【SS】栞子「歩夢さんって、お人好しすぎませんか⋯?」【ラブライブ!虹ヶ咲】

しおりこ SS


2: 2021/04/25(日) 19:50:54.22 ID:Ihp5OOGf0
──栞子ホーム──


歩夢(栞子ちゃん、過労で倒れたって聞いたけど大丈夫かな⋯⋯)

歩夢「栞子ちゃーん、お見舞いに来たよー」コンコン

歩夢「⋯⋯栞子ちゃん?」ガラッ


栞子「⋯⋯⋯zzZ」スースー


歩夢(寝ちゃってたか)

歩夢(起こすのも悪いし、ご飯だけ置いて帰ろうかな)


栞子「⋯⋯ん?」ムクリ

栞子「⋯⋯あゆむさん?」


歩夢「あ、起こしちゃった? ごめんね、私もう帰るから寝てていいよ」


──ギュッ(裾掴み


歩夢「え、栞子ちゃん⋯?」


栞子「⋯⋯ねるまで、いっしょにいてください⋯⋯」←寝ぼけてる


歩夢「っ! うん♪ いいよ♪」ニコニコ

6: 2021/04/25(日) 19:54:21.23 ID:Ihp5OOGf0
〜数時間後〜


栞子「あの、歩夢さん?」


歩夢「ん? どうしたの?」ニコニコ


栞子「どうして、我が家にいるのですか?」


歩夢「どうしてって、栞子ちゃんが過労で倒れたって聞いたからお見舞いに来たんだよ?」

歩夢「でも、元気そうで安心した」ニコニコ


栞子「そうでしたか⋯いえ、心配をお掛けしてすみません⋯⋯体調管理を怠るとは失態ですね、これは改善が必要です」


歩夢「もう⋯生徒会に習い事に同好会、休日はボランティア活動。そんな生活してたら過労で倒れちゃうのもしょうがないよ⋯⋯」


栞子「ですが⋯⋯」


歩夢「ですがも何も言わないの! 大変な時は、私たちを頼っていいんだよ?」


栞子「⋯⋯はい、善処します」


歩夢「うん、よろしい♪」ニコニコ


栞子「⋯⋯⋯」

歩夢「⋯⋯⋯」ニコニコ


栞子「⋯⋯あの、もう一つだけいいですか?」


歩夢「なあに?」ニコニコ


栞子「どうして歩夢さんも同じ布団で寝ているんですかっ!?///」


歩夢「栞子ちゃんが寝るまで一緒にいて欲しいって言ってきたから♪」ニコニコ


栞子「えっ!?/// 私がそんな事⋯⋯」

栞子「⋯⋯ハッ!///」←うっすら思い出してきた

栞子「〜〜〜/// 忘れてください⋯⋯///」カァァァ

8: 2021/04/25(日) 19:58:21.84 ID:Ihp5OOGf0
歩夢「照れなくてもいいのに♪  あ、お腹とか空いてる? 色々買ってきたからキッチン貸して貰えれば何か作るよ」


栞子「あ、いえ! そこまでして貰う訳には⋯⋯」


歩夢「もう、今日は遠慮禁止! みんなを心配させたんだから反省して?」ムゥ


栞子「⋯⋯では、何か軽いものを」


歩夢「じゃあ、お粥と卵焼きを作るね♪」ニコニコ


栞子「⋯⋯ありがとうございます」


歩夢「そういえば、栞子ちゃんって結構寝ぼけるタイプ?」


栞子「だから、忘れてください⋯⋯///」カァァァ

9: 2021/04/25(日) 20:02:09.32 ID:Ihp5OOGf0
〜間〜


歩夢「はい♪ あーん♪」


栞子「あの⋯// 自分で食べられるのですが⋯」


歩夢「だーめ♪ 今日はたっぷりお世話させて貰うからね♪」ニコニコ


栞子「うぅ⋯// あーん⋯⋯///」

栞子「⋯⋯///」モグモグ


歩夢「どうかな?⋯⋯美味しい?」


栞子「はい、とても。歩夢さんの料理は優しい味がしますね」


歩夢「え?⋯⋯味薄かったかな?」


栞子「⋯⋯そういうことではないのですが、なんというか、母の作る味に似ています」


歩夢「栞子ちゃんのお母さんか〜、流石にお母さんの味には負けちゃうよね」


栞子「いえ! 歩夢さんの卵焼きもとても美味しです!」


歩夢「そう? 良かった〜♪ 栞子ちゃんも、この味付けが好きなんだね」


栞子「も?」


歩夢「あ、この卵焼きはあの子の好みを研究し続けた賜物だから⋯//」


栞子「ふふっ♪ なるほど、つまりこれは歩夢さんのあの方への愛の結晶なんですね」


歩夢「そ、そんな大袈裟な〜//」アハハ

12: 2021/04/25(日) 20:10:21.36 ID:Ihp5OOGf0
──
────

──後日、部室にて──


栞子「助けてくださいっ!」ガラッ!!


あなた「わっ!? 栞子ちゃんどうしたの? そんなに切羽詰まって?」


栞子「あ、あなただけですか⋯匿ってください!」


あなた「え? えぇ?」


栞子「あの、ここに隠れるので歩夢さんが来たら違う場所に行ったと伝えてください⋯」モゾモゾ…


あなた「う、うん⋯⋯」


──ガラッ(ドアを開ける音


歩夢「栞子ちゃーん?」

歩夢「あれ? あなただけ? 栞子ちゃん来てない?」


あなた「さ、さぁ? あ、でもさっき北校舎の方にいくのを見たよ?」


歩夢「本当? ありがとう、探してくるね」スタスタ


あなた「⋯⋯⋯」

あなた「行ったみたいだよ?」


栞子「ありがとうございます⋯」


あなた「どうしたの? もしかして鬼ごっこでもしてるの?」


栞子「あ、いえそういうわけではなくて⋯⋯」

栞子「歩夢さんって、お人好しすぎませんか⋯?──」

13: 2021/04/25(日) 20:16:35.48 ID:Ihp5OOGf0
──
────

〜〜回想〜〜

──生徒会室──


栞子(なんだか今日は、いつもより元気が出ますね。昨日、歩夢さんが看病してくれたお陰でしょうか?)

栞子(それにしても、歩夢さんには助けて貰ってばかりですね。何か今度お礼を⋯⋯)


歩夢「あ、栞子ちゃんおはよう♪」ニコニコ


栞子「歩夢さん!? どうしたんですか? こんなに朝早くから⋯⋯」


歩夢「栞子ちゃんのお手伝いをしようと思って♪」ニコニコ


栞子「えぇ⋯?」


──お昼休み──


歩夢「栞子ちゃーん♪」ニコニコ


栞子「歩夢さん? どうかされましたか?」


歩夢「お昼も生徒会のお仕事するんでしょ? 私も手伝おうと⋯⋯」


栞子「いえあの⋯今日は会議だけですので⋯⋯」


歩夢「そっかあ、じゃあこれ! お昼に食べて♪」


栞子「こ、これは?」


歩夢「はちみつレモン♪ 疲労回復にいいんだよ♪」ニコニコ


栞子「ありがとうございます⋯ですが、どうしてわざわざ⋯?」


歩夢「だって、栞子ちゃんがまた倒れちゃわないか心配だから⋯⋯」


栞子「⋯⋯⋯」

15: 2021/04/25(日) 20:20:30.00 ID:Ihp5OOGf0
──練習後──


歩夢「栞子ちゃーん♪」ニコニコ


栞子「⋯⋯あの、なぜ付いてくるのでしょうか?」


歩夢「栞子ちゃん一人で帰れるかなって⋯⋯」


栞子「⋯⋯馬鹿にしてるんですか? 子供じゃありませんよ?」


歩夢「うふふっ♪ それは冗談♪」

歩夢「でも、心配してるのは本当なんだよ? 帰り道一人で倒れちゃったりしたら大変だし⋯⋯」


栞子「⋯⋯⋯」


──日本舞踏教室──


栞子「流石に歩夢さんもここには⋯⋯」


歩夢「栞子ちゃーん♪ お疲れ様♪」ニコニコ


栞子「ひっ⋯⋯!」

16: 2021/04/25(日) 20:31:30.22 ID:Ihp5OOGf0
────
──

〜〜回想終わり〜〜


栞子「といった風に体調不良の一件から歩夢さんに付き纏われてしまって⋯⋯」


あなた「あはは⋯歩夢ちゃんたまに凄い行動力見せるもんね」


栞子「ありがたいとは思いますけどなんだか監視させてるみたいで少し怖いですよ!」

栞子「歩夢さんって昔からああなんですか?」


あなた「そうだなぁ⋯確かに歩夢ちゃんは昔から優しかったし、お世話するのも好きだったみたいかな」

あなた「私が流行病にかかって数日間会えない時は毎日励ましの連絡してくれたし、治った後も数日間はべったりくっついて健康のこと心配してくれてたし」

あなた「⋯⋯ちょっと心配性な所があるのかも」


栞子「ちょっとというか、かなり重症ですね⋯⋯」


あなた「あはは⋯なるほどね、それで歩夢ちゃんから逃げてたんだ」


栞子「⋯⋯手伝って頂けるのは凄く助かります。ですが、歩夢さんには歩夢さんのやるべき事があるはずなので私の為に時間を犠牲にして欲しくないんです」


あなた「歩夢ちゃんにもそう言えばいいのに」


栞子「言いましたが聞いてくれませんし、善意に対してあまり強く言うのも⋯⋯」


あなた「あはは⋯そっか、じゃあ私から言ってあげようか?」


栞子「⋯⋯そうして頂けると助かります」


──ガララ(ドアを開ける音


歩夢「あ、栞子ちゃんやっと見つけた〜」ニコニコ


栞子「ひぇっ⋯⋯!?」ビクッ

17: 2021/04/25(日) 20:44:35.10 ID:Ihp5OOGf0
──
────

──生徒会室──


歩夢「栞子ちゃん、ここにハンコを押せばいいんだよね?」


栞子「はい、お願いします」

栞子(⋯結局、歩夢さんのお人好しにまた甘える形となってしまいました⋯⋯)

栞子(歩夢さんはどうしてこうも親身になってくれるのでしょうか⋯?)

栞子「歩夢さん、次はこちらを⋯⋯?」


歩夢「⋯⋯zzZ」スースー


栞子「⋯⋯歩夢さん?」

栞子(⋯⋯無理もありませんよ、ここ最近は私のお手伝いに付きっきりで、私と同じような生活をしていたんですから)


歩夢「んぅ⋯⋯zzZ」スースー


栞子「⋯⋯あっ」

栞子(歩夢さんが使ってるボールペン、以前私がプレゼントした⋯使ってくれているんですね⋯♪)


歩夢「⋯⋯zzZ」スースー


栞子「⋯⋯⋯」ジーーーー


栞子「⋯⋯⋯」ソーー……(スマホカメラ構え

──パシャッ

栞子「⋯⋯ふふっ♪」


歩夢「⋯⋯んぅ?」ムクリ


栞子「っ!?」サッ


歩夢「⋯あれ?⋯⋯ごめん、私寝ちゃってた?」


栞子「あ、いえ全然! 一瞬だけですよ?」

19: 2021/04/25(日) 21:00:21.77 ID:Ihp5OOGf0
歩夢「そっか、ごめんね? 手伝うって言っといて寝ちゃうなんて⋯⋯」


栞子「謝る必要なんてありませんよ」

栞子「⋯⋯歩夢さんは、どうしてここまでしてくれるのですか?」


歩夢「え? どうしてって⋯⋯?」


栞子「普通は他人にここまで補佐しないと思います、歩夢さんはお人好しが過ぎるのでは⋯⋯?」


歩夢「ん⋯⋯迷惑だった?」


栞子「いえ! 迷惑だなんてとんでもない、手伝って頂けるのは凄く助かります⋯⋯ですが」

栞子「ですが、これは私の好きでやってることで、歩夢さんには他に好きでやりたいことがあるはずで⋯⋯」

栞子「歩夢さんが私の為に時間を割く必要は無いですし、私にはそこまでして貰える義理がありません⋯⋯」

栞子「それどころか、私は過去に歩夢さんにも酷い仕打ちを⋯⋯」


歩夢「栞子ちゃん?」ズイッ


栞子「へ?」


歩夢「そんなこと言っちゃ、メッ! だよ?」ムニッ


栞子「ふぁ? あ、あゆむはん?」ムニー


歩夢「うふふ♪ 栞子ちゃんのほっぺ結構伸びるんだね♪」ノビー


栞子「あ、あの⋯そろそろはなしてください///」カァァ


歩夢「あ、ごめんね?」パッ

歩夢「⋯⋯栞子ちゃん、やっぱりまだ同好会を廃部にしようとしてた事、気にしてたんだ」


栞子「⋯⋯はい」


歩夢「言っておくけど、それ気にしてるのもう栞子ちゃんだけだよ?」


栞子「えっ!? そうなんですか⋯⋯?」

20: 2021/04/25(日) 21:09:48.19 ID:Ihp5OOGf0
歩夢「ふふっ♪ 栞子ちゃんって完璧に見えて、結構頑固で、抜けてるところもあるよね♪」


栞子「そ、そうでしょうか?」


歩夢「よしよし♪」ナデナデ


栞子「⋯⋯どうして撫でるのですか?///」


歩夢「栞子ちゃん、偉いなって思って♪」ナデナデ

歩夢「栞子ちゃん、最近は部活動のアドバイスするときも、適性がなくてもどうしたらやりたいことを実現できるか一緒に考えてあげたりしてるんでしょ?」ナデナデ

歩夢「私には、好きで誰かの為にそこまで頑張れる栞子ちゃんのほうがよっぽどお人好しに見えるけどな」ナデナデ

歩夢「⋯⋯だから、かな」ナデナデ


栞子「⋯?」


歩夢「そんな栞子ちゃんを支えてあげたい」

歩夢「一人で間違えちゃう時もあるけど、そんな時は誰かが支えてあげればいいと思うし、それに⋯⋯」

歩夢「私も、好きで栞子ちゃんのお世話したいんだよ♪」ニコニコ

歩夢「だからお世話させて? 何でも自分で解決しようとしないで、ちゃんと必要な時は私たちの事を頼ってね?───」

21: 2021/04/25(日) 21:15:09.81 ID:Ihp5OOGf0
──
────

──栞子ホーム──


栞子(⋯⋯結局、歩夢さんのお人好しに、またまた甘える形となってしまいました)

栞子(ふふっ♪ 歩夢さんのお人好しには困ったものです♪)


『━━私も、好きで栞子ちゃんのお世話したいんだよ♪ だからお世話させて? 何でも自分で解決しようとしないで、ちゃんと必要な時は私たちの事を頼ってね?━━』


栞子(優しい言葉⋯思い出すだけで心が温かく⋯⋯)

栞子(⋯⋯⋯)ドキドキ

栞子(⋯?//)ドキドキ

栞子(鼓動が早くなって⋯ドキドキして⋯⋯?///)ドキドキ

栞子(それに温かいというより、熱い⋯///)カァァ

栞子(この感覚は、一体⋯⋯?////)ドキドキドキ

23: 2021/04/25(日) 21:24:52.62 ID:Ihp5OOGf0
──
────

──次の日──


歩夢「おはよう、栞子ちゃん♪」


栞子「おはようございます歩夢さん⋯⋯わざわざ家にまで迎えに来なくても、生徒会の仕事を手伝うだけなのですから生徒会室で待ち合わせれば⋯⋯」


歩夢「栞子ちゃんが、朝の通学路で倒れちゃったりしないかな〜って思って⋯⋯」


栞子「⋯⋯そこまで病弱でしたら、私は今まで生きてこれてませんよ?」


歩夢「ふふっ冗談だよ♪ 栞子ちゃんから手伝って欲しいって言って貰えたのが嬉しくて♪」

歩夢「ほら、行こう栞子ちゃん♪」ニコニコ


栞子「はい、行きましょうか」

栞子(ふふっ♪ あんなにニコニコして⋯⋯本当に歩夢さんは人のお世話をするのが好きなんですね)

栞子「⋯⋯」ドキドキ

栞子「⋯?」ドキドキ

栞子(また鼓動が早く…)ドキドキ


歩夢「? どうしたの栞子ちゃん?」


栞子(それに、顔も熱く⋯///)カァァァ


歩夢「顔、赤いよ? 熱でもあるの?」オデコピト


栞子「っ!!?////」ドキッ!!

栞子(わ、わわっ⋯//// さらに鼓動が早く⋯///)ドキドキドキドキ


歩夢「凄く顔赤いけど、大丈夫!?」


栞子「な、なんでもありまひぇん!/// 大丈夫です! 行きましょう!!////」スタスタスタ


歩夢「あっ、栞子ちゃん待って〜!?───」スタスタ

25: 2021/04/25(日) 21:36:23.17 ID:Ihp5OOGf0
──
────

──廊下──


栞子(はぁ⋯一体、朝のあれはなんだったのでしょうか⋯⋯)スタスタ

栞子(歩夢さんの近くにいると、鼓動が早くなって体も熱くなる⋯ですが、今のように離れれば通常に戻る⋯⋯)

栞子(私は一体どうしてしまったのでしょうか? 何かの病なのでしょうか⋯⋯?)


かすみ「あ、しお子やっほー」フリフリ


栞子(ですが、特定の相手に近づくと発症する病なんて聞いたことがありません⋯⋯)スタスタ


かすみ「しお子ぉ⋯?⋯⋯⋯無視?」


栞子(一度、お医者様に診てもらった方が⋯⋯ですがそんな事ではまた皆さんに心配を⋯⋯)


かすみ「あれれ〜? もしかして、無視しちゃうくらいかすみんのかわいさに嫉妬しちゃった?☆」キャピ


栞子(そもそも日常生活に支障をきたす程でもないですから特に…)


かすみ「⋯⋯⋯ちょっとしお子!? いくらなんでも本気で無視は酷くない!?」ガシッ


栞子「ひゃぁっ!?」ビクッ!

かすみ「どわぁっ!!?」ビクッ!


栞子「か、かすみさん⋯? びっくりしました⋯⋯」


かすみ「こっちの方がびっくりしたんだけどぉ!⋯⋯どうしたの? ぼーっとしちゃって?」


栞子「⋯⋯かすみさん、私は何かの病にかかってしまったのかもしれません⋯⋯」

27: 2021/04/25(日) 21:44:58.63 ID:Ihp5OOGf0
かすみ「え? 病?」


栞子「実は⋯⋯」


〜説明中〜


かすみ「つまり、歩夢先輩の近くにいると体が熱くなって、心臓がドキドキしちゃうと」


栞子「⋯はい」


かすみ「離れれば治まるけど、近くに行けばまたドキドキしちゃうと」


栞子「⋯⋯はい」


かすみ「更には、歩夢先輩を思い出すだけでもドキドキしちゃうと」


栞子「⋯⋯⋯はい、これってやはり何かのやm」

かすみ「いや!? 恋だよそれ!!」


栞子「へ? こい?」

栞子「鯉なら家の庭池で飼っていますが」


かすみ「えっ居るの!? じゃなくて!!」

かすみ「恋だよ恋!! 恋愛の恋!」


栞子「えぇっ!? そ、そんな訳は! だって相手は歩夢さんですよ? 殿方ではないのに恋なんて⋯⋯」


かすみ「え~? 今時、異性の恋愛しか考えないなんてしお子ってば頭カチカチすぎだよ~?」


栞子「そ、そうなのですか?」


かすみ「そうそう♪ それに、しお子と歩夢先輩がくっつけば⋯先輩がガラ空きに⋯⋯ぐふふ」


栞子「?」


かすみ「あ、コホン。もう完全に恋しちゃってるって♪ う~らっぱっぱー♪だよ!」


栞子「にわかには信じられません⋯⋯」

28: 2021/04/25(日) 21:54:38.90 ID:Ihp5OOGf0
かすみ「う~ん⋯⋯じゃあさ、歩夢先輩を思い浮かべてみてよ」


栞子「?⋯⋯思い浮かべるとは?」


かすみ「いいからいいから♪」


栞子「⋯⋯」ポワワ~ン


かすみ「その歩夢先輩と、目があったら?」


栞子「そ、それは⋯⋯」

栞子「⋯⋯ドキドキします///」


かすみ「うんうん♪ じゃあ、歩夢先輩と待ち合わせる事になったらどうする?」


栞子「⋯⋯そわそわしてしまいますね///」


かすみ「じゃあ歩夢先輩が、好きって言ってきたら?」


栞子「えっ!? そ、それは⋯// 嬉しい、ですね///」ドキドキ


かすみ「へー♪ じゃあ、キスしたいって言ってきたら?」


栞子「へっ!?/// そ、そんなのダメですよ!/// 不純です!!///」カァァァ


かすみ「え〜? でもぉ歩夢先輩はどうしても、しお子としたいって言ってるんだよ?」


栞子「ど、どうしても⋯⋯?///」

栞子「そ、それなら歩夢さんにはお世話になっていますし⋯受け入れないこともないとは思いますが⋯⋯///」


かすみ「拒否しないって事は、もう立派に恋してるって事じゃん♪」


栞子「っ!!」ドキッ

栞子「なるほど⋯// 認めなくてはいけませんね⋯⋯これは、恋⋯なんですね⋯///」ドキドキ

30: 2021/04/25(日) 22:11:30.52 ID:Ihp5OOGf0
──
────


栞子(恋、ですか⋯あまり私には縁のない物だと思っていましたが、まさか⋯⋯)ボーーー

栞子(初恋⋯というのでしょうか)

栞子(ふわふわして⋯まるで浮いているみたい⋯//)

栞子(胸が高鳴って⋯バクハツしちゃいそう⋯⋯//)ドキドキ


しずく「あっ、栞子さんこんにちは」フリフリ


栞子(ですが、恋を認めたとして一体どうすればよいのでしょうか⋯⋯?)スタスタ


しずく「あの、栞子さん?」


栞子(告白? 付き合う? うぅ⋯考えれば考えるほど分からなくなる⋯⋯)


しずく「おーい⋯⋯聞こえてないのかな?」


栞子(そもそも、恋をしたといってもこれは所謂片思い、という物であって歩夢さん自体は⋯⋯)


しずく「栞子さん、大丈夫?」ポンッ

栞子「わひゃぁっ!?」ビクッ!

しずく「きゃぁっ!?」ビクッ!


栞子「し、しずくさん⋯? なんだかデジャブです⋯⋯」


しずく「え、デジャブ⋯? どうかしたの? ぼーっとして?」


栞子「えっと、実は⋯」

31: 2021/04/25(日) 22:26:12.05 ID:Ihp5OOGf0
〜説明中〜


しずく「えぇーー!! 栞子さんが歩夢さんに恋〜~!!?」


栞子「ちょっと⋯しずくさん声が大きいです///」


しずく「素敵! 相手は一学年上の優しい先輩、対して恋するは完全無欠の完璧後輩! 先輩の優しさに触れて初めて恋の病を患い、初恋のトキメキに弄ばれるその姿は完全無欠だった像を事あるごとに崩していき、それでも困惑しながらも健気に恋をする後輩の姿に先輩も惹かれ始め、二人はやがて⋯⋯!」キラキラ


栞子「あの⋯しずくさん?」


しずく「私、栞子さんの恋を応援するね!!」ズイッ


栞子「え、あ、はい⋯⋯」


しずく「で、どうするの!?」ズイッ


栞子「ど、どうするとは?」


しずく「歩夢さんに告白するの!? それとも栞子さんならいっそのこと歩夢さんから告白してくるように歩夢さんを落としに行くとかっ!?」ズイズイッ


栞子「あの、ち、近いです!/// それにいつもとテンションが⋯⋯」


しずく「あ⋯ご、ごめん! またやっちゃった⋯⋯」

しずく「私、空想癖があって変なスイッチ入っちゃうといつもこうで⋯⋯///」

32: 2021/04/25(日) 22:33:42.91 ID:Ihp5OOGf0
栞子「いえ、少し驚いただけですので気にせず」

栞子「⋯ですが、わからないんです。恋というのも初めてのことですし、私自身が歩夢さんとどうしたいかも⋯⋯」


しずく「そっか、悩んでるんだね。うーん⋯⋯栞子さんは難しく考えすぎなんじゃないかな?」

しずく「栞子さんは、歩夢さんとどうしてる時が嬉しい?」


栞子「嬉しい⋯⋯生徒会の仕事を手伝ってくれたり、一緒にいること自体が嬉しいです」


しずく「なるほど、じゃあもっと簡単に、素直に栞子さんのしたいこと、好きな歩夢さんの事を考えればいいと思う」


栞子「簡単に、素直にしたいこと、好きな歩夢さんの事を考える⋯⋯」

33: 2021/04/25(日) 22:37:09.77 ID:Ihp5OOGf0
『━━何でも自分で解決しようとしないで、ちゃんと必要な時は私たちの事を頼ってね?━━』

歩夢さんの優しい言葉。いつも優しい歩夢さんの姿に私は惹かれて⋯⋯

『━━栞子ちゃんを支えてあげたい。一人で間違えちゃう時もあるけど、そんな時は誰かが支えてあげればいいと思う━━』

間違えた時も支えてくれると言ってくれたその言葉にお礼がしたい、私も支えてあげたい⋯⋯だから私は⋯⋯⋯⋯

34: 2021/04/25(日) 22:40:16.45 ID:Ihp5OOGf0
栞子「私は⋯⋯もっと仲良くなりたいです!」

栞子「もっと仲良くなって⋯歩夢さんのことを知って⋯!」

栞子「⋯⋯今は支えられてばかりなので」

栞子「私も、歩夢さんを支えられるような存在になりたいです!───」

35: 2021/04/25(日) 22:43:33.82 ID:Ihp5OOGf0
───優しさに触れて動き始めた、ひとつの恋心。
まだこのトキメキに戸惑う事ばかりだけれど⋯⋯
この物語はまだ、始まったばかり───

44: 2021/04/26(月) 21:20:31.73 ID:wFdwGwwT0
──
────

──放課後──


栞子「⋯⋯//」ボーー

栞子(歩夢さんを支えられるような存在、か⋯⋯)

栞子(歩夢さんに恋をしていると認めてから、頭が歩夢さんでいっぱいです⋯⋯//)ポワポワ


歩夢「あ、栞子ちゃーん♪」


栞子(ついに幻聴まで聞こえて⋯)


歩夢「栞子ちゃん?」ズイッ


栞子「⋯⋯っ!?///」

栞子「あゆゆゆゆゆゆゆっ!?//」


歩夢「大丈夫? メタナイト弱攻撃みたいな声出てるけど⋯⋯?」


栞子「だ、大丈夫ですっ!// 元気ですっ!///(?)」

45: 2021/04/26(月) 21:30:08.14 ID:wFdwGwwT0
歩夢「う、うん⋯それでどうしたの? わざわざ二年生の教室前で」

歩夢「今日は生徒会のお仕事ないんじゃなかった?」


栞子「え、えっとその⋯/// あの⋯⋯///」モジモジ


歩夢「あ、もしかして一緒に帰りたかったとか?」


栞子「っ!! 帰ります! 帰ります!!///」コクコクコクコク


歩夢「? なんだか今日はオーバーリアクションで元気だね?」


栞子(これはまずいですね⋯⋯// 恋を意識し始めてから更に動揺が増して⋯⋯///)

栞子(冷静さが保てず、普段通りに振る舞えません⋯⋯///)


栞子「⋯⋯///」ウツムキ


歩夢「栞子ちゃん? どうしたの、今度は急に大人しくなって?」


栞子「っ!?///」ビクッ

栞子「えっと⋯⋯///」

栞子(このままじゃだめです⋯! 歩夢さんともっと仲良くなりたいのに⋯!)

栞子(なにか、行動をしなくては!)

48: 2021/04/26(月) 21:36:18.02 ID:6VhCLQST0
しおぽむいいゾ
no title

49: 2021/04/26(月) 21:42:55.35 ID:wFdwGwwT0
栞子「あ、歩夢さんっ!///」ギュッ(手を握る


歩夢「え?⋯⋯栞子ちゃん?」


栞子「ハッ!? す、すいません!」パッ

栞子(手が勝手に⋯⋯//)


──ギュッ(握り返し


栞子「っ!!?///」ビクッ


歩夢「ふふっ♪ 手、握りたくなっちゃったの?」


栞子「え、あ、そ、その⋯⋯///」カァァァァ


歩夢「栞子ちゃんの手、温かいね」


栞子「ふぇ⋯?///」ドキドキ


歩夢「私の手も、あの子から温かいねってよく言われるから、私が手を繋いで温かいなって感じるの初めてかも」


栞子「そ、そうですか⋯⋯///」ドキドキ

栞子「⋯⋯歩夢さんの手は、とても柔らかいです⋯///」


歩夢「え? お肉ついてるってこと⋯?」


栞子「あ、いえ!?/// 今のは言葉の綾というかなんというか!?///」アワアワ


歩夢「うふふっ♪ 栞子ちゃんも変なこと言うんだね♪」ニコニコ


栞子「⋯⋯///」ドキドキ

50: 2021/04/26(月) 21:54:42.25 ID:wFdwGwwT0
歩夢「そういえば栞子ちゃん⋯⋯」ジーーー


栞子「な、なんでしょうか⋯⋯///」ドキドキ

栞子(あわわっ⋯⋯// そんなに見つめられると照れてしまいます⋯///)


歩夢「少し髪伸びてきたね?」


栞子「へ?// 髪⋯? あぁ、そういえば最近切っていませんでしたね⋯」


歩夢「その長さなら、私とお揃いのシニヨンも作れそうだなーって。今度結ってあげようか?」


栞子「お、お揃っ!?///」

栞子(歩夢さんと私がお揃いの髪型っ!? というか歩夢さんが私の髪を結う⋯?//)

栞子(そ、そんなことされたら⋯⋯//)ドキドキ

栞子「死んでしまいます~~!!////」ピューーン


歩夢「ええっ!? そんなに嫌だった!!?」ガーン

52: 2021/04/26(月) 22:13:41.37 ID:wFdwGwwT0
──
────

──栞子ホーム──


栞子「⋯⋯⋯//」ポーー

栞子「ウアァ~~~~~!!!///」アシバタバタ(思い出し悶絶

栞子(はぁ⋯⋯今日は散々な立ち振る舞いでした⋯⋯//)

栞子(歩夢さんを前にするとどうしても冷静さが保てず、普段通りに振る舞えません⋯⋯///)

栞子(これでは歩夢さんに変な人だと思われてしまいます⋯⋯//)

栞子(というより! 歩夢さんだってずる過ぎますよ!///)

栞子(思いがけず手を握ってしまったとは言え、握り返してくるなんて⋯⋯//)

栞子(あんなの誰だって冷静ではいられなくなりますよ!!)

栞子(って、誰に弁解しているんだか⋯/// 恋を意識し始めてから、自分がおかしくなっていくのを全身で感じる⋯⋯)

栞子(まるで、私が私でなくなってしまうような⋯⋯)

栞子(⋯⋯でも、不思議と悪くない感触⋯///)

栞子(えへへ♪ 明日また、歩夢さんに会えるのが恋しい⋯⋯///──)

55: 2021/04/26(月) 22:25:01.43 ID:wFdwGwwT0
──
────

──部室──


栞子「璃奈さん、メタナイト弱攻撃って何ですか?」


璃奈「え? スマ〇ラの話?」


栞子「その、スマ〇ラ?かどうかはわかりませんが、昨日歩夢さんがそのような事を言っていたので」


璃奈「あ、それなら多分スマ〇ラっていうゲームの話で合ってると思う」

璃奈「歩夢さんって、結構ゲームが好きみたいだから」


栞子「そ、そうだったのですか⋯⋯」

栞子(まだまだ私の知らない歩夢さんの事って沢山あるんですね)

栞子(知りたい、歩夢さんの事をもっと⋯⋯)

栞子「あの、よろしければなんですけど、放課後にでも私にゲームを教えてくれませんか?」


璃奈「え? 栞子ちゃんがそんなこと言うなんて以外。璃奈ちゃんボード『?!』」


栞子「歩夢さんの事がもっと知りたくて⋯!⋯⋯だめ、でしょうか⋯?」


璃奈「ううん、嬉しい! そういうことなら任せて! 私も栞子ちゃんとゲームしてみたい! 璃奈ちゃんボード『にっこりん』」


栞子「本当ですか! ありがとうございます」パァァァ

56: 2021/04/26(月) 22:37:16.42 ID:wFdwGwwT0
せつ菜「なにやらゲームという声が聞こえたのですが?」ヒョコッ


璃奈「あ、せつ菜さん。この後、栞子ちゃんと一緒にゲームする約束したの。璃奈ちゃんボード『ぱんぱかぱーん』」


せつ菜「一緒にゲーム⋯⋯いいなぁ⋯」


璃奈「せつ菜さんも一緒にやる? 栞子ちゃん、いいよね?」


栞子「はい、是非せつ菜さんにもゲームを教えて頂きたいです」


せつ菜「いいんですか!! 嬉しいです!! それでは栞子さんにゲームの素晴らしさをとことん教えてさせて頂きます!」ペカーーー


璃奈「みんなでゲーム、楽しみ! 璃奈ちゃんボード『わくわく』」


せつ菜「ところで、何のゲームをするんですか?」


璃奈「栞子ちゃん、歩夢さんの事が知りたいって言ってたから歩夢さんの好きそうなゲーム?」


せつ菜「そうでしたか! では、歩夢さんが好きそうなゲームといえば⋯スマホゲームとか、ポ〇モンとかでしょうか?」


栞子「え、せつ菜さんも歩夢さんとゲームの話をするのですか?」


せつ菜「はい! 最近は可愛いスマホゲームの話などをよくしますね」


栞子(⋯⋯もしかして、歩夢さんとそういった話をしないのは私だけ⋯?)

栞子(なんだか、モヤモヤします⋯⋯)モヤモヤ


栞子「⋯⋯⋯」

栞子「⋯⋯私だって、歩夢さんと手芸の話とかしますもん⋯」ムスッ


せつ菜「え? 栞子さん?」


栞子「っ! いえ、なんでもありません! 歩夢さんの好きなゲーム、私にたくさん教えてください!!」


せつ菜「気合充分ですね!」


璃奈「それじゃあ放課後、みんなでうちに集合。璃奈ちゃんボード『いえーい♪』」


栞子「はい、楽しみです!」

57: 2021/04/26(月) 22:51:32.18 ID:wFdwGwwT0
──
────

あなた「あれ? 歩夢ちゃん、今日は栞子ちゃんと一緒じゃないの?」


歩夢「うん、生徒会も忙しい時期が終わったみたいだから暫くはお手伝いも大丈夫だって」


あなた「そっか~、それじゃ寂しいね?」


歩夢「? なにが?」


あなた「最近ずっと栞子ちゃんにべったりだったじゃん♪」


歩夢「そ、そうかなぁ?」


あなた「そういえば栞子ちゃん、最近明るくなってきたよね」

あなた「歩夢ちゃんのお世話が効いてるのかな?」


歩夢「そうなの、かな? だとしたら嬉しいな~」

歩夢「あ! 確かにそういえばこの前ね? 栞子ちゃん、私の手を握ってくれたんだよ?」


あなた「えっ!? 栞子ちゃんが!? 歩夢ちゃんの手をっ!?」


歩夢「うん♪ そういえばあの時は初めて栞子ちゃんから一緒に帰りたいって言って貰えたなあ♪」

歩夢「ふふっ♪ 私も驚いたけど、嬉しかったなぁ♪」

58: 2021/04/26(月) 22:58:47.43 ID:wFdwGwwT0
あなた「⋯⋯へー、栞子ちゃんが歩夢ちゃんと⋯⋯」


歩夢「?」


──ギュッ(手握り


歩夢「えっ?//」


あなた「⋯⋯幼馴染としては、ちょっと嫉妬しちゃうな~⋯⋯なんて」


歩夢「えっ!?///」ドキッ


あなた「あはは、冗談♪ でも、少し妬いちゃったのはほんとだよ?」


歩夢「ん⋯⋯そっか//」

歩夢(あなたでも妬いてくれるんだ⋯♪)

59: 2021/04/26(月) 23:02:52.82 ID:wFdwGwwT0
あなた「あっグループメッセが⋯⋯わあ見て見て! 栞子ちゃん、今日は璃奈ちゃんたちと遊んでるんだって!」


歩夢「本当だね♪ 栞子ちゃんも楽しそう~♪」


あなた「そうだね~⋯⋯ふふっ♪」


歩夢「? どうしたの笑って?」


あなた「⋯なんか、栞子ちゃんを見守る歩夢ちゃんがまるでお母さんみたいだなって♪」


歩夢「えぇ~? 流石にあんなに大きな子供は無理があるんじゃ⋯⋯」

歩夢「あ、でも⋯⋯」


あなた「?」


歩夢「⋯私がお母さんなら、あなたはお父さんみたいだね⋯⋯///」


あなた「う~ん、私の子供にしては栞子ちゃんは出来過ぎてる子なような⋯⋯あ、でも歩夢ちゃんの子供なら納得かも」


歩夢「えぇっ!?/// 冗談で言ったのに!?///」


あなた「あははっ♪ 流石に栞子ちゃんが子供は無理があるよね~」


歩夢「も、もう~⋯/// どこまで本気なんだか⋯⋯///」


あなた「栞子ちゃんは身長も歩夢ちゃんより少し高いし、二人が並んでたらまるで⋯⋯」

あなた「⋯⋯やっぱりなんでもないや」


歩夢「?」


あなた「あ! じゃあ今日は寄り道して帰ろうよ!」


歩夢「あっ! もしかして、あそこ?」


あなた・歩夢「「駅前のあの店!!」」ビシッ

あなた・歩夢「「うふふっ♪」」

60: 2021/04/26(月) 23:14:05.62 ID:wFdwGwwT0
──
────

──璃奈ホーム──


せつ菜「栞子さん、上達が早いですね⋯本当に初めてなんですか?」ピコピコ


栞子「ありがとうございます。本当に初めてですよ、我が家にはこういった娯楽はないもので⋯⋯」ピコピコ


璃奈「流石完璧人間⋯⋯」ピコピコ


栞子「か、完璧人間⋯?」


璃奈「あ、栞子ちゃんの昔のあだ名」


栞子「そんな風に呼ばれていたとは⋯初めて知りました⋯⋯」


せつ菜「ふふっ♪ ですが、今はこうして私たちと一緒にゲームで遊んでる普通の女子高生って感じですね♪」


璃奈「うん、栞子ちゃん本当に柔らかくなった」


栞子「そうでしょうか⋯⋯」

栞子「でも、それはみなさんのおかげ、ですね」ニコッ


璃奈・せつ菜「栞子ちゃん(さん)⋯⋯!」


璃奈「⋯せつ菜さん、今!」


せつ菜「チャンス! そこだ!!」


栞子「あっ! ずるいですよ! 手を離した隙に!」


璃奈・せつ菜「「いぇーい!」」パンッ(ハイタッチ

61: 2021/04/26(月) 23:22:10.13 ID:wFdwGwwT0
──
────

──次の日、部室──


栞子「あの、歩夢さんっ! 私と勝負してくれませんかっ!?//」


歩夢「えっ? いきなりだね?」


栞子「こ、これでっ!!」


歩夢「えっ、どう〇つタワーバトル!? 栞子ちゃんやるの!?」


栞子「はい、昨日璃奈さんとせつ菜さんに教えていただきました」

栞子「それで⋯あの⋯⋯歩夢さんが最近ハマっていると聞いたので一戦お願いしたいと⋯⋯//」


歩夢「そっか~まさか栞子ちゃんと一緒に出来るなんて嬉しいな〜♪」ニコニコ


栞子「⋯⋯// あの⋯それでなんですけど」


歩夢「?」


栞子「私が勝ったら⋯ひとつ、お願いを聞いてもらってもいいですか?」


歩夢「お願い? うん、いいよ?」


栞子「えっ? そんな二つ返事で承諾していいのですか⋯?」


歩夢「別に栞子ちゃんのお願いなら勝敗関係なく聞いてあげるよ?」

歩夢「あ、でも流石に出来ないことを言うのは無しだよっ?」


栞子「はい、それは勿論!」


歩夢「ふふっ♪ でも、このゲームじゃ私も負けないからね?」ニコニコ

62: 2021/04/26(月) 23:30:36.76 ID:wFdwGwwT0
〜間〜


栞子「⋯⋯負けてしまいました、歩夢さん強すぎませんか⋯?」


歩夢「うふふっ♪ こう見えて結構やりこんでるからね、あの子にだって一度も負けたことないんだよ♪」


栞子「まさかここまでだったとは⋯⋯」ズーン


歩夢「⋯⋯ちなみに、栞子ちゃんはなんてお願いをするつもりだったの?」


栞子「それは⋯⋯」

栞子「⋯⋯歩夢さんと、一緒にお出かけがしたいなと⋯///」


歩夢「え? それなら別にお願いなんて言わずとも普通に⋯⋯」


栞子「そ、そうではなくて⋯お願いするからこそ意味があるというか⋯//」


歩夢「?」


栞子「なんというかその⋯// 私は⋯⋯///」

栞子「私は⋯⋯! 歩夢さんともっと仲良くなりたいんです!///」


歩夢「えっ?」

63: 2021/04/26(月) 23:35:09.15 ID:wFdwGwwT0
栞子「もっと仲良くなって! 歩夢さんの⋯そう! 特別になりたいんです!!///」


歩夢「⋯⋯えっと///」


栞子(な、何言ってるんですか!!?/// これではまるで告白みたいな⋯///)

栞子「えっと⋯特別というのは比喩で! 単純にもっと仲良くなりたいというか!」アワアワ

栞子(全然意味変わってないです!// あぁもうなに言ってるんだか⋯///)


歩夢「⋯⋯そっか、嬉しいな」


栞子「え?」


歩夢「栞子ちゃんにそんな風に言って貰えて嬉しい♪」

歩夢「私も、栞子ちゃんともっと仲良くなりたいな♪」ニコニコ


栞子「本当ですかっ!?」パァァァ


歩夢「うん♪ それでお出かけってどこに行くの?」


栞子「えっと⋯⋯歩夢さんの行きたい所がいいです⋯⋯」


歩夢「私の⋯?」


栞子「歩夢さんの事が、もっと知りたいので⋯!──」

64: 2021/04/26(月) 23:43:01.93 ID:wFdwGwwT0
──
────

──歩夢ホーム(ベランダ)──


歩夢「⋯⋯⋯」


『━━特別になりたいんです!!━━』


歩夢「特別、かぁ…」


あなた「どうしたの?」ヒョコ


歩夢「あ、ごめん。起こしちゃった?」


あなた「ううん、動画見てたら音がしたから」


歩夢「もう、あんまり夜更かしするのは身体に良くないよ?」


あなた「あはは、それは歩夢ちゃんもでしょ?」

あなた「それで、何か悩み事?」


歩夢「!⋯⋯あなたには隠せないね♪」


あなた「幼馴染ですから♪」


歩夢「⋯⋯私ってちゃんと栞子ちゃんの先輩出来てるのかなって」


あなた「先輩⋯?」


歩夢「栞子ちゃんはしっかりしてるけどまだ一年生だし、ちょっと頑固で危なっかしい所もあるから、先輩としてちゃんと面倒見てあげなきゃ!って思ってたんだけど⋯⋯」

歩夢「でも実際栞子ちゃんって本当に凄くて、まさに特別!って感じで。普通の私が頑張った所でただのお節介になってるだけなのかなって⋯⋯」


あなた「そんなこと全然ないよ! 栞子ちゃん、前にも増して明るくなってるよ。最近はよく笑うもん」

あなた「絶対歩夢ちゃんが親身になって接してるおかげだと思うよ」


歩夢「そうなの、かな⋯⋯」

65: 2021/04/26(月) 23:48:49.60 ID:wFdwGwwT0
歩夢「でも、私は栞子ちゃんの特別には⋯⋯」


あなた「特別?」


歩夢「あ、ううん! 特別というか、栞子ちゃんにもっと仲良くなりたいって言って貰えたの」

歩夢「だけど、私が栞子ちゃんの求めるような人になれるのかなって⋯⋯」

歩夢「普通の私じゃ、いつか栞子ちゃんに失望されるんじゃないかなって⋯⋯」


あなた「それは多分違うと思うよ」


歩夢「え?」


あなた「うーん、そうだな⋯⋯例えば私が今の私を捨てて、歩夢ちゃんだけが完璧に望む姿になるって言ったら嬉しい?」


歩夢「え? それは正直嬉しい⋯⋯///」


あなた「あ、嬉しいんだ⋯」アハハ


歩夢「でも、私はあなたが望む姿になって欲しい」

歩夢「私のためだけじゃなくて、みんなのためにも自分のためにも生きるあなたでいて欲しい、かな」


あなた「でしょ? 多分栞子ちゃんもそうだよ」

あなた「今のお世話好きなお人好しの歩夢ちゃんだから、もっと仲良くなりたいって思ったんじゃないかな?」

あなた「だから、もっと自分の事信じてあげて? 歩夢ちゃんは自分が思ってる以上に凄い子だよ」

あなた「幼馴染の私が言うんだから信じてよ♪」

67: 2021/04/26(月) 23:54:31.41 ID:wFdwGwwT0
歩夢「あなた⋯⋯ありがとう、本当にあなたにはいつも背中を押してもらってばっかりだね♪」


あなた「歩夢ちゃんのためならいくらでも押してあげるよ♪」


歩夢「もう⋯⋯/// でも自信ついた♪ 明日の栞子ちゃんとのお出かけ、私らしく楽しもうと思う!」

歩夢「私も栞子ちゃんのこと、もっと知れるといいな~♪」


あなた「⋯⋯⋯」

あなた「明日、栞子ちゃんと二人でお出かけするんだ?」ジトーー


歩夢「うん♪」ニコニコ


あなた「ふーん、そっか⋯⋯」

あなた「実は、私もかすみちゃんとしずくちゃんにお出⋯デートしようって言われたんだ!」チラッチラッ


歩夢「そっかぁ⋯⋯相変わらずあなたは人気者だね?」


あなた「⋯⋯そんな事ないよ〜」アハハ

68: 2021/04/27(火) 00:01:24.04 ID:SvpRcwot0
──
────

──同刻、栞子ホーム──


栞子「⋯⋯⋯」


『━━私は⋯⋯! 歩夢さんともっと仲良くなりたいんです!/// もっと仲良くなって! 歩夢さんの⋯そう! 特別になりたいんです!!///━━』


栞子「〜〜〜〜!!///」ジタバタ

栞子(どうしてあんな伝え方になってしまったのでしょう⋯///)

栞子(もっと他の言い方があったはずなのに⋯⋯恥ずかしい⋯⋯///)

栞子(ゲームで勝負する所まではちゃんと冷静でいられたのに⋯⋯///)

栞子(歩夢さんに抱く好意に気づいてから、こんな事ばかり⋯⋯//)

栞子(もっとしっかりしなくては! こんなに堕落していては歩夢さんを支えられる人にはなれません!!)

栞子(そうです! 明日のお出かけで、しっかり者である事をアピールしなくては!)

栞子(お出かけ⋯⋯歩夢さんとお出かけ⋯⋯)

栞子(デートっていうのかな⋯⋯//)

栞子(いやいや!// 友人同士のお出かけですから別にデートと呼ぶには⋯//)

栞子(そもそもデートとはどういう意味なのでしょう?)スッスッ(スマホ調べ


──デートとは、日時や場所を定めて好意を持った2人が会うこと。また、男女のペア以外にも、親密、又は特別な2人が会うことをデートと呼ぶこともある。


栞子(男女のペア以外⋯親密⋯特別⋯⋯)

栞子(親密、と呼べるかどうかはわかりませんが、好意を持って会うなら、デート⋯⋯なのかな?//)

栞子(デート⋯デート⋯⋯うん、とても魅力的な響き⋯⋯//─)

69: 2021/04/27(火) 00:04:52.83 ID:SvpRcwot0
───トキメキに戸惑いながらも、前へ一歩踏み出したこの想い。
もっと仲良くなりたい。支えてあげたい。特別になりたい⋯⋯
幾つかの想いを秘めたこのデートで、ふたりに一体何が起こるのか───

75: 2021/04/27(火) 23:28:39.76 ID:SvpRcwot0
保守ありがとうございます。
今日は更新できなかったので続きは明日の夜に。申し訳ない⋯⋯

78: 2021/04/28(水) 13:27:21.05 ID:Ge/fNoQJa
しおぽむ~
no title

79: 2021/04/28(水) 21:40:05.95 ID:okk5nYd00
──
────

──デート当日、待ち合わせ場所──


栞子(予定よりもだいぶ早く着いてしまいました⋯⋯)

栞子(歩夢さんは⋯⋯流石にまだ来ていませんよね)

栞子(⋯⋯⋯)ソワソワ

栞子(⋯⋯⋯⋯⋯⋯)ソワソワソワ

栞子(⋯⋯⋯)チラッ(時計見る

栞子(まだ一分も経っていません⋯!)

栞子(⋯⋯歩夢さん、まだかな⋯//)ソワソワ

栞子(そわそわしちゃって落ち着かない⋯// 人を待つのがこんなに長く感じるなんて初めて⋯//)

栞子(というか、この格好で大丈夫かな⋯?//)

栞子「やっぱり今からでも着替え直して⋯⋯」ボソボソ

栞子「いや、それよりもやっぱりこの髪型の方が⋯⋯」ボソボソ



歩夢「栞子ちゃん?」

栞子「きゃっ!?」


栞子「あ、歩夢さん⋯! 早いですねっ!//(?)」


歩夢「早いのは栞子ちゃんの方だと思うけど⋯もしかしてずっと待っててくれてた?」


栞子「いえ、大丈夫ですっ! 私が早く来すぎただけですので⋯⋯//」


歩夢「もう⋯早く着いたなら連絡してね? その分私も急ぐから⋯⋯ってこれ前にも言ったような?」

歩夢「あれ? 栞子ちゃん⋯⋯」ジーー


@栞子「⋯⋯⋯//」カァァァ


歩夢「わあ♪ 今日は私と同じシニヨンにしてるんだ、お揃いだね♪」ニコニコ

80: 2021/04/28(水) 21:48:58.42 ID:okk5nYd00
栞子「⋯⋯変じゃ、ないでしょうか?///」


歩夢「もしかして、さっきの独り言ってこれのこと言ってたの?」


栞子「聞こえていたのですかっ!?//」


歩夢「ちょっとだけね♪ でも、全然変じゃないよ! とっても似合ってるよ♪」


栞子「そうですか⋯⋯// ありがとうございます⋯⋯//」


歩夢「こうして二人で並んでたら、姉妹に見えちゃったり♪」

歩夢「あ、でも栞子ちゃんの方が美人さんだからそれはないか⋯⋯」


栞子「えぇっ!? そんなことありません!」

栞子「というか、歩夢さんの方が可愛いですし⋯///」ボソッ


歩夢「え?」


栞子「なんでもありません! 行きましょう!//」


歩夢「うん♪」ギュッ(手握り


栞子「っ!//」ビクッ!


歩夢「あ、ごめん⋯いつもの癖でつい⋯⋯」


栞子「いえ、構いませんよ? このまま行きましょう⋯///」スタスタ

栞子(不意打ちはずるいですよ⋯⋯///)ドキドキ


歩夢「うん♪」トコトコ


栞子(心頭滅却!!// 平常心、平常心!!///)ドキドキドキ

栞子(今日は冷静な三船栞子で行くんです⋯!)

81: 2021/04/28(水) 21:58:29.07 ID:okk5nYd00
──
────

──映画館──


栞子「歩夢さんの行きたい場所って、映画館でしたか」


歩夢「今上映してる動物映画がちょうど見たかったんだ~」


栞子「動物映画⋯⋯ふふっ♪」


歩夢「? 何かおかしかった?」


栞子「あ、いえ⋯歩夢さんのイメージ通りの映画だなと思って」


歩夢「えっ、もしかして⋯⋯子供っぽいって事?」


栞子「⋯⋯はい♪」


歩夢「栞子ちゃんが私の行きたい所がいいっていうから来たのに⋯⋯//」プクー


栞子「ふふっ♪ 冗談ですよ♪」

栞子「歩夢さんらしい可愛い映画だなと思っただけです⋯//」


歩夢「もう~⋯⋯栞子ちゃんったら⋯♪」

82: 2021/04/28(水) 22:05:12.64 ID:okk5nYd00
歩夢「そういえば、栞子ちゃんって映画館来たことあるの?」


栞子「流石に映画館くらいは来たことありますよ⋯⋯」

栞子「⋯⋯ですが、誰かと一緒に見るのは家族以外では初めて⋯ですね//」


歩夢「そっか~なんだか嬉しいな♪」ニコニコ


栞子「嬉しい?」


歩夢「うん、栞子ちゃんの初めてが私だなんて、なんだか嬉しくて⋯⋯」


栞子「なっ!///」ドキッ


歩夢「?」


栞子「⋯⋯歩夢さんはもう少し言葉に気をつけた方がいいと思います⋯//」ドキドキ


歩夢「え、何かいけないこと言っちゃったかな⋯?」アセアセ


栞子(歩夢さんのこういう純粋さが時々心配になります⋯//)

83: 2021/04/28(水) 22:14:21.87 ID:okk5nYd00
歩夢「あ! ポップコーン買っていこうよ!」

歩夢「私、キャラメル味が好きなんだ〜♪ だけどあの子はチョコ味が好きでね……」ニコニコ


栞子「ポップコーン⋯⋯ですか」


歩夢「あれ? 栞子ちゃん苦手だった?」


栞子「あ、いえ、映画中に飲食をした事がないもので」


歩夢「あ、そっか⋯⋯栞子ちゃん的にはそういうの、はしたないって思うのかな?」


栞子「いいえ、そんな風には思いませんよ。楽しみ方は人それぞれだと思いますし」

栞子「それに、歩夢さんが一緒に食べたいというなら尚更⋯⋯//」


歩夢「あ、アイスクリームも売ってるみたいだよ」


栞子「アイス⋯! それは、あの⋯⋯ダブルとかそういうのですか?」


歩夢「トリプルもあるみたいだよ?」


栞子「ト、トリプル!? そんな、贅沢すぎますよ!」


歩夢「うふふっ♪ 栞子ちゃん、アイス好きなんだね?」


栞子「⋯⋯はい//」

栞子(⋯アイスクリームは、歩夢さんと初めて帰り道で一緒に食べた思い出がありますから⋯⋯///)

84: 2021/04/28(水) 22:22:53.81 ID:okk5nYd00
歩夢「そういえば、栞子ちゃんと初めて帰り道で食べたのもアイスだったよね?」


栞子「えっ!?⋯⋯覚えているのですか?」


歩夢「もちろん♪ あの時は⋯まだ笑顔が少なかった栞子ちゃんが笑ってくれたのを覚えてる」


栞子「そうでしたか⋯//」


歩夢「あの時に比べたら、最近の栞子ちゃんはなんだか表情豊かになったよね?」


栞子「⋯⋯そうかもしれません//」


歩夢「照れることが多くなった気がする♪」


栞子「えっ!?// そ、それは⋯⋯!//」アセアセ


歩夢「ふふっ冗談♪ さっきのお返し♪」


栞子「歩夢さん⋯⋯//」

栞子(せっかく冷静に振る舞えてたと思ってたのに⋯⋯)

栞子(でも、歩夢さんも覚えててくれたのですね⋯⋯///)

85: 2021/04/28(水) 22:29:14.07 ID:okk5nYd00
──映画上映前──


歩夢「うふふっ♪ 映画楽しみだね~♪」ニコニコ


栞子(ニコニコ微笑む歩夢さん、本当に楽しそう⋯⋯♪)


歩夢「あっ⋯⋯// ごめんね? 私ばっかりはしゃいじゃって⋯//」


栞子「いえ、歩夢さんが楽しんでいてくれて私も嬉しいです」

栞子「動物映画というのは初めて見るのですが⋯⋯そんなにおもしろいものなのですか?」


歩夢「うん♪ 可愛い動物に癒されるし、感動するところもあって⋯⋯きっと栞子ちゃんも気に入ると思うよ」


栞子「それは楽しみです⋯!」


歩夢「もしかしたら私泣いちゃうかも⋯⋯」


栞子「え、そこまでなんですかっ!?」

栞子(歩夢さんって結構涙脆い方なのでしょうか⋯?)

86: 2021/04/28(水) 22:43:09.40 ID:okk5nYd00
──映画上映後──

栞子「⋯⋯動物映画というのは癒されるだけではなく、こんなにも心温まるものなのですね⋯⋯」グスン


歩夢「私、沢山泣いちゃった⋯⋯」グスン


栞子「ふふっ、歩夢さん後半はずっと泣きっぱなしでしたね♪」


歩夢「だって〜⋯⋯栞子ちゃんも泣いてたじゃん⋯⋯」


栞子「っ!/// それは歩夢さんに釣られて⋯⋯///」


歩夢「ふふっ♪ 栞子ちゃんも結構涙脆い方なんだね~♪」ニコニコ

歩夢「あれ? あの子⋯⋯」ピタッ


女の子「⋯⋯⋯」キョロキョロ

女の子「⋯⋯⋯」ウルウル


栞子「あんな小さな子が一人で⋯⋯迷子でしょうか?」


歩夢「ねぇ? どうしたの?」


女の子「⋯⋯」オドオド

女の子「⋯⋯⋯」ブワッ


歩夢「あわわっ泣かないでっ」

歩夢「お母さんとはぐれちゃったの?」


女の子「⋯⋯⋯」コクコク


歩夢「やっぱり迷子みたい⋯⋯」


栞子「それは大変! 館内放送をかけてもらいましょう!」


歩夢「大丈夫だよ、お母さんすぐ見つかるからね」


女の子「⋯⋯⋯」


──
────『お客様に迷子のお知らせを致します────』

87: 2021/04/28(水) 22:54:49.91 ID:okk5nYd00
──
────


歩夢「お母さん、なかなか来ないね⋯⋯」


栞子「もしかして、館外まで探しに行ってしまったのでしょうか⋯⋯」


女の子「⋯⋯お母さん」グスン

女の子「⋯うぅ⋯⋯うわぁぁぁんっ!!」


歩夢「あわわっ大丈夫だよっ! お母さんすぐに来るからね?」


女の子「うわぁぁぁんっ!!」


歩夢「ど、どうしよう⋯⋯全然泣き止んでくれない⋯⋯」


栞子「⋯⋯⋯」

栞子「ねぇ、今からおねえさんの秘密を教えてあげる」ニコッ


女の子「⋯⋯ひみつ?」


歩夢「え、栞子ちゃん⋯?」


栞子「実はね、このお団子の中にはね⋯⋯」シュルシュル(髪ほどき

栞子「ほら♪ ポップコーンが入ってるの♪」ジャーン


女の子「わぁ⋯⋯!」


栞子「どうぞ♪ 甘くて美味しいよ」


女の子「あまーい⋯!」

88: 2021/04/28(水) 22:59:11.90 ID:okk5nYd00
栞子「そのポップコーンには魔法がかかってるんだよ♪」


女の子「まほう⋯?」


栞子「うん♪ お母さんが必ず迎えに来てくれる魔法♪」

栞子「だからもう大丈夫! お母さんが来るまでおねえさんと一緒にあそぼっか♪」


女の子「⋯⋯うん!」ニコッ


歩夢「凄い⋯⋯あっという間に泣き止んじゃった⋯⋯」


女の子「わたし、お歌うたいたい!」


栞子「それならこのおねえさんがいっしょに歌ってくれるって♪」


歩夢「えっ、私⋯?」


栞子「歌なら歩夢さんのほうが適正です。ほら♪」


女の子「⋯⋯⋯」ジーーーー


歩夢「⋯⋯じゃあ、いっしょに歌おうか♪」


女の子「うんっ!」パァァ


女の子・歩夢「~~~♪」

89: 2021/04/28(水) 23:06:02.96 ID:okk5nYd00
──
────


女の子「おねいちゃんたち~! ばいばい~!」フリフリ


歩夢・栞子「⋯⋯⋯♪」フリフリ


歩夢「よかったね、お母さん見つかって」


栞子「はい、本当に良かったです」


歩夢「栞子ちゃん凄いね!」


栞子「え?」


歩夢「あの子が泣き出しても落ち着いてて、それどころか泣き止ませちゃって⋯⋯私何もできなかったのに⋯⋯」

歩夢「栞子ちゃんがあんなに子供慣れしてるの知らなかったな⋯⋯びっくりしちゃった」


栞子「⋯⋯児童館でのボランティアで子供との接し方には慣れているので//」

栞子「歩夢さんこそ凄いですよ、初対面の子供が一緒に歌ってあんなに笑うのもなかなかないですよ?」


歩夢「そうかな⋯// でも、本当に凄い。普通はシニヨン解いて泣き止ませるなんて思いつかないもん」


栞子「注意を引きつける何かが必要だと思ったので⋯⋯即興ですが上手くいって良かったです//」テレテレ

90: 2021/04/28(水) 23:11:30.54 ID:okk5nYd00
歩夢「⋯⋯⋯」ナデナデ


栞子「あ、あの⋯⋯歩夢さん?///」


歩夢「あっ、ごめんね? 急に⋯⋯」

歩夢「なんだか、栞子ちゃんが映画で見た、褒めて撫でて欲しそうに尻尾振るワンちゃんに見えたから⋯⋯」


栞子「⋯私は犬ではありませんが⋯⋯///」


歩夢「あはは⋯⋯そうだよね、ごめん」パッ


栞子「⋯⋯ですが、撫でるのをやめて欲しいとは言っていません⋯⋯///」


歩夢「っ!⋯⋯よしよし♪」


栞子「⋯⋯///」


歩夢「あっ栞子ちゃん、ちょっとこっち向いて」


栞子「えっ?」

栞子(あ、歩夢さん⋯/// 顔が近いです⋯⋯///)ドキドキ


歩夢「ちょっと、じっとしててね?」


栞子(顔近づけて⋯/// これってもしかして⋯///)ドキドキ

栞子「~~~///」←目をつぶる

91: 2021/04/28(水) 23:16:44.65 ID:okk5nYd00
歩夢「⋯⋯はい♪ これでまたお揃いだね♪」


@栞子「ふぇ⋯⋯?///」


歩夢「シニヨン、折角のお揃いだもん。解いちゃったのが勿体無かったから♪」


栞子「あっ⋯/// ありがとうございます///」カァァァ

栞子(心臓に悪いですよ⋯///)ドキドキ


歩夢「栞子ちゃん、髪サラサラだね~♪」

歩夢「どこのシャンプー使ってるの? 私も同じの使いたいな〜♪」ニコニコ


栞子「えっ!?/// お、同じシャンプーですかっ!?//」

92: 2021/04/28(水) 23:26:42.15 ID:okk5nYd00
──
────


栞子「歩夢さん、本日はありがとうございました。歩夢さんとのお出かけ、とても楽しかったです! 実に結意義な時間を過ごせました」


歩夢「うふふっ♪ そんなにかしこまったお礼なんてしなくていいのに」


栞子「いえ! 親しき仲にも礼儀あり、ですよ」

栞子「⋯⋯それと、これを」スッ


歩夢「これって⋯⋯鈴蘭のキーホルダー?」


栞子「はい、歩夢さんにはいつもお世話になっているので⋯⋯// そのお礼のプレゼントです」

栞子「鈴蘭には、純粋、優しさといった花言葉があるんですよ。歩夢さんにピッタリだと思って⋯⋯///」


歩夢「⋯⋯ありがとう♪ 嬉しいな」

歩夢「ふふっ大切にするね♪」ニコニコ


栞子「はい、それではまた⋯」ノシ


歩夢「あ、栞子ちゃんはこの後、ボランティア活動するんだよね?」


栞子「はい、毎週土曜のこの時間は児童館で読み聞かせをしているので」

93: 2021/04/28(水) 23:35:15.49 ID:okk5nYd00
歩夢「私も! 行っちゃダメかな?」


栞子「え? 大丈夫ですよ、そこまで付き合わせる訳には⋯⋯」


歩夢「⋯⋯私も」

歩夢「私も! 栞子ちゃんの事、もっと知りたいから⋯!」


栞子「え⋯⋯?」


歩夢「私ね、栞子ちゃんにもっと仲良くなりたいって言って貰えて嬉しかったんだよ?」

歩夢「今日のお出かけで、私も栞子ちゃんの事もっと知れた⋯⋯」

歩夢「まだまだ知らない栞子ちゃんが沢山で、凄いなって」

歩夢「私も栞子ちゃんともっと仲良くなりたいなって、そう思えたの」

歩夢「だから、栞子ちゃんの事もっと知りたい⋯!」


栞子「⋯⋯っ!/// そ、そうですか、私のことを⋯///」

栞子「それなら仕方ないですね、はい⋯///」テレテレ


歩夢「本当っ!? ありがとう栞子ちゃん~!」ダキッ(抱きしめ


栞子「へっ!?/// あ、歩夢さんっ!?///」

栞子「柔らかい感触が凄いですっ!///(こんな所で抱きつかないでください!///)」


歩夢「え? 太ってるって事っ!?」ガーン

94: 2021/04/28(水) 23:40:52.91 ID:okk5nYd00
──
────

──ボランティア後、公園──


歩夢「これって⋯⋯お花?」


栞子「はい、ボランティア後はいつもここに来て水をあげているんです」ジャーーーー

栞子「まだ蕾ですが、もうすぐ開花するんですよ」


歩夢「そうなんだ、でもこれって何のお花? 蕾がたくさん付いてるけど」ジーーー


栞子「ヒントは今の歩夢さんの身近にもあるお花ですよ?」


歩夢「身近? でも私お花なんて⋯⋯」

歩夢「あっ、もしかして⋯⋯鈴蘭?」


栞子「大正解です♪」


歩夢「そっか~これが鈴蘭なんだ」

歩夢「たくさんあるけど、全部栞子ちゃんが埋めたの?」


栞子「流石に全部ではありませんが、地域のイベントで埋めたのですよ」

栞子「埋めたあとも何だか気になってしまって、様子見がてらこうして水をあげているんです」


歩夢「⋯⋯そうなんだ、やっぱり栞子ちゃんって優しいよね」


栞子「? いきなりどうしたのですか?」

95: 2021/04/28(水) 23:45:07.71 ID:okk5nYd00
歩夢「お花に水あげしてる時も、ボランティアで子供とお話してる時も栞子ちゃん、優しい顔してて⋯⋯」

歩夢「それに、子供との接し方も優しい話し方も上手だし」

歩夢「凄いなって、私よりもずっと⋯⋯」


栞子「何言ってるんですか?」

栞子「私は歩夢さん以上のお人好しを見たことありません」

栞子「優しさでは私よりも歩夢さんが圧倒的だと思います」

栞子「大体、歩夢さんは自分を過小評価しすぎなのでは?」

栞子「歩夢さんには歩夢さんのとても大きな魅力があって、その存在に自身で気づくべきです」

栞子「そんな魅力的な歩夢さんが私は⋯⋯好きなんですから⋯⋯///」

栞子「⋯⋯⋯⋯あっ/// す、すいません! 私ばっかり喋ってしまい⋯⋯///」

栞子「⋯⋯? 歩夢さん⋯?」


歩夢「⋯⋯zzZ」スースー


栞子「あ⋯⋯ふふっ♪ 疲れて寝てしまいましたか」

96: 2021/04/28(水) 23:55:08.11 ID:okk5nYd00
──
────


歩夢「⋯⋯zzZ」

歩夢「⋯⋯んぅ?」パチリ

歩夢「あ⋯ごめん栞子ちゃん、私寝ちゃって⋯⋯?」


栞子「⋯⋯zzZ」スースー


歩夢「⋯⋯うふふっ♪ 栞子ちゃんもおねむさんか♪」


栞子「⋯⋯zzZ」スースー


歩夢(⋯⋯綺麗な寝顔)

歩夢(栞子ちゃんって華奢な手足してるよね⋯⋯)

歩夢(それなのに、私よりも運動出来て、頭も良くて、優しいし)

歩夢(まだ一年生なのに、私よりも何倍も頑張ってて、本当に凄くて)

歩夢(知れば知るほど、私とは雲泥の差だなって思っちゃうな~)

歩夢(⋯⋯ふふっ♪ でも、時々不器用でちょっと頑固な所もあるから、そんな栞子ちゃんを……)


──ピコン(通知音


歩夢(? 栞子ちゃんのスマホが鳴⋯⋯って!?)

歩夢(こ、この壁紙って⋯私の寝顔!!?///)

歩夢(なんでこの写真を!?/// というかいつ撮って!?///)

歩夢(こ、これって見てよかったのかな?/// で、でも⋯⋯うーん⋯///)


栞子「⋯⋯んぅ?」


歩夢「⋯⋯っ!!」

97: 2021/04/29(木) 00:01:21.23 ID:v7CKmOJt0
栞子「あれ⋯⋯すみません歩夢さん、私も寝てしまったみたいで⋯⋯」


歩夢「⋯⋯zzZ」スースー


栞子「あっ⋯⋯まだ寝ていましたか」


歩夢(⋯⋯咄嗟に寝たふりしちゃった//)


栞子「⋯⋯⋯」ジーーーー

栞子「⋯⋯⋯」ソーー……(スマホカメラ構え

──パシャッ

栞子「⋯⋯ふふっ♪」


歩夢(⋯⋯また写真撮られちゃった?///)


栞子「⋯⋯⋯」

栞子「⋯⋯⋯」キョロキョロ

栞子「⋯⋯⋯」ソーー……


──チュッ


歩夢(っ!?///)

歩夢(えっ?⋯⋯今、私の手の甲にキスして⋯⋯?///)


栞子「⋯⋯やっぱり好きです」


歩夢(⋯⋯っ!?///)ドキッ


栞子「⋯なんて、寝ている間になら素直に言えるのにな⋯⋯」


歩夢(これってそういうことだよね⋯/// 栞子ちゃんが私の事⋯⋯///──)ドキドキ

98: 2021/04/29(木) 00:04:26.12 ID:v7CKmOJt0
───お互いをより知る形で終わるふたりのデート。
思い掛けず吐露した本心と、聞いてしまった困惑⋯⋯
この出来事が、ふたりの運命を大きく変える───

106: 2021/04/29(木) 21:48:54.95 ID:v7CKmOJt0
──
────

──歩夢ホーム(ベランダ)──


あなた「それでね、その時かすみちゃんってば⋯⋯」


歩夢「⋯⋯///」ボーー


あなた「歩夢ちゃん? ねえってば」


歩夢「へっ!?// あ、な、なに?」


あなた「だから、今日の栞子ちゃんとのお出かけの話も聞かせてよ」

あなた「というか、私の話聞いてた?」


歩夢「え? あー⋯⋯ちょっとぼーっとしてて⋯⋯//」


あなた「大丈夫? 最近歩夢ちゃんいつも眠そうにしてるもんね? ちゃんと眠れてる?」


歩夢「あ、うん。ぐっすり眠れてるよ?」


あなた「そっか⋯ならいいんだけど」

あなた「で、栞子ちゃんとのお出かけはどうだった?」


歩夢「あ、栞子ちゃんの⋯⋯///」

歩夢「⋯⋯えっとね、今日は栞子ちゃんと映画館に行って──」

107: 2021/04/29(木) 21:55:25.13 ID:v7CKmOJt0
──
────


歩夢「それで、栞子ちゃんがあっという間に女の子を泣き止ませちゃったんだよ?」

歩夢「やっぱり栞子ちゃんってすごいよね~♪」ニコニコ


あなた(ふふっ♪ 歩夢ちゃん、昨日は栞子ちゃんとのお出かけをあんなに心配してたのに)

あなた(上手くいったみたいでよかったな~)


歩夢「その後も、栞子ちゃんのボランティアを手伝わせてもらって⋯⋯♪」ニコニコ


あなた(栞子ちゃんのお話する歩夢ちゃん、とっても楽しそうで⋯⋯)


──ズキッ


あなた(⋯⋯?)ズキズキ


歩夢「⋯⋯どうしたの?」


あなた「えっ?」


歩夢「そんなに真剣に見て⋯⋯私の顔、何かついてる?」


あなた「あっ⋯えっと⋯⋯」

あなた「⋯⋯なんだか歩夢ちゃん、最近ちょっと変わったよね」


歩夢「え? そんな事ないと思うけど⋯?」


あなた「あ、ううん! 私の気のせいかも。あはは⋯⋯⋯」


歩夢「?」

108: 2021/04/29(木) 22:01:24.33 ID:v7CKmOJt0
あなた「⋯あ、えっと⋯⋯」

あなた「あ! そうだ歩夢ちゃん、明日の練習後。少し大事な話があるんだけどいいかな?」


歩夢「? わかったけど⋯⋯」


あなた「じゃあおやすみ! 今日はもう寝るね!」ノシ


歩夢「うん、おやすみ♪」


あなた(⋯⋯⋯)

あなた(なんでだろう⋯⋯二人が仲良くなるのは嬉しい、はずなんだけどな⋯⋯)

あなた(嫉妬⋯⋯なのかな?⋯⋯⋯でも、歩夢ちゃんのことで嫉妬しちゃうことは今までもあったはずなのに⋯⋯)

あなた(この胸が痛くて、苦しくなる感じは⋯⋯?)ズキズキ

109: 2021/04/29(木) 22:09:52.81 ID:v7CKmOJt0
──
────

──次の日──


あなた(昨日の痛みはなんだったんだろうな⋯⋯)

あなた(あ、歩夢ちゃん⋯! と栞子ちゃん⋯⋯)


栞子「歩夢さん、おはようございます」

歩夢「あ、栞子ちゃん⋯⋯おはよう//」

栞子「あっ、キーホルダー⋯早速つけてくれたのですね//」

歩夢「う、うん⋯⋯ありがとうね⋯//」モジモジ


あなた(何話してるんだろう⋯⋯ここからじゃ上手く聞こえないな⋯⋯)

あなた(⋯⋯⋯)ズキズキ

あなた(またこの痛み⋯⋯なんか嫌だな⋯⋯)

あなた(⋯⋯行こう)スタスタ


栞子「? 歩夢さん? どうかされました?」


歩夢「えっ? な、何が?//」


栞子「何か落ち着きがないというか⋯⋯あっ何か用事でもありました?」


歩夢「あ、えっと⋯// その⋯⋯//」モジモジ

歩夢「ちょっと⋯ごめんね!//」ピューン


栞子「⋯⋯? 急いでいたのでしょうか?」

110: 2021/04/29(木) 22:20:36.23 ID:v7CKmOJt0
──
────

──練習中──


かすみ「ねえねえしず子、最近のしお子さ⋯⋯」ヒソヒソ

しずく「やっぱりそうだよね、明らかに⋯⋯」ヒソヒソ


かすみ・しずく「「キャラ変わってるよね!?」」


栞子「へ? そうでしょうか?」キョトン


かすみ「そうだよ! しず子、昔のしお子って歩夢先輩に手伝うって言われた時どんな反応してた?」


しずく「では僭越ながら私、桜坂しずくが再現させてみせます。昔の栞子さんはこうでした」

しずく「必要ありません、それよりも上原さんは自分のやるべきことをすべきでは?」キッ


栞子「⋯⋯私ってこんなでした?」


しずく「続いて同好会加入後の栞子さん!」

しずく「お手伝い、ですか⋯ありがとうございます歩夢さん。助かります」


しずく「そして! 今の栞子さん!」

しずく「ありがとうございます⋯⋯嬉しいです/// 歩夢さんが一緒にいてくれるなら、どこまでも頑張れます⋯!」パァァァ


栞子「⋯⋯全然違うじゃないですか」


かすみ・しずく「「だからそう言ってるじゃん!」」

111: 2021/04/29(木) 22:30:21.43 ID:v7CKmOJt0
かすみ「トゲが丸くなりすぎだよ! もうツルツルのふにゃふにゃじゃん!」

かすみ「塩対応してたあのしお子はどこに行っちゃったの!?」

しずく「なんか、だんだんせつ菜さんっぽくもなっているような⋯?」


栞子「⋯⋯確かに、多少自覚はありましたが⋯⋯まさかそこまでとは」

栞子「⋯⋯そんなに変でしょうか?」


かすみ「全然? むしろ今のしお子の方がかすみんはかわいいと思うよ?」


栞子「え⋯⋯」


しずく「うん、私も今の栞子さん好きだな。昔が嫌いだったって訳じゃないけど、今の栞子さんの方が素敵に見える」


栞子「お二人共⋯⋯」ジーン


かすみ「それはそうと、しお子さ〜♪」ニヤニヤ


栞子「?」


かすみ「昨日、歩夢先輩と一緒にデートした話聞かせてよ♪」


栞子「なっ!/// 何故それをっ!?///」


しずく「昨日歩夢さんがグループメッセで写真送ってたもん♪ お揃いの髪型のツーショット♪」


栞子「ハッ!!///」カァァァ

113: 2021/04/29(木) 22:40:26.29 ID:v7CKmOJt0
しずく「で、どこまで行ったのっ!? もう告白までしたとかっ!?」ズイッ


栞子「す、するわけないじゃないですかっ!!///」カァァァァ


かすみ「え~? しお子ってば小心者すぎじゃない? もう告白しちゃえばいいのに~♪」ホッペプニプニ

かすみ「しお子ってば意外とヘタれだよね〜♪」プニプニ

しずく「何しても完璧なのに、恋愛に関しては奥手だよね~♪」プニプニ


栞子「〜〜〜///」プルプル

栞子「別にいいではないですか!!///」

栞子「もっと気持ちを整理してからにしようと思っているんです!!///」


しずく「逆ギレだ!」


栞子「そういうかすみさんだって、あの方に思いを伝えていないではないですか!」

かすみ「な゛っ!/// 別にかすみんは頃合を測ってるだけだもん!!///」

しずく「それはもう栞子さんと一緒なんじゃ⋯⋯」

栞子「しずくさんだってそうですよ! 知ってますからね、お二人共あの方に想いを寄せていることぐらい!!」

しずく「えっ! 私にまで飛び火が!?///」

しずく「というか、バレてたのっ!?///」


三人「むむむ⋯⋯///」

三人「⋯⋯⋯」

三人「ふふふっ♪」


かすみ「やっぱり、今の笑ってるしお子の方が好きだな♪」

しずく「うん♪ 間違いない」


栞子「っ!⋯⋯ありがとうございます⋯//」

114: 2021/04/29(木) 22:54:47.69 ID:v7CKmOJt0
しずく「で、結局栞子さんはいつ歩夢さんに告白するの?」

かすみ「そうだよぉ! いつまでもこのままなわけじゃないんでしょ?」


栞子「そんな、恐れ多い⋯⋯///」

栞子「私は歩夢さんのただ近くに居られればそれで⋯いえ、そこまで贅沢を言わずとも、歩夢さんをずっと応援し続けていられればそれで⋯⋯」

かすみ・しずく「「ファンかっ!!」」


しずく「推しとの距離感分かってるファンかっ!!」

かすみ「洗練されすぎてるファンかっ!!」


栞子「で、ですが⋯⋯」


かすみ「ねぇしお子、歩夢先輩のファンにならさ、かすみんだって誰だってなれるんだよ?」

かすみ「だけど、しお子は違うでしょ? 同じ同好会の仲間で、ステージ上だけじゃなくて、普段の歩夢先輩のことも知ってて」

かすみ「いろんな歩夢先輩を知ってて、一緒に過ごして、それで好きになったんでしょ?」

かすみ「それって他の誰にでもできないすごいチャンスなんだよ? それをしお子は無駄にしちゃうの?」


栞子「⋯⋯⋯」


しずく「栞子さん、前に言ってたよね? もっと仲良くなって歩夢さんを支えられるような存在になりたいって」

しずく「今の栞子さんも、それだけで満足なの?」


栞子「今の私は⋯⋯」

115: 2021/04/29(木) 22:59:02.83 ID:v7CKmOJt0
『━━私も栞子ちゃんともっと仲良くなりたいなって、そう思えたの。だから、栞子ちゃんの事もっと知りたい⋯!━━』

歩夢さんが言ってくれた言葉。歩夢さんも私と同じように思っていてくれて、とても嬉しかった⋯⋯


『━━もっと仲良くなって! 歩夢さんの⋯そう! 特別になりたいんです!!///━━』

『━━⋯⋯やっぱり好きです━━』

思い掛けず出てしまった言葉⋯⋯きっと私の本心⋯⋯

ならば、今の私が望むことは⋯⋯!

116: 2021/04/29(木) 23:03:08.99 ID:v7CKmOJt0
栞子「やっぱり歩夢さんの事が好きです⋯!」

栞子「私は、歩夢さんの特別な人になりたい⋯!」

栞子「この気持ちを⋯⋯歩夢さんに伝えたい⋯!!」


かすみ「よく言ったしお子!」

しずく「そうと決まれば早速告白だね!」

かすみ「こういうのは思い知ったか吉日! 練習後にでも告白しちゃおうよ✩」

しずく「それを言うなら、『思い立ったが吉日』ね?──」

117: 2021/04/29(木) 23:11:51.06 ID:v7CKmOJt0
──
────

──練習後──


栞子(結局かすみさんとしずくさんに煽られて告白すると言ってしまいましたが⋯⋯)

栞子(いざ、告白するとなると緊張してしまいますね⋯⋯///)ドキドキ


歩夢「⋯⋯⋯」トコトコ


栞子「あ⋯歩夢さんっ!!」


歩夢「っ!⋯⋯栞子ちゃん⋯///」


栞子「あの⋯少しお時間ありますか? 大事なお話が⋯⋯」


歩夢「ぁ⋯⋯えーっと⋯⋯///」モジモジ

歩夢「その⋯⋯///」モジモジ


栞子「? あ⋯⋯もしかして、何か予定がありましたか?」


歩夢「えっと⋯⋯うん⋯あの子に呼ばれてて⋯⋯///」メソラシ


栞子「そうでしたか⋯⋯では、また後日に⋯⋯」


歩夢「うん⋯⋯ごめんね? ばいばい⋯⋯///」ノシ


栞子「⋯⋯⋯」

栞子(⋯⋯呼ばれたってなんだろう⋯⋯それって私の話よりも大事なことなのかな⋯?)

栞子(⋯⋯⋯)モヤモヤ

栞子(⋯⋯っ!⋯⋯今日は少しタイミングが悪かったようですね⋯⋯また明日、頑張りましょう)

118: 2021/04/29(木) 23:21:12.75 ID:v7CKmOJt0
──
────

──次の日、生徒会室──


栞子(⋯⋯今日は生徒会の仕事が入ってしまいました)

栞子(これはまた忙しくなりそうですね)

栞子(こんな時、歩夢さんが手伝いに来てくれたら⋯⋯なんて)

栞子(歩夢さんに会いたい⋯⋯⋯)モヤモヤ

栞子(っ!⋯⋯なんだか最近、自分が我儘になってきているような…)


──ガララ(ドアを開ける音


栞子「っ! 歩夢さん!」パァァァ


あなた「⋯⋯えっと、ごめん。私なんだけど⋯」


栞子「あ⋯⋯///」

栞子「いえ、すみません何でもないです⋯⋯///」


あなた「⋯⋯あはは、生徒会のお手伝いに来たんだけど」

あなた「ご期待には答えられなかったみたいかな?」


栞子「いえ、忘れてください⋯⋯///」カァァァ


あなた「ふふっ♪ 実はその歩夢ちゃんに頼まれてきたんだ」


栞子「歩夢さんに、ですか?」

119: 2021/04/29(木) 23:31:13.86 ID:v7CKmOJt0
あなた「うん、歩夢ちゃんには昨日話したんだけどね。今度、他校のイベントでライブすることになってね」

あなた「歩夢ちゃんに出場してもらう予定なんだ」


栞子「歩夢さんが⋯⋯」

栞子(⋯⋯昨日歩夢さんが呼ばれたって言っていたのはこの事だったんですね)


あなた「それで、それに向けた練習で忙しくなるから栞子ちゃんの様子を見て欲しいって頼まれて」


栞子「そういうことでしたか」


あなた「私じゃ役不足だったかな?」ニヤニヤ


栞子「だから、忘れてください⋯⋯///」カァァァ


あなた「あはは♪ 本当に栞子ちゃん、最近明るくなったよね♪」


栞子「はい⋯⋯確かに最近よく言われます」


あなた「やっぱり歩夢ちゃんのおかげかな?」


栞子「⋯そうかも、しれませんね///」


あなた「最近歩夢ちゃん張り切ってたもんね~」

あなた「心配だから栞子ちゃんの面倒見てあげなきゃ!ってずっと言ってたもん♪」


栞子「⋯⋯少し心配しすぎな気もしますけどね」フフッ♪


あなた「⋯⋯でも、変わったのは歩夢ちゃんもなんだよね」


栞子「歩夢さんも、ですか?」


あなた「うん、栞子ちゃんのお世話をよくするようになってからかな?」

あなた「歩夢ちゃん自身も変わろうとしている様に見える」

あなた「だから今回のライブも歩夢ちゃんに任せてみたんだ」


栞子「⋯⋯あなたはみなさんのことをよく見ているのですね」


あなた「そりゃ部長ですから♪」

120: 2021/04/29(木) 23:36:58.83 ID:v7CKmOJt0
──
────


あなた「⋯⋯ふう、これで終わりかな?」


栞子「はい、ありがとうございます。あなたが手伝ってくれたおかげでとても早く終わりました」

栞子「やはりあなたには生徒会への適性があります。正式に生徒会の役員になってもらいたいくらい⋯⋯」


あなた「あははっ、前も言ったけど私にはそこまでできないよ~」


栞子「そうですか、残念です⋯⋯」


あなた「生徒会のお仕事ってやっぱり大変だね」

あなた「栞子ちゃんも歩夢ちゃんも本当に頑張ってたんだね」


栞子「歩夢さんも⋯?」


あなた「最近、ずっと歩夢ちゃんも栞子ちゃんのお手伝いしてたでしょ?」

あなた「私の知らないところで二人共頑張ってたんだなって⋯⋯」


栞子(言われてみれば⋯⋯最近はずっと歩夢さんが傍にいてくれましたね⋯⋯///)

栞子(生徒会の手伝いだけでも大変なはずなのに、私のことを知りたいとボランティア活動まで手伝ってくれて⋯⋯///)

栞子(そう考えたら歩夢さんも、もしかしたら⋯⋯なんて、流石にそれは都合良く考えすぎですよね⋯⋯///)


あなた「⋯⋯もしかして今、歩夢ちゃんのこと考えてる?」


栞子「えっ!?/// な、なぜわかったんですか!?///」

121: 2021/04/29(木) 23:42:13.10 ID:v7CKmOJt0
あなた「⋯⋯⋯なんか最近、同じような顔してる人を見たから」


栞子「?」


あなた「あ、えっと⋯⋯歩夢ちゃんとこれからも仲良くしてあげてね?」


栞子「はいっそれは勿論」ニコッ


あなた「あ! それとさ、私もこれから栞子ちゃんのお手伝いしに来てもいいかな?」


栞子「え? いいのですか?」


あなた「歩夢ちゃんじゃないけど、私も栞子ちゃんの力になりたいからさ!」


栞子「それは助かります。ぜひお願いします!」

栞子(⋯⋯本当は、歩夢さんにも手伝って欲しいのですが⋯それは我儘過ぎますよね?)

栞子(⋯⋯なんだか、最近どんどん歩夢さんを求める欲が強くなってきている気がします⋯⋯)

栞子(明日こそは、歩夢さんとお話できるかな⋯⋯?)

122: 2021/04/29(木) 23:54:24.51 ID:v7CKmOJt0
──
────

──数日後──


栞子(今日は歩夢さんも練習がお休みのはず⋯⋯)

栞子(⋯⋯今日こそ、この想いを──)





歩夢「あ⋯⋯ごめんね? 今日はかすみちゃんと用事があって⋯⋯//」メソラシ


栞子「⋯⋯⋯そうですか」


──
────


栞子(はぁ⋯⋯中々都合が合いませんね⋯⋯)

栞子(それどころか、まともに会話することさえも最近出来ていません⋯⋯)

栞子(まるで、意図的に避けられてるような⋯⋯)

栞子(いえ! 歩夢さんに限ってそんな事はありません!)

栞子(歩夢さんはライブの練習で忙しくてそれで⋯⋯)

栞子(そう⋯⋯だよね⋯?)

栞子(⋯⋯⋯)モヤモヤ

栞子(たった数日。歩夢さんが隣にいないだけで、こんなにも心がつらい⋯⋯)

栞子(歩夢さんの近くに居たい⋯⋯なんで一番近くに居られないんだろう⋯⋯)

栞子(他の人なんて後回しにして、私とだけ一緒にいて欲しい⋯⋯)

栞子(あれ?⋯⋯私はいつからこんなに我儘になって、弱くなってしまったんだろう⋯⋯)

栞子(⋯⋯⋯やめましょう)

栞子(こんな事考えていても仕方ありません。歩夢さんは優しい方ですから、そんなことする人じゃないです⋯⋯)

栞子(⋯⋯あ、そうだ! しずくさんから余り物の水族館チケットを頂いたのでした! 休日に歩夢さんを誘ってその時に⋯⋯)

123: 2021/04/30(金) 00:03:55.67 ID:URv1MWr10
歩夢「⋯⋯」トコトコ


栞子「あ、歩夢さん! ちょうどいいところに……」


あなた「歩夢ちゃーん!」トコトコ


栞子「っ!」彡サッ(隠れる


歩夢「あなた⋯⋯どうしたの?」

あなた「歩夢ちゃんが気になってた駅前のクレープ屋、今日オープンなんだって! 放課後一緒に行こうよ」

歩夢「あ、放課後⋯⋯うん、いいよ♪」


栞子(え⋯⋯放課後はかすみさんと用事があるんじゃ⋯⋯)


歩夢「あ、ちょっと待ってね。かすみちゃんに連絡いれなきゃ⋯⋯」

あなた「? なんかかすみちゃんと約束あったの?」

歩夢「あ、ううんちょっとダンスの事で相談したかっただけだから別に明日でもいいかなって」

あなた「そっか⋯あんまり頑張りすぎてもよくないよ?」

歩夢「わかってるよ〜」ニコニコ


栞子(⋯⋯⋯)モヤモヤ

栞子(どうして⋯⋯)

栞子(どうして私は後回しで、その人は優先するの⋯?)

栞子(歩夢さんは、私よりもあなたのことが⋯⋯)



──違う。
そんなはずない、歩夢さんは私ともっと仲良くなりたいって言ってくれて!
生徒会の手伝いも、ボランティア活動も一緒にしてくれて⋯!
私の為にも頑張ろうとしてくれていて……

124: 2021/04/30(金) 00:08:06.30 ID:URv1MWr10
あなた「でも本当に歩夢ちゃん、最近頑張りすぎててちょっと心配だよ?」

歩夢「え? なにが?」

あなた「最近栞子ちゃんのお手伝いしてて大変さに気付いたけど、歩夢ちゃん先週とかずっと眠そうにしてたよね?」

あなた「⋯⋯やっぱり無理して栞子ちゃんのお手伝いしてたんでしょ?」


栞子(⋯⋯⋯ぇ)


歩夢「別に無理なんかは⋯⋯」

あなた「ダメだよ? 幼馴染の目はごまかせないんだから♪」

あなた「栞子ちゃんが気になるのは分かるけど、それで歩夢ちゃんまで倒れちゃったら元も子もないよ?」

あなた「今度ライブもあるんだし、これからは私も栞子ちゃんのお手伝い一緒にするから無理しないでね?」

歩夢「⋯⋯うん、ありがとう」


栞子(⋯⋯無理してた? 歩夢さんが?)

栞子(⋯⋯⋯私の為に⋯?)

栞子(⋯⋯知らない、知らない⋯! だって歩夢さん、無理してる様子なんて一度も⋯!)

栞子(⋯⋯⋯⋯あ)


───>>17
歩夢『⋯⋯zzZ』スースー

栞子『⋯⋯歩夢さん?』

栞子(⋯⋯無理もありませんよ、ここ最近は私のお手伝いに付きっきりで、私と同じような生活をしていたんですから──)



───>>95
栞子『⋯⋯? 歩夢さん⋯?』

歩夢『⋯⋯zzZ』スースー

栞子『あ⋯⋯ふふっ♪ 疲れて寝てしまいましたか──』

125: 2021/04/30(金) 00:12:05.98 ID:URv1MWr10
──気付かなかった。あの人は気付いていたのに⋯⋯

⋯⋯何が。
何が、特別だ。

優しくしてくれた?
誰にでもしますよ、歩夢さんですもの。

仲良くなろうとくれた?
対象のうちの一人ってだけですよ。

歩夢さんを支えられる存在になりたい?
無理させてることにも気付かなかったくせに。

特別な存在になりたい?
笑わせないでください。

本当は気付いていたはずなのに⋯⋯。
目を逸らして、見ないふりしてた。

近づけば近づくほど分かってしまう。
歩夢さんの目線はいつもあの人に向いていて、私の入る隙間は無くて⋯⋯。

歩夢さんにはとっくに特別な人がいて。
それでも、どこまでも都合のいいように解釈して⋯⋯。
恋に自惚れて、盲目になって、浮き足でいただけの愚か者⋯⋯。

馬鹿馬鹿しい⋯⋯。
最初から間違っていたんだ。
どれだけ近づこうとしても、私は特別になれない⋯⋯。








──私は、歩夢さんの隣に相応しくない──
 
 
 
 
 
 
 
 

138: 2021/05/02(日) 22:00:46.82 ID:jETqf1ss0
──
────

──クレープ屋さん──


あなた「あーむ⋯⋯ん〜〜♡ おいし〜〜♡」


歩夢「うふふっ♪ もう、ほっぺにクリームついてるよ?」


あなた「え?」


歩夢「ほらここ⋯⋯」スッ…ペロ

歩夢「うん♪ チョコクリームも美味しいね♪」


あなた「⋯⋯ありがとう///」

あなた「歩夢ちゃんのはストロベリークリームだっけ? 一口頂戴!」


歩夢「いいよ♪ はい、あーん♪」


あなた「あーむ⋯⋯ん〜〜♡ ストロベリーも美味しいね〜♪」


歩夢「でしょ♪」


あなた「あ、見て! あのクレープ、アイスクリームが乗ってるよ!」

あなた「私もアイス乗せればよかったなぁ⋯⋯」


歩夢「あんまり食べすぎると太っちゃうよ?」

歩夢「また今度来た時食べようね」


あなた「また⋯⋯うん、そうしよっか♪」

139: 2021/05/02(日) 22:12:43.75 ID:jETqf1ss0
歩夢(アイスか〜栞子ちゃんが来たら喜びそうだなあ♪)

歩夢(⋯⋯栞子ちゃん)


『──やっぱり好きです──』


歩夢(⋯⋯///)ドキドキ

歩夢(お出かけでのあの言葉を聞いて以来、栞子ちゃんを前にするとどうしていいか分からなくなる⋯⋯///)

歩夢(そもそも誰かに好きなんて言われたの初めてだし、どう向き合えばいいのかもわからない⋯⋯///)

歩夢(私が栞子ちゃんが求める存在で居続けられる自信もないし⋯⋯)

歩夢(最近はライブに向けた練習を言い訳に、栞子ちゃんを避けるようなことばっかりしちゃって⋯⋯)

歩夢(今日もせっかく栞子ちゃんが何か言おうとしてくれてたのに⋯⋯もうどうしたら⋯⋯)


歩夢「⋯⋯⋯ハァ」


あなた「⋯⋯また悩み事?」


歩夢「え?」


あなた「そんな感じの顔してたから♪」


歩夢(あなたにはなんでもバレちゃうな⋯♪)


あなた「悩みがあるなら何でも言ってよ。私、歩夢ちゃんの力になりたいからさ!」ニコッ

140: 2021/05/02(日) 22:21:18.86 ID:jETqf1ss0
歩夢(あなたはいつも優しいなぁ⋯♪)

歩夢(⋯⋯でも、いつまでもあなたに頼ってばかりじゃダメだよね)

歩夢(これは、私の問題なんだし⋯⋯)


歩夢「ううん、大丈夫」


あなた「⋯⋯⋯そっか、私でも力になれるんだったらなんでも言ってね?」


歩夢「うん、ありがとう」

歩夢「あ、じゃあ明日の練習なんだけど、少し早めに終わらせてもらってもいい?」

歩夢「久しぶりに栞子ちゃんのお手伝いに行きたいから⋯⋯//」


あなた「栞子ちゃんの⋯⋯」

あなた「うん、わかった。あ、それなら私も⋯⋯一緒に行っていいかな?」


歩夢「あ、えーっと⋯⋯// ちょっと栞子ちゃんと二人で話したいことがあって⋯⋯//」


あなた「⋯⋯そっか」シュン


歩夢(⋯⋯いつまでも逃げてばっかりじゃダメだから)

歩夢(栞子ちゃんの気持ちに向き合わなきゃ⋯!──)

143: 2021/05/02(日) 22:35:41.23 ID:jETqf1ss0
──
────

──次の日、生徒会室前──


歩夢(栞子ちゃん、今日も生徒会の仕事してるよね⋯⋯)ドキドキ

歩夢(正直、自信は無い⋯⋯)

歩夢(好きって想ってくれてる栞子ちゃんにどう接したらいいのかまだわからないし⋯⋯///)

歩夢(私自身も栞子ちゃんの事どう想ってるのかも⋯⋯//)

歩夢(⋯⋯でも)

歩夢(⋯⋯ふぅ、しっかりしなきゃ!)パチン

歩夢(それでも今はまず、逃げずに栞子ちゃんに向き合わなきゃ! 取り敢えず最近避けてばっかりのことを謝りたい⋯!)


──ガララ(ドアを開く音


歩夢「失礼します⋯⋯栞子ちゃん?」


栞子「⋯⋯⋯歩夢さんですか、何かご用ですか?」


歩夢「えっと⋯⋯// なんだかこうやって話すのも久しぶりだね? あ、栞子ちゃん髪切ったんだ⋯⋯」


栞子「はい、長くなってきたので」


歩夢「そっか⋯⋯// 髪が短いとなんだか凛々しく見えるね!」


栞子「そうですか、ありがとうございます。要件はそれだけですか?」


歩夢「え? あ、そうじゃなくて⋯⋯最近ごめんね? 誘ってくれてるのにずっと都合合わせられなくて⋯⋯」

歩夢(栞子ちゃん、なんだか素っ気ない⋯?)

144: 2021/05/02(日) 22:45:29.89 ID:jETqf1ss0
栞子「いえ、歩夢さんが謝る必要はありませんよ。歩夢さんは練習で忙しいのですから」


歩夢(⋯⋯栞子ちゃん、怒ってる⋯? 最近の明るい雰囲気が全然感じないというか⋯⋯)

歩夢「⋯⋯えっとそれでね、また生徒会忙しくなってるんでしょ? だから今日からまた一緒にお手伝いしたくて⋯⋯」


栞子「⋯⋯⋯ありがとうございます。ですが、歩夢さんのお手伝いは必要ありません」


歩夢「え?⋯⋯でも栞子ちゃんがまた一人で頑張りすぎたら⋯⋯」


栞子「それなら心配ありません。時期生徒会希望の生徒がいるそうなので、その方々に協力して貰う予定です」


歩夢「あ⋯そうなんだ⋯⋯」


栞子「はい。ですので歩夢さんはライブに向けた練習を頑張ってください」


歩夢「⋯あ、うん⋯⋯」

歩夢(必要ない⋯⋯? そ、そんなわけないよね? だって栞子ちゃんは私の事を⋯⋯)

歩夢「⋯でも、やっぱり私も栞子ちゃんのお手伝いがしたいなって⋯⋯栞子ちゃんも本当は…」


栞子「⋯⋯⋯歩夢さん」



栞子「歩夢さんって、お人好しすぎませんか⋯?──」



歩夢「え?」

145: 2021/05/02(日) 22:58:46.32 ID:jETqf1ss0
栞子「私は歩夢さんのそういった所が素晴らしいと思います。その優しさは、並の人では成せない強みです」

栞子「ですが、その優しさで自身を犠牲にしてしまっている。その優しさは振る舞う相手を選ぶべきなんです」


歩夢「えっと⋯⋯?」


栞子「はぁ⋯⋯はっきり言います。私は歩夢さんに私のお手伝いをして欲しくありません」


歩夢「ぇ⋯⋯」


栞子「最近気付きましたが、歩夢さんは私のお手伝いをしている時に居眠りをすることが多々見受けられます」

栞子「明らかに無理をしている証拠です。あの方にも注意されていましたよね? 生活に支障をきたすようでしたら、これ以上無理はさせられません」


歩夢「む、無理なんてしてないよ! それはたまたま寝ちゃってただけで⋯⋯別に生活に問題とかは⋯⋯」


栞子「そうでしょうか? では、歩夢さんは何故今、ここにいるのですか?」


歩夢「なんでって⋯⋯栞子ちゃんのお手伝いがしたくて」


栞子「本来であればライブに向けた練習をしている時間にですか?」

栞子「私のお手伝いをする為に、無理言って練習時間を削っている。これは明らかに歩夢さんの生活に影響が出ていますよね?」


歩夢「そ、それは⋯⋯」


栞子「先週も同じように無理して睡眠時間を削っていたのではないのですか?」


歩夢「っ⋯⋯」


栞子「誰かを助けるには志と力が必要です。歩夢さんには素晴らしい志がありますが、大きな力はない」

栞子「私を助けるには歩夢さんは力不足だったんです。だから自分を犠牲にして補った」

栞子「人には向き不向き、適正というものが必ずあります」

栞子「あなたが私に向ける優しさの使い方は適正ではない、もっと自分の力量に合った人に向けて使ってあげてください」

147: 2021/05/02(日) 23:10:53.45 ID:jETqf1ss0
歩夢「で、でも⋯! 適性とかそういうのじゃなくて、私は好きでお手伝いを⋯⋯」


栞子「好きで。ならばそれが歩夢さんにとって一番好きなことなのですか?」


歩夢「え⋯?」


栞子「歩夢さんがお世話好きであることは知っています、それと同時にスクールアイドルが好きなことも。歩夢さんにとって一番好きなことは何ですか?」

栞子「歩夢さん、選んでください」

栞子「もし、一つしか選べないのなら歩夢さんはスクールアイドルを取りますか? それとも私のお手伝いをしますか?」


歩夢「そ、そんなの⋯⋯」

歩夢「そんなの⋯⋯選べないよ⋯⋯」


栞子「⋯⋯⋯」

栞子「⋯⋯ですよね。歩夢さんは優しいのでどちらかひとつは選べないでしょう」

栞子「それと同時に、どちらも選ぶという強い力もない」


歩夢「っ!!」


栞子「選べないならスクールアイドルを取ってください、それに私はもう歩夢さんの助けを求めていない」

栞子「どうか同好会にお帰りください」


歩夢「⋯⋯どうして、栞子ちゃん変だよ!」


栞子「変? 私が何かおかしな事を言いましたか?」

栞子「間違ったことを言っていますか? 全て事実では?」


歩夢「っ! 間違っては⋯ないと思う⋯⋯でも、やっぱり変だよ! だって最近はずっと⋯⋯」

歩夢「あ、もしかして怒ってるの? まるで昔の栞子ちゃんみたいだよ⋯⋯?」


栞子「私は至って冷静です。歩夢さん、何度も言いますがもう私はあなたに助けを求めていない」

栞子「自己犠牲の優しさ。そんな優しさははっきり言って迷惑です」


栞子「もうこれ以上、私に優しくしないでください──」

148: 2021/05/02(日) 23:24:08.43 ID:jETqf1ss0
──
────

──夜、歩夢ホーム(ベランダ)──


歩夢「⋯⋯⋯」


『──自己犠牲の優しさ。そんな優しさははっきり言って迷惑です──』


歩夢(⋯⋯言われちゃった、迷惑ってはっきりと……)

歩夢(⋯⋯でも、どうして急に……)



──違うよ。
期待を裏切ったのは私なんだ⋯⋯
きっと栞子ちゃんは強い私を期待してくれてたんだよね?
だからもっと仲良くなりたいって、好きだってそう想ってくれてたのに⋯⋯
私がもっと強ければ⋯⋯栞子ちゃんと向き合おうとすれば⋯⋯栞子ちゃんの求める行動が出来ていれば⋯⋯
それなのに、期待に答えずに逃げるような真似して⋯⋯失望されて当然だよね?




歩夢「⋯⋯⋯はぁ」


あなた「また何か悩み事?」ヒョコ


歩夢「⋯⋯わかるの?」


あなた「当たり前じゃん♪ 幼馴染でしょ?」


歩夢「⋯⋯栞子ちゃんに失望されちゃったみたい」


あなた「え?──」

149: 2021/05/02(日) 23:31:45.02 ID:jETqf1ss0
歩夢「──って感じで、私のお節介が迷惑だってはっきり言われちゃった⋯⋯」

歩夢「分かってた。私は普通の人間で、栞子ちゃんは凄い人で⋯⋯」

歩夢「それでも、少しでも栞子ちゃんの助けになればいいなって頑張ろうとしたんだけど」

歩夢「やっぱり、普通の私じゃ栞子ちゃんにとっては迷惑だったみたいで⋯⋯」

歩夢「⋯⋯私じゃ、栞子ちゃんの支えにはなれなかったみたいだね」


あなた(おかしいよ⋯⋯栞子ちゃんが急にそんなこと言う訳無い⋯⋯)

あなた(あんなに歩夢ちゃんと仲良くしてたのに⋯⋯)

あなた(きっと二人はなにか大きな誤解をしていて⋯!)


あなた「⋯⋯⋯っ」ズキズキ


あなた(言葉が、出ない⋯⋯⋯?)ズキズキ

あなた(どうして⋯? このまま二人が仲違いしたら嫌なはずなのに⋯!)

あなた(二人が離れて⋯⋯安心してる自分がいる⋯⋯)ズキズキ

あなた(私は⋯⋯私は⋯⋯⋯!)


あなた「⋯⋯⋯じゃあ、もういいんじゃないかな」


歩夢「え?」

151: 2021/05/02(日) 23:41:27.69 ID:jETqf1ss0
あなた「あ、そんなに思いつめなくても別にいいんじゃないかなって⋯⋯」

あなた「多分栞子ちゃんは歩夢ちゃんの事が嫌いになったって訳じゃないと思うんだ」

あなた「ただ、普通に歩夢ちゃんにスクールアイドルしてて欲しいんだよ」

あなた「だってほら、歩夢ちゃん今度ライブあるんだし集中して欲しかったんじゃないかな?」


歩夢「⋯⋯そうなのかな」


あなた「うん、ほら栞子ちゃんって少し不器用な伝え方する時あるからさ」

あなた「それか、もしかしたら髪を切ったから性格が変わって言い方がきつくなっちゃったとか♪」


歩夢「⋯⋯ふふっ♪ 何言ってるの♪」


あなた「あははっ⋯⋯」


歩夢「もう⋯⋯♪ でもそうだね」

歩夢「じゃあ、別にいいのかな⋯⋯」

152: 2021/05/02(日) 23:57:45.37 ID:jETqf1ss0
──
────

──数日後、練習中──


かすみ「ねえねえしず子、最近のしお子さ⋯⋯」ヒソヒソ

しずく「やっぱりそうだよね、明らかに⋯⋯」ヒソヒソ


かすみ・しずく「「またキャラ変わってるよね!?」」


栞子「はい?」


かすみ「はい? じゃないよ! 最近は、へ?キョトン だったじゃん! キョトンって顔してたじゃん!!」


栞子「はあ」


かすみ「はあ。じゃないよ! 最近までの明るいしお子はどこに行っちゃったの!?」

しずく「栞子さんってもしかして、髪の長さで性格変わったりするの?」


栞子「そんなわけないじゃないですか⋯⋯」


かすみ「でも完全に塩対応の栞子に戻っちゃってるじゃん!」


栞子「塩対応の栞子⋯⋯?」


かすみ「あ、しお子の昔のあだ名⋯⋯」


栞子「私には一体いくつあだ名があるんですか⋯⋯」ハァ


しずく「でも本当にどうしちゃったの? あまりに急すぎるというか⋯⋯」


栞子「⋯⋯別に、ただ自分の過ちに気づいただけですよ」


かすみ・しずく「あやまち⋯?」

153: 2021/05/03(月) 00:05:49.86 ID:A0ULvIhL0
~説明中~


しずく「えっ!? じゃあ歩夢さんとの恋は諦めちゃうの!?」


栞子「⋯⋯諦めるも何も、最初から間違っていただけです」

栞子「歩夢さんには最初から特別な人がいて、私は愚かにもそれに気づかず、歩夢さんに重荷を背負わせてしまった。ただそれだけです」


かすみ「で、でも! しお子だって最近は先輩にも負けないくらい歩夢先輩と仲良かったじゃん!」


栞子「それはそう見えているだけですよ。歩夢さんは私と会話する時、必ずと言っていいほどあの方の話をします」

栞子「二人を見ていればわかります、完全に私の付け入る隙なんてないってことに」


しずく「⋯⋯栞子さんは、歩夢さんの特別な人になりたかったんじゃないの?」


栞子「私は歩夢さんの幸せを奪ってまで特別な人になりたくはありません」


かすみ「しお子はもう、歩夢先輩のこと好きじゃないの⋯?」


栞子「⋯⋯好きですよ」

栞子「好きだからこそ、歩夢さんは幸せになって欲しい」

栞子「私が歩夢さんを求めると歩夢さんは無理をしてしまいます。それは歩夢さんにとって一番の幸せではないはずです」

栞子「歩夢さんの隣に私は相応しくない、だから身を引いた。それだけのことです」

155: 2021/05/03(月) 00:17:56.16 ID:A0ULvIhL0
かすみ「⋯⋯⋯」

かすみ「本当に、諦めちゃうの? だってしお子はまだ想いを伝えてないんでしょ!?」


栞子「私が想いを伝えたところで歩夢さんに迷惑が掛かるだけです。そんな無駄なことはしなくていい」


かすみ「例え無駄だとわかっていても、その全部が無駄じゃないってことを、しお子はこの同好会で知ったんじゃなかったの!?」


栞子「⋯⋯⋯」


しずく「栞子さん。私の知ってる栞子さんは、ちょっと頑固で融通のきかない所もあって、でも譲れない所は曲げないまっすぐな心を持っていたと思うよ」


栞子「しずくさん⋯かすみさん⋯⋯」

栞子「ありがとうございます。ここまで励ましてくれる友人を持って、私は幸せものです」

栞子「もう十分です、これ以上は要りません」

栞子「私は歩夢さんの幸せを願います。あの二人を応援します」



──これ以上歩夢さんに迷惑はかけられない。
あの方は私にスクールアイドルの素晴らしさ教えてくれた、そして同好会という新しい居場所をくれた。
そして歩夢さんは私に恋を教えてくれた、私を変えてくれた。
二人は恩人です。そんな二人の仲を裂いてまで特別になろうだなんて、私には出来ない⋯⋯
歩夢さんは私の為に自己犠牲の優しさをくれた。
ならば、今度は私が二人の為に⋯⋯

157: 2021/05/03(月) 00:30:16.92 ID:A0ULvIhL0
──
────

──生徒会室──


──ガララ(ドアを開ける音


あなた「失礼します⋯⋯栞子ちゃん、お手伝いに来たよ」


栞子「⋯⋯あなたでしたか」

栞子「助かります、ではこちらの資料をまとめる作業を⋯⋯」


あなた「⋯⋯私は、お手伝いに来てもいいんだね?」


栞子「⋯⋯歩夢さんから聞いたのですか」


あなた「うん、歩夢ちゃんと喧嘩したんだって?」


栞子「喧嘩したつもりはありませんが⋯⋯確かに多少言い方が荒くなってしまったことは認めます」

栞子「ですが、それは歩夢さんの…」

あなた「歩夢ちゃんの為を思って、だよね?」


栞子「っ!⋯⋯流石です。あなたにはなんでもお見通しですね」


あなた「⋯⋯流石になんでもってことはないけど、栞子ちゃんならそうかなって」

158: 2021/05/03(月) 00:41:08.65 ID:A0ULvIhL0
あなた「どうしちゃったの急に? 歩夢ちゃん、落ち込んじゃってたよ?」


栞子「そう、ですよね⋯⋯もう少しやり方を考えるべきだったかもしれません⋯⋯」

栞子「⋯⋯すみませんが、歩夢さんを慰める役をあなたにお願いしてもいいですか?」


あなた「え⋯? でもそれは栞子ちゃんがやるべきじゃ⋯」


栞子「あなたの方が適任です。ちょうど良かったです、これをどうぞ」


あなた「⋯⋯これって、水族館のチケット⋯⋯」


栞子「はい、期限が今週の土曜までなのですが、私は生徒会の用事があるので行けませんので」

栞子「歩夢さんと一緒に行って慰めてあげてください」


あなた「でも、これは⋯⋯!」

あなた(栞子ちゃんが歩夢ちゃんと行こうとしてたんじゃ⋯⋯)


栞子「私が持っていても、無駄になってしまうので受け取ってください」


あなた「⋯⋯⋯」


栞子「歩夢さんを一番幸せに出来るのは、他でもないあなただけです」


あなた「⋯⋯ありがとう」


栞子「どういたしまして、では作業を進めましょう」


あなた「うん⋯⋯」

あなた「⋯⋯⋯」

あなた「栞子ちゃん⋯!⋯⋯本当に、いいの?」


栞子「⋯⋯⋯はい、私は歩夢さんの幸せを望んでいます」


あなた(栞子ちゃんの目、本気だ⋯⋯)

あなた(本気で栞子ちゃんは歩夢ちゃんのことを⋯⋯)


あなた「⋯⋯わかった」

あなた(それなら私も、栞子ちゃんの想いに答えなきゃ⋯!──)

159: 2021/05/03(月) 00:45:24.68 ID:A0ULvIhL0
───各々が各々を想う故に、決して交わらない想い。
やがて想いが交わる時、この物語は終局へと向かう⋯⋯
その時は、刻一刻と近づいている───

168: 2021/05/04(火) 22:08:59.23 ID:8LfJvnay0
──
────

──練習後──


あなた「歩夢ちゃん、今日もお疲れ様! 一緒にかえ……」


歩夢「⋯⋯⋯」ジーーー


あなた「歩夢ちゃん?」


歩夢「⋯あっ、あなた⋯⋯」


あなた「今見つめてたそれって⋯⋯栞子ちゃんから貰った鈴蘭のキーホルダー?」


歩夢「⋯⋯うん」


あなた「⋯やっぱり栞子ちゃんの事が気になる?」


歩夢「えっと、気になるというか⋯⋯うん、そうかも⋯⋯」

歩夢「ダメだよね、今はライブに集中しなきゃいけないのに⋯⋯栞子ちゃんもそれを望んでるはずなのに⋯⋯」


あなた「⋯⋯そんな暗い顔してたら、ライブに集中できないのも当然だよ」

あなた「ねえ歩夢ちゃん。土曜日にさ、私と水族館に行かない?」


歩夢「水族館⋯⋯?」


あなた「いつまでも暗い顔してたら、どんどん悪い方向に行っちゃうと思うし」

あなた「だから一旦全部忘れて気分転換ってことで⋯⋯どうかな?」


歩夢「⋯⋯全部忘れて」

歩夢(そういう時間も、必要なのかな⋯?)


歩夢「うん⋯⋯そうだね、ありがとう♪」

歩夢「私もあなたと水族館行きたい!」


あなた「やった! じゃあこの時間にここの場所で──」

169: 2021/05/04(火) 22:21:20.98 ID:8LfJvnay0
──
────

──土曜日:待ち合わせ場所──


歩夢(休日にあの子と一緒にお出かけするのも久しぶりな気がするな~♪)

歩夢(最近は栞子ちゃんと一緒にいることが多かったし⋯⋯)

歩夢(⋯⋯ってだめだめ! 今日は全部忘れて、あの子と楽しむって決めたんだから⋯⋯)

歩夢(あの子と水族館♪ 楽しみだなぁ~♪)

歩夢(にしても、どうしてわざわざ待ち合わせ場所なんて指定してきたんだろう?)

歩夢(いつもお出かけするときは家から一緒に行くのに⋯⋯)


あなた「歩夢ちゃん! お待たせ~!」


歩夢「っ! ううん、全然待ってない⋯よ⋯?」


あなた「?」


歩夢「え、えっと⋯なんか、今日は雰囲気がちょっと違うね?//」

歩夢(いつもボーイッシュな格好が多いけど、今日は大人っぽいというか⋯⋯上品なカッコよさっていうのかな?)

歩夢(ローファーでちょっと背も高くなってるし、こんなあなたの格好初めて見たなぁ⋯⋯//)


あなた「えへへ♪ 実は今日のために果林さんと愛ちゃんに頼んでコーディネートしてもらったんだ!」

あなた「マニッシュコーデって言うらしいんだけど⋯⋯こういう大人っぽい格好良さのある服って初めてで⋯⋯// どうかな⋯?//」テレテレ


歩夢「そうだったんだ⋯//」

歩夢「とっても似合ってる⋯// いつもよりかっこよく見えるよ⋯?//」


あなた「本当っ!? よかった~♪」

あなた「えへへ♪ 歩夢ちゃんが驚いてくれたなら、頑張ったかいがあったよ♪」ニコッ

170: 2021/05/04(火) 22:34:09.98 ID:8LfJvnay0
歩夢「⋯⋯もしかして、その為に待ち合わせ場所を?」


あなた「うん、だって⋯⋯/// 折角の歩夢ちゃんとのデートなんだもん♪」


歩夢「デ、デートっ!?//」


あなた「えへへ⋯⋯/// 今日は私が他のこと全部忘れちゃうくらい歩夢ちゃんを楽しませるから覚悟しててね?」


歩夢「っ!?//⋯⋯う、うん⋯//」

歩夢(そっか⋯⋯あなたは私を励まそうと頑張ってくれてるんだね♪)


あなた「さあ、行こう歩夢ちゃん♪」ギュッ(手握り


歩夢「っ!// うん♪ 今日はよろしくね♪」


あなた「やっぱり歩夢ちゃんの手って温かいね~♪」


歩夢「あなたの手は相変わらずちょっとひんやりしてるね♪」

歩夢(⋯⋯全部忘れちゃうくらい楽しませてくれる⋯か♪)

歩夢「⋯⋯ふふ♪」


あなた「どうしたの?」


歩夢「あなたと一緒の水族館が楽しみだなって♪」ニコニコ

歩夢(今日は絶対素敵な一日になる⋯⋯そんな予感がする♪──)

171: 2021/05/04(火) 22:43:29.17 ID:8LfJvnay0
──
────

──水族館──


あなた「うわ~! 水族館久しぶり~!」

あなた「歩夢ちゃん、どこ見に行きたい!?」ワクワク


歩夢(ふふっ♪ あんなにはしゃいじゃって、折角のかっこいい格好が台無しだよ?♪)ニコニコ

歩夢「じゃあ、クラゲが見に行きたいな~♪」


あなた「クラゲか~ここの水族館はライトアップされててとっても綺麗なんだよね!」


歩夢「うん♪ 昔、遠足でここに来たのを覚えてて⋯⋯あなたも覚えてる?」


あなた「勿論覚えてるよ、小学生の頃だっけ?」


歩夢「ちなみに何年生だったかも覚えてる?」


あなた「え!? えーと⋯確か4か5だったような⋯⋯」


歩夢「⋯⋯⋯」ニコニコ


あなた「えっ!? どっちっ!? 歩夢ちゃん、覚えてるなら教えてよ~」


歩夢「自分で思い出してくださーい♪」


あなた「そんな~!? 教えてくれたっていいじゃ~ん!」

172: 2021/05/04(火) 22:53:47.57 ID:8LfJvnay0
──
────

──クラゲ展(ジェリーフィッシュランブル)──


あなた「光に照らされたクラゲ⋯⋯幻想的でとっても綺麗だね⋯⋯」


歩夢「うん、本当だね⋯⋯」


あなた「あっ見てあのクラゲ! ピンク色でみんなが集まっている所に向かって一生懸命泳いでて⋯⋯ちょっと歩夢ちゃんみたい♪」


歩夢「じゃあ、その隣で一緒に泳いでる子はあなたみたいだね♪」


あなた「あっちの黄色い子はかすみちゃんで、水色の子はしずくちゃん! あっ璃奈ちゃんっぽい子もいる!」


歩夢「じゃああそこにいるのは栞子ちゃんで⋯⋯あっ⋯⋯」

歩夢(ついうっかり栞子ちゃんのこと考えちゃった⋯⋯)


あなた「歩夢ちゃん?」


歩夢「⋯⋯ごめん、今日は栞子ちゃんのことは考えないようにしてたのに⋯⋯」


あなた「え? 別にそんな気にするようなことじゃ⋯⋯」


歩夢「でも、折角あなたが私の為に色々頑張ってくれてたのに⋯⋯」

歩夢「本当にごめん⋯⋯」


あなた「⋯⋯⋯」


──ギュッ(手を握る


歩夢「っ!」

173: 2021/05/04(火) 23:07:49.11 ID:8LfJvnay0
あなた「今日はネガティブ発言禁止♪」ニコッ

あなた「そんなに謝る必要ないよ?」

あなた「全部忘れてなんて言ったけど、別に栞子ちゃんのこと考えちゃダメなんて言ってないし」

あなた「思い出しちゃっただけで暗い顔してたら、栞子ちゃんが可愛そうだよ?」


歩夢「⋯⋯そうだよね」


あなた「それと、思い出したよ」


歩夢「え?」


あなた「昔、遠足でここに来たこと。確か5年生の時で⋯⋯その時もここで歩夢ちゃんと一緒に見たよね?」


歩夢「⋯⋯うん//」


あなた「⋯⋯あの時も、こうやって歩夢ちゃんと離れないように手を握ってたよね♪」


歩夢「⋯⋯そうだったね//」

歩夢「あの時も今も、あなたはいつも優しいね。私の大好きなあなたのまま、ずっと変わらない⋯⋯//」


あなた「そうかな⋯⋯//」

あなた「でも、私も歩夢ちゃんもずっと変わらないなんてことは……」


──ぐぅぅぅ(お腹の鳴る音


歩夢「へ?」


あなた「あ⋯//」

あなた「あはは// 朝ごはん、まだ食べてなかったから⋯⋯」


歩夢「⋯⋯もう、あなたったら⋯♪」

歩夢「あっちに売店があるみたいだから、何か食べよっか」


あなた「賛成♪」

175: 2021/05/04(火) 23:13:32.91 ID:8LfJvnay0
あなた「あ! 歩夢ちゃんが好きなキャラメル味のポップコーンが売ってるよ!」


歩夢「あなたの好きなチョコ味のポップコーンも売ってるね♪」


あなた「じゃあ、歩夢ちゃんが好きなキャラメル味を買おうかな、歩夢ちゃんにも分けてあげる!」


歩夢「じゃあ私は、あなたの好きなチョコ味を買おうかな、あなたにも分けてあげるね♪」


あなた「⋯⋯それだったら自分の好きな味をそれぞれ買えばいいんじゃ?」


歩夢「ほんとだね♪」


あなた・歩夢「「うふふっ♪」」

176: 2021/05/04(火) 23:26:16.92 ID:8LfJvnay0
──
────


あなた「水族館と言ったらやっぱりイルカショーだよね!」


歩夢「うん♪ 楽しみだけど⋯⋯もう結構席埋まっちゃってるね?」


あなた「ほんとだ! 前の方なら空いてるけど⋯⋯前だと水がかかっちゃうんだよね⋯⋯」


歩夢「私は別に平気だよ♪ びしょびしょになっちゃうのもイルカショーの醍醐味だもん♪」


あなた「じゃあ待ってて、レインコート買ってくるから」


歩夢「大丈夫だよ、ほらこれっ♪」


あなた「えっ⋯⋯これって⋯⋯」


歩夢「水族館行くならイルカショーも見ると思って⋯⋯用意してたんだ♪」

歩夢「あなたの分もちゃんとあるから♪ はいっ袖通して~」


あなた「⋯⋯ありがとう//」

あなた「⋯⋯あっ、なんか昔もこうやって歩夢ちゃんにレインコート着せてもらったような気がする⋯⋯」


歩夢「ふふっ♪ そういえばそうだったね♪」


あなた「⋯⋯昔から歩夢ちゃんはいつだって優しいよね」


歩夢「優しい⋯⋯あなただっていつも優しいよ?」

177: 2021/05/04(火) 23:41:06.63 ID:8LfJvnay0
あなた「でも、私は歩夢ちゃんが優しくしてくれたから私も優しくなったんだと思う」


歩夢「そんなことないと思うけど⋯⋯」


『──自己犠牲の優しさ。そんな優しさははっきり言って迷惑です──』


歩夢「⋯⋯⋯それに、私の優しさは迷惑になっちゃう時もあるみたいだし⋯⋯」


あなた「私は、その優しさに何度も救われてるよ!!」


歩夢「っ!!」


あなた「歩夢ちゃんがいつも優しくしてくれるから今の私がいる」

あなた「歩夢ちゃんにとってはなんてない事でも、私にとっては支えになってる⋯!」

あなた「私は歩夢ちゃんの優しさに支えられてるんだよ? 私だけじゃなくてもそう思ってる子も絶対たくさんいる!」

あなた「だからそんなにネガティブにならなくていいんだよ⋯?」


歩夢「⋯⋯ありがとう// ごめんね? また私がちょっと暗い顔してたから励ましてくれたんだよね?」


あなた「⋯⋯ふふっ♪ 今日は歩夢ちゃんがネガティブなこと言うたびに励ましちゃうから覚悟しててね♪」


歩夢「⋯⋯もう//」

歩夢(そうだったんだ⋯⋯// 私の優しさがそんなにあなたのことを⋯⋯//)

歩夢(嬉しいな、私の優しさが誰かの支えになってるなんて⋯⋯)

歩夢(⋯⋯そういえば栞子ちゃん言ってた、私の優しさはもっと自分の力量に合った人に向けて使ってあげてって⋯⋯)

歩夢(栞子ちゃんには迷惑になっちゃったけど、あの子にだったら、私の無理ない範囲で優しさを振る舞える人になら、支えになれる⋯⋯)

歩夢(こういうことだったんだね⋯⋯本当に栞子ちゃんは人を見る目があるんだね──)

179: 2021/05/04(火) 23:50:07.37 ID:8LfJvnay0
──
────

──帰り道──


あなた「水族館楽しかったね~!」


歩夢「うん♪ また行きたくなっちゃった♪」


あなた「でも歩夢ちゃん、水族館なのにカピパラにずっと夢中だったよね~♪」


歩夢「だってカピパラ可愛かったし⋯⋯水族館なのになんでカピパラ?って意外性もあって⋯⋯//」


あなた「ふふっ、カピパラにはしゃぐ歩夢ちゃんも可愛かったよ♪」


歩夢「もう~からかわないでよ~⋯//」


あなた「あははっ、また行きたいね♪」


歩夢「うん♪」


あなた「⋯⋯あのさ、最後に行きたいところがあるんだけどいいかな?」


歩夢「⋯⋯?」

180: 2021/05/05(水) 00:00:44.36 ID:H+AKEUag0
──
────

──観覧車内──


歩夢「わわっ結構揺れるんだね」


あなた「あはは、観覧車に乗るのも久しぶりだもんね?」


歩夢「うん、近くにある物って案外乗らないよね」


あなた「あっ見て、虹ヶ咲学園も見えるよ♪」


歩夢「本当だね♪⋯⋯ねえ、覚えてる? 小さい頃も二人でこの観覧車に……」


あなた「覚えてるよ、小学生の頃だよね」


歩夢「っ!⋯うん」

歩夢「そういえば、その時も遠足での帰りに乗ったんだったね、だから今日も?」


あなた「うん⋯⋯」


あなた・歩夢「⋯⋯⋯⋯」


歩夢(⋯⋯? どうしたんだろう急に黙って⋯?)

181: 2021/05/05(水) 00:07:53.82 ID:H+AKEUag0
あなた「⋯⋯あの頃からさ、私たちって結構変わったよね」


歩夢「うん、そうだね。あなたがスクールアイドルにハマって、私がスクールアイドルになって⋯⋯あの頃じゃ考えられないこともたくさん経験してね♪」

歩夢「でも、変わってない部分もたくさんあるよ? あなたの行動とか、優しさとか⋯⋯そんなあなたが好きな気持ちも⋯⋯」


あなた「⋯⋯歩夢ちゃんは、いつまでも変わらない私が好き?」


歩夢「え?」

歩夢「⋯⋯そんなことはないよ、どんなに変わっても私の好きな変わない部分はあるだろうし、新しい部分を好きになるかも知れないし」


あなた「そっか⋯⋯ありがとう♪」

あなた「歩夢ちゃん、大好きだよ♪」


歩夢「ふふっ♪ 私も、大好きだよ♪」


──ギュゥッ(抱きしめ


歩夢「っ!?///」


あなた「私の好きって、こういう好きなんだよ?///」


歩夢「え⋯?//」

183: 2021/05/05(水) 00:16:31.99 ID:H+AKEUag0
あなた「いつまでも、変わらないなんて事はない⋯⋯///」

あなた「私だって、歩夢ちゃんだって変わる⋯⋯// 気持ちだって変わるんだよ⋯?//」

あなた「私は、歩夢ちゃんの優しい所が好き。ピンクとか可愛いものが大好きなのに、時々恥ずかしくて赤くなっちゃう所も可愛いくて好き⋯!」

あなた「夢に一歩一歩進む努力ができる歩夢ちゃんが好き。私のためにお弁当作ってきてくれたり、思い出の昔の話をしてくれる歩夢ちゃんも⋯!」

あなた「全部、全部大好き⋯⋯!///」

あなた「私はこれからも歩夢ちゃんと一緒にいたい!///」

あなた「だけどもう幼馴染の関係だけじゃいたくない!!///」

あなた「歩夢ちゃん! 私と付き合ってください!!///」

186: 2021/05/05(水) 00:21:00.59 ID:H+AKEUag0
歩夢(私は⋯⋯⋯)


選択肢1.
歩夢「⋯⋯⋯⋯ごめんなさい」


選択肢2.
歩夢「⋯⋯嬉しい、私もあなたのことが⋯!」



>>189まで 1 or 2 で多数決

187: 2021/05/05(水) 00:23:50.62 ID:c5UnaVsZ0
ここで選択肢なんだ。2を選んじゃうけど、どちらも見たくなる

188: 2021/05/05(水) 00:24:10.84 ID:PWJS/Y6z0
ここで??!???!!?
じゃあ自分は1で…!

189: 2021/05/05(水) 00:24:25.46 ID:KTtCXaYLa
1

195: 2021/05/05(水) 00:36:15.00 ID:H+AKEUag0
歩夢「⋯⋯⋯⋯ごめんなさい」


あなた「⋯⋯⋯」


歩夢「あなたのことは好き、大好きだよ!」

歩夢「⋯⋯でも、それはずっと幼馴染としての好きってことで⋯⋯」

歩夢「⋯⋯その好きが恋じゃないって最近わかったの⋯!」

歩夢「栞子ちゃんが教えて⋯!」


あなた「うん、栞子ちゃんが教えてくれたんだよね」


歩夢「え⋯?」

197: 2021/05/05(水) 00:46:18.68 ID:H+AKEUag0
あなた「言わなくてもわかるよ、見てればわかるもん。栞子ちゃんと一緒にいる時の歩夢ちゃん、私の知らない顔しててさ」

あなた「栞子ちゃんの事考えてる時も、栞子ちゃんの為に頑張ろうとする姿も、私といる時よりも嬉しそうな顔も、全部全部。幼馴染の私でも知らない歩夢ちゃんで⋯⋯」

あなた「そんな二人を見てたらなんだかモヤモヤして、気がついたら二人をいつも見てて、嫉妬しちゃって⋯⋯」

あなた「⋯⋯それで私も栞子ちゃんに教えられたんだ。あぁ⋯⋯私の好きってこういう好きなんだって」

あなた「私も栞子ちゃんに教えられるまで気付けなかった。ずっと幼馴染として過ごして来たからだろうね⋯⋯」

あなた「遅いよね、好きな相手が誰かを好きになってから初めて好きに気付くなんて⋯⋯」


歩夢(そんな風に想ってくれてたんだ⋯⋯)

歩夢(それなのに私は、栞子ちゃんと自分の事でいっぱいで⋯⋯)


あなた「⋯⋯そんなに申し訳なさそうな顔しないでよ♪」


歩夢「でも⋯⋯」

198: 2021/05/05(水) 00:58:37.26 ID:H+AKEUag0
あなた「⋯⋯もし、立場が逆だったら、歩夢ちゃんはどうしてた?」


歩夢「え?」


あなた「⋯⋯歩夢ちゃんが私に好きって言って、私が他の子が好きって答えたら、歩夢ちゃんはどうしてた?」


歩夢「⋯⋯それは、嫌だよ⋯⋯好きなら一緒にいたい⋯⋯」

歩夢「⋯⋯でも、あなたが本当に望むなら。その恋を応援したい⋯!」


あなた「⋯⋯ふふっ♪ 私も同じだよ♪ だからおあいこ♪」

あなた「⋯⋯それに私、歩夢ちゃんに好きって言えてよかった⋯! 歩夢ちゃんの気持ちも聞けてよかった⋯⋯」

あなた「ずっとモヤモヤしてて⋯⋯苦しかったんだ⋯⋯」

あなた「二人が仲良くなるのを見てて、悲しくなる自分が嫌だった⋯⋯」

あなた「歩夢ちゃんがはっきり断ってくれたから⋯⋯私も前に進める⋯⋯!」

あなた「ありがとう歩夢ちゃん、私に恋を教えてくれて⋯!」

あなた「これでやっと、いつもの幼馴染に戻れるね⋯?」

あなた「これからもずっと一緒にいようね⋯♪──」

202: 2021/05/05(水) 01:18:12.86 ID:H+AKEUag0
──
────

──帰り道──


歩夢「⋯⋯⋯」ポロポロ


あなた「もう⋯⋯なんで振った方が泣いてるのさ⋯⋯」


歩夢(⋯⋯そうだよね、泣いちゃダメだ⋯⋯泣きたいのはあなたの方なのに⋯⋯)

歩夢「うん、ごめんね。ありがとう⋯! あなたが気持ちを伝えてくれなかったら私も、栞子ちゃんに抱く気持ちに気づけなかった⋯⋯」


あなた「ふふっ♪ もう、歩夢ちゃんはいつも私が背中を押してあげないと自分の気持ちにすら気付けないんだから⋯⋯♪」


歩夢「そうだね、スクールアイドルもそうだった♪」

歩夢(⋯⋯あなたには本当に感謝してる⋯⋯いつだって私を支えてくれてたのはあなただった⋯⋯)

歩夢(⋯⋯でも、もう迷わない⋯! 恐れたりなんてしない⋯!)

歩夢「⋯⋯私、行ってくるね。この気持ちを栞子ちゃんに伝えてくる⋯!」


あなた「うん、いってらっしゃい⋯⋯」


歩夢「あなた⋯⋯ありがとう⋯!」

歩夢「あなたはいつだって私の一番の幼馴染だよ!!」


あなた「うん♪ 私も歩夢ちゃんは一番の幼馴染だよ!」


歩夢「行ってくる⋯!」ダッ


あなた「⋯⋯頑張ってね」

あなた「⋯⋯⋯」

あなた「⋯⋯⋯行っちゃったか」

あなた「はぁ~~⋯⋯なんかすっきりしたなぁ」ノビーー

あなた「やっと⋯⋯心に残ってたモヤモヤが全部できったような気分♪」

あなた「あははっ⋯⋯⋯」

あなた「⋯⋯⋯あれ⋯⋯おかしいな⋯⋯」ポロポロ

あなた「分かってたはずなのに⋯⋯二人を応援しようって、最初から決めてたのに⋯⋯」ポロポロ

あなた「涙が止まんないや⋯⋯」ポロポロ

207: 2021/05/05(水) 01:32:32.85 ID:H+AKEUag0
──
────


歩夢「⋯⋯はぁっ⋯⋯はぁっ」タッタッタッ



伝えたい!

伝えたい!!

もう涙なんか見せない!

ため息だってつかない!

振り返ったり、迷ったりはしない!

私は栞子ちゃんのことが⋯!



歩夢「⋯⋯はぁっ⋯⋯はぁっ」タッタッタッ

歩夢「⋯⋯って、栞子ちゃんどこにいるのかわからないや⋯⋯」

歩夢「メッセも既読つかないし⋯⋯取り敢えず家に行ってみようかな?」

歩夢「家はこっちの方向だから⋯⋯」キュッ

歩夢「きゃぁっ!」コテンッ

歩夢「いたた⋯⋯」

歩夢「あ⋯キーホルダーが取れて⋯⋯」

歩夢(⋯⋯鈴蘭のキーホルダー⋯?)


『──鈴蘭には、純粋、優しさといった花言葉があるんですよ。──』

『──ボランティア後はいつもここに来て水をあげているんです──』


歩夢(そっか! 今日は土曜日! 栞子ちゃんはボランティアの時間!)

歩夢(今から向かえば丁度終わる時間⋯⋯)

歩夢(だったら栞子ちゃんはきっとあそこに⋯!──)

208: 2021/05/05(水) 01:42:26.22 ID:H+AKEUag0
──
────

──公園──


歩夢「⋯はぁっ⋯はぁっ⋯」

歩夢「⋯⋯栞子ちゃーん!!」


栞子「っ!?⋯⋯歩夢さんっ!?」


歩夢「よかった⋯⋯いた⋯⋯」ハァ…ハァ…


栞子「どうしたのですか? 大丈夫ですか? そんなに息を切らして⋯⋯」

栞子「待っててください、今なにか飲み物を⋯⋯」


歩夢「待って栞子ちゃん!!」

歩夢「聞いて!!」

歩夢「私⋯⋯栞子ちゃんの事が好き!!!」


栞子「ぇ⋯⋯⋯」

209: 2021/05/05(水) 01:54:32.72 ID:H+AKEUag0
歩夢「⋯⋯⋯///」ドキドキ

歩夢「何度も諦めようとした⋯!」

歩夢「栞子ちゃんに言われた通り、私。栞子ちゃんと一緒にいると無理しちゃうし⋯⋯」

歩夢「普通の私じゃ、栞子ちゃんには釣り合わないって⋯⋯いつか栞子ちゃんに失望されるんじゃないかって怯えて⋯⋯」

歩夢「諦めて、諦めて⋯⋯気持ちを隠して⋯⋯」

歩夢「だけど、やっぱり諦めきれなかった⋯!」

歩夢「やめようとしても、どうしても栞子ちゃんのこと考えちゃって⋯⋯心配になっちゃって⋯⋯」

歩夢「やっと気付いたの⋯⋯! 私は栞子ちゃんの事が好きなんだって⋯!」

歩夢「無理してでも、栞子ちゃんを支えてあげれる存在になりたいんだって!!」

歩夢「栞子ちゃんは、私の優しさなんか迷惑だって思ってるかもしれないけど⋯⋯!」

歩夢「それでも私は栞子ちゃんが大好き!!///」

歩夢「ずっと一緒に居たい!!/// 傍で支えてあげたい!!///」

歩夢「絶対諦めたくない!!///」

歩夢「私と付き合って欲しい!!///」


──ギュゥッ(抱きしめ


歩夢「っ! 栞子ちゃん⋯⋯//」


栞子「本当⋯⋯ですか?」

栞子「本当に⋯⋯私でいいんですか?」

栞子「あの方じゃなくて⋯⋯私で⋯⋯」


歩夢「うん、栞子ちゃんじゃなきゃ嫌だよ⋯⋯」ギュッ

210: 2021/05/05(水) 02:08:14.82 ID:H+AKEUag0
栞子「私といたら、歩夢さんに無理させてしまいますよ⋯?」


歩夢「一人で無理しようとする栞子ちゃんの方が放っておけないよ⋯⋯」


栞子「あの方と居た方が絶対幸せになれるのに⋯!」


歩夢「私は、栞子ちゃんと一緒にいたいんだよ⋯?」


栞子「あんなに酷いことまで言ってしまったのに⋯!」


歩夢「それでも、諦めきれないんだもん⋯⋯」

歩夢「⋯⋯栞子ちゃんは、こんな私のことを今でも好きでいてくれる⋯?」


栞子「好き⋯⋯私も好きですよ⋯⋯歩夢さんの事が大好きです⋯⋯!///」ポロポロ

栞子「ずっと好きでしたよ⋯! 一度だって嫌いになっていません⋯⋯//」ポロポロ

栞子「歩夢さんのくれる優しさが大好きです⋯⋯///」

栞子「優しく微笑む歩夢さんが素敵だと思います⋯⋯///」

栞子「近くにいるだけでドキドキするし⋯⋯///」

栞子「歩夢さんを想うだけでも心が熱くなります⋯⋯///」

栞子「でも、歩夢さんは私といたら無理させてしまうから⋯!」

栞子「あの方と居た方が絶対幸せになれると思ったから⋯!」

栞子「だから歩夢さんの幸せを願って⋯⋯歩夢さんの気持ちも考えずに私から遠ざけようと思ってもないこと言って⋯⋯ごめんなさい⋯⋯」


歩夢「⋯そっか、そうだったんだね⋯⋯」

211: 2021/05/05(水) 02:29:15.08 ID:H+AKEUag0
歩夢「⋯⋯私こそごめん。栞子ちゃんの本当の気持ちに気付いてあげれなくて⋯⋯」

歩夢「栞子ちゃん、たまに不器用な伝え方しちゃうもんね⋯⋯」

歩夢「⋯⋯でも、よかったぁ⋯⋯⋯グスン⋯⋯栞子ちゃんが私のこと⋯⋯嫌いになったんじゃなくて⋯⋯」ポロポロ

歩夢「⋯⋯ずっと、ずっとつらかったんだよ⋯⋯? 栞子ちゃんもだったんだね⋯⋯ごめんね⋯⋯」ポロポロ


栞子「⋯⋯はい、私の方こそすみません⋯⋯」ポロポロ


歩夢「グスン⋯⋯今度こそ、間違えないようにしようね⋯? 大好きだよ⋯! 栞子ちゃん⋯!」ニコッ


栞子「グスン⋯⋯はい! 私も大好きです⋯!──」ニコッ

212: 2021/05/05(水) 02:36:02.58 ID:H+AKEUag0
──
────


歩夢「⋯⋯ねぇ、私たちって付き合ってるってことでいいんだよね?」


栞子「⋯⋯/// はい、そうなりますね⋯⋯///」カァァァ


歩夢「⋯⋯⋯///」ドキドキ


栞子「⋯⋯⋯///」ドキドキ


栞子・歩夢「⋯⋯ぁっ///」(目が合う


栞子・歩夢「⋯⋯⋯////」カァァァ


歩夢「⋯⋯綺麗だね」


栞子「⋯⋯へっ!?// あ、歩夢さんの方が綺麗ですよ⋯⋯///」ドキドキ


歩夢「え? あ、そうじゃなくてっ!///」

歩夢「鈴蘭、綺麗に咲いたね」


栞子「あ⋯⋯/// そ、そうですね⋯///」

栞子「丁度、今日満開に咲いたんですよ」

213: 2021/05/05(水) 02:40:12.64 ID:H+AKEUag0
蕾だった鈴蘭達は満開の花を咲かせ、夕日に照らされてオレンジ色に染まっている。

風になびくその姿はまるで、私たちを祝福する鈴のようで⋯⋯



歩夢「この鈴蘭のキーホルダーが教えてくれたんだ」

歩夢「栞子ちゃんがここにいること」

歩夢「⋯⋯もしかしたら、本当にこの鈴蘭たちが私たちを結んでくれたのかも」


栞子「鈴蘭が⋯⋯?」


歩夢「栞子ちゃん教えてくれたよね、鈴蘭には『純粋』『優しさ』って花言葉があるって」

歩夢「私も花言葉調べたんだ、知ってる? 鈴蘭にはもうひとつ花言葉があってね?」


栞子「もう一つ⋯⋯⋯?」

214: 2021/05/05(水) 02:43:33.47 ID:H+AKEUag0
───鈴蘭の花言葉は、『純粋』『優しさ』。



そしてもうひとつは⋯⋯



───『再び幸せが訪れる』───

232: 2021/05/07(金) 22:32:39.04 ID:3Z1ueI3Q0
──
────

あの一件を経て、晴れて交際を始めることになった私たち。
⋯⋯といっても歩夢さんは大事なライブに向けた練習を、私は忙しくなってしまった生徒会の仕事で⋯⋯これといった進展はなく数日が経ち。
そしていよいよ本日は大事な歩夢さんのライブ当日⋯! 当然私も応援に駆けつける予定⋯⋯だったのですが⋯⋯


栞子「はぁ⋯⋯まさか今日に限って急用の仕事が入ってしまうとは⋯⋯」

栞子(歩夢さんのライブに間に合うといいのですが⋯⋯)


──ガララ(ドアを開ける音


あなた「失礼します⋯⋯栞子ちゃん! お手伝いに来たよ!」


栞子「え? あなた⋯⋯?」


あなた「歩夢ちゃんの応援行くんでしょ! 栞子ちゃんが来なかったら歩夢ちゃん寂しがっちゃうよ」


栞子「⋯! はい! ありがとうございます、助かります!」

233: 2021/05/07(金) 22:43:17.66 ID:3Z1ueI3Q0
~間~


あなた「よし! これで全部終わりだね、よかったっ! ライブには間に合いそう!」


栞子「はい! 本当になんとお礼を言えばいいのか⋯⋯」


あなた「お礼なんていいから♪ 部員をサポートするのが私の役目だし、それに⋯⋯」

あなた「大切な幼馴染の晴れ舞台なんだもん。その彼女さんとも一緒に応援してあげたいんだ♪」


栞子(⋯彼女、ですか⋯⋯)

栞子「⋯⋯あの、私⋯⋯あなたに謝りたいことが⋯⋯」


あなた「⋯⋯色々言いたいことはあるけどさ、でももう終わったことだし」

あなた「謝る必要なんてないよ? あ、でもそのかわり約束してほしいな」


栞子「約束⋯⋯?」


あなた「栞子ちゃん、言ってたよね? 歩夢ちゃんの幸せを望んでるって」

あなた「私も同じ! 大好きな幼馴染の幸せを望んでる⋯⋯」

あなた「だからその幼馴染からの約束! 歩夢ちゃんを幸せにしてあげてね? 歩夢ちゃんを一番幸せに出来るのは栞子ちゃんなんだから!」


栞子(⋯歩夢さんもですけど、あなたも本当にお人好しですね⋯⋯)

栞子「はい⋯! 約束します。絶対に私が歩夢さんを幸せにしてみせます⋯!──」

235: 2021/05/07(金) 22:56:58.83 ID:3Z1ueI3Q0
──
────

──ライブ後:帰り道──


あなた「歩夢ちゃん! とってもよかったよ⋯! 最っ高のステージだった!!」


歩夢「あなた⋯⋯ありがとう⋯! それにみんなもわざわざ見に来てくれて♪」


せつ菜「同じ仲間として応援に行かない訳ありませんよ! とても素敵なステージでした!」

愛「うんうん♪ 本当にサイコーだったよ! あーあ、ステージ枠が一枠じゃなければ愛さんも出たかったな~!」

璃奈「でも、意外だった。いつもピンク系の衣装着る歩夢さんが、真っ白な衣装でステージに出てて⋯⋯」


歩夢「うん、今回のイベントはね? 『変化』がテーマなんだって。だからいつもと違う衣装をイメージして⋯⋯」

あなた「モチーフは鈴蘭なんだよね♪」


歩夢「うん⋯⋯鈴蘭は、私と栞子ちゃんを繋いでくれた大切なお花だから⋯⋯///」

歩夢「⋯⋯あ///」


しずく「なるほど、つまり歩夢さんの変化とはそういうことだったんですね、素敵です⋯!」キラキラ

かすみ「ほらほら、言われてるよ? 変化の原因さん♪」ニヤニヤ


栞子「えっ!?// あ、えっと⋯⋯とても素敵なライブだったと思います⋯⋯// はい⋯///」


歩夢「⋯⋯ありがとう///」ニコッ


果林「あらあら♪」ニヤニヤ

エマ「ラブラブだね~♪」ニコニコ

彼方「微笑まですな~♪」ニヤニヤ


栞子「~~~/// 冷やかしはやめてくださいっ!!///」カァァァ


かすみ「出た! しお子の照れ隠し逆ギレ~♪」

236: 2021/05/07(金) 23:11:08.22 ID:3Z1ueI3Q0
しずく「で、歩夢さんとのその後はどうなったの?」


栞子「へ? ど、どうとは?」


かすみ「どうって、どこまで進んだかに決まってんじゃん☆」

かすみ「流石にもうキスまではしてるよね?」


栞子「へっ!?// し、してませんよ!///」


かすみ「えっ⋯⋯マジで? 付き合ってるのに⋯?」

しずく「栞子さんってやっぱりかなりの奥手だよね⋯⋯」

かすみ「小心者⋯⋯」ボソッ


栞子「仕方ないではありませんか! 歩夢さんはライブに向けた練習で忙しかったのですし⋯⋯私も生徒会の仕事で⋯⋯⋯」


かすみ「でも、練習後とか普通に一緒に帰ってたじゃん」


栞子「うっ⋯⋯」ギクッ


しずく「毎晩メッセのやりとりもしてるって言ってたよね?」


栞子「ぐっ⋯⋯」ギクッギクッ


しずく「やっぱり忙しいのを言い訳にしてヘタレてただけなんじゃ⋯⋯」ヒソヒソ

かすみ「このままだと新しいあだ名に、奥手栞子、ヘタレしお子が追加されちゃうね⋯⋯」ヒソヒソ


栞子「⋯⋯⋯」ムカァ

栞子「だったら証明してみせましょう! 私がヘタレでも奥手でもないってことを!!」

237: 2021/05/07(金) 23:20:31.42 ID:3Z1ueI3Q0
栞子(全く、かすみさんもしずくさんも私をヘタレだの奥手だの馬鹿にしすぎではありませんか? 私だってちゃんと歩夢さんにアプローチ出来るんですから!)

栞子(それに⋯⋯絶対に私が歩夢さんを幸せにしてみせるって約束しましたし⋯!)

栞子「⋯⋯歩夢さんっ!///」


歩夢「? どうしたの栞子ちゃん?」


栞子「明日⋯⋯/// 私とデートに行きませんかっ!?///」


歩夢「え? うん、いいよ♪」ニコッ


かすみ「ひゅーひゅー♪ 流石しお子! やっぱそうでなきゃ♪」

しずく「よかったね、栞子さん♪ 頑張ってね!」


栞子「~~~///」カァァァ

栞子(⋯⋯冷静に考えてみれば、お二人に背中を押される形となってしまいましたね⋯⋯/// 本当に私は良き友人を持ちました⋯!)ジーン


あなた「あはは、良かったね歩夢ちゃん♪ 明日は一人で寂しくなっちゃうな~♪」


歩夢「⋯⋯もう// あなたまでからかわないでよ~///」テレテレ


かすみ「せんぱーい♡ それでしたら、明日はかすみんと一緒にデートしましょうよ♡」

しずく「かすみさん? 抜け駆けはダメだよ? それでしたら私も一緒に行きます♡ 私、先輩の事大好きなので♡」

かすみ「ちょっと!? 抜け駆けはダメって言いながらどさくさに紛れて何好きとか言っちゃってんのさ! かすみんの方が先輩の事大好きだもん!!」


あなた「あはは⋯⋯// えーっと⋯⋯//」


歩夢「うふふ、良かったねあなた♪ これで明日は寂しくないね♪」


あなた「⋯⋯もう// からかわないでよ~///」テレテレ


栞子(⋯⋯もしかしてお二人はこの為に私を⋯!?)ガーン

238: 2021/05/07(金) 23:32:39.98 ID:3Z1ueI3Q0
──
────

──次の日:待ち合わせ場所前──


栞子(歩夢さんとデート⋯⋯// 恋人としては初の、デート⋯⋯///)ドキドキ

栞子(恋人関係になったからといって、何かが変わるということはないとは思いますが⋯⋯///)スタスタ

栞子(ですが、本日は明確な目的があります⋯! 恋人として、歩夢さんをエスコートするんです!///)

栞子(かすみさんやしずくさんにもうヘタレなどと言わせません! 今日は私がリードして⋯最終的には、き、キスとか⋯⋯///)

栞子(さ、流石にそれはまだ早すぎますかねっ!?/// いえ、ですが歩夢さんを幸せにするとあの方とも約束した手前⋯そのくらいはしないと⋯!)

栞子(で、でも⋯⋯// 歩夢さんがそういうのを求めてるとは限らないし⋯⋯///)グルグル

栞子(⋯⋯て、なんて考えていたらもう待ち合わせ場所についてしまいました⋯⋯)チラッ

栞子(⋯⋯というか、まだ約束の一時間前じゃないですか⋯⋯まあちょうどいいです、今のうちに今日のプランを⋯⋯)


「だ~れだっ♪」メカクシ


栞子(っ!? 急に目の前が真っ暗に!?)

栞子「え、えっと⋯?///」ドキドキ


「⋯⋯わからないの? 正解するまで離してあげないよ♪」


栞子「⋯⋯/// 歩夢さんですか⋯?」


歩夢「正解♪」ニコニコ

239: 2021/05/07(金) 23:40:49.42 ID:3Z1ueI3Q0
栞子「あの⋯⋯// 今のは一体⋯?///」


歩夢「えへへ⋯⋯// びっくりさせちゃったかな?」ニコニコ


栞子「びっくりしました⋯⋯// それとドキドキも⋯⋯///」

栞子「というか、歩夢さん早くないですか? まだ約束の一時間前なのに⋯⋯」


歩夢「栞子ちゃんならもしかしたら一時間前ぐらいに着いてるかなって⋯⋯」


栞子「⋯⋯いなかったら一時間もどうするつもりだったんですか」


歩夢「そのときは一時間ぐらい待つし、それに栞子ちゃん、居てくれたから早く来て良かった⋯⋯//」


栞子「⋯⋯⋯// これからはお互いに五分前到着を心掛けましょうね⋯//」


歩夢「うん、そのほうがいいかもね。栞子ちゃん早く来ちゃうもんね♪」


栞子「⋯⋯歩夢さんもですよ?」


歩夢「じゃあ、約束時間を早めにするようにしよっか?」


栞子「早めにしても約束時間より早く来てしまうことには変わりないのでは?」


歩夢「うふふっ確かに♪ でも、それはそれで栞子ちゃんに早く会えるからいいかもね♪」


栞子「歩夢さん⋯//」

栞子(歩夢さんは言葉が素直すぎるというか⋯// まあそこも含めて好きなんですけど⋯って、ダメですよ⋯// 今日は私がリードするんですからっ!)

240: 2021/05/07(金) 23:53:26.06 ID:3Z1ueI3Q0
栞子「⋯コホン// では、早いですけど行きましょうか」スッ(手を差し伸べ

栞子(今日は私がエスコートする側です! 手だって私から⋯⋯)



──ギュゥッ♡(腕にしがみつき



栞子「へっ!?///」ドキッ


歩夢「♡」ニコニコ


栞子「あ、あの⋯⋯歩夢さん⋯?///」ドキドキ


歩夢「ん? どうしたの?」ニコニコ


栞子「あ、歩きづらいのですが⋯?///」


歩夢「⋯⋯いやだった?」ウワメズカイ


栞子「いや、じゃありませんけどっ!///」


歩夢「⋯⋯えへへ// よかった♡ 栞子ちゃんともっとくっついていたくて⋯⋯//」


栞子「⋯⋯⋯///」ズキューン

栞子(あぁもう⋯!/// 歩夢さん可愛すぎませんかっ!!?///)

栞子(って! ダメですよ⋯!// 今日は私がリードするんですから、歩夢さんに任せてしまっては⋯///)ドキドキ


歩夢「♡」ギュウ~♡

栞子「⋯⋯⋯///」ドキドキドキ


栞子(ですが、これはこれでリードしてると言えるのでは⋯?// そう思いましょう⋯⋯///)

栞子(というか、このままでいたいし⋯⋯///)ドキドキドキ

241: 2021/05/08(土) 00:34:45.30 ID:HNZ5L1e30
──
────

──カフェ前にて──


栞子「あの、歩夢さん⋯?// 流石に店内でまでしがみつくのは⋯///」


歩夢「あ、ごめん⋯// 流石に店内は迷惑だよね?」パッ

歩夢「ごめんね? なんだか甘えてばっかりで⋯///」


栞子「いえ、お気にせず⋯//」

栞子(やけに甘えてくる歩夢さん、可愛すぎて心臓に悪すぎます⋯⋯///)ドキドキ


歩夢「で、目的地はこのカフェ?」


栞子「はい、ここのパンケーキが絶品と教えてもらったのでぜひ行きたいと思ってまして」


歩夢「そっか、楽しみだな~」ニコニコ


──
────

──カフェ店内──


歩夢「はい、栞子ちゃん。あーん♡」ニコニコ


栞子「⋯⋯// あーん⋯⋯///」


歩夢「美味しいね♪」ニコニコ


栞子「はい⋯⋯///」モグモグ


歩夢「こっちも食べる? はい、あーん♡」ニコニコ


栞子「あの、歩夢さん⋯? 嬉しいんですけど⋯⋯// 流石に人目があるので⋯⋯//」カァァァァ


歩夢「え? あ⋯⋯///」

歩夢「⋯⋯ごめんね?⋯⋯なんだか私だけ浮かれちゃってるみたいで⋯⋯//」


栞子「え?」

242: 2021/05/08(土) 00:46:02.56 ID:HNZ5L1e30
歩夢「⋯⋯私、栞子ちゃんと恋人としてデートするって思ったらなんだか舞い上がっちゃって⋯⋯///」

歩夢「昨日もドキドキしてよく眠れなかったし⋯⋯// 栞子ちゃんがエスコートしてくれるっていうから甘えてばっかで⋯⋯///」

歩夢「⋯⋯なんだか私だけずっとドキドキしてたり一人で盛り上がっちゃってて⋯⋯」


栞子(だから今日はやけに甘えてばかりだったのですね⋯⋯///)

栞子「⋯⋯歩夢さん」


──ギュッ(歩夢の手を栞子の胸に当てる


歩夢「え⋯?///」


栞子「⋯⋯歩夢さんだけじゃありませんよ?///」

栞子「恋人だからって意識も、私だってずっとしてましたし⋯///」

栞子「歩夢さんの行動のひとつひとつに私だってずっとドキドキしっぱなしです⋯⋯///」ドキドキ


歩夢「あ⋯///」ドキドキ


栞子「歩夢さんが望むなら⋯///」

栞子「甘えたいならもっと甘えてください⋯///」

栞子「私は、歩夢さんの彼女なんですから⋯!///」

栞子「全部受け止めますし、そんな歩夢さんだって好きですから⋯!///」


歩夢「⋯/// ありがとう⋯///」ドキドキ


栞子「どういたしまして⋯///」ドキドキ


栞子・歩夢「⋯⋯⋯///」ドキドキ


歩夢「栞子ちゃん⋯⋯// そろそろ手を離してくれないとちょっと周りの目が⋯⋯///」カァァァァ


栞子「へっ!?/// あっ⋯⋯// す、すみませんっ!///」カァァァァ


歩夢「えへへ⋯⋯// じゃあ今日は沢山甘えるから、しっかりエスコートしてね?」


栞子「勿論です!」

243: 2021/05/08(土) 00:55:30.03 ID:HNZ5L1e30
──
────

──再びカフェ前にて──


歩夢「パンケーキ美味しかったね♪」


栞子「はい♪」

栞子(歩夢さんのあーんであまり味が分からなかった⋯⋯のは内緒にしておきましょう///)

栞子「では、次の場所へ行きましょうか」スッ(手を差し伸べ


歩夢「うん♡」ギュゥッ♡(腕にしがみつき


栞子「っ!///」

栞子(流石に二度目ですからね⋯⋯// 分かっていましたよ⋯⋯///)


──ムニッ♡


栞子「っ!??///」

栞子(こ、この腕に伝わる柔らかい感触は⋯⋯///)

栞子「あ、あの⋯⋯む、胸が当たってるのですが⋯⋯///」カァァァ


歩夢「⋯⋯⋯///」

歩夢「⋯⋯当ててるんだよ?///」


栞子「っ!!!?????////」ブッ


歩夢「え? 栞子ちゃん!? 鼻血が⋯⋯」


栞子(歩夢さん、それは反則すぎますよ⋯⋯////)ダラー

244: 2021/05/08(土) 01:03:11.01 ID:HNZ5L1e30
栞子(ダメですね⋯⋯/// こんなことで取り乱していては⋯⋯///)

栞子(今日は私が歩夢さんをリードして⋯⋯/// そしてあわよくばキスまで行くんですから⋯!///)

栞子(平常心、平常心!!///)ドキドキ


「ほらほらこっちですよせんぱ~い♡」

「そんなに引っ張ったら先輩転んじゃうよ? 私とゆっくり行きましょう先輩♡」

「ふたりともそんなに引っ張らなくても~」


歩夢「⋯⋯ん?」

歩夢「⋯⋯! 栞子ちゃん、こっち!」グイッ


栞子「ふぇっ!?」


──
────

──裏路地──


栞子「あ、あの⋯歩夢さん⋯?////」ドキドキ

栞子(こ、こんな狭くて暗い場所に連れ込んで⋯/// 一体何を⋯!?///)ドキドキ


──ギュッ(抱きしめ


栞子「~~~!?///」ドキドキドキ

栞子(歩夢さんの胸で息がっ!?///)


歩夢「栞子ちゃん、ちょっとこのままじっとしててね?」


栞子「は、はひ⋯⋯///」ドキドキ

245: 2021/05/08(土) 01:11:05.40 ID:HNZ5L1e30
かすみ「ふっふっふ~こっちに美味しいパンケーキのカフェが⋯⋯わっ!?/// だ、ダメです先輩! 目をつぶってください!!///」メカクシ

あなた「えっなに!? 前が見えないよ?」

しずく「わぁ⋯⋯/// あんな所で大胆に抱き合って⋯// 暗くてよく見えないけど、高校生かな?」

かすみ「ぐぬぬ⋯⋯/// いつかかすみんだって先輩とあんな風に⋯⋯///」

しずく「その前に私が先輩に抱きついちゃうかな♪ なんなら今からでも」ギュッ♡

あなた「えっしずくちゃん!?/// 何も見えないから何が起きてるのか⋯///」

かすみ「あ~!!! 何しれっと抱きついてんのさ!! もう行きますよ先輩!!」グイグイッ

あなた「せめて前見させてよ~~!///」


歩夢「⋯⋯なんとかバレなかったか♪」

歩夢「そういえばあの子達も今日デートだったね♪ でもよかった、あの子もかすみちゃんとしずくちゃん二人とうまくいってるみたいで⋯⋯」

歩夢「⋯⋯あ、ごめんね栞子ちゃん? ずっと抱きしめちゃって⋯?///」


栞子「あ、あゆむはんのむねでいっぱいに⋯⋯///」キュウ~~


歩夢「栞子ちゃんっ!?──」

246: 2021/05/08(土) 01:20:02.61 ID:HNZ5L1e30
──
────

──公園のベンチにて──


栞子(んん⋯なんでしょう? この頭に感じる心地良い感触は⋯⋯)

栞子(まるでマシュマロを枕にしたような⋯⋯)スリスリ


「ふふっ♪ もう、くすぐったいよ?」


栞子「⋯⋯んん?」パチリ


歩夢「あ、やっと起きた♪」ニコニコ


栞子(あ、歩夢さんっ!?/// 顔が近い⋯/// というかこの状況は⋯⋯///)

栞子(もしかして膝枕されている⋯!?///)

栞子「すみませんっ!/// 今起きますっ!!///」ムクリ

歩夢「わっ!? いきなり起きたr…」


──ゴツン(頭がぶつかる


栞子「~~っぅぅ⋯///」


歩夢「いたた⋯⋯もう、急に起きたらダメでしょ?」


栞子「すみません⋯⋯///」


歩夢「よしよし⋯⋯まだ寝てていいからね?」ナデナデ

247: 2021/05/08(土) 01:26:52.56 ID:HNZ5L1e30
栞子「⋯⋯すみません/// お見苦しい所を見せてしまい⋯///」


歩夢「うふふっ♪ 今更どんな栞子ちゃんを見ても幻滅したりなんてしないから安心してね?」ナデナデ


栞子「⋯⋯そうですか///」


歩夢「⋯⋯で、どうかな? 私の膝枕⋯///」ナデナデ


栞子「へっ!?//」

栞子「ど、どうって⋯⋯/// 気持ち良いです⋯⋯// はい⋯⋯//」


歩夢「⋯⋯それだけ?」ジーーー


栞子「っ!?//」

栞子「えっと⋯歩夢さんの柔らかい太ももの感触がまるでマシュマロみたいで⋯⋯/// ずっと寝ていたいです⋯⋯///」カァァァァ


歩夢「⋯そこまで褒められると照れちゃうな⋯⋯///」カァァァァ


栞子「歩夢さんが要求したのではないですか⋯⋯///」


栞子・歩夢「⋯⋯⋯///」ドキドキ

248: 2021/05/08(土) 01:34:19.85 ID:HNZ5L1e30
栞子(⋯⋯幸せです///)

栞子(言葉も交わさず、ただただこうして一緒にいるだけで、こんなにも幸福を感じるなんて⋯⋯)

栞子(この後行く予定のデートのプランだってどうでもよくなる⋯⋯)

栞子(今はただ⋯⋯歩夢さんと共に過ごすこの時間が、ひたすら尊くて、愛おしい⋯⋯)

栞子(⋯⋯歩夢さんも、同じ風に思ってくれてるのかな?)チラッ


歩夢「⋯⋯幸せだね」ニコッ


栞子「⋯⋯っ!!//」


歩夢「⋯⋯栞子ちゃんも?」


栞子「⋯⋯はい、私も幸せです⋯//」

栞子(歩夢さんも同じ気持ち⋯⋯// 嬉しい⋯⋯//)

栞子(この気持ちを⋯⋯// もっと歩夢さんに伝えたい⋯⋯///)

栞子(言葉じゃなくて⋯⋯行動で⋯!)

栞子(ならば、私のすべき行動は一つ⋯!)

249: 2021/05/08(土) 01:41:31.69 ID:HNZ5L1e30
栞子「⋯⋯⋯」ムクリ(起き上がる


歩夢「⋯⋯?」


栞子「⋯⋯⋯歩夢さん///」ドキドキ


──こういう時って、なんて言葉をかけてあげればいいのでしょう?
気の利いた言葉? 素直な気持ち?⋯⋯⋯⋯どれも私には浮かびません。
だから、ただ歩夢さんを見つめることしか出来なくて⋯⋯⋯


歩夢「⋯⋯⋯⋯///」コクン


──それでも歩夢さんはこれからすることを察してくれて⋯⋯
目を閉じて、その時を待っている歩夢さんにゆっくりと近づき、
後頭部へと手を伸ばす⋯⋯優しく⋯だけど逃がさないように⋯⋯
触れた手が震える⋯⋯でも、止められない。止めちゃいけない。
⋯⋯間もなく、二人の距離がゼロになる。


栞子「⋯⋯⋯んっ//」


──時間にして数秒。優しく触れる柔らかさに、心が焦がれる。
心臓は今にも爆発しそうで⋯⋯離れたくないって叫んでる。

250: 2021/05/08(土) 01:54:16.56 ID:HNZ5L1e30
栞子「⋯⋯⋯ぷはぁ///」


栞子・歩夢「⋯⋯⋯⋯///」


歩夢「⋯⋯⋯⋯?///」ウルウル


──ゆっくり目を開け、数秒見つめ合う。そこには「もう終わりなの?」と訴えかけるように潤した黄色の目が。
もう、言葉なんていらなかった。気持ちは通じ合っていて、何を求めるているのかも全て分かる。


栞子「⋯⋯⋯んっ//⋯⋯は⋯⋯//」


歩夢「⋯⋯⋯⋯っ///」


──息を整えて、今度は少し強引に。逃げようとしても離さない。
もう誰にも渡さないように⋯⋯二度と間違えないように⋯⋯
私なりの精一杯の伝え方を⋯⋯大好きな気持ちを⋯!


栞子「⋯⋯⋯ぷはっ//⋯⋯はぁ⋯はぁ⋯⋯//」


歩夢「⋯⋯はぁ⋯はぁ⋯⋯//」

歩夢「⋯⋯えへへ/// 栞子ちゃん、大好きだよ♪」ニコッ


栞子「⋯⋯はい、私も大好きです♪」ニコッ


──溢れ出るようにこぼれたその言葉は、繋がりあった気持ちから現れた本心。
その言葉と、ここであった出来事。
そしてこの日のことは、きっと忘れない──

251: 2021/05/08(土) 02:03:25.71 ID:HNZ5L1e30
──
────
────────

──あの日から数ヶ月。
今日は、新生徒会メンバー紹介の日です。
演台に立つのは、生徒会長である私⋯⋯ではなく⋯⋯


歩夢「⋯⋯皆さん、おはようございます。この度、新生徒会副会長となった上原歩夢です⋯!──」


──
────


あなた「歩夢ちゃん、挨拶お疲れ様! はっきりと喋れてたよ!」


歩夢「そうだった? よかった~! あんなに大勢の前で喋るなんて緊張するよ⋯⋯」


栞子「ふふっ♪ ライブではもっと大勢の前で歌っているではありませんか♪」


歩夢「それとこれとは全然違うんだもん⋯⋯」


──歩夢さんは交際を始めてから、更に私のお手伝いをするようになって⋯⋯
いつの間にか生徒会メンバーよりも仕事ができるようになっていて⋯⋯
そして更には私の補佐がしたいと、生徒会副会長を立候補してくれました。
もうそこまで熱意を見せてもらっては⋯⋯私も止められません⋯⋯

252: 2021/05/08(土) 02:04:47.04 ID:HNZ5L1e30
栞子「⋯私は、やはりあなたにも是非生徒会に入ってもらいたかったのですが⋯⋯歩夢さんの負担も減りますし⋯⋯」


あなた「あははっ、前にも言ったけど私にはそこまでできないよ~」

あなた「⋯⋯それに、今はあの二人の事もあるし⋯⋯///」


歩夢「⋯⋯かすみちゃんとしずくちゃん、どっちか選んだりしないの?」


あなた「どっちかなんて選べないよ! 二人共、私の大切な人なんだもん⋯⋯///」


栞子「⋯⋯そういう恋の形もあるんですね⋯⋯まあ当人が幸せそうなのでいいのですが⋯⋯」


歩夢「⋯⋯あはは、昔からこの子は型にはまらないことが多かったから⋯⋯」


栞子「そういえば歩夢さん、頼んでいた部活同好会申請書承認の件。終わっていますか?」


歩夢「あ、うん⋯⋯終わってるよ⋯?」


栞子「拝見します」パラパラ

栞子「⋯⋯あの、どうしてすべて承認になっているのですか⋯?」ゴゴゴゴゴ


歩夢「だ、だってぇ⋯皆、真剣にやりたがっていたから⋯⋯」


栞子「だからといって不備があるものまで承諾してはいけませんよ?」


歩夢「ごめんなさい⋯⋯」


栞子「全く⋯⋯ふふっ♪ やっぱり⋯⋯」

栞子「歩夢さんって、お人好しすぎませんか♪」ニコッ


──おしまい♪

253: 2021/05/08(土) 02:11:17.41 ID:HNZ5L1e30
これにておしまいです。
本来は一週間程で完結を予定に書き始めたSSでしたが、長々とお付き合いして下さり、本当にありがとうございました!
反応こそしていませんでしたが、皆さんのレスも全て目を通して更新の励みにしていました。温かい言葉、感想、保守支援等、本当に感謝です。
3rdライブ前に完結できてよかった⋯⋯

あなぽむルートはに関しては、多数決で選んでもらった以上書くつもりはすみませんがありません…。
もしまたどこかで私の作品を見つけてくれたなら、同じように温かいコメントをしてくれるととても助かります⋯!

254: 2021/05/08(土) 02:15:03.75 ID:HNZ5L1e30
↓直近の過去作

かすみ「しず子の膝枕が頭から離れない⋯///」
https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1618146560/
(しずかすSS。しおぽむSS書きたくなって途中で切っちゃったけど続編製作中。更新日未定。)

あなた「人格シャッフルフェスティバル!?」
https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1616418026/
(校内シャッフルフェスティバルの余韻冷めぬまま書いたSS。ライブネタ多め。)

侑「歩夢が猫になっちゃった!?」
https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1615692000/
(歩夢が猫になっちゃうSS。癒し目的で書いたけど、まさかこの後公式で猫化するとは⋯)

255: 2021/05/08(土) 02:37:01.48 ID:L6WAGIV10
乙!
しおぽむがただただ可愛いかった

256: 2021/05/08(土) 02:48:12.28 ID:NObGMY+v0
最後まで本当にありがとうございました…!
甘い描写も少しビターな描写も丁寧で最高でした!!!!

257: 2021/05/08(土) 06:56:17.25 ID:il6NEYCO0
素晴らしいssでした乙

258: 2021/05/08(土) 07:54:12.09 ID:yXVvy5pW0
おつでした。デート甘々で可愛かった。そしてまさかのあなしずかす3人でお付き合いルートとはw

259: 2021/05/08(土) 09:04:31.47 ID:Kmt1BNIJa
最高のSSをありがとう
3rd前に尊死してしまうところだった

261: 2021/05/08(土) 11:39:40.43 ID:TUB/fSWe0
良かったぜ
またSS書いてくれ

262: 2021/05/08(土) 11:48:17.03 ID:SBquuNzd0

しおぽむ良かったし栞子と他のメンバーとの絡みも良かった

263: 2021/05/08(土) 11:53:15.07 ID:tTujCiatM
おつ!
心理描写が丁寧で読んでてドキドキさせられたわ…
是非また何か書いてくだされ

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