流しそうめん同好会「栞子ちゃん?」【SS】【アニメ・スクスタ】

流しそうめん SS


1: 2020/10/06(火) 21:52:37.74 ID:GBrkjvba
侑「やったねせつ菜ちゃん!」

菜々「はい!!」

栞子「……そんな……」

菜々「……三船さん、あなたのやり方が間違っているとは思いません」

菜々「でもっ、私はやっぱり……!みんなが大好きなことに、好きなだけ打ち込めるような学校にしたいんです!」

菜々「私に、もう一度任せてもらえませんか」

栞子「………」

栞子「……認めない……そんなもの……」

菜々「三船さん……」

栞子「覚えておいてくださいっ!」ダッ

侑「あっ……」

2: 2020/10/06(火) 21:53:01.14 ID:GBrkjvba
栞子「……なぜ……」

栞子「(好きなことに自分の適性があるとは限らない、そのことで悩み苦しむなんて間違ってる……!)」

栞子「(自分の適性があって、結果を出せることが保証されていることだけやれば、それが幸せに繋がる………私が正しい……正しいはず、なのに……どうして……)」

栞子「(……私は……どうすれば………)」ポロポロ

「おや、どうしたの1年生」

栞子「!!」

「あ!君たしか生徒会長選挙の……」

「……ドンマイ、惜しかったね」

栞子「……気休めはやめてください」

「もしかして今泣いてた?」

栞子「なっ!!泣いてません」グシグシ

「……涙もいいけど、どうせならもっと良いもの流しに行かない?」

栞子「……もっと、良いもの……?」

栞子「なんですかそれは……」

3: 2020/10/06(火) 21:53:23.07 ID:GBrkjvba
「うーっす、やってる?」

「あっ!部長遅いですよ!どこ行ってたんですか?」

部長「ちょっと部員勧誘してた」

「あ!その子たしか……三船さん、だっけ?」

栞子「………あの、ここは………?」

部長「ふっふっふっ……」

部長「流しそうめん同好会にようこそ!」

4: 2020/10/06(火) 21:53:43.62 ID:GBrkjvba
栞子「え?え?」

「はいこれ持って」

栞子「え?」

「流すよー」

栞子「え?」

「あっ、ほら来たよ!!取って取って!」

栞子「え!?」

栞子「え、えいっ」トゥル……

「あっ……」「ドンマイドンマイ!」「次行こ次」「ん~、うま♪」チュルル

「行くよ!」

栞子「えいっ」

「おっ」「やっt」

栞子「あっ」トゥル……

「あー惜しい!」「はい次次!」「取れるよー!」「ん~、うま♪」チュルル

5: 2020/10/06(火) 21:54:09.72 ID:GBrkjvba
「行くよ!」

栞子「………」

栞子「………」

栞子「はぁ!」

「おー!!」「やったじゃん!」「ナイスキャッ!」「あー……」

部長「ほらほら食べて食べて」

栞子「え、あ、いただきます……」

栞子「……?」チュルル

栞子「!……おいしい」

部長「ふふ、やっと笑ってくれたね」

栞子「!」

6: 2020/10/06(火) 21:54:30.36 ID:GBrkjvba
部長「どう?少しは気が晴れた?」

栞子「………」

部長「悩み事なんてそうめんと一緒に流しちゃいなよ」

「そんなものと一緒に流したら食べ辛くないですか……」

部長「あははったしかに」

部長「まだまだあるけど、もっと食べる?」

栞子「……いえ、もう……」

部長「そっか」

部長「基本月曜と水曜の放課後活動してるから、食べたくなったらまた来てよ」

栞子「はぁ……そうですか……」

「もう入部させときましょーよ」「そうですよ部長、この子の箸の進入角度はなかなか光るものが……」

栞子「!?か、考えさせてくださいっ」

栞子「失礼しますっ!」

「あっ……」「行っちゃった」「この空気に流されなかったかぁ」「取り損ねましたね……」

部長「……それはどうかな♪」

7: 2020/10/06(火) 21:54:53.82 ID:GBrkjvba
──────
────
──

 
 
 
栞子「………」

栞子「………」ウロウロ

栞子「………」

栞子「………」ソワソワ

部長「あ!やっぱりまた来てくれたんだ!」

栞子「あっ」

部長「どうしたの?入らないの?」

栞子「え、えっと……」

部長「……ほれほれ」グイグイ

栞子「わっ……」

8: 2020/10/06(火) 21:55:23.21 ID:GBrkjvba
「あ!来たね!」

「はいこれ持って」

栞子「え?」

「流すよー」

栞子「……前と同じ流れ……」

「流しそうめんはいつも同じ流れだからね」

栞子「いえそういうことでは……」

「来るよ」

栞子「あっ……えい」ヒョイッ

「おー、慣れてきた?」

「どんどん行こー」

「3連投!」ポイッポイッポイッ

栞子「えっ!?」ヒョイッ

栞子「あっ」

「……」ヒョヒョイッ

「……」チュルル

栞子「(……すごい……!なんという反射神経と腕のしなやかさ……)」

9: 2020/10/06(火) 21:56:03.22 ID:GBrkjvba
栞子「あれ……というか、あなた……」

「あ、とうとう気づいた」

部長「?……前から知り合い?」

「ええ、まあ」

部長「へー……あっ!それより入部する決心ついた?」

栞子「え……いえ……私は……」

栞子「………」

栞子「……あの、皆さんは何故流しそうめんを?」

部長「?……んー、流れで?」

栞子「……」

栞子「失礼を承知で言いますが、こんな将来何の役にも立たないようなことをしていて、意味があるのですか」

栞子「それよりも、もっと有意義な時間の使い方は、いくらでもあるはずです」

「………」

「ね、箸休めにちょっと外で話さない?」

栞子「………」

10: 2020/10/06(火) 21:56:31.62 ID:GBrkjvba
栞子「……あなたはたしかテニス部のはずでは」

栞子「今日も練習があるはずですが、そちらはいいのですか?」

「うん、テニス部辞めたし」

栞子「!!そんな……せっかく高い適性を持っているというのに……」

「そうそう、三船さ……栞子さんに前もそう言ってもらえて、シングルスに転向したりしたんだけどさ」

「……私、もともと勝負事苦手なんだよね」

栞子「そう、なんですか……?」

「うん、親が学生の頃ずっとテニスやってて、それで私も小さい頃からやらされてたんだけど、正直あんまり楽しくなかった」

栞子「………」

「相手の悔し涙とかより、そうめんの方が流れてるの見てたいし」

「相手の回転サーブすくうより、そうめんすくう方が楽しいよね」

栞子「………」

12: 2020/10/06(火) 21:56:55.88 ID:GBrkjvba
栞子「……私には、分かりません」

「………」

「もし、栞子さんに流しそうめんの適正があるって言ったら同好会入ってくれる?」

栞子「えっ?」

「先輩も言ってたよ、すくうの上手いって。もしかしてよくやってた?」

栞子「いえ、前回が初めてです……」

「才能あるじゃん」

栞子「ですが……」

「そうだよね、普通そんなこと言われても困るよね」

栞子「!?」

栞子「……」

13: 2020/10/06(火) 21:57:20.12 ID:GBrkjvba
「適性とか才能があっても、それが自分にとって嫌なこととか楽しくないこと、興味ないことだったら、それを続ける方が無駄な時間じゃない?」

栞子「それは……」

「例えば私がずっとテニス続けて、すごい選手になって、たくさん稼いだとしても、」

「今ここで、みんなと楽しく流しそうめんしてる時間は買えないから」

「過ぎ去った時間は、一度流れたら戻らない」

「流しそうめんのようにね」

栞子「……」

14: 2020/10/06(火) 21:57:52.64 ID:GBrkjvba
部長「うんうん、その通り」

「……聞いてたんですか」

部長「まあね」チュルル

部長「……例えば自分に一番合ってるそうめんがあったとしてもさ」

部長「それ以外のそうめんが食べられないなんて、そんなのつまらないじゃない?」

栞子「……」

部長「他人に流されない自分だけの信念を持つのは誰にでもできることじゃない、それはすごいことだと思うよ」

部長「でも、必ずしも自分が絶対正しいとは限らない」

部長「そうめんすするのにもマナーがあるって人もいれば、そんなの関係ないって人もいるようにね」

部長「栞子ちゃんも、もう少し伸び伸び、たまには流されてもいいんじゃない?」

部長「そうめんはあんまり伸ばしちゃダメだけどね!」

栞子「………」

16: 2020/10/06(火) 21:58:09.04 ID:GBrkjvba
栞子「……流されても、良いんでしょうか」

「……流す方もやってみる?」

部長「いいね!早速やってもらおうか!」

「行こ?」

栞子「………」

栞子「……はい♪」

17: 2020/10/06(火) 21:58:30.80 ID:GBrkjvba
──────
────
──

 
 
 
部長「ほんとに!?」

栞子「はい、初心者ですがよろしくお願いします」ペコッ

部長「こちらこそだよ!」

「よろしくね~」「よろしく!」「入ってくれてありがとー!」

部長「さ!じゃあ景気付けに、アレでも流すかな」

「アレって?」

「ドレですか?」

部長「はいこれ」

「!?」「!?」「!?」「!?」「!?」「!?」「!?」

19: 2020/10/06(火) 21:59:05.55 ID:GBrkjvba
「こここ、これは!?!?」

「ヤバいですって!!」

「流すやつじゃないよこれ……」

「すご、本物だ……!」

栞子「??……このそうめんは?」

部長「揖保乃糸〈いぼのいと〉、三神」

「………これ、普通に食べますよね……?」

部長「決まってんでしょ!!」

部長「流すんだよッ!!!」

「こんなほっそいの取れませんよ!!」

部長「やってみなくちゃわかんねーでしょ!!!」

「………止めても無駄みたいだね……♪」

「先輩まで……」

20: 2020/10/06(火) 21:59:32.36 ID:GBrkjvba
──────
────
──

 
 
 
「誰もまともに取れてないじゃないですか!!!」

部長「いけると思ったんだけどなー」

「あはは……」

「細いぜやっぱり揖保乃糸」

栞子「………」

「なんか、ごめんね……栞子ちゃんも取れてなかったよね」

栞子「はい……でも」

栞子「楽しかったです」

「!……ふふ、そっか♪」

21: 2020/10/06(火) 22:00:55.01 ID:GBrkjvba
──────
────
──

 
 
 
部長「さあ!今日も張り切って流してこー!」

「お~!」「わー」パチパチパチ… 栞子「♪」


タッタッタッ……ガラララ!
 
 
???「栞子~~!!!」

栞子「!?!?」

22: 2020/10/06(火) 22:01:25.05 ID:GBrkjvba
栞子「ランジュ!?」

栞子「ど、どうしたんですか、急に!?」

栞子「来るなら来ると知らせてくれれば迎えに行きましたのに!」

ランジュ「サプライズよ。栞子をびっくりさせようと思って♪」

ランジュ「アタシたち明日から通うのよ、ここに!どう、嬉しいわよね?」

栞子「ええ!?ど、どういうことですか!?」

ランジュ「その慌てた顔。ふふ、サプライズは成功ね!」

ランジュ「栞子、無問題ラ」

ランジュ「全て”流れ”のままに受け止めるといいわ!」

栞子「”流れ“のままに……」

部長「(……流しそうめんか………?)」

24: 2020/10/06(火) 22:02:34.82 ID:GBrkjvba
>>22
訂正

栞子「ランジュ!?」

栞子「ど、どうしたんですか、急に!?」

栞子「来るなら来ると知らせてくれれば迎えに行きましたのに!」

ランジュ「サプライズよ。栞子をびっくりさせようと思って♪」

ランジュ「アタシたち明日から通うのよ、ここに!どう、嬉しいわよね?」

栞子「ええ!?ど、どういうことですか!?」

ランジュ「その慌てた顔。ふふ、サプライズは成功ね!」

ランジュ「栞子、無問題ラ」

ランジュ「全て流れのままに受け止めるといいわ!」

栞子「流れのままに……」

部長「(……流しそうめんか………?)」

25: 2020/10/06(火) 22:03:00.42 ID:GBrkjvba
栞子「ランジュが、この学校に転入してくるということですよね……?」

栞子「ちょっと待ってください!?アタシ『たち』とは……?」

ランジュ「アタシと……ほら入って!アタシの幼馴染で大親友の栞子に挨拶して」

ミア「……Hai,I’m Mia.」

ミア「ボクはこんなローカルで狭っ苦……狭!?!?」

ミア「えっ!?部屋狭い!!!??」

「丁度いいスペースだと思うけど」

26: 2020/10/06(火) 22:03:23.16 ID:GBrkjvba
部長「……お友達?」

栞子「はい、1人は友人です………そちらの方は初対面ですが……」

部長「そっか!」

部長「じゃあ一緒に流しそうめん食べましょう!」

ミア「……ナガシソーメン?」

ランジュ「さっきから気になってたけど、これ何なの?」

部長「そうめんを流す、やつです!」

ミア「ソーメンヲナガスッヤツ?」

「はいこれ持って」

ミア「え?」

「どうぞ」

ランジュ「はぁ……」

27: 2020/10/06(火) 22:03:44.82 ID:GBrkjvba
部長「説明するよりやってみた方がわかりやすいでしょう」

部長「準備は?」

「いいよー」

「ほいっ」ポイッ

ミア「……?」

ランジュ「……?」

「……」ヒョイッ

ミア「!!」

ランジュ「!!」

「……♪」チュルル

28: 2020/10/06(火) 22:04:35.54 ID:GBrkjvba
ランジュ「なるほど、食文化の一種ね」

ランジュ「訳わからないけど」

部長「どんどん流してー」

「はーい」
 
 
ミア「くっ」スルッ…

ミア「このっ」ツルッ…

ミア「あっ」ポロッ…

「箸は難しいかな……?」

ミア「……イエ ーモンキーはこんな使いづらいもので食事してるなんてイカれてるね!」

ランジュ「あ?」

部長「まあまあ落ち着いてください」

「フォーク使います?」

部長「もっと無理なんじゃ……」

29: 2020/10/06(火) 22:05:01.02 ID:GBrkjvba
栞子「あの、これを使ってみてはどうですか」

ランジュ「これは?」

栞子「箸のようなトングです」

「さすが栞子ちゃん!話がそうめんのようにスムーズに流れる!」

ミア「サンキュー」

ミア「……とぉ!」ヒョイッ

「おお!」「やったね!」

部長「お椀に移して、つゆにつけて食べてくださいね」

ミア「オーケー」

ミア「ッッずずずっっっ」

ミア「ン゛ッッッッッ!?!??」

ミア「オ゛ヘっ!!!ゴホゴホッ!!!ケホッ!!!」

ランジュ「ミア!!?」

30: 2020/10/06(火) 22:05:23.54 ID:GBrkjvba
ミア「………エホッ……」

ランジュ「ミア!?平気!?」

ミア「………」

ミア「………」

ミア「……ヤダ……」

ミア「…………ミアおうちかえる……」ウルウル

ランジュ「ミア……」

部長「すするのも難しいんですね、失念してました……」

ランジュ「栞子!!ここはなに!?どうしてこんな危ないところにあなたがいるの!!?」

栞子「え、部員なので……」

ランジュ「部員!?!?」

ランジュ「……栞子、変わったわね……」

ミア「ケホケホッケホッ……エ゛ェ……」

ランジュ「………」

31: 2020/10/06(火) 22:05:40.87 ID:GBrkjvba
ランジュ「失礼させてもらうわ!!こんな小国民ごときが我が大国に喧嘩売ったんだから覚悟しなさい!!!」

ランジュ「じゃあね栞子!!!」

栞子「え、あ、はい……」

部長「また来てくださいね~」
 
 
 
部長「……喧嘩なんて売ったっけ」

「そうめんすら打ってないよ」

32: 2020/10/06(火) 22:06:12.84 ID:GBrkjvba
「なんか、一瞬で来て一瞬で過ぎていきましたね」

栞子「!」

栞子「………」

栞子「……流しそうめんみたいですね」

部長「!」

栞子「………」ドキドキ

「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

「「「「「「「「それな!!!!!!」」」」」」」」

栞子「!」パァァ…!

33: 2020/10/06(火) 22:07:17.27 ID:GBrkjvba
おしまい

昨日まったく同じスレタイのSS見かけて慌ててスレタイ変えた

36: 2020/10/06(火) 22:09:38.19 ID:R+Bj2Zrb

思った以上に良い話だった

38: 2020/10/06(火) 22:10:08.27 ID:uOPW4yg3
なんて爽やかなやつらなんだ

40: 2020/10/06(火) 22:11:08.02 ID:CnyYoIwv
流しそうめんは凄い

42: 2020/10/06(火) 22:16:52.31 ID:DZFANx8t
空前の流しそうめんブーム来てるな!
季節が残念だが

45: 2020/10/06(火) 22:27:28.55 ID:GBrkjvba
>>42
>>44
「待っていれば必ずまた旬な季節が流れてくるよ、流しそうめんのようにね」

47: 2020/10/06(火) 22:27:43.12 ID:uGf/UdTd
ながしおキテル

54: 2020/10/06(火) 23:50:14.37 ID:wBAKvidx
いい話だ

56: 2020/10/07(水) 02:56:36.98 ID:voB4gR0F
なんかワロタ

58: 2020/10/07(水) 03:50:44.41 ID:js1mthaF
決意の流し

59: 2020/10/07(水) 11:55:59.15 ID:X/yFlAeP

流しそうめん人気だなぁ

60: 2020/10/07(水) 13:43:41.74 ID:/sXmPCNX
面白かったのです!???

61: 2020/10/07(水) 22:43:02.84 ID:1xEcz2ZE
流しそうめん同好会とかいう渾身のギャグほんと好き

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1601988757/

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