『バアドケージ』夕霧綴理(特訓後) 「春が香って、夏が注いで、秋は過ぎ去る。そろそろまた冬が積もって、鼻をくすぐる春の匂いを待ち焦がれることになるのかな。••••••そうだね、時は続いていく。ボクが立ち止まっても、振り向いても、お構いなしに。空は身勝手で、ずっと見ていたいと願う景色も流れていく。 でも、雨が降り続いていたら、ボクの見たい景色はいつまで経っても見られない。 雨は、上がるから••••••好きなんだ。身勝手なのは、ボクの方なんだって気付いたよ。 過ぎ去る時を受け入れよう。前に進むことを受け入れよう。飛び立つ翼は、ずっと前に託された。 翼が言ったんだ、きみはもう大丈夫だって。翼に身を任せなくても、踏み出す足があるんだって。 踏みしめる地面は怖い。でも覚悟して、一歩前に進んだつもりだった。なんの感触もなかった。美しい空を飛んでいた。 翼は何も言わなかった。だって、翼はボク自身だったから。」
『バアドケージ』徒町小鈴(特訓後) 「鳥籠の中は心地良くて、でも飛び出さなきゃいけなくて。って。 今回のことを、綴理先輩はこういう詩にするんだなあ••••••徒町、感動しました。 鳥籠って言うと、徒町はやっぱり家(いえ)のことを思い出しちゃうからさ。籠からは飛び出すのが当たり前だし、それが偉いってわけでもないと思ってた••••••って、そんなことを綴理先輩に言ったんだ。 そしたら、聞かれたんだ。すずは家に居た時、一緒に居た家族嫌だった?って。 それは、そんなことなくて。むしろ、凄く好きで。でも徒町じゃ何もできなくて••••••そう言ったら、綴理先輩は、だったらもうその時のすずは、ボクより凄いって笑ってた。ボクより先に、温かいところから飛び出したんだって。 その時にはっとしたんだ。もちろん徒町が凄いって話じゃないよ? 綴理先輩にとっては、鳥籠っていうのは出なきゃいけない場所じゃなくて、凄く••••••優しくて、ずっと居たい場所で。 でも、それでも飛び出すことを決めたのは、徒町と同じで、外に出て何かしなきゃって思ったからなんだって。だから徒町、歌うよ。綴理先輩のこれからのために。」
『バアドケージ』村野さやか(特訓後) 「DOLLCHESTRAの新曲、バアドケージをお届けしました。 今回に関しては••••••そう、ですね。わたしは、楽曲の方を中心に、綴理先輩とともに練らせていただきました。作詞については••••••部室で、綴理先輩が、ひとつひとつ文字を綴るのを、ただ眺めていただけです。 邪魔になるかなとも思ったんですが、それを自分から言い出すこともできず。綴理先輩は凄い集中力で、時たまワンフレーズを書きだしては、しばらく物思いにふけって、そしてまたワンフレーズ。どこかに行けとも、どこにも行くなとも言われなかったので、わたしはわたしの好きにしていました。邪魔をしてもいけないので、スマホは両方切って。 夕日が沈んで、廊下の電気が少し眩しくなったくらいのタイミングで綴理先輩が仕上げた歌詞は、まさしくわたしが見てきた綴理先輩の想いそのものでした。 どうか、バアドケージを、夕霧綴理を、これからもよろしくお願いします。」
引用元: undefined