曜「ずじゅうかん」【SS】

ようまりーびゅうお1 SS


1: 2020/10/29(木) 21:41:37.96 ID:q3AY3Veb
ようまり。

2: 2020/10/29(木) 21:42:21.04 ID:q3AY3Veb
鞠莉「うーん…」

曜「鞠莉ちゃん、どうかしたの?」

鞠莉「なんだか今日は頭がズーンってして…」

曜「大丈夫?ちょっとおでこを失礼」

鞠莉「ん…」

曜「うーん、どうやら熱は無いみたいだね」

3: 2020/10/29(木) 21:42:48.68 ID:q3AY3Veb
鞠莉「この痛み…きっと気圧のせいね。台風が来てるっていうし」

曜「あー、わかるわかる。ずじゅうかんがするよね」

鞠莉「?」

曜「ずじゅうかんだよ、ずじゅうかん」

鞠莉「えっと…ずじゅう、かん?」

曜「知らない?『頭が重い感じ』って書いて、ずじゅうかん」

4: 2020/10/29(木) 21:43:35.94 ID:q3AY3Veb
鞠莉「あ、あー。そうね、そういう感じかも」

曜「結構辛いんだよね。私も気圧変化には敏感な方だからわかるよ」

鞠莉「そういう割には、曜は大丈夫そうじゃない?」

曜「こういうときは、意識的に体を動かすことにしてるんだ。気圧の影響で体の流れが悪くなることが、頭痛の原因らしいからね」

鞠莉「詳しいのね。言われてみれば、最近は日課のヨガが出来てなかったかも」

5: 2020/10/29(木) 21:44:35.08 ID:q3AY3Veb
曜「毎日忙しそうにしてるから、きっと疲れも溜まってるんだよ。ちゃんと休めてる?」

鞠莉「大丈夫よ、無理はしてないつもりだから」

曜「本当?鞠莉ちゃんの言う無理って、よっぽどのことだからなぁ」

鞠莉「心配しすぎだってば」

曜「小さなことだって、積み重なったら大きなストレスになるんだよ。体にも、心にもね」

鞠莉「ふふ、まるで専属トレーナーね。でも、本当に大丈夫だから」

6: 2020/10/29(木) 21:44:51.95 ID:q3AY3Veb
曜「ならいいけど。無理は禁物だよ」

鞠莉「はーい、先生」

曜「よろしい。後は、そうだなぁ。体を温めるために、お風呂にゆっくり入るとか。って、これはきっとやってるよね」

鞠莉「もちろん!バスタイムはリラックスとリフレッシュの源よ」

曜「一番落ち着ける時間だって言ってたもんね。気持ち良過ぎて、お風呂で寝ちゃったりはしないの?」

鞠莉「んー。寝たりはしないけど、長い時間入ってると、ついウトウトしちゃう時があるのよね」

7: 2020/10/29(木) 21:45:33.61 ID:q3AY3Veb
曜「あるある。寝落ちしそうになって、『危ない危ない、ここはお風呂だった』って慌てたり」

鞠莉「そうそう。で、気が付くといつの間にか指先がしわしわになってたりとか」

曜「お湯でふやけちゃうんだよねー。って、私ったらごめんね、頭が痛いのにずっと話しかけちゃった」

鞠莉「謝らないで。楽しくて気も紛れるし、もっとお話ししましょう」

曜「えへへ、じゃあそうする。話は戻るけど、さっき言ったみたいに頭痛は体の流れが滞ることで起きるから、ときどき腕や首をぐるぐるーって回すといいんだって」

鞠莉「こう?ぐるぐるー…いたっ!」

8: 2020/10/29(木) 21:46:10.06 ID:q3AY3Veb
曜「鞠莉ちゃん!?」

鞠莉「なんか今、首筋がビシって…」

曜「大丈夫?ちょっと触るよ」

鞠莉「んっ…!」

曜「わ、だいぶ固まってる。ほらこれ、すごいよ」

鞠莉「ひゃあっ…!」

曜「ああ、動かないでって」

9: 2020/10/29(木) 21:46:27.74 ID:q3AY3Veb
鞠莉「いきなりグッてするから…それに、首筋ってこそばゆいし」

曜「触るよって言ったでしょ。マッサージしてあげるから座り直して」

鞠莉「けど…」

曜「このまま放っておいたら、ますますダメージになっちゃう。今のうちにケアしておかなきゃ、ね?」

鞠莉「うー…そうよね、そうだと思う…」

曜「なら、こっちに背を向けて座って」

10: 2020/10/29(木) 21:47:10.15 ID:q3AY3Veb
鞠莉「座るけど…でも、優しくお願いね?」

曜「お任せでありますっ。それじゃ、いくよー」

鞠莉「んんっ…」

曜「やっぱり。首だけじゃなくて、肩とその周りも凝っててカチカチだ」

鞠莉「んっ、そんなに…?」

曜「頭が痛くなるわけだよ、辛かったね。このくらいの力加減なら大丈夫?」

11: 2020/10/29(木) 21:47:49.22 ID:q3AY3Veb
鞠莉「ええ、平気…んぅ…」

曜「よし。まずは肩からやっていくね。軽くぐりぐりっとして、凝りの中心を見つけていくよ」

鞠莉「ひゃっ!?」

曜「お、早速発見。これをゆっくり揉んでほぐしちゃおう」

鞠莉「あっ、やっ」

曜「こーら、動いちゃダメって言ってるのに」

鞠莉「む、無理よ。そこを触られると、背中がぞわぞわってするんだもの」

12: 2020/10/29(木) 21:48:44.10 ID:q3AY3Veb
曜「肩凝りのモトに直接効いてる証拠だよ。我慢してね」

鞠莉「んっ、よ、曜がいじめる…んんっ!」

曜「いじめてないって。今は辛いけど、だんだんと楽になってくるはずだから」

鞠莉「あっ、く、ぅ…!」

曜「ここをやっつけたら、首の方に移っていくからね」

鞠莉「う、ううー…!」

曜「我慢、我慢だよー」

鞠莉「んん、んーっ!」

13: 2020/10/29(木) 21:49:08.43 ID:q3AY3Veb
……………………………………

鞠莉「はぁ、はぁ…」

曜「落ち着いた?」

鞠莉「え、ええ。なんとか…」

曜「鞠莉ちゃんったら変な声出すんだもん。事情を知らない人が聞いたら誤解しちゃうよ」

鞠莉「誰のせいよ、もうっ」

曜「でも、じっと耐えた甲斐はあったみたいだね」

14: 2020/10/29(木) 21:49:32.78 ID:q3AY3Veb
鞠莉「そうね。ずじゅうかん、だっけ?が、だいぶ楽になった気がする」

曜「ここまで来たらあと一息。凝りもかなり取れてきたから、もうぞわぞわってなることもないはずだよ」

鞠莉「ほっ。もうあんな目に合うのは懲り懲りデース」

曜「上手いね、肩凝りだけに?」

鞠莉「違いマース!」

15: 2020/10/29(木) 21:50:11.06 ID:q3AY3Veb
曜「あははっ。さ、ほのぼのしたところで、最後の仕上げをしちゃおうか」

鞠莉「はーい。それにしても…ふふっ」

曜「ん、どうかした?」

鞠莉「いえ、私も人から肩を揉んでもらうような年齢になったのかなーって」

曜「高校生が何しみじみしちゃってるの。それに、年齢は関係ないでしょ、頭が痛いのも、肩が凝るのも」

鞠莉「そうかなぁ」

16: 2020/10/29(木) 21:51:04.83 ID:q3AY3Veb
曜「鞠莉ちゃんが頑張ってるって証拠だよ。いつもお疲れさまです」

鞠莉「そう言ってもらえると嬉しいわ。って、なんだかますます年季が入った会話になってるじゃない」

曜「あはは、ほんとだ」

鞠莉「曜のせいよ?うふふっ」

曜「鞠莉ちゃん、やっと笑ってくれるようになったね」

鞠莉「え、私?」

17: 2020/10/29(木) 21:51:32.26 ID:q3AY3Veb
曜「うん。今日は朝からなんとなく元気なさそうだったから」

鞠莉「もしかして、ずっと心配してくれたの?」

曜「まあね。鞠莉ちゃんにはやっぱり、元気な笑顔の方が似合ってるから」

鞠莉「曜…ハグしてもいい?」

曜「だーめー」

鞠莉「どうして?この胸がきゅんってなるエモーションは、言葉では表現できないのに」

18: 2020/10/29(木) 21:52:21.86 ID:q3AY3Veb
曜「まずはしつこい肩凝りを退治するのが先決だよ。集中集中」

鞠莉「むぅ、曜のいじわるぅ」

曜「いじわるじゃありません」

鞠莉「いけずぅ」

曜「いけずでもありません。いけずって」

鞠莉「あんまりつれないと、マリー泣いちゃうわよ?」

曜「笑顔を人質にとらないの。って話をしてる間に、そろそろかな」

鞠莉「え、もう終わっちゃう?」

曜「一通りのことはやってみたからね。具合はどう?」

鞠莉「どれどれ…あっ、だいぶ楽になったわ。首も腕もほら、ぐるぐるーって!」

19: 2020/10/29(木) 21:53:07.52 ID:q3AY3Veb
曜「良かった!だけど、まだちょっとぎこちないね」

鞠莉「肩のこの辺にまだ居座ってる気がするの。今日の低気圧はなかなか手強いみたい」

曜「これ以上やったら揉み返しになっちゃうから、体を動かすストレッチとかの方がいいかもね」

鞠莉「それなら、練習が始まる前に軽くほぐしておこうかしら」

曜「付き合うよ。ペアでやった方が効果があるだろうしね」

20: 2020/10/29(木) 21:53:36.02 ID:q3AY3Veb
鞠莉「そう言ってくれると思ったわ。よろしくね、可愛いトレーナーさん」

曜「えへへ、了解であります!」

鞠莉「終わったらお礼を目一杯させてもらうからね、感謝と愛情たっぷりの大きなハグで!」

曜「と言うわけで、私たちは一足先に屋上に行ってるから、みんなが来たら伝えてね」

鞠莉「それまでごゆっくり。チャオー!」

善子「あ、ええ…」

花丸「ちゃ、ちゃおー」

ルビィ「ま、またねー」

21: 2020/10/29(木) 21:54:24.24 ID:q3AY3Veb
善子「…」

花丸「…」

ルビィ「…」

善子「えっと、ずら丸もルビィも、なにか反応しなさいよ」

ルビィ「あはは…あまりにもナチュラルに二人の世界に入ってたから」

花丸「むしろ、一緒に部室にいたマルたちを認識していたことの方に驚きずら」

22: 2020/10/29(木) 21:54:58.34 ID:q3AY3Veb
善子「人に聞かれたらどうとか、自分たちで言っておいてあの様子じゃあね」

花丸「いわゆる灯台下暗し」

ルビィ「または、なんとかは盲目ってことなのかも」

善子「それは用法が違う気がするけど…まあ、なんて言うか、いいわよね、ああいうの」

ルビィ「うんうん、とってもいいと思う!」

花丸「仲良きことは美しきこと、ずら」

23: 2020/10/29(木) 21:55:35.97 ID:q3AY3Veb
善子「あれだけ見せつけておいて、まだくっついてないっていうんだから驚きよ」

ルビィ「お姉ちゃんが言ってたよ。鞠莉ちゃんも曜ちゃんも朴念仁で困っちゃうって」

花丸「これを鈍感と見るか、純情と見るか、ずら」

善子「あなたたち、さっきから結構言うわね」

ルビィ「え、そう?」

花丸「この初々しさもまた、良きものずらよ」

善子「なんか達観してるし…まあ、いいわ」

24: 2020/10/29(木) 21:56:26.26 ID:q3AY3Veb
善子「ところで、どうして誰も訂正しなかったの?」

花丸「訂正?」

ルビィ「訂正って、何を?」

善子「頭が重い感じ、の読み方よ。ずじゅうかんじゃなくて、ずおもかんだって」

花丸「なにいってるの、善子ちゃん。読みは、ずじゅうかん、であってるずら」

善子「えっ」

ルビィ「えっ、ずちょうかん、じゃないの?」

善子「ええっ」

花丸「ええっ」

よしまるびぃ「んんん???」



終わり

25: 2020/10/29(木) 21:56:55.69 ID:q3AY3Veb
全弾撃ち尽くしました。低気圧ようまりでした。頭重感の読み方は諸説入り乱れてるということでひとつ。

↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。

曜「鞠莉ちゃんってねこだよね」
https://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1603107610/

ありがとうございました。

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1603975297/

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