【SS】「実力テスト」

○月×日、音ノ木坂学院の生徒達は実力テストを受けていた。
　

穂乃果「えっと…1919年に締結された講和条約は何か………え〜…生まれる前の事じゃん…」

海未（穂乃果…テスト中なのにブツブツうるさい…）

穂乃果「………２かな」

海未（黙って受からないのでしょうか。まあ…２で合ってますが）
　

穂乃果「これも難しいなぁ…」
　
海未（こんな簡単な問題も分からないなんて。普段からどれだけ勉強してないかが見て分かりますね）

穂乃果「えんぴつ…えんぴつ…」コロコロ

海未（えっ？まさか…えんぴつを転がして答えを決めてる？いや…でも…さすがの穂乃果でもそんな馬鹿な事は…）

穂乃果「２が出た!答えは２と」

海未（馬鹿だった…やはり穂乃果は馬鹿でした。まあ…答えは2で合ってますが）
　

ことり（海未ちゃん…穂乃果ちゃんの方ばかり気にしてるけど…大丈夫かな？）

教師（南のやつ…園田の方ばかり見てるけど…カンニングか？いや…南に限ってそんな事ないよな。理事長の娘だもんな）

穂乃果「ん〜……」コロコロ

海未（またえんぴつ転がしてる）

穂乃果「２だ！」

海未（2でいいんですか？3回連続ですけど！！？あっ…でも2で合ってますね）
　

穂乃果「…………」

海未（穂乃果の手が止まりましたね）

ことり（海未ちゃん…完全に手が止まってる…よっぽど気になるんだね。私の方からは見えないけど…穂乃果ちゃん変な事してるんだろうな）

教師（やっぱりテスト終わったら注意しよう）
　

穂乃果「んと」ガサゴソ

海未（筆箱を漁ってる？何をしてるんですか穂乃果）

穂乃果「あった！」

海未（え…サイコロ？いや…違う。消しゴム？）

穂乃果「それ…」コロコロ

海未（わざわざ消しゴムを四角にカットしてサイコロの代わりにしてる！！？テストの為に？その労力を勉強に使えば良いのに……）
　

穂乃果「あっ…6だ」
　
海未（選択肢4までしか無いでしょう…）

穂乃果「2でいっか」

海未（言い訳ないでしょう……2で合ってますけど。って言うか四回連続２？）
　

穂乃果「次も2かな？」

海未（………２ですね………え？5回連続２？え？合ってます？いや…合ってる。合ってますけど…なんか不安になって来たのですが）　

コロコロ〜

穂乃果「4かな？」

海未（いや…2ですよ……2のはずなんですけど……本当に2でいいのでしょうか？今の所2としか書いてないのですが）
　

穂乃果「ん〜１かぁ」

海未（いや…２です。え…もしかして全部2なんて事ないですよね？なんか…もしかして試されてる？学力とは違う別の何かを試されてるとか？）

ことり（海未ちゃん…固まってる…）

海未（他の人達の反応は…）
　

シーーーーン

海未（焦ってるの私だけですか？もしかして…答え間違えてる？だって…解答が全て２の訳…でも何回読み返しても間違ってないはず。答えは2……）

穂乃果「3だ！」

海未（違う。2です。2のはずです。そうです。これは心理誘導の一種です。そんなもの引っ掛かる私ではありません。自分を信じるのです海未）
　

穂乃果「………げっ」

海未（ん？）

穂乃果「……ここだけ選択問題じゃない」

海未（あ〜なるほど。計算は選択問題じゃないんですね。良かった。全部2だったらどうしようかと…）

穂乃果「2でいっか」

海未（だから良い訳ないでしょ。ちゃんと計算を………2ですね。答え…2…）
　

ことり（海未ちゃん…大丈夫かな？ずっと穂乃果ちゃんの事見てカンニングと間違えられたりしないかな？）

教師（園田も高坂の方をキョロキョロと見てるけど…流石に高坂の答案をカンニングなんてしないだろうなぁ。それよりも…理事長の娘だけど…いいよな？注意しても…クビになったりしないよね？しないよな…南？）

穂乃果（あっ！先生の服…タグがついてる。３９８０円って）
　

海未（またしても答えは２。これ絶対学力以外の何かを試されてますよ。だって普通のテストだったら絶対ないですもん）

穂乃果（3980円か…デートには来てかないだろうな。学校専用かな？）

教師「なんだ高坂？ジロジロと見て、先生の顔に何かついてるか？」
　

穂乃果「え？いえ…顔には何も付いてません」

海未（顔には？）

ことり（顔には？）

先生「顔には？」

穂乃果「え？あっ…いえ…」
　

海未（顔にはって…あっ…）

教師「顔以外に何か付いてるってのか？」

穂乃果「えっと…服にタグが。3980円の」

海未（えっ！？）

ことり（えっ！？」
　

教師「え？あっ…」カァァァァ

穂乃果「あはは…いや…まあ…」

教師「えっと…私語は慎め！あと、南！キョロキョロするな！カンニングと間違われるぞ」

南「え？私ですか？海未ちゃんじゃなくて？」

海未「え？」
　

ことり「あっ、いえ…」

海未「ことり…？」
　
教師「……静かにしろ」

海未「は、はい。すいません」

ことり「ごめんなさい」
　

海未（うぅ…穂乃果が変な事ばかりするから…皆んなの前で恥ずかしい）

ことり（皆んなの前で怒られちゃったよぉ。恥ずかしいよぉ）

穂乃果（先生、あれ絶対に恥ずかしいの隠す為に怒ったよ）
　

海未（もういいです。穂乃果の事なんて放っておいて私は自分の事を……また２…もう不安しかないです。）

ことり（そう言えばさっきから答えが２ばっかりだなぁ）

穂乃果「あっ！！？」

海未（……また？）

ことり（穂乃果ちゃん？）

先生「今度はなんだ！！？」

穂乃果「あっ、すいません。つい…」

先生「つい何なんだ？」

穂乃果「いや…ゼミでやった所だと思って。すいません」

海未（え？）

ことり（え？）

先生「ゼミ…そうか」
　

先生（ゼミって進研ゼミだよな…高坂のやつ…進研ゼミやってあの学力なのか…）

海未（穂乃果…いつの間にゼミなんて…）

ことり（穂乃果ちゃん…進研ゼミやってるんだ…）

穂乃果（ふっ…この問題ゼミで見た事ある。あるけど…全然分からないなぁ。ここはやっぱり鉛筆様に頼ろう）コロコロ

海未（え？結局鉛筆転がすんですか？ゼミでやったんじゃないんですか？）

ことり（海未ちゃん…また穂乃果ちゃんの方見てる。怒られたばかりなのに（

先生（南のやつ…また園田の方を…なんでそんなに園田の事が気になるんだ？）
　

蜂「ブ～～～ン」

穂乃果「あっ…」

先生「もう黙ってろ高坂」　　

穂乃果「え…でも…」

先生「いいから」

蜂「ブ～～～ン」

ヒデコ「あっ、せ、先生！！！蜂が」

先生「え？」
　

数日後。

穂乃果「おおっ！８５点！私の人生史上最高得点だ！」

海未「あれで８５点…」

穂乃果「海未ちゃんは何点だった？」

海未「……98点です」

穂乃果「98点？え…凄いね。けど、惜しかったねぇ。あと一問で100点でしょ？」

海未「ええ…まあ…。もっと自分を信じようと思います」

穂乃果「ん？」
　

完