千歌のお料理日記:トンカツ編【SS】

ちか SS


1: 2020/11/29(日) 00:15:52.65 ID:eBnQIAA4
志満姉「千歌ちゃん、一人暮らしなんてほんとに大丈夫……?」

千歌「だいじょーぶだいじょーぶ! チカだってもう大学生なんだから! もうおとなですよ!」

美渡姉「大学生なら自分のこと名前で呼ぶのやめた方がいいと思うけどな……」

千歌「うぐっ……た、たまにクセで出ちゃうだけだし……」

志満姉「一人暮らしは大変なのよ? いつもお姉ちゃんがやってあげてたお洗濯、お部屋の片付け、ゴミ出し、お風呂掃除、お料理……全部一人でしなくちゃいけないの」

美渡姉「私が未だに実家暮らしなの考えてみなさいよ、千歌に一人暮らしなんで出来るわけないでしょ」

千歌「うぐぐ、散々な言われようなのだ……」

千歌「でももう決めたことだもん! 私、静岡を出て大学生になって一人暮らしを謳歌するんだよ!」

千歌「あと部屋の片付けとお風呂掃除はもともとチカの仕事だったからできるよ!」

志満姉「心配だわぁ……」

美渡姉「心配だなあ……」

千歌「もぉ~!」

志満姉「千歌ちゃんを朝起こしてあげられないなんて……寂しくなっちゃうわ」

千歌「ぅ……し、しまねえ……」

美渡姉「自分でやるって決めたなら頑張りな! あんた昔からすぐやめるって言うんだから」

千歌「み、みとねえ……」

美渡姉「たまに顔出しに行ってやるからね」

志満姉「しっかりするのよ千歌ちゃん! たまにはお電話してね?」

千歌「……うん、する! 絶対遊びにきてね!」


こうして私は大学生になり、静岡を出て一人暮らしをすることになりました!

4: 2020/11/29(日) 00:22:47.94 ID:eBnQIAA4
~千歌の部屋~


千歌「ん~!!」

千歌「ここが私の城だー!」

千歌「……まあ小さいワンルームマンションだけどね」

千歌「大学から自転車で5分で近くにスーパーもあるし、駅も徒歩10分圏内!」

千歌「そして何より一人暮らし! うるさい美渡姉もいないしお休みの日にお昼寝いっぱいしても怒るお母さんもいない!」

千歌「無敵だ……無敵だよ私!」

千歌「ふふふふふ……そして何より一人暮らしするときにずっと憧れていた、そう、アレ!」


千歌「自炊!」


千歌「自炊……それは全ての大学生もしくは一年目社会人の憧れ」

千歌「私もついにその第一歩を踏み出すとき!」

5: 2020/11/29(日) 00:32:46.67 ID:eBnQIAA4
・・・


千歌「一人暮らしの調理器具……」スマホスマホ

千歌「よし、とりあえずフライパンと小鍋必須だよね!」

千歌「お皿と包丁と電子レンジは実家から持ってきてるから大丈夫……お金のかかりそうなところは抑えてるから大丈夫、だいじょーぶ」

千歌「確か自転車で少し行ったところにホームセンターがあるから……そこで他の日用品も見ながらお買い物だ!」

千歌「ふっふっふ……志満姉から調理器具用のお金もらってるから不安はないのだ」


~ホームセンター~


千歌「ふんふん……とりあえず包丁はお父さんがくれた物があるからオッケーだよね」

千歌「うわ、包丁ってこんなにするんだ……高い……」

千歌「やっぱり高いとよく切れるのかな?」

千歌「あ、お鍋お鍋」

千歌「とりあえず小鍋と……フライパンと、菜箸……」

千歌「お皿は家から持ってきたのがあるからよし」

千歌「そうだ、そういえばオーブントースター買わなきゃ」

千歌「トースター機能付きの電子レンジだけど、オーブントースターはやっぱり必要だよねぇ」

千歌「……アルバイトしてお金貯めてからにしようオーブントースター」

7: 2020/11/29(日) 00:41:24.98 ID:eBnQIAA4
千歌「うぐぐ、すっごく目移りしてる!」

千歌「でもこれ以上は持って帰れないから、あとは実際に必要になったら買いに来よう!」

千歌「一旦家に帰って置いたら次は食材の買い出しだー!」

千歌「あ、洗剤安い!買っとかなきゃ!」

千歌「あとジップロックとサランラップも」

千歌「それから……ってこれじゃ終わんないよ! ストップ、ストップ私!」

千歌「レジにいくぞー!」

レジのおばちゃん「~円です」

千歌「はい!」

9: 2020/11/29(日) 00:52:40.64 ID:eBnQIAA4
~近所のスーパー~


千歌「ふう……スーパーも安いけどホームセンターってすごいなぁ。工具とか木材のイメージばっかりだけど、生活雑貨や日用品もいっぱい売ってるんだもん」

千歌「エンチョーが懐かしい……」

千歌「……」ジワッ

千歌「はっ……いけないいけない、来て早々ホームシックなんて美渡姉に笑われる!」ゴシゴシ

千歌「気を取り直して今日から早速自炊!」

千歌「自炊第一号のお料理は何にしようか……」

千歌「んー……お肉食べたい」

千歌「昨日はコンビニのサバ味噌だったし」

千歌「あ、トンカツ用のお肉が安い……」

千歌「……トンカツかあ」

千歌「揚げ物って一人暮らしでどうなんだろう」

千歌「でも……いいなあトンカツ」

千歌「むむむむ……えーい! 今日は食べたいものつくる!」

千歌「自炊第一号はトンカツだ~!」

11: 2020/11/29(日) 00:56:59.10 ID:eBnQIAA4
~千歌の部屋~


千歌「というわけで買ってきました!」

千歌「時間は夜18時……あと1時間で鬼滅の刃が始まる……」

千歌「それまでに作って食べながら見るぞー!」

千歌「よし、色々調べたから大丈夫!……たぶん」

12: 2020/11/29(日) 01:07:09.41 ID:eBnQIAA4
千歌「お米は洗って炊飯器にぶちこんでおしまい!待つだけ!ばっちり!」

千歌「ここからはお肉のステージだ!」

千歌「今夜は贅沢に2切れも食べちゃうよ~!」

千歌「さて……んんと、お肉はまずスジ切りから」

千歌「豚肉の脂身と赤みの境目をちょこっとだけ包丁で切り込みを入れていく……んっ、んっ……んっ」グッグッ

千歌「お父さんの包丁よく切れるから手を切らないように気をつけなきゃ」

千歌「スジを切る理由はよく分かんなかったけど……買いてたし必要なんだよね、うん」

千歌「……こんな感じで大丈夫なのか私の自炊……」

千歌「スジ切りが終わったら次はお肉を柔らかくしていきます!」

千歌「調べた動画ではハンマーみたいなやつで叩いてたけどそんなものはないので、チカはこれを使います!」バッ

千歌「じゃじゃーん! ふぉーーーく!」

千歌「フォークでお肉全体をぷすぷすしておくとお肉が柔らかくなるのだ! 理由は知らないけど!」プスプス

14: 2020/11/29(日) 01:13:41.66 ID:eBnQIAA4
千歌「表と裏もしっかりぷすぷすやっていきます」プスプス

千歌「1枚目が終わったら2枚目もしっかりと……」プスプス

千歌「よし、ぷすぷすが終わったら次は下味!」

千歌「下味……これをしておくだけでお料理のレベルは格段に変わるのだ」

千歌「チカは下味という技術を手に入れたことで志満姉にもあと一歩で追いつけそうなくらいにはレベルアップしたんだよ!」

千歌「えーっと、下味は塩コショウ……をかけて馴染ませる」

千歌「どれくらいだろう……あとでソースかけるし、そんなに多くなくていいよね」

千歌「……こんなくらいかな?」パッパッ

千歌「調理の呼吸 一ノ型……塩胡椒」

千歌「……何言ってるんだろ」

16: 2020/11/29(日) 01:19:49.38 ID:eBnQIAA4
千歌「下味処理がかんりょーしたら次はお着替えだね!」

千歌「さいきょーの美人トンカツに仕立てあげちゃうぞ~!」

千歌「まずは薄力粉で真っ白に染め上げていくっ!」ポフポフ

千歌「うわわわわ勢いよくやりすぎちゃっtけほっけほっ! えほっ、えふっ!んんっ!」バサバサッ

ガラガラガラン!!

ビターン!


・・・


千歌「……えーっと」

千歌「咳き込んだせいで薄力粉をひっくり返してしまいました」

千歌「お肉も一枚ダメにしちゃった……3秒ルール適用で食べるけど」

千歌「火を通せばだいじょーぶだいじょーぶ……多分」

千歌「気を取り直して今度は溶き卵にくぐらせて……」ピチャピチャ

千歌「最後にパン粉を着せてあげれば……」パフパフ

千歌「準備完了!」

18: 2020/11/29(日) 01:24:57.37 ID:eBnQIAA4
千歌「お料理動画だと四角いトレーみたいなのでやってたけど、うちには丸いお皿しかないのでお皿でやりました!」

千歌「……あ」

千歌「油温めるの忘れてた……」


~数分後~


千歌「……いい感じかな?」

千歌「中火……中火ってこれでいいのかな」

千歌「強と弱の間ぐらいだし多分中火だよね」

千歌「とりあえずパン粉をひとかけ落として……」ジュワワ

千歌「おお! いーかんじにあったまってるっぽい!」

千歌「……よし」

千歌「ここが今日いちばんの難所……」

千歌「心がすっごくわくわくどきどきしてる……! よゐこの濱口みたいに油にポーンしたい気持ち……」

千歌「でもそれやると火事になっちゃうからダメダメ」

19: 2020/11/29(日) 01:30:21.45 ID:eBnQIAA4
千歌「よーし! 怖がっててもご飯はできない! 今こそ決心の────」

ピロリロリン

千歌「あ、ご飯炊けた」

千歌「……おほん」

千歌「今こそ決心の時! お着替えできたお肉たちにはお風呂に入ってもらうよ!」

千歌「というわけでパン粉をつけ終わったお肉は静かに油の中へ……」ソーッ

千歌「中へ……」ソーッ

千歌「な、なかへ……」ソーッ

千歌「……よ、よい……しょ………」ジュワワッ

千歌「!」


ジューッ!


千歌「おおお! なんかいい感じの音! これぞ揚げ物って感じ!」

千歌「次は2枚目……2枚目も静かに……」


ジュワワーッ


千歌「ちょ、静かにして1枚目の子」


ジューッ!


千歌「静かにしてくれないと入れれないじゃん!」

20: 2020/11/29(日) 01:38:13.36 ID:eBnQIAA4
千歌「1枚目の子は反抗期のようです……でもめげずに2枚目もお風呂に入れていくよっ!」

千歌「……ふう、ふう」ソーッ

千歌「……そーっと、そーっと……」


パチンッ!


千歌「あっちゃ!」パッ


バシャッ


千歌「あっち! 油! 油はねた!あっっつ!!」

千歌「うう、そーっと入れようとしたのに……」

千歌「1枚目の子の反抗期がどはつてんをつくいきおいだよ……」

千歌「お母さんそんなふうに育てた覚えはないのに……っ」

千歌「……火傷になってないよね?」

千歌「あーん……ちょっと指に赤いのできちゃった……」

千歌「あとで冷やしとこ……」

21: 2020/11/29(日) 01:42:02.15 ID:eBnQIAA4
千歌「揚げ時間は5分くらい……? まあ、色がそれっぽくなったらでいいよね多分」

千歌「その間にお皿に千切りキャベツパックを開けて……」バサバサ

千歌「そしてソース作り!」

千歌「ソースは我が家秘伝のソース」

千歌「市販のトンカツソース、できればカゴメのトンカツソースがいいんだけど」

トポポポ

千歌「それにマヨネーズを加えて……混ぜます」マゼマゼ

千歌「ひりつはテキトーに、トンカツソースの黒っぽい色がマヨネーズといい感じに合わさっていい感じの茶色になったらそれでオッケー!」

千歌「美味しいからぜひみんなもやってみてほしいな」

千歌「……誰に言ってるんだろ」

22: 2020/11/29(日) 01:50:04.66 ID:eBnQIAA4
千歌「そういえば使った卵勿体無いなあ……明日卵焼きにして朝ごはんにしよっと」

千歌「お肉は適度に裏返して両面しっかりと……」

千歌「よし!」


ピピピピ


千歌「あ、5分経った」

千歌「……さてさて、どんな感じかなー」

千歌「おお、いい感じの色なんじゃないかな!」

千歌「これだけ綺麗な色になってたら中までちゃーんと火は通ってるよね、多分!」ジュワワ

千歌「よしよし、そうと決まればお肉ちゃんたちがのぼせないうちにキッチンペーパーにあげて……っと」ヒョイヒョイ

千歌「一口サイズに切ってく!」

23: 2020/11/29(日) 01:56:05.59 ID:eBnQIAA4
千歌「揚げたてのトンカツはあちあちだから……お箸で押さえつつ包丁で……うぇ、うまくまっすぐにきれない……」ザクザク

千歌「でもいい感じに火通ってる! おいしそ~!」

千歌「ん~! お腹空いてきた~」

千歌「切り終わったらお皿に盛り付けて……」ササッ

千歌「インスタントのお味噌汁を用意して……」

千歌「ご飯をよそっていざ実食!」

千歌「ちょうど鬼滅の刃に間に合った!」

千歌「……さてと」

千歌「いただきます!」

25: 2020/11/29(日) 02:02:21.41 ID:eBnQIAA4
千歌「……あーむ」シャク

千歌「んーーーんまい!」

千歌「あんまりかけてないつもりだったけど意外と塩胡椒の味ついてる! 下味すごい!」

千歌「でもちょっとお肉硬くなっちゃってるかも……揚げすぎたのかな」

千歌「でも初めてにしたらよくできた方だよね」

千歌「ソースもかけて……」ペタペタ

千歌「はむっ!」モグモグ

千歌「ん~!!」

千歌「千切りキャベツもばっちり! さすがスーパーのやつ!」

千歌「次はお味噌汁も自分で作れるようにならなきゃね!」

千歌「……みんなでご飯食べてる」

千歌「天ぷらかあ……美味しそうだなぁ。お父さんの天ぷら、さいこーに美味しいんだよね」

千歌「…………」

千歌「自炊って憧れだったし、すごく楽しい……けど」

千歌「一人で食べるご飯って……ちょっと寂しいな」

26: 2020/11/29(日) 02:06:44.32 ID:eBnQIAA4
千歌「友達ができたら、うちに誘って一緒にご飯食べたいな」

千歌「その時までに、もっと上手くできるようになってて」

千歌「そのうちAqoursのみんなもこっちに来てもらって」

千歌「曜ちゃんと梨子ちゃんに……食べてもらいたいな」

千歌「……ふふ、まずは志満姉と美渡姉とお母さんお父さんだけどねっ」

千歌「ホームシックはこれくらいにして食べなきゃ冷めちゃうや」

千歌「あ、そうそう」

千歌「このソースはからしがとっても合うからぜひ一緒に!」

千歌「……って、そもそもトンカツにからしはひちじゅひん……」

千歌「必需品だっけ、うん」

千歌「はやくたべちゃおーっと」

27: 2020/11/29(日) 02:10:48.84 ID:eBnQIAA4
・・・


千歌「ごちそうさまでしたっ!」

千歌「ふう……」

千歌「おなかぽんぽんだよー……」

千歌「……志満姉お茶ほしいー……」

千歌「…………いないんだった」

千歌「こういうのも一人でやってかなきゃなんだ、一人暮らし」

千歌「……自分のことは自分でやる、の精神だ」

千歌「よし、洗い物して温かいお茶飲みながらMステ見よっと!」

28: 2020/11/29(日) 02:16:12.47 ID:eBnQIAA4
~就寝~


千歌「今日のトンカツはそこそこ成功だったなあ」

千歌「明日は何を作ろうかな……朝は卵焼きとお米と、ウインナーとお味噌汁でいいかな」

千歌「……今度、鮭のホイル焼きとか作ってみたいかも」

千歌「たまの土日は少し手の込んだ料理にも挑戦して……」

千歌「……ふふ、楽しみだなあ」

千歌「そうだ、今日のこと、志満姉に電話しなきゃだ!」


prrr....


千歌「あ、志満姉! うん、チカだよ」

千歌「今日ね、初めて自炊したんだけど────」



おわり

29: 2020/11/29(日) 02:19:09.19 ID:eBnQIAA4
拙い文章でしたがお付き合いいただきありがとうございました
少しでもお腹が空いてもらえれば幸いでござます

おやすみなさいませ

30: 2020/11/29(日) 02:36:40.51 ID:urJ2BClD

お腹すいたし千歌ちゃん可愛かった

33: 2020/11/29(日) 05:01:08.28 ID:MbFue9CL
かわいかった乙

37: 2020/11/29(日) 08:48:11.46 ID:gaXawKbR
家燃やすんじゃねーかとハラハラしたぜ

38: 2020/11/29(日) 09:11:04.86 ID:0PWVoMQm
自炊したのを志満ねえに報告するちかっちかわいい

40: 2020/11/29(日) 10:57:11.87 ID:VVanqaLM
可愛い千歌ちゃん応援したい

41: 2020/11/29(日) 14:30:30.13 ID:i0mxpom9
千歌ちゃんってどうしても目が離せない可愛い子って感じだよな

44: 2020/11/29(日) 21:22:14.35 ID:wxz129xx
かわいかった
また書いておくれ

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1606576552/

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