【SS】せつ菜「ゼリーってなんですか?」【ラブライブ!虹ヶ咲】





せつなA・ZU・NAーSS
1:(茸) 2021/10/23(土) 13:32:10.55 ID:y3Me1vRS
しずく「へ?」

歩夢「え?」

しずく「せ、せつ菜さん…ゼリーを食べたことないんですか?」

せつ菜「いえ、あります。大好きですよ」

しずく「へ?」

せつ菜「なにを隠そう私はポケモンゼリーが昔から大好きでして!知っていますか?ふたの絵柄が何種類もあるんですよ!シーズンが変わると絵柄が全て更新されてしまうのですが、その前に全種類を集めるのはなかなか骨が折れる作業なんです」

せつ菜「両親に買ってもらえる機会は限られていますから、持っているもの一種類と持っていないもの二種類の組合せしか見当たらないときなどは買うかどうか究極の選択──いえ駆け引きを迫られるんです」

せつ菜「明日まで待てば持っていないものだけのパックが店頭に並ぶかもしれない!しかしその逆も然り!シーズン後半になればなるほど白熱するこの駆け引きに私は『ポケモンティ・ホール問題』と名付けていまして……!」

歩夢 (ネーミングセンスだっさ…)

しずく「わ、わかりました。ポケモンティ・ホール問題についてはわかりましたから!」

2:(茸) 2021/10/23(土) 13:36:04.05 ID:y3Me1vRS
しずく「だったら、さっきの質問はなんなんですか?『ゼリーってなんですか?』って、せつ菜さんがシーズンごとに囚われているポケモンゼリーこそがそれそのものですよ」

せつ菜「おっと、これはいけませんね。私としたことが言葉不足でしたか」

せつ菜「ゼリーがなにかということくらいは私も知っています。それは私が好きなお菓子のことです」

歩夢 (英文を直訳したみたいになってるなぁ)

せつ菜「そうではなくて、あれは一体なにを食べているのだろう、ということなんですよ」

しずく「なにを、とは…ゼリーでは?」

せつ菜「ちっがうんですよォ!!!!!!」

歩夢「えっうるさ!?」

しずく「なにが違うっていうんですか!わかるように言ってください!」

歩夢「張り合わないでしずくちゃん、絶対際限なく声おっきくなっていくからせつ菜ちゃん」

3:(茸) 2021/10/23(土) 13:43:41.69 ID:y3Me1vRS
せつ菜「ヨーグルトは牛乳を主成分とし、プリンはタマゴを主成分とし、プッチンプリンは乳製品と寒天を主成分としています。それに比べてゼリーの主成分がなんであるか、しずくさんはご存知ですか?」

しずく「どうしてプッチンプリンをプリンと別枠に扱うんですか?」

せつ菜「おや、知らないんですか?界隈ではプッチンプリンが厳密にはプリンではないということは、公然の事実ですよ?」

しずく「……へー」

歩夢 (あ、ちょっとイラッとしたときのしずくちゃんだ)

しずく「ゼリーの主成分は、それはまあ、ゼラチン…なんじゃないでしょうか」

せつ菜「そうなんです!ゼリーの主成分はゼラチンなんですよ!」

しずく「それがどうしたんですか?」

せつ菜「ゼラチンってなんですか!?」

4:(茸) 2021/10/23(土) 13:49:20.85 ID:y3Me1vRS
せつ菜「牛乳はわかります、タマゴもわかります。乳製品もまだわかりますけど、ゼラチンってなんですか!?」

せつ菜「なにをどうやってどうしてできたものがゼラチンなんですか!?」

せつ菜「牛乳もタマゴも素因数分解が完了した状態のものなのに、どうしてゼリーはゼラチンで止まってしまうんですか!?絶対素数ではありませんよね!?」

歩夢「せつ菜ちゃん、もしかして自然物のことを素数って言ってる?」

せつ菜「ゼラチンは山か海に行けば群生していてそのままゼラチンとして収穫することができるものなんですか!?そうだというなら私だって納得しますが、そうでないなら牛乳やタマゴと同列に語られても納得できませんよ!!」

しずく「せつ菜さんが勝手に持ち出してきて勝手に同列に語っているだけだと思いますけど…」

5:(茸) 2021/10/23(土) 13:58:14.55 ID:y3Me1vRS
せつ菜「もう間もなく今シーズンも佳境に入り、ポケモンティ・ホール問題にもいっそうの気合いを入れて臨むことを余儀なくされているこの頃」

せつ菜「それなのに、ふと私は気づいてしまったんです」

せつ菜「これ、なに食べてるのかわからない…と!!」ドドン…!!

歩夢 (たいして重要でもないことに擬態語を乱用するのやめてくれないかなぁ)

せつ菜「幼い頃から続けてきた習慣を継続することで忍耐力を培いたいと伝えてなんとか今日まで両親にポケモンゼリーを買ってもらっていますが、オレンジ果汁と砂糖以外にどんなもので構成されているのかもわからないものを食べ続けてきたのだと思うと悔しくて涙が止まりません…!!」

しずく「あ、せつ菜さんのこの思考を放っておいちゃいけなさそうですね」

歩夢「奇遇だね。私もなんとかしないとって、せつ菜ちゃんが大人になったとき惨めになる未来が垣間見えちゃった」

せつ菜「お願いします、歩夢さん!しずくさん!私にゼリーがなんなのか教えてください!!」

歩夢「わかった。いいよ」スッ

しずく (お料理のことだし、歩夢さんがその気になってくれたから早々にお話終わっちゃいそうだな)

7:(茸) 2021/10/23(土) 14:04:37.37 ID:y3Me1vRS
歩夢「ゼラチンって、要はコラーゲンのことだよ」

せつ菜「!!」

せつ菜「コラーゲン」

歩夢「コラーゲン」

せつ菜「………」

せつ菜 ムムム…

せつ菜「…コラーゲン……」

せつ菜「…」

せつ菜 きっ!!!

せつ菜「コラーゲンってなん

歩夢「動物性タンパク質!!!」

せつ菜「………っ!」パクパク…

しずく (きまったァっ!完璧なカウンター!!)

しずく (化学の知識はあっても、お料理の分野で考えを進めるとしたら、お世辞にもせつ菜さんは明るいとは言えない。暗い)

しずく (この話の流れでゼラチンを因数分解してコラーゲンと伝えたところで、『what's that !?』がもう一回飛んでくることは目に見えていた)

しずく (あえて素因数分解をおこなわずに隙を見せて、せつ菜さんの追撃を待ってからの完璧なカウンター!これでせつ菜さんにはもう…返す言葉が出てこない…!!)

10:(茸) 2021/10/23(土) 14:09:34.89 ID:y3Me1vRS
せつ菜「……ドウ、ブツ、セイ…タンパクシツ………」

歩夢「動物性タンパク質」

歩夢「これが、せつ菜ちゃんが知りたがってた答え。幼い頃から食べ続けてきたポケモンゼリーの正体だよ」

せつ菜「………っ…」

しずく (頭のいいせつ菜さんなら、そして、ここで理解する──)

歩夢「せつ菜ちゃん」

せつ菜 ビクッ……

歩夢「動物性タンパク質であるコラーゲンの作り方を、説明した方がいい?」ニコッ

せつ菜「ひっ……!!」ゾッ─

しずく (──これから先はあんまり聞かない方がいい感じの話に繋がることを!)

13:(茸) 2021/10/23(土) 14:16:01.98 ID:y3Me1vRS
せつ菜「…………っ……」

せつ菜 ギリリ……

せつ菜「……いえ、結構です。ありがとうございました、知りたかったことの答えに、…なりました」シュン…

歩夢「そう。よかったよ」

しずく (せつ菜さんにはつらい結果となっただろう)

しずく (幼い頃から大好きで食べ続けてきた、物心ついてからは趣味の一つとして関わり続けてきた、ポケモンゼリーというものの正体)

しずく (でも、これでよかったんですよね。歩夢さん)

しずく (ここで歩夢さんが導いた着地点は、あくまでも動物性タンパク質という答え。その先──いえ加工工程として後だけど──を深く知るかどうかは、せつ菜さんの判断に委ねられた)

しずく (もしせつ菜さんが一人で検索エンジンに向かっていたら、きっと悲劇は避けられなかったに違いない。せつ菜さんはゼリーというものを知り、そしてポケモンゼリーをキライになってしまっていたかもしれない)

しずく (これでもまだせつ菜さんの好奇心が彼女の脚を動かすのだとすれば、それがどんな結末に辿り着くか、覚悟を持って進むことができるだろう)

しずく (せつ菜さんは──救われた。歩夢さんの手によって)

歩夢 コクッ…

15:(茸) 2021/10/23(土) 14:22:16.19 ID:y3Me1vRS
歩夢「さあ、おしゃべりはおしまいにしようか。ファンミーティングも近いんだから練習しなくちゃ」

しずく「そうですね。他のユニットには驚かされてしまいましたけど、私達もとっておきの秘策が──」

せつ菜「待ってください!!」

しずく「…!」

歩夢「…なに?せつ菜ちゃん」

せつ菜「あと一つだけ、聞きたいことがあります…」

しずく「なっ…」

しずく (この話の流れで、まさか『金太郎のあらすじを思い出したい』などと無関係な質問はしてくるはずがない。十中八九、ゼリーの続き)

しずく (この人は踏み込むというの──動物性タンパク質の向こう側へ──!?そしてなによりも、それを歩夢さんの口から聞こうというつもり──!?)

しずく「歩夢さ──  バッ

歩夢「…うん、いいよ。なに?」

しずく「歩夢さん!!」

歩夢「大丈夫だよ、しずくちゃん。これもせつ菜ちゃんが望むことなら、私達には向き合う義務がある」

歩夢「大切なファンミーティングを前に、エースの心にしこりは残せないから」

しずく「…………っ…!」

17:(茸) 2021/10/23(土) 14:31:48.49 ID:y3Me1vRS
しずく「……わかりました」

しずく「私だって、不肖A・ZU・NAの一角を担う者」

しずく「歩夢さんが覚悟を決めたとおっしゃるのならば一蓮托生。私達は──三人でA・ZU・NAです」

歩夢「…ありがとう」

歩夢「さあ、聞くよ。せつ菜ちゃん」

歩夢「あなたの中に燻る疑問を受け止める、そして解き明かす覚悟が私達にはできているから」

歩夢「聞かせて。せつ菜ちゃんは、なにを知りたいの?」

せつ菜「恩に着ます」

せつ菜「それでは、教えてください」

しずく ゴクリ……

歩夢 …コクン

せつ菜「すなわち、ゼリーは赤の食べ物ということでいいですか──?」キッ…

18:(茸) 2021/10/23(土) 14:36:16.48 ID:y3Me1vRS
歩夢「………!」

せつ菜「……」ドキドキ…

しずく (動物性タンパク質の向こう側じゃなかった。それはよかった。すごく喜ばしいこと)

しずく (だけど、打って変わって)

しずく「赤の、食べ物…」

しずく (これは結構難しい質問、だわ)

しずく (これまでのお話を総合して考えれば、結論としては『赤の食べ物』ということになる、と思う。でも、感覚としては全然頷けない)

しずく (どうなんだろう…ゼリーは赤の食べ物なんですか?歩夢さん…) チラッ…

歩夢「…………?」アセアセ

しずく「……!!!」

しずく (しまった──)

しずく (もしかして歩夢さんは、『えいようのうた』をご存知ではない…っ!?)

21:(茸) 2021/10/23(土) 14:42:53.26 ID:y3Me1vRS
『えいようのうた』

それは、一部の地域で主に幼稚園・保育園、および小学校で栄養教育の一環として用いられる教材曲。

食品を栄養素の面から赤・黄・緑に分類し、それぞれの役割と属する食べ物を歌詞に仕立て上げたとてもわかりやすく耳に残る曲だ。

関東圏にお住まいの方はヨドバシカメラのCMソングを思い出してもらえるといい、リズムはそれ。

『えいようのうた』を知らない人に歌って聞かせると大概「ヨドバシの曲やんw」と返ってきて複雑な気持ちにさせられる地雷文化でもある。

しかし小さな頃から馴染んだ者にとっては、この曲はもはやバイブルの域に達しているといってもいい。

自分の食生活を振り返るとき、ひとたびこの曲を歌えばいとも簡単に「食べ過ぎているもの」「不足しているもの」が浮き彫りになる。

知らない人はぜひ『えいようのうた 体をつくるのなんでしょう』で検索して、知見としてほしいくらいです。

22:(茸) 2021/10/23(土) 14:49:18.12 ID:y3Me1vRS
しずく (わかったことが二つ)

しずく (一つ、せつ菜さんは幼少期から『えいようのうた』に触れて育ってこられた。ゆえに、自身の栄養管理の拠り所として当然に「赤・黄・緑の食べ物」という枠組みが前提にあること)

しずく (そしてもう一つ、これは致命的──歩夢さんが『えいようのうた』に触れずに育ってこられたということ…!)

しずく (せつ菜さんがポケモンゼリーを食べ始めたのは、美味しかったから。ポケモンが好きだったから。きっとそんな些細な理由に違いない)

しずく (だけど、主成分を気にしているということは、ゼリーが自分の食生活に必要なものであるかどうかを判断しにかかったということ)

しずく (ゼリーの正体が思ったより嬉しくて楽しいものではないとわかった今、自分の食生活にとって必要ではないと明らかになれば、きっとせつ菜さんはポケモンゼリーを食べるのをやめてしまう…!)

24:(茸) 2021/10/23(土) 14:55:46.55 ID:y3Me1vRS
しずく (まあそれは実際どうでもいい)

しずく (高校二年生にもなって理由をつけてまで親に買わせて──しかもたぶん相当な頻度で──ポケモンゼリーを食べるような習慣自体は、まあなくなってもいい。なくなった方がいいかもしれない)

しずく (だけど、だけど…)

しずく (深く考えるまでもなく、ポケモンゼリーはせつ菜さんにとって『大好き』なことに違いない)

しずく (ちょっと痛々しいとかその程度の理由で失ってもいいんじゃないと切り捨てるのが難しいほどには、せつ菜さんの価値観の軸を形成している)

しずく (それならばせめて、せめて正しい答えを差し出したい。そのうえでせつ菜さんがポケモンゼリーを手放すとしても、よくわからないまま『大好き』なものに別れを告げさせるよりはよっぽどいい)

しずく (でも、肝心の歩夢さんは『えいようのうた』を知らない。知ってる私には見識が足りない)

しずく (どうしたら──どうしたらいいの──)

25:(茸) 2021/10/23(土) 15:01:09.98 ID:y3Me1vRS
歩夢 (………赤の食べ物って、なに…?)

歩夢 (リンゴとかイチゴとか、そういうこと?バナナが黄色い食べ物というか、マジカルバナナみたいな話?)

歩夢 (それはもう食べてるゼリーによるとしか言えないんじゃないかと思うけど、っていうかそれは食べてるせつ菜ちゃんが一番よくわかるんじゃないの?私ポケモンゼリー知らないし!)

歩夢 (いやそもそもオレンジ果汁って言ってたよね?だったらたぶん黄色いんじゃない?赤ではないでしょ…オレンジはオレンジでもブラッドオレンジとかってこと…?そんな昔からブラッドオレンジなんか流行ってたかな!?しかも子ども向けのゼリーで!?)

歩夢「………」

歩夢 (色を気にする必要ある!!!??)

27:(茸) 2021/10/23(土) 15:07:50.69 ID:y3Me1vRS
歩夢 (一体どういうことなの…?)

せつ菜「…」キリッ…

歩夢 (でも、とても適当な質問をしてきたようには見えない。この答えがせつ菜ちゃんに重大な決断をさせる、そう予感するのに決して不足しない瞳の圧…)

歩夢 (……いや待って。なにも一人で考える必要はないんだよ)

歩夢 (私にはしずくちゃんがついてる。さっき私があなたを支えてあげたように、今度はあなたが私を支える番。私には、あなたがいる──!) チラッ

しずく「…………」ス

歩夢「…!?」

歩夢 (目を、逸らされた…?どうして……?)

歩夢 (一緒に考えようよ、一緒に乗り切ろうよ!この窮地を!私達は三人でA・ZU・NAだって、そう言ってくれたじゃない!力を貸してよ!しずくちゃん!)

28:(茸) 2021/10/23(土) 15:14:16.48 ID:y3Me1vRS
しずく (いいえ、わかっている。本当はなにもかもわかっているんです。この窮地を脱する方法)

しずく (『えいようのうた』を知る私には見識が足りず、見識を持つ歩夢さんは『えいようのうた』を知らない)

しずく (どちらかが足りないものを得ることでいとも容易くこの状況を打破できて、かつどっちの方が簡単であるかは明白)

しずく (つまり、私が歩夢さんに『えいようのうた』を教えればいいだけだ)

しずく (──でも、それはできない)

しずく (『えいようのうた』は、文字通り、歌。これを正しく伝えるには、そう、歌うしかない)

しずく (私がこの場で高らかに『えいようのうた』を歌い上げれば歩夢さんには「赤の食べ物」の概念が伝わり、きっとその持ち前の見識で正しい答えを導いてくださるだろう)

しずく (でも、──それはできない──っ)

しずく (なぜなら──なぜなら──)

しずく (あの曲、知らない人に歌って聞かせるのすごく恥ずかしいんだもん…!!)

30:(茸) 2021/10/23(土) 15:22:23.74 ID:y3Me1vRS
しずく (『えいようのうた』は必修教材じゃないらしい)

しずく (あの曲が持つ要素を思うと教材として採用しない理由がわからないくらいだけど、それは厳然たる事実)

しずく (現に、中学校でなんとなくそんな話になって『えいようのうた』を口ずさんだ私はひどく後悔した。なぜならクラスメイトの誰も『えいようのうた』を知らなかったから)

しずく (私だってテレビくらい観るもの。ヨドバシカメラのCMは何度も観たことがあるし曲だって聞き馴染んでる。だから曲調が同じであることくらいよくわかってるよ)

しずく (だからって、あんまりじゃない──ヨドバシカメラがバカほど大好きで勝手に替え歌まで作った女、『ヨドバカ』なんてあだ名!あんまりだよ!!)

しずく (クラス替えまでの一年間、私がどれだけそのあだ名に苦しんだかわかる!?)

しずく (クラス替えしてからは持ち前の演技力で乗り切ることに思い至って、呼ばれても無視して話題が出るたびに無言で友達の肩をどついてなんとかあだ名を払拭できた)

しずく (それからは万に一つもそのあだ名を知ってる人と出会いたくなかったから、こんな遠く離れたニジガクまで通ってるっていうのに!通学定期の金額を聞いたお母さん達がどんな表情をしたかわかってるの!?)

33:(茸) 2021/10/23(土) 15:29:07.49 ID:y3Me1vRS
しずく (いやだ──『えいようのうた』を歌ったら、きっと歩夢さんも『え、やば…』みたいなカオするに決まってるんだ)

しずく (だから私、高校に入学してからは一度も『えいようのうた』を口ずさまないようにしてきたのに)

しずく (『えいようのうた』を口ずさんだら、またあの頃に逆戻り……本当の自分をさらけ出すのは、怖いよ…)

歩夢「…しずくちゃん」ソッ

しずく「!」ビクッ

しずく (まさか私、無意識に『えいようのうた』を口ずさんでた…!?いやだ、歩夢さんに嫌われちゃう…!)

歩夢「そんなに怯えないで。私、今、しずくちゃんの力が必要なんだよ」

しずく「私の、力が…?」

歩夢「うん」

歩夢「はっきりとはわかんないけど、しずくちゃん、たぶん『赤の食べ物』がなんなのか知ってるんだよね?でもそれを私に伝えることで、なにかよくないことが起こっちゃうって思ってるんでしょ?」

34:(茸) 2021/10/23(土) 15:35:34.48 ID:y3Me1vRS
歩夢「でもね、勇気を出してほしいの」

歩夢「今しずくちゃんがその勇気を出すことは、せつ菜ちゃんを救うこと。そしてA・ZU・NAを救うことに繋がるんだよ」

しずく「……!」

歩夢「大丈夫。どんなことがあっても、私はしずくちゃんのことをキライになったりバカにしたりしないよ。しずくちゃんのありのままを受け止める」

歩夢「私は桜坂しずくのこと、大好きだから」ニコッ─

しずく「あゆむ、さん…!!」

しずく (ああ──私はバカだ。ヨドバカだ)

しずく (いや、ヨドバカでは絶対にない。ただのバカだ)

しずく (私はこれまで一緒に活動してきて、歩夢さんのなにを見てきたのだろう。この人が誰かをバカにしたり正当な理由なく嫌ったりするなんてこと、有り得ないのに。わかってたはずなのに)

しずく (小さな保身に走って、大切なものを全てなくしてしまうところだった)

しずく (歩夢さんが『えいようのうた』を知ることで、せつ菜さん──ううん、A・ZU・NAが。歩夢さんと私までもが救われる)

しずく (それなら、なにを臆することがあるの!勇気を出せ!今、みんなを救えるのは私しかいない──!)

36:(茸) 2021/10/23(土) 15:42:41.04 ID:y3Me1vRS
しずく (『えいようのうた』を歌うことは、恥ずかしくないなんかない。それで歩夢さんに嫌われるなんてことも絶対にない。だから!)

しずく (せつ菜さん自身に歌わせても悪いことは全くない────!!!)

しずく「せつ菜さん、教えてもらうばかりでは成長がないと思いませんか?」

せつ菜「え?それはそうですが、しかし…」

しずく「一緒に考えてみましょうよ。ほら、まずは『えいようのうた』を歌ってみるんです。口に出すことで自分の理解も深まるというものですよ」

せつ菜「なるほど!それは妙案です!さすがしずくさん!!」

歩夢「『えいようのうた』?」

せつ菜「それでは僭越ながら優木せつ菜、歌います!『えいようのうた』!」

せつ菜「♪体をつくるのなんでしょう、それは『赤の食べ物』よ お肉に魚に豆・タマゴ、牛乳・小魚・海苔・ワカメ!」

歩夢「ええ………」


それからしばらくの間、歩夢はせつ菜とヨドバシカメラの近くを歩きたがらなかった。

ちなみにゼリーの主成分はコラーゲン、すなわち動物性タンパク質であるため、やはり「赤の食べ物」に分類されるらしいことが歩夢の口から語られた。



終わり

39:(茸) 2021/10/23(土) 15:49:07.55 ID:y3Me1vRS
突発的に衝動で書いたシリーズです
時間があれば、ぜひ


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引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1634963530/





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