【SS】ダイヤ「心配は愛情」 ダイよしSS【ラブライブ!サンシャイン!!】

SS


1: 2017/08/07(月) 10:30:06.86 ID:3mrdH8cv.net
夏間近

梅雨も明けてだんだんと暑くなってきた、7月

貴女が浦の星を卒業してから、3ヶ月

貴女に恋してから、半年と少し。

(ダイヤさん、会いたいよ...)

とか、考えながらいつもの帰り道。

ダイヤさんは卒業後、大学へは行かずそのままホテルオハラへ就職した。

ダイヤさん曰く

「鞠莉さんに来るかと言われたので」

らしい。

あのダイヤさんが大学へ行かなかったのは少し驚いたけど、ちょっぴり嬉しかった。

そんな事を思い出しながら

日中かんかん照りの太陽が目一杯照らして、熱くなったアスファルトの上を歩いていると

ポツ ポツ

雨だ

雨宿りしようと早足で歩いた

私はアツアツのアスファルトに落ちた雨の匂いが好き

少しムワッとするけど

何て言ったら良いのかな?
 

2: 2017/08/07(月) 10:30:50.90 ID:3mrdH8cv.net
こう、鉄の匂い?

「善子さん!」

聞き覚えのある声に呼ばれた

後ろを向くと、少し雨に打たれ

いつもよりずっとずっと色っぽい

私が恋した彼女、黒澤ダイヤが居た

「仕事は?」「なんでここに?」「私に会いに来てくれたの?」

そんな言葉より

「会いたかった」

...言ってしまった。

顔が熱くなる。

アスファルトの暑さと雨の冷たさでなんとも言えない体温。

少々雨に打たれ私の前髪から汗と、雨が、一緒に滴る。

「「あ、あの...」」

台詞が被った。

気まずい...

でも、ダイヤさんは一呼吸置き 1度目を閉じて、深呼吸した。

小さく息を吸い

雨の音にかき消されないような大きな声で

「もし良かったら、お食事へ行きませんか?雨宿りも兼ねて...!」

私は小さく頷く。

汗と雨が一緒に地面へ落ちた
 
3: 2017/08/07(月) 10:31:57.47 ID:3mrdH8cv.net
・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・

・・・

「どうですか?学校は楽しいですか?」

「ちゃんとお勉強してますか?」

「課題はちゃんとしてますか?」

ダイヤさんは近くの小さなレストランに着くなり私へ質問攻め

違う、そんな事を心配して欲しいんじゃない。

「もう、しっかりなさい?貴女は二年生、後輩に恥じない姿を...」

「...善子さん?」

「なぜ、泣いてますの?」

え?

気付くと私側のテーブルに、数滴の涙が落ちていた

ピッカピカのテーブルに、数滴の涙。
 
4: 2017/08/07(月) 10:32:29.17 ID:3mrdH8cv.net
ダイヤさんの方を向くと

涙でダイヤさんが見えないくらいに、涙が溢れていた

「善子さん?」

もうダメだ、名前を呼ばれるだけで辛い。

「ご、ごめん...お金置いてくから、帰るね...」

財布をガサガサ漁り、1000円札か10000円札かわからないまま

ダイヤさん側のテーブルへお札を1枚、ダイヤさんへ渡した

「ちょ、ちょっと善子さん!」

急ぎ足で店から出て、ダッシュした

外はまだ雨。

さっきよりも強めに雨が降っている。

でも、今はこの雨が気持ちいいかもしれない。

–––––––––––––––––– よっちゃん!
 
5: 2017/08/07(月) 10:33:12.52 ID:3mrdH8cv.net
よっちゃん!

「よっちゃん!」

あぁ...今1番聞きたくない声だ

でも

「リリー?」

無視は、できなかった

彼女のアダ名を呼んだ時の私の声は

きっとその辺で囀っている小鳥よりも小さくて、弱そうで、頼りない声だっただろう

「...なんで、泣いてるの?」

まただ また 私に優しくする

桜内梨子

ダイヤさんと付き合う少し前に

私に「好き」

と、言ってくれた人。

もちろん、恋愛感情の「好き」
 
6: 2017/08/07(月) 10:33:52.83 ID:3mrdH8cv.net
もうその頃にはダイヤさんに惹かれていて、その気持ちにはYESと言えなかった

それでもリリーは

「うん、分かった。でも辛い事があったら私に一番に相談してね?
恋人同士にはなれなかったけど、先輩後輩の関係は変わってないから」

そう言ってくれた。

「ねえ、善子ちゃん?私、善子ちゃんの力になりたいの...もし良かったら何があったか話して?」

まただ

また優しくする

でも、リリーには甘えるのは違う

リリーはまだ私を見つめてる。

私はリリーが分からないように

下唇を軽く噛んだ

もちろん、切れない程度の力で。

噛み続けてると、だんだんと下顎が震えてくる

ゆっくりと口を少しずつ開き

「優しくしないで」

こう言わないと、リリーはずっと私に優しくする

「でも」
 
7: 2017/08/07(月) 10:34:45.51 ID:3mrdH8cv.net
桜色の髪を揺らしながら「でも」の一言

もうその一言にすらリリーの、桜内梨子の優しさを感じる。

「...これ、食べて?お口に合わなかったら捨てていいからね」

そう言いながら私に可愛い赤のリボンが結ばれた、小さな紙袋を渡した

片手で受け取ろうとした私の右手を、リリーは両手で包み込むように渡した

...暖かい。

ダメだ、もう耐えられない

「ありがとね、リリー。それじゃ!」

リリーに背を向け、ダッシュした。

後ろでリリーが何か言っているような気がする

気がする、じゃなくて、言っている

...ごめんね、リリー。
 
8: 2017/08/07(月) 10:36:45.99 ID:3mrdH8cv.net
「ただいま」

誰も居ない家に響く ただいま

お母さんは出張で、あと一週間はいない

靴の中が雨で濡れていて、気持ち悪い

ドアを閉め忘れている事に気付き雨を滴らせながら振り向いた

コツ コツ コツ

足音が聞こえる

耳をすませなくても分かる、ヒール特有の足音

お母さんな訳がない

今1番会いたくて今1番会いたくない人

「...善子さん!」
 
9: 2017/08/07(月) 10:37:18.93 ID:3mrdH8cv.net
こんな面倒な恋人の為に全身ずぶ濡れになってまで会いにきてくれた、私の大好きな彼女

「何故、帰ったのですか?」

私を見つめる、綺麗な瞳

その綺麗な瞳からゆっくり視線を逸らし、彼女の足元を見る

気まずさと恥ずかしさ

その二つがぶつかり合いっこして、今の彼女とは目を合わせられない

「善子さん、お願いします...私に何か失言があったら...教えて下さい...」

ダイヤさんの声が段々と震えてきた

10秒...20秒程の

沈黙
 
10: 2017/08/07(月) 10:38:01.02 ID:3mrdH8cv.net
「善子、さん...」

とうとう鼻をすする音が聞こえてきた

言わなきゃ...私の、本音

「...ダイヤさん」

「はい...」

「部屋、入って。今タオル持ってくるから」

・・・・・・・・・・・・・・

「ダイヤさん、お風呂湧いたから入っていいよ...」

これだけ雨に打たれたから、お風呂くらい入れてあげなきゃ。

と思いダイヤさんにお風呂に入る事を勧めると

「一緒に入りましょう?」

えっ

「え!?」
 
11: 2017/08/07(月) 10:38:30.74 ID:3mrdH8cv.net
意外だ

あのダイヤさんから

恥ずかしがり屋のダイヤさんから一緒にお風呂なんて

あまりに不意打ちだったので、思わず口元が緩む

「うん、いいよ」

私はダイヤさんの手を引き、お風呂へ連れていく

ダイヤさんの手を握った時ダイヤさんの手汗が凄かった

私も凄かった

脱衣所の戸を開ける。

するとダイヤさんは

「ゆっくりお話ししたいです」

なんて

「...私も」

カラカラ

私もダイヤさんも身体にタオルを巻いての入浴。

脱衣所でチラチラとダイヤさんの見たことのない部分も見えちゃって、恥ずかしかった。
 
12: 2017/08/07(月) 10:39:18.47 ID:3mrdH8cv.net
「善子さん」

「ん?」

「あの...久しぶりに会えて、嬉しい」

「うん、私も...」

もう私がなんで泣いてしまったかバレてそうだ

「...ごめんなさいね、私の性格上どうしても色々心配しちゃって」

「ううん、いいの...私こそめんどくさい女でごめん」

今日の出来事で自分でも本当にそう思ってしまった。

本当に好きなら言いたい事ははっきり言うべきだし、ダイヤさんにこんな心配かけるくらいなら
最初から言いたい事をはっきり言って話し合うべきだった。
 
13: 2017/08/07(月) 10:40:08.80 ID:3mrdH8cv.net
「...善子さん」

ダイヤさんが後ろから私を抱きしめる

「ダイヤさん...」

私を優しく抱きしめる手をそっと握る

「心配は愛情、なんでしょう?」

「ふふふ...そうですよ♡」

短いけどおしり
 

引用元: http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1502069406/

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