【SS】ミア・テイラーは動かない【ラブライブ!虹ヶ咲】

SS


1: (しうまい) 2021/08/09(月) 21:33:35.61 ID:AKXpO3RR
ミア「キミたちが知ってるかどうかはどうでもいいが、ボクの名前はミア・テイラー」

ミア「音楽を少しでもやってるやつなら聞いた事があるだろうテイラー家、ボクはそこの次女だ」

ミア「そんなテイラー家の例に漏れずボクも音楽に携わってる訳だが」

ミア「ま、今はそれは関係ない」

ミア「これから話すのは、ボクが友人の鐘嵐珠に虹ヶ咲学園に連れて来られてからの話だ」
 
3: (しうまい) 2021/08/09(月) 21:37:37.05 ID:AKXpO3RR
 

エピソード#01 迷い道
 

 
4: (しうまい) 2021/08/09(月) 21:39:19.47 ID:AKXpO3RR
~スクールアイドル部部室~

ミア「……」カチカチ

ミア「……」

ミア「……」カチカチカチ

ミア「……」カチ

ミア「……チッ」カチカチ

ガラッ

果林「失礼するわよー」

果林「って、あら。ミアじゃない」

果林「作曲してるの?」

ミア「…………」カチカチ

果林(集中してるっぽいわね。邪魔しちゃ悪いし静かにしてましょ)
 
5: (しうまい) 2021/08/09(月) 21:42:10.81 ID:AKXpO3RR
1時間後

ミア「ふぅ」スッ

ミア「ま、こんなもんか」コキコキ

果林「お疲れ様」

ミア「果林、いつからいたんだ?」

果林「そうねー、大体1時間くらい前かしら。集中してたっぽいから声はかけなかったけど」

ミア「作曲してたからな」

ミア「で、果林は何しに部室に来たんだ?」

果林「探し物よ。同好会の方に無かったからこっちかと思ったんだけど、こっちにも無かったのよね」

ミア「じゃあどうせ寮の自室じゃあないのか?日頃から片付けとかないからそういうことになるんだ」

果林「ミ、ミアに言われたくないわ。この前ランジュが言ってたわよ」

果林「『ミアの机の周りが物でゴチャついてるから何とかして欲しい』って」

ミア「ボクのはいいんだよ。素人目に見れば片付いてないように見えるかもしれないけどね、ボクにはちゃんとどこに何があるかが分かるようになってるんだ」

果林「ホントかしら……」

果林「まあいいわ、作業が終わったなら帰りましょ?」

ミア「そうだな、何時までも学校に残っててもいい事無いしな」
 
6: (しうまい) 2021/08/09(月) 21:44:33.25 ID:AKXpO3RR
果林「───でね、その時にエマが、ってあら?」

ミア「?」

ミア「なんでまた部室に戻ってきたんだ?まだ何か忘れ物でもあったのか?」

果林「い、いえ、そんな事はないんだけど……」

果林「おかしいわね……」

ミア「じゃあ迷子か?おいおい、キミこの学校で過ごして今年で3年目だろ?」

果林「この学校が広すぎるのが問題なのよ!」

ミア「まったく、しっかりしてくれよ」ヤレヤレ
 
7: (しうまい) 2021/08/09(月) 21:46:48.57 ID:AKXpO3RR
ミア「──で、なんでまた部室の前に戻ってきてるんだ?」

果林「あ、あら?おかしいわね、私は確かに下駄箱に向かっていたのよ?」

果林「それなのに、いつの間にか部室に着いていたのよ!」

ミア「分かった分かった」

ミア「方向音痴のキミに先導させて、スマホを見ながら歩いてたボクが悪かった」

ミア「ボクが前を歩いていくよ」ハァ
 
9: (しうまい) 2021/08/09(月) 21:49:45.15 ID:AKXpO3RR
果林「──なんて言ってたのに」

果林「結局ミアも部室まで戻ってきちゃってるじゃない」

果林「なんだかんだ言っても、まだ転校してきたばっかりだものね」フフ

ミア(バカなッ!)

ミア(このボクが道に迷った!?)

ミア(確かに果林の言う通り転校してきたばかりではあるけど、ボクは今まで一度も校舎の中で迷った事なんてない!)

ミア(それなのにッ!)

ミア(今日!突然に!『道に迷った』ッ!)

ミア(そんな事がありえるのか!?)

ミア「クソッ!」ダッ

果林「ちょっと!ミア!急に走り出さないで!」ダッ
 
10: (しうまい) 2021/08/09(月) 21:52:10.76 ID:AKXpO3RR
ダダダダダッ

ミア(部室の前から真っ直ぐ走る!)

ミア(次に右に曲がれば階段が見えてくる!)

ミア(そしてその階段を二度下って少し行けばッ!)バッ


ゴゴゴゴゴゴゴ


ミア(バ、バカなッ!)
 
11: (しうまい) 2021/08/09(月) 21:54:51.86 ID:AKXpO3RR
果林「はぁはぁ、結局、部室に戻ってきてるじゃない……!」ゼェゼェ

ミア(そんな事は有り得ないッ!)

ミア(ボクは確かに『階段を降りた』んだぞッ!)

ミア(その後に間違いなく階段は登ってなんかいないッ!)

ミア(それなのに──)


ゴゴゴゴゴゴゴ


ミア「どうして目の前にスクールアイドル部の部室があるんだッ!?」
 
13: (しうまい) 2021/08/09(月) 21:57:32.97 ID:AKXpO3RR
ミア「なぁ果林、キミ、いつもこうなのか……?」

果林「こ、こうって?」

ミア「だから!」

ミア「いつもこんな『部室から帰ろうとして部室に辿り着く』ような事が起きているのかって聞いてるんだッ!」

果林「そうね……、いえ、こんな風に迷う事はあまり無いわね」

ミア(あまり無いってことは、たまに起きてるって事じゃあないか!)

ミア(てことは、これは果林が無意識に周囲を巻き込んで迷子にさせてるのか……?)

ミア(もしそうなら果林を置いて行けばボクは帰れるって事だが……)チラッ

ミア(もしこのまま果林が迷い続ければ、璃奈が悲しむ、か)チッ
 
14: (しうまい) 2021/08/09(月) 22:01:45.45 ID:AKXpO3RR
果林「あ、でも、そういえばこんなに道に迷うのはいつも学校の中だけな気がするわ……」

ミア「……学校の中『だけ』だと?」


ドドドドドドド


ミア「確認だ、果林」

ミア「キミはこんな風に、異常なまでに道に迷うのは、この『虹ヶ咲学園の中だけ』」

ミア「そう言いたいのか……?」

果林「ええ、思い返してみばそうだわ」

果林「前に部室に行こうとしてたら部室に着いていたり、変に迷うのはいつも学校だわッ!」

ミア「ぶし……なんて?」

果林「だから、部室に行こうとしたら部室に辿り着いてたのよ」

ミア「????」

ミア(意味が分からないが、まあいい)
 
16: (しうまい) 2021/08/09(月) 22:06:26.05 ID:AKXpO3RR
ミア(とにかくッ!今ので分かった!)

ミア(おそらく、ボク達を道に迷わせているのは果林じゃあない)

ミア(『虹ヶ咲学園そのもの』だッ!)

ミア(それが分かれば手の打ちようはある)

ミア(果林が校内で道に迷うのは、学校が広くて複雑だから)

ミア(そして、そこに虹ヶ咲が介入する事で校内を作り替えて迷わせてるか何かをしてるんだろう)

ミア(だったらッ!『絶対に迷わない道』を果林に示してやればいいッ!)
 
18: (しうまい) 2021/08/09(月) 22:09:54.67 ID:AKXpO3RR
キョロキョロ

ミア「果林!」

果林「な、なによ」

ミア「ボクが指差す先、あそこには何が見える?」

果林「何って、窓?」

ミア「なら、その窓の外には何が見える」

果林「そんなの、外の景色に決まってるじゃない」

ミア「ああ、そうだな。『学校の外』の景色が見えるんだよな?」

果林「そ、そうだけど」

ミア(よしッ!)

ガラッ

果林「ちょ、ミア!?」
 
19: (しうまい) 2021/08/09(月) 22:13:17.69 ID:AKXpO3RR
ミア「果林、学校から帰りたいよな?」

果林「あ、当たり前でしょ!」

ミア「だったら、だ」

ミア「方法はひとつしかない」グッ

ミア「ここから飛び降りるぞ」

果林「飛び降りるって……!ここ3階よッ!?」

ミア「なぁに、ボク達はスクールアイドルだぞ?それくらい問題無いさ!」

果林「で、でも……!」

ミア「いいから飛ぶぞッ!ボクだって早く学校から帰りたいんだッ!」


グオオオオオオオ


果林「ちょ、キャー!!!」
 
20: (しうまい) 2021/08/09(月) 22:16:42.74 ID:AKXpO3RR
バサバサバサ

ミア「ハァハァ……」

ミア「くっ、う」

ミア「ッ……、果林、大丈夫か……?」

果林「ーッ!大丈夫なわけないでしょ!?急に飛び降りるなんて、やるにしても心の準備とか色々必要に決まってるでしょ!?」

ミア「それだけ喋れれば大丈夫か」

果林「大丈夫じゃないわよ!」
 
22: (しうまい) 2021/08/09(月) 22:20:25.35 ID:AKXpO3RR
ミア「あれから何度か果林と二人で帰ったりもしたが、あんな風に迷う事は一度も無かった」

ミア「が、おそらく今でもたまに果林は学校で迷ってるんだろう」

ミア「方向音痴が治ったなんて話は聞かないしな」

ミア「ま、ボクが見てないところで果林が道に迷おうが、ボクにはどーでもいい事かな」

ミア「ボクは璃奈が悲しまなければ、それでいいからね」
 
23: (しうまい) 2021/08/09(月) 22:22:46.64 ID:AKXpO3RR
 

エピソード#01 「迷い道」──終わり
 

 
44: (しうまい) 2021/08/11(水) 21:33:17.13 ID:xIl4g3CG
 

エピソード#02 願い箱
 

 
45: (しうまい) 2021/08/11(水) 21:35:57.27 ID:xIl4g3CG
~スクールアイドル同好会 部室~

ガラッ

かすみ「みなさぁーん!ちょっと聞いてくださいよォ〜!」

あなた「かすみちゃん、どうしたの?」

かすみ「まあまずはこれを見てください」トンッ

せつ菜「それ、かすみんBOXですよね?」

歩夢「そういえばまだ置いたままだったっけ」

かすみ「そう!このかすみんBOXになんと!」ゴソゴソ

かすみ「じゃん!このように手紙が入ってる事が増えたのです!」

エマ「お手紙って、どんな内容の?」

かすみ「ちょっとしたお悩み相談、というより願い事といいますか」

かすみ「そんな感じのです」

かすみ「例えばこれなんかは」ペラッ

かすみ「『今度の試験、いい点取れますように!』」

かすみ「ま、こんな感じですね」
 
46: (しうまい) 2021/08/11(水) 21:39:56.35 ID:xIl4g3CG
愛「あー!じゃあ『幸せになれる願い箱』ってそれの事かぁー!」

あなた「『幸せになれる願い箱』?」

愛「そ!最近愛さんの周りで噂になってたんだよね」

愛「願い事を書いた紙をその願い箱に入れておくと、100%その通りになるってわけじゃあないんだけど近しい形で叶えてくれるって」

あなた「でも、なんでそんな噂が広まってるの?何も無いとそんな事にはならないよね」

かすみ「それは多分、かすみんのせいですね」

かすみ「あれは1ヶ月くらい前だったかな……」
 
47: (しうまい) 2021/08/11(水) 21:42:53.42 ID:xIl4g3CG
かすみ「なんとなーくかすみんBOXを覗いて見たんです」

かすみ「特に何か理由があったわけじゃなく、ホントになんとなく」

かすみ「そしたら四つ折りにされた紙が一つ入ってまして」

かすみ「かすみんへのファンレターかな?なんて思ってその紙を開いてみたんですけど、中に書かれてたのはファンレターとは程遠い内容だったんです」

かすみ「『〇〇のストラップが当たりますように!』って」

かすみ「なんだファンレターじゃないのかって最初はガッカリはしたんですけど、ふと思い出したんですよ」

かすみ「その〇〇ってキャラクターが出てる作品のストラップだったら今持ってるなって」

かすみ「たしか前にりな子と遊んだ時にガチャガチャで当ててたんですよね」

かすみ「それでこれもなんとなくなんですけど、どうせだったらそのストラップ、その子にあげようかなって思いまして」

かすみ「ちょうどその紙には学年とクラスに番号が書いてあったんで、その子の下駄箱にストラップを入れておいたんですよ」

かすみ「で、それからもたまーに手紙が入ってる事があったんで、出来る範囲で叶えてあげてたんです」

かすみ「そしたら、いつの間にかこんな感じですね」
 
48: (しうまい) 2021/08/11(水) 21:46:23.56 ID:xIl4g3CG
愛「なーるほどねぇ〜」

かすみ「で、ここからが本題なんです!」

かすみ「気付いたら量がかすみんの手に負えなくなってきちゃってるんですよ」

かすみ「なのでお願いします!もし良かったらかすみんのために、手伝って下さい!」パンッ

あなた「うん、良いよ」

かすみ「ホントですか!?」パァァ

歩夢「でも作曲とかあるんじゃない?大丈夫?」

あなた「これくらいなら平気平気!」

歩夢「そしたら、私も賛成かな」

あなた「みんなはどう?」

しずく「そういう事でしたら、私も賛成です」

しずく「普段のイタズラだったらあれでしたけど、今回のはちゃんとイイコトですしね」クスッ

かすみ「しず子〜!」

あなた「よーし、それじゃあ皆で幸せにするぞぉー!」

同好会メンバー「「おー!」」
 
49: (しうまい) 2021/08/11(水) 21:49:33.50 ID:xIl4g3CG
────────
─────
───

璃奈「っていうことがあってね」

ミア「ふぅ〜ん」

璃奈「だからミアさんも、何かお願い事があったらかすみんBOXに入れてみてね」

璃奈「私たちが、叶えられる範囲で叶えてあげる。璃奈ちゃんボード『むんっ』」

ミア「と言ってもなァ〜、特に今困ってる事とかもあるわけじゃないしなァ〜」

ミア「それに、自分の願い事は自分の力で叶えてこそだろ?」

ミア「……」チラッ
 
50: (しうまい) 2021/08/11(水) 21:54:56.08 ID:xIl4g3CG
璃奈「流石ミアさん、カッコイイ。璃奈ちゃんボード『尊敬の眼差し』」

ミア「まあね!そこらのヤツとは違うって事だよ!」ドヤ

ミア「それより璃奈、もうそろそろ時間じゃあないのか?言ってたろ、この後次のライブの打ち合わせがあるって」

璃奈「そうだった、ミアさんといると楽しいからすぐに時間が過ぎちゃう」

ミア「それはボクも同じ気持ちさ。だからまた今度、じっくり話そうじゃあないか」

璃奈「うん、また今度」

璃奈「それじゃあね、ミアさん」

ガララ

パタパタパタ
 
51: (しうまい) 2021/08/11(水) 21:59:25.42 ID:xIl4g3CG
ミア「さて、『幸せになれる願い箱』、だったか」

ミア「願い事、ねぇ……」

ミア「……そういえばランジュに、せめて机周りだけでも片付けろって言われてたんだったな」

ミア「どうせだったら、それを書いてみるか」

ミア「同好会の誰かが来るって話だし、璃奈が来れば上出来」

ミア「そうじゃなかったら、ちょこっとコキ使ってやればいいしな」
 
52: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:02:23.62 ID:xIl4g3CG
 
ミア「『部室が綺麗になりますように』っと」

ミア「で、これを」

ポイッ

カサッ

ミア「入れてから大体1週間以内には解決するって話だし、ま、そんなに期待はしないでおくかな」

ミア「さて、さっさと帰ってベースボールでも見るとするか」
 
53: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:05:40.17 ID:xIl4g3CG
────────
─────
───


カツーン
カツーン
カツーン


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


「私ガ、皆ヲ、幸セニ……」
 

 
55: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:09:01.40 ID:xIl4g3CG
愛「いやー!かすみんBOX、盛況じゃん!」

エマ「ホントにね!私の周りでも話を聞くようになってきたよー」

かすみ「ま、それほどでもありますよォ〜!」

かすみ「なんてったって、このかすみんを模してますからねぇ〜!」

かすみ「それに、皆のおかげです」

かすみ「皆が手伝ってくれたから、これだけ色んな人を『幸せ』に出来てるんです」

かすみ「ホントに、ありがとうございます!」ペコッ

彼方「そんな気にしなくてもいいんだよぉ〜」

彼方「私達もやりたくてやってるんだからねぇ〜」

果林「ま、最近はもう私達がやってる事がバレてるから、半分くらい何でも屋みたいになってるけどね」
 
56: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:14:27.56 ID:xIl4g3CG
かすみ「あ、そういえばなんですけど、最近かすみんがやってない事でも感謝される事があるんですよね」

果林「どういうこと?」

かすみ「言った通りですよ。かすみんが叶えた覚えのないお願いで感謝される事が割とあるんですよね」

しずく「かすみさん、もしかしてこの年でもうボケが始まって……?」

かすみ「そんなわけあるかい!」

しずく「まあ冗談は置いといて、本当に身に覚えないの?」

かすみ「うん、叶えたお願いの紙は全部とってあるんだけど、その中にないから絶対かすみんじゃないって言えるよ」

あなた「うーん、そうなるとなんだろうね」

あなた「……ドッペルゲンガーとか?」

かすみ「怖いこと言わないで下さいよ!」

エマ「じゃあきっと妖精さんだよー!」

愛「ま、ドッペルゲンガーにしろ妖精にしろ、願い事を叶えてくれてるんならいいんじゃない?」

愛「幸せにはしてくれてるわけだしさ」

かすみ「うーん、そうなんですかね……?」
 
57: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:17:38.49 ID:xIl4g3CG
~スクールアイドル部 部室~

コンコン

ガラッ

ミア「誰だ?」

かすみ「……」

ミア「って、かすみか」

ミア「ああ、もしかして願い箱の件か?」

ミア「なら紙に書いた通りさ、部室を綺麗にしてくれ」

ミア「ホントはこのままで全然構わないんだけど、ランジュがうるさくて仕方ないからね」

ミア「ボクはここで作曲してるから、終わったら声をかけてくれ」

ミア「頼んだよ」
 
58: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:20:47.24 ID:xIl4g3CG
&#☆160;

かすみ「…………」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
 

 
59: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:23:15.10 ID:xIl4g3CG
────────
─────
───

ミア「……」カチカチ

ミア「……」カチ

ミア「……」カチカチ

ミア(……ん、もうこんな時間か)

ミア(さて、片付けの方はどうなったかな)

スッ

クルッ

ミア「おぉ!中々綺麗になってるじゃあないか!」

ミア「キミ、結構掃除の才能があったんだな」

かすみ「…………」
 
60: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:26:39.17 ID:xIl4g3CG
ミア「……?おい、ボクの話を聞いてるのか?」

ミア「ていうか、キミそんなに静かなヤツだったか?前はもっとうるさかった気が──」

スッ

ガシッ !

ミア「!」

ミア「おいッ!急にボクの腕なんか掴んで、どういうつもりだッ……?」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


かすみ「……『願イ事』ハ、部室ガ綺麗ニナル事」

かすみ「マダ、部室ハ完全ニ、綺麗ニハナッテイナイッ……!」ググググ

ミア(な、なんだこの力はッ!およそ女子高生が出せるような力を明らかに超えているッ!)
 
61: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:29:37.61 ID:xIl4g3CG
ミア「お前!かすみじゃあないな!」

ミア「どこの誰だッ!」

かすみ「私ハ、カスミン……。皆ノ『願イ事』ヲ叶エル為ニッ!」ブンッ

ダンッ !

ミア「ぐあっ!」

かすみ「皆ガ『幸セ』ニナルノヲ邪魔スルヤツハ、排除スルッ!」ダッ

ミア(マ、マズイッ!また来るッ!)

ガシッ

グググッ

ミア「ぐ、うおぉぉぉおお!」

ズダンッ !

ミア「く、うッ……!」
 
62: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:32:17.38 ID:xIl4g3CG
ミア(Shit!どうなってるッ!)

ミア(というかそもそもなんなんだコイツはッ!)

グラグラ

バシャッ

かすみ「ッ!」

かすみ「グオォォォオオォッ!」

ミア(なんだ……?コイツ、今机の上に置いてあったエナドリを浴びて苦しんだのか……?)

かすみ「キサマッ!コノカスミンニッ!ヨクモッ!」

ダッ
 
63: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:35:49.90 ID:xIl4g3CG
ミア「よく分からんが、どうやらお前はエナドリ、いや液体か?」

ミア「ともかく、それが弱点らしいな」

かすみ「ウシャアァァァァーーッ!」グァッ

ミア「だったらこっちにもやりようはあるんだよッ!」

ガチャッ

サッ

かすみ「ッ!」

ゴシャァッ !

プシュ ! プシュ ! プシュ !

かすみ「ゴァァアアァァァッ!!」

かすみ「コ、コレハァッ!?」

ミア「ここの部室にはボクが飲むエナドリを大量に入れてある冷蔵庫があってね」

ミア「で、それだけのパワーでそこに突っ込めばもちろん、缶からは中身が溢れ出てくるってわけだ」

かすみ「グ、ゴ、ガァ……!」
 
64: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:38:53.25 ID:xIl4g3CG
ミア「お前の正体は気にならんでもないけど、明らかにボクが処理出来る範疇を超えてる」

ミア「ボクに何か特殊能力でもあれば話は別かもしれないけどな」

ミア「というわけで、ボクは帰るッ!」ザッ

ミア「明日になればどうにかなってるだろ、なってなかったら……ま、その時はその時さ」


バアァ─z__ァッ !!!
 

 
65: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:42:46.20 ID:xIl4g3CG
ミア「Shit」

ミア「部室を綺麗にって話だったのに結局散らかってたじゃあないか……」イテテ

ミア「それにエナドリも全部ダメになったし」

ミア「ハァ、やっぱり願い事は自分で叶えてこそだな……」
 
66: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:46:51.89 ID:xIl4g3CG
翌日

~スクールアイドル同好会 部室〜

ガラッ

かすみ「みなさーん!見てくださいよこれェ〜!」

あなた「それ、かすみんBOX──って、なんか濡れてしなしなになってる?」

璃奈「それになんかベタベタしてる気がする」

かすみ「そぉーなんですよぉー!」

かすみ「今日学校に来てみたらこうなってたんですよぉー!」

愛「あちゃー、流石にこれこのまま使うのはちょっとねぇー」

エマ「誰かが飲み物こぼしちゃったのかな?」
 
67: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:50:02.90 ID:xIl4g3CG
果林「ま、残念ではあるけど、もうそろそろ潮時だったんじゃない?」

果林「最近そっちの活動に力を入れすぎて、本業のスクールアイドル活動が疎かになり始めてたし」

かすみ「う、確かにそうだったかもしれません……」

愛「ま、気分を変えてさ!今日は遊びに行こうよ!愛さんパンケーキくらいなら奢っちゃうぞ?」

かすみ「む、言いましたね愛先輩!ならマウンテンパンケーキを奢ってもらっちゃいますよ?」

愛「いや〜、それは勘弁して欲しいなァ〜、なんて」アハハ

かすみ「さ、行きますよ!愛先輩!」

愛「ちょ、待ってよかすかすぅ〜」

かすみ「かすみんですッ!」
 
68: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:54:30.70 ID:xIl4g3CG
あなた「いやー、かすみちゃんの元気が戻って良かったよ」

せつ菜「そうですね、かすみんBOXはあとで皆で直して、部室に飾っておきましょうか」

歩夢「うん、そうしよっか」

璃奈「……」クンクン

璃奈(私とミアさんが飲んでるエナドリみたいな匂いがする)

璃奈(もしかしてかすみんBOX、あれ被っちゃったのかな……?)
 
69: (しうまい) 2021/08/11(水) 22:56:45.37 ID:xIl4g3CG
 

エピソード#02 「願い箱」──終わり
 

 
76: (しうまい) 2021/08/13(金) 23:44:28.81 ID:payJH5OU
  


エピソード#03 妖精
 

 
 
77: (しうまい) 2021/08/13(金) 23:47:42.07 ID:payJH5OU
ミア「ふぁ〜……」ムニャ

ミア「おっとすまない、最近寝不足でね」

ミア「寝不足になるのには色々理由があるわけだが」

ミア「そういえば、寝不足が最初の原因だったエピソードがあったな……」

ミア「うん、今回はそれを話すとしようか」
 
78: (しうまい) 2021/08/13(金) 23:49:55.62 ID:payJH5OU
ミア(何かで『創作とは体験をもって成される』なんて見たから、たまにはと外に出かけて見たわけだけど)

ミア(Fuckin'Hot!)

ミア(なんなんだこのクソ暑さは!)

ミア(日本の夏は暑いとは聞いてたけど、ここまでとは思ってなかったぞ!)

ミア(Shit!このままだと体が溶ける!)

ミア(クーラーはつけたまま出てきたから、早く帰って涼しい部屋でコーラを飲みたい!)

「あ、ミアちゃーん!」

ミア(?)

ミア(このクソ暑い中で誰だ……?)
 
79: (しうまい) 2021/08/13(金) 23:51:16.00 ID:payJH5OU
エマ「こっちだよこっちー」フリフリ

ミア(なんだあいつらか……)

ミア「何の用だ?エマ、彼方、せつ菜」

ミア「ボクはキミたちと違って忙しいんだ」

彼方「まあまぁ〜、そう言わずにぃ〜」

彼方「彼方ちゃん達とお茶しようよ〜」グイ~ッ

ミア「ちょ、待て、引っ付くな!」

ミア「分かった!座ればいいんだろ!?分かったから離れてくれ!暑い!」

彼方「うむ、分かればいいのです」

ミア「で、キミたちは何を話をしてたんだ?」

エマ「何って?」

ミア「いや、何かあったからこうして話してるんだろ?」

彼方「いや〜?ただ取り留めのない話をしてただけだよ。女子高生なんてそんなものだよぉ〜」

ミア「……帰っていいか?」

彼方「いやいや、待ちたまえ〜」グイ~ッ

ミア「帰らないから!いちいちくっつくな!暑い!」
 
80: (しうまい) 2021/08/13(金) 23:52:49.87 ID:payJH5OU
せつ菜「……あの、ですね」

ミア「あ?」

せつ菜「最近、寝不足でして」

せつ菜「それでお二人に相談に乗ってもらってたんです」

ミア「……ホントにしょーもないな」

彼方「いやいや、ちゃんと寝れないのは大問題だよ」

彼方「お昼寝大好きな彼方ちゃんが言うんだから間違いない」

ミア「どうせストレスで逆に寝れないとかだろ?」

エマ「ううん、それがそうじゃないみたいなの」

せつ菜「そうなんです、実は最近悪夢を見る機会が増えまして……」

ミア「悪夢?」

せつ菜「はい。なんと言いますか、変な小さい、生物?妖精?みたいな存在がずっと私に対して何かを話しかけてくるんです……」

ミア「はぁ、アホくさ」

エマ「もう!ミアちゃん!」

ミア「あのね、大体そういう時は疲れてるんだよ。ストレスで何か無いものを見て、それで更にストレスがかかる」

ミア「キミの場合、ベイビーちゃんとでもどっかデートにでも行ってきたら治るんじゃないか?」

せつ菜「な、ななななな、なんでそこであの人が出てくるんですか!それにデートって!」ガタッ
 
81: (しうまい) 2021/08/13(金) 23:54:55.05 ID:payJH5OU
ミア「……なぁ、まさかこいつ、気付かれてないとでも思ってるのか?」ボソボソ

彼方「そこがせつ菜ちゃんの可愛いところでもあるんだよ」ボソボソ

エマ「ねー」ボソボソ

せつ菜「あの人とデートだなんでそんな……!あぅ……」///

ミア「……あー、言い方が悪かった。別にデートってのは言葉の綾だ」

ミア「単に仲のいいやつと遊んで来いって事が言いたかった」

せつ菜「ま、まあ、それなら……」

ミア「はぁ……」

ミア「問題も解決したみたいだしもう帰っていいか?」

ミア「ボクは涼しい部屋でコーラが飲みたいんだ」

彼方「まあまあ」ガシッ

エマ「まだまだ話したい事はいっぱいあるんだよ〜?」ガシッ

ミア「だから!暑苦しいからいちいち引っ付くな!」
 
82: (しうまい) 2021/08/13(金) 23:56:44.80 ID:payJH5OU
────────
─────
───

ミア「はぁ、昼間はエラい目にあった……」

ミア「やっぱりわざわざ外出なんてするもんじゃあないな」

ミア「作曲……は今日はいいか。気分が乗らない」

ミア「適当に音楽聞きながら掲示板でも見るか」

カチッ

ウィィィィン
 
83: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:00:03.63 ID:A8s2DNET
 

カサッ

ヒョコン

 
 
84: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:01:35.85 ID:A8s2DNET
ミア「……」カチッ

ミア「……」

ミア「……」

ミア「……フッ」

ミア「……」カチッ

ミア「……」

カサッ

カタン

ミア「ん?」スッ

ミア「何か今音がしたような……」キョロ

ミア「……気のせいか」

ミア「ま、それかクーラーの風で何か動いたんだろ」

ミア「気にするほどの事じゃないか」スッ
 
85: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:03:44.99 ID:A8s2DNET
 
カタン

カチャッ

カララ…


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

 
 
86: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:05:21.27 ID:A8s2DNET
ミア「……」

ミア「……」カタカタ

ミア「……」タンッ

ミア「……」

ミア「……」カチッ

ミア「……」

ミア「……チッ」

スッ

ミア「はぁ、やっぱり掲示板はクソだな」

ミア「面白いのはほんのちょっとのやつだけだ」

ミア「まあでも、なんだかんだでもう2時か」
 
87: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:08:02.79 ID:A8s2DNET
ミア「……ん、窓が少し空いてるじゃあないか」

ミア「どおりで暑いわけだ」カララ カチャッ

ミア「……」

ミア「……待て」

ミア「ボクはいつ窓を開けた?」


ド ド ド ド ド ド ド


ミア「朝に窓が閉まってるのは確認した」

ミア「昼間に出かける時にクーラーをつけっぱなしにしてたから、窓は開けてはない」

ミア「それに帰ってきてからも窓には一切触れちゃいない」

ミア「なら、ボク以外の誰かがこの部屋に侵入して、今まさにここに居るとでもいうのか……!」
 
88: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:10:15.93 ID:A8s2DNET
 

 
「こんにちは」
 

 
 
89: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:12:13.17 ID:A8s2DNET
ミア「ッ!」バッ

「ふふふ、そっちじゃないよ」

ミア「Shit!どこだ!どこにいる!」

「だから、そっちじゃないよ」

「そっちじゃなくて、後ろ」

ミア「ッ!」バッ
 
90: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:15:59.03 ID:A8s2DNET
  
 
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「こんにちは」
  
 
 
91: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:18:57.04 ID:A8s2DNET
ミア(なんだ、こいつは……?)

ミア(小さくて、変な……、いや、そもそも生物なのかこいつは……?)

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「ふふ、ミアさん、こういうお部屋に住んでるんだね」

ミア「な、なんなんだお前は……」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「私?私は私だよ、ミアさんがミアさんであるように、私は私」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「それ以上でもそれ以下でもないよ」

ミア「大体、なんでボクの名前を知ってるんだッ!そもそもどうやって、いや、いつからこの部屋にいたッ!」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「いつからって、ミアさんと一緒にこの部屋に来たんだよ?ね?」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「うん、せつ菜ちゃんの所にいた私がミアさんの所に来たんだよね」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「そうそう。それで窓をちょっと開けてもらって、私達が来たんだよ」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「「お邪魔してまーす」」

ミア(い、いつの間に増えたッ!?)

ミア(それに、ボクが気付かないうちに、こんな量の化け物がこの部屋に侵入していただとッ!?)

ミア「悪夢でも見てる気分だな……」タラ…

ミア(待て、悪夢?変な、小さい、生物、妖精……)

ミア(まさかこいつら、せつ菜の悪夢に出てきてたやつと同じだとでも言うのかッ!)

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「それで本題なんだけどね」
 
92: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:21:22.55 ID:A8s2DNET
 

 
@cメ*◉ _ ◉リ「どうしてせつ菜ちゃんにあの子とデートするよう言ったの?」
 

 
 
93: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:23:18.98 ID:A8s2DNET
ミア「……は?」

@cメ*◉ _ ◉リ「聞こえなかったかな?もう一回言うね」

@cメ*◉ _ ◉リ「どうしてせつ菜ちゃんにあの子とデートするよう言ったの?」

ミア「まさかお前達、わざわざそんな事を聞くためにここにいるのか……?」

@cメ*◉ _ ◉リ「そんな事?」

@cメ*◉ _ ◉リ「今、そんな事って言ったのかな?」

@cメ*◉ _ ◉リ「ミアさんにとってはそんな事かもしれないけど、私達には大切な事なんだよッ!」

ミア「ッ!」
 
94: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:26:08.28 ID:A8s2DNET
@cメ*◉ _ ◉リ「反省してるようなら許してあげようかとも思ったけど、必要ないかな?」

ミア「ま、待てッ!」

ミア「悪かったッ!あれはなんというか、そう!言葉の弾みで!別に本心から言ったわけじゃあなかったんだッ!」

@cメ*◉ _ ◉リ「ホントかな……?」

ミア「あ、ああ、ホントさ。誓えるとも」

@cメ*◉ _ ◉リ「じゃああの子と歩夢ちゃんもデートを出来るようにしてくれる?」

ミア「は……?歩夢……?」

@cメ*◉ _ ◉リ「出来ないのかな?」

ミア「い、いや!出来るとも、それくらいお易い御用さッ!」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「なら良かった」
 
95: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:28:21.69 ID:A8s2DNET
ミア(Shit!こいつら、得体がしれなさ過ぎて従う事しか出来ない……ッ)

ミア(それに、歩夢って言ってたな。こいつらの見た目といい、まさかこいつらを操ってるのは歩夢なのか?)

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「それにしても、ミアさんとはちゃんとお話が出来て良かった」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「せつ菜ちゃんの時はチャンネルが合わないのか、お話すらまともに出来なかったもんね」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「でも、ホントにミアさん約束を守ってくれるのかな」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「確かに、ちょっと心配だね」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「なら、始末しちゃおうか?」

ミア(は?)
 
96: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:30:15.52 ID:A8s2DNET
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「うん、そうだね、そうしよう」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「合体した方がいいのかな?」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「その方が確実だよね」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「うん、そっちの方がいいよね」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「じゃあ、そうしよっか」

ビタッ

ミア(合体だと?まさかこいつら、大きくなってボクを潰すつもりかッ!)
 
97: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:35:34.88 ID:A8s2DNET
ビタビタビタッ


バアァ─z__ァッ !!!




                 @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ_     
        
 
98: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:38:45.70 ID:A8s2DNET
ミア(な……、嘘だろッ!?なんであんな小さかったヤツらがこんな筋肉質なヤツになるんだッ!)

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「それじゃあミアさん」

@cメ*◉ _ ◉リ「さよなら」

グアッ

ミア「くッ!」ギュッ

ミア「……」

ミア「……?」

ミア「な、なんだ?」チラッ
 
99: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:41:31.12 ID:A8s2DNET
@cメ*◉ _ ◉リ「ま、まさかこんな時間に目を覚ますなんて……ッ!」ギシッ

@cメ*◉ _ ◉リ「命拾いしたね、でも約束、忘れないでね?」サラサラ

@cメ*◉ _ ◉リ「もし忘れてたら、また来るからね」サーッ…

ミア「き、消えた……」ヘタリ

ミア「何だったんだ一体……」
 
101: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:44:44.26 ID:A8s2DNET
翌日

ミア(はぁ、クソッ。結局あれから昨日は一睡も出来なかった……)

ミア(何だったんだ全く……)

ミア「あ、おい!」

歩夢「ミアさん、どうかしました?」

ミア「キミに言いたいことが──って、やけに眠そうだな」

歩夢「あはは、分かります?昨日変な時間に起きちゃって、それから眠れなくて……」

歩夢「そういえば、夢で私そっくりの妖精がミアさんと喋ってたような……」

ミア「妖精、ね……」ハハ
 
102: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:46:46.18 ID:A8s2DNET
歩夢「あ、ごめんなさい、それで私に何か用ですか?」

ミア「その事なんだが、あー、なんだ、その、最近ベイビーちゃんとは遊びに出かけたりはしてるか?」

歩夢「へ?」

ミア「いや、唐突なのはボクも承知の上でなんだが……」

ミア「Shit!考えてみれば、ボクがどう言っても不自然になるじゃあないか……!」

歩夢「ふふっ」

ミア「……なんだよ」

歩夢「あ、ごめんなさい!なんだかそんな風なミアさん珍しくって」

ミア「あー、クソッ。ともかく、だ」

ミア「ベイビーちゃんと2人でどこかに遊びに行ってやれ。ボクが言いたいのはそれだけだ」

ミア「じゃあな」タッ
 
103: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:48:36.87 ID:A8s2DNET
歩夢「あ、行っちゃった」

歩夢「……ふふっ、変なミアさん」

歩夢「でも確かに、あの子と2人でお出かけなんて最近してなかったかも」

歩夢「久しぶりに、誘ってみようかな……」
 
104: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:50:29.76 ID:A8s2DNET
ミア「はぁ、柄にも無いことは言うもんじゃあないな……」

ミア「ふぁ……」ムニャ

ミア「眠い……、今日はさっさと帰って寝るとするか……」
 
105: (しうまい) 2021/08/14(土) 00:52:16.24 ID:A8s2DNET
 

 
エピソード#03 「妖精」──終わり
 

 
 
115: (茸) 2021/08/16(月) 22:09:52.03 ID:ZvboBjCO
 

 
エピソード#04 天王寺の発明
 

 
 
116: (茸) 2021/08/16(月) 22:11:21.14 ID:ZvboBjCO
ミア「やあ、ミア・テイラーだ」

ミア「ん、このメガネかい?」

ミア「まあたまにはイメチェンというやつさ」

ミア「他人からのイメージ、つまりは認識というやつは中々厄介でね」

ミア「どうにも自分の思った通りの認識にさせるのは、存外難しい」

ミア「そんな中で他人の認識を簡単に覆せる物があったんだが……」

ミア「まあ今回のエピソードはそれについて、というわけだ」
 
117: (茸) 2021/08/16(月) 22:15:22.40 ID:ZvboBjCO
ミア「」ゴクッ ゴクッ

コトン

ミア「う、うおぉぉぉおおッ!」ガタッ

ミア「なんだこのドリンクはッ!」

ミア「疲れ切っていた体に染み渡る!」

ミア「体の奥からエネルギーが漲ってきたああっ───ッ!」
 
118: (茸) 2021/08/16(月) 22:19:31.86 ID:ZvboBjCO
璃奈「ありがとう。璃奈ちゃんボード『てれてれ』」

ミア「こんなドリンクがあるならもういつものエナドリは要らないくらいだよ」

ミア「それに、薄めて飲んでこれなんだろ?そのままだとどうなるのか想像もつかないよ」

璃奈「普段から常飲してると効果が薄まってきちゃうから、それはダメ」

璃奈「それに希釈せずに飲むと、それはもう凄いことになるからそれもダメ」

璃奈「実際にかすみちゃんがそれで……。璃奈ちゃんボード『ガクブル』」

ミア「そ、そうなのか」

ミア「まあともかく、だ。元気が出たよ、これで作曲の方も頑張れそうだ」
 
119: (茸) 2021/08/16(月) 22:23:08.17 ID:ZvboBjCO
璃奈「待って、ミアさん」

ミア「?」

璃奈「これ」スッ

ミア「これは……、メガネ?」

璃奈「そう、私の発明品。これで対象者を見ると、ランダムに使用者への認識を、きっかり1時間、それ以上でも以下でもなく、書き換える」

ミア「認識を、書き換える?」

璃奈「そう。例えば、私がこれをかけてミアさんを見たとする」

璃奈「そうするとミアさんは、私の事が嫌いで仕方なくなったり、あるいは昔からの恩人と思うようになったりする」
 
120: (茸) 2021/08/16(月) 22:27:40.05 ID:ZvboBjCO
ミア「なるほどね……。で、それをボクに見せてどうするつもりだい?」

璃奈「実はこれ、まだ試用はしてないから実際にどんな挙動をするか分からない」

璃奈「だから、ミアさんに最初にこれを使ってみてほしい」

ミア「使って見てほしいって、自分で試してみればいいだろう?」

璃奈「私は使っているところを見て、データを取らなきゃいけない」

ミア「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ」

ミア「どんな挙動をするか分からない物をボクに使わせようって言ってるのか?」

ミア「それってボクを実験動物(モルモット)にしようとしてるってことだろうッ!?」
 
121: (茸) 2021/08/16(月) 22:31:50.60 ID:ZvboBjCO
璃奈「最低限の実験はしてある。少なくともこのメガネがミアさんを傷付けるような事にはならない」

ミア「ナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナア」

ミア「メガネがボクを傷つけないって……、じゃあ対象者からはどうなんだッ!?」

ミア「ボクは世界中の人々のために音楽を作ってる人間なんだぞ……」

ミア「社会的にも少しは有名なんだ」

ミア「それに!認識を書き換えるって言ったよなッ」

ミア「他人からは不可侵であるべき人間の感情に手を出そうだなんて、許されると思うのかッ?」

璃奈「私は、何があってもこの実験は遂行する」

ミア「だから気に入った」


ドン


ミア「色々言ったが、まあボクがキミからの頼みを断るわけはない」

ミア「存分に実験をしてくれよ」

璃奈「それじゃあ────」
 
122: (茸) 2021/08/16(月) 22:36:43.93 ID:ZvboBjCO
ミア「人払いはしておくから心配するな、か」

ミア「さて、同好会のメンバーの中から三人に対して使ってくれって話だったが」

ミア「ん、あれは……」

誰と会うか↓1
 
124: (茸) 2021/08/16(月) 22:51:23.43 ID:ZvboBjCO
歩夢「あ、ミアさーん」

ミア「キミか」

歩夢「この間はありがとうございました!」

ミア「この間?」

歩夢「ほら、ミアさんがたまにはあの子と2人で出かけてみればって」

ミア「ああ、あったなそんな事も」

ミア(あれからあの変なやつが現れる事も無くなったから、まあそういう事だとは思っていたが)

ミア「ま、これからもたまには2人で出かけるといいんじゃないか?」

ミア(ボクの安全のためにも)

歩夢「はい、そうしますね!」
 
125: (茸) 2021/08/16(月) 22:55:55.58 ID:ZvboBjCO
歩夢「そういえば、ミアさんってメガネしてましたっけ?」

ミア「ああ、これか。ちょっとしたイメチェンみたいなものさ」

歩夢「いつもと違う雰囲気で似合ってますよ!」

ミア(さて、確かメガネのツルの部分のスイッチを押しながら対象者を見るんだったな)カチッ

ジッ

歩夢「!」ビクッ

歩夢のミアに対する認識改変後↓1
 
128: (茸) 2021/08/16(月) 23:17:23.55 ID:ZvboBjCO
ピピッ

ミア(どうなるか)

歩夢「……」

グイッ

ハグッ !

ミア「!?」

ミア「おい!なんだ急にッ!」

歩夢「良ぉお〜〜〜〜しッ!」

歩夢「よしよしよしよしよしよしよしよしよし」

歩夢「ミアちゃんはいつも通り可愛いなぁ〜!」

ミア「はぁ!?」

ミア(なんだこれは!?どうなればこうなるんだッ!)

ピコン

『溺愛する妹』

ミア(溺愛する妹って……、それでもこうはならないだろッ!)
 
129: (茸) 2021/08/16(月) 23:20:56.67 ID:ZvboBjCO
歩夢「ほら、いつもみたいに歩夢お姉ちゃんって呼んでみよ?」

歩夢「さんはいっ!」

ミア「誰が呼ぶかッ!というか一度たりとも呼んだ憶えがないぞ!」

ミア(Shit!ウザい!世の中の姉とはこんなものなのか!?)


彼方『Yeah』


ミア(……よく考えてみればそうだったかもしれないな)

歩夢「ミアちゃんは匂いも素敵で可愛いなぁ〜」

ミア(スキンシップも加速してきてるしここは三十六計逃げるに如かず!)

ミア「というわけだ!」

スルッ

歩夢「あっ!」

ミア「ボクは逃げるッ!」ダッ

歩夢「待ってよミアちゃーーん!」
 
130: (茸) 2021/08/16(月) 23:24:56.62 ID:ZvboBjCO
ミア「ふぅ、酷い目にあった」

ミア「これをあと二人か……」

ミア「いや、璃奈のためだ。身を粉にしてでもやり遂げようじゃあないか」

ミア「なんて言ってたら二人目が見えてきたな」

ミア「あれは……」

誰と会うか↓1
 
132: (茸) 2021/08/16(月) 23:37:04.20 ID:ZvboBjCO
彼方「やぁやぁ、ミアちゃんじゃあないか〜」

ミア「ん、彼方か」

ミア「……なあ、これはちょっとした好奇心から聞くんだが」

彼方「なにかな?」

ミア「キミ、妹に抱き着いて頭の匂いを嗅ぎたいとか思うか?」

彼方「え、どうしたの急に」

ミア「まあ、ちょっとな」

彼方「ん〜、そうだなぁ〜」

彼方「今のところはまだ無いけど」

彼方「まあ遥ちゃんは可愛いからなァ〜、そう思っても不思議じゃあないかなァ〜」

ミア(やっぱりそうなのか……、姉ってやつはヤバいやつしかいないのか……)
 
134: (茸) 2021/08/16(月) 23:40:55.53 ID:ZvboBjCO
彼方「ところでミアちゃん、そのメガネ中々似合ってるねぇ」

彼方「イメチェンかい?」

ミア「ああ、そんなところだよ」

ミア(聞きたいことも聞いたし、とりあえずやっておくか)カチッ

ジッ

彼方「!」ビクッ

彼方のミアに対する認識改変後↓1
 
136: (茸) 2021/08/17(火) 00:08:40.27 ID:g4wOqQ9H
彼方「……」

ミア「……おい、彼方?」

彼方「ご、ごめんなさい!」

ミア「はあ?」

彼方「絶対返しますから!だ、だからあとちょっとだけ待ってください!お願いします!」

ミア「お、おい、なんの事だよ」


「どうやら今回は『借金取り』、みたいだね」


ミア「ッ!誰だ!」バッ

「誰って、今のアナタの相棒だよ」

ミア「相棒だと?」

「そう、私はそのメガネのいわゆる精霊」

メガネ「仲良くしてくれると嬉しいな」

ミア(この前の歩夢に似たやつみたいなものか……?)
 
137: (茸) 2021/08/17(火) 00:11:08.92 ID:g4wOqQ9H
彼方「あ、あの、ミアちゃ──さん」

彼方「一体誰と喋ってるんですか……?」

ミア「もしかしてキミ、こいつが見えてないのか……?」

彼方「……?そこに何かいるんですか?」

メガネ「そういうこと、私はこのメガネの装着者、今はアナタにしか認識されない」

ミア(そういうことは先に言ってくれッ!)

メガネ「ごめんね、ヒトと喋るのなんて初めてだったからさ」

彼方「!」ダッ

ミア「それでだ、彼方」クルッ

ミア「……彼方?」

メガネ「あの子なら走って行っちゃったよ」

メガネ「ま、アナタの事を借金取りだと思ってるわけだし、当たり前といえば当たり前だよ」

ミア「まあ、いいか。認識改変自体は成功しても一時間で戻るって話だし、このまま放置しといても大丈夫だろ」

メガネ「そうだといいけどね」フフッ
 
138: (茸) 2021/08/17(火) 00:12:22.54 ID:g4wOqQ9H
ミア「さて、次で最後の一人な訳だが」

「あ、おーい!」タッタッタッ

ミア「面白いくらいにテンポ良く会うな」

誰と会うか↓1
 
140: (茸) 2021/08/17(火) 00:29:24.43 ID:g4wOqQ9H
栞子「ミアさーん!」タッタッタッ

ミア「栞子」

栞子「おや、そのメガネ似合ってますね」

栞子「あれ、でもミアさんって目悪かったんでしたっけ?」

ミア「いや、そういうわけじゃあない」

ミア「ただのイメチェンってやつさ」

栞子「なるほど、確かにいつもとは違う、何かオーラのようなものを感じ取れるような気がします」

ミア「いや、そこまでいくとイメチェンの範疇を超えてるような気もするが……」

ミア「ま、褒め言葉として受け取っておくよ」

ミア(だからといって認識改変をしないわけじゃあないけどな)カチッ

ジッ

栞子「!」ビクッ

栞子のミアに対する認識改変後↓1
 
142: (茸) 2021/08/17(火) 01:06:04.12 ID:g4wOqQ9H
ピピッ

栞子「ヒッ」ビクッ

栞子「……こ、こんな所まで会いに来てくれたんですね。ありがとうございます」

ミア(今回はなんだ……?)

メガネ「『栞子のガチオタ』だよ」

ミア(ガチオタ?まあファンみたいなもんだろ)

ミア「なぁ」

栞子「そ、それでは失礼します!これからも応援して下さいね!」ダッ

栞子「……?あいつ、ボクに対して怯えてなかったか?」

ミア「おい、ホントに改変内容あってるのか?」

メガネ「間違いなく、『栞子のガチオタ』だよ」

ミア「……、まあ、いいか」
 
143: (茸) 2021/08/17(火) 01:08:36.87 ID:g4wOqQ9H
ミア「とにかく、これで三人分終わったんだ」

ミア「あとは璃奈に報告して実験は終了だ」

メガネ「いいや、まだ終わらないよ」

ミア「終わらないって、もうボクがやる事は終わってるだろ?これ以上何をしろって言うのさ」

メガネ「アナタはもう何もしないよ」

ミア「……?何を──」

メガネ「ほら、来てるよ」

ミア「ッ!」
 
150: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:26:48.66 ID:soqHHhkY
彼方「…………」

ミア「ってなんだ、彼方か」

ミア「さっきは急にいなくなるから驚いたよ」

彼方「……色々考えたけど」ボソボソ

ミア「あ?」

彼方「確かにお金を借りた私も悪いかもしれないけど、でも、もうこうするしか……」ボソボソ

ミア「おい、キミ何を──」

彼方「私と遥ちゃんが幸せになるためにはミアちゃんは邪魔なんだッ!」バッ

ミア「ッ!」

ガシッ

ミア「ナイフを持っていきなり襲いかかってくるなんて、どういうつもりだ……ッ?」グググッ

彼方「い、言った通りだよ」

彼方「遥ちゃんのためにも、お前は〇さなきゃいけないんだァ──ッ!」

ズダンッ
 
151: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:29:44.87 ID:soqHHhkY
ミア(Shit!借金取りって、ここまでのかよ!)

メガネ「ほらね、アナタが何をしなくても、あとはあっちから勝手にやってくる」

メガネ「人間の感情ってのは面白いね」

メガネ「少し弄れば、勝手に増幅していく」

メガネ「それがどんな感情に関わらずとも、ね」

ミア「お前ッ!こうなる事が分かっていたのかッ!?」

メガネ「どうだろうね、私は人の感情は変えられても、その後どうなるかは本人次第だし」

ミア(と、とにかく彼方をどうにかしなきゃだが、キレちまってるおかげで何をしでかすか分からないッ……!)

栞子「大丈夫ですか!?」

彼方「栞子ちゃん!」

ミア「栞子!」

ミア「いい所に来た!こいつを、どうにかしてくれッ!」
 
152: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:32:58.31 ID:soqHHhkY
栞子「…………」

栞子「……何故、私が貴女を助けないといけないのですか?」

ミア「は?」

ミア「ボクはキミのファンって事になってるんだろッ?だったら──」

栞子「ファンだったら何をしてもいいと思っているのですかッ!」

栞子「ライブに毎回来るのはいいです」

栞子「しかし!そうでない時まで!」

栞子「ゴキブリのようにどこにでも現れてッ!」

栞子「それも毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日ッ!」

栞子「気持ち悪いんですよッ!」

ミア「な、そんな事──」

栞子「してないとでも言うつもりですかッ!?」

栞子「私がそんな事にも気が付かない程のマヌケだとでも思っていたんですかッ!?」

栞子「そもそも!何故私が所詮他人の貴女を助けないといけないのですかッ!」

栞子「最初に私が心配したのは仲間である彼方さんです!」

栞子「自惚れてるんじゃあねェよッ!」

ミア「ッ!」

メガネ「フフッ、面白くなってきたね」
 
153: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:38:21.53 ID:soqHHhkY
ミア(Shit、アンチには慣れてるつもりだったが、流石に面と向かってここまで言われると多少堪えるな……)

バシャッ

ミア「ッ!」

ミア(これは……、水?)ポタポタ

栞子「貴女にはもううんざりです」

栞子「ですが、これでお別れです」スッ

ブンッ

ガシャアッ

ミア(こいつッ!蛍光灯をッ!)

ミア(マ、マズイッ!)

バヂィッ


ドォ─z__ッン


ミア「うわああああああッ!」バリバリバリ

ボシュン ボシュン
 
154: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:42:52.21 ID:soqHHhkY
ミア「がッ、ぐ……うぁ……」ヨロ

栞子「あと一歩、といったところですか」

彼方「栞子ちゃーん、そこの教室から机持ってきたよォ~」

彼方「これ投げつけるってのはどぉかなぁ~」

栞子「ナイスです、それでいきましょう」

彼方「それじゃせーのッ!」ブンッ

ミア「くっ……!」ギュッ

バキャアッ

ミア「…………?」

ミア「机が……、ぶつからなかった……?」
 
155: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:45:49.39 ID:soqHHhkY
 

 
ド ド ド ド ド ド ド ド ド


「ふふっ、ギリギリ間に合ったみたいだね」


栞子「あ、貴女はッ!」

歩夢「私が守らせてもらったよ、この子達を使ってね」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ


ド ン ッ


歩夢「やれやれ、だよ」


栞子「歩夢さんッ!」
彼方「歩夢ちゃんッ!」
 
156: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:48:25.48 ID:soqHHhkY
ミア「歩夢……、キミ、それは……!」

歩夢「うん、ミアちゃんを助けなきゃって思ったらいつの間にか使えるようになってたの」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「ミアちゃん!」

歩夢「それよりも、今は一旦ここから離れよう!」

ミア「あ、ああ……」

ダッ

栞子「あッ!……逃がしましたか」

彼方「逃がさないよ、絶対に……ッ!」
 
157: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:50:26.13 ID:soqHHhkY
タッタッタッ

歩夢「ふぅ、ここまで来ればとりあえず安心かな」

ミア「改めて聞くが歩夢、さっきのは?」

歩夢「うん、何故かは分からないけど、ミアちゃんが危険な目にあってるっていう感覚がして」

歩夢「ミアちゃんを守らなきゃって夢中になってたらいつの間にか……」

歩夢「きっとこの感覚もこの子達も、血の繋がった大好きな妹のミアちゃんがピンチだったから発現したんだよね」

歩夢「もう二度と、危険な目には合わせない」

歩夢「この『目覚める約束(アウェイクニング・プロミス)』で、ミアちゃんの事は何があっても守り抜く」

歩夢「私が、お姉ちゃんが約束するからね」
 
158: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:53:08.44 ID:soqHHhkY
メガネ「アハハッ、血の繋がりときた。それにまさかあんな力まで使えるようになるなんて


メガネ「認識の力とは斯くも素晴らしき、だね」

ミア(前から歩夢が無意識である事が条件だったとはいえ、あの力は使えてたんだ。何らかの弾みで覚醒してもおかしくはなかった)

ミア(ただ問題なのは……)
 
159: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:56:40.50 ID:soqHHhkY
歩夢「!」

歩夢「偵察に行かせてた子が二人を近くに見つけたみたい」

歩夢「とりあえず、この教室に隠れよっか」

カララ

歩夢「失礼しまーす」コソッ

歩夢「うん、誰もいないみたいだね」

ミア「これからどうするつもりだ?ずっとここに隠れてるって訳にもいかないだろうけど」

ミア「いや、あと40分くらいやり過ごせば改変の効果は切れるのか……」

歩夢「うーん、隙を伺って一回気絶させちゃおっか」

歩夢「その後縛れば無力化出来るね」

ミア「……なんかキミ手馴れてるな」

歩夢「ええっ!?そんな事ないよ!」
 
160: (しうまい) 2021/08/19(木) 03:59:56.85 ID:soqHHhkY
ガシャアッ

ミア・歩夢「「ッ!」」

ボッ

歩夢「こ、これって!」

ミア「火炎瓶だとッ!」

ミア(あいつらマジかッ!ここまでやってくるのか!)

ガシャアッ ガシャアッ

歩夢「どんどん投げ込まれてきてる!」

ミア「Shit!とにかくこの部屋から出るぞッ!」ガラッ

歩夢「待ってミアちゃん!」

ガシッ

栞子「ようやく捕まえましたよ」

ミア「なッ!?」

歩夢「アウェイクニング・プロミス───ッ!」

グオォォォオオオッ
 
 
161: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:02:58.26 ID:soqHHhkY
彼方「うん、そうだよね」

彼方「歩夢ちゃんなら、そいつを守るためにそうするよね」

彼方「だから歩夢ちゃん本体がガラ空きになる」

彼方「ごめんね歩夢ちゃん!」グアッ

バキャア

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「させないよ」

彼方「なッ!」

歩夢「残念だけど彼方さん、この子達は群体型なの」

歩夢「だから今の私に、死角はない」
 
162: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:05:41.58 ID:soqHHhkY
ジリリリリリリリリ

ザアァァァァァァァ──ッ

彼方「ッ!失敗だよ栞子ちゃん!一旦引いて体制を立て直そうッ!」

栞子「いいえッ!このまま押し切ります!」

栞子「流れは今ッ!確実に私達の元へきていますッ!」

栞子「ここであいつを〇して全てに終止符を打つ!」

栞子「そのためにもここでッ!」

栞子「歩夢さんを超えますッ!」

バ ン ッ

歩夢「ミアちゃんは絶対にやらせないよッ!」

オオオォォォォォォオオ
 
 
163: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:09:38.26 ID:soqHHhkY
栞子「…………」ジリ

歩夢「…………」ジリ


カタン


栞子「うおぉぉぉおおッ!」

歩夢「アウェイクニングッ!」


メガネ「残念、時間切れだよ」


歩夢「プロ──」ガクンッ

栞子「歩夢さんッ!?」

ドシャアッ
 
164: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:11:39.62 ID:soqHHhkY
ミア「おい!歩夢どうしたッ!」

メガネ「だから、時間切れだよ」

メガネ「天王寺璃奈が言ってたでしょ?」

メガネ「『きっかり1時間、それ以上でも以下でもなく書き換える』って」

ミア(Shit!この状況でかよッ!)

ミア(だが、少なくとも歩夢の認識改変をしてから1時間は経ったのなら!)

ミア(彼方と栞子のタイムリミットももうすぐって事だ!)

ミア(しかし、問題は歩夢だ)

ミア(あの能力は認識を改変された後にボクへの想いから発現したもの)

ミア(なら認識が元に戻った今、あれはまだ使えるのか?)
 
165: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:14:26.09 ID:soqHHhkY
歩夢「う、うぅん……」

歩夢「あれ……、ここ、どこ……?」

ミア「歩夢ッ!」

歩夢「ミ、ミアさん?」

ミア「アウェイクニング・プロミスを出すんだッ!」

歩夢「アウェイ……?」

ミア「えっと、何ですかそれ?」

ミア「ッ!」ダッ

彼方「あ!」

彼方「栞子ちゃん!」

栞子「私は歩夢さんを安全な所へ送ります!」

栞子「彼方さんはあいつをッ!」

彼方「分かった!」
 
166: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:16:37.03 ID:soqHHhkY
タッタッタッ

ミア(Shit!歩夢がいなくなって攻撃手段が無くなったッ!)

ミア(あとはもう逃げるしかないッ!)

ヴーヴー

ミア(電話か、誰だこんな時に!出てる余裕なんかあるわけないだろ!)

メガネ「これは私の優しさから言うんだけど、その電話、出た方がいいよ」

ミア「はぁ?どういう事だよ!」

メガネ「まあいいからいいから」

メガネ「今はアナタは相棒だからさ、流石に死んで欲しくはないし」

ミア「分かったよ出ればいいんだろ!」
 
167: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:27:29.02 ID:soqHHhkY
スッ

ミア「もしもし!」

璃奈『ミアさん!大丈夫!?』

ミア「璃奈か!」

璃奈『ごめんなさい、本当はすぐに連絡したかったんだけど、ある物を作ってたから』

ミア「あるもの?」

璃奈『うん、ミアさん用に調整してて遅れちゃった』

璃奈『今ドローンで運んでるから、受け取って』

璃奈『それであと約20分逃げ切って!』

ミア「ああ、ありがとう璃奈!」

スッ ツーツー

メガネ「ね?出て良かったでしょ?」

ミア「ああそうだな、まあ感謝はしておく」
 
168: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:31:48.95 ID:soqHHhkY
ミア「それより、璃奈が何かくれるって話だったが……」キョロ

ガシャアッ

ミア「うおっ!」

ミア「まさか窓を割って入ってくるとは……」

ミア「で、何を届けてくれたんだ?」

ヒョイ

ミア「……飲み物?と、璃奈からのメッセージか」カサッ


『これは実験前に飲んでた特製ドリンクを、更に改良したもの』

『これを飲めば、常人以上の身体能力を手に入れられる』

『これで認識改変が終わるまで逃げ切って欲しい』

『最後に、こんな事に巻き込んでごめんなさい』


ミア「璃奈……」

グイッ ゴクンッ

ミア「ふぅ……」

ミア「さあ、最後の鬼ごっこといこうじゃあないか!」
 
169: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:35:57.30 ID:soqHHhkY
────────
──────
────

璃奈「なるほど、それで最後の栞子ちゃんからはギリギリ逃げきれたと」

ミア「ああ、彼方もヤバかったが間違いなく栞子が一番キレてたな」

璃奈「ありがとう、ミアさん」

璃奈「うん、やっぱり私は歩夢さんの件が一番気になるかな」

ミア「ていうと、あの変なやつを操る能力か?」

璃奈「それも気になるけどもっと注目したいのは、認識改変、要は思い込みで血の繋がりを感じて、ミアさんの危機を感じ取ったこと」

ミア「ああ、確かに」

ミア「そもそもとして、実際に血の繋がりがあったとして家族の危機なんて感じ取れるのか?」

璃奈「そういう話も、無くはない。でも今回は、実際には血縁関係が無いのにも関わらずミアさんの危機を感じ取ったこと」

璃奈「これは紛れもない事実」

ミア「まあ、確かにな」

璃奈「研究の分野が広がったけど、絶対に解明してみせる。璃奈ちゃんボード『やったるでー』」

ミア「うん、頑張ってくれ」
 
170: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:39:01.19 ID:soqHHhkY
ミア「それじゃ、璃奈の研究の邪魔をする訳にもいかないし、ボクはここらで退散するかな」

璃奈「今回の実験は本当にありがとう」

璃奈「それと、ごめんなさい」

ミア「もういいって、何度も言ったろ」

ミア「ただ……」

璃奈「分かってる。あのメガネは一旦封印する」

璃奈「少なくとも、改変の内容をランダムから任意操作出来るようにするまでは、絶対に外には出さない」

ミア「ああ、そうしてくれ。それでもしまた実験が必要な時には」

璃奈「うん、ミアさんに頼る。でも本当にいいの?」

ミア「何度でも言うが、ボクは璃奈の役に立ちたいんだ。だから、また声をかけてくれ」

ミア「それじゃ」ガララ

璃奈「またね」フリフリ
 
171: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:42:24.65 ID:soqHHhkY
ミア「で、なんでお前はまだいるんだ」

メガネ「言ったよね?アナタの相棒だって」

ミア「あのメガネの精霊だから装着者が相棒になるとも聞いてたんだが?」

メガネ「私もそうだと思ってたんだけど、どうやら違うみたい」テヘッ

ミア「じゃあお前は一体なんなんだ……」

メガネ「さあ……?」

ミア「ハァ……」

ミア「とにかく、着いてくるのはいいが作曲の邪魔はしないでくれよ?」


ミア「こう見えてもボクは、テイラー家の次女で天才作曲家、ミア・テイラーなんだからな」
 
 
172: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:45:31.73 ID:soqHHhkY
 

エピソード#04 「天王寺の発明品」──終わり

 
 
174: (しうまい) 2021/08/19(木) 04:58:30.35 ID:soqHHhkY
とりあえず考えてたエピソードはこれで終わりです
感想やら保守やらイラストやらありがとうございました
 
175: (しうまい) 2021/08/19(木) 05:01:51.61 ID:soqHHhkY
なんかのスレでミアと露伴の口調が似てるみたいなのを見て思い付いたんですけど
割とマッチしたみたいで良かったです

ちなみに個人的には6部読みながら書いた#2が一番それっぽくかけた気がしてお気に入りです
 
176: (しうまい) 2021/08/19(木) 05:06:29.62 ID:soqHHhkY
約1週間程度、お付き合いありがとうございました

最後に自己顕示欲も貼っておきます
侑「最近虹ヶ咲のSSが流行ってるなぁ」
https://itest.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1611924755/
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1628512415/

タイトルとURLをコピーしました