【SS】曜「グッバイ、マイ・・・」【ラブライブ！サンシャイン！！】

まどろみの中。

私はいつの間にか、ここにいた。

どうしてここにいるのだろう。


？？「目が覚めました、曜さん」

曜「・・・曜？」


？？「そうです、それがあなたの名前です」


ダイヤ「私はダイヤ。あなたたちを導くものですわ」


曜「・・・ここは、どこ？」



ダイヤ「ここは、人間が生まれる前の世界ですわ」

ダイヤ「曜さん、あなたはまもなく赤ちゃんとしてこの世に生を受けるのです」

ダイヤ「ここは、その準備をする場所」

曜「生まれる前の世界・・・？でも、私、もうちゃんとここにいるよ？」

曜「それに、ちゃんと喋れてるし」

ダイヤ「あなたはまだ、生まれる前の魂なのですわ」

ダイヤ「生まれる前の魂は、ここでの準備を円滑にできるよう
　　　　　この世の全ての知識を仮に与えれてますわ」

ダイヤ「でも生まれれば、すべてがリセットされますわ　この知識も　記憶も」


曜「そっか」

気づくと、私の周りに3人の女の子がすっと現れた。

梨子「・・・ここは、どこ？」

千歌「私はだあれ？」

ルビィ「なんでここにいるのかな」


ダイヤ「あらあら、今回は4人もいるのですわね」


曜（私を含めて4人・・・みんな、赤ちゃんとして生まれて来るんだ）

ダイヤさんは、私に教えてくれたように、3人にも説明をした。


千歌「これから、生まれるんだね！楽しみ！」

梨子「ええ、どんな女の子になるのかしら」

ルビィ「気になるなあ～」


花丸「知りたいずら？」


ルビィ「誰？！」


花丸「私は、生を司るもの　花丸ずら
　　　あなたたちを赤ちゃんとして送り出すのが　私の仕事ずら」

曜「あ、よろしくお願いします」


梨子「それより、知りたいって、知ってるの？」


ダイヤ「そうですわ　この世界では、あなたたちが生まれた後の未来がわかります」


千歌「すごい！教えてよ！！」

善子「知らない方がいいこともあるわよ」


花丸ちゃんと対になるように、黒い衣装を着た謎の女の子がいる。


花丸「善子さん、黙るずら」


善子「まあいいわ、でも、知ると後悔するわよ？
　　　　その時は、死の使者　ヨハネ様がお世話をしてあげるけど」


千歌「えーなんで後悔するの？だってこれから生まれるんだよ？」


ダイヤ「そうですわ　あなたたちは何億という命の中から選ばれた存在なのです」


曜「何億の命・・・そうか、私たちってすごいんだ・・・」

花丸「それより、知りたいずら？」


梨子「ええ。知りたい！私の人生を！」

千歌「私も知りたい！」

ルビィ「ルビィも！」

曜「・・・私も、教えてほしいな。」


花丸「よく言ったずら！では鞠莉ちゃん頼むずら！」


鞠莉「Oh,Yes！　未来の使者、マリーがあなたたちの未来を見せるわ！
　　　　まずは梨子！レッツカモーン！」


世界が暗転し、全員の脳内に、映像が浮かび上がってきた。

【桜内梨子　天才ピアニスト】
幼少期から、ピアノ敷かない世界で育つ。1日16時間、ピアノの稽古。テレビも見ない。友達はいない。


梨子「え？」


梨子ママ『なんで失敗したの！お母さん恥ずかしいわ！バツとして、この曲を完璧に引ききるまで、ご飯は抜きよ！』

梨子『やめてよお母さん！わたし、わたし・・・』

梨子ママ『やりなさい！あなたにはピアノしかないの！それも出来ないなら、生きる価値なんてないのよ！』

梨子『・・・・・・・・』


鞠莉「その夜、こっそり抜け出した梨子は、学校の屋上へ。ゆっくりと屋上のヘリに登って・・・」

鞠莉「そこから先はミエマセーン」


梨子「・・・・・・・・嘘、だよね？」


曜（なにこれ　自〇ってこと？　梨子ちゃんが？　なんで？）

鞠莉「続いては千歌ね」


【高海千歌　アイドル】
輝きを求めてアイドルになるが、まっていたのは汚い大人の世界。未成年飲酒は当たり前。仕事のためには何でもする。たとえそれが、え　ちなものでも…



P『フフフ、この仕事を受けたいならさ、ねえ、わかってるよね』

千歌『わかってるよ、どうせホテルに行くんでしょ』


P『ぐへへへ・・・いいねえ　きっとトップアイドルになれるよ』


千歌『（これがアイドルなのかな）』


鞠莉「その夜、そのPとなんやかんやする前に、お酒を何リットルも一気飲みし、倒れて…」


鞠莉「そこから先はミエマセーン」



千歌「いやだ・・・こんなの、やだよ」


曜（・・・なんで？）

鞠莉「続いてはルビィ、曜ね」


【黒澤ルビィ】
生まれた直後に沼津駅のロッカーに捨てられる。
7日間泣き叫んだあと、脱水症状で発見される・・・。そして・・・


ルビィ「・・・・え。。。。」


鞠莉「その先は」


ルビィ「やめて！！！それ以上言わないで！」


曜「・・・嘘だよね？」


鞠莉「そして、曜」


【渡辺曜】
飛び込みの選手として幼少期より活躍するも、ある日事故にあい



両足を失う

曜「いやあああああああああああああああああああああああああ」
千歌「なんで、どうして！？」


梨子「自〇だなんて、これじゃ生まれる意味がないじゃない！」


ルビィ「・・・・うあああーーーん」



善子「だから言ったじゃない　知らない方がいいってね」


曜「両足がなくなる、嘘だよね」


ダイヤ「残念ですが、これは運命　今見えたことは確定事項、絶対に変えることはできないのですわ」


曜「・・・」

善子「でも、たったひとつだけ　助かる方法があるわよ？」


ルビィ「え？」

曜「？！」

善子「私と一緒に、その黒いゲートをくぐりなさい　そうすれば、生まれてこなくて済むわ」


千歌「生まれてこなくて済む・・・」


梨子「でも、そのあとはどうなるの」


善子「どうもならないわ　無になるだけよ
　　　でも、つらい思いをして生きるよりはましよ」


花丸「ダメずら！無になったらすべてがなくなっちゃうずら
　　　生きよう、白いゲートをくぐって！」


曜「・・・」

曜「ここに残ることはできないの」


ダイヤ「できませんわ　あなたたちは必ずどちらかのゲートをくぐらなければならない
　　　　　それが決まりですわ」


ダイヤ「もちろん、今すぐにとは言いません　じっくり考えて決めなさい」


曜「（両足がないなんて、生きてなんか行けない）」


千歌「（汚い世界なんて、行きたくない）」


梨子「（ピアノだけで人生が決まるなんて）」







ルビィ「私、生まれます」

千歌「ダメだよルビィちゃん！捨てられちゃうんだよ！赤ちゃんで！」

梨子「そうよ、100％死んじゃうわ」

曜「ルビィちゃん、どうして」


ルビィ「たしかに、捨てられて7日で死んじゃう運命かもしれない
　　　　でも、一生懸命泣けば、誰かが気づいてくれるかもしれない
　　　　それに、かけてみようと思う」


曜「ルビィちゃん」


ダイヤ「ではお行きなさい　ルビィ」


千歌「ダメだよ！赤ちゃんじゃ無理だって」


ルビィ「千歌ちゃん！努力しないで、無理だって決めつけちゃだめだよ！」


ルビィ「ルビィは生き残って見せる　絶対に！」



そうやってルビィは　白いゲートに飛び込んでいった

私たちは、結局どっちにいくかまだ選べなかった

それから、7日が経った・・・
曜「ルビィちゃん、どうなったのかな」

千歌「今日が7日目だよね・・・」


梨子「ルビィちゃん」



ビギィ！ビギィ！ビギィ！ビギィ！ビギィ！



どこからともなく、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。



千歌「この声は」
梨子「まさか」

曜「ルビィちゃんが泣いているんだ！生きようとしてるんだ！！」

ビギィ！ビギィ！ビギィ！ビギィ！ビギィ！


曜「がんばれ！！ルビィちゃん！！」


ビギィ！ビギィ！ビギィ！ビギィ！

千歌「・・・ルビィちゃん」


ビギィ！ビギィ！ビギィ！


梨子「お願い！！」

ビギィ！ビギィ！

曜「誰か、ルビィちゃんを見つけて・・・！」






それから、泣き声は聞こえなくなった

千歌「やっぱり、ダメだったんだ・・・」


梨子「結局、運命は変えられないのね」


曜「・・・でも、ルビィちゃんは一生懸命に生きたんだ
　　たった7日間を　生きるために」


曜「決めた、私も生まれる」



千歌「どうして？両足なくなっちゃうのに！！」

梨子「そうよ！」


曜「たしかに運命は変えられないかもしれない
　　それで死んじゃうかもしれない
　　でもさ、それに立ち向かっていくのが、生きるってことじゃないかな？」

梨子「・・・そうね、そうよね」
千歌「私も、行くよ」


梨子「そうね、ピアノぐらいで自〇しちゃわないよう頑張るわ」


千歌「千歌もがんばる！」


曜「千歌ちゃん、梨子ちゃん・・・」


梨子「じゃあ先に行くね、私たち」


千歌「あっちで会えるといいね！」


そうやって梨子ちゃんと千歌ちゃんも、ゲートに入っていった

ダイヤ「本当にいいのですか？」


曜「うん。決めたことだから」


曜「でもやっぱり、飛び込みできないし、いじめられるよね？」


ダイヤ「ええ。車いすですから、世の中はまだ未熟なのかもしれませんね」


曜「でも、私負けないよ。」


曜「飛び込みができなくったって、いじめられたって」


曜「精一杯、生き抜いて見せる」


ゲートに向かう曜。曜はじっと、自分の両足を見つめる。




曜「グッパイ、マイ・・・」

FIN

後日談

曜「すっかり車いすにも慣れてきたな」

曜「あ、テレビでドキュメンタリーやってる」


テレビ『それではあなたは、ロッカーに捨てられていたんですか』


？？？『そうなんです、里親に聞かれたときは本当にびっくりしました』


？？？『警察の方が、ロッカーから泣いている声がするって見つけてくださって』


？？？『なんでも、あと1時間発見が遅れていたら助からなかったらしくて』



曜「・・・？」


なんだろう、この安心感は。



？？「よーちゃん！」


曜「あ、千歌ちゃん！アイドルはいいの？」

千歌「いいよ！前の事務所やめちゃった！チカのやりたかったことと違ったもん！」

千歌「でも、果南ちゃんが設立したAqoursでは、とってもやりたいことできてるよ！」

曜「そっか」

千歌「作曲家の梨子ちゃんもとっても優しいし！」


曜「あはは、千歌ちゃん梨子ちゃんの事大好きだもんね！」


千歌「ねえ、曜ちゃん　曜ちゃんも一緒にやってみない、スクールアイドル！」




曜「足がないけど、できるかな？」


千歌「できるよ、やってみればできないことなんてないんだもん！」


曜「うん！」


本当に終わり

お読みくださりありがとうございました。

タイトルの通り、元ネタは演劇「グッパイ、マイ・・・」です

中学校でやった人も居るとおもいます
私はこれを見て、感動しました

ありがとうございました

重すぎる

確かに考えさせられる重い話だ
でもちゃんとアイドルとして成功するだろう未来が見えるから悲しくはないな

ありがとういい話だ

たとえ成功はしなくても前向きに生きていけるようになった時点で素晴らしい進歩だよね