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誕生日ーμ's
■約12000文字■園田海未という少女は、あまり自分の誕生日に執着しない性質だった。
その癖、親友の高坂穂乃果や南ことりの誕生日なんかはきっちり覚えていて、割と手の込んだプレゼントを手渡してくれる。
そもそも海未は自分の誕生日を言い出す事はなく――海未の誕生日、三月十五日はたいていの場合が長期休暇という事もあり――流されている事が多い。
そして、四月初頭のクラス替えで誕生日を聞かれ、クラスメイトに「忘れずに絶対祝うね!」と言われ、流れる。
それの繰り返しを、海未は自然と受け入れている節があった。
「海未ちゃんはずーっとそんな感じだよね」
今週の土曜日に誕生日を控えた海未に、穂乃果は穂むらの饅頭をパクつきながら笑って言った。
穂乃果の家に集まった海未とことりは、穂乃果の母親が出してくれた饅頭を囲んでの談笑の真っただ中。
「穂乃果もでしょう? 八月三日は夏休み真っ盛りですから」
お茶を啜りながら、海未も微笑んで答える。
穂乃果はそれを聞いて、そっかー、と独り合点がいった様子。
「でも、普通は祝ってほしいものじゃないのかなぁ?」
もぐもぐ、としつこくないほどに優しい甘さのする饅頭を飲み込んだことりが、不思議そうに呟く。
「そうかな?」
「そうですか?」
ことりの考えとは真逆に、穂乃果と海未の答えは呆気からんとしていた。
「だって、だれも海未ちゃんや穂乃果ちゃんが生まれたことを祝福してくれないんだよ?」
ことりは少し悲しげに言うと、穂乃果と海未はどちらからともなく顔を見合わせた。
「ことりちゃんは祝ってくれないの?」
「え?」
穂乃果の言葉に、ことりがぽかんと口を開けた。
「穂乃果の誕生日には私とことりが」
海未が穂乃果とことりを指差し。
「海未ちゃんの誕生日は穂乃果とことりちゃんが」
穂乃果はことりと海未を指差す。
海未と穂乃果は微笑んで、ことりを慰める。
「祝ってほしい人だけで良いのです、誕生日というものは」
「ねー。穂乃果は海未ちゃんとことりちゃんからで十分嬉しいもん!」
2022年11月13日 23:10
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