【SS】慈「スリーズブーケを甘えん坊にするボタンを押した結果」【ラブライブ！蓮ノ空】

慈「……」


梢「どこにも行かないで……」ｷﾞｭｯ

花帆「花帆のこと、もっともーっと褒めてください♡」ｷﾞｭｰ

吟子「私にも構ってほしい……」ｷﾞｭｯ


慈「……」

さやか「……慈先輩、これは一体……」

瑠璃乃「めぐちゃん……説明してもらおーか」

慈「みんな……ごめん」


慈「──“スリーズブーケを甘えん坊にするボタン”、押しちゃった♡」ﾃﾍﾍﾟﾛ
　

────

小鈴「えっと、つまり、吟子ちゃんたちがああなったのは……」

綴理「めぐが、大倉庫にあったボタンを押したから……ってこと？」

慈「そうそう！　めぐちゃんは悪くない！　ただボタンを押しただけだもん！」

瑠璃乃「……何のボタンを押したんだっけ、めぐちゃん？」

慈「え？　“スリーズブーケを甘えん坊にするボタン”」

さやか「なんでそんなボタンがあるんですか……！？」ﾊｧ
　

慈「いやいや、そんな深刻にならなくても大丈夫だって！　効果は半日って書いてあったから、明日には元に戻ってるはずだし」

瑠璃乃「めぐちゃん……そうはいってもね……」ﾁﾗｯ


花帆「えへへー、さーやかちゃん♡」ｷﾞｭｰ

さやか「！？　か、か、か、花帆さん！？」

花帆「さやかちゃんはあたしのこと、好きー？」

さやか「！？！？　も、もちろんですよ、花帆さん」ｱﾀﾌﾀ

花帆「えー？　ちゃんと、“好き”って言葉にして言ってほしいなー♡」ｷﾞｭｯ

さやか「……っ(キュン死)」ﾊﾞﾀﾝ


瑠璃乃「……もう被害が出ちゃってるんだよね」

慈「ま、まぁ！　明日までの辛抱というか……」
　

綴理「……ダメだ。これじゃ、新聞に載っちゃう」

慈「？　新聞？」

小鈴「……はっ！　徒町、綴理先輩の仰った言葉の意味、わかってしまいました！」

小鈴「こんな風に、ところ構わず甘える姿が、もし学校中で噂になっちゃったら新聞部の皆さんにスクープされて……」

慈「……別にいいことじゃない？　スリブのメンバーが、他メンバーとも仲が良いってアピールにもなるし」
　

姫芽「いやいやいや！　めぐちゃんせんぱい、その考えは危険ですよ～！　固定カプ派の人たちはどうするんですか～！？」ｶﾞﾀｯ

瑠璃乃「まぁそうじゃなくても、もし部員以外の人にも過度なスキンシップをしちゃったら、色々ごしっぷ的な感じになっちゃうかも……」

慈「あー……それもそう、かな……？　もし、乙宗梢、学内の少女複数人にすでに手を出していた！　とか新聞部に書かれたら……」

姫芽「そうですよ～！　ラブライブ！大会も近い中、不祥事なんて起こしたら大変なことに～……！」
　

綴理「じゃあ、効果が切れるまで、三人とも部室の中にいてもらう？」

小鈴「いえ綴理先輩、それだと夜を越せません！　一晩中、閉じ込めるわけにもいかないので……」ｳｰﾝ

慈「！　そっか、それなら……」ｶﾞﾀｯ

瑠璃乃「めぐちゃん？」

慈「るりちゃん、私、超完璧な解決策を思いついちゃった！　やっぱり天才なのかもしれないね、めぐちゃんは」ﾌﾌﾝ

瑠璃乃「……なんか信用できねーけど、解決策って？」

慈「ふっふっふっ……そんなの、決まってるでしょ！」


慈「──各学年ごと、お泊まり会をすればいいんだよ⭐︎」ﾆｺｯ
　

────

──吟子‘s room


姫芽「吟子ちゃん～……あの～……」

吟子「どうしたの、姫芽」ｷﾞｭｰ

姫芽「いや～……なんというか……」

吟子「？」ｷﾞｭｰ

姫芽「……なんで吟子ちゃんは今、アタシに抱きついているのかな～、って……？」
　

吟子「だって、一人で眠るのは寂しいから……ダメ、だった？」ｷﾞｭｯ

姫芽「！？！？　ぐはっ……！　これが、甘えん坊吟子ちゃんの破壊力……！」ﾊﾟﾀﾘ

小鈴「姫芽ちゃん！？」

姫芽「う～……お泊まり会をすれば、朝になって効果が切れるまで、外に出さずに大人しくしておける……めぐちゃんせんぱいのアイディアは完璧なのに～……」

小鈴「あはは……これじゃ姫芽ちゃんが朝まで持たない、かも？」

吟子「……小鈴も、そんなところにいないで、こっちに来てほしいな」

小鈴「え、あ、うん！　吟子ちゃんのためなら、この徒町いくらでもそばへと馳せ参じるよ！」ｻｯ

吟子「ありがと。……小鈴って、いい匂いがするんだね」ｷﾞｭｯ

小鈴「！？」
　

吟子「……うん、やっぱりいい匂い。幼馴染なのに、知らんかった……」

小鈴「幼馴染！？　そ、それは映画の中の役なはず……」

姫芽「甘えん坊モードになった結果、演じたキャラにも影響されてる、とかかな～……？　役とは違って、敬語ではないけど」ｳﾝｳﾝ

小鈴「な、何でもありだ……」

吟子「小鈴はいつも、頑張ってるから。偉い偉い」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

小鈴「いや、あ、あの！？　これじゃ徒町が甘やかされているのですが！？」

姫芽「ふふ～、さすがの幼馴染。甘え甘やかされの尊き関係だ～」ﾆｺﾆｺ
　

吟子「……ねぇ、二人とも。お願いがあるんだけど……聞いてくれる？」

小鈴「？　お願い？　もちろん、徒町たちでよければ、何でも聞くよ！」

姫芽「うんうん、吟子ちゃんの頼みなら十個でも、百個でも～……」

吟子「そっか、じゃあ百個お願いするね」ﾆｺｯ

小鈴「……え！？」

姫芽「……選択肢ミスったぽいな、アタシ～……」
　

────

吟子「──次は小鈴の番。お願い」ｷﾞｭｯ

小鈴「え、えっと……えいっ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

吟子「ん……気持ちいい……」

姫芽「……まさか本当に、大量のお願いが襲いかかってくるとは～……」ｸﾀﾘ
　

吟子「お願いは、まだまだたくさんあるから。次は姫芽の番だし、姫芽にも撫でてほしい……」ｷﾞｭｯ

姫芽「……ええい、こうなったら最後までやり通すのが、アタシの意地だ～……！」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

吟子「あぁ、姫芽に撫でてもらえるの、落ち着く……」

小鈴「……吟子ちゃんがこんなに甘えん坊になっちゃうなんて……徒町、大倉庫に眠る伝統が改めて恐ろしくなったよ……！」

姫芽「いや本当、そうだよね～……過去の先輩方が残した、謎の技術力すごすぎ……」ｳﾝｳﾝ
　

吟子「えっと、それじゃ、次のお願いは……」

小鈴「え、ま、まだあるの！？」

姫芽「……もしかしてアタシたち、吟子ちゃんの効果が切れるまで、ずっとこんな調子なんじゃ……」

小鈴「それって……朝まで、ということでは……」

吟子「小鈴、姫芽。お願い……ダメ、かな？」ｷﾞｭｯ
　

姫芽「！！　ぐ、甘えん坊吟子ちゃん、かわいすぎる……！　……うぉぉぉ！　もう何時まででも付き合う覚悟、アタシ、決めたよ～……！！」ﾒﾗﾒﾗ

小鈴「あわわ……こうなったらもう、誰にも止められない……徒町にも最早……！」

小鈴「……これ、先輩たちのほうは、どうなってるんだろう……？」
　

────

──花帆’s room


花帆「第一回！　花帆のかわいいところ、当てるまで帰れませんクイズー！　ぱちぱちぱちー！」

瑠璃乃「…………えっ？」
　

花帆「それじゃあ、まずは、さやかちゃんから！」ﾋﾞｼｯ

さやか「わたしですか！？　え、えっと、何を答えるんでしたっけ……？」

花帆「花帆のかわいいところ、です！　さやかちゃんが思ったのを素直に答えてね！　ちなみに、正解はあたしの匙加減で決まるから！」ﾌﾝﾌﾝ

瑠璃乃「クイズとして破綻してるやつだ、これ……！」
　

さやか「いやあの、そもそも、なぜお泊まり会でクイズを？」

花帆「だって、だって！　あたしは今、すっごく甘えたい気分なの！」

花帆「でもせっかくだし、みんなで楽しいこともしたい……そこで花帆は、前にさやラジでやっていたあのクイズを思い出したのです」ﾌﾌﾝ

瑠璃乃「あぁ、ノロケてるって話題になったあの配信のかぁ……」

さやか「話題になってたんですか！？」
　

花帆「クイズだったら、みんな楽しい！　あたしも、甘えることができて嬉しい！　Win-Winの関係ってことだよ！」ﾌﾝﾌﾝ

瑠璃乃「なんかいいように丸め込まれてる気がすっけど……」

さやか「……というか、このクイズ、花帆さんが満足するまで終われないのでは……」

瑠璃乃「あ、そうじゃん……最悪、朝までかかるかもしれないし……めぐちゃんが言った作戦、ルリたちの負担が大きすぎじゃね」
　

花帆「ほらほら、クイズ始めるよ！　さぁ、さやかちゃん、答えをどうぞ！」

さやか「え！？　か、花帆さんのかわいいところ…………笑顔が素敵なところ、でしょうか？」

花帆「えへへ、ありがとう、さやかちゃん♡」ｷﾞｭｰ

さやか「！？　か、か、花帆さん！？」

花帆「花帆のかわいいところ、当てたさやかちゃんには……花帆ポイント一点だよ♡」ｷﾞｭｯ

瑠璃乃「謎ポイント……」

さやか「きょ、距離感の近さには慣れているつもりでしたが……正解する度に抱きつかれるなんて、心臓に悪すぎますね、このクイズ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

花帆「じゃあ次は……瑠璃乃ちゃんの番！」

瑠璃乃「ルリもか……えっと、かわいいところ………………」
　

瑠璃乃「……ええい、まどろっこしい！」ｶﾞﾀｯ

さやか「瑠璃乃さん！？」

瑠璃乃「結局は、甘えたがりの花帆ちゃんを満足させればいいってことっしょ！　だったら……！」

瑠璃乃「花帆ちゃん、花帆ちゃん、ちょっとこっちに来てくれる？」

花帆「？　いいけど……どうしたの、瑠璃乃ちゃん？」

ﾄﾞﾝｯ

花帆「！」

瑠璃乃「ルリは、花帆ちゃんの全部がかわいくて……大好き！」ﾆｯ

さやか「！？！？」
　

瑠璃乃「──ふっふん！　ここまでやったら、花帆ちゃんもきっと満足するはず！　ルリの本心だし！」

花帆「……」

さやか「あ、あの、瑠璃乃さん。花帆さんの様子が……」

花帆「～～～っ！！！　さいっこうだよ、瑠璃乃ちゃん！　あたしも大好き！！」ｷﾞｭｰ

瑠璃乃「わわ、花帆ちゃん！？」
　

花帆「うんうん、二人とも最高の答え！！　あたしも大満足だよ！」ﾌﾝﾌﾝ

瑠璃乃「！　それじゃ、もう終わりに──」

花帆「──だからこそ！　あたしもうテンション上がっちゃって！　これはね、朝までだよ、二人とも！　まだまだ花帆に付き合ってもらうからね！」ﾆｺｯ

さやか「え、そ、そんな！？」

瑠璃乃「……逆効果だったかぁ」

ｷｬｰｷｬｰ ﾜｰﾜｰ
　

────

──梢‘s room


綴理「むにゃ……zzz」

慈「綴理、つーづーりー」ﾕｻﾕｻ

慈「……ダメだ、完全に寝ちゃってる。せっかくの蓮ノ大三角お泊まり会なのになぁー」
　

慈「ま、夜更かし向いてないタイプだもんね。早寝早起きの健康優良児……いや、さやかちゃんに起こされてるし早起きは違うか」

慈「とにかく、せっかくだし綴理はゆっくり寝かせといてあげよっかな。よく寝て、大きく育つんだぞー」ﾆｺｯ

綴理「……zzz」

慈「……さて、と、なると……」ﾁﾗｯ

梢「私のそばにいて……」ｷﾞｭｯ

慈「……私、甘えん坊モードの梢を、一人で見なきゃいけないのか……」
　

梢「慈、私のそばで一緒に寝ましょう……？」ｷﾞｭｰ

慈「いや、そんなに強く抱きしめてちゃ、めぐちゃんだって眠れないんだけど……」

梢「でも、寂しいのよ……」ｷﾞｭｯ

慈「って言ってもなぁ……さすがにちょっとだけ、距離あけてもいい？」

梢「……」

慈「梢？」

梢「……………………ヤダ」ｷﾞｭｯ

慈「っ！？！？！？」ﾄﾞｷｯ
　

慈「ちょ……待って待って、破壊力ヤバすぎだって、梢の『ヤダ』は……いや、すごいな……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

梢「慈。私のそばから離れないでちょうだい……」ｷﾞｭｰ

慈「えっとまぁ、梢がそう言うなら別にいいけどさ……でも、なんでそこまで……？」

梢「だって……」


梢「……慈は、私の前からいつだって、急にいなくなってしまうでしょう……？　二年前のときだって……」

慈「……！」
　

梢「あのとき、私はどうすることもできずに、慈はクラブからいなくなってしまって……」

梢「また、あんな風にみんなバラバラになんて……なってほしくないのよ……」

慈「……」

梢「……慈。離れないで、そばにいて……」ｷﾞｭｯ

慈「…………そっか」

梢「慈、慈……もうどこにも、いかないでちょうだい……」ｷﾞｭｯ

慈「……ん。大丈夫だよ、梢。私はもう勝手にどっか行ったりなんてしない」

慈「……私たちはずっと一緒、だから」ﾆｺｯ

梢「慈……」ｷﾞｭｰ
　

慈「……仕方ない、今日だけ特別、梢にめぐちゃんを抱き枕にする権利を与えよう！」ﾌﾌﾝ

梢「いいの、慈……？」

慈「もっちろん！　めぐちゃんに二言はないし、朝までだってずっと付き合ってあげちゃう！」

慈「だから……梢はもう、大丈夫だよ」ﾆｺｯ

梢「……ありがとう、慈」ｷﾞｭｰ
　

────

翌朝

ｶﾞﾁｬ

花帆「おはようございまーす！　あれ、梢センパイ、それに吟子ちゃんも！　いつもより早いですね？」

梢「ふふっ、そういう花帆こそ。まだ朝練までは、少し時間があるのだけれど……」

吟子「えっと、私は、一年のみんなでお泊まり会をしてたから……早く起きちゃって」

花帆「え、吟子ちゃんもお泊まり会したの？　実はあたしもなんだよね！」

吟子「え、すごい偶然……」

梢「あら、二人とも奇遇ね。私も実は、綴理や慈とお泊まり会をしたのよ」ｸｽｯ
　

慈「……zzz」

梢「慈？　部室で眠るなんて……寝不足だったのかしら？」

小鈴「ふわぁ……徒町、まだまだできます……」ｳﾂﾗｳﾂﾗ

さやか「……」ﾎﾞｰ

花帆「というか、スリーズブーケ以外はみんな、眠そうですけど……」

綴理「？　ボクは眠くないよ？」
　

瑠璃乃「スリブの部屋に泊まった結果、他がみんな寝不足って……」

姫芽「ある意味、別の意味で噂になっちゃいそうですね～……」ｱﾊﾊ


梢、花帆、吟子「……？？」


スリーズブーケが他メンバーを自室に連れ込んで寝かせなかった(意味深)らしい、と校内で少しだけ噂になった


おしまい