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1: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:00:00 ID:???00
セラス「そうだね。泉は知らないかもだけど、長野はこの時期、ものすごい勢いで雪が降ってくる」
泉「なるほど……膝が埋まるほど雪が積み重なったこの光景、まるで白銀だけで構成された異世界にでも放り込まれたようだ」フフッ
セラス「ある意味では、真っ白な戦場とも言える。雪かきに駆り出され汗をかく、非情な労働がこの地域の人達に課されるから」
泉「はは、いつものことながら、セラスは随分と大仰な言い方をするね」クスッ
セラス「まぁ、わたしは小さい頃、そんな人々の労働をこれまた白い病室の中から花ちゃんと一緒に見ていた側だけど、ね」フフッ
泉「……」ソワソワ
セラス「……泉?」
泉「あ、ああいや……何でもないよ、セラス。私も、雪かきに参加してこよう」スタッ
セラス「そう……いってらっしゃい、泉」
セラス「……」ジー
泉「なるほど……膝が埋まるほど雪が積み重なったこの光景、まるで白銀だけで構成された異世界にでも放り込まれたようだ」フフッ
セラス「ある意味では、真っ白な戦場とも言える。雪かきに駆り出され汗をかく、非情な労働がこの地域の人達に課されるから」
泉「はは、いつものことながら、セラスは随分と大仰な言い方をするね」クスッ
セラス「まぁ、わたしは小さい頃、そんな人々の労働をこれまた白い病室の中から花ちゃんと一緒に見ていた側だけど、ね」フフッ
泉「……」ソワソワ
セラス「……泉?」
泉「あ、ああいや……何でもないよ、セラス。私も、雪かきに参加してこよう」スタッ
セラス「そう……いってらっしゃい、泉」
セラス「……」ジー
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2: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:01:00 ID:???00
────
花帆「──わざわざありがとね、せっちゃん! 雪かきのお手伝い、蓮ノ空の方まで手伝ってもらっちゃって……」
セラス「ううん。わたし、花ちゃんのためなら、世界の果ても地獄も天国もあの世も、どんな場所でも行く覚悟があるから」グッ
吟子「……別に、色んな用事でちょうどこっちに来てたってだけでしょ。全く、いつも大袈裟なんだから……」
セラス「そんなこと言って、吟子だって、わたしに会えて嬉しいんだよね? 隠さなくていいんだよー吟子」ナデナデ
吟子「な、もう……! いっつも人の調子ばっか狂わせるんだから、この子は……」ハァ
花帆「──わざわざありがとね、せっちゃん! 雪かきのお手伝い、蓮ノ空の方まで手伝ってもらっちゃって……」
セラス「ううん。わたし、花ちゃんのためなら、世界の果ても地獄も天国もあの世も、どんな場所でも行く覚悟があるから」グッ
吟子「……別に、色んな用事でちょうどこっちに来てたってだけでしょ。全く、いつも大袈裟なんだから……」
セラス「そんなこと言って、吟子だって、わたしに会えて嬉しいんだよね? 隠さなくていいんだよー吟子」ナデナデ
吟子「な、もう……! いっつも人の調子ばっか狂わせるんだから、この子は……」ハァ
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3: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:02:03 ID:???00
泉「おや、セラスと吟子さんがもうこんなに仲良くなっているなんて。少し妬けちゃうな」クスッ
吟子「……そういえば、どうして泉さんまで蓮ノ空に? まさか、泉さんも何か……?」
セラス「ううん。泉は……無理を言って、わたしが連れてきたの」
花帆「……? せっちゃんが?」
セラス「……泉には、ちょっとしてほしいことがあったから。でも、今は内緒。差し当たりは、雪かきのための労働員かな」
泉「はは、手厳しいね。実は、セラスはずっと……私にさえ、その“してほしいこと”とやらの内容を教えてはくれないんだ」
吟子「へぇ……そうなんだ」
吟子「……そういえば、どうして泉さんまで蓮ノ空に? まさか、泉さんも何か……?」
セラス「ううん。泉は……無理を言って、わたしが連れてきたの」
花帆「……? せっちゃんが?」
セラス「……泉には、ちょっとしてほしいことがあったから。でも、今は内緒。差し当たりは、雪かきのための労働員かな」
泉「はは、手厳しいね。実は、セラスはずっと……私にさえ、その“してほしいこと”とやらの内容を教えてはくれないんだ」
吟子「へぇ……そうなんだ」
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4: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:03:01 ID:???00
セラス「まぁ、何はともあれ雪かきが最優先。でしょ、泉?」
泉「ああ。わたしは、セラスの夢の請負人。セラスが望むのなら、ぜひそうさせてもらうよ」クスッ
泉「……」ウズウズ
吟子「……?」
吟子(泉さん、雪を見てずっとソワソワしとる……すごい気合い入ってるのかな……?)
泉「ああ。わたしは、セラスの夢の請負人。セラスが望むのなら、ぜひそうさせてもらうよ」クスッ
泉「……」ウズウズ
吟子「……?」
吟子(泉さん、雪を見てずっとソワソワしとる……すごい気合い入ってるのかな……?)
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5: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:04:01 ID:???00
セラス「……ねぇ、花ちゃん。雪かきが早く終わったら、この場所で好きなことをしてもいいのかな?」
花帆「? 早く終わったら……? うん、そのときは、この蓮ノ空の敷地を使っても大丈夫だと思うよ!」
セラス「そっか…………それなら、頑張らなきゃ……」ボソッ
花帆「よぉーし! 雪かき頑張るぞー! おー!」グッ
花帆「? 早く終わったら……? うん、そのときは、この蓮ノ空の敷地を使っても大丈夫だと思うよ!」
セラス「そっか…………それなら、頑張らなきゃ……」ボソッ
花帆「よぉーし! 雪かき頑張るぞー! おー!」グッ
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6: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:05:02 ID:???00
────
──雪かき作業中…
吟子「ふぅ……この辺りは、もう結構片付いたんじゃない? 花帆先輩は、なぜか違う場所の方まで見に行ってるけど……」
セラス「花ちゃんはエネルギーの塊だから。そういえば吟子、雪かき、手慣れてるね」フフッ
吟子「まぁ……昔から、雪が積もるたびに周りのじいじばあばの雪かきを手伝ってたから……」
泉「もしや、こういった行事はこの辺では珍しいことでもないのかな? 雪かきに参加している生徒も、存外多くいるようだ」
吟子「そうだね。金沢に住むみんな、雪が積もるのには慣れてるし……蓮ノ空の生徒は、何かとイベントに飢えてるから」クスッ
泉「……おや。ふふ、吟子さんの言う通りのようだ」チラッ
吟子「……? あれ、あの姿は……」ジー
「あ~、吟子ちゃん、それに泉ちゃんもいる~!」
──雪かき作業中…
吟子「ふぅ……この辺りは、もう結構片付いたんじゃない? 花帆先輩は、なぜか違う場所の方まで見に行ってるけど……」
セラス「花ちゃんはエネルギーの塊だから。そういえば吟子、雪かき、手慣れてるね」フフッ
吟子「まぁ……昔から、雪が積もるたびに周りのじいじばあばの雪かきを手伝ってたから……」
泉「もしや、こういった行事はこの辺では珍しいことでもないのかな? 雪かきに参加している生徒も、存外多くいるようだ」
吟子「そうだね。金沢に住むみんな、雪が積もるのには慣れてるし……蓮ノ空の生徒は、何かとイベントに飢えてるから」クスッ
泉「……おや。ふふ、吟子さんの言う通りのようだ」チラッ
吟子「……? あれ、あの姿は……」ジー
「あ~、吟子ちゃん、それに泉ちゃんもいる~!」
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7: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:06:01 ID:???00
吟子「あ……姫芽! それに小鈴も……雪かき、参加しとったんやね」
姫芽「うんうん~。こんな大雪の日に、部屋にこもってるのもどうかと思って……小鈴ちゃんと一緒に、ね~」ニコッ
小鈴「徒町、こういう活動に参加するのも、チャレンジの一つになるかなって思ったから!」グッ
姫芽「でも、泉ちゃんも来てたんだね~。見つけたとき、びっくりしたよ~」ニコニコ
泉「ふふっ、どうやら驚かせてしまったようで申し訳ない。実は、セラスに連れられてね」クスッ
セラス「うん。わたしが連れてきました」ドヤッ
吟子「そこ胸張るとこなん……?」
姫芽「うんうん~。こんな大雪の日に、部屋にこもってるのもどうかと思って……小鈴ちゃんと一緒に、ね~」ニコッ
小鈴「徒町、こういう活動に参加するのも、チャレンジの一つになるかなって思ったから!」グッ
姫芽「でも、泉ちゃんも来てたんだね~。見つけたとき、びっくりしたよ~」ニコニコ
泉「ふふっ、どうやら驚かせてしまったようで申し訳ない。実は、セラスに連れられてね」クスッ
セラス「うん。わたしが連れてきました」ドヤッ
吟子「そこ胸張るとこなん……?」
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8: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:07:01 ID:???00
小鈴「あ、そうだ! 泉さん、雪かき大変じゃなかった? 北陸は雪が多いから、慣れてないと疲れちゃうんじゃ……」
泉「いや、心配には及ばないよ。これくらいでへこたれてしまうほど、私はやわではないさ」クスッ
泉「それにしても……先ほども吟子さんに聞いたが、石川という地域の人々は、随分と積雪に慣れているんだと深く感心するね」フフッ
姫芽「慣れてる……言われてみれば、そうかも~……? この雪景色は、北陸が誇る冬の名物とも言えるかもだし」ウンウン
吟子「この街に住んでたら、誰だって雪が日常的になるもんね。特別に意識することもなく、冬になれば雪と共に育つから」
泉「いや、心配には及ばないよ。これくらいでへこたれてしまうほど、私はやわではないさ」クスッ
泉「それにしても……先ほども吟子さんに聞いたが、石川という地域の人々は、随分と積雪に慣れているんだと深く感心するね」フフッ
姫芽「慣れてる……言われてみれば、そうかも~……? この雪景色は、北陸が誇る冬の名物とも言えるかもだし」ウンウン
吟子「この街に住んでたら、誰だって雪が日常的になるもんね。特別に意識することもなく、冬になれば雪と共に育つから」
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9: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:08:01 ID:???00
泉「そうか……雪が積もるのが、当たり前の光景なのか……」フム
泉「……」ソワソワ
吟子「……?」
吟子(さっきから泉さん、ずっと心ここに在らずって感じだけど……どうしたんだろう……?)
セラス「……」ジー
小鈴「とにかく、後少しで雪かきも終わりそうだし……徒町、改めて気合入れなきゃ! 頑張るぞー、ちぇすとーーー!!」グッ
姫芽「ちぇすと~♪」グッ
泉「……」ソワソワ
吟子「……?」
吟子(さっきから泉さん、ずっと心ここに在らずって感じだけど……どうしたんだろう……?)
セラス「……」ジー
小鈴「とにかく、後少しで雪かきも終わりそうだし……徒町、改めて気合入れなきゃ! 頑張るぞー、ちぇすとーーー!!」グッ
姫芽「ちぇすと~♪」グッ
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10: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:09:01 ID:???00
泉「……ふふ、蓮ノ空の子達は本当に、いつも生き生きとしているね。羨ましい限りだよ」クスッ
吟子「全くもう、寒いのにみんな元気なんだから……」フフッ
セラス「…………ねぇ吟子、ちょっといい?」コソッ
吟子「?」
セラス「わたしに少し──付き合って」ギュッ
吟子「……え?」
吟子「全くもう、寒いのにみんな元気なんだから……」フフッ
セラス「…………ねぇ吟子、ちょっといい?」コソッ
吟子「?」
セラス「わたしに少し──付き合って」ギュッ
吟子「……え?」
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11: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:10:01 ID:???00
────
スタスタ…
セラス「……ん。この辺りでいいかな」
吟子「ど、どうしたの突然。離れたところに、二人きりで連れ出して……」
セラス「二人きり……ふふ、吟子、変な想像でもしちゃった? 吟子ってば、そういうとこあるよね」クスッ
吟子「な、そ、そんなわけないでしょ……! もう、揶揄うために呼び出したんだったら、私……」
セラス「ううん、違うの。呼び出したのは……泉のこと、吟子に話したかったから」
吟子「……泉さんのこと?」
スタスタ…
セラス「……ん。この辺りでいいかな」
吟子「ど、どうしたの突然。離れたところに、二人きりで連れ出して……」
セラス「二人きり……ふふ、吟子、変な想像でもしちゃった? 吟子ってば、そういうとこあるよね」クスッ
吟子「な、そ、そんなわけないでしょ……! もう、揶揄うために呼び出したんだったら、私……」
セラス「ううん、違うの。呼び出したのは……泉のこと、吟子に話したかったから」
吟子「……泉さんのこと?」
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12: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:11:01 ID:???00
セラス「吟子も気づいてるんでしょ? 泉が、さっきからずっと上の空なこと」
吟子「それは、まぁ……珍しいな、と思ってはいたけど……」
セラス「あんな泉、滅多に見れるものじゃないから、よく見ておいた方がいいよ。半世紀に一回、見れるか見れないかだね」
吟子「何言うとるん……? えっと、あの泉さんの様子がなんなのか、見当はついてるの?」
セラス「それはもちろん。こんなにわかりやすい泉、他に見たことがないくらい」
吟子「そ、そんなに……? あの泉さんが、ここまで浮き足立ってる理由なんて全然、さっぱりわからないけど……」
セラス「ううん、それが答えだよ、吟子。泉はただ、本心から浮かれてるだけ。だって……」
セラス「泉は──ワンちゃんだから」
吟子「それは、まぁ……珍しいな、と思ってはいたけど……」
セラス「あんな泉、滅多に見れるものじゃないから、よく見ておいた方がいいよ。半世紀に一回、見れるか見れないかだね」
吟子「何言うとるん……? えっと、あの泉さんの様子がなんなのか、見当はついてるの?」
セラス「それはもちろん。こんなにわかりやすい泉、他に見たことがないくらい」
吟子「そ、そんなに……? あの泉さんが、ここまで浮き足立ってる理由なんて全然、さっぱりわからないけど……」
セラス「ううん、それが答えだよ、吟子。泉はただ、本心から浮かれてるだけ。だって……」
セラス「泉は──ワンちゃんだから」
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13: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:12:01 ID:???00
吟子「?? わ、ワンちゃん……?」
セラス「そう。わたしを守る忠犬であり、狂犬であり、雪に喜んで尻尾を振る、かわいいワンちゃんでもある」
吟子「雪に喜んで、って………………え」
吟子「ま、まさか、さっきから泉さんが雪を見てソワソワしてたのって……!」
セラス「そう。泉は、“雪遊び”がしたいんだよ」
セラス「そう。わたしを守る忠犬であり、狂犬であり、雪に喜んで尻尾を振る、かわいいワンちゃんでもある」
吟子「雪に喜んで、って………………え」
吟子「ま、まさか、さっきから泉さんが雪を見てソワソワしてたのって……!」
セラス「そう。泉は、“雪遊び”がしたいんだよ」
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14: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:13:02 ID:???00
吟子「な……あの桂城泉が、“雪遊び”……!? なんでそんな、雪なんてどこにでもあるんじゃ……」
セラス「ううん。東京の人からすると、雪が積もるって珍しいみたいだよ、吟子。そして、その雪で同年代の子と一緒に遊ぶのも」
セラス「長野や石川で育ったわたし達には、想像できないね。……まぁ、わたしも病院にいた頃は雪で遊ぶことはなかったけど」
吟子「雪が、珍しい……だからさっき、泉さん、北陸の雪について質問してたんだ……」
セラス「泉はずっと、長野で雪を見たときから、ワンちゃんだった。だから……わたし、泉の願いを叶えてあげたかったんだ」
セラス「泉に……みんなと、心から楽しみながら、雪で遊んで欲しかった」
セラス「ううん。東京の人からすると、雪が積もるって珍しいみたいだよ、吟子。そして、その雪で同年代の子と一緒に遊ぶのも」
セラス「長野や石川で育ったわたし達には、想像できないね。……まぁ、わたしも病院にいた頃は雪で遊ぶことはなかったけど」
吟子「雪が、珍しい……だからさっき、泉さん、北陸の雪について質問してたんだ……」
セラス「泉はずっと、長野で雪を見たときから、ワンちゃんだった。だから……わたし、泉の願いを叶えてあげたかったんだ」
セラス「泉に……みんなと、心から楽しみながら、雪で遊んで欲しかった」
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15: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:14:03 ID:???00
吟子「! そっか、泉さんを蓮ノ空まで連れてきたのはそういう……ちょうど金沢も、豪雪で雪が積もってたもんね……」
吟子「……あれ? でも、それならそうと、泉さんに早く伝えればいいんじゃないの? どうして、私を呼び出したりして……」
セラス「吟子、わかってないなぁ……わたし、すごくすごく、今世紀最大級にがっかりしたよ……」ハァ
吟子「そ、そこまで言われる筋合いは無くない……!? え、だって、お願いすれば、泉さんはなんだってすると思うし……」
セラス「……ううん。それじゃダメなの。確かに泉は……お姫様のわたしの願いを、わたしの夢を、決して否定せず遂行する。そういう契約をしたから」
セラス「でも、だからこそ……わたしから泉に直接、雪で遊んで、なんて言っても、泉はそれを果たすべき“義務”だと思っちゃう」
セラス「それだと……泉の、本心から浮かれた“雪遊び”は見せてもらえない。あくまで、契約の範囲内でしか無いからね」
吟子「えぇ…………な、難儀な人やね……花帆先輩くらい素直になればいいのに……」
吟子「……あれ? でも、それならそうと、泉さんに早く伝えればいいんじゃないの? どうして、私を呼び出したりして……」
セラス「吟子、わかってないなぁ……わたし、すごくすごく、今世紀最大級にがっかりしたよ……」ハァ
吟子「そ、そこまで言われる筋合いは無くない……!? え、だって、お願いすれば、泉さんはなんだってすると思うし……」
セラス「……ううん。それじゃダメなの。確かに泉は……お姫様のわたしの願いを、わたしの夢を、決して否定せず遂行する。そういう契約をしたから」
セラス「でも、だからこそ……わたしから泉に直接、雪で遊んで、なんて言っても、泉はそれを果たすべき“義務”だと思っちゃう」
セラス「それだと……泉の、本心から浮かれた“雪遊び”は見せてもらえない。あくまで、契約の範囲内でしか無いからね」
吟子「えぇ…………な、難儀な人やね……花帆先輩くらい素直になればいいのに……」
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16: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:15:01 ID:???00
セラス「……わたしは、泉にいろんなものをもらった。だから、わたしも泉に、それ以上のものを返したい」
吟子「だから……私に声をかけた、ってこと?」
セラス「うん、そういうこと。吟子に……泉のこと、お願いしたいの。どう、かな?」
吟子「…………私、は──」
吟子「だから……私に声をかけた、ってこと?」
セラス「うん、そういうこと。吟子に……泉のこと、お願いしたいの。どう、かな?」
吟子「…………私、は──」
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17: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:16:00 ID:???00
────
姫芽「──よいしょ、っと~。これで、一段落したのかな~?」
小鈴「そうだね! これでもう、雪かきも終了みたい!」グッ
泉「やれやれ、どうやら私の任務もこれでおしまいのようだ。雪かきをするのが、今回のセラスの願いだったはずだからね……」
泉「……」ウズウズ
吟子「……」ジー
姫芽「──よいしょ、っと~。これで、一段落したのかな~?」
小鈴「そうだね! これでもう、雪かきも終了みたい!」グッ
泉「やれやれ、どうやら私の任務もこれでおしまいのようだ。雪かきをするのが、今回のセラスの願いだったはずだからね……」
泉「……」ウズウズ
吟子「……」ジー
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18: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:17:01 ID:???00
吟子「はぁ…………仕方ない」ボソッ
吟子「……ねぇ、みんな。少しいい?」
姫芽「? 吟子ちゃん、どうしたの~?」
吟子「その……実は私、やりたいことがあるんだけど……」
吟子「みんなと──雪で遊びたいな、って」
吟子「……ねぇ、みんな。少しいい?」
姫芽「? 吟子ちゃん、どうしたの~?」
吟子「その……実は私、やりたいことがあるんだけど……」
吟子「みんなと──雪で遊びたいな、って」
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19: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:18:02 ID:???00
泉「……!」
吟子「せっかく、瑞河から二人も来てくれとるし……雪だるまを作ったり、雪合戦したり、そんな風に遊びたいなと思って……」
小鈴「わぁ……!! それ、すっごくいいと思う! 徒町、みんなと一緒に遊んで、冬の思い出作りチャレンジしたい!」
姫芽「アタシも賛成~。頑張って綺麗に整地した分、この辺りはそういう遊びだってしやすくなってるし」ウンウン
吟子「よかった。……泉さんは、どう?」チラッ
泉「! ……ああ、もちろん参加させてもらうよ」ニコッ
吟子「せっかく、瑞河から二人も来てくれとるし……雪だるまを作ったり、雪合戦したり、そんな風に遊びたいなと思って……」
小鈴「わぁ……!! それ、すっごくいいと思う! 徒町、みんなと一緒に遊んで、冬の思い出作りチャレンジしたい!」
姫芽「アタシも賛成~。頑張って綺麗に整地した分、この辺りはそういう遊びだってしやすくなってるし」ウンウン
吟子「よかった。……泉さんは、どう?」チラッ
泉「! ……ああ、もちろん参加させてもらうよ」ニコッ
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21: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:19:03 ID:???00
姫芽「ふっふっふ~……アタシ、遊びだろうと、勝負事には手を抜けないからにゃぁ~……? 泉ちゃんのこと、ボコボコにしちゃうかもよ~?」ニヤニヤ
泉「はは、受けて立とうじゃないか。私も、本気を出させてもらおう」クスッ
小鈴「二人ともやる気だ……! よーし、徒町も、雪合戦チャレンジ頑張るぞー!」グッ
ワイワイ ガヤガヤ…
吟子「…………上手くいった、かな……」ボソッ
セラス「……吟子」コソッ
吟子「!」
セラス「……ありがとね。わたしの泉のために」ニコッ
泉「はは、受けて立とうじゃないか。私も、本気を出させてもらおう」クスッ
小鈴「二人ともやる気だ……! よーし、徒町も、雪合戦チャレンジ頑張るぞー!」グッ
ワイワイ ガヤガヤ…
吟子「…………上手くいった、かな……」ボソッ
セラス「……吟子」コソッ
吟子「!」
セラス「……ありがとね。わたしの泉のために」ニコッ
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22: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:20:00 ID:???00
吟子「あ……べ、別に泉さんのためだけに言ったわけじゃなくて、私がやりたかっただけやし……そこんとこ、勘違いせんといて!」ビシッ
セラス「ふふ……吟子、照れ屋さんなんだ。かわいいね、吟子。よしよし」ナデナデ
吟子「……あぁもう! 私、先輩なんだよ!?」
セラス「でも、吟子は花ちゃんの後輩だから。わたしにとっては、やっぱり吟子は吟子だよ」フフッ
吟子「な、なんでそうなるん……!?」
セラス「ふふ……吟子、照れ屋さんなんだ。かわいいね、吟子。よしよし」ナデナデ
吟子「……あぁもう! 私、先輩なんだよ!?」
セラス「でも、吟子は花ちゃんの後輩だから。わたしにとっては、やっぱり吟子は吟子だよ」フフッ
吟子「な、なんでそうなるん……!?」
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23: ◆MmsE0LOl★ 2025/02/13(木) 20:21:01 ID:???00
泉「──セラス! あなたもこちらへ来てはどうかな? 雪合戦で蓮ノ空に対抗するべく、戦力が必要でね……」ウキウキ
セラス「ふふっ、泉が尻尾を振ってる……はぁい、わたしも今、泉のとこに行くからー!」
セラス「吟子も、早くおいで。わたしのこと、追いかけてみなよ」クスッ
吟子「な……全く、もう……」ハァ
ワーワー キャーキャー…
吟子「……こういう金沢の冬も、ありなのかもね」クスッ
おしまい
セラス「ふふっ、泉が尻尾を振ってる……はぁい、わたしも今、泉のとこに行くからー!」
セラス「吟子も、早くおいで。わたしのこと、追いかけてみなよ」クスッ
吟子「な……全く、もう……」ハァ
ワーワー キャーキャー…
吟子「……こういう金沢の冬も、ありなのかもね」クスッ
おしまい
引用元: https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11224/1739444400/