【SS】恋「え? 千砂都さんが車を運転している?」【ラブライブ!スーパースター!!】

SS


1: (あら) 2021/10/02(土) 18:10:08.82 ID:smXwR/FZ
学校からの帰り道

恋(ふぅ、すっかり遅くなってしまいました)スタスタ

恋(さすがに練習の後に生徒会の仕事があると疲れますね)

恋(ですが、これも自分で選んだ道です。がんばらないと!)

恋(あっ、いい匂い)クンクン

恋(この匂いのもとは、あの移動販売車ですか。ソースが焦げる匂いですね)

恋(そういえば、お腹がすきました。早く帰ってサヤさんのご飯が食べたいです)グー

恋(まあ、サヤさんは私の好みに合わせて、いつも洋食を作ってくれますからね)

恋(今日の夕食が、お好み焼きやたこ焼きということはないでしょうが)クスクス

2: (あら) 2021/10/02(土) 18:13:36.01 ID:smXwR/FZ
恋(ですが、本当に食欲をそそる匂いですね……)

恋(確か、家にたこ焼き器がありましたよね? 以前にお母様が買ってきたやつが)

恋(今週末にでも、みなさんを招いてたこ焼きパーティーをしてもいいかもしれません)

恋(タコパというやつです! なんだかすごく楽しみになってきましたよ!)ルンルン

恋(たこ焼き器と生地をこちらで用意して、中に入れる具材を持ち寄ってもらうというのはどうでしょう?)

恋(小麦粉ならたくさんありますよ! なんといっても安いですからね! 腹持ちは微妙ですが!)

恋(逆にタコなんかの海産物は地味に高いんですよねえ。久しく食べていません)

恋(それに、もしかしたら牛肉とか持ってきてくれる人がいたりして……)ジュル

千砂都「ういっすー! おいしくてまん丸なたこ焼きができたてだよー!」

恋(千砂都さん!?)

4: (あら) 2021/10/02(土) 18:16:38.87 ID:smXwR/FZ
恋(あれは千砂都さんのたこ焼き屋でしたか)

恋(千砂都さんも練習していたのに、その後は今までずっとバイトですか。大変ですね)

恋(というか、私も何かバイトをした方がいいのでしょうか?)

恋(ただの女子高生の私のバイト代では、焼け石に水もいいところですが……)

恋(いえ、それは今はいいでしょう。千砂都さんに挨拶でもしますか)

恋(家でサヤさんのご飯が待っていることを考えると、たこ焼きを買う余裕はありません)

恋(そう、食欲的にも金銭的にもね)

恋(ですが、ちょうどお客さんもいないようですし……)

恋(お客ではない私が話しかけても、特に迷惑にはならないでしょう)

恋(それに、廃棄のタコとかもらえるかもしれませんし!)ウキウキ

恋「千砂都さん、お疲れ様で――」

7: (あら) 2021/10/02(土) 18:19:40.81 ID:smXwR/FZ
千砂都(うーん、お客さんが来ないなあ。場所を変えるか)

千砂都(さっきまでは学校のみんなが来てくれてたけど、もうほとんど帰っちゃったみたいだしね)バタンッ

千砂都(渋谷の方にでも行ってみようかな)キュルルッ

ブオオオーーーーー

恋(あ、行っちゃいました。……私のタコが)

恋(もう少し早く声をかけるべきでしたね。そうすれば、千砂都さんも車を出さずに――)

恋(……は? ちょっと待ってください。車を出す?)

恋「え? 千砂都さんが車を運転している?」

9: (あら) 2021/10/02(土) 18:22:45.56 ID:smXwR/FZ
恋(思わず声が出てしまいましたが、これはどういうことですか?)

恋(車を運転しているということは、千砂都さんは免許を所持している?)

恋(いや、それは無理でしょう? 高校1年生ですよ!?)

恋(お母様がうちの校則を決めたときに、18歳になった3年生の免許をどうすべきか聞かれたんですよね)

恋(かっこいいからOKにしましょうと私が言ったから、我が校は免許の取得を禁止していません)

恋(ですが、それはあくまで18歳の学生の話です。1年生が免許を取るのは校則違反ですよ!)

恋(いやいや、これは校則がどうこうとかいうレベルの話ですらありませんよね?)

恋(無免許運転は法律違反です。普通に犯罪じゃないですか!)

10: (あら) 2021/10/02(土) 18:26:18.32 ID:smXwR/FZ
恋(これは、警察に通報すべきなんでしょうね)

恋(しかし、そうしたら注意されるだけでは済まないでしょう。恐らく千砂都さんは逮捕されます)

恋(学生が逮捕されるだなんて、学校の評判にも間違いなく傷がつくことになります)

恋(それに、千砂都さんは無期停学か下手すると退学ということに……)

恋(そんなのダメです! 千砂都さんがいなくなるなんて、そんな……)

恋(…………)

恋(でも、だからといって明らかな犯罪行為を黙認するのですか?)

恋(そんな自分が正しいと、胸を張ってお母様に言えますか?)

恋(これが親しい友人でなければ、きっと私は通報していますよね?)

恋(やっぱり、ここは……。いや、でも、それは……。しかし、そんなことでは……)

恋「……いったい私は、どうすればいいのでしょう」

11: (あら) 2021/10/02(土) 18:29:15.58 ID:smXwR/FZ
翌日 部室

かのん「じゃあ、そういうわけで、今日の練習は――」

可可「かのん? どうしました?」

かのん「えっと、恋ちゃん?」

恋「…………」

かのん「ねえ、恋ちゃんってば」ポンポン

恋「はっ、はい! 何でしょう!?」ビクッ!

かのん「いや、大丈夫? なんか、ぼーっとしてたみたいだけど」

恋「す、すみません。大切なミーティング中に……」

かのん「別に怒ってるわけじゃなくて、心配してるんだよ。顔色もすっごく悪いしさ」

可可「どことなく表情も暗いデス。泣きそうな感じというか……」

すみれ「体調が悪いなら、ちゃんと休みなさい。無理してもいいことないわよ」

12: (あら) 2021/10/02(土) 18:32:50.11 ID:smXwR/FZ
恋「いえ、そういうわけではないんです。ちょっと寝不足なだけで……」

かのん「寝不足? ホントにそれだけ?」

恋「はい、そうです。お騒がせして申し訳ありません」

可可「本当デスね? 信じますよ?」

恋「はい、大丈夫です」

すみれ「これ以上は聞かないであげるけど、何かあるなら遠慮せずに言いなさいよ?」

恋「はい、ありがとうございます」

かのん「なら話を戻すけど、ちぃちゃんが――」

恋「千砂都さんが!?」

可可「ど、どうしたデスか!?」

恋「あ、いや、その……」

かのん「ちぃちゃんは少し遅れるから、私たちは先に準備運動をしとこうって言いたかったんだけど……」

すみれ「千砂都は音楽科にダンスを教えに行ってるから、こっちに戻ってから準備運動は必要ないでしょ?」

13: (あら) 2021/10/02(土) 18:36:36.06 ID:smXwR/FZ
恋「……そうでしたか。すみません」

かのん「ねえ、やっぱり話してくれない?」

かのん「寝不足なのはホントみたいだけど、それだけじゃないでしょ?」

可可「そうデスよ! レンレン、何か悩みがあるならククたちに話してください!」

恋「いや、別に私は何も――」

すみれ「そんなんで誤魔化せるわけないって、あなたも分かってるでしょ?」

恋「それは……」

すみれ「千砂都と何かあったの?」

恋「いえ、千砂都さんと私の間に何かがあったというわけではないのですが……」

かのん「ですが?」

恋「その、昨日の帰りがけに、ちょっと見てしまって……」

14: (あら) 2021/10/02(土) 18:40:43.12 ID:smXwR/FZ
可可「見た? 何をデスか? お化けとかデスか?」

すみれ「おバカ! 千砂都の何かに決まってるでしょ! 千砂都に何かあったのよ!」

かのん「え!? ちぃちゃんがどうかしたの!? ちぃちゃんは大丈夫なの!?」オロオロ

恋「はい、大丈夫ですよ。安心してください」

恋「別に千砂都さんが、何か危ないことに巻き込まれていたというわけではないんです。ですが……」

かのん「ですが!?」

恋「その、千砂都さんが車を運転するところを見てしまいまして……」

かのん「あ」

恋「千砂都さんは、移動販売車でたこ焼きを売るバイトをしているでしょう?」

恋「あの車を、当たり前のように運転していたんです」

15: (あら) 2021/10/02(土) 18:43:37.43 ID:smXwR/FZ
可可「日本では千砂都の年でも免許が取れるんだってククは思ってましたけど、違うんデスか?」

恋「普通自動車の運転免許は、日本では18歳にならないと取得できません」

可可「18歳? 中国と一緒デス!」

すみれ「えっと、あれよ。ほら、バイクなら16歳で取れるんじゃなかった?」ネ?

恋「あの移動販売車がバイクに見えますか?」

すみれ「……見えないわね」

恋「それに千砂都さんは早生まれですから、まだ16歳にもなっていないはずですよ?」

可可「グソクムシは、もうちょっと考えて物を言ってください」

すみれ「もうっ! うるっさいたらうるっさいわよ!」

すみれ「あー、でもね。それについては、実は私も気になってはいたのよ」

恋「知ってたんですか!?」

すみれ「知ってたってわけじゃないけど、薄々と気づいてたっていうか……」

16: (あら) 2021/10/02(土) 18:47:05.80 ID:smXwR/FZ
恋「え? 何か千砂都さんに怪しい行動でもありましたか?」

恋「私にとっては青天の霹靂だったのですが」

すみれ「恋は知らないでしょうけど、前にちょっとね」

すみれ「ほら、あなたと私で生徒会長の選挙をやったでしょ?」

すみれ「あのとき、票を集めるために千砂都が協力してくれたのよ」

恋「ああ、何か食べ物を配っていたと聞きましたが、千砂都さんのたこ焼きだったんですね」

すみれ「そういうこと。あれ、けっこう評判よかったのよ?」

すみれ「結局は理事長に見つかって、ペナルティを食らっちゃったけどね」

可可「おかげですみれの票はマイナスでしたもんね」ププッ

すみれ「千砂都と一緒にたこ焼きを作ってたあんたが言ってんじゃないわよ!」

すみれ「まあ、でもあれは仕方なかったわ。普通に買収だしね」

恋「私も所信表明演説で思い切り公約を破棄しましたし、今になって考えるとかなりあれな選挙でしたよね」

すみれ「確かにそうね。でも、私はあなたが当選してよかったと今では思うわ」

すみれ「色々とあったけど、この学校のことを一番に考えているのはやっぱり恋だと思うし」

恋「ふふっ、ありがとうございます」

17: (あら) 2021/10/02(土) 18:50:19.66 ID:smXwR/FZ
すみれ「それで話を戻すけど、あのとき気づいたらキッチンカーが校門の前にいたのよ」

すみれ「千砂都の他にはスタッフなんて誰もいなかったし、あの子が運転してきたとしか思えなくて」

恋「千砂都さんには何も聞かなかったんですか?」

すみれ「もちろん気にはなったけど、藪をつついて蛇を出すのはイヤだなあって」

すみれ「だって無免許運転よ? 完全に犯罪ったら犯罪じゃない!」

すみれ「たこ焼きを配って怒られるだけなら、学校の中の話で済むけどさ」

すみれ「いくらなんでも無免許運転はシャレにならないでしょ!」

恋「そうです。さすがに無免許運転は看過できません」

恋「私は初め、警察に通報すべきだと思いました。だって、これは明らかに犯罪です」

恋「ですが、千砂都さんがいなくなってしまうのは絶対にイヤなんです!」

恋「だから、私は……」

すみれ「なるほど、それで悩んでたのね」

可可「レンレン……」

恋「私はいったいどうすべきなのでしょう?」

18: (あら) 2021/10/02(土) 18:53:25.79 ID:smXwR/FZ
かのん「あー、いやさ? それは別に大丈夫だから、心配しないでいいよ」

恋「大丈夫? とてもそうは思えませんが」

すみれ「ってか、かのんは無免許運転の話になってからは静かだったわね」

可可「かのんは何か知ってるのデスか?」

かのん「うん、まあね。幼馴染だし」

恋「けれど、目をつぶることが正しいとは私には思えません!」

恋「それに私が告発しなかったとしても、あれだけ人目もはばからず運転していては……」

恋「せめて千砂都さん本人に何か言うべきです! 千砂都さんが逮捕されてもいいんですか!?」バンッ

かのん「いや、ホントに大丈夫だから。恋ちゃんが心配してるようなことには、絶対にならないからさ」

すみれ「どういうことなのよ?」

かのん「んー、どういうことって聞かれると困るんだけど……」

可可「私たちには言えないようなことなのデスか?」

かのん「いやいや、そんな深刻な顔をしないといけないようなことじゃないよ」

かのん「でも、ちぃちゃんのプライバシーに関わることだから、私が勝手に言うのはなあ」ウーン

20: (あら) 2021/10/02(土) 18:56:48.05 ID:smXwR/FZ
恋「そう言われてしまうと、あまり強くは聞きづらいですね」

すみれ「なによ! 私の秘密はあっさり話したくせに!」

かのん「すみれちゃんの秘密?」エ?

すみれ「グソクムシの動画を可可に見せたでしょ! 誰にも言わないって約束したクセに!」

かのん「いやあ、どうしても教えて欲しいって可可ちゃんが言うからさあ」

恋「私は特に何も言っていないのに、かのんさんの方から動画を見せられましたが」

可可「クラスのみんなにも、けっこう見せてますよね?」

すみれ「か~の~ん~!」

21: (あら) 2021/10/02(土) 18:59:57.57 ID:smXwR/FZ
かのん「でもでも、あんなに可愛いんだから、みんなにも見せたくなるじゃん!」アセアセ

かのん「評判もすごくよかったしさ。これはもうしょうがないよね!」ネ?

すみれ「何がしょうがないのよ! しょうがなくなんてないったらないわよ!」バンッ!

かのん「特に可可ちゃんなんて、ホントに大好きみたいなんだよ?」

かのん「恥ずかしいらしくって、すみれちゃんの前ではからかってるけど……」

かのん「すみれちゃんがいないとこでは、しょっちゅうあの動画を見てニヤニヤしてるもん」

可可「ニヤニヤなんてしてません! あれは、すみれの滑稽さを笑っているだけデス!」

かのん「えー? でも、可可ちゃんったら、『可愛いデス~』とか声に出ちゃってるよ?」

可可「なっ、そんなことありません! なんてこと言うデスか! なんで言っちゃうデスか~!?」

すみれ「こいつ、ちょっと口が軽すぎるでしょ! 可可、お仕置きするわよ!」ガシッ!

可可「グソクムシに協力するのは不本意デスが、ここはククも手伝います!」ガシッ!

かのん「ひぃっ!」

ドア「バァン!」

千砂都「ういっすういっすー! 遅れちゃって、ごめんねー」

22: (あら) 2021/10/02(土) 19:04:03.74 ID:smXwR/FZ
千砂都「って、かのんちゃんに何してるの!?」

かのん「ちぃちゃん、助けてー!」ウルウル

千砂都「ちょっとちょっと、すみれちゃんと可可ちゃんは何やってるの!」

千砂都「かのんちゃんをいじめたりしちゃダメでしょ!」

すみれ「いじめてるんじゃないわ。この悪い子にお仕置きしてるのよ。千砂都は黙って見てなさい」

可可「悪いかのんは、ククが修正してやります! 粛清デス!」

千砂都「待ってよ! かのんちゃんが何したって言うの!?」

すみれ「他人の秘密をペラペラしゃべりやがったの。常習犯よ。情状酌量の余地はないわ」

すみれ「そういえば、千砂都もいつの間にかグソクムシのことを知ってたわよね? なんでかしら?」ギロッ

千砂都「……あー、そういう感じ?」

23: (あら) 2021/10/02(土) 19:07:16.57 ID:smXwR/FZ
可可「千砂都の秘密は、ちゃんと守ろうとするのに……」

可可「だったら、ククのことも言わないでください!」

千砂都「え? 私の秘密?」

千砂都「ねえ、私の秘密って何の――」

恋「あの、すみません。千砂都さん、ちょっといいですか?」

千砂都「恋ちゃん?」

恋「えっと、その、聞きたいことがありまして……」

千砂都「うん、別にいいけど。何かな?」

恋「昨日の19時過ぎに、あなたが移動販売車を運転するところを見てしまったんです」

恋「どうしたらいいのか分からずみなさんに相談したら、かのんさんが何か事情を知っているようでして」

恋「ただ、千砂都さんのプライバシーに関わることだから、詳しいことは言えないと……」

恋「あの、千砂都さん! どんな事情があるのかは知りませんが、法に反するようなことは――」

千砂都「待って、恋ちゃん」

恋「えっと、千砂都さん?」

千砂都「大丈夫、分かったから」

25: (あら) 2021/10/02(土) 19:10:18.11 ID:smXwR/FZ
千砂都「あーね、なるほど。そういうことかあ」ウンウン

千砂都「そっか、そっかぁ。それは確かに気になるよねー」

千砂都「えっとね……」ゴソゴソ

かのん「ち、ちぃちゃん!」アワアワ

千砂都「大丈夫だよ、かのんちゃん。別に隠してるってわけじゃないから」

千砂都「でも、秘密にしようとしてくれたんだね。ありがとう」

かのん「ちぃちゃん!」パァ!

千砂都「かのんちゃんって口が軽いとこあるのに、我慢してくれたんだね。ちょっと意外かも」

かのん「ちぃちゃん……」ガーン!

27: (あら) 2021/10/02(土) 19:13:48.39 ID:smXwR/FZ
すみれ「結局、どういうことなのよ!」

千砂都「こういうことだよ」

千砂都「はい、これ」つ[免許証]

恋「これは、免許証!?」エエッ!?

すみれ「なんで!? 嘘でしょ!?」

可可「偽造デスか!?」

千砂都「そんなことしないよー」

恋「ちょっと貸してください!」

千砂都「いいよー」ハイ

28: (あら) 2021/10/02(土) 19:24:59.86 ID:smXwR/FZ
恋「……間違いありません。これは、普通自動車の運転免許証です」

恋「実物を触ったことはそれほどありませんが、これが偽物だとは思えません!」

すみれ「そんなわけないでしょ! 私にも貸しなさいったら貸しなさいよ!」パシッ

すみれ「……これが、千砂都の免許?」ジロジロ

可可「写真が可愛いデス! さすが千砂都!」

千砂都「ありがとー」

すみれ「確かに触ってみても変な感じはしないけど、本物なわけが……」シゲシゲ

すみれ「あっ! ほら、ここっ! ここを見て!」ネエ!

恋「どうしました!?」

可可「やっぱり偽造デスか!?」

すみれ「この生年月日のところ! これ、おかしいでしょ!?」

29: (あら) 2021/10/02(土) 19:28:15.03 ID:smXwR/FZ
可可「え? 2月25日? 合ってると思いますよ?」ン?

すみれ「そうじゃなくて、年の方を見てみなさいよ!」

可可「えっと、平成? 日本の元号ってやつデスよね?」

すみれ「そうだけど、そうじゃなくってえ!」

恋「これ、私の生まれ年の2年前です。……どうして?」

可可「レンレンが生まれる2年前? 千砂都は3年生だったのデスか!?」

かのん「あー、ちぃちゃんは早生まれだから、学年でいうと私たちの3つ上だよ」

可可「大学生デスか!?」ガーン!

すみれ「それなら確かに免許も取れるかもしれないけど、そんなのおかしいでしょう!?」

恋「そうですよ、そんなはずありません! それだと結ヶ丘に在学しているわけが――」

千砂都「浪人したんだよ」

恋「え?」

千砂都「3年だけ浪人したの。だからだよ」

32: (あら) 2021/10/02(土) 19:31:29.03 ID:smXwR/FZ
すみれ「高校浪人!? それも3年も!?」

可可「浪人って入学試験に不合格になって、次の年にまたチャレンジする人のことデスよね?」

可可「そんなに音楽科に入りたかったのデスか?」

すみれ「え? 転科しちゃってよかったの?」

恋「いえ、それはおかしいです。結ヶ丘は新設校ですよ?」

すみれ「あっ、確かにそうね!」

恋「私たちが受けたのが、我が校の初めての入試です。不合格になった去年の入試なんてありません!」

可可「千砂都、どういうことなのデスか!?」

千砂都「え? ただ、3年間はどこの高校も受験しなかったってだけだよ?」

34: (あら) 2021/10/02(土) 19:34:21.29 ID:smXwR/FZ
恋「体が弱かったとかですか? それで受験できなかったという……」

千砂都「違うよー」

すみれ「じゃあ、どうしてなのよ……」

すみれ「えっと、これって聞いてもいいやつ? なんか、ヤバそうな臭いがプンプンするんだけど……」

千砂都「別にいいよ? そんなにたいしたことでもないからさ」

千砂都「そもそも受験できなかったんじゃなくて、わざとしなかったんだよ」

恋「どうして……」

千砂都「え?」

千砂都「そんなの、かのんちゃんと同じ学年になるために決まってるでしょ?」

可可「ひえっ」

千砂都「本当は小学生のときから同じ学年になりたかったんだけど、義務教育で留年するのって難しいんだ」

37: (あら) 2021/10/02(土) 19:37:14.53 ID:smXwR/FZ
千砂都「それで、かのんちゃんが行きたいって言ってた結ヶ丘の音楽科を受験してさ」

千砂都「やーっと同じクラスになれると思ったのに、かのんちゃんが落ちちゃうなんてなー」

かのん「へへっ、ごめんね。私が歌えてればよかったんだけど」

千砂都「んーん、別にいいよ。私が転科すればいいだけだもん」

千砂都「せっかくだからってことで転科する前に音楽科で色々と学んだし、ちょうどよかったかもね」ニコッ

恋「あれ? これって微笑ましい話ですか? お2人は仲がいいですねとでも言っておくべきでしょうか?」

すみれ「そんなわけないでしょ。少なくとも私の理解を超えた話よ」

可可「こ、これが愛なんデスね。か、感動しました~」

すみれ「可可、あんた声が震えてるわよ」

可可「……だって怖いデス」プルプル

恋「人間にとって最も恐怖を覚えるものは、自らの理解の範疇を逸脱したものですからね」

すみれ「なんていうか、SAN値チェックに失敗しそうになるわね」

38: (あら) 2021/10/02(土) 19:40:38.44 ID:smXwR/FZ
千砂都「どうしたの? そんなに怖がるようなことじゃないでしょ?」

千砂都「だって、私はただ大好きな幼馴染と一緒にいたいってだけだよ?」

すみれ「だからって3年も浪人するなんて、さすがにありえない、ですよ」

千砂都「ふふっ、なんで敬語?」

すみれ「だって、3つも年上なんですよね? さすがにタメ口なんてきけないわよ! ……と思います」

千砂都「もー、やめてよー」フフッ

千砂都「敬語なんて使わないで、いつもみたいに話して欲しいな。同じクラスの友達でしょ?」

恋「そうですね、千砂都さんのおっしゃる通りです。すみれさん、敬語なんてよそよそしいですよ?」

可可「相手の気持ちを考えやがれデス! 私たちは仲良しなのデスから、フランクに話すのが当然デス」

すみれ「あんたらにだけは言われたかないわよ! この敬語コンビが!」

39: (あら) 2021/10/02(土) 19:43:35.87 ID:smXwR/FZ
千砂都「いきなり3つも年上だなんて言われて驚くのは分かるけど、今まで通りにしてくれると嬉しいな」

千砂都「だって学年は同じだし、一緒にラブライブを目指す仲間でしょ?」

すみれ「それは、まあ、そうかもしれませんけど……」

千砂都「スクールアイドルだと先輩と後輩でも友達口調で話したり、ちゃん付けしたりするみたいだよ?」

千砂都「それと比べたら私たちは年は違ってもクラスメイトなんだし、別に平気だと思わない?」

すみれ「でも……」

千砂都「それに、すみれちゃんに他人行儀にされるのは、すっごく悲しいな」ネ?

すみれ「……確かにそうね。これくらいのことで距離を取るなんておかしいわよね」

すみれ「ごめんなさい。少し混乱しちゃったけど、もう大丈夫よ」

すみれ「心配かけたわね、千砂都」

千砂都「すみれちゃん!」パァ!

恋「私も今までと同じように千砂都さんに接したいと思います。仲間だし、友達ですもんね」

可可「そうデス! たとえ何歳でも、千砂都は千砂都デス! 大好きデス!」

かのん「私はちぃちゃんが実は40歳とかでも大好きだよ」

42: (あら) 2021/10/02(土) 19:46:54.94 ID:smXwR/FZ
千砂都「やっぱり私、浪人して結ヶ丘に入学してよかったよ」フフッ

すみれ「ちょっと私には理解できないけど、千砂都にとってはそうなんでしょうね」

恋「そうですね。分からないからといって、否定するのはよくありませんか」

可可「千砂都の愛が重いのではなく、ククたちが軽いだけなのかもしれません」

恋「愛こそ人間の感情の極み。希望より熱く、絶望より深いものですね」

かのん「ちぃちゃんにこんなに想ってもらえて、私は幸せ者だなあ」ヘヘッ

可可「かのん、とっても嬉しそうデス」

すみれ「当の本人たちが幸せなら、外野がとやかく言うべきじゃないのかもね」

千砂都「ううん、さっきのはそういう意味じゃないよ?」

千砂都「かのんちゃんじゃなくて、みんなと友達になれて嬉しいなってことなの」

クゥすみ恋「「「え?」」」

かのん「ええっ!?」ガーン!

千砂都「あっ! かのんちゃんと同じクラスになれたのは、もちろん嬉しいよ!」アセアセ

43: (あら) 2021/10/02(土) 19:50:02.87 ID:smXwR/FZ
千砂都「ただ、この5人で一緒にいるのも、楽しくって仕方ないんだ」

千砂都「かのんちゃんが私と同じ年だったらよかったのになって、そう思ったことも何度かあったけど……」

千砂都「でも、それだとみんなには出会えなかった」

千砂都「だから、今が最高なんだよ!」

恋「千砂都さん、私もそう思います!」

すみれ「そんなこと言われると、なんか照れるわね」

千砂都「かのんちゃんもそう思わない?」

かのん「まあ、確かにそうだね」

かのん「ちぃちゃんと2人っきりなのも好きだけど、みんなといるのも同じくらい大好きだよ」

可可「かのん! ククもみんなが大好きデス!」

45: (あら) 2021/10/02(土) 19:53:07.63 ID:smXwR/FZ
千砂都「じゃあさ、みんなであれやろうよ!」

かのん「あれ?」

千砂都「ライブ前とかにやってた掛け声だよ。学園祭のライブでは、新しいのやったからさ」

かのん「あー、もしかして変えちゃったのイヤだった?」

可可「ごめんなさい、千砂都。クク、番号を言ってくのに憧れてて……」シュン

千砂都「いやいや、今のも好きだよ。ごめんごめん」

千砂都「でも、あっちの掛け声も、この5人でやってみたいなって」

千砂都「ほら、私の決め台詞みたいなとこあるしさ」

すみれ「もちろんいいわよ。あれ、私も嫌いじゃないのよね」

恋「話には聞いているので、私も知ってはいますよ。少し興味もありました」

かのん「よし、じゃあやろう! ちぃちゃん、お願い!」

千砂都「うん! みんな、手を出して!」

かのクゥすみ恋「「「「はい!!!!」」」」

5人「「「「「ういっす! ういっす! ういっすー!!!!!」」」」」

46: (あら) 2021/10/02(土) 19:56:16.36 ID:smXwR/FZ
年齢を超えた真の絆を確かめ合い、私たちは今までより
もっと仲良くなりました。ちぃちゃんと同じくらい大切に
思える仲間と出会えるなんて、本当に結ヶ丘に入学して
よかったと思います。なお、ラブライブ大会の年齢制限に
ちぃちゃんが引っかかって、私たちは失格になりました。
ちょっとびっくりしたけど、それも今ではいい思い出です。

結ヶ丘女子高等学校 普通科 1年 澁谷かのん

47: (あら) 2021/10/02(土) 19:57:02.15 ID:smXwR/FZ
終わりです

49: (SIM) 2021/10/02(土) 20:00:37.07 ID:stQvRO5p
失格になってて草
おつでした

51: (茸) 2021/10/02(土) 21:24:06.86 ID:qRQ0UGU0
オチで草

53: (くさや) 2021/10/04(月) 17:03:06.86 ID:wN3mpVeI
@ やっぱり幼馴染はすべてに優先されるよね♪︎

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1633165808/

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