穂乃果(24)「ありがとうございました、またのお越しを~!」【長編SS】

AqoursーSS


387: 2020/07/04(土) 12:36:00.49 ID:VfFuUysO
第5章「あの日その時この場所で」

ブロロロロッ…

「はーい、みなさん!今回のツアーのガイドを務めさせていただきます私!はっちゃけお姉さんです!」

ガッハッハッハッハッ

秋穂「……」

果南「……あのさ高坂さん」

秋穂「ん?あぁ、秋穂でいいよ」

果南「そう?なら秋穂…マリーも言ってたけど今回、少しでも危険だと感じたら直ぐに逃げるんだよ?」

秋穂「……うん、わかってる」

果南「……何か行く目的があるの?」

秋穂「目的っていうか…」

秋穂「……もしかしたら、会えるかもしれないから」

果南「誰に?」

秋穂「………」

果南「……?」

388: 2020/07/04(土) 12:39:22.01 ID:VfFuUysO
キッ

ガイド「みなさん着きましたよ~!!ここが“あいどるランド”です!」

ゾロゾロ…

ガイド「では、ここからは一旦自由行動ですので!皆さんお好きなアトラクションへどうぞ!」

ガイド「正午に再度集合願います!」

果南「正午まで時間あるね…私たちはどうする?」

秋穂「……寝たい」

果南「へ?」

秋穂「朝早かったから眠いんだよぉ…」

果南「そ、そう?えっと…どこかにベンチは…」

389: 2020/07/04(土) 12:41:28.92 ID:VfFuUysO
秋穂「……Zzz」

果南「(マイペースな子だなぁ…)」

果南「はぁ~、暇だなぁ~…」ボー

果南「ん?」


「さっきの乗り物超楽しかったなぁ!!」

「おーおーおー!」ポイッ

カンカラッカラカラ…


果南「ポイ捨て……っ、ここは人生の先輩として一言ガツンと……」

果南「って、え?」


サッサッサッ、ガシャン

「………」


果南「……(清掃員の人かな?……仕事早いなぁ……)」


「………」ジッ


果南「(えっ…なんか見られてる?)」

秋穂「……ムニャ」ゴロンッ

果南「あ」

ドサッ!!

秋穂「ぐえっ…!?」


「…あっ」サッ!!!


果南「あ、逃げた……何なんだろ?」

390: 2020/07/04(土) 12:43:43.43 ID:VfFuUysO
果南「よいしょっと…」

秋穂「ん~…Zzz…」

トサッ

果南「ふ~…しかし、ベンチから落ちてよく起きないなぁ…」

秋穂「……ふふっ……Zzz……」

果南「…結構大人びた子なのかと思ってたけど」

秋穂「ムニャムニャ……うふふ、海未おばちゃん……♪」

果南「クスッ…割と子供っぽいところもあるのかな」

391: 2020/07/04(土) 12:46:41.19 ID:VfFuUysO
ユサユサ…

秋穂「うぅ……んぅ……?」

果南「起きて秋穂、時間だよ?行こ」

秋穂「はぁい……」クシクシ

果南「シャキっとしなよ~?むしろ今からがメインなんだから」

秋穂「うぅん…そうだね…よし、行こうか…」

果南「うん」

果南「(……寝言は聞かなかったことにしよっか)」

392: 2020/07/04(土) 12:50:11.33 ID:VfFuUysO
ガヤガヤ

ガイド「はい!では、お次は皆様をバーチャルアトラクションへとご案内させていただきます!」

果南「これだ、多分…このアトラクションに何か秘密が」

秋穂「………」

ガイド「スクリーンに注目です!」

ガイド「今から悪の団体、史上最低のチーム、ホノカ一派の紹介を立体映像を交えて説明していきます!」

秋穂「……!!」

秋穂「……っ、こんな事だろうと思った」

果南「でも何か掴めるかもしれない…耐えて」 」

秋穂「……わかってるよ」

果南「(……ホントにわかってるのかな)」

393: 2020/07/04(土) 12:53:29.58 ID:VfFuUysO




ガイド「さて、お次は絢瀬絵里! 通称エリーチカ!」

ブワンッッ!!

「うわああああぁぁ!!!」

ガイド「この冷酷な目…如何にもテ口りストですね」

秋穂「」プルプル

果南「……耐えて」

秋穂「……」コクッ

ガイド「つい先日までは収監されていたようですが……現在は脱走、アメリカ国内に潜伏中との事です!」

秋穂「!!」

ガイド「怖いですねぇ~!もういっそ〇してしまえば!と思いますね!」

果南「よかったね…もうすぐ来てくれるかもしれないよ?」

秋穂「……うん」

秋穂「(絵里おばさんが…来てくれる)」

394: 2020/07/04(土) 12:57:12.82 ID:VfFuUysO
ガイド「最後はこの…世紀の大悪人!!」

ガイド「高坂穂乃果!!!」

ブワンッッ!!

「うわあああぁぁぁ、ひいいいぃぃ!!!!!」

秋穂「…………」ワナワナ

果南「…………」

ガイド「世界を滅亡へと追いやろうとした……悪魔です!!!」

ブーブーブーブーブー!!

秋穂「……ッ」ギリギリ

秋穂「……ッッッ」グシャッッ

果南「こらこら、そんなに噛んだら唇切れるよ…」

果南「制服も破れちゃうし…」

秋穂「わ…か…って…るぅ…よぉ…」

果南「(……この子、やっぱりわかってない!)」

395: 2020/07/04(土) 13:00:09.09 ID:VfFuUysO
ガイド「続きましては、予てより検討されていました“あいどる”のイメージソングについて」

ガイド「作詞・作曲を担当するのは現在も一線でご活躍中のハターキ先生に決定しました!」

「いえええええぇぇぇぇい!!!」

ガイド「ハターキ先生は今回ご自身で初作曲との事で“あいどる”も『偉大なるお方、楽しみです』と期待を寄せています!」

ガイド「続きましては……」





ガイド「ではみなさん!明日に備えて、今日はおやすみなさい!グッバイ!」

ゾロゾロゾロ…

果南「とりあえず、マリーには私から連絡しておくよ」

秋穂「……うん」

ガイド「おっとその前に!スマホなどの貴重品はこちらでお預かりさせていただきます!」

果南「………」

秋穂「………」

ガイド「さぁ!こちらのボックスに!!」

ワイワイワイワイ…

秋穂「どうするの…?」

果南「まぁ…大丈夫だよ…」

396: 2020/07/04(土) 13:05:54.34 ID:VfFuUysO
~理事長室~

果南『うん…うん…そう』

果南『絵里さんが生きてる事はわかった……今はアメリカにいるらしいよ』

鞠莉「そう……それはよかったわね、希さんと海未さんも喜ぶことでしょう」

果南『ただ…みんなについての有益な情報は得られなかった…』

鞠莉「……まだ明日がある、何か絶対に」

果南『そうだね、明日……うわっ!?ちょ、いやっ……!』ブツンッ

鞠莉「え、果南!?ちょっと果南!返事なさい!!」

プープープー

鞠莉「………」サァー

鞠莉「これは…もしかしたら…ヤッバイかもね…」

397: 2020/07/04(土) 13:09:11.00 ID:VfFuUysO
~ホテル自室~

果南「うっ…」

ガイド「ダメですよ松浦さん!」ニッコリ

ガイド「スマホ類は預かるって言ったじゃないですかー!では研修期間しっかり預かっとくので!グッバーイ!」スタタタタタタタタ

キィ、バタンッ

果南「………」

果南「って…えぇ?なんで電話してる事が分かったの…?電波…?」

果南「もしかして監視カメラ?」

果南「そうだ、監視カメラだ…!まずい、秋穂にも伝えなきゃ」

果南「でも、秋穂の部屋は別棟だから一回外に出ないとダメか…」

398: 2020/07/04(土) 13:12:50.69 ID:VfFuUysO
果南「早く早く…!」タッタッタッ

「脱走者発見ッッ!!!」

果南「!?」

果南「(まずい!隠れないと!)」サッ!


女子高生「キャア!!」

ガイド「もう逃げられないわよ」ニッコリ

女子高生「やめて!離して!」

ガイド「大丈夫よ!大人しくしなさい」ニッコリ

女子高生「やめっ…!うっ…」バタッ


果南「(眠っちゃった……あの子にいったい何をする気なの?)」


ガイド「ボーナスステージ!1名追加です!」ニッコリ

職員1「サンキュー!」
職員2「サンキュー!」
職員3「サンキュー!」
職員4「サンキュー!」


果南「(ボーナスステージ…?)」

399: 2020/07/04(土) 13:15:45.26 ID:VfFuUysO
ガイド「・・・」チラッ

果南「うっ…!」

果南「(し、しまっ…嘘ッ…!目…あっちゃった…!)

ザッザッ

果南「(こっちに来てる!!うっ……どうしよう……応戦する?でもそんな騒ぎ起こしたら……)」

果南「(誰か…誰か助けて…!)」

ザッ

果南「……~~!」

「………」

トントン

果南「えっ?」クルッ

フッ…

果南「あっ……えっ……こ……Zzz……」 バタッ

「………」

スッ、サササッ…

400: 2020/07/04(土) 13:26:00.68 ID:VfFuUysO
ズル…ズル…ズル…

果南「スー…スー…」

「……はぁはぁ」

「」キョロキョロ

ガチャリ

秋穂「待って!!」

「」ビクッ!!

秋穂「その人をどうするつもり?」

「!……っ」プイッ

秋穂「……ッ!!」

秋穂「あなた…もしかして…」

「ち、違う!私は違うよ…!全然違うから…!」

秋穂「この声…やっぱりそうだ…花陽おばさん…だよね?」

花陽「……!!」

花陽「……わ、私……私は……花陽おばさんじゃ……ないから!!」

秋穂「やっぱり……花陽おばさんだ!!」

401: 2020/07/04(土) 13:29:25.99 ID:VfFuUysO
スタスタスタ…

花陽「………」

秋穂「花陽おばさん」

花陽「………」

秋穂「ねぇ!花陽おばさん!」

花陽「………」

秋穂「…ッ!ねぇってば!!!」

花陽「わ、私は花陽じゃないから!人違いだから……早く……か、帰りさない!」

秋穂「……嘘ばっか」

402: 2020/07/04(土) 13:31:10.42 ID:VfFuUysO
スタスタスタ…ピタッ

秋穂「……?なんで止まるの?」

花陽「……はぁ」

秋穂「何もないよ?」

秋穂「上も、下も、右も、左も…壁!壁!壁!壁っ!」

秋穂「なんでこんなところに?」

花陽「」コンコンコンコンコンッ

秋穂「……?なにやってるの?ドアじゃないよ?そこ、壁だよ?」

ギィ…

秋穂「わっ…壁に隠し扉が!?」

花陽「」スタスタ

秋穂「あ、ま、待って…!」

403: 2020/07/04(土) 13:36:27.56 ID:VfFuUysO
ザッ…!

「お帰りなさい!リーダー!」

秋穂「り、りーだぁー?」

花陽「ただいま」

花陽「先にこの子をお願い、向こうで寝かせといてあげてくれるかな」

果南「ん…んぅ~…」

「了解しました!」

秋穂「……ここって、花陽おばさんの秘密基地?」

花陽「だから…私は花陽おばさんじゃ…!」

秋穂「…っ、あっそう!違うんだ!じゃあ、あそこに飾ってある写真はなに!?」

花陽「!!」

秋穂「昔のμ'sの写真…あれ、メンバー以外は持ってないはずだよねっ!!」

花陽「……ッッ!」

404: 2020/07/04(土) 13:40:19.72 ID:VfFuUysO
ダダダダダダッ…!

秋穂「……ん?」

花陽「あっ……」

ダキッ!

凛「かーよちん!おかえり~!」

花陽「あ…ちょ、ちょっと凛ちゃん…!」

凛「んにゃ…?」

秋穂「り、凛おばちゃん……」

凛「あ、あれ…?もしかして…」

にこ「花陽~…あんた、帰ってるなら言いなさいよねぇ…」

にこ「ったく、なんであんな子連れてきたのよ…って」

秋穂「に、にこおばちゃんまで…」

にこ「あっ…秋穂…?」

花陽「~~~!!……はぁ、うぅ……」

にこ「花陽?な、なんで秋穂を連れてきたのよ!?」

秋穂「ほら、やっぱり…花陽おばさんなんじゃん…」

405: 2020/07/04(土) 13:44:07.80 ID:VfFuUysO
秋穂「なんで…しらを切るの?」

花陽「………」

秋穂「花陽おばさん…私ずっとおばさんのこと!」

凛「ま、待って!秋穂ちゃん!」

秋穂「……凛おばちゃん達は隠したりしないのに!なんで花陽おばさんは!」

凛「ち、違うんだよ…秋穂ちゃん!かよちんの話、聞いてあg…」

にこ「…凛」

凛「にゃ?な、なに?どうしたのにこちゃん?」

にこ「……花陽は多分、話す気ないわよ」

秋穂「……なんの話?」

凛「でも!ちゃんと話さないと秋穂ちゃんにも伝わらないよ?」

凛「伝わらないままなんて、秋穂ちゃんもかよちんもかわいそうだよ…」

にこ「……いいわ秋穂」

秋穂「えっ、なに?にこおばちゃん」

にこ「私から話すわ」

406: 2020/07/04(土) 13:47:34.20 ID:VfFuUysO
にこ「いいでしょ?花陽」

花陽「………」

にこ「…っ、まぁいいわ」

にこ「単刀直入に言うと、花陽はあんたに会いたくなかったのよ」

秋穂「…え?」

凛「ちょ、ちょっとにこちゃん!」

花陽「………」

にこ「…いいから聞いてなさい」

秋穂「な、なんで?私は…おばちゃん達と会えて嬉しいよ…?すごく安心もしたし…」

にこ「勘違いしないで。別に花陽はあなたが嫌いだから会いたくなかったわけじゃない」

秋穂「どういうこと…?」

にこ「…心配なのよ、花陽は」

407: 2020/07/04(土) 13:50:48.66 ID:VfFuUysO
にこ「あの血の大晦日で穂乃果が…あぁなったのは自分のせいだって」

秋穂「そんな…!花陽おばさんは全然悪くないよ!悪いのは…そう、“あいどる”だよ…」

凛「秋穂ちゃんあのね…かよちんは昔、穂乃果ちゃんと同じユニット組んでたりもして、人一倍穂乃果ちゃんに対して思い入れがあるんだ」

にこ「ましてや花陽の性格で、あの事に負い目を感じないわけがない」

秋穂「………」チラッ

花陽「……ッ!」サッ

秋穂「……そっか」

凛「だからね、ここで秋穂ちゃんに何かあったら…って、かよちんは考えちゃうんだと思う…すごく心配なんだと思う」

秋穂「………」スタスタ

にこ「秋穂…?」

秋穂「………」ピタッ

花陽「うっ…」クルッ

凛「……!秋穂ちゃんお願いにゃ!かよちんを許してあげて!」

秋穂「………」

花陽「~~!」

408: 2020/07/04(土) 13:54:51.00 ID:VfFuUysO
ギュッ

花陽「……え」

秋穂「……」ニコッ

秋穂「さっきも言ったじゃん…。私、花陽おばさんの事…本当に恨んでなんかいない…」

花陽「………」

秋穂「今日、会えて良かったと思ってる…。凛おばちゃんにもにこおばちゃんにも」

秋穂「花陽おばさん…。全然負い目なんか感じなくていいんだよ…そんなこと…」

花陽「……っ」プルプルッ

秋穂「………ありがとう、私のこと想ってくれてて」

花陽「!」

クルッ

秋穂「あっ…」

ダキッ!

花陽「私も……私も本当は、ずっと会いたかったよぉ…!」

花陽「ずっと…ずっとずっとっ!!」

花陽「ごめんね…ごめんね!秋穂ちゃん…!!」

ギューー!!

秋穂「…うん、全然、平気だよ…」


にこ「ふぅ、まったく、世話焼かせるんだから…」

凛「グスッ、うんうん…流石にこちゃんにゃ…凛、感動しちゃったよぉ…」

409: 2020/07/04(土) 14:02:26.29 ID:VfFuUysO




花陽「少しでも穂乃果ちゃんの穴を埋めるようと思ってリーダーを引き受けたんだけど…」

花陽「やっぱり私なんかじゃ全然で…本当はにこちゃんが適任だと思うんだけど…」

にこ「バカ言わないで。あんたが作ったグループなんだからあんたがリーダーよ」

にこ「それに…私はここにいる時間も短いんだし」

凛「みんながまとまってやっていけてるのはかよちんのおかげだと思うけどな~」

凛「だから、うん!やっぱりかよちんが適任!」

花陽「え、えぇ~、そうかな…」

秋穂「ふふっ…流石だね」

花陽「あ、ありがとう…」

410: 2020/07/04(土) 14:10:59.83 ID:VfFuUysO
花陽「……あのね、秋穂ちゃん。これは秋穂ちゃんを子供扱いしてるから言うわけじゃないんだけど……」

秋穂「ん…?」

花陽「これ以上はダメ、今すぐ帰った方がいい」

秋穂「え、な…なんで?」

花陽「それは…」

ゴソッ…

花陽「…!」

果南「うっ…」

にこ「起きたみたいね」

凛「大丈夫だった?」

果南「え、あっ…は、はい……あの、ここって……」

秋穂「花陽おばさんが助けてくれたの」

果南「花陽おばさんって…」チラッ

花陽「…おはよう」ニコッ

411: 2020/07/04(土) 14:16:06.58 ID:VfFuUysO
果南「あっ、μ'sの…」

秋穂「それで、花陽おばさん…帰った方がいいってどういうこと?」

秋穂「いったいここには何があるの?」

花陽「……」

花陽「……ボーナスステージ、あそこに行ったら最後だよ」

秋穂「ボーナスステージ…?」

にこ「あんた達、研修生としてここに来てるんでしょ?」

秋穂「うん、まだ1日目だけど」

にこ「なら、明日にでも見極めされるわね」

果南「見極め?」

にこ「なんて事無いわ、ただμ'sのメンバーをVRゲームで〇してポイントを取るシンプル極まりない遊び」

果南「うっ…」

凛「なんて事ある気がするけど…ほんと酷すぎだにゃ!」

花陽「ゲームとはいえ……秋穂ちゃんに穂乃果ちゃんを撃ってほしくはないから」

にこ「……というより、撃てないでしょ?」

花陽「……だからここにいても、もう意味は無いんだよ?」

秋穂「………」

412: 2020/07/04(土) 14:22:43.57 ID:VfFuUysO
にこ「ボーナスステージに行けば、あんた達の知りたい情報も何か掴めるかもしれないわ」

果南「(…なら!そこに行けばAquorsについても何か…)」

花陽「……ここに入ったら必ず“卒業”しないといけない。絶対に見極めはさせられるけど…安心して、ボーダーを下回れば、その時点で“卒業”、帰れるよ」

凛「わざわざゲームをやる必要は無いってことにゃ」

果南「………」チラッ

秋穂「……わかったよ」

花陽「うん、わかってもらえてよかった…」

果南「(まぁ、そりゃそうだよね……)」ガクッ

にこ「・・・」

414: 2020/07/04(土) 15:27:58.80 ID:VfFuUysO




ギィ…

花陽「じゃあ、海未ちゃんや希ちゃんによろしくね」

凛「凛たちは元気だってねー!」

秋穂「うん、ちゃんと伝えとく」

秋穂「……じゃあ、また」

花陽「うん、気をつけてね」

秋穂「うん…」クルッ

スタスタスタ…

花陽「……大きくなったんだね」

凛「そうだね~、昔はあんなに小さかったのに…」

にこ「……花陽、あの子」

花陽「ん?」

にこ「……いや、やっぱりなんでもないわ」

花陽「……?」

415: 2020/07/04(土) 15:30:23.33 ID:VfFuUysO
スタスタスタ…

秋穂「松浦さん…」

果南「あっ、今更だけど私も果南でいいよ?」

秋穂「そっか、ねぇ果南さん」

秋穂「私、ボーナスステージに行くよ」

果南「えっ!?」

果南「でも花陽さん達に…」

秋穂「花陽おばさんはああ言ってくれたけど…私、手ぶらで帰る事なんて出来ない」

秋穂「理事長と約束したしね」

秋穂「それに花陽おばさん達に頼ってばっかりじゃダメだと思うし…」

果南「秋穂…」

秋穂「見極めだっけ……とりあえずそこで目に止まらないと話にならないけど」

果南「そうだね……」

秋穂「はぁ……」

秋穂「憂鬱だなぁ…」

果南「え?」

419: 2020/07/05(日) 12:20:19.40 ID:GMUchzye
-翌日-

バキュン、バンッ、バンバンッ!!

ピンポーン!

ガイド「素晴らしいですね二人とも!」

ガイド「高坂さんに松浦さん、過去最高得点を叩き出して、1.2フィニッシュでしたね!」

秋穂「……っ」

ガイド「では、今回の成績優秀者達をボーナスステージへとご案内します!」

ガイド「サンキュー!!」

「サンキュー!」「サンキュー!」「サンキュー!」

ガイド「ではボーナスステージ行きのチケットを掴んだ皆さんは私についてきてください!」

420: 2020/07/05(日) 12:22:19.06 ID:GMUchzye
ザッザッザッ…

果南「……よく出来たね?」

秋穂「あんなの、穂乃果おばちゃんじゃないもん…」

秋穂「穂乃果おばちゃんや絵里おばさんを悪者に仕立て上げようとする連中が作り上げた偽物」

果南「……そっか」

果南「(それがわかってても、やっぱり機嫌は斜めなんだね…)」

秋穂「……ボーナスステージ、何があるんだろう」

ザッ

果南「!」

ガイド「つきました!ここからはボーナスステージへの切符を掴んだ者だけが踏み入ることの出来るゾーン!意気に感じてくださぁい!」

421: 2020/07/05(日) 12:24:52.89 ID:GMUchzye
ガイド「こちらのヘッドギアをお付けください」

果南「な、なにこれ…?」

カチャカチャ…

ガイド「……ふふっ」

ガイド「準備はいいですね!?」

秋穂「………」

ガイド「あなた達は今から凄いものを観れる……いや、拝めるのよ!」

ビリッ……ビリビリ……!

秋穂&果南「…っ!」

ガイド「途中、何があっても勝手に退場しようとしないでくださいね!」

果南「……だ、大丈夫なのこれ?」

ガイド「ではお二人様を、夢の国に……ごあんなーい!!」

職員「あんなーい!」
職員「あんなーい!」

ガイド「ポチッと!」

秋穂「うっ…!」

果南「ぐっ…!」

グルッ!!ギリリリリリ!!ギュルルルル!!ギュルン!!

422: 2020/07/05(日) 12:27:59.36 ID:GMUchzye




果南「う…うぅ…」

果南「ここ…は…?」

果南「あれ、秋穂は…」キョロキョロ

果南「いない…連絡取らないと…」

果南「…あっ、そういえばスマホ返してもらってない…」

果南「……見慣れない場所だけど」

果南「どこなんだろう、ここ?」

フッフッ、ハッハッ…フッフ、ハッハッ…

果南「……?」

果南「何の音?」

423: 2020/07/05(日) 12:31:17.80 ID:GMUchzye
【黄金米・GOHAN】

穂乃果「えへっ、あはは!」

花陽「わ~!!!!」

花陽「ハッ……んん……!!」ブンブンッ

穂乃果「へへ、ふふふ!!」

花陽「うぅ~!」ブンブンッ

花陽「穂乃…!」

タタタタタタ

パシッ

花陽「ふぇっ!?」

穂乃果「へ?」

果南「ちょっと来て!!」

花陽「えぇっ!?ちょっと…!だ、誰か…タスケテー!!」

・ ・ ・

穂乃果「……ありゃ~、行っちゃった……花陽ちゃんの知り合いなのかな?」

424: 2020/07/05(日) 12:36:18.23 ID:GMUchzye
花陽「はぁ…はぁ…」

果南「あの…花陽さんですよね?」

花陽「えっ、そ、そうです…けど…」

果南「よかった~、知り合いに会えて~」

花陽「知り合い…?あれ?私たちどこかで…?」

果南「なに言ってるんですか?昨日お会いして…」

花陽「昨日!?昨日は私…練習してたから多分、会ってないと思うけど…」

果南「あの!そこよりここってどこなんですか?花陽さんもなんか…若返った?」

花陽「えっ?どこってここは…音ノ木坂です」

果南「音ノ木坂…?ん?」

果南「え、えっとぉ…花陽さん今おいくつですか?」

花陽「…じゅ、15歳です」

果南「15歳…?」

花陽「はい…15歳…」

果南「(あれ…ってことはここは…2010年…?)」

果南「……これが、ボーナスステージ?」

花陽「……?」

425: 2020/07/05(日) 12:40:39.29 ID:GMUchzye
花陽「あの、私そろそろ行かないと…ダイエ…ランニングの最中なので…」

果南「あっ…ご、ごめんなさい」

花陽「し、失礼します…」

果南「(ま、マズイ!このまま私一人で行動しても何もわからない…!せっかく秋穂のおかげで来れたんだし、何か情報を手に入れないと…!)」

果南「あの!良かったら付いて行っていいですか?」

花陽「え?」

果南「そ、その…μ'sの練習風景とか見たくて…」

花陽「……え、えっと……うん、いいと思います。みんな良いって言うと思う……」

果南「ありがとうございます!」

426: 2020/07/05(日) 12:47:43.26 ID:GMUchzye
海未「花陽はどうしたんですか?」

穂乃果「なんか知らないお姉さんに連れて行かれてたよ?」

海未「知らないお姉さん?」

希「それ、花陽ちゃん大丈夫なんかなぁ?」

にこ「まさか誘拐とかじゃないでしょうね…」

ことり「そ、それはないんじゃないかなぁ…」

真姫「高校生なのよ?そんなことあるわけないでしょ…。花陽は結構しっかりしてるんだし」

凛「どうだろう…かよちん、ご飯ご馳走するって言えば人が変わるから」

海未「なぜ止めなかったんですか?」

穂乃果「だ、だって~!知り合いなのかなぁ?と思って…」

海未「呆れた…。本当に人攫いだったらどうするつもりですか!」

凛「えぇ!?やだやだ!そんなの絶対嫌だよ!!穂乃果ちゃん酷いにゃ!!」

穂乃果「ま、まだ決まったわけじゃないよ~!!」

フッフッフッ…ハッハッハッ…

絵里「あら…帰ってきたみたいよ?」

花陽「うっ…た、ただいま帰りましたぁ~…」バタッ…

427: 2020/07/05(日) 12:54:59.27 ID:GMUchzye
海未「大丈夫ですか花陽?ずいぶん遅かったですが…」

花陽「ご、ごめんなさい…」

穂乃果「あれ、花陽ちゃんあのお姉さんは?」

花陽「もうすぐ上がってくると思うけど…」

タッタッタッ

果南「お~、ここが神田明神!あっ!それにμ'sのみなさん!」

凛「わぁ~、オトナって感じするにゃ~!」

希「この人がさっき言ってたお姉さん?」

花陽「うん。えっと…えーっと…あのっ…名前聞いてもいいですか…?」

果南「あっ、松浦果南です!いや~、μ'sの皆さんに会えて光栄です!」

穂乃果「お、おぉ~!こっちこそ光栄ですっ!こんなお姉さんからも応援されてるなんて!」

果南「あっ…は、はい…あはは…穂乃果さんからお姉さんって…なんか複雑…」

穂乃果「是非!μ'sの練習見ていってください!」

果南「あっ、ありがとうございます!」

穂乃果「よーし!!じゃあ花陽ちゃんも帰ってきたしダンスレッスンだー!!」

海未「穂乃果と花陽は別メニューです!」

穂乃果「ぐっ…!」

絵里「地道にやれば成果も出てくるわ、頑張りなさい」

穂乃果「うぅ…はーい…」

428: 2020/07/05(日) 13:02:11.47 ID:GMUchzye
果南「(あっ、そうだ…大事な事聞かないと)」

果南「あの!」

穂乃果「ん?」クルッ

果南「この中に…」

ことり「中に?」

果南「“あいどる”はいますか!?」

・・・ポカーン

果南「あっ、いやその…」

クスッ…

果南「…!」

穂乃果「みーんな!本当のアイドルだよ!」




429: 2020/07/05(日) 13:05:05.39 ID:GMUchzye




スタスタスタ

秋穂「ここって…確か」


「いったぁーい!」


秋穂「この声…」

秋穂「…!」タッタッタッタ


ことり「穂乃果ちゃん、もうやめようよ~!」

穂乃果「まだまだ~!次こそ出来るっ!」


秋穂「穂乃果…おばちゃん…」

秋穂「……ちっちゃい時から変わってないんだなぁ」


穂乃果「とぉぉーー!」

ラララララ♪

穂乃果「!」

穂乃果「~~♪とぉー!」ピョーン


女の子「えへへっ」

秋穂「今の鼻歌…あの子が?あの曲は確かSUNNY DAY SONG…」

秋穂「……あの子、まさか!」

ギュル!!!

秋穂「うっ…な、なに!?」

ギュルルル!!!

430: 2020/07/05(日) 13:10:28.37 ID:GMUchzye
秋穂「……うっ」

秋穂「なに…?また場所が変わった…?」

秋穂「あれ?この場所…見た事あるような…」

「うぅ~…」ゴソッ

秋穂「!?」

穂乃果「ギモヂワルィ…」

秋穂「…!!」

穂乃果「んっ…だぁれ…?」

秋穂「穂乃果おばちゃん…」

431: 2020/07/05(日) 13:15:04.73 ID:GMUchzye
穂乃果「はぁ…穂乃果おばちゃんって…私?」

穂乃果「あなたは…?」

秋穂「あっ…えっと…あの、私、調べないといけない事があるんだけど…手がかりとかがなくて…」

秋穂「μ'sのみんななら何か知ってるかもって」

穂乃果「……私がさぁ……熱出しちゃったから、ラブライブにも出れなくなって」

秋穂「そんな!穂乃果おばちゃんのせいじゃ…ないよ…」

穂乃果「……ありがとうね、でもみんなに迷惑かけちゃった事に変わりはないから。ゴホッ……私、リーダーなのに」

穂乃果「……みんななら……部室にいるのかなぁ……でも今は……流石にいないかな……」

秋穂「…部室。行ってみる!ありがとう!」ダッ

穂乃果「うんぅ……頑張ってぇ……」

秋穂「」ピタッ

穂乃果「んぅ…?」

秋穂「」ダダッ、ダキッ!

穂乃果「!」

秋穂「私が……守るから、絶対……穂乃果おばちゃんの頑張り、無駄にしないから……!」ギュー

穂乃果「え……え……?」

スッ…

秋穂「…またね」

タッタッタッ…ガラッ、タッタッタッ


穂乃果「」ポカーン

穂乃果「……な、なんか……すごい夢……」バタッ

432: 2020/07/05(日) 13:18:40.46 ID:GMUchzye
~音ノ木坂学院~

タッタッタッ

秋穂「もうこんな時間だし、誰もいないかな」

秋穂「よっ…と」スタッ

秋穂「さて、穂乃果おばちゃん達の部室はどこだ…」

~アイドル研究部部室~

秋穂「…ここだ、アイドル研究部」

秋穂「………」

秋穂「」ガチャリ

・・・シーン

秋穂「……まぁ、そりゃ誰もいないよね」

433: 2020/07/05(日) 13:20:24.41 ID:GMUchzye
秋穂「………」キョロキョロ

ゴソゴソ…

秋穂「ミナリンスキー?のサイン色紙…」

秋穂「あっちは衣装かな?」

秋穂「そうだ!パソコンに何かあるかも…」

秋穂「起動ボタンは…」

ガチャ

秋穂「…ッ?」クルッ

“あいどる”「やぁ……秋穂」

秋穂「…!!!」

秋穂「“あいどる”…!」

434: 2020/07/05(日) 13:24:30.08 ID:GMUchzye
秋穂「……」ジリッ

“あいどる”「……」

秋穂「何しにここへ…?」

“あいどる”「何をしにって、娘に会いにきたんだよ」

秋穂「娘…?」

“あいどる”「うん、雪穂ちゃんと私の…可愛い可愛い娘にね」

秋穂「……は?」

秋穂「……私があなたの……娘?」

秋穂「……ふざけないで、あなたが親な訳がない」

“あいどる”「本当にそうかな?」

秋穂「……何が言いたいの?」

435: 2020/07/05(日) 13:30:42.34 ID:GMUchzye
“あいどる”「人が人を評価するのは固定観念でしかないということだよ」

秋穂「………」

“あいどる”「秋穂、君は私を悪だと認識しているでしょ」

秋穂「……ッ!当たり前でしょ!あなたが何をしたか……自分でもわかってるはず!!」

秋穂「穂乃果おばちゃんだって……あなたが!」

“あいどる”「人間、一度そう思われたら、もうおしまい」

“あいどる”「雪穂ちゃんは盲信して、私を一方的に非難するんだ?」

秋穂「盲信なんかじゃない!あなたと違って、お母さんは何も悪いことなんてしてない!」

“あいどる”「それは君の育った環境と周りにいた大人達の影響でそう思っているだけだよ」

“あいどる”「雪穂ちゃんは悪いことなんてしないっていう固定観念があるのさ」

秋穂「………」

“あいどる”「現に世界中の多くの人たちが私を信じている」

秋穂「……それこそ盲目なだけでしょ?」

“あいどる”「……物事には表と裏が……光と闇が存在する、あなたにとっての裏は……闇は私なんだよ」

秋穂「でも…事実でしょ?」

436: 2020/07/05(日) 13:35:36.03 ID:GMUchzye
“あいどる”「裏はいつも汚れ役で、不公平なんだ」

“あいどる”「きっとそれは表の存在が大きすぎるから…でもその存在を支持している人間もいて…」

“あいどる”「でもきっといつかそれを…」

秋穂「何を言ってるのか……全然わかんない」

“あいどる”「………」

秋穂「……あなたが何をしようがあなたの勝手、私はそれを止めるだけだから……。でも、その中で私のお母さんを悪く言わないで」

秋穂「あなたの悪事を人のせいにしないでよ…」

“あいどる”「私もお母さんなんだよ」

秋穂「だからッッ……ふざけないで!!!」

“あいどる”「………」

秋穂「そんなわけないもん……!私のお母さんは……私のお母さんは高坂雪穂だけなんだから!!」

秋穂「……ハァハァ」

“あいどる”「秋穂、それも固定観念だよ」

“あいどる”「いい?君にお父さんはいない。君の親は雪穂ちゃんと、私なんだよ」

“あいどる”「君は運命の子…。いや、神の子なんだ」

秋穂「……そんなわけ……ない……ありえない……」

437: 2020/07/05(日) 13:37:55.94 ID:GMUchzye
秋穂「……あなたは誰なの?」

“あいどる”「………」

秋穂「マスクを外して……!」

“あいどる”「マスクを外したら、私がお母さんだって認めてくれる?」

秋穂「……例えあなたがそうだとしても、人をたくさん〇した〇戮者を親だなんて思いたくない」

“あいどる”「〇戮者は雪穂ちゃん?私?」

秋穂「…は?」

“あいどる”「秋穂、先入観は良くないよ」

“あいどる”「さっきから言ってるのに、人の話を聞かないのは穂乃果ちゃんそっくりだね」

秋穂「……うるさい!」

ダッ!

秋穂「あなたが穂乃果おばちゃんを語らないで!!」

“あいどる”「……」

バッ!

秋穂「……!取ってやる!」

“あいどる”「……娘に顔を見られるくらい、なんてことはないよ」

秋穂「……ッ!」

438: 2020/07/05(日) 13:42:14.85 ID:GMUchzye




ダダダダダダダダダ

花陽「…?」

にこ「はぁ…はぁ…はっ…」

花陽「どうしたのにこちゃん?そんなに慌てて…」

にこ「どうしたもこうしたも…はっ…はっ…ないわよ…!」

にこ「あの子たち……秋穂ったら!ボーナスステージに行ってるわよっ!!」

凛「え!?」

花陽「う、嘘…?」

にこ「本当よ…!昨日何か様子が変だとは思ってたけど…案の定じゃない!」

にこ「どうするのよ!あの子たちがもし“あいどる”の顔でも見たら…!」

凛「そ、それだけは絶対にダメにゃ!」

花陽「あの友達の子ならともかく、秋穂ちゃんがあのゲームを突破するなんて…」

凛「凛がもう少し釘を刺しておけば…」

にこ「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

凛「そ、そっか……どうしよう!かよちん!」

花陽「………」

439: 2020/07/05(日) 13:44:41.31 ID:GMUchzye
花陽「もう、強制終了させるしかないね…」

凛「どうやって終了させるの?」

花陽「向こうのサーバーをハッキングして…」

凛「な、なるほど!」

にこ「…無理ね」

凛「え、ど…どうしてにゃ!?」

にこ「そもそも、そんな簡単にハッキングが出来るなら私たちはこんな大変な思いをしてコソコソ活動してない、違う?」

花陽「……それは」

にこ「それに、向こうのガードだって生半可なものじゃないはず」

花陽「……いや、ガード無しの状況を作ればいいんだよ」

にこ「…?」

花陽「“あいどるランド”施設内の電源を全て落として、その間に…」

440: 2020/07/05(日) 13:48:12.98 ID:GMUchzye
にこ「……その間に直接アクセスして強制的にあの子達を引き戻すのね」

にこ「さっきよりかは現実的な案だけど、誰があの厳重な警備をかいくぐって電源を落としに行くのよ」

花陽「……それは」

にこ「……はぁ」

凛「…凛が…行くよ」

花陽「り、凛ちゃん…!?」

にこ「冗談でしょ凛…あんた、捕まったら何されるかわからないのよ?」

にこ「もしかしたら〇され…」

凛「でも、早くしないと秋穂ちゃん達がっ!」

にこ「……凛」

花陽「……凛ちゃん」

凛「……任せて!もし見つかったとしても凛、絶対逃げ切るから!」

凛「昔よりスピードは落ちてるけど、きっと大丈夫だよ!へへへ…」

441: 2020/07/05(日) 13:51:26.96 ID:GMUchzye
花陽「わかった…なら、凛ちゃんにお願いするね」

花陽「でも、絶対に無茶はしないで!」

凛「ダメだよかよちん、無茶しないと潜入出来ないにゃ」

凛「それに秋穂ちゃんは…凛たちが守ってあげないと!」

凛「えへへ、大人のかっこよさを見せないとね~!」

にこ「……凛、気をつけなさいよ」

凛「…うん!」

花陽「電源を落としたらすぐに逃げて!短時間で戻されるだろうけど、その間に…私が!」

凛「わかったにゃ、そっちの方は任せたよ!」

凛「じゃあ…行くにゃ!」

442: 2020/07/05(日) 13:59:26.01 ID:GMUchzye
にこ「………」

花陽「」ジー

にこ「今からパソコンとにらめっこしてたって仕方ないでしょ…」

にこ「いくら凛でも施設へ到着するまで10分はかかる…」

にこ「それまで気を休めときなさい」

花陽「……ねぇ、にこちゃん」

にこ「……なに?」

花陽「凛ちゃん、すごく明るく振る舞ってたけど……本当は……」

にこ「……そんなの、私でもわかったわよ」

にこ「でも実際、この中で一番の適任者は凛…。あの子にしか出来ないのも事実よ」

花陽「秋穂ちゃん達を危険に晒した上に凛ちゃんまで…」

花陽「私、やっぱりリーダーには向いてないや…」

にこ「………」

ギュッ

花陽「!」

にこ「しっかりしなさい!小泉花陽!」

にこ「あんたのこの手はなんのためにあるの?」ギュー

にこ「仲間を守るためでしょ!」

花陽「にこちゃん…」

にこ「過ぎたことぐちぐち言って、不向き云々言ってもしょうがないでしょ!」

にこ「ダメな事したなら取り戻せばいいじゃない!」

花陽「あ、ありがとう…」

にこ「…私も凛も」

にこ「期待してるんだから、リーダー」

花陽「…そっか、そうだよね」

花陽「取り戻せばいいんだ…」

花陽「(凛ちゃん……!私に挽回のチャンスを……お願い……)」

花陽「(そして、凛ちゃんと秋穂ちゃん達みんな無事で帰ってきてほしい……)」

花陽「(いや…私が帰らせなきゃダメなんだ!)」

443: 2020/07/05(日) 14:02:00.72 ID:GMUchzye
凛「……結構簡単に入れたにゃ」

凛「誰もいない……秋穂ちゃん達の方に集まってるのかな……」

凛「早くしないと……」ダッ





秋穂「……!」グッ

“あいどる”「……秋穂が雪穂ちゃんの何を知ってるのかな」

秋穂「……黙って!」

“あいどる”「私は…少なくとも秋穂よりは雪穂ちゃんの事を…」

秋穂「うるさい…うるさいうるさいうるさいッッ!!」

444: 2020/07/05(日) 14:07:11.16 ID:GMUchzye
凛「……あそこの部屋だ!」

凛「」タッタッタッタッタッタッ!


警備員1「………」スタスタ、キョロキョロ


凛「!」サッ

凛「(ッ!早くしないといけないのに!)」

凛「…早くどっか行かないかな」チラッ

ミャー

凛「!?」


警備員2「!」ギョロッ


凛「(うっ…ば、バレた…!?)」サッ

猫「にゃー」

凛「(な、何でこんなところに猫ちゃんが…!?)」

445: 2020/07/05(日) 15:16:17.71 ID:GMUchzye
警備員1「………」

警備員2「………」

警備員3「………」

コツ…コツ…コツ…


凛「………」ナデナデ

猫「んにゃ~」

凛「…あっ、へっ…くちゅん…!」

凛「えへへ、今、バレなかったかな?」ナデナデ

凛「…本当は凛、猫ちゃん触っちゃダメなんだけど…もしかしたら…だから…」

凛「………」

凛「もし凛がここでダメだったら、かよちん…また落ち込んじゃうよね」

凛「クスッ…やっぱりかよちんは凛がいないとダメだね~!ね、猫ちゃん…」ナデナデ

猫「にゃ~」

凛「……凛だって、みんなと一緒の気持ちだもん。穂乃果ちゃんの忘れ形見を……守らなきゃって……!」


警備員「」コツコツコツコツ…!

凛「……またね」ポンポンッ

猫「んにゃあ」

凛「……!」ダッ

警備員1「!」

警備員2「こいつ!?」

警備員3「捕まえ !!」

凛「強行突破にゃ!」ダダダダダダッ

446: 2020/07/05(日) 15:18:02.71 ID:GMUchzye




にこ「………」

花陽「遅い…」

花陽「もしかして……凛ちゃん……」

にこ「……凛に限ってそんなはず」

花陽「……やだよ、もうやだ……あの時みたいな想いはもうしたくないよ……」

にこ「………」

にこ「だ、大丈夫だから…!花陽はドッシリ構えて準備してなさい!」

にこ「ほら!向こうの電源が落ちたらパソコンつくようになってるんでしょ!」

にこ「もうすぐつくんだから…!ちゃんとパソコン見てなさいってば!」

花陽「にこちゃん…うん」

447: 2020/07/05(日) 15:54:07.56 ID:GMUchzye
-10分後-

にこ「……」

ドキ…ドキッ…

にこ「(……あ、あれ?私、もしかして緊張してる……?)」

にこ「(凛を信用してないっていうの…?)」バクバク

にこ「(い、いや…でも、流石に時間だって…)」バクバクバク

にこ「(秋穂たちの方も心配だし……もし、これがダメなら完全にお手上げ……もう秋穂たちは……!)」バクッバクッバクッ

花陽「……お願い」

にこ「……!」

花陽「お願い、凛ちゃん!」

にこ「……そうね、諦めちゃダメよね」

にこ「……頼むわよ!凛!」

にこ&花陽「……ッッ!!」

・・・

にこ&花陽「……!!」

・・・ウィーン、パッ

にこ&花陽「あ…」

花陽「…パソコンが起動した」

にこ「やっ……た」

花陽「凛ちゃん……!やった!」

にこ「あの子、やったわね!」





-“あいどるランド施設外”-

凛「…はぁ…はぁ…」

凛「えへへ…!いくら衰えたとはいえ!凛の脚力ナメないでよね!」

猫「みゃー」

凛「へへ~、また会えたね!猫ちゃん♪」

凛「……かよちん、にこちゃん、あとは頼んだよ」

448: 2020/07/05(日) 15:58:13.81 ID:GMUchzye
にこ「花陽、あとは!」

花陽「うん、任せて!」カタカタッ

花陽「この端末からボーナスステージ…アトラクションの中枢に入れるはず…!」

花陽「…これ!」カチッ!

にこ「いけそう!?」

花陽「うん!入り込んだよ!」カタカタッ

花陽「この中に強制終了の項目がきっと…!」グリッ

花陽「はやくっ…はやくっ!」

にこ「……頑張って!」

花陽「……うん!……あった!」

にこ「よし…!やったわね!」

花陽「これで…!」カチッ

【強制終了すると、プレーヤーの身体及び脳内が損傷する可能性があります。よろしいですか?】【はい・いいえ】

花陽「……え?」

449: 2020/07/05(日) 16:02:37.62 ID:GMUchzye
にこ「ちょ…何よこれ…!」

花陽「……ど」タラー…

花陽「どう……しよう?」

にこ「……花陽、早くしないと、また電源戻されたら!」

花陽「うん、で…でも損傷って…!」

にこ「……っ」

花陽「穂乃果ちゃんなら…どっちに…」

にこ「花陽ッ!」

花陽「……!う、うん、そうだよね……」

花陽「自分で決めないと…でも、こんなの…!」





“あいどる”「君が生まれたのは奇跡なんだよ」

秋穂「喋らないでッ!」

秋穂「……あなたは誰!!」バッ





花陽「~~~!!!」

花陽「え~いッッ!!」

カチッ

【はい】

450: 2020/07/05(日) 16:04:13.86 ID:GMUchzye




秋穂「…………!!」

秋穂「……ひ」

グワアアアン

秋穂「うっ…いたっ…!」

秋穂「な、なに…!?」

“あいどる”「…またね、秋穂」





ズキッ

果南「いたっ…!」

果南「な、なにこれ…?」

グワアアアン

451: 2020/07/05(日) 16:16:54.80 ID:GMUchzye






~ボノカ一派 アジト~

秋穂「スー…」

果南「うっ…うぅ…」

凛「……うん」

スタスタ

にこ「どう?」

凛「まだ寝てるよ…友達の子はうなされてたけど…秋穂ちゃんは寝息たててた、多分、疲れたんじゃないかな…」

にこ「そうでしょうね…」

花陽「とにかくみんな無事でよかったよ…」ホッ

凛「かよちんのお手柄だね!」

花陽「そんな、私なんて…最後まで悩んでたし…」

ポフッ

花陽「あいたっ…!」

にこ「そう卑下しないの」

にこ「結局あの二人もなんともなさそうだし、損傷ってのはブラフだったんじゃない?」

にこ「そう考えたら、正解を選んだのは花陽なんだし、あんたのお手柄でしょ?」

花陽「にこちゃん…」

凛「そうにゃ!かよちんもっと自信持つにゃ!」

花陽「凛ちゃん…」

花陽「うん、ありがとう…」

452: 2020/07/05(日) 16:26:14.35 ID:GMUchzye
にこ「しかし凛はよく無事だったわね…」

凛「昔に比べたら全然だけどね!まだまだ若い子には負けないよ~!」

花陽「あはは、なんか凛ちゃん…」

にこ「ちょっとおばさんくさいわよ?」

凛「えっ…な、なにそれ!酷いにゃ~!って…くちゅん!」

にこ「あんた帰ってきてからくしゃみ多いわね…風邪?」

凛「えへへ、ちょっと…」

花陽「でも凄く危なかったんだよね…よく巻けたね」

にこ「でも、侵入者が出たって事で向こうは大騒ぎよ!私たちもこれからは慎重にいかないといけなくなったわね…」

花陽「でも、やっぱり凛ちゃんが無事で何よりだよ」

にこ「まぁ…それはそうだけど、なんか心配し損って感じ」

凛「あれれ~?にこちゃん心配してくれてたのぉ~?」クスクスッ

にこ「ち、違うわよ!ちょっと花陽に釣られて!」

凛「またまた照れちゃって~♪」

にこ「やめなさい…!ちょ、くっつくなぁ…!」


「………」


花陽「ちょっと二人とも~!」

「おばちゃんたち」

花陽「!」

秋穂「おはよう…」クシクシッ

453: 2020/07/05(日) 16:33:59.06 ID:GMUchzye
にこ&凛「……」

秋穂「座っていい?」

凛「あっ…うん!もちろん!ご、ごめんね寝てるのに大きい声出しちゃって…!起こしちゃった?」

秋穂「うーうん…仲よさそうだなぁって思って見てたよ」

秋穂「……花陽おばさん、ごめんなさい」

花陽「えっ…な、なんで謝るの?秋穂ちゃん、別に謝るような事してないよ?」

秋穂「私、花陽おばさんの言うことを聞かずに行って…結局、みんなに助けられて…」

にこ「……ま、結果的にみんな無事だったんだから、そんなに気にしなくていいんじゃないの?」

秋穂「……ごめんね」

凛「秋穂ちゃん、知りたい事があったんでしょ?そんなに落ち込む事ないよ!」

花陽「二人の言う通りだよ秋穂ちゃん、大丈夫だから…」

秋穂「……うん」

454: 2020/07/05(日) 16:37:13.80 ID:GMUchzye
秋穂「私たち結局“卒業”出来たのかな…」

花陽「出来たみたいだよ。秋穂ちゃん達が解放されて帰ってるところに凛ちゃんが出くわしたんだ」

凛「二人ともフラフラでびっくりしたんだよ?」

にこ「引きずって帰ってきたのよね」

凛「腕パンパンになったにゃ…」

秋穂「ありがと…凛おばちゃん」

凛「うん!どういたしまして!」

秋穂「………」

秋穂「………あのさ」

果南「おはようございます~…」

秋穂「あっ…」

にこ「起きたのね、おはよう」

455: 2020/07/05(日) 16:40:56.12 ID:GMUchzye
花陽「二人とも起きたし…ちょっと質問してもいいかな?」

果南「は、はい…」

秋穂「うん…」

花陽「」ゴソゴソ

花陽「これ…」スッ

花陽「廃校騒動の時に在籍していた1~3年生の卒業アルバムなんだけど」

にこ「あんた達“あいどる”の顔は見た?」

秋穂「……!」

果南「私は……見てないです」

果南「μ'sの皆さんと一緒にいました」

花陽「そっか、私たちと…秋穂ちゃんは?」

秋穂「私は…」

秋穂「…見たような気が…する」

花陽「……ッ!?」

凛「え、えぇ!?」

にこ「ほんとに…!?」

花陽「こ、このアルバムの中にその顔をした人はいる?」

秋穂「……探すからちょっと待ってね」

456: 2020/07/05(日) 16:50:36.65 ID:GMUchzye
秋穂「………」パラ…パラッ…

花陽「………」

パタンッ

にこ「……!」

凛「ど、どう?いた?」

秋穂「ごめん……わからない、思い出せない……」

花陽「そ、そっか…でも、それならそれでいいんだよ」

花陽「あそこで“あいどる”の顔を見たら…ダメだから…」

果南「……?どういう事ですか?」

にこ「あんた達の前にもボーナスステージに行った人間が何人かいたわ」

にこ「その大半は無事に戻ってこれた……戻れたのはよかったんだけど………」

果南「……だけど?」

にこ「全員自ら命を絶ったの。調べた結果、自〇した全ての人たちの共通点は“あいどる”の顔を見たということ」

果南「う、うわぁ…」ゾー

花陽「うん、だから秋穂ちゃんも無理に思い出す必要はないからね」

凛「そうだよ。秋穂ちゃんが思い出さなくても凛たちが絶対に“あいどる”の正体を突き止めてみせるから!安心して!」

秋穂「うん、ありがとう…」

457: 2020/07/05(日) 16:54:38.60 ID:GMUchzye
秋穂「……私からも一ついいかな?」

花陽「うん!」

秋穂「……私」

花陽「うんうん」

秋穂「“あいどる”の子供なのかな…?」

にこ&凛&花陽「!!?」

果南「い、いや…な、何言ってんのさ秋穂!」

秋穂「だって…“あいどる”がそう言ってたんだもん」

果南「私たちを困惑させようとしてるんだよ!“あいどる”の口車に乗せられちゃダメ!」

秋穂「……私もあの中ではそう思った……ただのデタラメだって……」

秋穂「でも…改めて考えるとなんだか、妙に説得力があって…」

果南「……そんな馬鹿な話」

458: 2020/07/05(日) 16:56:41.84 ID:GMUchzye
秋穂「おばちゃん達は知ってた…?」

花陽「いや……私は聞いた事ないよ」

凛「凛も初めて聞いた……」

にこ「……寝耳に水よ」

果南「ほら!μ'sの皆さんでも知らないって事は…!」

秋穂「……うん」

にこ「…………」

花陽「……秋穂ちゃん、それが嘘か本当かなんて事はどうでもいいんだよ」

花陽「そんなの気にせずに、秋穂ちゃんは秋穂ちゃんのやりたいようにすればいいんだから……ね?」

秋穂「そう……だよね……ありがとう……」

459: 2020/07/05(日) 17:01:12.91 ID:GMUchzye
果南「この度はホントにお世話になりました!」ペコッ

花陽「また困った事があったら頼ってね」

果南「はい!ありがとうございます!」

凛「秋穂ちゃんも元気でね!身体壊さないようにね?」

にこ「昨日も言ったけど、海未と希によろしく伝えといてちょうだい」

秋穂「わかった、おばちゃん達も元気でね」

秋穂「じゃあ、バイバイ」

果南「失礼します」

花陽「うん!気をつけてね」

460: 2020/07/05(日) 17:07:50.50 ID:GMUchzye
ザッ…ザッ…

にこ「……さっきの秋穂の話」

花陽「えっ?」

にこ「“あいどる”が母親って話」

にこ「秋穂がいたから言わなかったんだけど…」

にこ「昔、穂乃果と海未がそんな事話してたような気がするわ」

凛「え、じゃああの話は嘘とかじゃなくて…」

にこ「多分、本当の事でしょうね…」

凛「……でも“あいどる”は女性なんだよ?どうやって雪穂ちゃんと……」

にこ「あいつらの科学力や発明力があれば、どうとでもなるでしょそんなの」

花陽「……何にしても、私たちは秋穂ちゃんを信じるだけだよ」

にこ「そうね……あの子の原動力は穂乃果なんだし……寝返るなんてことはないわよね」

花陽「うーん…いや、寝返る云々って言うよりかは…秋穂ちゃんの思うようにやらせてあげたいなって…」

花陽「それでもし道を踏み間違えそうになったら、私やにこちゃんや凛ちゃん……周りの大人達が教えてあげればいいと思うんだ」

にこ「……そうね」

凛「そうだよね…とにかく、今まで通り接してあげるのが一番にゃ」

にこ「でもあの子……帰ったら多分、海未にも聞くわよ」

にこ「海未は……なんて答えるのかしら」

461: 2020/07/05(日) 17:13:29.75 ID:GMUchzye
果南「じゃあ私はマリー…理事長のところに寄ってから帰るけど秋穂はどうする?」

秋穂「私は……また後で行くって伝えといて」

果南「了解、じゃあ一旦ここで解散だね」

秋穂「うん…そうだね」

果南「またね」スタスタ

秋穂「うん…」

秋穂「………」スッ

ピッ

プルルルル、プルルル…

『…もしもし?』

秋穂「海未おばちゃん…?あのさ、今から、会えない…?」

462: 2020/07/05(日) 17:17:47.31 ID:GMUchzye
~公園~

秋穂「……」

ザッ

秋穂「……!」

海未「……秋穂」

海未「あなた……どこに行っていたんですか?」

秋穂「………」

海未「……テーマパークですよね」

秋穂「…!誰に聞いたの?」

海未「大家さんです。秋穂…まさかそのテーマパークというのは…」

秋穂「…そう、“あいどるランド”だよ」

海未「……なぜ黙って行くんですか」

秋穂「海未おばちゃんに……心配かけたくなかったんだもん……」

海未「っ!……はぁ、今回だけは不問にします」

海未「それで、話とはなんですか?」

秋穂「……うん」

463: 2020/07/05(日) 17:20:31.55 ID:GMUchzye
秋穂「私、“あいどる”の子供なのかな」

海未「……!?誰からそれを?」

秋穂「アトラクションの中で“あいどる”が言ってた…」

海未「“あいどる”に会ったんですか…!?」

秋穂「うん…」

海未「な、何かされていないですか…!どこか怪我は…!」

秋穂「大丈夫だよ、なにもされてない…」

秋穂「でも、その発言だけ…すごく気になってるの」

秋穂「……もしかして、海未おばちゃんは知ってたの?」

海未「……それは」

海未「……知らなかったと言えば嘘になります」

秋穂「……!」

464: 2020/07/05(日) 17:24:42.02 ID:GMUchzye
秋穂「なんで今まで黙ってたのっ!?」

海未「確信が持てなかったからです……。それに、あなたには関係のないこと……それを知ることで色々危険も……」

秋穂「ッッ!!私に関係がない……?」

秋穂「ホントにそう思ってるの!?」バッ

海未「秋穂、落ち着きなさい…」

秋穂「……ッ」スッ

秋穂「……なにか他に隠してることないの」

海未「ありませんよ。それに…別にこの事だって隠していたわけではないんですから」

秋穂「………」

465: 2020/07/05(日) 17:28:25.23 ID:GMUchzye
秋穂「私…お母さんに会いたい」

海未「雪穂は……お母さんは今も行方知らず、会うのは不可能です」

秋穂「友達の知り合いの人に頼めばすぐ見つかるもん…」

海未「……今、お母さんに会って何をしたいんですか?」

秋穂「……子供がお母さんに会いたいって思うのはおかしいこと?」

海未「いいえ…。ただ、なぜ今なのかと私は聞いているんです」

秋穂「……“あいどる”に言われて気づいたの……私、お母さんの事何も知らないんだって」

秋穂「……“あいどる”が言ってた事も気になるし」

海未「言っていた事?何を言っていたんですか?」

秋穂「……〇戮者って」

海未「〇戮者……?」

秋穂「お願い海未おばちゃん…私、お母さんと会いたいの…お母さんの事を知りたいの」

海未「………」

秋穂「お願い…」

海未「……っ」

海未「わかりました…」

467: 2020/07/06(月) 15:53:55.74 ID:8UYPe4RL
~理事長室~

コンコンコンッ

鞠莉「どうぞ」

ガチャ

秋穂「理事長…」

鞠莉「これはこれは…秋穂ッチじゃない。お帰りなさい」

鞠莉「果南から聞いたよ、色々大変だったみたいだね」

秋穂「うん、ホントに…色々ね」

鞠莉「……ただ、収穫もあった」

秋穂「……ねぇ、理事長、お願いがあるの」

鞠莉「なーに?」

秋穂「人を…探して欲しいの…」

鞠莉「おやおや?秋穂ッチが私的な理由で私にお願いなんて珍しいね」

秋穂「………」

鞠莉「……いいよ、私たちは協力関係にあるんだし」

鞠莉「それに……秋穂ッチのそんな顔を見て断るなんて、出来ないしね」

秋穂「理事長…ありがとう」

468: 2020/07/06(月) 15:55:46.98 ID:8UYPe4RL
-数日後-

ガチャ

ムロタ「やっ、マリー」

鞠莉「ハロー♪ムロタさん」

鞠莉「頼んでたあれは?」

ムロタ「さっぱりだね…僕の持つコネクションをフルに使って探したけど…分かったのは数年前の滞在地だけだ」

ムロタ「今、どこで何をしてるのか…影も形も掴めなかった…」

鞠莉「十分です。すぐ秋穂ッチに連絡しましょう」

ムロタ「これはメモね、住所とか書いてあるから…秋穂ちゃんに渡しといて」

鞠莉「OK!サンキュー!ムロタさん♪」

ムロタ「うん、お安い御用だよ」

469: 2020/07/06(月) 16:02:54.31 ID:8UYPe4RL




-数日後- ~理事長室~

秋穂「ありがとうございました!色々と調べていただいて…」

ムロタ「どうってことないよ、気をつけて行っておいで」

鞠莉「チャオ!」

秋穂「」ペコリッ

バタンッ

鞠莉「……ふぅ」ギシッ

鞠莉「……アンビリーバボーですね、まさか……高坂雪穂があそこにいたなんて」

ムロタ「今もいるかどうかはわからないけどね」

鞠莉「ふわぁ…私も最近あまり寝れてないし…少し仮眠しようかしら」

ムロタ「マリー、寝る前にこれ…見てもらってもいい?」スッ

鞠莉「……写真?これは?」

ムロタ「ハターキと“あいどる”の意見交換会の時のもの」

鞠莉「……これがなにか?」

ムロタ「マリー、眠気で視野が狭くなってるんじゃないのかい?」

鞠莉「むっ…失礼な!この写真がなんだって言うんですかいったい!」プリプリ

ムロタ「よく見なよ、ハターキの後ろに立ってる人物を」

鞠莉「ん~…」 ジッ

鞠莉「……!OH……」

ムロタ「それ、どう見ても梨子だよね」

470: 2020/07/06(月) 16:14:30.06 ID:8UYPe4RL
~~~~~~~~~~~

ガチャ

果南「どうしたのマリー?急に呼び出したりして…」

鞠莉「果南…梨子が見つかった」

果南「え…う、嘘っ!?」

ムロタ「今度“あいどる”のイメージソングを作るハターキって人と一緒にいるみたいなの」

果南「え…そ、それって梨子ちゃん…」

鞠莉「……梨子が“あいどる”側なのかどうかはわからない」

鞠莉「だから調べてきてほしいの」

果南「調べてきてほしいって、どこに?」

鞠莉「……ニューヨーク」

果南「ニューヨ……え?」

果南「ええええぇぇ!?」

鞠莉「果南、今すぐニューヨークへ飛んで」

果南「ちょっと待った!!なんでニューヨークなの!?」

ムロタ「ハターキをニューヨークで見たという目撃情報が多数あってね」

鞠莉「ニューヨークではムロタさんの頼れる知り合いも少ないし…果南が自力でって事になるんだけど…」

果南「う、嘘でしょ?」

鞠莉「…………」

果南「本当なんだ……」

鞠莉「お願い果南、あなたにしか頼めないの」

果南「…………」

果南「……分かった、やっぱり梨子ちゃんの事は気になるし、行くよ」

鞠莉「果南…!」

471: 2020/07/06(月) 16:20:28.56 ID:8UYPe4RL




海未「忘れ物はありませんか…?」

海未「何か困ったことがあればすぐ人に尋ねるんですよ…?」

海未「あ、あと!怪我なく帰ってくるように…!」

秋穂「大丈夫だって、海未おばちゃん心配しすぎだよ?」

秋穂「それに、目的地までそんなに遠くないし…」

海未「……ですが」

秋穂「……お母さんいるかな」

海未「………」

秋穂「あっ……そういえば、この前言いそびれちゃってたんだけど……“あいどるランド”でにこおばちゃんと凛おばちゃんと花陽おばさんに会ったよ」

海未「…!」

秋穂「海未おばちゃんによろしく言っといてって」

海未「そうですか……あの3人が」

秋穂「……あと絵里おばさんが脱獄したみたい」

海未「絵里が…」

秋穂「うん…」

秋穂「……じゃあ、そろそろ行くね!」

海未「えぇ…気をつけて行くんですよ…?」

秋穂「うんっ!」

472: 2020/07/06(月) 18:02:43.85 ID:8UYPe4RL




曜「へっくちゅ…!」

ルビィ「曜ちゃん、大丈夫?」

曜「ズルッ…うん…大丈夫」

ルビィ「もうずっとお風呂入ってないよね…」

ルビィ「…お風呂入りたいなぁ…」

曜「こら!ルビィちゃん!」

ルビィ「あ、ご…ごめんなさい絵里さん」

絵里「え?なんで謝るの?お風呂は私も入りたいんだけど…」

曜「え!?」

絵里「え!?って…曜、あなた…私をなんだと思ってるのよ…」

絵里「私だってレディーなのよ?お風呂…入りたいに決まってるじゃない」

曜「そ、そうですよね…いやぁ…今の絵里さん、ちょっと野生っぽいから…」

絵里「…怒るわよ?」

曜「ご、ごめんなさい!」

473: 2020/07/06(月) 18:05:20.03 ID:8UYPe4RL
絵里「それにしても、もうここのスラムで寝泊まりするのはダメね」

絵里「私たち、だいぶ注目を集めてるわ…」

絵里「このままだと何をされるか分かったものじゃないし、移動しましょうか」

曜「そうですね…。身の危険を感じる…」

ルビィ「お腹も減ったし…」

絵里「……っ、一昨日食べたばかりでしょ……」

曜「絵里さん…普通はそれだけ食べてないとお腹減るんですよ」

絵里「知ってるわよそんなことは…。我慢しなさいってこと…」

ルビィ「うぅ…」

474: 2020/07/06(月) 18:07:19.22 ID:8UYPe4RL
グー

ルビィ「うぅ~…///」

曜「なんか、すごくひもじいですね…」

絵里「我慢しなさい…」

男「おっ、そこのお姉さん!」

絵里「……」 スルー

男「ねねね!お姉さん!」

絵里「……」ツーン

男「……チッ」

男「じゃそっちのお姉さん達!」

ルビィ「ひっ…!」

曜「ちょっ…!」

男「俺と一緒に遊ぼーよ!」

グイッ

絵里「…ッッ!」キッ

絵里「その子達に気安く触らないで!」ドスッ

男「あぐっ…!?」ドサッ

475: 2020/07/06(月) 18:11:34.21 ID:8UYPe4RL
曜「え、絵里さん~!」

ルビィ「か、かっこいい~…///」 キラキラ

男「て、テメェ~…!」バッ

絵里「……」

兄貴「やめろ」

男「…あ、兄貴!」

兄貴「今のはお前が悪い…ナイフもしまえ」

男「……くそ」スッ

絵里「………」

兄貴「悪いな、俺んとこのもんが…」

絵里「ちゃんと躾はしときなさい。いちいち吠えられたら敵わないから」

絵里「………ん?」

兄貴「………あ?」

絵里「あなた、どこかで…」

兄貴「お前、どっかで…」

ルビィ&曜「……?」

絵里「………」




『俺はただ、母ちゃんに美味いモン食わしてやりたくて……その、食いっぱぐれないから……この仕事やってるだけなんだよ……!』




絵里「あっ…」

兄貴「あっ…!!」

476: 2020/07/06(月) 18:16:25.60 ID:8UYPe4RL
兄貴「あの時の偉そうな女ッ…!」

絵里「思い出した…いつだったか私をナンパしてきた坊やじゃない」

曜「お知り合いですか?」

絵里「えぇ、昔にちょっとね」

絵里「自分の事は棚に上げて人に注意するのはやめときなさいよね、カッコ悪いわよ?」

兄貴「うるせぇ、ガキの時の話だろ」

絵里「そうね…ガキの時の話だし、子分にその話をしても大丈夫よね」

兄貴「えっ…馬鹿、やめろ!」

絵里「ふふ、そうよね…それは嫌よね?」

絵里「そんな坊やにお願いがあるの♪私たち、ずいぶんお風呂にもご飯にもありつけてないの」

兄貴「……きたねぇ女」

絵里「それ、どっちの意味で言ってるの?」

兄貴「どっちもだよ!あぁくそっ…ついてこいよ!」

絵里「うふ…ハラショー…♪」

477: 2020/07/06(月) 18:19:02.27 ID:8UYPe4RL
スタスタ

曜「これ…どこに行ってるんですか?」

絵里「さぁね。でも、喜びなさい曜、ルビィ…今からお風呂に入れるしご飯も食べれるわよ」

ルビィ「えっ!ほ、本当ですか!!」

絵里「えぇ、話をつけといたわ」

曜「すごい……そういえば、絵里さんって英語も喋れるんですね」

ルビィ「頼りになるなぁ~…」

兄貴「おら、ついたぞ」

絵里「……ここは?」

兄貴「俺たちのアジトだ」

兄貴「風呂は一応あるから…入ったらとっとと出てけ」

478: 2020/07/06(月) 18:26:36.13 ID:8UYPe4RL
ガララッ

曜&ルビィ「……え」

絵里「……っ、あの坊や……何がお風呂よ……シャワーしかないじゃないの……」

曜「仕方ないですね…シャワーでも無いよりはマシだし、ルビィちゃん先に使いなよ」

ルビィ「え、でも絵里さんが先に…」

絵里「気にしなくていいわ、先に使いなさい」

ルビィ「あ、ありがとうございます…」

シャー…

曜「あー、これじゃ3人同時に入った意味なかったですねぇ~…」

絵里「本当にね…まったく、きたないのはどっちよ…」

曜「………」ジー

絵里「……な、なに?」

曜「絵里さんって……今、おいくつでしたっけ……?」

絵里「え?いくつでしょうね……42、3だったかしら?」

曜「ふむ、にしては中々…」スッ

プニッ

絵里「ひゃっ…///」

絵里「よ、曜…?あなた、何してるの!?」

曜「いや、なんか…すごいなというか…羨ましいなと思いまして…」

絵里「だ、だからって…」

479: 2020/07/06(月) 18:31:38.91 ID:8UYPe4RL
キュ…

ルビィ「はぅ~!気持ちいい~♪」

ルビィ「……って、曜ちゃん何してるの!?」

曜「ねぇ、ルビィちゃん、絵里さん凄い身体してない…?」

曜「私、同じ女として憧れるよ…」

絵里「い、いい加減にしなさいってば…曜…!」

絵里「ルビィ…!曜をやめさせて!」

ルビィ「………」

絵里「……る、ルビィ?」

ルビィ「ごめんなさい絵里さん、ルビィも……ちょっと興味があります……!」

絵里「は……?え……?」

絵里「あなた達……!こんな時に何を……ちょっとは緊張感を……って!」


~~~アアアアアァァッッ…///


男1「なんかいいっすねぇ…///」

男2「行っちゃう?」

男3「女3人だろ?ヤレるぞ?」

兄貴「辞めとけぇ…お前ら…」

男1「兄貴、なんでですか!」

兄貴「マジで辞めとけって、後で絶対に痛い目見るから…」

男1 2 3「………」

480: 2020/07/06(月) 18:47:48.71 ID:8UYPe4RL
ガララッ…

絵里「……ほんっっっとにもう!!」フキフキッ

曜「うぅ…絵里さぁん…これ、たんこぶ出来ますよぉ…」

絵里「自業自得よ…!」

ルビィ「ほ、本当にごめんなさい…なんか変な空気だったから…つい、成り行きで…」

絵里「……もういいわよ」

曜「で、でも!やっぱりシャワーとはいえ久しぶりだとサッパリしますね!」

絵里「そうね…本当に気持ちよかった」

兄貴「おい」

絵里「…ッ!…ドア越しでなに?」

兄貴「メシ代…ドアの前に置いとくから、身体拭いたら早く出てけ」

絵里「……ありがとう」

兄貴「ふんっ……別に……」

兄貴「見逃してくれた……あの時の礼だ」ボソッ

絵里「えっ?」

兄貴「…つーか、シャワールームで変な声出すな」

絵里「…!!」

絵里「~~///」カァァ…

兄貴「いつまでも人をガキ扱いしてると足掬われっぞ」スタスタ

絵里「……クスッ、まったくもう、言うようになったじゃない」

曜「…絵里さん、なんか嬉しそうだね?」

ルビィ「い、今のってロシア語かなぁ…?なにを話してたんだろうね…?」

481: 2020/07/06(月) 18:51:18.69 ID:8UYPe4RL




果南「……さてと!ニューヨーク……来たのはいいものの……なんの手がかりもないし……どうやって梨子ちゃんを探そうかな」

果南「現地の人に聞き込みでもしてみる?」

果南「いやでも…私、英語なんてわからないしなぁ…」

果南「……まずい、よく考えたら、全然ノープランじゃん……」

果南「それに海外のこのアウェー感…!」

果南「……どうしよ」

果南「……とりあえず、動かないと始まらないか」

果南「よし…じゃあ、まずはあっちに行ってみよう」スタスタ

482: 2020/07/06(月) 19:16:24.93 ID:8UYPe4RL



絵里「それじゃあ、ご飯でも食べましょうか」

曜「そうですね、あぁ!二日ぶりのご飯~!」

ルビィ「絵里さんは…テイクアウトとかの方がいいですよね…?」

絵里「……そうね、お店に入ると私の顔を知ってる人もチラホラいるでしょうし」

曜「なら、ファーストフードにしましょう!」

絵里「そうね、腹持ちもいいし」




果南「知り合いがいないってこんなに辛いものなんだなぁ」

果南「それに言語が違うのってこんなに不安になるんだ……」トボトボ



曜「あっ!絵里さん、あそこに屋台式のホットドッグ店がありますよ!」

絵里「ならそれにしましょ、食べ歩きも出来るし」

ルビィ「じゃあルビィがまとめて買って来ます!」

絵里「ほんと?なら、お願いするわね」

絵里「はい、これお金」



果南「はぁ~…」

483: 2020/07/06(月) 19:25:06.15 ID:8UYPe4RL
曜「……ルビィちゃん、昔に比べて少したくましくなったかな」

絵里「……ま、こんな環境じゃ否が応でもそうなるわよ」

曜「そうかもしれないですね、仲間と離れ離れになったら……やっぱり、自分自身が強くなるしかないですしね……」

曜「たまたまルビィちゃんには私がいて、たまたま私にはルビィちゃんがいたけど……」

曜「……他のみんなはどうしてるのかな」

絵里「……あなた達の仲間って、他にはどんな子がいたの?」

曜「え?……うーん、そうですね~」

曜「例えばあそこのポニーテールの子にすごく似て……る……」


果南「……」トボトボ


絵里「……?どうしたの?」

曜「え、嘘っ……か、果南ちゃん!?」

果南「え……?」

果南「……よ、曜ちゃん?」

絵里「まさか、本人だったの……?」

484: 2020/07/06(月) 19:31:08.32 ID:8UYPe4RL
果南「……よ、曜ちゃん」

曜「果南ちゃん、無事だったんだ…」

果南「無事って…それはこっちのセリフ…だよっ…」ジワッ

曜「えっ…か、果南ちゃんどうしたの、泣かないで…」

果南「いや…なんか、心細かったから…」

曜「心細い?果南ちゃんらしくないね…でも本当に久しぶりだ…!」

果南「…曜ちゃんだけ?」

曜「いや…」

タタタタタタッ

ルビィ「お待たせしました~!買って来たよ~……って」

ルビィ「か、か、か、果南ちゃん…?」

果南「ルビィちゃん…!」

ルビィ「か、果南ちゃん……」ブワッ

ルビィ「うぅ…果南ちゃーん…!」ダキッ

絵里「……ちょっ……とっ!」ダッ

絵里「」パシッ

果南「ルビィちゃん…よかった…無事だったんだ…!」

絵里「……んもぅ、抱きつくのはいいけど……ホットドッグ落としちゃダメでしょ……全く」ハムッ

ルビィチャン~! カナンチャン~! ヨウチャン~!

絵里「……うふ……でも、良かったわね」

488: 2020/07/06(月) 22:58:09.43 ID:8UYPe4RL
絵里「モグモグ…ねぇ」

曜「あっ…どうしました絵里さん?」

絵里「あなた達これからどうするの?」

絵里「彼女と一緒に日本に帰る?」

曜「え?……うーん」

果南「……曜ちゃん、この人は?」コショコショ

ルビィ「え、えぇ!?果南ちゃん知らないの!?μ'sの絵里さんだよっ!!」

果南「ちょ、ルビィちゃん声大き……って、あっ……あぁ!ほんとだ!あ、絢瀬絵里さん……!」

絵里「………」

果南「す、すみません…初めまして、松浦果南っていいます」

絵里「初めまして…よろしくね」

489: 2020/07/06(月) 23:02:33.39 ID:8UYPe4RL
曜「あのね果南ちゃん、私とルビィちゃん、一度監獄の中に入れられた事があったんだ」

果南「か、監獄?」

ルビィ「うん、その時に助けてくれたのが絵里さんだったの!」

曜「……投獄されるタイミングが悪ければ……私たち、今頃……」

果南「本当に……無事で良かった……」

果南「………」

果南「」タタタッ

果南「あの」

絵里「……?」

果南「曜ちゃんとルビィちゃんを助けて頂いて本当にありがとうございます…!」ペコッ

絵里「別に大したことじゃないわ。でも……どういたしまして」

絵里「ねぇ……こんな所で立ち話もなんだし……どこかに移動しない?」

曜「それもそうですね!」

490: 2020/07/06(月) 23:10:05.67 ID:8UYPe4RL
スタスタ

果南「うん…千歌と鞠莉は無事。今は日本にいるよ」

曜「千歌ちゃん……無事だったんだ……そっか、よかった……」ホッ

果南「曜ちゃんとルビィちゃんが見つかったから…あとは5人…」

ルビィ「お姉ちゃん……それにみんな、大丈夫かな……」


絵里「……(なんだか、羨ましいわね……)」

絵里「(私も……早くμ'sのみんなに会いたい……)」

絵里「………!」ピタッ

曜「あ、あれ?絵里さん…?」

絵里「………」

曜「あっ……ここ」

ルビィ「うわぁ~!ここがニューヨークで有名な…!」

果南「セントラル・パークだね!」

絵里「………」

491: 2020/07/06(月) 23:11:57.69 ID:8UYPe4RL
曜「いや~!綺麗だね~!」

果南「流石の広さだね」

絵里「………」

「暗い顔だね~、絵里」

絵里「……!」

「思いふけって来ちゃった?」

「それとも勝手に足がここへ?」

ルビィ「……だ、誰だろう?」コショコショ

曜「さ、さぁ…」コショコショ

「絵里はドーンと構えとかないと」

絵里「……GOD」

果南「え…?ご、ゴッド?」

ルビィ「か、神様ってこと…?」

公野「」ニコッ

492: 2020/07/06(月) 23:13:17.05 ID:8UYPe4RL
公野「いやいや、別に本当の神様じゃないんだよ?」

公野「この子たちが勝手にそう呼んでるだけ」

公野「本名は公野。以後お見知り置きを♪」

曜「あっ、はい!えっと、私はわたな…」

公野「Aqoursの渡辺曜だね、そっちが松浦果南でそっちが黒澤ルビィ」

曜&ルビィ&果南「!?」

ルビィ「じ、自己紹介もしてないのに…」

果南「な、なんで私たちの名前を…」

公野「うふっ…」

493: 2020/07/06(月) 23:17:17.81 ID:8UYPe4RL
絵里「GOD…この子達で遊ぶのはやめてください」

公野「ごめんごめん!こういう子達が目を丸くするのが好きでさ」

絵里「……なぜここに?」

公野「昔から風の吹くまま気の向くまま、神出鬼没が私ってもんだったでしょ」

絵里「そんな事言ってるんじゃありません…。あなたが私の前に現れたってことは…何か、伝えたいことがあるからじゃないんですか?」

公野「……流石絵里、鋭いね」

絵里「あなたは昔から私たちがピンチな時にふらりと現れる…」

絵里「今回もそうなんですよね?」

公野「……うん、そうだよ」

公野「じゃあ、単刀直入に言うね…絵里、早く日本に戻ってあげなさい」

絵里「どういうことですか…?」

公野「……あんた達の最後の希望」

絵里「!……秋穂がなにか?」

公野「あんたが早く戻らないと……死ぬよ」

絵里「……ッ!」

494: 2020/07/06(月) 23:19:32.49 ID:8UYPe4RL
果南「あの…」

公野「ん、なにかな?」

果南「絵里さんと、その……公野さんの関係って……」

絵里「……昔、μ'sが切羽詰まった時に色々とアドバイスをくれてたの」

公野「μ's、影ながら応援してたのよ。ま、ラブライブを優勝したのは紛れもなくこの子達の実力だけど…」

絵里「……私たちはGODのお力添えがあってこその優勝だと思ってます」

曜「だから敬意を示して神様なんだ…」

公野「……というか、あなた達だって」

曜「え?」

公野「……ま、いいや」

絵里「GOD、さっき言っていた秋穂の話はどういう事ですか?」

495: 2020/07/06(月) 23:23:49.93 ID:8UYPe4RL
公野「どうもこうも…そのままの意味だよ」

絵里「……秋穂には海未がついているはずですが」

公野「……幼少期からずっと両親不在のツケが今、回ってきたって事よ」

絵里「……というと?」

公野「あの子の不安定な心のバランスを保っていたのは間違いなく穂乃果」

公野「ただ、彼女への信頼が秋穂の中で揺らいだ……“あいどる”のせいでね」

絵里「……その彼女というのは穂乃果の事ですか?」

公野「……あの子の人格を形成したのは穂乃果。あの子の中での穂乃果への信頼は揺るがないよ」

公野「ただ、自分が盲目的に信じてるものを他人に揶揄されると人は何が真かわからなくなるんだよね」

絵里「……彼女とは……雪穂ちゃんのことですか」

496: 2020/07/06(月) 23:31:03.02 ID:8UYPe4RL
公野「……穂乃果が不在の今、あの子の心には常に痼りがある状態」

公野「海未や希に迷惑かけたくないからって一人で抱え込むかもね……」

公野「それに……穂乃果に似て、好奇心旺盛な所があるから、変なことに首突っ込むよ、あの子……」

絵里「………」

公野「海未も希も秋穂に甘い、結局、コントロール出来てないのが現状」

絵里「……私は海未や希のせいだとは思いませんが」

公野「うん、私もそうは思わないよ」

公野「……絵里が捕まっていた間、日本は変わった」

絵里「…日本だけじゃないです、ここも…」

公野「そうだね…“あいどる”もとい愛民党を支持する者は海外にもいる…絵里が言うように、このニューヨークだって例外じゃない」

公野「血の大晦日以降…“あいどる”への信頼は高まり続けてる」

公野「……早くあいつを止めないと、いつか外で“あいどる”の悪口さえ言えなくなる時代が来るよ?いや……もう来てるのか……」

絵里「………」

497: 2020/07/06(月) 23:35:17.61 ID:8UYPe4RL
絵里「」クルッ

公野「もう行くの?」

絵里「はい、ご忠告ありがとうございます」

公野「ねぇ…絵里」

絵里「はい?」

公野「その子達の面倒を見るのは辛くない?」

曜「……えっ」

絵里「……いえ……そんな事」

公野「…闇に生きると決めたあなたには…この子達は眩しすぎるでしょ」

絵里「………」

公野「これからはどうするの?」

絵里「……日本に帰る方法を模索します」

公野「そう……」

公野「……絵里、これ」スッ

絵里「……これは?」

公野「私お手製の地図よ、ここに向かいなさい」

絵里「……ここに何があるんですか?」

公野「行けばわかるわ」

絵里「……わかりました、ありがとうございます」

絵里「……では、また」

公野「えぇ、気をつけてね」

絵里「……」スタスタ

曜「あっ!私たちも行k…」

グイッ

曜&ルビィ&果南「え!?」

公野「あなた達……絵里をよろしくね、あの子……ちょっとナーバスになってるところがあるから」

曜&ルビィ&果南「は、はい…」

498: 2020/07/06(月) 23:42:52.12 ID:8UYPe4RL
スタスタ

曜「神様が言うナーバスって何を指してるんだろう?」

果南「……孤独とか」

曜「孤独?」

果南「絵里さんのは私の比じゃないんだろうけど、ここに来て曜ちゃん達に会うまで私…凄く孤独だったから」

曜「なるほど……確かに私達、そんな気持ちの絵里さんの前ではしゃぎすぎてたかも……」

ルビィ「ルビィは……虚無感とかじゃないかな……って」

曜「虚無感?」

ルビィ「絵里さん前に言ってたよね…ほら、ルビィが泳げないって言った時」

ルビィ「誰も救えなかったって…」

ルビィ「多分……穂乃果さんの事とかもあって……あんまり明るくなれないんじゃないかな……?」

果南「確かに……昔、写真で見た時とはだいぶ雰囲気も違うよね……」

曜「……でも、年下の神様に敬語使う礼儀とか」

曜「そういうのはイメージ通りだけど……」

絵里「……GODは私より年上だから」

曜「え!?」

絵里「内輪話ならもう少し小さな声で話しなさい……全部聞こえてるから……」

曜「……す、すみません」

499: 2020/07/06(月) 23:45:18.68 ID:8UYPe4RL
果南「公野さん、年上なんですね…あんなに若々しいのに」

絵里「全然上よ……でも、初めて会った時から全く容姿が変わってない」

絵里「昔の私たちも……さっきのあなたたちみたいに自己紹介もしてないのに名前から性格まで当てられて驚いたわね……」

絵里「……GODに何を言われたかは知らないけど、別に気を使わなくていいから」

ルビィ「……絵里さん」

絵里「……ほら、ついたわよ」

果南「ここは……」

曜「……なんだろう?何かの施設かな?」

絵里「……入るわよ」

500: 2020/07/06(月) 23:48:34.69 ID:8UYPe4RL
コツコツ…

ルビィ「なんだか薄暗くて怖いね…」

曜「全く人気がないや…」

果南「そういえば、ここに来るまでの道のり…あんまり人とすれ違わなかったような…」

曜「この部屋はオフィスかな?」

果南「乱雑に置かれた書類にファイル。ここにもう人はいないんじゃ?」

絵里「……ラボ」

曜「ラボ?」

絵里「……5階にラボがあるらしいから、行きましょ」

果南「あっ、向こうにエレベーターがありますよ!」

501: 2020/07/06(月) 23:52:27.75 ID:8UYPe4RL
チーン、ガラッ

ルビィ「こ、このフロアはまだ明るい方かも…」

絵里「…………」

絵里「」コツコツ…

曜「ここがラボですかね?」

絵里「入るわよ」

ウィーン

果南「うわっ…入り組んでるなぁ…」

ルビィ「ルビィ…迷っちゃいそう…」

絵里「」キョロキョロ

絵里「……!」

絵里「これは……」スッ

ルビィ「……あっ!それって、昔のBiBiの写真……?」

果南「え?どれどれ?」

曜「うわ~!可愛いっ!これが絵里さんで…にこさん…それに…」

絵里「………」

502: 2020/07/06(月) 23:56:29.13 ID:8UYPe4RL
「何勝手に見てるのよ?」

絵里「……!」 クルッ

絵里「……真姫」

真姫「エリー、あなた…どうしてここが?」

絵里「GODがここに行けってね」

真姫「はぁ……本当にあの人は……」

ルビィ「あ、あわわわ…!」

ルビィ「μ'sの真姫さん…!ほ、本物だ~!」

曜「ルビィちゃん本当好きだね~」

果南「今も昔も、好きなものって変わらないもんだね」

真姫「……エリー、あなた何かの引率?」

真姫「それとも何かそういう仕事を始めたの?」

絵里「フッ…真姫もそんな冗談言えるようになったのね…」

絵里「……真姫がそんな冗談を言うってことは……何かやましい事でもあるってことかしら?」

真姫「……やましい事なんてないわ。でも……積もる話はあるのよ」

絵里「せっかく旧友と再開したんだもの。聞かせてもらおうかしら?」

503: 2020/07/06(月) 23:59:35.92 ID:8UYPe4RL
真姫「……はぁ」ギシッ

真姫「座れば?」

絵里「……えぇ」

真姫「あなた達も」

曜&ルビィ&果南「あ、ありがとうございます!」

絵里「……真姫、いったいここで何を?」

真姫「……エリーはあの後、すぐに“あいどる”から追われる身になったから知らないのね」

絵里「どういうこと?」

真姫「私はあのウィルスのワクチンを作ってたのよ、ずっとね」

絵里「海未たちは知ってるの?」

真姫「……おぼろげに」

絵里「……それで、そのワクチンは出来たの?」

真姫「えぇ…つい先日ね」

504: 2020/07/07(火) 00:03:37.22 ID:UT7itLJ8
絵里「ワクチンは今ここに?」

真姫「いいえ…今ここにはないわ」

絵里「……なんでよ。つい先日出来たんじゃないの?」

真姫「今、ワクチンを配布したって意味がないでしょ?来るべき時に備えて作ったんだから」

真姫「それに…いきなり実用化なんて出来ないわ」

絵里「……人体実験でもするつもり?」

真姫「表向きは“あいどる”を支持していても裏では疎ましく思ってる連中は少なからずいるわ」

真姫「水面下で交渉していた後進国の首脳が快諾してくれてね。今はそこの人たちのサンプル待ちよ」

絵里「じゃあ今ワクチンはその首脳のところに?」

真姫「そういうことになるわね」

505: 2020/07/07(火) 00:06:57.90 ID:UT7itLJ8
真姫「……ま、偉そうに説明してたけど、私はワクチンを作る行程では役に立ってないのよね」

真姫「専門分野じゃないし」

絵里「他に誰か協力者が?」

真姫「パパとパパの部下……それと、京極という名前の男性」

真姫「その中で先頭に立ってやってくれたのが…」

ウィーン

絵里「!」

京極「おや?これはこれは珍しい客人ですね」

絵里「彼は?」

真姫「噂をすればね、彼が今話していた京極くんよ」

506: 2020/07/07(火) 00:13:09.57 ID:UT7itLJ8
京極「初めまして京極です」

絵里「どうも」

京極「お会い出来て光栄です、絢瀬絵里さん。穂乃果さんがいない今、“あいどる”に対抗出来るのはあなただけですからね」


ルビィ「あ、あっ!」

果南「そ、それは…!」

曜「言っちゃまずいんじゃぁ…」


絵里「……いえ、私なんて全然。私なんかより全然希望を持てる子がいますし……」


ルビィ「あ……あれ?思ってたよりぃ……」

曜「ノーリアクション?」


京極「それは秋穂ちゃんの事ですか」

絵里「……!ご存知なんですか?」

真姫「……京極くんは雪穂ちゃんの助手なの」

絵里「……え?」

絵里「本当?それ…?」

京極「はい。先生の助手を務めさせていただいております」

絵里「じゃあ…さっき言っていた、先頭に立って…っていうのは…」

真姫「……そっ、雪穂ちゃんのこと」

509: 2020/07/07(火) 02:24:21.54 ID:UT7itLJ8
絵里「でも……その肝心の雪穂ちゃんが見当たらないんだけど?」

真姫「さっき言った後進国へのブローカー役が雪穂ちゃんよ」

絵里「……秋穂は知ってるの?」

真姫「知ってるわけないでしょ?そもそも、雪穂ちゃんが秋穂に会いたがっていないもの」

絵里「…!!どういうこと、それ?」

京極「先生はいつもおっしゃってました、こんな自分がどんな顔してノコノコ会いに行けるんだって」

絵里「………」

真姫「あのワクチンは雪穂ちゃんがいないと作れなかった」

真姫「いえ…もっと言えば雪穂ちゃん以外には作れないはずよ」

真姫「……雪穂ちゃんから私たちに協力したいと言ってきたのよ」

絵里「……それって、まさか」

絵里「いや……でも、そんなわけ」

真姫「彼女と話はしても、その辺について私は詮索しない……というか出来ないわよ」

真姫「デリケートな部分なんだし…」

510: 2020/07/07(火) 02:25:46.80 ID:UT7itLJ8
絵里「……あの」

京極「はい?」

絵里「雪穂ちゃんは……真姫たちと合流する前はどこで何を?」

京極「え?えぇと……確か……日本の……」

・・・

曜「え!?」

果南「うそ…」

ルビィ「そ、そこって…」

絵里「………」





ガタンゴトンッ…

次は沼津~次は沼津~

秋穂「……お母さん」

511: 2020/07/07(火) 02:27:54.37 ID:UT7itLJ8
絵里「沼津……ね」

真姫「さてと……とりあえず雪穂ちゃんの話はこの辺にしときましょう」

真姫「あのねエリー、あなたに……見てもらいたいものがあるの」

絵里「見てもらいたいもの?」

真姫「えぇ…京極くんもついてきて」

京極「わかりました」

ルビィ「あ、あの!」

真姫「……?どうしたの?」

ルビィ「る、ルビィ達も行っていいですか?」

真姫「構わないけど」

ルビィ「あ、ありがとうございます!」

513: 2020/07/07(火) 02:33:21.14 ID:UT7itLJ8
京極「では皆さん、エレベーターへ」

ゾロゾロッ…

絵里「何階へ?」

京極「地下です」

曜「地下……」

絵里「地下にいったいなにが?」

真姫「………」

絵里「……真姫?」

真姫「……元々ここは、“あいどる”側の研究施設だったらしいわ」

絵里「………」

真姫「血の大晦日以降“あいどる”は別の施設へと研究スペースを移した」

絵里「何のために?」

京極「ここで血の大晦日に使用されたウィルスが作られていたんです。その発覚を恐れた“あいどる”は早々と撤退を決めたようです」

真姫「よほど慌てていたんでしょうね。ウィルス製造に使用した備品やら書類やらが置きっぱなしで、証拠隠滅を謀る余裕もなかったことは想像に難くないわ」

514: 2020/07/07(火) 02:39:36.66 ID:UT7itLJ8
チーン、ガラッ

スタスタ

真姫「そんな中、この地下施設のガードだけは厳重だったのよ」

真姫「もともとここはスルーしてたの。雪穂ちゃんが来るまでは」

真姫「指紋認証は雪穂ちゃんに解除してもらってるわ、今必要なのはパスコードだけ」

真姫「京極くん」

京極「はい、少々お待ちください」ピツピッピッピッ

真姫「雪穂ちゃん曰く、建物の中で、この地下施設だけは血の大晦日以降も出入りされていた可能性があるそうよ」

絵里「……真姫、この扉の向こうに何があるの?」

真姫「……見ればわかるわ」

真姫「……エリー、私ね」

真姫「仲間に……エリーに久しぶりに会えて嬉しかった」

絵里「え?」

真姫「エリーはどうだった?」

絵里「そんなの当然、私も……嬉しかったけど」

真姫「……そう」

真姫「でも、今から見るものはもっと嬉しいと思うわ」

絵里「え?」

ピッ、ガシャン

京極「開きました」

真姫「入るわよ」

真姫「……そうだ」チラッ

真姫「あなた達も……心の準備はしときなさい」

果南「え、は…はい」

515: 2020/07/07(火) 02:42:28.71 ID:UT7itLJ8
バタンッ…

グワンッグワンッグワンッ

果南「な、なにこれ…」

ルビィ「大きいカプセルがいっぱい……」

絵里「真姫、これは…?」

真姫「………」

絵里「………?」

曜「あっ…!」

絵里「…どうしたの?」

曜「よく見たらこのカプセル……中に人が!」

果南「え?」

果南「」ジッ…

果南「ほんとだ…」

真姫「……ここには何百というカプセルがあるの」

果南「ぜ、全部…中に人が入ってるんですか?いや、まさかね…」

真姫「……そのまさかよ」

516: 2020/07/07(火) 02:45:31.73 ID:UT7itLJ8
曜「こういう球体のカプセルの中に人がいるのって、映画とかで見た事あるような」

曜「中にいるのは実はクローン人間で…っていう」

真姫「これに関してはクローンとかそういう類じゃないわ」

真姫「……ただ、中にある水が何かしらの作用で老化を抑えてるみたい」

絵里「なぜそんな事がわかるの?」

真姫「……それは」

ルビィ「えっ……」

絵里「…?どうしたの?」

ルビィ「この中に…花丸ちゃんが…」

曜「う、嘘…!?」

花丸『』・・・

曜「ほ、ほんとだ…なんで…」

ルビィ「なんで花丸ちゃんがこんなところに…?」

517: 2020/07/07(火) 02:48:59.51 ID:UT7itLJ8
果南「ね、ねぇ…」

曜「どうしたの果南ちゃん?」

果南「これ、ダイヤだよね…?」

ルビィ「え…ちょ、ちょっと見せて…!」

ダイヤ『』・・・

ルビィ「ほんとだ……お、お姉ちゃん……だ」

果南「二人とも…ずっとこんなところに閉じ込められてたの…?」

ルビィ「お姉ちゃん…無事…なんだよね…?」

ルビィ「ま、真姫さん…お姉ちゃん達は…!」クルッ

・・・ポツン

ルビィ「あれ?」

ルビィ「真姫さんがいない…」

果南「あっ…そういえば、絵里さんもいない…」

曜「二人ともどこに…?」

518: 2020/07/07(火) 02:51:12.88 ID:UT7itLJ8
絵里「真姫…どこに連れて行くつもり?」

真姫「来たらわかるわ」

スタスタ…

絵里「……」チラッ

女1『』・・・

絵里「……」チラッ

女2『』・・・

絵里「この子達はなんのためにこんな?」

真姫「…わからないわ」

絵里「雪穂ちゃんは?」

真姫「知らないって言ってたけど…」

絵里「……」

コツコツ…

ピタッ

絵里「…!」

真姫「……ここ」

絵里「なに?」

真姫「……これ」クイッ

絵里「…………ッッ!!!」

519: 2020/07/07(火) 02:55:31.54 ID:UT7itLJ8
亜里沙『』・・・

絵里「亜……里……沙……?」

絵里「(えっ……いや……でも……)」

絵里「真姫……これって……?」

真姫「……μ'sが再集結してから、エリーに重荷を背負わせてたわよね」

真姫「エリーに…汚れ役を任せてしまった…」

絵里「……生きてるの……?」

真姫「……ここにいる子たちみんな、息はあるわ」

真姫「ただ、開けるタイミングは開いても安全と確認が取れてからにしようと思ってる」

絵里「……亜里沙」

亜里沙『』・・・

絵里「……っ」ツー…

絵里「……グスッ……亜里沙……っ……」

絵里「うぅ……よかった……本当に……っ、よかったぁ……」

真姫「亜里沙ちゃんがいなくなってからのエリーを見てるのは……本当に辛かった」

真姫「でも……一番辛かったのはエリーよね……」

真姫「叶うなら、私は……エリーに昔みたいに笑ってほしい」

絵里「うっ…うっ…うわああぁぁん…!!!」

絵里「エグッ……エッ……ウェッ……」

真姫「うん……でも今は……泣いてもいいから」

520: 2020/07/07(火) 02:59:17.24 ID:UT7itLJ8
曜「え、絵里さん!?どうしまし……た?」


絵里「………うっ…グスッ…グスッ」


果南「……え、絵里さんが泣いてる?」

ルビィ「る、ルビィ……初めて見た」


真姫「感情を抑制してないといけなかったのよね…」

真姫「妹が死んで、笑ってなんていられなかったのよね…」

真姫「……いつ以来かしら、こんなに泣くエリーは」

真姫「……あぁ、あの時」

絵里「……ひっぐ……亜里沙ァ……」

真姫「……よしよし」ナデナデ


曜「いったい、なにが…?」

京極「家族との再会さ」

ルビィ「京極さん…」

京極「実に十数年振りのね…」


生きていた亜里沙を前にし、感情が爆発した絵里。
そして母・雪穂の情報を求め、沼津へと出向いた秋穂は……。

第5章「あの日その時この場所で」-完-


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