【SS】海未「ステーキ食べに行きたいんですけど」

SS


1: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 00:34:43.70 ID:WcP4wTw3
絵里「……?」

海未「ステーキ食べに行きたいんですけど!?」

絵里「えっ。それ私に言ってるの?」

海未「そうです」

2: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 00:36:35.00 ID:WcP4wTw3
海未「約束したじゃないですか、ご飯食べに行こうって」

絵里「したわね、確かに」

海未「今日こそ約束を果たす時ですよ!」

絵里「でもねー……練習後だし……海未も疲れてるじゃない?」

海未「……」じわっ

絵里「えっ!?泣くの!?」

3: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 00:38:12.49 ID:WcP4wTw3
海未「楽しみに……していたのに……」

絵里「そ、そうね!約束は大事よ、約束は守ってこそ約束ですものね!」

海未「それでこそ絵里ですよ」

絵里「嘘泣きが得意な女はそのうちに信用を無くすわよ」

海未「絵里が私を信じないはずがありません」

絵里「…………」

4: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 00:39:45.35 ID:WcP4wTw3
絵里「それで、どうしてステーキ?」

海未「食べたかったからです」

絵里「あまりにもシンプルね」

海未「私の家では魚が多く出るんです。食べ方が上手になったという点では食生活に感謝していますが」

海未「せいぜい肉と言っても生姜焼きですね。絵里だって厚みのある肉なんて食べる機会がないでしょう」

絵里「私買い物する時大体ピーコック行くのよ。豚肉の肩ロース厚切りが安い日多いのね」

絵里「ポークステーキとかポークチョップとか作ってあげると亜里沙が喜ぶわ」

海未「でも牛は??」

絵里「……食べてないわね」

海未「では行きましょう!共に参りましょう!」

5: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 00:40:28.63 ID:WcP4wTw3
絵里「ステーキ屋さんなんて特にアキバではどこにでもあるけれどどうするの?」

絵里「まさか肉の万世のビルの最上階とか言わないわよね……」

海未「この前お父様に連れていってもらいましたよ。もちろんそんな易々と行けるものではありませんが」

絵里「えっ、ホントに?いいわね~園田家、私も海未と結婚したら誰もが憧れるあの場所で食事できるのね」

海未「……」

絵里「何か言ってよ」

6: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 00:43:59.44 ID:WcP4wTw3
絵里「実際、どうするの?私たちの経済状況からして、ロイヤルホストのステーキを食べるだけでも緊張するくらいよ」

海未「秋葉原はおいしいステーキもあれば安いステーキもあるのですよ」

海未「そこで調べ抜いた結果、私たちでも笑顔で食べられるお店を見つけたのです」

海未「その名こそ、いきなりステーキ!」

絵里「チェーン店じゃない……」

海未「でも最初に行った頃はワクワクしたでしょう?」

絵里「そうね……確かにワクワクはしたけれど……」

7: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 00:44:44.01 ID:WcP4wTw3
絵里「あ、あそこどう?ヒーローズ。下校のとき前通るじゃない」

海未「いきなりステーキがいいです」

絵里「頑固なんだから」

海未「わたしは一度も入ったことがないので」

絵里「お嬢様ね」

8: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 00:45:38.61 ID:WcP4wTw3
絵里「あ、立ち食いだからでしょ」

海未「!!」コクコク

絵里「好きなの?立ち食い」

海未「親に見られると『はしたない』と言われることは避けられないので!」

絵里「俗世間に憧れるお嬢様って感じかしら。そういうことなら行きましょうか、いきなりステーキ」

海未「……!はい!」ウキウキ

10: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 00:51:24.37 ID:WcP4wTw3
絵里「この時間でも並んでるのね」

海未「スーツを着た人がたくさん居ますよ」ウキウキ

絵里「神田店の昼はもっと凄いらしいわよ」

海未「絵里は待つのは好きですか?」

絵里「わざわざ並んでるところに並ぼうとは思わないわね」

海未「私は今日はそれと決めていたら何時間でも待ちます!」

絵里「待ちぼうけをくらうタイプね」クス

13: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 00:59:00.16 ID:WcP4wTw3
海未「逆に、絵里は今日はナポリタンが食べたいと思っていたのに行列ができていたらまぜそばを食べるのですか?」

絵里「食べるわね」

海未「えぇ……食に頓着しなさすぎですよ」

絵里「言うほどかしら」

海未「秋葉原の町はおいしいものがたくさんあるのですよ。もっと拘らないともったいないです」

絵里「そうは思っているけれど、亜里沙と二人暮らしな以上自炊がね」

海未「では亜里沙の晩御飯は私が作るので、絵里はアキバでご飯を食べてください」

絵里「元も子もない提案ね」

14: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 01:05:14.11 ID:WcP4wTw3
「お待ちの2名様、中へどうぞ~」

絵里「呼ばれたわよ」

海未「いよいよですね……!」

「こちらの席にどうぞ」

海未「え、絵里!!椅子がないですよ!!」

絵里「海未の夢が叶ってよかったわ」

海未「それにあの店員さん……前衛的なマスクをしていますね」

絵里「いきなりステーキのコンプライアンスね。正直なところ、やりすぎな感じもしないではないけれど」

海未「あれ欲しいです」

絵里「バイトすればもらえるわよ」

16: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 01:09:49.35 ID:WcP4wTw3
「当店のご利用は初めてですか?」

海未「いいえ、常連です」

絵里「えっ」

「ありがとうございます。ご注文はナンバープレートを持参してください」

絵里「どうして嘘つくの」

海未「す、すみません……一見者は馬鹿にされるかと思ったので……」

絵里「そんなわけないでしょ……二郎じゃないんだから」

17: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 01:16:58.56 ID:WcP4wTw3
絵里「えっとまず……食べるお肉の種類を選ぶのよ」

海未「安いステーキを食べに来たのですから、一番安いやつですよね」

絵里「それで、どれくらい食べるか量を決めて、あそこにいる人に伝える」

絵里「300からが基本とか書いてるけどそんなに食べれるはずないし……200、いやちょっと贅沢して250かしら?」

海未「か、覚悟は決まりました!」

絵里「ここで見てるから頑張ってきなさい」

18: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 01:18:26.59 ID:WcP4wTw3
海未「あ、あの……ごきげんよう(?)」

「ご注文承ります」

海未「え、えっと、この……リブロースの……」

絵里(頑張って海未!お姉ちゃんが応援してるわ!!)

海未「1ポンドをください!」

絵里「えっ」

20: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 01:23:59.32 ID:WcP4wTw3
絵里「ちょっと海未……1ポンドって……450グラムよ?慣れない単位を格好つけて頼んだんじゃないの?」

海未「知ってます」

絵里「は、入るわけないじゃない!あなたの華奢な体に!!そんな肉の塊が!!」サワサワ

海未「私をなんだと思っているのですか」

絵里「お姉ちゃん残しても食べてあげないわよ」

海未「大丈夫ですから」

21: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 01:29:16.76 ID:WcP4wTw3
絵里「……ご、ご飯はどうするの?」

海未「ご飯もサラダも要りません。ステーキだけを食べるからいきなりステーキなのでしょう!」

絵里「っていうわけでもなさそうだけど」キョロキョロ

海未「母からはバランスよく食べなさいといつも言われているので、たまにはお肉だけを食べてみたいのです。付け合わせのコーンがバランスを取ってくれるでしょう」

絵里「結構ワイルドな思考してるのね」

22: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 01:35:21.48 ID:WcP4wTw3
「おまたせしました」

海未「おぉ……!」キラキラ

絵里「お、おぉ……」

海未「大きい……そのうえ厚い……!これが本物のステーキ……!」

絵里「それビジュアルだけよ絶対……5分でお腹いっぱいになっちゃうわよ」

海未「そんなことないですってば。絵里こそ少食過ぎませんか?」

絵里「結構これでも……多い方なのだけれど」

『いただきまーす』

23: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 01:41:30.14 ID:WcP4wTw3
海未「絵里、ご飯を頼んだのですか?」

絵里「ご飯がないと食べられないわ」

海未「花陽が聞くと涙を流して喜んでくれそうな言葉ですね」

絵里「ちょっと分けてあげましょうか。絶対飽きるわよ」

海未「絵里。卓上をよくみてください、なにがありますか?」

絵里「塩、黒胡椒、にんにく、わさび、マスタード……」

海未「つまり、その数だけ味の変化が楽しめるということです!」

絵里「上級者っぽくなってきてるわよ」

24: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 01:45:46.87 ID:WcP4wTw3
海未「まずは肉本来の味を楽しみたいので、なにも掛けずに食べます……!」

絵里「一口をそんなに大きくカットして大丈夫?お口に入る?お姉ちゃんが細かく切ってあげましょうか?」

海未「いつの間にあなたの妹になったのですか。……んもっ……」

絵里「!!!」

絵里(一口でお肉を放り込む海未……!!!かっこいい!!かわいい!!)

26: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 01:52:39.40 ID:WcP4wTw3
海未「ん~~❤❤❤」

海未「奥歯で噛み締めた瞬間に肉の中で温められた肉汁がじわぁと溢れてきて……口の中しあわせです❤」

海未「これが本来の肉の味なのですね……!これは家庭料理では到底味わえません……!!」

絵里「さすが作詞家、食レポもできるのね……んもっ。んもっ。……んふふ❤」モグモグ

27: (やわらか銀行) 2019/03/23(土) 02:02:25.36 ID:WcP4wTw3
海未「素敵な笑顔ですね」

絵里「えっ///」

海未「よく考えるんです。食事をしているときに自然と溢れる笑顔が、本当の意味での笑顔じゃないかって」

海未「そういう笑顔が見られる特別な時間を絵里と過ごせるのがとても幸せです」

絵里「ちょっ、ちょっと……いきなりステーキでそんなこと言う?」

海未「あっ……///す、すみません///」

絵里「す、ステーキだけに素敵ってね?」

海未「は?」

絵里「……」

43: (SB-iPhone) 2019/03/23(土) 13:01:25.93 ID:az/BlcTX
海未「……」

絵里「どうしたの海未。やっぱり食べれない?やっぱり海未には90グラムで丁度よかったのよ」

海未「違います。まだ三分目も行ってませんよ。ただ……」チラ

海未「絵里は、デート中ににんにくを食べる女をどう思いますか?」

絵里「気にしないわ。自分の食べたいものを食べて笑顔を見せてくれる人がすきよ」

海未「!!」

海未「そ、そうですか!実は以前にんにくの入った手作り餃子を振舞ったら卒倒された経験があって……」

絵里「じゃあ今度ご飯食べるときはそれを食べたいわ」

海未「わ、私の手料理ですよ?」

絵里「楽しみにしてるわね」

海未「……///」

44: (SB-iPhone) 2019/03/23(土) 13:05:39.12 ID:az/BlcTX
絵里(そういえば私もそのまま食べてるわ……)

絵里(ソースもかけてないのにこんなに美味しいなんて、確かに家庭では味わえないわね)

絵里(なにか私も味変してみようかしら)

絵里(……と、その前にお水で口直ししましょう)スッ

海未「絵里」

絵里「ん?」

海未「それ、ソースです」

絵里「えっ」

海未「今お冷グラスに注ごうとしましたよね?」

絵里「そ、そんなわけないじゃない」

海未「黒いボタン押して手洗うのと同じくらい恥ずかしいのでやめてくださいね」

絵里「……」

47: (SB-iPhone) 2019/03/23(土) 15:35:43.51 ID:dWjtAJ1r
絵里「……」モグモグ

絵里「……ふぅ」

絵里「美味しかったわ……飽きるんじゃないかって思ってたけれどずっと旨味があってお腹いっぱいよ」

絵里「海未、大丈夫?意外とまだいけそうだからちょっと食べてあげるわよ」

海未「ご馳走様でした」

絵里「えっ!!?完食したの!?」

海未「当然です。自分から勝てない勝負を仕掛けません」

絵里「すご……」

48: (SB-iPhone) 2019/03/23(土) 15:42:57.31 ID:dWjtAJ1r
海未「絵里、ご飯が半分くらい残っているじゃないですか」

絵里「あ、ホント……お肉が美味しくてつい」

海未「あっ……そういえば聞いたことがあります。絵里、このご飯食べてもいいですか?」

絵里「別に構わないけれど」

海未「すみません、鉄板を温め直してください」

「かしこまりました」

絵里「……?」


「おまたせしました」

絵里「これどうするの?」

海未「まず……アツアツの鉄板にステーキソースを掛けます」ジュワアアアアア

絵里「ちょ……飛び散ってる!」

海未「ここにすかさずご飯を載せる!」

海未「鉄板で炒めながらソースと絡ませて……」

海未「ピラフ?チャーハン?のできあがりです!」

絵里「こんなのどこで教わったの……」

海未「ネットで見ました」

絵里「お義母さんがみたら怒るわよ」

49: (SB-iPhone) 2019/03/23(土) 15:49:04.61 ID:dWjtAJ1r
海未「ご馳走様でした。これで完食ですね」

絵里「随分食べたわね?大丈夫?」

海未「はい。今日食べた分は全て筋肉になります」

絵里「羨ましい体ね」

海未「運動してこそですよ。絵里も一緒に運動しますか」

絵里「練習がない日にね」

51: (SB-iPhone) 2019/03/23(土) 16:09:03.44 ID:dWjtAJ1r
海未「美味しかったですね。ここまでたくさん食べてあの値段は中々ないですよ!」

絵里「……えぇ」

海未「絵里、さっきからどうかしたのですか?お店を出てから暗いような……」

絵里「な、なんでもないわ」

海未「そうですか……」

絵里「……」

海未「……ぐすっ」ポロ

絵里「!?」

海未「すみません……一人ではしゃいでしまってつまらなかったですよね……」

絵里「ち、ちが、違うのよ!!」

海未「じぇーけーが二人でいきなりステーキかよ、って内心思っていたのでしょう?」

海未「わかってます。絵里のような気品のあって華奢な女性にサラリーマン御用達のステーキ店は不釣り合いだったと……」ポロポロ

絵里「勘違いしてるわよ!私も滅多に行かないステーキ屋さんで楽しかったし、海未と二人で行けたことでもっと楽しかったわ!」

絵里「ただ、その……」

絵里「噛みきれなくて、まだ口の中残ってるの……」モグモグ

海未「…………ふっ」

52: (SB-iPhone) 2019/03/23(土) 16:17:51.79 ID:dWjtAJ1r
海未「ふ、ふふふっ。筋を食べちゃったんですか?」

絵里「スジ……?」

海未「最後に食べた白い部分ですよ。噛みきれない人が多いので、よくそこだけ残している人を見ますよ」

海未「私は食べられるのでそのまま口に入れましたが」

絵里「知らなかったわ……食べ慣れてないから……」モグモグ

海未「お手洗い見つけたらそこで吐き出しましょう。飲み込めないときはずっと飲み込めませんから」

海未「……よかったです」ニコ

絵里「海未……」

53: (SB-iPhone) 2019/03/23(土) 16:22:36.21 ID:dWjtAJ1r
海未「……あの、また誘っていいですか?」

絵里「もちろん。そういう約束ですものね」

絵里「……いいえ、もしかしたら、今度は私から誘っちゃうかも」

海未「!!楽しみに、しています……///」

絵里「それじゃあまた、学校でね」

海未「はい。……おやすみなさい、絵里」

おしまい

56: (茸) 2019/03/23(土) 17:58:57.50 ID:SxhQ7PAj
これ読んでたらいきなりステーキのCM流れてワロタ

60: (もんじゃ) 2019/03/23(土) 23:09:11.30 ID:SkmIgNgG
お腹減ってきた

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1553268883/

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