SS
りなあいーSS
天王寺璃奈ーSS
虹ヶ咲ーSS
1.構え
かきん。小気味のいい音が響く。赤とんぼがすいすい泳ぐ真っ赤な空に、白いボールが吸い込まれていった。
白い尾を引いて、白球はディスプレイに映ったデジタル投手の頭の上を越えていく。そのまま緑のネットにぼすんとぶつかって、白球は見えなくなった。
「惜っしー! 今の見た!? もうちょいでホームランだった!」
言葉とは裏腹に、愛さんは心底楽しそうに大声で笑う。金色の髪をきらきらと靡かせて、白い花をふわふわと揺らす愛さん。寂れた小さなバッティングセンターをステージにして、緑のネット越しで尚、きらきら輝く愛さん。
そんなあの人を、今は私が、私だけが独り占めしている事に少し嬉しくなる。
ひとしきり笑った愛さんは、少し目を細めて私を見る。ぱっちり大きな目をした愛さんが、やんわりと目を細めると大人びた印象に早変わり。
そんな愛さんを独り占めしている高揚感を再確認する意味で握りしめると、心がぽかぽかと暖かくなってくる。
2023年11月1日 20:10
SSまとめ記事りなあいーSS天王寺璃奈ーSS虹ヶ咲ーSS