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花帆「あ~あ……。FESライブも終わっちゃったなぁ……」 夏休み最終日。部室にて何度呟かれたか分からない台詞が吐かれる。わたしは文庫本を開いたまま、若干呆れつつも口を開いた。さやか「その台詞、今日何度目ですか?」花帆「何度目だろう……」さやか「まあ、最近はようやく慣れてきましたけどね。何かの節目が終わった後、壊れた人形のように同じ言葉を繰り返す花帆さんは」花帆「えぇ、その表現はちょっと酷いよぉ」さやか「……とはいえ、その気持ちも分からなくはないですが」 ぱたん。文庫本をやや雑に閉じる。そのまま瞼を閉じると、明瞭にFESライブを思い出せる。さやか「今のスクールアイドルクラブが出せる最高のライブでした。わたし達は夏の間の努力の成果を出せて、瑠璃乃さんや慈先輩は圧巻のパフォーマンスだったと思います」 未だ興奮冷めやらぬとはこのことだろう。きっと花帆さんも、頬を紅潮させて全力で肯定してくるに違いない、そう想定していたのだが。花帆「……うん。そうだね」さやか「……花帆さん?」 実際は真逆。どこか遠くに視線をやった、アンニュイな表情をしていた。
2023年9月3日 20:22
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