聖良「疲れました……ルビィさんごっこをしましょう」【SS】

せいらるびぃさん SS


1: 2018/08/17(金) 22:39:05.83 ID:cQlqRvwq
聖良「ひとりで作詞も作曲もして衣装も作って、練習もして、お店の切り盛り、受験勉強……」

聖良「もう嫌です。限界です。癒しが欲しい……。ルビィさんごっこ、解禁せざるを得ない……!」

聖良「そうと決まれば、髪型をツーサイドアップにして、と。ダイヤさんの抱き枕も用意」イソイソ

聖良「うん、いいですね。それでは――こほん」

聖良「ぅゅゅ……ぉねぃちゃぁ、りゅびぃ、もぅ疲れちゃった……」

聖良「……」ポチッ
『よしよし。さすが我が妹ですわ。えらいでちゅね~。よくできまちた~』

聖良「えへへ~、ありがとぉ、ぉねぃちゃぁ」

聖良(ああ、素晴らしい。あらゆる抑圧から解放されるこの感じ……最高)

3: 2018/08/17(金) 22:46:22.75 ID:cQlqRvwq
聖良「ねぇ、ぉねぃちゃぁ」

聖良「……」ポチッ
『ふふ。何ですの、ルビィ?』

聖良「あのね。理亞ちゃぁがね、ピーマン食べてくりぇないの……」

聖良「せっかくがんばルビィして作ったのに、理亞ちゃぁはピーマンを避けちゃうの……」

聖良「……」ポチッ
『それはいけませんわね。ブッブーですわ』

11: 2018/08/17(金) 22:54:30.96 ID:cQlqRvwq
聖良「ぅゅ……ぉねぃちゃぁ」

聖良「……」ポチッ
『何ですの?』

聖良「ぁのね。子守歌、歌ってほしいの……」

聖良「……」ポチッ
『もう。本当に甘えん坊さんね。今回だけですわよ?』

聖良「……」ポチッ
『ねーんねーん… ころーりーよ… おこーろーりーよー…』

聖良(――ああ。千歌さんからもらった生音声、すごい。練習メニューや作詞ノート、売ったかいがある……)

聖良(生きていて良かった……これでもう、今までのことなんて忘れて明日からまた新しく――ん?)

理亞「」

聖良「」

14: 2018/08/17(金) 22:57:50.93 ID:cQlqRvwq
理亞「……え、あ。その」

理亞「ご、ごめんなさい……」ジワ…

聖良「泣かれた!? さすがにその反応はダメージが大きすぎる!?」

聖良「ち、違うの、理亞。これはその、誤解よ。何が誤解かは分からないけど、とにかく誤解なの」

18: 2018/08/17(金) 23:06:22.38 ID:cQlqRvwq
聖良「それから、その……ど、どこから見ていたの?」

理亞「りゅびぃもぅ疲れちゃった、ってところ……」

聖良「そうね、こういうパターンは決まって最初からね、知ってた」

理亞「あ、あの。本当、ごめんね姉様。私、いい子になるから……」

理亞「ピーマンもこれからは残さないから、だから、その、あの……」ウルウル

聖良「やめなさい! このタイミングで涙目でそういう宣言するのはやめて!」

理亞「だ、だって。いきなりあんなこと。その、姉様、大丈夫……? じゃ、ないよね……?」

聖良「一言一句、的確に私の心をえぐるのはやめなさい!」

21: 2018/08/17(金) 23:14:13.19 ID:cQlqRvwq
聖良「あ、あのね、理亞。別にあなたが心配したり、負い目を感じるようなことなんて何もないのよ?」

理亞「……本当に? 私が迷惑かけてるからじゃないの?」

聖良「ええ。そんな訳ないでしょう?」

理亞「じゃあ、あれはただの性癖なの?」

聖良「うっ……ま、まぁ。それに近いものね」

理亞「妹と同い年の子のモノマネして、自分と同い年の子の録音に甘えて抱き枕にしがみ付くのが、姉様の性癖ってこと?」

聖良「客観的に状況を説明しないでもらえる?」

24: 2018/08/17(金) 23:19:38.08 ID:cQlqRvwq
理亞「あ、あのね姉様。他にも言いにくいことがあるんだけど」

聖良「そうね。今のあなたの胸の中には言いにくいことしかないでしょうね」

理亞「その髪型……えっと。キツい。見るに堪えないからやめて」

聖良「思ったより酷い罵倒だったわ」

聖良「え、そ、そこまで? 自分では結構イケてると思ってたんだけど……」

理亞「ごめん。……っ、無理だよ」

聖良「そんな噛み潰すように言わなくても……」

27: 2018/08/17(金) 23:26:14.19 ID:cQlqRvwq
聖良「えっと。髪型、戻した方がいい?」

理亞「出来ればそうして」

聖良「分かったわ。分かった……」イソイソ

聖良(高一でツインテールの子に言われるとは思わなかったわね……)

聖良「ほ、ほら。これでいい?」

理亞「うん。……ごめんね? 本当に、ごめんなさい」

聖良「ごめんなさいはやめて? 自分が情けなくなってくるから」

33: 2018/08/17(金) 23:33:40.55 ID:cQlqRvwq
理亞「ごめんね。私、姉様に負担かけてばっかりだったよね。これから私も、がんばルビィするから」

聖良「そうね。がんばルビィもやめてもらえる?」

理亞「食べた後の食器も水に漬けるし、脱いだ服は洗濯籠に入れるから……」

聖良「そうね。それは普通にやってもらいたいわ」

理亞「そうやってひとつひとつ改善していくから。作詞とか作曲も勉強して姉様の負担を減らしていくから、だから」

理亞「その変なこと、やめてもらっても、いいかな……?」

理亞「正直、その。うん。ものすごく、カッコ悪いから」

聖良「……」

36: 2018/08/17(金) 23:41:36.29 ID:cQlqRvwq
聖良「その変なことというのは、ルビィさんごっこのことね?」

理亞「え、ああ、うん。そう呼んでるんだ……」

聖良「ふー……。理亞、あなたには真実が見えていない」

理亞「真実?」

聖良「確かに、ぅゅぅゅ言いながら録音を流して甘えた声で抱き枕にしがみ付くのは、傍から見ると情けない姿かもしれない」

聖良「けれど、理亞。真実というものは、そんな表層にはないの。大事なことは、いつだってその裏側にある……!」

聖良「目を凝らしなさい。足を使って回り込みなさい、手を使って裏返しなさい。そうでなくては、真実を見ることは決してない」

理亞「姉様……」

理亞「さっきから適当に難しいこと言って、煙に巻こうとしてない?」

38: 2018/08/17(金) 23:46:14.82 ID:cQlqRvwq
聖良「……ふふ」

聖良「ルビィさんごっこは私の唯一の楽しみなの。後生だから奪わないで」

理亞「馬にでも乗っててよ……」

聖良「お願い、理亞! 他のことは何でもやる、あなたの最高の姉でいるから、だからルビィさんごっこだけは許して!」

理亞「こんなことで姉様に頭を下げられる日が来るなんて思ってなかったなぁ……」

44: 2018/08/17(金) 23:52:47.95 ID:cQlqRvwq
理亞「いや、さすがにルビィごっこは嫌だよ。姉様のことは尊敬してるけど、ホント、それだけは嫌」

聖良「くっ。どうして分かってくれないの……!?」

聖良「そうか、あなたもルビィさんごっこを体験すれば分かってくれるはず! 是非やってみましょう!」

理亞「嫌だよ……。何が悲しくて友達のモノマネしながら、友達の姉の録音に甘えないといけないの……」

理亞「っていうか姉ならもう間に合ってるんだけど」

聖良「そう言わずに! あなたは最初からツインテールだし、ルビィさんとも仲がいいからコツは分かるでしょう!?」

聖良「さあ、さあ!」

理亞「もうこの姉様いやだ……」

46: 2018/08/17(金) 23:56:43.72 ID:cQlqRvwq
理亞「あー、もう。分かった。とりあえずやるだけやってみる」

聖良「さすがは我が妹! かしこいでちゅねー!」

理亞「それホントやめて」

聖良「録音の再生は私がやるわね。初心者がいきなりこれを操作するのはハードルが高いから」

理亞「姉様は上級者なの? ……いや、まあいいや」

47: 2018/08/18(土) 00:02:08.99 ID:VgALnb2a
理亞「じゃあ、えっと。……お、おねえちゃん」

聖良「……」ポチッ
『何ですの、ルビィ?』

理亞「あ、っと。今日はいい天気、だね」

聖良「……」ポチッ、ポチッ
『ふふ、そうですわね。日差しが心地いいですわ……』『よければ膝、使いますか? 空いてますわよ』

理亞「え。いや、いいよ。そんなの」

聖良「は?」

理亞「え?」

聖良「冷静になりなさい理亞。今のは、――やったぁ、ぉねぃちゃぁの膝枕!と言ってダイブするところでしょう?」

理亞「冷静になるのは姉様の方だよ」

聖良「はぁ……。あなたルビィさんごっこの才能ないわ」

理亞「よかった。限られた才能がそんなものに浪費されなくて」

53: 2018/08/18(土) 00:10:08.46 ID:VgALnb2a
理亞「まぁ、とにかく。気恥ずかしいだけのものだってことは分かった」

聖良「それはあなたが自分を解放できていないからよ。己を解き放つことが出来ないあなたは、未熟者だわ」

理亞「幼児退行をカッコいい言い方してもダメだから」

理亞「さっき言った通り、私も自分の生活は改善する。だから姉様もルビィごっこはやめて。分かった?」

聖良「しゅ、週に1回は許してほしいんだけど」

理亞「……月1回」

聖良「そんな!?」

理亞「これでもかなり譲歩した! 姉の変態性癖を容認するとか、ホント、ホント悲しいんだから!」

聖良「やめて! 悲しいとか言わないで!」

54: 2018/08/18(土) 00:17:44.34 ID:VgALnb2a
聖良「わ、分かったわ。ルビィさんごっこは月に1回。約束する」

理亞「1回のルビィごっこは1時間まで」

聖良「あなた悪魔なの……?」

理亞「これ以上は譲れない! 私は自分を見直すと同時に姉様を更生させたいの、これ以上は絶対にダメ!」

聖良「ぐっ……。わ、分かったわ。1時間まで」

聖良「あ! で、でも途中で眠って1時間を過ぎた場合はその時点でタイマー無効とさせて! 起こされるのは嫌!」

理亞「往生際の悪い……。分かった、それは呑む」

聖良「ほっ」

理亞「でも、本当に月1回は守ってもらうから。……これ以上、情けない姉様は見たくない」

聖良「……善処するわ」

聖良「1ヶ月――長いわね」

55: 2018/08/18(土) 00:18:31.93 ID:VgALnb2a
なぜか分からないけどまだ終わってません。続きます
また来ます

99: 2018/08/18(土) 20:11:45.09 ID:VgALnb2a
【ぅゅ禁生活7日目】

理亞「あれから1週間か……。どう、姉様? 何ともない?」

聖良「私を見くびってもらっては困るわ。1か月間、完全にセルフコントロールしてみせる」

聖良「それに、あなたに家事や作詞を手伝ってもらえるようになったし。前より好調なくらい」ドヤッ

理亞「そう、良かった……。これなら、もうルビィごっこなんてしなくて良さそうだね」


【ぅゅ禁生活14日目】

聖良「ふーっ、ふーっ、ふー……っ」

理亞「今日で2週間……姉様、大丈夫?」

聖良「う、ぅゅ。大丈夫よ、何の問題もないわ……」

理亞「うん。今のは聞かなかったことにする」

100: 2018/08/18(土) 20:16:26.30 ID:VgALnb2a
【ぅゅ禁生活25日目】

聖良「理亞。新曲の歌詞が出来たわ。確認してもらえる?」

理亞「歌詞? ……もう。私も手伝うって言ったのに。どれどれ――」


君に飛んでけ ぅゅぅゅピギャピギャ
(ぅゅぅゅピギャピギャ ぅゅぅゅピギャピギャしちゃおう!)


聖良「( )の中はいつも通り理亞のソロパートになるわ。よろしく」

理亞「……」ビリッ

聖良「あぁっ。何で破るの、正気!?」

理亞「今の姉様に正気を問われたくはない!」

102: 2018/08/18(土) 20:23:46.87 ID:VgALnb2a
理亞「……姉様、もしかしてもう辛い?」

聖良「そ、そんなことはないわ。まだまだやれる……。ただ、ちょっとぅゅりたいだけ」

聖良「ちょっと、ほんのちょっとだけ。ぅゅみを感じてピギャりたいだけなの」

理亞「禁断症状だよね、それは」

理亞「がんばって姉様。あと5日だから。そうしたらルビィごっこも出来るから」

聖良「5日――あと5日。それだけ我慢すれば、ぉねぃちゃぁが褒めてくれる……」

理亞「う、うん……」

聖良「ぅゅ……がんばルビィ」

理亞「漏れてる! もうだいぶ漏れてるよ、姉様!」

105: 2018/08/18(土) 20:38:02.80 ID:VgALnb2a
【ぅゅ禁生活30日目】

聖良「……がじがじ」

理亞「ここ数日、ずっと棒付きキャンディ噛んでる……」

聖良「……がじが、っ!」バキッ

聖良「ぅゅ、割れちゃいましたか……次のキャンディを――がじがじ」

理亞「糖尿にならないか心配だよ……。というかこれ、我慢出来てるって言うのかな」

理亞「でも、とにかく今日で30日目。これでようやく1か月、か」

聖良「ええ、そうよ。今日で1か月……まぁ私にかかれば、この程度のセルフコントロールは余裕だけれど。がじがじ」

理亞「そう言うんならその飴がじがじするのやめてよ」

聖良「長かった。お風呂から上がったら、ダイヤぉねぃちゃぁにすべてを解き放つ……!」

聖良「今日まで溜め込んだ、私の中にあるすべての想いを! すべてのルビィさんを! ぉねぃちゃぁに受け止めてもらいます!」

理亞「……もしかして私、症状を悪化させただけだったのかも」

107: 2018/08/18(土) 20:43:36.49 ID:VgALnb2a
聖良's room

⌒゚聖良゚⌒「はーっ、はーっ。ぉねぃちゃぁ、ぉねぃちゃぁ、ぉねぃちゃぁ……」ブツブツ

理亞「え、えっと。タイマーの監視もあるし、私もここにいるから」

⌒゚聖良゚⌒「ええ、構わないわ。それより、も、もういいでしょう? そろそろ、始めてしまってもっ」ハァハァ

理亞「必死過ぎだよ……。分かった、じゃあ、タイマー進めるから――」カチッ

⌒゚聖良゚⌒「――ぅぉねぃちゃぁ! りゅびぃね、ぉねぃちゃぁに会いたかったけど、ちゃんとガマンできたよ!」

理亞「うわ……」

109: 2018/08/18(土) 20:54:34.85 ID:VgALnb2a
⌒゚聖良゚⌒「……」ポチッ
『最後までよく頑張りましたわね、ルビィ。偉いですわ』

⌒゚聖良゚⌒「がんばルビィしたごほうび、ちょうだい?」

⌒゚聖良゚⌒「……」ポチッ
『ブッブーですわ。この程度のこと、黒澤家の者として出来て当然』

⌒゚聖良゚⌒「ぅゅゅ……ごめんなさい」

⌒゚聖良゚⌒「……」ポチッ、ポチッ、ポチッ
『でも……』『今回だけ特別ですわよ?』『本当に、よく頑張りましたわね。ルビィ……』

⌒゚聖良゚⌒「わぁ……! ぉねぃちゃぁ、だいすき!」

理亞「じ、自作自演……」

112: 2018/08/18(土) 21:01:50.11 ID:VgALnb2a
⌒゚聖良゚⌒「えへへ~。ぉねぃちゃぁに抱き着くの、気持ちいい……」

⌒゚聖良゚⌒「……」ポチッ
『もう、いつまで経っても甘えん坊さんなんですから』

⌒゚聖良゚⌒「あのね、ぉねぃちゃぁ。りゅびぃのお話、聞いてくれる?」

⌒゚聖良゚⌒「……」ポチッ
『ふふ。何ですの?』

⌒゚聖良゚⌒「お店の売り上げがね、落ちちゃってるの……。若い人はあんまり来ないし、常連のおばぁちゃも入院したり」

理亞「え、今そんな話するの?」

117: 2018/08/18(土) 21:10:26.83 ID:VgALnb2a
⌒゚聖良゚⌒「将来はお店を継ぎたいけど、やっていけないかもしれなくって……」

⌒゚聖良゚⌒「だから、スクールアイドルでお客さんを増やしたり、大学で経営のこと勉強したくて受験勉強もがんばルビィしてるの」

⌒゚聖良゚⌒「……」ポチッ
『さすがは我が妹、えらいでちゅね~』

⌒゚聖良゚⌒「えへへ。それからね、それからね!」

理亞「姉様……」




118: 2018/08/18(土) 21:23:45.59 ID:VgALnb2a
⌒゚聖良゚⌒「……」ポチッ
『ふふっ、そうですか。素敵ですわね』

⌒゚聖良゚⌒「それでね、今度の曲は理亞ちゃぁと一緒に作って、ライブするの」

⌒゚聖良゚⌒「その時はぉねぃちゃぁ、りゅびぃたちの曲、聞いてくれる……?」

⌒゚聖良゚⌒「……」ポチッ
『それは楽しみですわ』

⌒゚聖良゚⌒「うん、がんばルビ――、」

ピピピピッ、ピピピピッ、

⌒゚聖良゚⌒「っ、……ふー。1時間、か。楽しい時間というのは、本当にあっという間ね。でも約束は約束……」

⌒゚聖良゚⌒「終わったわ、理亞。1時間の監視ご苦労様。この通り、私のセルフコントロールは完璧よ」キリッ

理亞「……」

⌒゚聖良゚⌒「……理亞?」

理亞「……ぅう。ぅぅぅうううう!」ポロポロ…

⌒゚聖良゚⌒「り、理亞!?」

123: 2018/08/18(土) 21:32:41.65 ID:VgALnb2a
⌒゚聖良゚⌒「え、あ。ぁ、……え!? な、何で泣くの」

理亞「だ、だって、だって……」

理亞「こんな情けない姉様の姿、1時間も見たくなかった……っ!」

⌒゚聖良゚⌒「うぐっ……!? い、いろいろ冷静になってからそういうことを言うのはやめて!」

理亞「冷静になったんならその似合ってない髪型やめて!」

⌒゚聖良゚⌒「あ。え、えっと。その。……ごめんなさい」イソイソ

聖良「ほ、ほら。これでいい?」

理亞「うぅ……」

126: 2018/08/18(土) 21:40:15.45 ID:VgALnb2a
理亞「私だって、私だってこの1か月いろいろがんばルビィしたのに……。食器は水に漬けたし、脱いだ服はかごに入れたし」

聖良「あの。それは割と常識」

理亞「それなのに、何がダメだったの……!? あんな、あんな嬉しそうに録音と自作自演で会話して……!」

聖良「自作自演とか言うのもやめてもらえる?」

理亞「姉様が録音の再生ボタンを押すとき、一瞬だけすごく真剣な顔に戻るのがすごく嫌……!」

聖良「そんなことを説明される私はもっと嫌よ!」

129: 2018/08/18(土) 21:54:39.72 ID:VgALnb2a
理亞「もう嫌……どうしたらいいか分からない……」

聖良「理亞……」

理亞「うぅ。ぅぅぅ。姉様が、姉様が変な趣味に目覚めちゃった……っ」

聖良「……」

聖良「ごめんなさい、理亞。きっと私が間違っていたのね」

理亞「姉様……?」

聖良「そうよね。姉が抱き枕にしがみ付いて、ぅゅぅゅ言っている姿を見るのは辛いわよね……」

理亞「うん……もっと早く気が付いて欲しかった」

130: 2018/08/18(土) 22:03:40.16 ID:VgALnb2a
聖良「分かった。きっと、もう一度自分を見つめ直す時が来た、そういうことね」

聖良「――約束するわ。私はもう二度と、ルビィさんごっこはやらない。今度こそ完全にぅゅ断ちしてみせる」

聖良「あなたからの信頼を、取り戻して見せる」

理亞「姉様……」

理亞「嬉しいけど、でも、大丈夫なの……? 1か月であんなに辛そうだったのに」

聖良「私なら出来る。クラッシュマインドなんか、するわけないもの」

聖良「私を信じて。理亞……」

理亞「う、うん……! 私も、私も姉様がぅゅ断ち出来るように協力する! 何でも言って!」

聖良「ふふ。頼もしいわね」

聖良「――さあ、始めましょう。私たちの第一歩を。誇りを取り戻すぅゅ断ちを」

141: 2018/08/18(土) 23:51:56.50 ID:n5YenjXw

142: 2018/08/18(土) 23:54:57.58 ID:yd1V5yDw
>>141
くそかわ

145: 2018/08/19(日) 00:02:15.21 ID:ml3CxVEg
>>141
最高かよ

146: 2018/08/19(日) 00:09:18.64 ID:mYu+Cxl5
>>141
何で外でプレイするんだよ姉様

147: 2018/08/19(日) 00:19:02.18 ID:PTW008s8
>>141
ひっでぇコラでワロタww

173: 2018/08/19(日) 22:13:27.99 ID:GD7XaaBz
教師「さて、ここは重要な場面ですね。“私”と幼馴染のサウスバードさんが会話をするシーンです」

教師「ふむ。では次の文、鹿角さん、お願いできますか」

聖良「ぅゅ」

教師「ん? ……鹿角さん、今なんて?」

聖良「はい? 何か?」

教師「……い、いえ。何でもありません。それでは、読んでもらえますか」

聖良「はい――しゃぅすばーどが私に言うには、おんにゃの子がおんにゃの子を好きになるのは当然なのだそうでしゅ」

聖良「例えばおさにゃにゃじみくらい親密な関係ならむしろ好きにならないほうがおかしい、とそう語るのでしゅ」

教師「……」

生徒「「……」」

聖良「……先生?」

174: 2018/08/19(日) 22:21:14.08 ID:GD7XaaBz
教師「え、あ。はい。……はい?」

聖良「えっと。まだ読みますか」

教師「いえ。……やめときましょう、その。はい。鹿角さん、調子悪いようだし……」

聖良「? 別に調子は悪くありませんけど」

教師「いえ、うん……うん。あっと、じゃあ次の文を――、」


理亞「姉様、ぅゅ断ちしてだいぶ経つけど、どう? 辛くない?」

聖良「まったく問題はないわ。この程度、私にとっては試練にすらならないのかも」

理亞「さすが姉様! 良かった……。私、授業中に変な発作が起きたらどうしようかって」

聖良「ふふ、私に限ってそんなことあるわけないでしょう?」

175: 2018/08/19(日) 22:34:55.85 ID:GD7XaaBz
聖良「さ、帰りましょうか。晩ご飯はラッキーピエ でいい? ポテトが食べたい」

理亞「姉様、最近よくポテト食べるね?」

聖良「そう? そうでもないと思うけど。――あ、ついでに本屋にも寄っていい?」

理亞「何か買うの?」

聖良「ええ、ちょっと、どうぶつ図鑑を。象が見たくて」

理亞「ぞ、象? いや、まあいいけど」

177: 2018/08/19(日) 22:50:17.14 ID:GD7XaaBz
聖良(ぅゅ断ちを始めてから2か月。今はもうすっかり安定しているけれど、正直に言うと最初のうちは辛かった)

聖良(近所の犬に会った時、授業で問題の回答を求められた時、事あるごとにピギりかけてしまった……)

聖良(でも、強い意志で耐えてきた。冷蔵庫から理亞のプリンを勝手に食べたりして、精神を安定させることに努めた)

聖良(その甲斐もあって、今ではすっかり元通りの私。これでもう理亞に心配をかけることもないだろう)

聖良(本当に理亞には情けない姿を見せてしまった。これからはまた姉として、彼女に良い背中を見せられたらと思う)

聖良「象しゃんかわいい……キリンしゃんもいいな」


聖良(そうして、何の問題もなく時は過ぎ去り、ぅゅ断ち3ヶ月――事件は起きる)

ダイヤ「おや聖良さん。ご機嫌よう、こんなところで奇遇ですわね」

聖良「……」

聖良(運命は、残酷だ)

183: 2018/08/19(日) 22:56:25.59 ID:GD7XaaBz
ダイヤ「はて。どうしたんですの? 声をかけるなり固まったりして」

聖良「……ぉねぃちゃぁ」ボソッ

ダイヤ「え? 今、なにか?」

聖良「っ、い、いえ。何でもありません……っ。はー、はー、はーっ」

ダイヤ「ど、どうしたんですの? 息が荒いようですが、体調が悪いのですか?」

聖良「ち、近寄らないでください!」

ダイヤ「!?」

聖良「お願いです、近寄らないで……。それ以上は、私の中の大いなる闇が溢れ、すべてが無へと……」

ダイヤ「善子さんのマネですの……?」

聖良「善子さんごっこ! そういうのもあるんですね……でも今は違うんです」

186: 2018/08/19(日) 23:02:40.68 ID:GD7XaaBz
ダイヤ「よく分かりませんが、体調が悪いなら病院へ行かないと。お連れしましょうか?」

聖良「手、つないでくれりゅ……?」

ダイヤ「え?」

聖良「ぐ、ぁぁぁぁっ!? 鎮まれ、鎮まれ私の中のりゅびぃ……!」

ダイヤ「りゅ、りゅびぃ? あの、うちの妹が何か?」

聖良「妹……妹? ぅぐ、ぅゅゅゅゅ……っ1」

ダイヤ「え、何ですのそのうめき声。苦しんでるんですの?」

188: 2018/08/19(日) 23:11:08.03 ID:GD7XaaBz
ダイヤ「あの。本当に調子が悪いなら病院へ」

聖良「だ、大丈夫……大丈夫です。この程度のこと、なんてことは……っ」ゼーッ、ゼーッ

ダイヤ「……まったく」

ダイヤ「ほら、行きますわよ。あなたはどうにも他人を頼らないのが困りものですわ。美徳ではあるんでしょうけど」

ダイヤ「でも少しくらい、頼ってもいいではありませんか。――ね?」ニコッ

聖良「……ぅゅ、ごめんなしゃぃ――理亞」

ダイヤ「え?」

聖良「ぅぉねぃちゃぁ!!」ダキッ

ダイヤ「ピギャァァァァァァ!?」

189: 2018/08/19(日) 23:18:59.85 ID:GD7XaaBz
聖良「ぉねぃちゃぁ、ぉねぃちゃぁ、ぉねぃちゃぁ!」スリスリ

ダイヤ「な、ななななな何事ですのいったい!?」

聖良「ぉねぃちゃぁ……りゅびぃ、がんばルビィしたけどもうダメなの。ぅゅぅゅしてないと気が持たないの……」

ダイヤ「何のことですか!? あなたはルビィではないでしょう!」

聖良「ぉねぃちゃ、りゅびぃのこと、きらい……?」

ダイヤ「好きとか嫌いとかって問題ではありませんわ! 思い出しなさい、あなたは聖良っ、鹿角聖良ですわ!」

聖良「ぅゅ……でも、聖良さんじゃダメなの……」

ダイヤ「自分のことさん付けして何言ってるんですの、あなた」

191: 2018/08/19(日) 23:24:29.45 ID:GD7XaaBz
聖良「聖良さんじゃ、甘えられないもん……」

ダイヤ「はぁ?」

聖良「りゅびぃなら、いっぱい甘えられるもん! ぉねぃちゃぁが優しくしてくれるもん!」

ダイヤ「あなた屋外で叫んでるってこと理解してます?」

聖良「ぅゅ……ごめんなしゃい」

ダイヤ「はぁ……まったく。正直ついて行けませんが、何となくは察しましたわ」

ダイヤ「しかし、それでルビィの真似とは。変なところでネジが飛びましたわね、あなたも」

聖良「ピギィ……」

ダイヤ「いいじゃありませんか」

聖良「ぅゅ?」

193: 2018/08/19(日) 23:31:11.58 ID:GD7XaaBz
ダイヤ「正直に言うと、気持ちは分かりますもの。プライドが邪魔して素直に甘えられない気持ち」

ダイヤ「姉として、己として、積み上げてきたものがある。そう簡単に甘えることなど出来はしない……」

ダイヤ「でも、それでわざわざ他人のマネをする必要なんてありませんわ。あなたのままで、聖良さんのままでいい」

聖良「……」

ダイヤ「それとも、不安ですか? 自分のまま甘えて、それを否定されてしまうことが」

聖良「……私は」

ダイヤ「ふふ。結構可愛らしいところもあるんですのね、あなたも」

ダイヤ「私で良ければ少しくらいは甘えてくれても構いませんわよ? 否定したり、しませんわ」

195: 2018/08/19(日) 23:31:51.29 ID:GD7XaaBz
聖良「……いいん、ですか。私のまま、あなたに甘えてしまって」

ダイヤ「ええ。もちろん」

聖良「……」ゴクッ

聖良「ぉ、……おねえちゃん///」

ダイヤ「……」

聖良「な、何とか言ってくださいっ!」

ダイヤ「んまああああああああ!?」

聖良「!?」ビクッ

197: 2018/08/19(日) 23:37:10.53 ID:GD7XaaBz
ダイヤ「何ですの!? 何ですの、聖良! お姉ちゃんに何でも言ってくれて構いませんわよ!」

ダイヤ「飴が欲しいんですの、もう、ちかたないですわね~。特別ですわよ~?」

聖良「え、あ、あの」

ダイヤ「あ、一緒におやつでも食べに行きますか? あそこにちょうどいい店がありますわ、抹茶アイスを食べましょう!」

聖良「あそこ、うちの店です……一番単価の高いものを食べてください」

ダイヤ「それとも買い物がいいですか、そうですわね可愛い服を買いに行きませんと! ふふ、ふふふふ……!」

聖良「なにこれ怖い」

204: 2018/08/19(日) 23:43:02.11 ID:GD7XaaBz
ダイヤ「さあ、行きましょう聖良? お姉ちゃんと一緒に! うふふふふ」

聖良「いえ、その……」

聖良「やっぱり、いいです。なんか、こういうのじゃないので……」

ダイヤ「」

聖良「あの。お疲れさまでした。いきなり抱き付いたりして、すみません」

聖良「それじゃあ……」

ダイヤ「」




206: 2018/08/19(日) 23:44:07.27 ID:GD7XaaBz
理亞「最近はすっかり元通りだね。もうルビィごっこ、やってない?」

聖良「ええ。……なんかもう、妹はいいわ」

理亞「え?」

聖良「じゃあ自室に戻るから。おやすみ」


聖良「もしもし、ダイヤさん? 私です。はい、はい」

聖良「ふふ、そうですか。私たちも、姉としてしっかりやらないと。それはそれとして――」

聖良「相談、乗ってもらってもいいですか? 少し、甘えたい気分です」

聖良「ええ。――ありがとう」


おしまい

207: 2018/08/19(日) 23:45:28.13 ID:GD7XaaBz
これにておしまいです
レス、コラ、絵など本当にありがとうございます

ルビィちゃんごっこはストレス解消に良いのでおススメです
今日のような日曜の夜、会社に行きたくない想いをぉねぃちゃぁにぶつけると最高です

409: 2018/09/08(土) 21:20:44.89 ID:jMtH5ciI
ぅゅ...ぉねぃちゃぁと聖良さんの、イラストを描いてもらったよ
>>206からの後日談としてリクエストしたぅゅ

ラブライブ!お絵描きスレ25.1
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1534245819/263

263: 2018/09/08(土) 10:18:42.48 ID:Tdy92g910
>>256
どもども
あのss完成度高いいいい

「手、繋ぎませんの?」
no title

410: 2018/09/09(日) 02:11:22.94 ID:opC/LNyN
>>409
んまーーーーー!!!(歓喜)

411: 2018/09/09(日) 05:44:43.23 ID:Aqo8IhNU
>>409
ほー。いいじゃないか、うん。

というかこのスレ、SSが終わってから200も進んでるのか。もう何が何だか

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1534245819/

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1534513145/

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