【SS】彼方「今日はあんまり眠くないなぁ… そうだ」【ラブライブ!虹ヶ咲】

かなた (3) SS


1: 2019/06/02(日) 01:21:44.45 ID:Tulw0hC0
彼方ちゃんがみんなにイタズラをしかけるお話

※ちょっとだけ字の文があります

2: 2019/06/02(日) 01:23:33.68 ID:Tulw0hC0
ガチャ

歩夢「こんにちはー …あ、」

彼方「ぐぅ…」

歩夢「ふふ…」ニコー

歩夢「…ん? 置き手紙、かな?」ピラ

『お疲れの彼方ちゃんはふかーいお休み中なのです。
 イタズラしたらダメだぞ 彼方』

歩夢「……」フムフム

彼方(…ふふふ、実は起きとりますよー 彼方ちゃんは狸寝入りもプロなのだ)

彼方(イタズラしないで、と言われたら逆にイタズラしたくなるのが心情というもの そこで…)

彼方(彼方ちゃんに何かしようとした瞬間にがばっとしてやれば、逆ドッキリの大成功だよー…!)

3: 2019/06/02(日) 01:26:24.13 ID:Tulw0hC0
彼方「んふふ…」

歩夢「笑ってる…? よかったぁ…」ホッ

彼方(…?)

歩夢「お疲れ、なんて書いてあるから心配したよ 彼方さん、早く元気になってくださいね」

彼方(おぉ… 歩夢ちゃんはイタズラなんてしないか、そりゃそうか…優しさのかたまりみたいな歩夢ちゃんだもんね)

歩夢「…♡」ナデナデ

彼方(それきもちーぞー、歩夢ちゃん… ありがとうだよ…)

歩夢「…せ、先輩にこんなことしていいのかな///」ナデナデ

彼方(ちょっと、騙してるみたいで罪悪感… お、起きちゃうか? いやでもお互い恥ずかしいよね…)

彼方「う、うーん…///」

4: 2019/06/02(日) 01:28:56.85 ID:Tulw0hC0
歩夢「あわゎ…! 今度は難しい顔になっちゃった! どうしよう、私が変なことしたから…!」

彼方(ああごめん違うよぉ! 違うんだよ歩夢ちゃん…! いやあながち間違ってもないか…?)

歩夢「えっと、安心させるには…でも、頭撫でるのはさっき…」ブツブツ

彼方(よ、よしもう起きよう! もともとびっくりさせるだけのつもりだったんだし…悲しませるのはよくないよね)

歩夢「じゃ、じゃあもうアレくらいしか…/// うう…えーいっ」ギュッ

彼方「んん…!?」

彼方(手を握られちゃった…? こ、これで今起きるのは…!)

歩夢「か、彼方さん…!///」ス

5: 2019/06/02(日) 01:32:54.27 ID:Tulw0hC0
優しく、でもしっかりと握られた手。暖かく柔らかい手。

歩夢ちゃんの息遣いが聴こえてきて、さっきよりぐっと近づいて来ているとわかった。

すっ、と前髪を掻き上げられる感覚。次に訪れたのは──

ちゅっ♡

──額に、柔らかな感触。小さい頃、たしかお母さんにされたことがあるような…って、これ…

き、キス!?

思い至った途端に、おでこから顔中に熱が広がってくる。ごくりと唾を飲み込んだ。熱い。

「えっと、彼方さん! 私なんかじゃ力になれるかわからないけど、いつでも頼ってくれていいですからね…!」

優しい、優しい言葉。暖かいてのひら。あぁ、歩夢ちゃん…

7: 2019/06/02(日) 01:37:38.18 ID:Tulw0hC0
彼方「ふふ… ありがとう、だよ…///」モニョモニョ

歩夢「っ!!!/// 彼方さん起きて…!? なかった…よかった…///」ホッ

彼方「すー…すー…」

歩夢「い、勢いですごいことしちゃったな…/// これ以上二人きりでいるのはよくないかも…」ドキドキ

彼方(…行っちゃうのかな)

歩夢「か、彼方さんっ また明日…おやすみなさい」ナデ

彼方「……」

パタパタ...

8: 2019/06/02(日) 01:41:33.71 ID:Tulw0hC0
彼方「……」チラ

シーン

彼方「…ど、」

彼方「どきどきした~…!/// 歩夢ちゃん、恐るべし…!」ハァ

彼方(それに、おでこ…)ソッ

ちゅっ♡

彼方「~っ!/// こ、こんなの…!」

彼方(余計に眠れなくなっちゃうよぉ…!)

歩夢ちゃん:ドッキリ失敗!

11: 2019/06/02(日) 01:51:29.02 ID:Tulw0hC0
彼方(歩夢ちゃんへのドッキリは失敗だった… 歩夢ちゃん…)

彼方「……///」カァ

彼方(ええい、今は忘れるのだ…/// 何せ次は本命も本命…)

ガチャ

彼方(来たね…!)

かすみ「お疲れさまでぇーすっ! みんなのかすみんが来ましたよ~?」キュピン

彼方(The・イタズラっ子のかすみちゃん!)

12: 2019/06/02(日) 01:58:12.35 ID:Tulw0hC0
シーン

かすみ「……」

彼方「すやぁ…」

かすみ「……」プルプル

かすみ「反応がなーいっ! もうっ、彼方先輩起きてくださいよ!」ユサユサ

彼方「んんん…」

彼方(かすみちゃんはいつでも全力だなぁ… 乱暴に揺らさないで~…)

かすみ「最強に可愛いかすみんが──って、あれ? 書き置き…?」ピタ

彼方(よしよし、メモに気付いたみたいだね…)

13: 2019/06/02(日) 02:03:21.98 ID:Tulw0hC0
かすみ「えっと…『お疲れの──」ジー

『お疲れの彼方ちゃんはふかーいお休み中なのです。
 イタズラしたらダメだぞ 彼方』

彼方(さてさて…かすみちゃんはリアクションいいから、ちょっと楽しみになってきたよ~…!)

かすみ「…げ」ボソ

彼方(さぁ来い…! いつでも来い…!)

かすみ「…、う~…!」

彼方(わくわく…! イタズラしたくなったでしょ? さぁさぁ…!)

彼方「すや…! すや…!!」フーッフーッ

かすみ「な、なんか彼方先輩興奮してる…?」

14: 2019/06/02(日) 02:08:56.90 ID:Tulw0hC0
彼方(おっと、いけないいけない…平常心平常心…)

かすみ「あ、あれ? 気のせい…?」

彼方「ぐぅ…」

かすみ「…まぁ、いっか」

彼方(ほ… 近江彼方、睡眠とは安心と心得たり… さて)チラ

かすみ「……」ウロウロ

彼方(メモを見てから、そわそわしているかすみちゃん… イタズラしたくてうずうず、ってところかな…?)

かすみ「…よ、よし! 彼方先輩が隙だらけなのが悪いんです…」ブツブツ

彼方(近付いてきた! さあどうくる…?)

15: 2019/06/02(日) 02:12:37.77 ID:Tulw0hC0
わき腹や膝をくすぐる、頭皮マッサージ、顔に落書き、ヘアアレンジ…寝ている人にするイタズラといったらこれくらい?

いや、かすみちゃんならもっと別のなにかをやってくるかな?

…と、思ってたんだけどな。

与えられたのは、ぎこちない手つきで頭を撫でる感触だけ。

ちょっと彼方ちゃん、びっくりしちゃったよ。

「な、なるほど… みんなしてかすみんのことを撫でるのはなぜなのか、ちょっとわかりました」

なで、なで。

「可愛くて守りたいって思うと、なでなでしたくなる…なるほど…」

……。

…まさか、かすみちゃんにまでドキドキさせられるとはね。

そんな風に言ってもらえて、照れちゃうな。嬉しいよ、かすみちゃん。

「…あ、あと、寝てるのにいっぱい揺さぶって、ご、ごめんなさい…」

撫でる手を止めないままに、謝ってまでくれちゃった。もう少し、このままでもいいけど──

16: 2019/06/02(日) 02:18:10.90 ID:Tulw0hC0
彼方「…許さないぞぉ~!」ガバッ

かすみ「ひぃい!?」ドテッ

彼方「えへへ、なーんてね…」

かすみ「…! …◯×%△!?」パクパク

彼方「むふふ…メモのとおり、イタズラしなかったこと、誉めてしんぜよう」

かすみ「ちょ、ちょっと彼方先輩…!? いつから起きて…ていうかなんか近いんですけど──」

彼方「でも…やっぱりかすみちゃんは、こっち」ポン

かすみ「へ」

ナデナデ

彼方「撫でるより…撫でられる方が似合ってるよ? …可愛くて、守りたいって思うからさ」ニコ

かすみ「~っ!/// か、」

\からかわないでくださぁーい!/

かすみちゃん:ドッキリ大成功!

17: 2019/06/02(日) 02:32:03.76 ID:Tulw0hC0
彼方「うーん…もう少しかすみちゃんを愛でていたかったけど…」

かすみ『にゃあああああ!///』ピュー

彼方「あんな勢いで逃げられちゃったらねぇ…」

彼方(照れ隠しでやり過ぎちゃった、かな…?)

彼方「さ、切り替えよ 次は誰が…! ふわぁ~…」

彼方「んん…」ゴシゴシ

彼方「ほんとに寝ちゃわないようにしなきゃ…」

彼方「よーし…彼方ちゃん、頑張るぞ~」オー

18: 2019/06/02(日) 02:36:38.16 ID:Tulw0hC0
しずく「失礼します …って、彼方さんまた寝てるんですか…」

彼方(次はしずくちゃんか… イタズラはしなさそうだけど、どうだろ…?)

しずく「ほら、机に突っ伏して寝てると、顔に跡がついちゃいますよー? 彼方さーん?」トントン

彼方「…うーん」モゾモゾ

しずく「全くもう… あれ? これは…」ペラ

彼方(お、メモを発見したな? さてさて、ここからどうなることやら…)

しずく「…なるほど」

19: 2019/06/02(日) 02:42:07.95 ID:Tulw0hC0
しずく「お疲れなら尚更、ここじゃなくて保健室で休んでくださいね? 枕も布団も持ち込んでるの、知ってるんですから」ツンツン

彼方(お小言を言いつつも、さっきより刺激を減らしてくれてるのが可愛いね… おかげでちょっとくすぐったいけど…)

しずく「うーん、いつもより深く眠ってるなら、大丈夫かな…?」

しずく「すみません彼方さん、演劇部の方の練習をするので、少しうるさくなると思います」ペコ

彼方「むにゃ…?」

しずく「ふふ、お返事ありがとうございます …でも、ここで寝る彼方さんも彼方さんなので、これ以上は遠慮しませんよ では」

彼方(しずくちゃん、演劇もスクールアイドルも本気だからなぁ…)

しずく「さて…」ペラ

彼方(彼方ちゃんが二の次なのは寂しいけど…その代わり、特等席で聴かせてもらおうかな)

20: 2019/06/02(日) 02:42:09.00 ID:Tulw0hC0
しずく「お疲れなら尚更、ここじゃなくて保健室で休んでくださいね? 枕も布団も持ち込んでるの、知ってるんですから」ツンツン

彼方(お小言を言いつつも、さっきより刺激を減らしてくれてるのが可愛いね… おかげでちょっとくすぐったいけど…)

しずく「うーん、いつもより深く眠ってるなら、大丈夫かな…?」

しずく「すみません彼方さん、演劇部の方の練習をするので、少しうるさくなると思います」ペコ

彼方「むにゃ…?」

しずく「ふふ、お返事ありがとうございます …でも、ここで寝る彼方さんも彼方さんなので、これ以上は遠慮しませんよ では」

彼方(しずくちゃん、演劇もスクールアイドルも本気だからなぁ…)

しずく「さて…」ペラ

彼方(彼方ちゃんが二の次なのは寂しいけど…その代わり、特等席で聴かせてもらおうかな)

21: 2019/06/02(日) 02:47:47.61 ID:Tulw0hC0
そこからは、しずくちゃんの一人舞台。さすがの演技力で、声だけでしずくちゃんがどんな表情なのか、どんな動きをしているのかが伝わってくる。

また遥ちゃん誘って、演劇を観にいこうかな。…おっと、だったらネタバレには、注意しなきゃだね。

そう思って、少しの間、本当にすやぴさせていただきました。おやすみぃ…

─────
───


気配。
しずくちゃんが、かなり近距離にいるのを感じる。

どのくらい寝ちゃってたのかな、なんて考えていると

「う~ん、ダメです…ここは、イメージでやるのには限界がありますね… 彼方さん、少しだけエキストラをお願いします」

その言葉とともに、髪をひとすくい、優しく触られる。…何をするのかな?

「お嬢様… 貴女の想いに応えられないことに謝罪を そして重ねて、どうかご無礼をお許しください」

いつもより少し低めの、凛とした声。それきり静かになったしずくちゃんが気になって、薄目で確認したら、そこには。

騎士のような片膝立ての姿勢で、髪に口付けるしずくちゃん。

…様になっているなぁ、なんていうのは照れ隠し。…かっこよくて、どきっとしちゃったよ。もう、恥ずかしいなぁ。

だから、仕返し。素直じゃないお嬢様で、ごめんね?

22: 2019/06/02(日) 02:55:02.73 ID:Tulw0hC0
彼方「…騎士さまの意気地無し 唇には、キスしていただけないのですか…?」

しずく「いえお嬢様、そのようなことは…! 私は──って、えぇ!?」バッ

彼方「おはようございまーす」

しずく「あ、おはようございます… じゃなくって! おおお起きてたんですか彼方さん!?/// い、一体いつから!?」ワタワタ

彼方「ふわぁ… それがロマンチックなことに、しずくちゃんがちょうどキスしてくれたときなんだよねぇ」

しずく「ご、誤解を招きそうな言い方はやめてください!/// き、キスといっても髪で、演技で…!」

彼方「そっか、演技なのか… しずくちゃんは彼方ちゃんなんてどうでもいいから、キスの練習台にしちゃうんだね…」シュン

しずく「そ、そんなわけありませんよ! 演技とはいえ、好きな人でないとこんなこと…! あ」

彼方「へぇ… 彼方ちゃんのこと、好きなんだ?」

しずく「ぅ…!///」カァァ

24: 2019/06/02(日) 03:00:14.86 ID:Tulw0hC0
彼方「嬉しい、ありがとう じゃあいっそ──「お、おおお先に失礼しますね!?/// それでは!」

バタン

彼方「…本当にしてみる? なんて、ね」

彼方「……」

彼方「はあぁ…///」

彼方(顔赤いの、バレてなかった、よね…?///)

彼方「もう、みんなして… 彼方ちゃんのドッキリなんだから、こっちがドキドキする必要はないんだよ…!///」

彼方「ふぅ… 劇では、お嬢様と騎士は、どうなるのかなぁ?」

彼方「…ふふ///」

彼方(さっそく、遥ちゃんを誘ってみようかな…)スッ

しずくちゃん:ドッキリ大成功!

45: 2019/06/02(日) 20:48:37.25 ID:Tulw0hC0
彼方「『月末の演劇、観にいこうよ』…っと、送信」

彼方「んん…!」ノビー

彼方「ちょっとだけどさっき眠ったのもあって、ますます目が冴えてるねぇ…」

彼方(…あと、ドキドキさせられたのもそうかな)

彼方「なんだか、そっちの方も楽しみに…! い、いやいや、違う違う…!///」

彼方「これはあくまで彼方ちゃんのドッキリなんだから…」ブツブツ

<タリナイワ~♪

彼方「…うん? 誰か歌いながら来てる…? よーし、寝る体勢になろう…」

47: 2019/06/02(日) 20:51:07.80 ID:Tulw0hC0
<フライ...フライ...コーメィ...

彼方「…?」

ガチャ

果林「…時を舞うstarlight♪」バーン

彼方「んふっ! げほっげほっ…」

彼方(タイミング調整とか…果林ちゃんそういうのいいからほんと…!)フルフル

果林「あら!? だ、誰かいたの!?/// …って、」

彼方「す、すやぁ…」

果林「彼方か、それも寝てるのね…よかったわバレなくて…///」ホッ

彼方(…もう起きちゃおうかな)

48: 2019/06/02(日) 20:54:16.27 ID:Tulw0hC0
彼方(最近の果林ちゃんはこう…なんというか、ポンコツ?な感じを見せるようになったよねぇ)

果林「えーっと確かこっちの棚に…」

彼方(エマちゃんが言うには、あれが素の部分で、わたしたちの前ではかなり油断してきてるんじゃないかなぁ、だとか)

果林「きゃっ!?」

彼方(そのくらいに心を許してくれた、なんて思っちゃってもいいのかな? …なんだかむず痒いけど)

果林「いったた… 崩れるなら先に言って頂戴? もう…」

彼方「んん…」

果林「あ、っと… 静かにしなくちゃね」

彼方(ひとり暮らしだと独り言が増えるって本当なのかな、騒がしい…)

49: 2019/06/02(日) 20:57:33.04 ID:Tulw0hC0
果林「…あった! これでよし、と …それにしても」ツカツカ

果林「彼方が机に突っ伏して寝るとはね… あら?」

『お疲れの彼方ちゃんはふかーいお休み中なのです。
 イタズラしたらダメだぞ 彼方』

果林「……」ピラ

『裏面に気付いたあなたはスーパーラッキー たぶんいいことあるよ~』

果林「…ふふっ、なにこれ」クス

彼方(おやぁ? これは裏面を見たかな? やりそうなのはせつ菜ちゃんくらいかと思ってたけど、果林ちゃんやるねぇ…)

果林「いいこと、ね… ふふ、元気づけてもらったし、ちょっとお返ししちゃおうかしら?」

彼方(近付いてきた…! 果林ちゃんもなんだかんだでイタズラ好きなところがあるから、そこを狙って──「彼方、」

果林「ちょっと触るわよ」

彼方「…へ?」

50: 2019/06/02(日) 21:00:58.87 ID:Tulw0hC0
セクシー担当の果林ちゃんが言っただけに、不安になる…そう、とても不安になる言葉のあと。果林ちゃんは──

彼方ちゃんの胸と、太ももに手を伸ばしてきた。彼方ちゃんパニック。貞操の危機。

左手は、胸から脇の下へ。右手は、太ももから膝裏へとそれぞれスライド。

果林ちゃんに抱え込まれてるみたい…逃げられない…!と思った瞬間

「よっ」

浮遊感。これは──
 
「って…ちょっと軽すぎない?」

お、お姫様抱っこというやつでは…?

困惑、恐怖、羞恥、それからほんの少し、嬉しさ?
いろいろな感情がごちゃ混ぜになって身動きできないこっちをよそに、ずんずん歩く果林ちゃん。

少し薄目で見てみたら、真剣な、でも優しい果林ちゃんの顔が思ったよりも近くにあって。
ああやっぱり美人さんだな、なんて見惚れていたら

「…あ、流石に起こしちゃった? ごめんなさいね、彼方」

目があってしまった。えっと、おはようございます。というか、この体勢で見つめ合うの、なんだか…

…恥ずかしい、よ。果林ちゃん。

51: 2019/06/02(日) 21:04:22.16 ID:Tulw0hC0
彼方「う、うん…/// えっと、これは…?」

果林「そうね、もう少しだったんだけど…降ろすわよ?」

彼方「もう少し…?」ポフ

彼方「あ、これ…」フカフカ

果林「そう 今日は珍しく書き置きまでして寝てるから、じゃあソファで寝かせてあげようかなって」

彼方(…優しい、なぁ)

果林「それで運んでたんだけど… まぁ、あんなに動かしたら起こしちゃうわよね」クス

彼方「果林ちゃん…」

果林「次はもう少し慎重にやるから、期待してて?」ウィンク

彼方(いたずらっぽく笑う果林ちゃん あの、ポンコツとか、騙そうとしたりとか色々──)

彼方「すみませんでした…」

果林「えぇ!? ど、どうしたのよ彼方!?」

果林ちゃん:ドッキリ失敗!

52: 2019/06/02(日) 21:09:45.76 ID:Tulw0hC0
果林「…じゃ、私はそろそろ行くから おやすみ彼方、また明日」

彼方「うん、バイバイ果林ちゃん」フリフリ

バタン

彼方「……」フリフリ

彼方「はぁ… もうやめよかな、このドッキリ…」

彼方(よく考えたら同好会のみんなっていい子ばっかりだし…)

彼方(というより、一番のいたずらっ子は彼方ちゃんなのでは…?)

彼方「いや、かすみちゃんがいるからそれはないかぁ… お」ピロン

彼方「ふむふむ、遥ちゃん演劇いけるのか、よしよーし…」

ガチャ

愛「あいむかみーんぐ! 愛だけに!」ババーン

54: 2019/06/02(日) 21:13:35.06 ID:Tulw0hC0
彼方「すやぁ…」クテン

愛「…およ? カナちゃんだけ? それもおやすみ中か~」

彼方(つ、つい寝たフリしちゃった… まぁ愛ちゃんなら元気に起こしてくれるよね)

愛「ソファで寝ているカナちゃんは…」ツンツン

彼方(ほっぺたならせめてつねらないと彼方ちゃん起きないぞぉ… いや、やっぱり痛くしないで欲しいかな…)プニプニ

愛「…ん! 今は夢の中、愛さんとの距離はso far…なんつって! あっはっは」ケラケラ

彼方「……」

愛「さーてと、こないだのライブの…ってこれは」カサ

彼方(ダジャレ考えてたのか… どっちかっていうとポエムみたいだったけど)

愛「…ほーん、なるほどー こんな置き手紙があったら、起きて神さま!なんて言えないね! むふふふ…なんつってー…」クツクツ

彼方(愛ちゃんって一人でも楽しそうですごいなぁ… ダジャレはまぁ、うん…)

彼方(うん…)

57: 2019/06/02(日) 21:17:00.47 ID:Tulw0hC0
彼方「…あ」

愛「?? カナちゃん?」クル

彼方「す、すやぴ…」

愛「なーんだ寝言か…んんん! お疲れじゃなかったら起きてもらってお話ししたいのに~!」

彼方(誤魔化せてよかった…愛ちゃん鋭いなぁ)

彼方(そう、メモ…あのあとソファで果林ちゃんと普通におしゃべりしてて、回収忘れてた…)

愛「でもこれ、イタズラするなって言われると、逆にうずうずしてくるな… どうしよっかな…起きなそうなやつ…」

彼方(お、愛ちゃんがついに理想的なハマり方を… よしよし、じゃあこのまま隙を見てガバッといこう…!)

愛「…! よし、それじゃ──」

58: 2019/06/02(日) 21:20:17.48 ID:Tulw0hC0
言葉を切った愛ちゃん。聴こえてくるのは、どこか楽しげな足音と鼻歌。

ソファのすぐそばで立ち止まる。見下ろされているような感覚。と言っても、もともと愛ちゃんの方が背は高いんだけど。

「カナちゃん…」

……。な、なんだか熱っぽい呼び方だな。

少しどきっとしている間に、ずむ、と頭の横が沈む。どうやらそこに手をついたらしい愛ちゃんが、ぐっとこっちに近づく。

香水…じゃないな、うーん、制汗剤? 爽やかな香りが、スポーティな愛ちゃんらしいかも。

「んっ…」

──そう思った瞬間。首筋に感触。柔らかく触れるこれは…?

…いや、匂いが変わってる! さっきと違う、フローラルなシャンプーの匂い!

思考が加速する。きっと、というか確実に、首に、キス、をされている…!

うあぁ、今日こんなのばっかりだよぉ…!

驚き、恥ずかしさ。彼方ちゃんがパニックになっていると、予想もしない第二波。

ちゅううぅ…。

!? す、吸われっ…!?

「ぷはっ… 虫刺されには注意だぞ? チュウ、だけに♡」

……。

60: 2019/06/02(日) 21:23:45.42 ID:Tulw0hC0
愛「…なんつって! あーっはっは!」

彼方(この、この…っ! そんなダジャレのために、彼方ちゃんにき、キスマークを…!?///)プルプル

愛「でも、初めてだったからかな、うまくいってないなー あんまり目立たないや…」サワ

彼方「っ!」ピク

愛「おっと、危ない危ない… 触ったらそりゃまぁくすぐったいよね…」

彼方(お、おそろしやギャル…! 愛ちゃんってとんでもないな…!)

愛「うーん、まぁ起きないならしょうがないかな… よし! 練習やりますか!」

ガチャ

パタン

彼方「……」チラ

彼方「あ、愛ちゃんもすごいこと考えるなぁ…///」

62: 2019/06/02(日) 21:27:32.03 ID:Tulw0hC0
彼方(今までみんなの前で無防備に寝てたけど、ちょっと考え直した方がいいかも…?)

彼方「……」

彼方「ま、まぁ別にみんななら嫌って訳じゃないし、うん…!/// 今回はあのメモのせいでちょっと特殊なケースだし…!///」

彼方(って、必死に否定するのも変か… あ、そうだ)

彼方「愛ちゃんはあんまりうまくできなかった、って言ってたけど、どんな感じなんだろ…? ちょっと手鏡で…」ゴソ

彼方「えーと、…? ~っ!」

彼方(ば、バッチリ出来てるよぉ…! もー…///)

愛ちゃん:ドッキリ失敗!

63: 2019/06/02(日) 21:33:45.35 ID:Tulw0hC0
彼方「愛ちゃん、なんでもできるコだとは思ってたけど… 何もこういうことまで上手じゃなくても…」サワ

彼方「落ち着いてみると…虫刺されに見えなくもない、かな? それよりいつまで残るんだろう…遥ちゃんに何か言われないかなぁ…」

彼方(とりあえず、ちょっと首もとを正して目立たなくして…)イソイソ

せつ菜「お疲れ様です! って…」ガチャ

彼方「すやぴ…」

せつ菜「あっ、す、すみません彼方さん! これは静かにしないといけませんね…」

彼方(ま、また寝たフリしちゃったなぁ… まぁいっか、メモもまだそのままになってるし…こうなったら予定通り全員に仕掛けよう)

せつ菜「しー…ですね…」コソコソ

彼方(かわいいー)

64: 2019/06/02(日) 21:37:20.89 ID:Tulw0hC0
せつ菜「?」ペラ

せつ菜「…!」クルン

『裏面に気付いたあなたはスーパーラッキー たぶんいいことあるよ~』

せつ菜「ふーむ…とりあえず、」

彼方「…?」

彼方(こっちに来た…?)

せつ菜「彼方さん、そんなに難しいカオはしないでください」ナデナデ

彼方(う、リラックスが足りなかったか… 気持ちいいけど、またもや先手を打たれてしまったなぁ)

せつ菜「私も、みなさんも、もちろんファンの方だって! リラックスしている彼方さんの寝顔が大好きなんですから!」グッ

彼方(…まっすぐにこういうことを言えちゃうせつ菜ちゃんは、やっぱりすごいなぁ)

65: 2019/06/02(日) 21:41:29.75 ID:Tulw0hC0
彼方「…んん///」モゾ

せつ菜「えへへ…」ナデナデ

せつ菜「…って、しまった! 静かにしないといけないんでした…! すみません…」

彼方(こうやって突っ走り過ぎちゃうところも、せつ菜ちゃんらしいねぇ…)

せつ菜「それにしても…」

彼方(…そうだ 次にせつ菜ちゃんのテンションが上がったとき、それよりもおっきな声でおはよう!って飛び起きてみようかな)
 
せつ菜「……」

彼方(むふふ、きっとびっくりするぞぉ…? さあ、いつでも盛り上がっていいよー)

せつ菜「うん、やっぱり何か…」

彼方「…?」

せつ菜「何か違和感があるんですよね…怪しい、というか…」ウーン

せつ菜「ひょっとして彼方さん、起きているのでは…?」

彼方「!?」ドキ

66: 2019/06/02(日) 21:44:53.84 ID:Tulw0hC0
なんですとぉ…! 今のところまだ誰にもバレてないのに…なぜ…!?

「ふむ… 起きるつもりがないのなら…この名探偵、優木せつ菜の推理ショーといきましょうか!」

お、おぉ…。
テンション上がったら起きる、と思ってたけど流石に今は、ね。やめたげよっか。

「書き置き… 彼方さんは『起こして』という書き置きはしても『起こさないで』としているのは見たことがありません」

…そ、そうだったっけ?

「それに、裏面を書く暇があればすぐ寝てしまうでしょう ということで裏面のメッセージも不自然です」

あ、やっぱりせつ菜ちゃんも裏面に気づいたんだね。
言われてみると、眠かったらすぐ寝ちゃうかも。

「そして、彼方さんが睡眠を妨げられたくないのなら、書き置きに頼るのではなく、そもそも場所を変えるはずではないでしょうか」

た、確かに…。
彼方ちゃん、まだみんなに教えてない秘蔵のおやすみスポットもあるし、そこじゃなくても保健室行くかなぁ。

「…そう、場所! 場所も変です! 机の上に書き置きをして、ソファで横になる… これも彼方さんなら、メッセージを書き終わったらすぐ机に突っ伏して寝てしまうはず!」

……。うん。

「仮に、机ではよく眠れなくて結局ソファに場所を移したとしたら、それに合わせてお気に入りの枕を使っていないことも変です!」

いや~…せつ菜ちゃん、よく見てるなぁ…。すごい。流石名探偵だよ。
…って、こっちに近付いて来てる…?

「極めつけは…!」

67: 2019/06/02(日) 21:48:29.13 ID:Tulw0hC0
「ここです!」

自信たっぷりなせつ菜ちゃんの声と、興奮したような息づかい、そして──

──しゅるり。

…リボンを解かれる感触と、音。ええっと…?

予告なく首もとを触られたことで、くすぐったいような、ぞわぞわした感じがして、ぴくり、と少し身動ぎしてしまった。

「ふふふ… ブラウスの一番上まで留めているなんて、寝苦しいからといつもボタンやリボンを緩めている彼方さんらしくありませんよ?」

むむむ、そこに気付くか…! でもそれは愛ちゃんのあの、アレを隠すためで、こればっかりはしょうがないと言いますか…。

「…なかなか手強いですね、まだ起きませんか… では、せっかくですからボタンを外して、寝苦しくないようにしてあげますね?」

なんだかんだで起きるタイミングを失っていたら、せつ菜ちゃんらしくない、意地悪な笑い声が漏れる。

それじゃかすかすみたいだぞー?

「それがくすぐったくても、我慢してくださいよ…?」

…しまった! のんきにしてたけどこっちが狙いだったのか…!

ぷち、ぷち、とブラウスのボタンが外され、首もとがスースーする。

直に触られたりしたら流石に恥ずかしいし、というかすでに恥ずかしいし、もう白状しようかな…。

「…っ!? な、なな…!///」

けれど、せつ菜ちゃんが息を飲んだみたいな反応をしてから、いつまで経っても何も起こらない。

うん…? う、薄目で確認してみようかな…?

69: 2019/06/02(日) 21:52:15.30 ID:Tulw0hC0
せつ菜「…? …!///」

彼方(…そこには、真っ赤な顔で固まるせつ菜ちゃん なんで…? って、あ、そっか)

せつ菜「も、しかしてこれって、きっききき、キスマーク、…っですかぁ!?///」カァァァ

彼方「……」

せつ菜「あ、ぇ、…!?///」カチコチ

彼方(せつ菜ちゃん、こういうのに弱いもんね… よぉし、じゃあここからカウンターだ…!)

彼方「…せつ菜ちゃん」

せつ菜「ぉアっ!? か、かか彼方さん! そのっ! く、首にですね…!///」

彼方「寝てる間に馬乗りにされてて、服も脱がされちゃいそうで、こんなに近くに、真っ赤な顔したせつ菜ちゃんがいて…」

せつ菜「あっ!? ほ、ほんとに寝てたんですか…すみませ──じゃなくって! あ、あ、あっあの!これは違くて!///」ワタワタ

彼方「ねぇ… 彼方ちゃんは、今からせつ菜ちゃんに、」スッ

せつ菜「彼方さんっ、ちか、近いですってば!///」

彼方「──どんなコト、されちゃうのかな…?」ボソ

せつ菜「~!!///」ボッ

せつ菜「し、失礼しました~~~!///」ダダダダ

70: 2019/06/02(日) 21:56:29.75 ID:Tulw0hC0
バタン

彼方「……」

彼方「はぁ…つ、疲れたぁ…!」ズルズル

彼方(…しずくちゃんがよく言ってる演劇の基本、役に成りきること)

彼方(セクシーに、果林ちゃんに成りきってみたけど、せつ菜ちゃんには効果てきめんだったみたいだね)

彼方「というか…」

彼方(は、恥ずかしい…!/// 下着とか、大丈夫だよね? 見られてないよね?)

彼方「キスマークも見られちゃってるし、あれじゃあ誤解も…あぁもう、こうなったら~!」

ポフ

彼方(夢に逃げよう、うん)

彼方「おやすみぃ…」

せつ菜ちゃん:ドッキリ成功…?

85: 2019/06/04(火) 00:19:11.52 ID:7ktYyOmQ
─────
───


彼方「うん、寝れない…」

彼方(あのせつ菜ちゃんに説明するの結構しんどみじゃない?みたいなこと考えちゃって全然寝れないぞ)

彼方「たしかにもともと眠くなかったけど、まさかこの彼方ちゃんが寝ようと思っても寝れないとは…」

彼方(愛ちゃんとせつ菜ちゃんにはしっかりオシオキをせねば いやせつ菜ちゃんはいいか、愛ちゃんだ)

彼方「……」

彼方「……///」カァ

彼方(ひ、ひとりだと色々思い出しちゃってまずい…/// 寝たフリが下手になっちゃう)

彼方「…あ、そうだ」

彼方(せつ菜ちゃんが言ってた不自然なところを減らしとこう、鞄の鞄の中に枕があるからそれを…)ゴソゴソ

86: 2019/06/04(火) 00:22:47.63 ID:7ktYyOmQ
>>85
訂正


─────
───


彼方「うん、寝れない…」

彼方(あのせつ菜ちゃんに説明するの結構しんどみじゃない?みたいなこと考えちゃって全然寝れないぞ)

彼方「たしかにもともと眠くなかったけど、まさかこの彼方ちゃんが寝ようと思っても寝れないとは…」

彼方(愛ちゃんとせつ菜ちゃんにはしっかりオシオキをせねば いやせつ菜ちゃんはいいか、愛ちゃんだ)

彼方「……」

彼方「……///」カァ

彼方(ひ、ひとりだと色々思い出しちゃってまずい…/// 寝たフリが下手になっちゃう)

彼方「…あ、そうだ」

彼方(せつ菜ちゃんが言ってた不自然なところを減らしとこう、鞄の中に枕があるからそれを…)ゴソゴソ

87: 2019/06/04(火) 00:24:02.30 ID:7ktYyOmQ
「入るよー」

ガチャ

彼方「!?」シュババ

彼方(た、タイミング悪いなぁ…結局さっきと状況変わってないし まぁとりあえず)

彼方「すやぁ…」

「あ、ふふっ 彼方ちゃん、今日もしあわせそうだね」

彼方(お さてさて、みんなと同じように騙せるかな? おそらく同好会の中で一番彼方ちゃんに詳しい…)

エマ「弟たちも、こんな顔してお昼寝してたなぁ…」

彼方(エマ・ヴェルデを!)

88: 2019/06/04(火) 00:27:14.41 ID:7ktYyOmQ
エマ「いつも思うんだけど、彼方ちゃんって寝てると同い年にみえないよねぇ」ツンツン

彼方(むむむ、一人の姉として複雑ですな エマちゃんの方は…ときどき子どもっぽく見えたり大人びて見えたり色々かな)

エマ「あ、ほっぺたいやだった? ごめんね?」

彼方(…もしかしてちょっと表情に出ちゃってたか)

彼方「ん…」

エマ「あーでも、果林ちゃんも朝はちょっと子どもっぽいし… 寝てるときはみんなそうなのかも」

彼方(へぇ、そんな果林ちゃんも見てみたいなぁ 今度またお泊まり会でも…)

エマ「だけど、『お母さん』はさすがに恥ずかしいからやめてほしいかなー」クスクス

彼方「……」

彼方(果林ちゃん…)

90: 2019/06/04(火) 00:31:07.22 ID:7ktYyOmQ
エマ「さて、と… あれ? これは…」ピラ

『お疲れの彼方ちゃんはふかーいお休み中なのです。
 イタズラしたらダメだぞ 彼方』

エマ「あわわ… ご、ごめんねぇ彼方ちゃん…! いっぱい話しかけちゃった…!」

彼方(ふふふ、心が痛みます… 違うんだよエマちゃん、こっちこそごめん)

エマ「うーん…何か…」

彼方(まぁエマちゃんもイタズラとは縁遠いよね なんだか悩ませてるみたいだし、ここはさくっと起きちゃおうかな)

彼方「ん…」

エマ「あ、そうだ! よぉし、やるぞ…!」

彼方「!」

彼方(おや…? 意外とエマちゃんもやる気みたいだぞ…! これは子どもっぽい一面が見れるかも)

91: 2019/06/04(火) 00:35:04.88 ID:7ktYyOmQ
近付いてくるエマちゃん。何か…意志?やる気?みたいなのを感じて、起きるのを中止。

むふふ、何かやろうとした途端にカウンターでびっくりさせちゃうぞー。

「えいっ」

そんなことを考えていると、両肩を掴まれて、上半身を起こされる。

うーん…。何をやるつもりなんだろう? もう少し待ってみようか。

すると、ソファのスプリング音。えーと、体の位置から考えて…いま寝てたところに座った…?

「これで、かんせい!」

再び倒される私の体。すると当然頭を受け止めるのはソファではなく、エマちゃんのやわらかーい太もも。こ、これは…!

「えへへ…。彼方ちゃん、これが好きって言ってくれたよね」ナデナデ

膝枕! ひざエマくら!だ! 至高の!

92: 2019/06/04(火) 00:39:11.50 ID:7ktYyOmQ
エマ「おつかれの彼方ちゃんが、ちょっとでも癒されてくれると嬉しいな…」ナデ...

彼方「エマちゃん!」

エマ「ほええ!?」ビクッ

彼方「ありがとう…! エマちゃん優しくって涙が出るよ…!」

エマ「か、彼方ちゃん…!? えーっと、無理に動かしたせいで起こしちゃったかな… ごめんね」

彼方「…謝らないでいいんだよ、膝枕しようとしてくれて嬉しいよー」スリスリ

エマ「わ、もう彼方ちゃん、くすぐったいよ~」

彼方(まぁそもそもエマちゃんは何も悪くないんだけどね…)

彼方「エマちゃんほんとごめんねぇ…」

エマ「? ううん、だから謝るのはわたしのほうだから、気にしないでね」ナデナデ

エマちゃん:ドッキリ成功

93: 2019/06/04(火) 00:46:20.74 ID:7ktYyOmQ
エマ「あ、ごめん彼方ちゃん、わたしそろそろ行かなくちゃ…! 寮のレクリエーション会があるんだった、間に合うかな…」

彼方「了解ー じゃあ、名残惜しいけど、エマちゃんの膝枕とはお別れだね」ムクリ

エマ「これぐらい、いつでもやってあげるよ じゃあ彼方ちゃん、しっかり夜も寝るんだよ?」

彼方「うん、ありがとう ばいばいエマちゃん」フリフリ

エマ「Ciao! …ひゃー、果林ちゃんからいっぱいメッセージ来てるよぉ」パタパタ

ガチャ

バタン

彼方「さて…」

94: 2019/06/04(火) 00:51:04.01 ID:7ktYyOmQ
彼方(ここまで、璃奈ちゃん以外の7人に仕掛けて、戦績は…)

歩夢 :×
かすみ:○
しずく:○
果林 :×
 愛 :×
せつ菜:△
エマ :○

彼方(こんな感じかな? せつ菜ちゃんはほとんど見透かされてたけどビックリはさせたから引き分け、ってことで)

彼方「つまり、3勝3敗1分け… これは璃奈ちゃん次第ってことになるね よし、頑張ろー」オー

彼方(そうと決まれば、しっかり準備をしないとですな)ゴソゴソ

95: 2019/06/04(火) 00:54:25.95 ID:7ktYyOmQ
ガチャ

璃奈「彼方さん こんにち…んー、もうこんばんは、かな」

彼方「すやぴー…」

璃奈「…?」

璃奈「あ、もしかして寝てる? 珍しい体勢…」

彼方(その通り…もう夜も近いし、寝転がってるとほんとうに寝ちゃいそうで危ないから、姿勢を変えたのである)

彼方「……」チラ

璃奈「これは?」ピラ

彼方(璃奈ちゃんがメモを読んでいる間に説明すると、ソファに座って、抱き枕をぎゅーってしながらそれに顔を埋めております)

彼方(…彼方ちゃんは今誰に向けて説明したんだろう?)

96: 2019/06/04(火) 00:59:00.87 ID:7ktYyOmQ
彼方(……。まぁいっか この姿勢のいいところは、ベースが不自然だから、身動きしても違和感がないこと)

彼方(…あと、き、キスマークを完全に隠せること)

彼方(おまけに、目線が高くなったから薄目で確認がやりやすくなってるねー)チラ

璃奈「……」トコトコ

彼方(! こっち来たぞ…)

璃奈「彼方さん、これ、貸してあげるね えいっ」

彼方「ん…?」チラ

彼方(一体何を… あれ!? み、見えないぞ…! 薄目どころかぱっちりしてみても真っ暗だよ…! これはつまり…)

璃奈「彼方さんアイマスク、装着 明るいところで寝るなら、こういうのも、オススメ」

彼方(なるほどアイマスク… 璃奈ちゃん、ボード以外にも顔を隠せるもの持ち歩いてたんだね)

璃奈「それから、こっちも…」

97: 2019/06/04(火) 01:03:11.85 ID:7ktYyOmQ
顔隠さなくてもキュートだと思うけど、璃奈ちゃんのこだわりだからねぇ。

と思っていると、何やら手を動かされている感触。
加えて肩を押されて、いまの彼方ちゃんは抱き枕を解放して、ソファの背もたれに体重を預けております。

ドッキリでーす、ばばーん!っていきなり起きてもいいんだけど…ふむ、一体何を…?

「うん、よし。彼方さん、乗るね」

言葉のあと、足の上に乗っかってきた璃奈ちゃん。軽い。うらやましいけど、彼方ちゃんは少し心配だよこのレベルは。

その後、璃奈ちゃんはまた私の手を取って、自分の体に巻き付け始めた。

「さっきの姿勢、変だから、寝てても疲れがとれないと思うの。それは、きっと抱き枕が小さいせい」

「彼方さん、この前一緒にお昼寝したとき、私が抱き心地いいって言ってた。だから…」

話しながら、璃奈ちゃんは背中に手を回す。
抱き寄せられ、更に近くなる距離。いい匂いがする。柔らかい髪の感触も。

「代わりに、璃奈ちゃん抱き枕。私で、しっかり休んでね?」

……。可愛くて、いい子だなぁ、璃奈ちゃん…。そんなあなたに…

98: 2019/06/04(火) 01:10:59.63 ID:7ktYyOmQ
彼方「彼方ちゃんがハグをプレゼント~」ギュウウゥ

璃奈「あ、えっと… か、彼方さん、起きてたの?」

彼方「寝てる彼方ちゃんの抱き枕とっちゃダメです、目が覚めちゃいます 今はなぜか真っ暗だけど」

璃奈「ご、ごめんなさい… あと、そのアイマスクも私が…」

彼方「ううん、大丈夫だよー 彼方ちゃんのことを想ってやってくれた、ってわかってるからね」ナデナデ

璃奈「……///」

彼方「ただ、ひとつだけ満足してないことがあります それは──」グイッ

璃奈「わっ!?」ドサ

彼方「彼方ちゃんは、『璃奈ちゃんで』休むよりも『璃奈ちゃんと』休みたいなぁ…?」

璃奈「……」キョトン

彼方「ダメかな?」

璃奈「…ふふ じゃあ、もう夜だけど、一緒に」

99: 2019/06/04(火) 01:14:36.63 ID:7ktYyOmQ
─────
───


彼方(アイマスクをつけられていたせいで、そのとき璃奈ちゃんがどんな表情だったかはわからないけど)

璃奈「……」スースー

彼方(きっと優しい顔をしてたんだろうなぁ)ナデナデ

璃奈「ん…」スリ

彼方(かわいいー ただ…)

彼方「璃奈ちゃんがびっくりしてたかどうか、ドッキリが成功なのかも判別つかないんだよねぇ…」

璃奈ちゃん:不明!

彼方(第2段、やる? でもみんなイタズラなんてしない子たちだってはっきりわかったし…)

彼方(…ドキドキさせられてばっかりで、こっちの身がもたないといいますか)

彼方「……///」

彼方「…まぁでも、楽しかったかな 色々言いたいことがある人もいるけど、とりあえず…」

彼方(難しいことは、しっかり休んで、癒されたあとで…考えよう…)ウトウト

彼方「おやすみぃ…」

彼方「……」スヤァ

 

おわり

100: 2019/06/04(火) 01:17:55.37 ID:WDQP9zaC
乙( ˘ω˘)スヤァ

102: 2019/06/04(火) 02:59:27.36 ID:qtjPkFT5
おつおつ

103: 2019/06/04(火) 05:06:16.32 ID:pAlJb5yO
癒された

104: 2019/06/04(火) 07:39:23.74 ID:sGh9yEc0
おつ!
いいSS

111: 2019/06/05(水) 04:58:21.26 ID:LBOMiA0E
ほんとに乙
虹の未来は明るいな

108: 2019/06/04(火) 20:04:37.78 ID:eccnHEMc
控えめに言って最高
ほんと素晴らしい

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1559406104/

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