1: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:14:02.34 ID:/45/Maa9
梢「ごめんなさいね花帆さん。備品整理の手伝いなんてさせて」
花帆「いえ、こんなの朝飯前ですよ。それに、センパイだけに働かせるなんて後輩として許せませんっ」ムンッ
梢「ふふっ。そう言って貰えると嬉しいわ。両手が備品で塞がっていなければ頭を撫でているところよ」
花帆「えへへ。じゃあご褒美は整理の後でお願いしますっ」
梢「えぇ勿論。最近いいお茶菓子が手に入って……あ、花帆さん、足に荷物が──」
花帆「え……うわっ、うわわっ!」
ガシャーンッ!!
花帆「いてて……」
梢「だ、大丈夫花帆さん。怪我はない? どこか折れていないかしら……」オロオロ
花帆「よっと……。軽い打ち身っぽいので大丈夫です。ほら、元気いっぱいですよ!」ムキッ
梢「そう……よかったわ。花帆さんに何かあったら大変だもの」ホッ
花帆「あはは……。ごめんなさいあたしの不注意で。さて、足にも気を付けて続きをっと……ん?」チラッ
花帆「なんだろう、この古ぼけたノート。随分年季が入ってるみたいだけど……」ヒョイッ
花帆「いえ、こんなの朝飯前ですよ。それに、センパイだけに働かせるなんて後輩として許せませんっ」ムンッ
梢「ふふっ。そう言って貰えると嬉しいわ。両手が備品で塞がっていなければ頭を撫でているところよ」
花帆「えへへ。じゃあご褒美は整理の後でお願いしますっ」
梢「えぇ勿論。最近いいお茶菓子が手に入って……あ、花帆さん、足に荷物が──」
花帆「え……うわっ、うわわっ!」
ガシャーンッ!!
花帆「いてて……」
梢「だ、大丈夫花帆さん。怪我はない? どこか折れていないかしら……」オロオロ
花帆「よっと……。軽い打ち身っぽいので大丈夫です。ほら、元気いっぱいですよ!」ムキッ
梢「そう……よかったわ。花帆さんに何かあったら大変だもの」ホッ
花帆「あはは……。ごめんなさいあたしの不注意で。さて、足にも気を付けて続きをっと……ん?」チラッ
花帆「なんだろう、この古ぼけたノート。随分年季が入ってるみたいだけど……」ヒョイッ
2: (調整中) 2023/09/13(水) 20:15:12.80 ID:/45/Maa9
梢「あぁ、それ。懐かしいわね」
花帆「知ってるんですか?」
梢「えぇ。そうね、何というのかしら。蓮ノ空スクールアイドルクラブに代々受け継がれる……秘奥のようなものね」
花帆「ひ、秘奥!? ちょ、ちょっとだけ整理を中断しますっ!」ペラリペラ
花帆「ふんふん。ふんふん」ヨミヨミ
花帆「……なるほど。つまりこれは、難しい振り付けが載ってるノートなんですね」
梢「その認識で相違ないわ。蓮ノ空に在籍した歴代の振付師、彼らが考案した幾つもの振り付けが載っているの」
梢「完成させられれば喝采間違いなし。けれど、習得難易度は高い。怪我の可能性だってある危険な代物なの」
梢「とはいえ、届かぬ高みだからこそ、人は手を伸ばしてしまうのかしらね……」トオイメ
花帆「ふんふん……。訳知り顔ですけど、梢センパイも挑戦したことあるんですか?」
花帆「知ってるんですか?」
梢「えぇ。そうね、何というのかしら。蓮ノ空スクールアイドルクラブに代々受け継がれる……秘奥のようなものね」
花帆「ひ、秘奥!? ちょ、ちょっとだけ整理を中断しますっ!」ペラリペラ
花帆「ふんふん。ふんふん」ヨミヨミ
花帆「……なるほど。つまりこれは、難しい振り付けが載ってるノートなんですね」
梢「その認識で相違ないわ。蓮ノ空に在籍した歴代の振付師、彼らが考案した幾つもの振り付けが載っているの」
梢「完成させられれば喝采間違いなし。けれど、習得難易度は高い。怪我の可能性だってある危険な代物なの」
梢「とはいえ、届かぬ高みだからこそ、人は手を伸ばしてしまうのかしらね……」トオイメ
花帆「ふんふん……。訳知り顔ですけど、梢センパイも挑戦したことあるんですか?」
3: (調整中) 2023/09/13(水) 20:16:24.27 ID:/45/Maa9
梢「えぇ、まあ。けれど、悉く失敗に終わったのだけれどね。例えば……そうね」
梢「こう……」タンッ
梢「こうして……」タタンッ
梢「けれどっ、ここの足の入れ替えが……っ」タタッ…
ガタッ
花帆「わわっ」ガシッ
梢「……ごめんなさいね。この通り、体に染みつくほど練習はしたのだけれど習得できなかったのよ」
花帆「梢センパイでも難しいんだ……。じゃあ、あたしにはとてもできそうにないなぁ……」
梢「……いえ、そんなことないわ」ポンッ
花帆「そうですかね……?」
梢「花帆さん、頑張り屋だもの。それに、目標をこれと定めた時、発揮される力は蓮ノ空随一だと思うわ」
花帆「……えへへ。そんな褒めても何も出ませんよ」カポッ
梢「ふふっ。本心よ花帆さん」ナデナデ
花帆「えへへ……」
梢「でもまずは、この整理を終わらせないとね。再開しましょう? ご褒美までどんどん遠のいてしまうわ」
花帆「あ、そうだったっ。よしっ、頑張るぞ~!」オー!
花帆「えっさ、ほいさっ……」
花帆「……」
花帆「梢センパイはああ言ってくれたけど、今のあたしにはとても……だよねぇ」
梢「こう……」タンッ
梢「こうして……」タタンッ
梢「けれどっ、ここの足の入れ替えが……っ」タタッ…
ガタッ
花帆「わわっ」ガシッ
梢「……ごめんなさいね。この通り、体に染みつくほど練習はしたのだけれど習得できなかったのよ」
花帆「梢センパイでも難しいんだ……。じゃあ、あたしにはとてもできそうにないなぁ……」
梢「……いえ、そんなことないわ」ポンッ
花帆「そうですかね……?」
梢「花帆さん、頑張り屋だもの。それに、目標をこれと定めた時、発揮される力は蓮ノ空随一だと思うわ」
花帆「……えへへ。そんな褒めても何も出ませんよ」カポッ
梢「ふふっ。本心よ花帆さん」ナデナデ
花帆「えへへ……」
梢「でもまずは、この整理を終わらせないとね。再開しましょう? ご褒美までどんどん遠のいてしまうわ」
花帆「あ、そうだったっ。よしっ、頑張るぞ~!」オー!
花帆「えっさ、ほいさっ……」
花帆「……」
花帆「梢センパイはああ言ってくれたけど、今のあたしにはとても……だよねぇ」
4: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:17:35.89 ID:/45/Maa9
──
花帆「う~ん……困ったなぁ」
さやか「……」カリカリ
花帆「くまったくまった」
さやか「……」ペラッ、カリカリ
花帆「熊がいっぱいくまった体操だねこれは」ムムム
瑠璃乃「お~疲れさまでぇ~すっ! 大沢瑠璃乃、現着致しました~!」バンッ
さやか「……あ、瑠璃乃さん。こんにちは」
瑠璃乃「こんちは! さやかちゃんはお勉強? お主も好きよのう……」ニッシッシ
さやか「好きというか、課題ですから。先輩方が来る前に終わらせておこうと思って」
瑠璃乃「なるほどねぇ。花帆ちゃんもおっは~!」
花帆「う~ん、くまった大賞、受賞間違いなしだねこれは……」ムムッ
瑠璃乃「って、おろろ? どしたの花帆ちゃん、そんなに悩んで」
さやか「あ……瑠璃乃さんっ!」コソッ
瑠璃乃「え、なに──」
花帆「う~ん……困ったなぁ」
さやか「……」カリカリ
花帆「くまったくまった」
さやか「……」ペラッ、カリカリ
花帆「熊がいっぱいくまった体操だねこれは」ムムム
瑠璃乃「お~疲れさまでぇ~すっ! 大沢瑠璃乃、現着致しました~!」バンッ
さやか「……あ、瑠璃乃さん。こんにちは」
瑠璃乃「こんちは! さやかちゃんはお勉強? お主も好きよのう……」ニッシッシ
さやか「好きというか、課題ですから。先輩方が来る前に終わらせておこうと思って」
瑠璃乃「なるほどねぇ。花帆ちゃんもおっは~!」
花帆「う~ん、くまった大賞、受賞間違いなしだねこれは……」ムムッ
瑠璃乃「って、おろろ? どしたの花帆ちゃん、そんなに悩んで」
さやか「あ……瑠璃乃さんっ!」コソッ
瑠璃乃「え、なに──」
5: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:18:47.12 ID:/45/Maa9
花帆「えっ、あたし悩んでるように見えたっ!?」
瑠璃乃「え……うん。だってくまったくまったって……」
さやか「あぁ……。これはしつこいですよ……」
花帆「そっかぁ、悩んでるように見えちゃったかぁ。そっかそっかぁ、なら仕方ないよねぇ。瑠璃乃ちゃん、あたしの悩み聞きたい?」
瑠璃乃「え゛っ。まあ……。というか、悩み聞きたい? なんて言い方、ルリ初めて聞いたなあ」
花帆「そっかそっか。それなら言うしかないよね……ふぅ」
花帆「えっとね、梢センパイがね、あたしを甘やかしすぎなんじゃないかって、ちょっと悩んでるんだぁ」フゥ…
さやか「……」
瑠璃乃「へぇ~。確かに、梢先輩って花帆ちゃんにはなんとゆーか……甘いってゆーか、そると、って感じだよね」
さやか「ソルトは塩です瑠璃乃さん……」
花帆「たはーっ」ペシッ
花帆「そっかそっか。瑠璃乃ちゃんの目にもそう見えてたかぁ……。だよねだよね~。あたしもそれがも~困っちゃって。ねぇ、どうしたらいいのかなぁ、あたし」
瑠璃乃「どうしたらって、甘やかして貰えるならそのままでもいいんでね?」
花帆「う~ん、でもなあ、このままってのはどうなのかなぁ……」ウ~ン…
瑠璃乃「え……うん。だってくまったくまったって……」
さやか「あぁ……。これはしつこいですよ……」
花帆「そっかぁ、悩んでるように見えちゃったかぁ。そっかそっかぁ、なら仕方ないよねぇ。瑠璃乃ちゃん、あたしの悩み聞きたい?」
瑠璃乃「え゛っ。まあ……。というか、悩み聞きたい? なんて言い方、ルリ初めて聞いたなあ」
花帆「そっかそっか。それなら言うしかないよね……ふぅ」
花帆「えっとね、梢センパイがね、あたしを甘やかしすぎなんじゃないかって、ちょっと悩んでるんだぁ」フゥ…
さやか「……」
瑠璃乃「へぇ~。確かに、梢先輩って花帆ちゃんにはなんとゆーか……甘いってゆーか、そると、って感じだよね」
さやか「ソルトは塩です瑠璃乃さん……」
花帆「たはーっ」ペシッ
花帆「そっかそっか。瑠璃乃ちゃんの目にもそう見えてたかぁ……。だよねだよね~。あたしもそれがも~困っちゃって。ねぇ、どうしたらいいのかなぁ、あたし」
瑠璃乃「どうしたらって、甘やかして貰えるならそのままでもいいんでね?」
花帆「う~ん、でもなあ、このままってのはどうなのかなぁ……」ウ~ン…
7: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:19:58.34 ID:/45/Maa9
さやか「……では、わたしから梢先輩に言っておきましょうか? 花帆さんにもっと厳しくしてください、と」
花帆「そ、それはだめだよ!」
さやか「なぜですか? 甘やかされることに困っているなら、その逆。厳しく指導されるしか選択の余地はありませんよ」
花帆「う~ん、そっかぁ。さやかちゃんにわかんないかぁ。ごめんね」ペロッ
さやか「……」イラッ
瑠璃乃「……あれ。何この空気」
さやか「花帆さん、最近あなた、梢先輩への惚気が酷くなっていませんか?」
花帆「えぇ? 惚気だなんて、あたし達はただのユニットだよ~。それに女の子同士なんだから惚気だなんてそんなぁ……」
さやか「……ほら、それですよ。惚気の一文字目、これは惚れるとも読みますが、惚けるとも読むんです」
さやか「のろけとは往々にして、そうした恣意的な惚け方をするものなんです」
花帆「そう言われてもなぁ……。ごめんっ、さやかちゃんっ、わかんないや!」タハーッ
さやか「……」イライラッ
花帆「そ、それはだめだよ!」
さやか「なぜですか? 甘やかされることに困っているなら、その逆。厳しく指導されるしか選択の余地はありませんよ」
花帆「う~ん、そっかぁ。さやかちゃんにわかんないかぁ。ごめんね」ペロッ
さやか「……」イラッ
瑠璃乃「……あれ。何この空気」
さやか「花帆さん、最近あなた、梢先輩への惚気が酷くなっていませんか?」
花帆「えぇ? 惚気だなんて、あたし達はただのユニットだよ~。それに女の子同士なんだから惚気だなんてそんなぁ……」
さやか「……ほら、それですよ。惚気の一文字目、これは惚れるとも読みますが、惚けるとも読むんです」
さやか「のろけとは往々にして、そうした恣意的な惚け方をするものなんです」
花帆「そう言われてもなぁ……。ごめんっ、さやかちゃんっ、わかんないや!」タハーッ
さやか「……」イライラッ
9: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:21:09.32 ID:/45/Maa9
瑠璃乃「あ、あぁ~! 見て二人共! 空におっきな飛行機がふよふよ飛んでるよぉ~!」
花帆「ほんとだ。おっきいね!」
瑠璃乃「う゛ん゛う゛ん゛!」
花帆「梢センパイに抱きしめられるとね、あの飛行機みたいにおっきくて安心するんだぁ~」
瑠璃乃「え゛ぇ゛っ゛」
さやか「なんですかなんなんですか。その執拗なまでの梢先輩自慢は。いい加減にしてください」
花帆「いいじゃん、少しくらい梢センパイの話をしたって」
さやか「少し? これのどこが少しなんですか。瑠璃乃さんが来るまでずっと悩んだ振りして会話の機会を伺ってた癖に!」
花帆「そ、そんなことないもん! ちょ~っと足と手を組んでうんうん唸ってただけだもん!」
さやか「うんうん言うのは瑠璃乃さんだけで間に合ってます!」
瑠璃乃「……え、なんでルリに飛び火してんのこれ」
さやか「そもそも花帆さんは──」
花帆「ほんとだ。おっきいね!」
瑠璃乃「う゛ん゛う゛ん゛!」
花帆「梢センパイに抱きしめられるとね、あの飛行機みたいにおっきくて安心するんだぁ~」
瑠璃乃「え゛ぇ゛っ゛」
さやか「なんですかなんなんですか。その執拗なまでの梢先輩自慢は。いい加減にしてください」
花帆「いいじゃん、少しくらい梢センパイの話をしたって」
さやか「少し? これのどこが少しなんですか。瑠璃乃さんが来るまでずっと悩んだ振りして会話の機会を伺ってた癖に!」
花帆「そ、そんなことないもん! ちょ~っと足と手を組んでうんうん唸ってただけだもん!」
さやか「うんうん言うのは瑠璃乃さんだけで間に合ってます!」
瑠璃乃「……え、なんでルリに飛び火してんのこれ」
さやか「そもそも花帆さんは──」
10: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:22:20.89 ID:/45/Maa9
~~~~
慈「──ということがあったのです」
綴理「お~……。かほもさやもヒートアップだ」
梢「……というかそもそも、どうして部室に盗聴器が仕込んであるのよ」
慈「いや、普通に聞き耳立ててただけ。一年生だけの会話ってどんなのかなぁって思ってさ」
梢「それはそれで頭が痛いのだけれど……。それで、私にそれを言ってどうするのよ」
慈「え、聞いててわかんなかった? 大問題じゃん。ねぇ綴理」
綴理「うん。ボクはすぐに分かった」
慈「ほら見なさい梢。ちなみに綴理はどこが問題だって思ったの?」
綴理「めぐのモノマネには悪意がある」
慈「そこぉ!?」
梢「なに、漫才するつもりなら帰るけれど」
慈「違うって! あぁ、もうっ。綴理がいるとペースが乱れる! 私が言いたいのはっ、このままじゃるりちゃんがヤバいってこと!」
慈「──ということがあったのです」
綴理「お~……。かほもさやもヒートアップだ」
梢「……というかそもそも、どうして部室に盗聴器が仕込んであるのよ」
慈「いや、普通に聞き耳立ててただけ。一年生だけの会話ってどんなのかなぁって思ってさ」
梢「それはそれで頭が痛いのだけれど……。それで、私にそれを言ってどうするのよ」
慈「え、聞いててわかんなかった? 大問題じゃん。ねぇ綴理」
綴理「うん。ボクはすぐに分かった」
慈「ほら見なさい梢。ちなみに綴理はどこが問題だって思ったの?」
綴理「めぐのモノマネには悪意がある」
慈「そこぉ!?」
梢「なに、漫才するつもりなら帰るけれど」
慈「違うって! あぁ、もうっ。綴理がいるとペースが乱れる! 私が言いたいのはっ、このままじゃるりちゃんがヤバいってこと!」
11: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:23:32.21 ID:/45/Maa9
梢「やばい、とは。具体的には?」
慈「るりちゃん、昔から喧嘩の仲裁とかを買って出てたの。でも、それが原因で充電切れを起こすようになって、人を避けるようになっちゃって……」
慈「このまま花帆ちゃんの惚気が原因でさやかちゃんが苛立ってたら、それが飛び火してるりちゃんがサージしちゃう!」パーンッ!!
綴理「ふむ。それが問題だったか」
梢「……確かに、瑠璃乃さんの心労は心配ね。けれど、根本的な解決を望むなら花帆さんに手を打つべきじゃないの?」
慈「それで花帆ちゃんが変わっちゃったら、るりちゃんが責任を感じる。自分のせいで花帆ちゃんを歪めてしまったって」
梢「なるほど……。あの娘、明朗快活だけれど、硝子のように繊細な性格だものね」
慈「でしょ? だからさ、梢にどうにかして貰うのが一番なの。やっぱこういう時は、先輩がどうにかしないとね」
梢「そうは言っても、私はどうすればいいのよ」
慈「それは……」ウ~ン
綴理「こず、それは簡単だ」
梢「……一応聞くけれど、何かしら」
綴理「こずがかほを甘やかしたのが原因なら、かほを甘やかさなければいい」
慈「るりちゃん、昔から喧嘩の仲裁とかを買って出てたの。でも、それが原因で充電切れを起こすようになって、人を避けるようになっちゃって……」
慈「このまま花帆ちゃんの惚気が原因でさやかちゃんが苛立ってたら、それが飛び火してるりちゃんがサージしちゃう!」パーンッ!!
綴理「ふむ。それが問題だったか」
梢「……確かに、瑠璃乃さんの心労は心配ね。けれど、根本的な解決を望むなら花帆さんに手を打つべきじゃないの?」
慈「それで花帆ちゃんが変わっちゃったら、るりちゃんが責任を感じる。自分のせいで花帆ちゃんを歪めてしまったって」
梢「なるほど……。あの娘、明朗快活だけれど、硝子のように繊細な性格だものね」
慈「でしょ? だからさ、梢にどうにかして貰うのが一番なの。やっぱこういう時は、先輩がどうにかしないとね」
梢「そうは言っても、私はどうすればいいのよ」
慈「それは……」ウ~ン
綴理「こず、それは簡単だ」
梢「……一応聞くけれど、何かしら」
綴理「こずがかほを甘やかしたのが原因なら、かほを甘やかさなければいい」
12: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:24:43.28 ID:/45/Maa9
梢「……逆転の発想ね。けれど──」
慈「いや……それだっ!」ビシッ!
梢「え……」
慈「ただ逆張りしただけの貧困な発想かと思ったけど、それが一番かも!」
綴理「逆張り貧困て。ボクなんなの」
慈「私も常々思ってた! 梢あんた、花帆ちゃんとの間に作る空気が泥甘すぎ!」
梢「ど、泥甘って何よ……」
慈「ココアを飲むと底の方に泥みたいな塊が残るでしょ? めちゃくちゃ甘い奴。あれを周囲に振りまいてんの! もう公害とおんなじ!」
梢「そ、そんな言われるほど甘やかな雰囲気なんて──」
慈「だまらっしゃい。あんたの使命は花帆ちゃんを甘やかさないこと。そして、あんたも花帆ちゃん離れすること」
梢「甘やかさないことはまだ分かるけれど、花帆さん離れって……」
慈「梢ってさ、隙が無いように見えて割と依存気質でしょ? 自覚ないだろうけど、花帆ちゃんにずぶずぶだよね」
梢「……そ、それじゃあ綴理はどうなるのよ。さやかさんにおんぶに抱っこの状態よ?」
綴理「ボク?」
慈「ボクはもういいの。二つの棒が支え合うと書いて人だけど、さやかちゃんが綴理を背負って人と読むんだねきっと」
綴理「ボクなんなの~」
ナンナノ~
ナンナノ~
ナンナノ~
慈「いや……それだっ!」ビシッ!
梢「え……」
慈「ただ逆張りしただけの貧困な発想かと思ったけど、それが一番かも!」
綴理「逆張り貧困て。ボクなんなの」
慈「私も常々思ってた! 梢あんた、花帆ちゃんとの間に作る空気が泥甘すぎ!」
梢「ど、泥甘って何よ……」
慈「ココアを飲むと底の方に泥みたいな塊が残るでしょ? めちゃくちゃ甘い奴。あれを周囲に振りまいてんの! もう公害とおんなじ!」
梢「そ、そんな言われるほど甘やかな雰囲気なんて──」
慈「だまらっしゃい。あんたの使命は花帆ちゃんを甘やかさないこと。そして、あんたも花帆ちゃん離れすること」
梢「甘やかさないことはまだ分かるけれど、花帆さん離れって……」
慈「梢ってさ、隙が無いように見えて割と依存気質でしょ? 自覚ないだろうけど、花帆ちゃんにずぶずぶだよね」
梢「……そ、それじゃあ綴理はどうなるのよ。さやかさんにおんぶに抱っこの状態よ?」
綴理「ボク?」
慈「ボクはもういいの。二つの棒が支え合うと書いて人だけど、さやかちゃんが綴理を背負って人と読むんだねきっと」
綴理「ボクなんなの~」
ナンナノ~
ナンナノ~
ナンナノ~
13: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:25:56.02 ID:/45/Maa9
慈「とりあえず、梢は花帆ちゃんを甘やかさない。効果が出なかったら戻すから。やるだけやってみようよ」
梢「はぁ……肚を決めるしかないようね。獅子は我が子を千尋の谷に落とすと言うし……」
梢「よし……何があっても花帆さんを甘やかさないっ! 私は今から、泣く子も黙り込む悪鬼羅刹となるわ!」
慈「梢は元々鬼じゃん」
梢「……」ペシッ
慈「いたあっ!? 親にもぶたれたことそんなにないのにっ!」
綴理「お~、よしよし。グッドボーイグッドボーイ……」ナデナデ
慈「私は犬でもなければ男でもないっ!」ペシッ
梢「はぁ……肚を決めるしかないようね。獅子は我が子を千尋の谷に落とすと言うし……」
梢「よし……何があっても花帆さんを甘やかさないっ! 私は今から、泣く子も黙り込む悪鬼羅刹となるわ!」
慈「梢は元々鬼じゃん」
梢「……」ペシッ
慈「いたあっ!? 親にもぶたれたことそんなにないのにっ!」
綴理「お~、よしよし。グッドボーイグッドボーイ……」ナデナデ
慈「私は犬でもなければ男でもないっ!」ペシッ
14: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:27:06.25 ID:/45/Maa9
──
花帆「はふ~。今日も練習疲れたなぁ」
梢「お疲れ様。はい、お茶菓子に紅茶の準備は済んでいるわよ」
花帆「わ~いっ! 梢センパイだ~いすき!」ギュッ
梢「……っ」ビクッ
梢(抱きしめたい! なでなでしたい! 私と同じ香水をしてるのに花帆さん特有の甘い香りのする首筋を嗅ぎたい!)
梢(でも……だめよ、だめよ乙宗梢……っ。心を悪鬼羅刹と化すのよ乙宗梢……っ!!)
梢「……ほら花帆さん。紅茶が冷めてしまうわよ」トン
花帆「え……はい」ストン
花帆「もぐもぐ……ごくごく……」
瑠璃乃「おいしいっ! すっげーおいしい! 梢先輩流石っす!」モグモグ
慈「あぁ、るりちゃん、食べ滓が口元に……」ソッ…
慈「……いや」ピタッ
慈(梢っ)パチパチ ※アイコンタクト
花帆「はふ~。今日も練習疲れたなぁ」
梢「お疲れ様。はい、お茶菓子に紅茶の準備は済んでいるわよ」
花帆「わ~いっ! 梢センパイだ~いすき!」ギュッ
梢「……っ」ビクッ
梢(抱きしめたい! なでなでしたい! 私と同じ香水をしてるのに花帆さん特有の甘い香りのする首筋を嗅ぎたい!)
梢(でも……だめよ、だめよ乙宗梢……っ。心を悪鬼羅刹と化すのよ乙宗梢……っ!!)
梢「……ほら花帆さん。紅茶が冷めてしまうわよ」トン
花帆「え……はい」ストン
花帆「もぐもぐ……ごくごく……」
瑠璃乃「おいしいっ! すっげーおいしい! 梢先輩流石っす!」モグモグ
慈「あぁ、るりちゃん、食べ滓が口元に……」ソッ…
慈「……いや」ピタッ
慈(梢っ)パチパチ ※アイコンタクト
15: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:28:17.47 ID:/45/Maa9
梢(何よ慈……。私、今傷心中なの……)パチパチ
慈(るりちゃんの口を拭ってあげて!)パチパチ
梢(そんなの、慈がすればいいじゃない)パチパチ
慈(やりなさい! コマンダーとしての命令!)パチパチ
梢(……イエスマム)パチパチ
梢「ほら、瑠璃乃さん。口元が汚れてしまってるわよ」フキフキ
瑠璃乃「あ、すみませんっ。でも、めっちゃ美味しくてついがっついちゃいました!」ニコッ
梢「ふふっ。子供のように無垢な笑顔ね。そこが瑠璃乃さんの魅力よね」フキフキ
瑠璃乃「えへへ。そんな褒められても何にもでないのに~」デヘヘ
瑠璃乃「……っ!?」ブルッ
花帆「……」ジィ…
瑠璃乃「う、兎の化身が見える……」
瑠璃乃「ルリ、ちょっとお花を伐採してくるね……」タッタッタ
慈(るりちゃんの口を拭ってあげて!)パチパチ
梢(そんなの、慈がすればいいじゃない)パチパチ
慈(やりなさい! コマンダーとしての命令!)パチパチ
梢(……イエスマム)パチパチ
梢「ほら、瑠璃乃さん。口元が汚れてしまってるわよ」フキフキ
瑠璃乃「あ、すみませんっ。でも、めっちゃ美味しくてついがっついちゃいました!」ニコッ
梢「ふふっ。子供のように無垢な笑顔ね。そこが瑠璃乃さんの魅力よね」フキフキ
瑠璃乃「えへへ。そんな褒められても何にもでないのに~」デヘヘ
瑠璃乃「……っ!?」ブルッ
花帆「……」ジィ…
瑠璃乃「う、兎の化身が見える……」
瑠璃乃「ルリ、ちょっとお花を伐採してくるね……」タッタッタ
17: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:29:28.47 ID:/45/Maa9
花帆「あ~、あたしもちょっと口元汚れちゃったなぁ……」チラッ
梢「……っ」
慈(だめ。梢。花帆ちゃん。甘やかすな)パパパパ ※ハンドサイン
梢(でも。けれど。けれども)パパパパ
慈(コマンダー。指示。絶対)パパパパ
梢(だけれど。だけれども)パパパパ
慈(無視。絶対)パパパパ
梢(……イエスマム)パパパパ
さやか「あぁ、花帆さんまで何してるんですか。こんなに食べ滓を広げて……」フキフキ
花帆「わっぷ。ご、ごめんねさやかちゃん……」
さやか「いえ、いいんです。綴理先輩に比べればお世話の内に入りませんから」
綴理「ねえさや。だからって赤ちゃん用の前掛けはないと思う。故にボクあり」
さやか「でも似合ってますよ。可愛くて最高です」グッ
綴理「……それならいいか。さや、もっとちょうだい」
さやか「はいはい。どうぞ、綴理先輩」ソッ
綴理「おいしい」モグモグミ
梢「……っ」
慈(だめ。梢。花帆ちゃん。甘やかすな)パパパパ ※ハンドサイン
梢(でも。けれど。けれども)パパパパ
慈(コマンダー。指示。絶対)パパパパ
梢(だけれど。だけれども)パパパパ
慈(無視。絶対)パパパパ
梢(……イエスマム)パパパパ
さやか「あぁ、花帆さんまで何してるんですか。こんなに食べ滓を広げて……」フキフキ
花帆「わっぷ。ご、ごめんねさやかちゃん……」
さやか「いえ、いいんです。綴理先輩に比べればお世話の内に入りませんから」
綴理「ねえさや。だからって赤ちゃん用の前掛けはないと思う。故にボクあり」
さやか「でも似合ってますよ。可愛くて最高です」グッ
綴理「……それならいいか。さや、もっとちょうだい」
さやか「はいはい。どうぞ、綴理先輩」ソッ
綴理「おいしい」モグモグミ
18: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:30:39.46 ID:/45/Maa9
花帆「……」カニョーン
梢「……あぁ、花帆さん」
慈「梢」
梢「わ、分かってるわよ……」
慈「初めが肝心なの。何事も初めたてが辛いの。禁煙と一緒」
梢「……あなたタバコなんて吸ったことないじゃない」
慈「たとえだよたとえ~」
花帆「……」カニョ~ン
梢「……あぁ、花帆さん」
慈「梢」
梢「わ、分かってるわよ……」
慈「初めが肝心なの。何事も初めたてが辛いの。禁煙と一緒」
梢「……あなたタバコなんて吸ったことないじゃない」
慈「たとえだよたとえ~」
花帆「……」カニョ~ン
19: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:31:51.04 ID:/45/Maa9
──
花帆「ねえ、あたしさ、梢センパイに嫌われてるのかな……」カニョーン
瑠璃乃「え゛」
さやか「藪から棒になんですか。惚気の次は倦怠期ですか?」
花帆「ち、違うよ! なんか最近……梢センパイが接触を控えてる気がして……。でも逆に、みんなに優しくなってない……?」
瑠璃乃「ふ~む。確かに、そう言われてみると心当たりがあるようなないような……」
花帆「あるよ! この前だって口を拭いて貰ってたりしてたじゃん!」
さやか「わたしは……そうですね。振り付けの練習の時、熱の入ったご指導をいただいたような」
花帆「そうだよ! 社交ダンスみたいに密着して教えられてた!」
花帆「なのに、なのにあたしには……言葉だけのアドバイスしかくれないし……」
花帆「抱き着いても抱きしめ返してくれないし、撫でられないし、優しく微笑んでくれないし……」
花帆「あたしに飽きちゃったのかな、梢センパイ……」
花帆「ねえ、あたしさ、梢センパイに嫌われてるのかな……」カニョーン
瑠璃乃「え゛」
さやか「藪から棒になんですか。惚気の次は倦怠期ですか?」
花帆「ち、違うよ! なんか最近……梢センパイが接触を控えてる気がして……。でも逆に、みんなに優しくなってない……?」
瑠璃乃「ふ~む。確かに、そう言われてみると心当たりがあるようなないような……」
花帆「あるよ! この前だって口を拭いて貰ってたりしてたじゃん!」
さやか「わたしは……そうですね。振り付けの練習の時、熱の入ったご指導をいただいたような」
花帆「そうだよ! 社交ダンスみたいに密着して教えられてた!」
花帆「なのに、なのにあたしには……言葉だけのアドバイスしかくれないし……」
花帆「抱き着いても抱きしめ返してくれないし、撫でられないし、優しく微笑んでくれないし……」
花帆「あたしに飽きちゃったのかな、梢センパイ……」
20: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:33:02.96 ID:/45/Maa9
瑠璃乃「飽きちゃったって。次のユニットの候補でも見つけたわけじゃあるまいし──」
花帆「次のユニット候補!? あたしの代役ってこと!?」ガタンッ
瑠璃乃「あ、嘘嘘! らいあーげーむだよ花帆ちゃん! 今のは口からでたおむすび!」
さやか「瓢箪から駒、とでも言いたかったんですか……?」
花帆「嘘……。そんな、こと……。いや、でももしかしたら……。あの振り付けを身に着けた前途有望な……」ブツブツ
さやか「花帆さん、思い詰め過ぎですよ。わたしが言うのもなんですが、梢先輩が花帆さん以外と組む未来なんて考えられません」ポン
花帆「そ、そうかな……。でも、あたしって物覚え悪いしスタイルだってよくないし……」
さやか「だから、そういうことじゃありませんって。要領がいいとか、容姿端麗だとか、梢先輩の判断基準はそういうことじゃないと思います」
花帆「……うん。だよね。そうじゃなかったら、最初からあたしとなんて組まないよね」
さやか「はぁ。ネガティブになるととことん落ち込みますね、相変わらず。大丈夫ですよ花帆さん。今のこの状況はきっと一時的です」
花帆「え、そうなの?」
さやか「はい。だって、急激な梢先輩の態度の変化、どう考えても不自然ですもん。何か意図あってのことに決まってます」
花帆「意図……。それって何なんだろう……」
さやか「ふむ……。そうですね、獅子は我が子を千尋の谷に落とすと言いますし、敢えて厳しく接して成長を促しているのかもしれません」
瑠璃乃「せん、じん……?」ポチポチ
瑠璃乃「ほえ~、そんな言葉あるんだ」ウ゛ン゛ウ゛ン゛
花帆「次のユニット候補!? あたしの代役ってこと!?」ガタンッ
瑠璃乃「あ、嘘嘘! らいあーげーむだよ花帆ちゃん! 今のは口からでたおむすび!」
さやか「瓢箪から駒、とでも言いたかったんですか……?」
花帆「嘘……。そんな、こと……。いや、でももしかしたら……。あの振り付けを身に着けた前途有望な……」ブツブツ
さやか「花帆さん、思い詰め過ぎですよ。わたしが言うのもなんですが、梢先輩が花帆さん以外と組む未来なんて考えられません」ポン
花帆「そ、そうかな……。でも、あたしって物覚え悪いしスタイルだってよくないし……」
さやか「だから、そういうことじゃありませんって。要領がいいとか、容姿端麗だとか、梢先輩の判断基準はそういうことじゃないと思います」
花帆「……うん。だよね。そうじゃなかったら、最初からあたしとなんて組まないよね」
さやか「はぁ。ネガティブになるととことん落ち込みますね、相変わらず。大丈夫ですよ花帆さん。今のこの状況はきっと一時的です」
花帆「え、そうなの?」
さやか「はい。だって、急激な梢先輩の態度の変化、どう考えても不自然ですもん。何か意図あってのことに決まってます」
花帆「意図……。それって何なんだろう……」
さやか「ふむ……。そうですね、獅子は我が子を千尋の谷に落とすと言いますし、敢えて厳しく接して成長を促しているのかもしれません」
瑠璃乃「せん、じん……?」ポチポチ
瑠璃乃「ほえ~、そんな言葉あるんだ」ウ゛ン゛ウ゛ン゛
21: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:34:14.09 ID:/45/Maa9
さやか「いい機会なんじゃないですか? 花帆さんも以前言っていたじゃありませんか。甘やかされ過ぎて困ってるって」
さやか「この苦境を糧に、ステップアップしましょう。きっと、梢先輩もそれを望んでいますよ」
瑠璃乃「そうだよ花帆ちゃん。ルリもそう思う。故にルリあり」
花帆「二人共……」
瑠璃乃「トラは我が子をちひろの崖に落とすものなんだよ」
さやか「獅子は我が子をせんじんの谷に落とすですよ……」
瑠璃乃「だから、花帆ちゃんも頑張って谷から這い上がろうよ!」
さやか「えぇ、そういうことです」
瑠璃乃「頑張って這い上がって、今度は梢先輩を落とすんだよっ!」
さやか「えぇ、そうですね……え?」
瑠璃乃「崖から落ちるか落ちないか、うわ~っ! って場所でバトルするんだよ! 梢先輩を突き落として、自分はちっちゃなドラゴンじゃないってことを教えようよ!」グッ!!
さやか「何もかも間違ってる……!!」ガーン
さやか「この苦境を糧に、ステップアップしましょう。きっと、梢先輩もそれを望んでいますよ」
瑠璃乃「そうだよ花帆ちゃん。ルリもそう思う。故にルリあり」
花帆「二人共……」
瑠璃乃「トラは我が子をちひろの崖に落とすものなんだよ」
さやか「獅子は我が子をせんじんの谷に落とすですよ……」
瑠璃乃「だから、花帆ちゃんも頑張って谷から這い上がろうよ!」
さやか「えぇ、そういうことです」
瑠璃乃「頑張って這い上がって、今度は梢先輩を落とすんだよっ!」
さやか「えぇ、そうですね……え?」
瑠璃乃「崖から落ちるか落ちないか、うわ~っ! って場所でバトルするんだよ! 梢先輩を突き落として、自分はちっちゃなドラゴンじゃないってことを教えようよ!」グッ!!
さやか「何もかも間違ってる……!!」ガーン
22: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:35:25.26 ID:/45/Maa9
花帆「瑠璃乃ちゃん……!」グッ!!
瑠璃乃「……」ニヤッ
花帆「……!」コクリ
瑠璃乃「皆さんっ! ごしょーわくださいっ!!」パンッ
瑠璃乃「乙宗梢をつっき落とせ~!」オ~!!
花帆「乙宗梢をつっき落とせ~!」オ~!!
さやか「え、なにこのノリ……」
瑠璃乃・花帆「……」チラッ
さやか「……え、これをわたしにもやれと?」
瑠璃乃・花帆「……」ウ゛ン゛ウ゛ン゛
花帆「桃園の誓いだよさやかちゃん!」
瑠璃乃「はいでは改めまして~っ! ごしょーわくださいっ!」パンッ
瑠璃乃「乙宗梢をつっき落とせ~!」オ~!!
花帆「乙宗梢をつっき落とせ~!」オ~!!
さやか「お、乙宗梢をつっき落とせ~!」オ~!!
ゲ~ッシルイミタイナカオシテル~♪
オッニヲヤドシタハムスタ~♪
オトムネコズエヲツッキオトセ~♪
さやか(な、何かすごく悪いものに加担してしまったような……)
さやか(でも、この背徳感……。あまり悪い気分じゃありません……!)
瑠璃乃「……」ニヤッ
花帆「……!」コクリ
瑠璃乃「皆さんっ! ごしょーわくださいっ!!」パンッ
瑠璃乃「乙宗梢をつっき落とせ~!」オ~!!
花帆「乙宗梢をつっき落とせ~!」オ~!!
さやか「え、なにこのノリ……」
瑠璃乃・花帆「……」チラッ
さやか「……え、これをわたしにもやれと?」
瑠璃乃・花帆「……」ウ゛ン゛ウ゛ン゛
花帆「桃園の誓いだよさやかちゃん!」
瑠璃乃「はいでは改めまして~っ! ごしょーわくださいっ!」パンッ
瑠璃乃「乙宗梢をつっき落とせ~!」オ~!!
花帆「乙宗梢をつっき落とせ~!」オ~!!
さやか「お、乙宗梢をつっき落とせ~!」オ~!!
ゲ~ッシルイミタイナカオシテル~♪
オッニヲヤドシタハムスタ~♪
オトムネコズエヲツッキオトセ~♪
さやか(な、何かすごく悪いものに加担してしまったような……)
さやか(でも、この背徳感……。あまり悪い気分じゃありません……!)
23: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:36:36.39 ID:/45/Maa9
──
花帆「はっ、よっ、んっ!」タンタターンッ!!
花帆「ここで、決め!」パッ!!
花帆「やったっ、新曲の振り付け、最後まで通しでできたっ! どうですか梢センパイ! やりましたよ!」
梢「……っ!」
梢(抱き着いてくる! でも、だめよ乙宗梢。心を鬼にして抱きしめ返してはいけないわ!)
梢(KOOL。そう、KOOLになるのよ乙宗梢……!)
花帆「あ、綴理センパイ! 慈センパイ! 新曲の振り付けできたんですよ~っ!」タッタッタ
梢「……」
梢「え」ボウゼン
綴理「お~。かほ、すごい。ハイタッチしよう」
花帆「はいっ!」
パンッ、パンッパパンッ!!
慈「え、なにそのおしゃれなハイタッチの仕方。めぐちゃんともやろうよ花帆ちゃん」
花帆「いいですよ。でも、慈センパイに付いてこれますかね……?」ニヒヒ
慈「なにを~。めぐちゃんを舐め過ぎだぞ!」
キャッキャ!!
梢「花帆さんが抱き着いてこない……?」
梢「……まあ、きっとたまたまよね。そう、そうに違いないわ」ブツブツ
花帆「はっ、よっ、んっ!」タンタターンッ!!
花帆「ここで、決め!」パッ!!
花帆「やったっ、新曲の振り付け、最後まで通しでできたっ! どうですか梢センパイ! やりましたよ!」
梢「……っ!」
梢(抱き着いてくる! でも、だめよ乙宗梢。心を鬼にして抱きしめ返してはいけないわ!)
梢(KOOL。そう、KOOLになるのよ乙宗梢……!)
花帆「あ、綴理センパイ! 慈センパイ! 新曲の振り付けできたんですよ~っ!」タッタッタ
梢「……」
梢「え」ボウゼン
綴理「お~。かほ、すごい。ハイタッチしよう」
花帆「はいっ!」
パンッ、パンッパパンッ!!
慈「え、なにそのおしゃれなハイタッチの仕方。めぐちゃんともやろうよ花帆ちゃん」
花帆「いいですよ。でも、慈センパイに付いてこれますかね……?」ニヒヒ
慈「なにを~。めぐちゃんを舐め過ぎだぞ!」
キャッキャ!!
梢「花帆さんが抱き着いてこない……?」
梢「……まあ、きっとたまたまよね。そう、そうに違いないわ」ブツブツ
24: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:37:47.50 ID:/45/Maa9
~~
梢「あ、花帆さん。一緒に食堂に──」
花帆「ごめんなさい梢センパイ! 実は慈センパイと用事があって!」
梢「そ、それなら仕方がないわね……」
慈「そゆこと。ごめんね梢~。花帆ちゃんは貰っていくからね~」バイメグ~
花帆「きゃ~、慈センパイにさらわれる~」
梢「……」モヤッ
~~
綴理「だめだかほ。もっと体を柔らかくしないと」
花帆「ぐにに……。こ、これ以上無理ですよぉ」
綴理「ふむ。それじゃあ内蔵を吐くナマコの物真似するから見てて」
グデーン
花帆「おぉ……! 何か掴めた気がします! やっぱり人によって指導法って違いますよね!」
梢「え……。か、花帆さん。花帆さんの練習メニューはあなたに合わせたものでね」
花帆「あ、別に不満を言ってるわけじゃないですよ」
梢「そ、そう……。それじゃあそろそろ、練習も終わりにしましょうか」
梢「あ、花帆さん。一緒に食堂に──」
花帆「ごめんなさい梢センパイ! 実は慈センパイと用事があって!」
梢「そ、それなら仕方がないわね……」
慈「そゆこと。ごめんね梢~。花帆ちゃんは貰っていくからね~」バイメグ~
花帆「きゃ~、慈センパイにさらわれる~」
梢「……」モヤッ
~~
綴理「だめだかほ。もっと体を柔らかくしないと」
花帆「ぐにに……。こ、これ以上無理ですよぉ」
綴理「ふむ。それじゃあ内蔵を吐くナマコの物真似するから見てて」
グデーン
花帆「おぉ……! 何か掴めた気がします! やっぱり人によって指導法って違いますよね!」
梢「え……。か、花帆さん。花帆さんの練習メニューはあなたに合わせたものでね」
花帆「あ、別に不満を言ってるわけじゃないですよ」
梢「そ、そう……。それじゃあそろそろ、練習も終わりにしましょうか」
25: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:38:58.57 ID:/45/Maa9
花帆「あ、ごめんなさい梢センパイ。今から少しだけ綴理センパイと用事があって」
梢「え……。それは、どうしても外せない用事なの……?」
花帆「はい。ごめんなさい」ペコリ
綴理「かほー。いくよー」
花帆「あ、はいっ。今から行きます!」
梢「……」モヤモヤ
梢「え……。それは、どうしても外せない用事なの……?」
花帆「はい。ごめんなさい」ペコリ
綴理「かほー。いくよー」
花帆「あ、はいっ。今から行きます!」
梢「……」モヤモヤ
28: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:40:09.78 ID:/45/Maa9
──
梢「ねえ、些か効果覿面過ぎないかしら」
慈「え?」
梢「確かに、花帆さんの甘えようは若干度を過ぎていたかもしれない。けれど、これはなに。雛が巣立ったというより、雛が巣を丸ごと搔っ攫って親鳥の住居を奪われたみたいじゃない」
綴理「なるほど。これが寝取られって奴だ」
慈「あんたどっからその言葉輸入してんのよ……」
梢「慈! 綴理!」ドンッ
梢「私は今、冷静じゃないの……。諧謔を楽しむ余裕なんて寸毫もないの。この意味、分かるわよね……?」
慈「ちょっと言葉が難しくてよくわかんない」シラッ
梢「……(無視)」
梢「私、これほど心を乱されるなんて驚倒を隠せないのよ。あの時慈は言ったわよね。花帆さん離れをしなさいって」
梢「その意味、今なら分かるわ。私……素直に甘えられて凄く嬉しかったのよ……」
梢「包み隠さず全てを曝け出してくれる花帆さんが愛おしかったのね……。なのに、私は自らその権利を手放してしまった。愚か者ね、私は本当に……」
慈「……はぁ。だからさ、そういうことなんじゃないのって」ヤレヤレ
梢「ねえ、些か効果覿面過ぎないかしら」
慈「え?」
梢「確かに、花帆さんの甘えようは若干度を過ぎていたかもしれない。けれど、これはなに。雛が巣立ったというより、雛が巣を丸ごと搔っ攫って親鳥の住居を奪われたみたいじゃない」
綴理「なるほど。これが寝取られって奴だ」
慈「あんたどっからその言葉輸入してんのよ……」
梢「慈! 綴理!」ドンッ
梢「私は今、冷静じゃないの……。諧謔を楽しむ余裕なんて寸毫もないの。この意味、分かるわよね……?」
慈「ちょっと言葉が難しくてよくわかんない」シラッ
梢「……(無視)」
梢「私、これほど心を乱されるなんて驚倒を隠せないのよ。あの時慈は言ったわよね。花帆さん離れをしなさいって」
梢「その意味、今なら分かるわ。私……素直に甘えられて凄く嬉しかったのよ……」
梢「包み隠さず全てを曝け出してくれる花帆さんが愛おしかったのね……。なのに、私は自らその権利を手放してしまった。愚か者ね、私は本当に……」
慈「……はぁ。だからさ、そういうことなんじゃないのって」ヤレヤレ
29: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:41:20.88 ID:/45/Maa9
梢「え……。そういうことって何よ」
慈「甘えられて、甘やかして。それだけじゃ健全じゃないってこと。頭のいいあんたなら分かるでしょ。その先に発展はないって」
慈「現状に満足しちゃって、前に進もうとしてないのよ。それが分からない梢じゃないでしょ?」
梢「それは……そうかもしれないわね。けれど、練習メニューに気を抜いたつもりは毛頭ないし、花帆さんがこなせるギリギリを攻めているつもりよ? 私、そこまで甘やかしているのかしら……」
慈「おおっと、自覚なしか。問題は花帆ちゃんだけじゃなく、梢にもあるってのに」
梢「え……?」
慈「ほら、綴理、言ってあげなさい。今度はボケ無しでね」
綴理「ボケてるつもりは全然ないんだけど……まあいいや。ごほん」
綴理「かほはいつも、くたくたになるまで練習してるよ。それはボクも見ていて分かる」
綴理「それを褒めるのも間違いじゃない。でも、こずの役目はそれだけじゃないでしょ」
梢「私の、役目……?」
綴理「ボクらは先輩だ。それなら、かほやさや、るりの前に立って引っ張っていかなきゃいけない。お手本になって、道を示すんだ」
慈「うんうん。口下手な綴理にしては上出来ね。ぱちぱちぱち~」
綴理「……それ、あんまり嬉しくない拍手かも」
慈「甘えられて、甘やかして。それだけじゃ健全じゃないってこと。頭のいいあんたなら分かるでしょ。その先に発展はないって」
慈「現状に満足しちゃって、前に進もうとしてないのよ。それが分からない梢じゃないでしょ?」
梢「それは……そうかもしれないわね。けれど、練習メニューに気を抜いたつもりは毛頭ないし、花帆さんがこなせるギリギリを攻めているつもりよ? 私、そこまで甘やかしているのかしら……」
慈「おおっと、自覚なしか。問題は花帆ちゃんだけじゃなく、梢にもあるってのに」
梢「え……?」
慈「ほら、綴理、言ってあげなさい。今度はボケ無しでね」
綴理「ボケてるつもりは全然ないんだけど……まあいいや。ごほん」
綴理「かほはいつも、くたくたになるまで練習してるよ。それはボクも見ていて分かる」
綴理「それを褒めるのも間違いじゃない。でも、こずの役目はそれだけじゃないでしょ」
梢「私の、役目……?」
綴理「ボクらは先輩だ。それなら、かほやさや、るりの前に立って引っ張っていかなきゃいけない。お手本になって、道を示すんだ」
慈「うんうん。口下手な綴理にしては上出来ね。ぱちぱちぱち~」
綴理「……それ、あんまり嬉しくない拍手かも」
30: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:42:31.86 ID:/45/Maa9
梢「道を、示す……」
梢「思い返せば確かに……。最も甘えていたのは花帆さんじゃない。私なのかもしれないわ」
梢「綴理はなれないと思っていたスクールアイドルになれて、慈は怪我とトラウマを克服してステージの上に立てた。さやかさんと瑠璃乃さんが加入して、私は花帆さんとスリーズブーケを組むことができた」
梢「そう、そうなのね……。余りにも今が心地良くて、現状に甘えてしまっていたのね……。見据えるべき高い目標は、既に持っていたのに……」
梢「だから、そう……。私がやるべきことは、花帆さんに厳しい練習を課すことだけじゃない」
梢「スクールアイドルの先輩として、前に立って模範となる背中を見せ、高い志を持って牽引していくことなのだわ!」
梢「こんなことにも気付かないだなんて……。私も愚かなものね」
慈「ま。そこまでめぐちゃんは思ってなかったけど、梢がそう思うのならそれが正解だよ」
綴理「うん。こずの言うことは正しい。ボクの中にあったもやもやが一気に晴れた気分だ」
梢「えぇ。私は私の判断を信じるわ。けれど一つ、問題が生じるわね」
綴理「問題?」
梢「私は私の気を引き締め、改めて目標に向かう決意を固めたけれど、それはそうとして、なのよ」
梢「お手本としての背を見せ続ける。けれどね、花帆さんに甘えられたいのよ。鞭だけじゃなく飴も時には必要でしょう? それは私にも言えることだわ」
梢「つまり、ギブミーキャンディーよ」
梢「思い返せば確かに……。最も甘えていたのは花帆さんじゃない。私なのかもしれないわ」
梢「綴理はなれないと思っていたスクールアイドルになれて、慈は怪我とトラウマを克服してステージの上に立てた。さやかさんと瑠璃乃さんが加入して、私は花帆さんとスリーズブーケを組むことができた」
梢「そう、そうなのね……。余りにも今が心地良くて、現状に甘えてしまっていたのね……。見据えるべき高い目標は、既に持っていたのに……」
梢「だから、そう……。私がやるべきことは、花帆さんに厳しい練習を課すことだけじゃない」
梢「スクールアイドルの先輩として、前に立って模範となる背中を見せ、高い志を持って牽引していくことなのだわ!」
梢「こんなことにも気付かないだなんて……。私も愚かなものね」
慈「ま。そこまでめぐちゃんは思ってなかったけど、梢がそう思うのならそれが正解だよ」
綴理「うん。こずの言うことは正しい。ボクの中にあったもやもやが一気に晴れた気分だ」
梢「えぇ。私は私の判断を信じるわ。けれど一つ、問題が生じるわね」
綴理「問題?」
梢「私は私の気を引き締め、改めて目標に向かう決意を固めたけれど、それはそうとして、なのよ」
梢「お手本としての背を見せ続ける。けれどね、花帆さんに甘えられたいのよ。鞭だけじゃなく飴も時には必要でしょう? それは私にも言えることだわ」
梢「つまり、ギブミーキャンディーよ」
31: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:43:43.00 ID:/45/Maa9
慈「んん……まあ、間違いじゃない、か……。でも、ねえ、綴理」
綴理「うん」
梢「何よ。二人で分かったような顔をして」
慈「何ってまあ。その問題は正直悩まなくてもいいって言うか……」
綴理「大丈夫だよこず」ポン
梢「大丈夫って、何が……」
ブルル
梢「機械さん……?」ヒョイッ
慈「機械さんw」
梢「……」ベシッ
慈「いたあっ!? 前より痛いし!」
梢「えぇと……花帆さんからね」
花帆『ちょっと外に出てくれませんか。見せたい物があるんです』
梢「……綴理、慈」
綴理「うん」
慈「いたた……」
梢「私用で少し、出てくるわ」
綴理「それがいい。かほも待ってる」
慈「はいはい。行ってきなさい。全く、世話が焼けるんだから……」
梢「えぇ、行ってくるわっ!」ダッ
綴理「うん」
梢「何よ。二人で分かったような顔をして」
慈「何ってまあ。その問題は正直悩まなくてもいいって言うか……」
綴理「大丈夫だよこず」ポン
梢「大丈夫って、何が……」
ブルル
梢「機械さん……?」ヒョイッ
慈「機械さんw」
梢「……」ベシッ
慈「いたあっ!? 前より痛いし!」
梢「えぇと……花帆さんからね」
花帆『ちょっと外に出てくれませんか。見せたい物があるんです』
梢「……綴理、慈」
綴理「うん」
慈「いたた……」
梢「私用で少し、出てくるわ」
綴理「それがいい。かほも待ってる」
慈「はいはい。行ってきなさい。全く、世話が焼けるんだから……」
梢「えぇ、行ってくるわっ!」ダッ
32: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:44:54.07 ID:/45/Maa9
──
花帆「あ、梢センパイ。こんばんは」
梢「こんばんは、花帆さん」
花帆「夜遅くにごめんなさい。でも、ちょっとお話があって」
梢「そう、ちょうどいいわ。私もあなたに話があったから」
花帆「あ、そうなんですか」
梢「けれど、私の用事は後回しで大丈夫よ。それで、何を見せたいのかしら」
花帆「はい。正直もうくたくたで……あと一回できるかどうか、って感じなのでよく見ていてくださいね」
梢「?」
梢「えぇ。よく分からないけれど、承知したわ」
花帆「では……見ててくださいっ!」
梢(やや緊張の色を湛える花帆さんは、寮の脇にあるスペースで踊り出した)
梢「これは……」
梢(驚きを隠せなかった。なんせそれは、私に身に覚えのある……覚えのあり過ぎる振り付けだったから)
梢(歴代蓮ノ空の振付師が考案した、高難易度で知られる振り付け。その中でも私の憧れた、上半身は優雅に、下半身は忙しなく動き続ける白鳥を思わせる振り付けだった)
花帆「あ、梢センパイ。こんばんは」
梢「こんばんは、花帆さん」
花帆「夜遅くにごめんなさい。でも、ちょっとお話があって」
梢「そう、ちょうどいいわ。私もあなたに話があったから」
花帆「あ、そうなんですか」
梢「けれど、私の用事は後回しで大丈夫よ。それで、何を見せたいのかしら」
花帆「はい。正直もうくたくたで……あと一回できるかどうか、って感じなのでよく見ていてくださいね」
梢「?」
梢「えぇ。よく分からないけれど、承知したわ」
花帆「では……見ててくださいっ!」
梢(やや緊張の色を湛える花帆さんは、寮の脇にあるスペースで踊り出した)
梢「これは……」
梢(驚きを隠せなかった。なんせそれは、私に身に覚えのある……覚えのあり過ぎる振り付けだったから)
梢(歴代蓮ノ空の振付師が考案した、高難易度で知られる振り付け。その中でも私の憧れた、上半身は優雅に、下半身は忙しなく動き続ける白鳥を思わせる振り付けだった)
33: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:46:05.40 ID:/45/Maa9
梢(あぁ、もう少しだ。そこの足の入れ替えでいつも転んでしまうのだ)
梢(でも、なぜだろう。花帆さんの双眸に宿る意思を見ると、失敗なんて微塵も感じさせない。寧ろ、頼もしささえも感じるのはなぜだろう)
梢(あぁ、そうなのね。私よりも早く、花帆さんは知ったのね。あなたの見つめる先は、以前よりずっと遠くを見据えてる──)
梢「……花丸よ、花帆さん」
花帆「はぁ、はぁ……。どうでしたか、梢センパイ。あたし、ちゃんと踊れていましたか……?」
梢「えぇ、勿論よ。見惚れた……というより、圧倒されてしまったわね」
花帆「えへへ。そう言って貰えると努力した甲斐がありました」ニコッ
梢「本当に凄かったわ。もしかして、最近綴理と慈と一緒にいたのって……」
花帆「ご名答です。センパイ方には練習に付き合って貰ってました」
梢「そう……。水臭いじゃない。私に少しくらい言ってくれても……」
花帆「いえ、それじゃあだめなんです。梢センパイの手を借りずに、この振り付けを踊りきることが何よりも大切だったんです」
梢「……理由を聞いてもいいかしら」
花帆「はい。あたし、甘えてばかりじゃだめだって、敢えて梢センパイの手を借りずに頑張ろうって思ったんです。そうしたら、少し梢センパイが遠くに見えて、その分今まで見えていなかった部分が見えるようになったんです」
花帆「それで改めて見ると、梢センパイってやっぱり凄いなぁって思って……。えへへ、当たり前なんですけどね」
梢「当たり前と言われると少し照れるわね……」
梢(でも、なぜだろう。花帆さんの双眸に宿る意思を見ると、失敗なんて微塵も感じさせない。寧ろ、頼もしささえも感じるのはなぜだろう)
梢(あぁ、そうなのね。私よりも早く、花帆さんは知ったのね。あなたの見つめる先は、以前よりずっと遠くを見据えてる──)
梢「……花丸よ、花帆さん」
花帆「はぁ、はぁ……。どうでしたか、梢センパイ。あたし、ちゃんと踊れていましたか……?」
梢「えぇ、勿論よ。見惚れた……というより、圧倒されてしまったわね」
花帆「えへへ。そう言って貰えると努力した甲斐がありました」ニコッ
梢「本当に凄かったわ。もしかして、最近綴理と慈と一緒にいたのって……」
花帆「ご名答です。センパイ方には練習に付き合って貰ってました」
梢「そう……。水臭いじゃない。私に少しくらい言ってくれても……」
花帆「いえ、それじゃあだめなんです。梢センパイの手を借りずに、この振り付けを踊りきることが何よりも大切だったんです」
梢「……理由を聞いてもいいかしら」
花帆「はい。あたし、甘えてばかりじゃだめだって、敢えて梢センパイの手を借りずに頑張ろうって思ったんです。そうしたら、少し梢センパイが遠くに見えて、その分今まで見えていなかった部分が見えるようになったんです」
花帆「それで改めて見ると、梢センパイってやっぱり凄いなぁって思って……。えへへ、当たり前なんですけどね」
梢「当たり前と言われると少し照れるわね……」
34: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:47:16.45 ID:/45/Maa9
花帆「あはは。事実ですから。でも、今まではそれでもよかったんです。あたしには不足してる物が多くて、梢センパイに追いつけないのは当然だって」
花帆「でも……そろそろもう少し上を見るべきなんじゃないかって、そう思えてきたんです」
梢「上……」
花帆「はい。上です。梢センパイに手を引いて貰うだけじゃない。隣に並び立てるくらい大きくなって、夢に手を伸ばす時なんです!」
花帆「目指す頂きはたった一つ! ラブライブ優勝があたし達の夢なんですから!」
梢「……っ」
梢「そう、やっぱり……花帆さんはそこに焦点が合ったのね」
花帆「はい。今まではおぼろげに輪郭しか見えていなかったんですが、ハッキリと目標を定めました」
花帆「梢センパイ。あたし、もう大丈夫です。策を弄さずとも、甘えに溺れません」
梢「……」
梢(もう……。それは、私が教え導くつもりだったのに……。少し見ない間に大きくなっちゃうんだから……)
梢「ふふっ。千尋の谷に落とした結果、出てきたのは駒だったわね」ギュッ
花帆「あ……なんか久々です。梢センパイに抱きしめられるのなんて……」ギュッ
梢「私もね、ずっと我慢していたのよ? 本当は、抱きしめて撫でてあげたかった。でも、もういいわよね」
花帆「でも……そろそろもう少し上を見るべきなんじゃないかって、そう思えてきたんです」
梢「上……」
花帆「はい。上です。梢センパイに手を引いて貰うだけじゃない。隣に並び立てるくらい大きくなって、夢に手を伸ばす時なんです!」
花帆「目指す頂きはたった一つ! ラブライブ優勝があたし達の夢なんですから!」
梢「……っ」
梢「そう、やっぱり……花帆さんはそこに焦点が合ったのね」
花帆「はい。今まではおぼろげに輪郭しか見えていなかったんですが、ハッキリと目標を定めました」
花帆「梢センパイ。あたし、もう大丈夫です。策を弄さずとも、甘えに溺れません」
梢「……」
梢(もう……。それは、私が教え導くつもりだったのに……。少し見ない間に大きくなっちゃうんだから……)
梢「ふふっ。千尋の谷に落とした結果、出てきたのは駒だったわね」ギュッ
花帆「あ……なんか久々です。梢センパイに抱きしめられるのなんて……」ギュッ
梢「私もね、ずっと我慢していたのよ? 本当は、抱きしめて撫でてあげたかった。でも、もういいわよね」
36: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:48:27.66 ID:/45/Maa9
花帆「……はい。甘えても、その場に立ち止まるようなことはもうありません」ギュゥゥ…
梢「えぇ……頼もしくなったわね花帆さん」
花帆「そうですか……? それじゃあ、今度千尋の谷に落とすのは、花帆の役目かもしれませんね」
梢「ふふっ、何を言っているのよ花帆さん」クスクス
花帆「え? 何か変なこと言いました?」
梢「えぇ。それはもうとびっきりね」
花帆「そうかなぁ……」
梢(本当に、本当におかしいことよ、花帆さん)
梢(なぜなら……)
梢(疾うの昔に私は、あなたに落ちてしまっているのだから)
梢「えぇ……頼もしくなったわね花帆さん」
花帆「そうですか……? それじゃあ、今度千尋の谷に落とすのは、花帆の役目かもしれませんね」
梢「ふふっ、何を言っているのよ花帆さん」クスクス
花帆「え? 何か変なこと言いました?」
梢「えぇ。それはもうとびっきりね」
花帆「そうかなぁ……」
梢(本当に、本当におかしいことよ、花帆さん)
梢(なぜなら……)
梢(疾うの昔に私は、あなたに落ちてしまっているのだから)
37: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:49:38.94 ID:/45/Maa9
~おまけ~
花帆「ふぬぬぬ……っ!」グググ…
梢「頑張って花帆さん! あなたなら限界を超えられるわ!」ペシペシ
花帆「てりゃあっ!」グンッ
梢「流石だわ花帆さん! 上体起こしの最高新記録よ!」
花帆「はあ、はあ……。やり、まし、たぁ……がくっ」
さやか「……なんだか最近の花帆さん、鬼気迫るって言うか、気合い十分ですよね」
慈「そーだねぇ。心境の変化でもあったのかなぁ? なんてね」
さやか「でも、あんなに頑張ったら気力がすぐ尽きてしまうような……。瑠璃乃さんで言う電池切れが、花帆さんにも蛍光灯オフモードであるんですよ」
瑠璃乃「え゛まさかの同類だったんか花帆ちゃん!」ピキーン!
綴理「ライバル出現だね、るり」
瑠璃乃「いや、ルリの電池切れはせーるすぽいんとじゃないっすよ」
慈「まあ、さやかちゃんの言うことも分かる。でもほら見てみなよ」
さやか「え……?」チラッ
花帆「ふぬぬぬ……っ!」グググ…
梢「頑張って花帆さん! あなたなら限界を超えられるわ!」ペシペシ
花帆「てりゃあっ!」グンッ
梢「流石だわ花帆さん! 上体起こしの最高新記録よ!」
花帆「はあ、はあ……。やり、まし、たぁ……がくっ」
さやか「……なんだか最近の花帆さん、鬼気迫るって言うか、気合い十分ですよね」
慈「そーだねぇ。心境の変化でもあったのかなぁ? なんてね」
さやか「でも、あんなに頑張ったら気力がすぐ尽きてしまうような……。瑠璃乃さんで言う電池切れが、花帆さんにも蛍光灯オフモードであるんですよ」
瑠璃乃「え゛まさかの同類だったんか花帆ちゃん!」ピキーン!
綴理「ライバル出現だね、るり」
瑠璃乃「いや、ルリの電池切れはせーるすぽいんとじゃないっすよ」
慈「まあ、さやかちゃんの言うことも分かる。でもほら見てみなよ」
さやか「え……?」チラッ
38: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:50:49.98 ID:/45/Maa9
梢「花帆さん。大丈夫……?」ナデナデ
花帆「……えへへ。梢センパイの膝枕、凄く気持ちいいです。もっと甘やかしてくださぁい……」デロローン
梢「ふふっ。花帆さんの髪、柔らかくて手触りがいいのよね。いつまでも撫ででいたくなっちゃう。このまま持って帰りたいくらいよ」
花帆「えぇ~……」
梢「花帆さんはお嫌かしら……?」
花帆「……本気にしちゃいますよ?」チラッ
さやか「……ただの泥甘カップルじゃないですか」ゲンナリ
慈「いやいや。ここからが見物だから! 必見必見!」グイッ
さやか「ぐえっ」ビキッ
梢「さて花帆さん。次のトレーニングに移るわよ! 次の種目も、限界を超える記録を打ち出すまで待ったはかけないわ!」
花帆「……はいっ!」
花帆「ふっ、ふっ、ふっ!」
梢「その調子よ花帆さん! 背中と地面は並行になる意識で行うのよ!」
花帆「は、はいぃっ!」
慈「……これぞ、新生スリーズブーケの編み出した、無限トレーニング術。飴と鞭大作戦だよ」
さやか「飴と鞭というか、本当に飴と鞭しか無いじゃないですか……」
花帆「……えへへ。梢センパイの膝枕、凄く気持ちいいです。もっと甘やかしてくださぁい……」デロローン
梢「ふふっ。花帆さんの髪、柔らかくて手触りがいいのよね。いつまでも撫ででいたくなっちゃう。このまま持って帰りたいくらいよ」
花帆「えぇ~……」
梢「花帆さんはお嫌かしら……?」
花帆「……本気にしちゃいますよ?」チラッ
さやか「……ただの泥甘カップルじゃないですか」ゲンナリ
慈「いやいや。ここからが見物だから! 必見必見!」グイッ
さやか「ぐえっ」ビキッ
梢「さて花帆さん。次のトレーニングに移るわよ! 次の種目も、限界を超える記録を打ち出すまで待ったはかけないわ!」
花帆「……はいっ!」
花帆「ふっ、ふっ、ふっ!」
梢「その調子よ花帆さん! 背中と地面は並行になる意識で行うのよ!」
花帆「は、はいぃっ!」
慈「……これぞ、新生スリーズブーケの編み出した、無限トレーニング術。飴と鞭大作戦だよ」
さやか「飴と鞭というか、本当に飴と鞭しか無いじゃないですか……」
39: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:52:01.12 ID:/45/Maa9
綴理「ボクらも、やる?」
さやか「……いえ、あれは花帆さん達にしかできない代物だと思います」
綴理「そっか。残念。いつもさやに膝枕して貰ってるから、たまには逆もいいと思ったんだけど」
さやか「えぁっ」
花帆「ほらほらっ、みんな休んでる場合じゃないよ! ちゃんと練習しなきゃ!」
瑠璃乃「わお(カリフォルニア仕込み)! あれだけ動いたのにまだ元気いっぱいアンパンマンじゃん!」
花帆「ふふん。そう思う?」
瑠璃乃「う゛ん゛う゛ん゛! 秘訣とかあるんすかっ!」ワクワク!
花帆「ありますとも。そりゃあ勿論」
慈「ふ~ん? それは是非聞きたいものだね」
花帆「秘訣というには簡単なんですけどね。あたしが頑張れる理由、うぅん、頑張らなきゃいけない理由があるんです」
花帆「もう、明確に見定めちゃったんです。あそこに手が届くまで一度も止まらないって」ググッ
瑠璃乃「あそこって?」キョトン
花帆「決まってるじゃん! ラブライブ優勝だよ!」
さやか「……いえ、あれは花帆さん達にしかできない代物だと思います」
綴理「そっか。残念。いつもさやに膝枕して貰ってるから、たまには逆もいいと思ったんだけど」
さやか「えぁっ」
花帆「ほらほらっ、みんな休んでる場合じゃないよ! ちゃんと練習しなきゃ!」
瑠璃乃「わお(カリフォルニア仕込み)! あれだけ動いたのにまだ元気いっぱいアンパンマンじゃん!」
花帆「ふふん。そう思う?」
瑠璃乃「う゛ん゛う゛ん゛! 秘訣とかあるんすかっ!」ワクワク!
花帆「ありますとも。そりゃあ勿論」
慈「ふ~ん? それは是非聞きたいものだね」
花帆「秘訣というには簡単なんですけどね。あたしが頑張れる理由、うぅん、頑張らなきゃいけない理由があるんです」
花帆「もう、明確に見定めちゃったんです。あそこに手が届くまで一度も止まらないって」ググッ
瑠璃乃「あそこって?」キョトン
花帆「決まってるじゃん! ラブライブ優勝だよ!」
40: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:53:13.00 ID:/45/Maa9
慈「ラブライブ……」
綴理「優勝……」
瑠璃乃「ほえぇ……。なんかすっげーおっきく見えるよ花帆ちゃん……」
さやか「……なるほど。目の色が変わったように見えた理由はそんな裏があったんですね」
花帆「さぁてっ、あたしはもう練習に戻りますっ!」クルッ
梢「えぇ。今度は私と振り付けの確認よ」トコトコ
花帆「はいっ!」グッ
梢「そうそう、綴理、慈」
綴理「?」
慈「なに、梢」
梢「うかうかしていると、置いて行っちゃうわよ?」ニッコリ
慈「なっ……」
梢「さぁて、お先失礼するわね。行きましょう花帆さん」
花帆「どんとこいや~っ! って感じです! ……でもちょっと休憩欲しいです」カニョニョーン
綴理「優勝……」
瑠璃乃「ほえぇ……。なんかすっげーおっきく見えるよ花帆ちゃん……」
さやか「……なるほど。目の色が変わったように見えた理由はそんな裏があったんですね」
花帆「さぁてっ、あたしはもう練習に戻りますっ!」クルッ
梢「えぇ。今度は私と振り付けの確認よ」トコトコ
花帆「はいっ!」グッ
梢「そうそう、綴理、慈」
綴理「?」
慈「なに、梢」
梢「うかうかしていると、置いて行っちゃうわよ?」ニッコリ
慈「なっ……」
梢「さぁて、お先失礼するわね。行きましょう花帆さん」
花帆「どんとこいや~っ! って感じです! ……でもちょっと休憩欲しいです」カニョニョーン
41: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:54:24.46 ID:/45/Maa9
慈「……綴理」
綴理「……うん」
慈「私らは確かに、現状を維持しようとする情けない梢の尻を叩いたでしょ」
綴理「うん。ボクらが言えることじゃないけど、先輩としてちょっと弱かった」
慈「だから奮起させて、花帆ちゃんといい関係を築けるようになってよかったけどさぁ……」
慈「ユニットの垣根を越えて、私らにまで発破かけろなんて言ってないっつーの……!」
慈「あぁっもうっ! 不服だけど! 頑張らないとねっ! 行くよるりちゃん!」
瑠璃乃「あいあいさーっ!」ビシッ
綴理「さや。ボクらも頑張り時だ」
さやか「はいっ。スリーズブーケだけ先になんて行かせませんっ!」
綴理「……うん」
慈「私らは確かに、現状を維持しようとする情けない梢の尻を叩いたでしょ」
綴理「うん。ボクらが言えることじゃないけど、先輩としてちょっと弱かった」
慈「だから奮起させて、花帆ちゃんといい関係を築けるようになってよかったけどさぁ……」
慈「ユニットの垣根を越えて、私らにまで発破かけろなんて言ってないっつーの……!」
慈「あぁっもうっ! 不服だけど! 頑張らないとねっ! 行くよるりちゃん!」
瑠璃乃「あいあいさーっ!」ビシッ
綴理「さや。ボクらも頑張り時だ」
さやか「はいっ。スリーズブーケだけ先になんて行かせませんっ!」
42: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:55:35.57 ID:/45/Maa9
梢「……ふふっ」
花帆「どうしたんですか? 梢センパイ。突然笑って」
梢「いえ。ちょっと思い違いをしていたと思ってね」
花帆「思い違い、ですか。一体何をです?」
梢「えぇ。三つのユニットが揃って、憂いなくライブができること。これが幸福だって思っていたの」
花帆「ふんふん。でも、幸せは幸せじゃないですか」
梢「えぇ。けれど、至福ではなかったのよ。乙宗梢の求める蓮ノ空スクールアイドルクラブとは、それだけじゃなかった」
梢「皆が同じ夢を見て、競い合い、高め合えるような場所。それこそが、私の求めた蓮ノ空スクールアイドルクラブだったのよ」
花帆「あ~、なるほど。確かに、今の方が一体感みたいなのは覚えます」
梢「えぇ。そうよ。そうに違いないわ」
花帆「……それならますます、夢を叶えなきゃいけなくなりましたね」
花帆「どうしたんですか? 梢センパイ。突然笑って」
梢「いえ。ちょっと思い違いをしていたと思ってね」
花帆「思い違い、ですか。一体何をです?」
梢「えぇ。三つのユニットが揃って、憂いなくライブができること。これが幸福だって思っていたの」
花帆「ふんふん。でも、幸せは幸せじゃないですか」
梢「えぇ。けれど、至福ではなかったのよ。乙宗梢の求める蓮ノ空スクールアイドルクラブとは、それだけじゃなかった」
梢「皆が同じ夢を見て、競い合い、高め合えるような場所。それこそが、私の求めた蓮ノ空スクールアイドルクラブだったのよ」
花帆「あ~、なるほど。確かに、今の方が一体感みたいなのは覚えます」
梢「えぇ。そうよ。そうに違いないわ」
花帆「……それならますます、夢を叶えなきゃいけなくなりましたね」
44: (ささかまぼこ) 2023/09/13(水) 20:56:46.46 ID:/45/Maa9
梢「え? それならとは、どうして?」
花帆「言ったじゃないですか。至福ではないって」ギュッ
梢「え、えぇ。確かに言ったわ。どうしたの。突然手なんて握って……」
花帆「なら、ラブライブで優勝して、梢センパイと本当の至福を手に入れる。これがきっと、あたしの花咲くってことですよ!」
梢「花帆さん……」
梢「えぇ。そうね。スリーズブーケとして、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブとして、最善を尽くしましょう」ギュッ
花帆「はいっ! よ~しっ! 花帆も充電バッチリ!」
花帆「待ってろラブライブ! 今からあたしが、花を咲かせに行くからねぇ!」ビシッ
おしまい
花帆「言ったじゃないですか。至福ではないって」ギュッ
梢「え、えぇ。確かに言ったわ。どうしたの。突然手なんて握って……」
花帆「なら、ラブライブで優勝して、梢センパイと本当の至福を手に入れる。これがきっと、あたしの花咲くってことですよ!」
梢「花帆さん……」
梢「えぇ。そうね。スリーズブーケとして、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブとして、最善を尽くしましょう」ギュッ
花帆「はいっ! よ~しっ! 花帆も充電バッチリ!」
花帆「待ってろラブライブ! 今からあたしが、花を咲かせに行くからねぇ!」ビシッ
おしまい
45: (もんじゃ) 2023/09/13(水) 21:03:22.79 ID:4/dCmKnf
素晴らしいわ……花丸よ!
47: (しうまい) 2023/09/13(水) 21:08:27.52 ID:5JwBfRti
ちょっぴりめんどくさい花帆さんも良いわね
48: (ますのすし) 2023/09/13(水) 21:42:26.11 ID:MI/Naaao
なんだかとても良いお話を見た気がするのだけれど
49: (SB-iPhone) 2023/09/13(水) 21:45:12.42 ID:SQy+RDyp
めっちゃ良い話やん
54: (らっかせい) 2023/09/14(木) 15:07:05.22 ID:z+NwJ3Ko
良い作品だったわ、花丸よ!
53: (もんじゃ) 2023/09/14(木) 13:38:42.39 ID:uO7Dw3qs
キャラクターの掛け合いもストーリー的な意味でもとても良作
スポットがあったキャラはいるけど、全キャラの魅力が詰まっていて、キャラの行動とかセリフもちゃんとキャラにあってるし、だからこそキャラ崩壊させすぎずに二次創作らしい楽しい表現もあって好き
蓮のssの中で1番好きかも
スポットがあったキャラはいるけど、全キャラの魅力が詰まっていて、キャラの行動とかセリフもちゃんとキャラにあってるし、だからこそキャラ崩壊させすぎずに二次創作らしい楽しい表現もあって好き
蓮のssの中で1番好きかも
51: (もんじゃ) 2023/09/14(木) 08:17:05.49 ID:laQdiSEm
う゛ん゛う゛ん゛っ゛
良作乙
良作乙
引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1694603642/