナン『それがどれだけ残酷な事か、わからないでしょ?』

66: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:54:09.95 ID:gdejUNy3.net
カナン『…私はね、そんな自分を、せめて「気持ち」だけでも、救いたくって』

カナン『こうやって、自ら100年飛んできたの』

果南『ど、どうやって…』

カナン『まっ、100年経てば…』

カナン『タイムマシンくらい、出来ちゃうよね』

果南『えっ!?』

カナン『……ま、今はそんなことはどうでもいいね』

67: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:56:07.07 ID:gdejUNy3.net
果南『……』

カナン『結局はね。私が、松浦果南が、どうしたいのか、それが重要なの』

カナン『…答えて、果南』

カナン『…どうしたいの?』

果南『……わ、私は』

果南『私は…あの子と……』

果南『まだ、出会って間もないけど、あの子と……!』

果南『友達だって言ってくれた、あの子と……!』

……私が、生きようと思ったのは。

68: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 22:57:46.38 ID:gdejUNy3.net
果南『…鞠莉と、一緒に……いたい』

果南『生きて、いたい……!』


鞠莉と、出会ったからだ。


カナン『…そっか』

カナン『……良かったよ。そう言ってくれて』

カナン『…これで、心置き無く帰れる』

果南『っ、こ、これで……契約、とか言うのは…』

カナン『ああ、それ。最初からしてないよ』

果南『えっ……』

カナン『信じてたから。いや、信じずにはいられなかったから』

69: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 23:01:18.59 ID:gdejUNy3.net
カナン『……だからね、もう、これからも』

カナン『間違えないで、例え辛くても、踏み外しちゃダメ』

カナン『生き抜いてよ、最後まで』

果南『……うん』

カナン『…それじゃ、今から、現実にかえすよ。……待ってる人が、いるみたいだしね』

果南『待ってる人……?』

カナン『じゃあね果南。あなたのこれからを、心から応援するよ』

果南『……待っ…!!』

ーーー

……ん

……なんっ

鞠莉「……果南っ!!」

果南「ふぁあ!?」パチッ

鞠莉「っ、ぁっ……!」ブワッ

鞠莉「果南っ……!」ダキッ

果南「ちょっ、ええっ、鞠莉っ、どうしたの……?」

70: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 23:02:59.67 ID:gdejUNy3.net
鞠莉「覚えてないの? 朝、目覚めなくて……」

鞠莉「それで、病院に運ばれたって…」

果南「……ああ」

果南(そっか、あの時間の間も…)

果南「あー……えっと」

果南「なんていうか、ご迷惑を…」

鞠莉「ほんとうよ…」

果南「心配かけちゃった、かな…?」

鞠莉「するよ、当たり前でしょ…」

鞠莉「友達でしょ…」

果南「……」

果南(……ああ、そうだ)

果南(もっとシンプルでいいのかもね…)

果南(この子と一緒にいるために、生きる事で、いいかもね……)

71: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 23:03:46.83 ID:gdejUNy3.net
ーーー

カナン「…」

カナン「これで、少しは報われるかな……」

カナン「私は何も変わらないけど」



マリ「終わったの?」

カナン「ん、終わった」

マリ「私たちのこれからは、もう変えられないけど…」

マリ「松浦果南と、小原鞠莉の何かは、変えられたよね…」

カナン「…あのさ」

カナン「なんでマリも楽園に来ちゃったの?」

マリ「カナンがいるって、知ったから」

カナン「……そう」

マリ「うん」

カナン「たぶん、私達、いつまでも一緒なんだろうね」

マリ「そうねぇ…」

カナン「帰ろうか。もう用もないし」

マリ「うん……ねえ、カナン」

カナン「ん?」

73: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 23:05:50.04 ID:gdejUNy3.net
マリ「カナンは、良かったの? 後悔はなかったの?」

カナン「…ないって言ったら、そりゃ嘘になるけど」

カナン「ただ、だけどね。私は、ワタシのね」

74: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 23:06:26.25 ID:gdejUNy3.net
カナン「もしかしたら、幸せになれたのかもしれない、っていう可能性があったんだって…それを知る事が出来ただけでも」

カナン「私は幸せだったよ」

マリ「…そっか」

マリ「それなら、私もそうなんだろうね…」

カナン「…」

カナン「帰ろう、私達の場所に」

希望は、得られたから。

76: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 23:11:49.29 ID:gdejUNy3.net
ーーー
それから、私たちは。

果南「鞠莉、お昼食べよ」

いつもどおりの日々を過ごす。
屋上ではなく、教室で。

もうあれから、変なことを考えるのはやめた。

死ぬとか、辛いとか、そういう事はあんまり意味が無いって気づいたから。

それを、ワタシと……鞠莉がおしえてくれた。

生徒A「やあやあ松浦さぁん、調子はどうかなぁ、ん?」

果南「……あのさ」

生徒A「あ?」

果南「悪いんだけど、あんまり突っかかって来ないでくれるかな」

果南「一対一ならさ…あなたくらいなら、どうにでもできるよ」

生徒A「……ちっ」

今はもう迷わない。

鞠莉「かなーん」

果南「ん?」

鞠莉「ふふ、呼んでみただけ」

果南「ははっ!」

どんな未来かは、わからないけど…それも、鞠莉と一緒なら、きっと楽しいはずだ。

果南「…ずっと、一緒にいようね」

鞠莉「ええ!」



おわり

77: (あら)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 23:12:22.37 ID:gdejUNy3.net
ありがとうございました

86: (笑)@\(^o^)/ 2016/12/27(火) 23:31:17.21 ID:rT1G1qLP.net

すごくよかった

引用元: http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1482840923/

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