0
1: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:04:02 ID:???00
梢『──あら? ここは…………スクールアイドルクラブの部室、かしら?』
梢『確かに私は、自室で眠りについたはずなのだけれど……ということは、きっとこれは夢……』
梢『ここが夢だと自覚できている……俗に言う明晰夢というものなのかもしれないわね』キョロキョロ
花帆『あ、梢センパイ!』ヒョコッ
梢『花帆! まさか花帆に会えるなんて……いえ、ここは部室なのだから、当たり前なのかもしれないわね』クスッ
花帆『それでも、夢の中で梢センパイに会えるなんて、嬉しいです!』ピョンピョン
梢『ええ。私もよ、花帆』クスッ
梢『確かに私は、自室で眠りについたはずなのだけれど……ということは、きっとこれは夢……』
梢『ここが夢だと自覚できている……俗に言う明晰夢というものなのかもしれないわね』キョロキョロ
花帆『あ、梢センパイ!』ヒョコッ
梢『花帆! まさか花帆に会えるなんて……いえ、ここは部室なのだから、当たり前なのかもしれないわね』クスッ
花帆『それでも、夢の中で梢センパイに会えるなんて、嬉しいです!』ピョンピョン
梢『ええ。私もよ、花帆』クスッ
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2: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:06:02 ID:???00
花帆『そうだ、梢センパイ! せっかくですしお茶会でもしませんか? あたし、梢センパイと一緒にお菓子が食べたいです!』
梢『あらあら、花帆ったら。確か今日の練習後にも、お菓子をたくさん食べていなかったかしら?』フフッ
花帆『あ……そ、そうですけど! ほら、夢の中なら、いくら食べても大丈夫なはずですし!』ワタワタ
梢『ごめんなさい、意地悪だったかしら。ええ、そうね。ここは夢の中、だものね。お茶会の準備をしましょうか』ニコッ
花帆『わーい! 梢センパイ、大好き!』
梢『あらあら、花帆ったら。確か今日の練習後にも、お菓子をたくさん食べていなかったかしら?』フフッ
花帆『あ……そ、そうですけど! ほら、夢の中なら、いくら食べても大丈夫なはずですし!』ワタワタ
梢『ごめんなさい、意地悪だったかしら。ええ、そうね。ここは夢の中、だものね。お茶会の準備をしましょうか』ニコッ
花帆『わーい! 梢センパイ、大好き!』
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3: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:08:01 ID:???00
────
──
梢「…………んん」パチリ
梢「あら……ここは……自室、ね」
梢(目覚めると、見慣れた光景が広がっていて……いつも通り、朝が来たことを感じる)
梢「ふふ、それにしても……とても楽しい夢だったわね」クスッ
梢(花帆と夢の中で、一緒に過ごせるなんて)
──
梢「…………んん」パチリ
梢「あら……ここは……自室、ね」
梢(目覚めると、見慣れた光景が広がっていて……いつも通り、朝が来たことを感じる)
梢「ふふ、それにしても……とても楽しい夢だったわね」クスッ
梢(花帆と夢の中で、一緒に過ごせるなんて)
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4: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:10:01 ID:???00
梢(私は三年生で……必然的に花帆と過ごせる残り時間も、限られている)
梢(だからこそ、たとえ夢であっても花帆と一緒に過ごせたのは、私にとってこの上ない喜びだった)
梢「でも……そうね」
梢(これは、あくまで私の夢の中でのこと。交わした言葉や、一緒に食べたお茶菓子のことだって、現実の花帆は知るよしもない)
梢「……今日も朝練があるのだし、早めに行きましょうか」スタッ
梢(夢の中で会ったからこそ、無性に花帆の顔が見たくなった)
梢(だからこそ、たとえ夢であっても花帆と一緒に過ごせたのは、私にとってこの上ない喜びだった)
梢「でも……そうね」
梢(これは、あくまで私の夢の中でのこと。交わした言葉や、一緒に食べたお茶菓子のことだって、現実の花帆は知るよしもない)
梢「……今日も朝練があるのだし、早めに行きましょうか」スタッ
梢(夢の中で会ったからこそ、無性に花帆の顔が見たくなった)
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5: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:12:02 ID:???00
────
花帆「ふんふ~ん♪ あ、おはようございます、梢センパイ!」
梢「あら、花帆。こんな時間に……珍しく早いわね」
梢(一番乗りかと思ったのだけれど、部室には既に花帆がいた)
花帆「珍しく、は余計ですよー! あたしだって最近は、吟子ちゃんという後輩もできて、一段と頑張ってるんですから!」
梢「ふふっ、そうね、花帆は頑張っているわ」ナデナデ
花帆「えへへー」ニコニコ
花帆「ふんふ~ん♪ あ、おはようございます、梢センパイ!」
梢「あら、花帆。こんな時間に……珍しく早いわね」
梢(一番乗りかと思ったのだけれど、部室には既に花帆がいた)
花帆「珍しく、は余計ですよー! あたしだって最近は、吟子ちゃんという後輩もできて、一段と頑張ってるんですから!」
梢「ふふっ、そうね、花帆は頑張っているわ」ナデナデ
花帆「えへへー」ニコニコ
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6: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:14:02 ID:???00
花帆「~♪」ルンルン
梢「あらあら、花帆ってば、今日は随分ご機嫌ね。何かいいことでもあったのかしら?」クスッ
花帆「そうなんですよ! 実は、とっても楽しい夢を見ちゃって!」
梢「あら? どんな夢だったのかしら?」
花帆「実はですね……夢の中で、梢センパイとお茶会をしたんです!」
梢「……え?」
梢「あらあら、花帆ってば、今日は随分ご機嫌ね。何かいいことでもあったのかしら?」クスッ
花帆「そうなんですよ! 実は、とっても楽しい夢を見ちゃって!」
梢「あら? どんな夢だったのかしら?」
花帆「実はですね……夢の中で、梢センパイとお茶会をしたんです!」
梢「……え?」
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7: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:16:02 ID:???00
花帆「夢の中の梢センパイも優しくって! たくさんおしゃべりしちゃいました!」エヘヘ
梢「ちょ、ちょっと待ってちょうだい、花帆」
花帆「? どうしたんですか、梢センパイ?」
梢「その……夢の中で、お茶会を……?」
梢(偶然、なのかしら。でも、私も今日、夢で花帆とお茶会をしているのだけれど……)
花帆「はい! 夢の中ならいくら食べても大丈夫なはず、って言って、あたしから梢センパイをお茶会に誘ったんです!」
梢「……!」
梢「ちょ、ちょっと待ってちょうだい、花帆」
花帆「? どうしたんですか、梢センパイ?」
梢「その……夢の中で、お茶会を……?」
梢(偶然、なのかしら。でも、私も今日、夢で花帆とお茶会をしているのだけれど……)
花帆「はい! 夢の中ならいくら食べても大丈夫なはず、って言って、あたしから梢センパイをお茶会に誘ったんです!」
梢「……!」
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8: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:18:01 ID:???00
梢(その言葉を、私は夢の中でも聞いていた)
梢「花帆、もしかしたらなのだけれど……」
花帆「?」
梢「私も……その場にいたかもしれないわ」
花帆「? そりゃ、梢センパイが夢に出たんですから、同じ場にはいたかもですけど……?」
梢「いえ、そういうことではなくて、つまりね……」
梢「──私も、花帆と同じ夢を見ている、ということよ」
梢「花帆、もしかしたらなのだけれど……」
花帆「?」
梢「私も……その場にいたかもしれないわ」
花帆「? そりゃ、梢センパイが夢に出たんですから、同じ場にはいたかもですけど……?」
梢「いえ、そういうことではなくて、つまりね……」
梢「──私も、花帆と同じ夢を見ている、ということよ」
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9: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:20:02 ID:???00
梢(それからというもの……毎晩、同じ夢を見た)
梢(私と花帆が、部室にいて……二人きりでお茶会をしながら、のんびりと何気ないことを話すのだ)
梢(そして目覚めて、朝練で顔を合わせるたびに花帆と確認をして、確信した)
梢(やはり私と花帆は……“全く同じ夢を共有している”)
梢(私と花帆が、部室にいて……二人きりでお茶会をしながら、のんびりと何気ないことを話すのだ)
梢(そして目覚めて、朝練で顔を合わせるたびに花帆と確認をして、確信した)
梢(やはり私と花帆は……“全く同じ夢を共有している”)
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10: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:22:02 ID:???00
────
慈「──梢、これでいい?」サッ
梢「確認するわ……ええ、バッチリよ、慈」
梢(ある晩のこと。慈の補修がこれ以上多くならないよう、102期生三人での勉強会が計画された)
慈「や、やっと終わった~……! めぐちゃん、疲れちゃったー……」
綴理「ボクもー」
梢「全くもう……今、お茶を淹れてくるから、少し待っていてちょうだい」
慈「やった、ありがと、梢!」
梢「調子がいいんだから……」
梢(集まる理由はどうあれ……この三人で一緒に過ごすのは、存外楽しいものがあるわね)クスッ
慈「──梢、これでいい?」サッ
梢「確認するわ……ええ、バッチリよ、慈」
梢(ある晩のこと。慈の補修がこれ以上多くならないよう、102期生三人での勉強会が計画された)
慈「や、やっと終わった~……! めぐちゃん、疲れちゃったー……」
綴理「ボクもー」
梢「全くもう……今、お茶を淹れてくるから、少し待っていてちょうだい」
慈「やった、ありがと、梢!」
梢「調子がいいんだから……」
梢(集まる理由はどうあれ……この三人で一緒に過ごすのは、存外楽しいものがあるわね)クスッ
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11: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:24:04 ID:???00
梢「はい、カモミールティーよ。安眠促進効果があるわ」コトッ
綴理「かもみーる……おいしい」ゴクッ
慈「近頃梢、これよく飲んでるよね? ハマってるの?」
梢「この茶葉が、というより、眠ることにね。最近、眠るのが楽しみなのよ」フフッ
綴理「かもみーる……おいしい」ゴクッ
慈「近頃梢、これよく飲んでるよね? ハマってるの?」
梢「この茶葉が、というより、眠ることにね。最近、眠るのが楽しみなのよ」フフッ
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12: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:26:04 ID:???00
梢(なるべく長く夢の中にいたいから……つい、こだわってしまうようになった)
慈「眠るのが? 梢が綴理みたいなこと言い出してる……」
綴理「ボクなんなの」
梢「ふふっ、夢の中にはね、花帆が出てきてくれて……しかもその花帆は、現実の花帆と一緒なのよ」
慈「???」
綴理「こず、かほと同じ夢を見てるの? なんだか、すてきだね」
梢「そうね、私もそう思うわ。花帆と過ごす時間がより一層増えていて嬉しいの」クスッ
梢(願えるものなら……これからも、花帆と同じ夢を見ていたいと感じる)
慈「眠るのが? 梢が綴理みたいなこと言い出してる……」
綴理「ボクなんなの」
梢「ふふっ、夢の中にはね、花帆が出てきてくれて……しかもその花帆は、現実の花帆と一緒なのよ」
慈「???」
綴理「こず、かほと同じ夢を見てるの? なんだか、すてきだね」
梢「そうね、私もそう思うわ。花帆と過ごす時間がより一層増えていて嬉しいの」クスッ
梢(願えるものなら……これからも、花帆と同じ夢を見ていたいと感じる)
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13: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:28:04 ID:???00
梢「さて、それはそうとして……」サッ
慈「え、また書類広げて……まだ何か作業するつもり?」
梢「少し時間があるのだから、さやかさんのために、次の部長会議の資料を整理しようと思って」
梢(私が卒業した後に、さやかさんが困ってしまわないように)
慈「真面目だなぁ、梢は。別に今やらなくてもさぁ~」
梢「そうは言っても……私達は、三年生よ? 時間は限られているのだから、早め早めに行動しなくちゃ」
慈「え、また書類広げて……まだ何か作業するつもり?」
梢「少し時間があるのだから、さやかさんのために、次の部長会議の資料を整理しようと思って」
梢(私が卒業した後に、さやかさんが困ってしまわないように)
慈「真面目だなぁ、梢は。別に今やらなくてもさぁ~」
梢「そうは言っても……私達は、三年生よ? 時間は限られているのだから、早め早めに行動しなくちゃ」
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14: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:30:03 ID:???00
慈「いや、もちろんダメって言ってるわけじゃないんだよ? スクールアイドルとしての終活? ってやつでしょ、私だって理解はできるよ」
綴理「しゅうかつ? めぐ、働くの?」
梢「漢字が違うと思うのだけれど……ええ、そうね」
梢「卒業する前に、後輩に伝えられるものは全て伝えておく……ある種、身辺整理のような終活ともいえるわね」
綴理「しゅうかつ? めぐ、働くの?」
梢「漢字が違うと思うのだけれど……ええ、そうね」
梢「卒業する前に、後輩に伝えられるものは全て伝えておく……ある種、身辺整理のような終活ともいえるわね」
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15: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:32:04 ID:???00
慈「梢も、綴理も、それから私も。スクールアイドルができる時間はあと少しだもん」
梢「……そう、ね。蓮ノ空に通えるのも、ラブライブ!に出れるのも、今年が最後」
綴理「そっか……もう少しで、ボクは大好きな蓮ノ空にいられなくなるのか」シュン
梢(卒業……これは、いつか必ず向き合わなければならない試練のようなもの)
梢(考えだすと……つい気が重くなってしまう)
梢「……そう、ね。蓮ノ空に通えるのも、ラブライブ!に出れるのも、今年が最後」
綴理「そっか……もう少しで、ボクは大好きな蓮ノ空にいられなくなるのか」シュン
梢(卒業……これは、いつか必ず向き合わなければならない試練のようなもの)
梢(考えだすと……つい気が重くなってしまう)
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16: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:34:02 ID:???00
慈「あーもう! そういう辛気臭い話にしたいんじゃなくて!」ガタッ
慈「今それを考えるのは、もったいないんじゃない、って話!」
綴理「もったいない?」
慈「そう! せっかくスクールアイドルをできる最後の年なんだし、今を全力で楽しむのが一番なんだよ!」バッ
慈「今それを考えるのは、もったいないんじゃない、って話!」
綴理「もったいない?」
慈「そう! せっかくスクールアイドルをできる最後の年なんだし、今を全力で楽しむのが一番なんだよ!」バッ
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17: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:36:04 ID:???00
慈「……なんていうかさ、繋ぐことばっか意識して、今に向き合わないのは、なんか違うと思うんだよね、私は」
梢「慈……」
梢(時間が限られている、というのは私達に否応なくその向き合い方について考えさせる)
梢(慈は、“今”に向き合うことをスクールアイドルとして選んでいるのだろう)
慈「まぁ、これは私の考えだから。二人がどう考えてても、別にいいんだけどね」
綴理「……」
梢「……慈も、意外と深く考えているのね」フフッ
慈「何をー、その言い方! めぐちゃんだって、梢ほどじゃなくても、実は色々と行動してるんだからね!」プンプン
梢「……ええ、もちろん。分かっているわ」クスッ
梢(慈だって、瑠璃乃さんが一人にならないようにそれとなく動いていることを……私は知っている)
梢「…………卒業、ね」
梢(避けようのないそれに向けて……私は、一体何ができるのかしら)
梢「慈……」
梢(時間が限られている、というのは私達に否応なくその向き合い方について考えさせる)
梢(慈は、“今”に向き合うことをスクールアイドルとして選んでいるのだろう)
慈「まぁ、これは私の考えだから。二人がどう考えてても、別にいいんだけどね」
綴理「……」
梢「……慈も、意外と深く考えているのね」フフッ
慈「何をー、その言い方! めぐちゃんだって、梢ほどじゃなくても、実は色々と行動してるんだからね!」プンプン
梢「……ええ、もちろん。分かっているわ」クスッ
梢(慈だって、瑠璃乃さんが一人にならないようにそれとなく動いていることを……私は知っている)
梢「…………卒業、ね」
梢(避けようのないそれに向けて……私は、一体何ができるのかしら)
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18: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:38:02 ID:???00
────
花帆「えっと……それじゃあ、聴いていてください、梢センパイ」
花帆「……」スゥ
~♪
梢(──放課後の音楽室に、花帆の弾くキーボードの音が響き渡る)
梢(ぎこちないところはあれど、花帆は私の教えたことを確実に身につけていて……聴いていて、心地よい演奏だった)
花帆「えっと……それじゃあ、聴いていてください、梢センパイ」
花帆「……」スゥ
~♪
梢(──放課後の音楽室に、花帆の弾くキーボードの音が響き渡る)
梢(ぎこちないところはあれど、花帆は私の教えたことを確実に身につけていて……聴いていて、心地よい演奏だった)
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19: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:40:03 ID:???00
花帆「──ふぅ……ど、どうでしたか!?」ガタッ
梢「花帆もずいぶん上達したわね。花丸よ」ナデナデ
花帆「えへへ……ありがとうございます、梢センパイ!」
梢(音楽……これも、私がスクールアイドルとして、次の代へと伝えることができる技術)
梢(キーボードを教えることで、私も、花帆に何か……卒業前に残せたかしら)
梢「とても立派で……もう私が教えることなんて、ほとんどないくらい」クスッ
花帆「! ……そ、そんなことないです! まだまだあたし、梢センパイがいないと、ひよっこなんですから!」
梢「そんなことはないと思うのだけれど……」
花帆「ありますよー! 梢センパイみたいな、かっこいい演奏だって、まだできてないですし……」
梢「花帆もずいぶん上達したわね。花丸よ」ナデナデ
花帆「えへへ……ありがとうございます、梢センパイ!」
梢(音楽……これも、私がスクールアイドルとして、次の代へと伝えることができる技術)
梢(キーボードを教えることで、私も、花帆に何か……卒業前に残せたかしら)
梢「とても立派で……もう私が教えることなんて、ほとんどないくらい」クスッ
花帆「! ……そ、そんなことないです! まだまだあたし、梢センパイがいないと、ひよっこなんですから!」
梢「そんなことはないと思うのだけれど……」
花帆「ありますよー! 梢センパイみたいな、かっこいい演奏だって、まだできてないですし……」
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20: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:42:02 ID:???00
梢「いいえ、花帆。別に、私のような演奏を目指す必要はないのよ? 花帆は花帆らしい演奏で、十分素敵だと思うわ」
花帆「そうでしょうか……」
梢「ええ。これなら、私が卒業しても大丈夫ね」フフッ
梢(これならきっと私の卒業後も、花帆は立派なスクールアイドルができるはずだと……安心できる)
花帆「……」
花帆「そうでしょうか……」
梢「ええ。これなら、私が卒業しても大丈夫ね」フフッ
梢(これならきっと私の卒業後も、花帆は立派なスクールアイドルができるはずだと……安心できる)
花帆「……」
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21: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:44:04 ID:???00
────
花帆『……梢センパイっ!』
梢『花帆! ふふっ、今日も夢の中で、また会えたわね』
花帆『はいっ! いっぱいお話ししましょう、梢センパイ!』ギュッ
梢『あら、花帆ったら、今日はいつにも増して強引ね』
花帆『あ、えっと……別にそんなこと、いいんですよ! 梢センパイはあたしの隣にいることさえ考えてくれれば、花帆は満足です!』ギュー
梢『花帆ったら、もう……甘えん坊さんね』クスッ
花帆『……梢センパイっ!』
梢『花帆! ふふっ、今日も夢の中で、また会えたわね』
花帆『はいっ! いっぱいお話ししましょう、梢センパイ!』ギュッ
梢『あら、花帆ったら、今日はいつにも増して強引ね』
花帆『あ、えっと……別にそんなこと、いいんですよ! 梢センパイはあたしの隣にいることさえ考えてくれれば、花帆は満足です!』ギュー
梢『花帆ったら、もう……甘えん坊さんね』クスッ
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22: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:46:02 ID:???00
梢『はい、紅茶を淹れたわよ、花帆』コトッ
花帆『ありがとうございます、梢センパイ! うわぁ、いい匂いですね……!』
梢『今日は、香り高い種類の紅茶を選んでみたの。夢の中だから、選べる種類も際限がないみたい』クスッ
花帆「そうなんですね! 本当、夢の中って色々と便利ですねー……」
梢『そうね。私としては、花帆と一緒にいられるから、余計に居心地がいいのだけれど』フフッ
花帆『ありがとうございます、梢センパイ! うわぁ、いい匂いですね……!』
梢『今日は、香り高い種類の紅茶を選んでみたの。夢の中だから、選べる種類も際限がないみたい』クスッ
花帆「そうなんですね! 本当、夢の中って色々と便利ですねー……」
梢『そうね。私としては、花帆と一緒にいられるから、余計に居心地がいいのだけれど』フフッ
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23: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:48:05 ID:???00
花帆『……そ、そういえばなんですけど、ここって時間の感覚がいつも……現実の世界とは違ったりしてますよね?』
梢『そうね……考えてみると、ここで過ごす時間は、現実のそれよりも長く感じることがあるわね』
花帆『ですよね、ですよね!』フンフン
梢『きっと夢特有の感覚ね。花帆と過ごせる時間が長いのは、こちらとしても、ありがたいことだわ』
花帆『そうですよね! あたしも梢センパイと一緒に過ごせるのがすっごく嬉しいんです!』
梢『ふふっ、せっかくなのだから、たくさんお話ししましょうね』
花帆『はいっ、もちろんです!』ニコッ
梢『そうね……考えてみると、ここで過ごす時間は、現実のそれよりも長く感じることがあるわね』
花帆『ですよね、ですよね!』フンフン
梢『きっと夢特有の感覚ね。花帆と過ごせる時間が長いのは、こちらとしても、ありがたいことだわ』
花帆『そうですよね! あたしも梢センパイと一緒に過ごせるのがすっごく嬉しいんです!』
梢『ふふっ、せっかくなのだから、たくさんお話ししましょうね』
花帆『はいっ、もちろんです!』ニコッ
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24: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:50:02 ID:???00
────
花帆『──それで、すっごく面白くって! 梢センパイも今度、一緒に行きましょう!』
梢『ええ、そうね。……あら、もうティーカップも空っぽね』
花帆『あ、それなら、あたしが入れてきますよ!』ガタッ
梢『……いいえ、花帆。そろそろ、お茶会をお開きにしましょうか』
花帆『えぇー……もうですか? あたし、もっと梢センパイと一緒にいたいですよー!』
花帆『──それで、すっごく面白くって! 梢センパイも今度、一緒に行きましょう!』
梢『ええ、そうね。……あら、もうティーカップも空っぽね』
花帆『あ、それなら、あたしが入れてきますよ!』ガタッ
梢『……いいえ、花帆。そろそろ、お茶会をお開きにしましょうか』
花帆『えぇー……もうですか? あたし、もっと梢センパイと一緒にいたいですよー!』
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25: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:52:03 ID:???00
梢『……私も花帆ともう少し話していたいとは、もちろん思うのだけれど……』
花帆『そ、それなら……!』
梢『いいえ、ダメよ、花帆。私達は、現実ですべきことがあるでしょう? 明日も朝練があるでしょうし』
花帆『うぐっ……そう、ですよね……』
梢『ええ。私もスクールアイドルとして、時間は限られているのだし』
梢『私が卒業しても、花帆がスクールアイドルを続けられるよう、伝えることだって、きっとまだまだあるもの』クスッ
花帆『そ、それなら……!』
梢『いいえ、ダメよ、花帆。私達は、現実ですべきことがあるでしょう? 明日も朝練があるでしょうし』
花帆『うぐっ……そう、ですよね……』
梢『ええ。私もスクールアイドルとして、時間は限られているのだし』
梢『私が卒業しても、花帆がスクールアイドルを続けられるよう、伝えることだって、きっとまだまだあるもの』クスッ
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26: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:54:04 ID:???00
花帆『…………卒業、かぁ』ボソッ
梢『? 花帆、今何か言ったかしら?』
花帆『い、いえ何も!』フルフル
梢『そう? それならいいのだけれど……それじゃ、また、ね。花帆』
花帆『……はい、また』
花帆『…………梢センパイ……』ボソッ
梢『? 花帆、今何か言ったかしら?』
花帆『い、いえ何も!』フルフル
梢『そう? それならいいのだけれど……それじゃ、また、ね。花帆』
花帆『……はい、また』
花帆『…………梢センパイ……』ボソッ
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27: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:56:03 ID:???00
────
花帆「……」
吟子「花帆先輩、言われたメニュー、全部こなしたよ」
花帆「……」ボー
吟子「……花帆先輩?」
花帆「……!? あ、ご、ごめんね、吟子ちゃん! えと、次は……」
吟子「……?」
花帆「……」
吟子「花帆先輩、言われたメニュー、全部こなしたよ」
花帆「……」ボー
吟子「……花帆先輩?」
花帆「……!? あ、ご、ごめんね、吟子ちゃん! えと、次は……」
吟子「……?」
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28: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 21:58:08 ID:???00
梢「あら、二人ともお疲れ様」ガチャ
花帆「あ……梢センパイ!」ピョン
吟子「お疲れ様です。部長会議はどうだったんですか?」
梢「ふふっ、心配には及ばないわ。滞りなく進行して、無事に終えることができたから」
梢「それに……今回は、同行してくれたさやかさんにも、部長としての仕事の片鱗を伝えられたのも良かったわね」クスッ
梢(着実に……私は、自らの経験を後輩達に残せている)
花帆「あ……梢センパイ!」ピョン
吟子「お疲れ様です。部長会議はどうだったんですか?」
梢「ふふっ、心配には及ばないわ。滞りなく進行して、無事に終えることができたから」
梢「それに……今回は、同行してくれたさやかさんにも、部長としての仕事の片鱗を伝えられたのも良かったわね」クスッ
梢(着実に……私は、自らの経験を後輩達に残せている)
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29: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:00:03 ID:???00
花帆「……梢センパイっ!」ギュッ
梢「花帆!? どうしたの、いきなり……?」
花帆「……なんでもないですよ、ただ花帆が、梢センパイに甘えたくなっただけです」ギュー
梢「? それなら……まぁ、別に構わないのだけれど……」
吟子「花帆先輩ってば、梢先輩にばっかりベッタリして……」
花帆「えへへー! いくら吟子ちゃんでも、梢センパイは渡さないよ!」
吟子「別に取らないってば……」ハァ
梢「ふふっ、仲がいいようで何よりだわ」クスッ
花帆「……」
梢「花帆!? どうしたの、いきなり……?」
花帆「……なんでもないですよ、ただ花帆が、梢センパイに甘えたくなっただけです」ギュー
梢「? それなら……まぁ、別に構わないのだけれど……」
吟子「花帆先輩ってば、梢先輩にばっかりベッタリして……」
花帆「えへへー! いくら吟子ちゃんでも、梢センパイは渡さないよ!」
吟子「別に取らないってば……」ハァ
梢「ふふっ、仲がいいようで何よりだわ」クスッ
花帆「……」
0
30: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:02:01 ID:???00
────
梢『──ふふっ、それでね花帆、今日はアップルパイを焼いたのだけれど……どうかしら?』
花帆『とっても美味しいです! さすが、梢センパイ!』モグモグ
梢『気に入ってくれたようで良かったわ』フフッ
梢『……食べ終わったら、そろそろ、お茶会もお開きの時間かしら』
花帆『! ……もう、現実の方に帰っちゃうんですか?』
梢『そうね……夢も永遠に続くものではないし、キリのいいところで終わりにした方がいいかと思って』
花帆『そう、ですか……』
花帆『……それなら』
花帆『──もしも、ずっと夢の中だったら、梢センパイはどこにも行きませんか?』
梢『──ふふっ、それでね花帆、今日はアップルパイを焼いたのだけれど……どうかしら?』
花帆『とっても美味しいです! さすが、梢センパイ!』モグモグ
梢『気に入ってくれたようで良かったわ』フフッ
梢『……食べ終わったら、そろそろ、お茶会もお開きの時間かしら』
花帆『! ……もう、現実の方に帰っちゃうんですか?』
梢『そうね……夢も永遠に続くものではないし、キリのいいところで終わりにした方がいいかと思って』
花帆『そう、ですか……』
花帆『……それなら』
花帆『──もしも、ずっと夢の中だったら、梢センパイはどこにも行きませんか?』
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31: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:04:03 ID:???00
梢『…………花帆?』
花帆『ここじゃない、現実なら……梢センパイは離れていってしまう、けれど』
花帆『夢の中でなら、あたしは梢センパイと離れなくてもいい、永遠に一緒にいることだって、できるんですよ?』
梢『花帆、何を言って……』
花帆『どうなんですか、梢センパイ? 夢が続けば、花帆と一緒にいてくれますか?』
花帆『ここじゃない、現実なら……梢センパイは離れていってしまう、けれど』
花帆『夢の中でなら、あたしは梢センパイと離れなくてもいい、永遠に一緒にいることだって、できるんですよ?』
梢『花帆、何を言って……』
花帆『どうなんですか、梢センパイ? 夢が続けば、花帆と一緒にいてくれますか?』
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32: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:06:02 ID:???00
梢『それは……ええ、私だって花帆と一緒に過ごせるのなら、それは確かに嬉しいのだけれど……』
花帆『! そっか、うん……よかったぁ』ホッ
花帆『それならあたし、“ここ”で梢センパイが帰ってくるのを待ってますね!』
梢『……花帆?』
花帆『……また、必ず会いましょう、梢センパイ。待ってますから』
梢『待って、花帆! それは、どういう──』
花帆『! そっか、うん……よかったぁ』ホッ
花帆『それならあたし、“ここ”で梢センパイが帰ってくるのを待ってますね!』
梢『……花帆?』
花帆『……また、必ず会いましょう、梢センパイ。待ってますから』
梢『待って、花帆! それは、どういう──』
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33: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:08:04 ID:???00
────
──
梢「っ……!」ガバッ
梢(ここは……見慣れた自室……? ということは、夢から目覚めたのね)
梢「…………」
梢(私が夢から目覚める前に、花帆が言った言葉……)
花帆『それならあたし、“ここ”で梢センパイが帰ってくるのを待ってますね!』
梢(あの言葉は、一体……)
──
梢「っ……!」ガバッ
梢(ここは……見慣れた自室……? ということは、夢から目覚めたのね)
梢「…………」
梢(私が夢から目覚める前に、花帆が言った言葉……)
花帆『それならあたし、“ここ”で梢センパイが帰ってくるのを待ってますね!』
梢(あの言葉は、一体……)
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34: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:10:02 ID:???00
プルルル‼︎ プルルル‼︎
梢「!? き、機械さん!?」ワタワタ
梢「えっと……も、もしもし、乙宗です」
「梢先輩、ですか? あぁ、繋がって良かったです、何かあったのかと思いました」
梢「その声は……吟子さん?」
梢「!? き、機械さん!?」ワタワタ
梢「えっと……も、もしもし、乙宗です」
「梢先輩、ですか? あぁ、繋がって良かったです、何かあったのかと思いました」
梢「その声は……吟子さん?」
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35: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:12:04 ID:???00
吟子「はい。あの……梢先輩、今日はどうされたんですか?」
梢「……え? どうされた、とは……」
梢(何か、私がしてしまったことがあったかしら……?)
吟子「……あれ、もしかして気づいてませんか? 時計を見ていただけると……」
梢「時計……? あ……」
梢(そこには──朝練の開始時刻をゆうに超えた時刻が表示されていて)
梢(遅刻をしてしまったのだ、と……気づくのには十分だった)
梢「……え? どうされた、とは……」
梢(何か、私がしてしまったことがあったかしら……?)
吟子「……あれ、もしかして気づいてませんか? 時計を見ていただけると……」
梢「時計……? あ……」
梢(そこには──朝練の開始時刻をゆうに超えた時刻が表示されていて)
梢(遅刻をしてしまったのだ、と……気づくのには十分だった)
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36: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:14:01 ID:???00
────
梢「自分が許せない~~!!!」タッタッ
梢(まさか私が“寝坊”という理由で朝練に遅刻するなんて……!)
梢(いくらなんでも弛んでいるわ……! スクールアイドルとして、最上級生であるという自覚を、再度強める必要があるのかもしれないわね……)
梢「遅れてごめんなさい、二人とも……!」ガチャ
梢「って、あら……吟子さん、一人?」
吟子「あ、梢先輩。おはようございます」ペコリ
梢「自分が許せない~~!!!」タッタッ
梢(まさか私が“寝坊”という理由で朝練に遅刻するなんて……!)
梢(いくらなんでも弛んでいるわ……! スクールアイドルとして、最上級生であるという自覚を、再度強める必要があるのかもしれないわね……)
梢「遅れてごめんなさい、二人とも……!」ガチャ
梢「って、あら……吟子さん、一人?」
吟子「あ、梢先輩。おはようございます」ペコリ
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37: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:16:03 ID:???00
梢(部室の中を見回してみても、そこに花帆の姿は見えない)
吟子「……あれ、花帆先輩と一緒じゃないんですか? てっきり、花帆先輩が梢先輩と一緒にお泊まりでもして、遅刻したのかと……」
梢「いえ……花帆とは昨日の練習以降、会っては……」
梢(! ……会っては、いる。けれど、あくまでそれは“夢の中”での話で……)
吟子「花帆先輩にも電話を掛けたんですけど、全然出てくれなくて。もう、あの先輩ったら、一体何をしてるんでしょうか……」
梢「…………花帆が、電話に出ない……」
梢(……何故だか、嫌な予感がする)
吟子「……あれ、花帆先輩と一緒じゃないんですか? てっきり、花帆先輩が梢先輩と一緒にお泊まりでもして、遅刻したのかと……」
梢「いえ……花帆とは昨日の練習以降、会っては……」
梢(! ……会っては、いる。けれど、あくまでそれは“夢の中”での話で……)
吟子「花帆先輩にも電話を掛けたんですけど、全然出てくれなくて。もう、あの先輩ったら、一体何をしてるんでしょうか……」
梢「…………花帆が、電話に出ない……」
梢(……何故だか、嫌な予感がする)
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38: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:18:02 ID:???00
吟子「そういえば梢先輩。花帆先輩、最近様子がおかしくありませんでしたか?」
梢「……え?」
吟子「最近の花帆先輩、なにかと上の空にしてることが多かった気がして……何か知ってますか、梢先輩?」
梢「……いえ、何も」
梢(最近の花帆がそんな風だった、なんて……そのことに、私は気づけていなかった)
梢「……ひとまず、今日の朝練は無しにして、花帆の部屋に行ってみましょうか」
吟子「そうですね。……あの先輩のことですし、ただ寝過ごしてるだけの可能性だってあります」
梢「ええ。そうね……」
梢(本当に、私の思い過ごしで……何事もなければそれでいい)
梢「……え?」
吟子「最近の花帆先輩、なにかと上の空にしてることが多かった気がして……何か知ってますか、梢先輩?」
梢「……いえ、何も」
梢(最近の花帆がそんな風だった、なんて……そのことに、私は気づけていなかった)
梢「……ひとまず、今日の朝練は無しにして、花帆の部屋に行ってみましょうか」
吟子「そうですね。……あの先輩のことですし、ただ寝過ごしてるだけの可能性だってあります」
梢「ええ。そうね……」
梢(本当に、私の思い過ごしで……何事もなければそれでいい)
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39: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:20:04 ID:???00
────
吟子「花帆先輩! 入りますよ」ガチャ
梢(寮母さんから鍵を借り、私達は花帆の部屋を訪れた……のだけれど)
花帆「……」スゥスゥ
吟子「…………寝てる?」
梢(そこには……ベッドの上ですやすやと寝息を立てる、花帆の姿があった)
吟子「花帆先輩! 入りますよ」ガチャ
梢(寮母さんから鍵を借り、私達は花帆の部屋を訪れた……のだけれど)
花帆「……」スゥスゥ
吟子「…………寝てる?」
梢(そこには……ベッドの上ですやすやと寝息を立てる、花帆の姿があった)
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40: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:22:02 ID:???00
吟子「花帆先輩、朝だよ。いつまで寝てるん? はよ起きまっし!」ユサユサ
花帆「……」スゥスゥ
吟子「全然起きんし……花帆先輩!」ユサユサ
梢「……」
梢(……悪い予感というのは、得てして当たってしまうものなのね)
花帆「……」スゥスゥ
吟子「全然起きんし……花帆先輩!」ユサユサ
梢「……」
梢(……悪い予感というのは、得てして当たってしまうものなのね)
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41: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:24:02 ID:???00
吟子「花帆先輩、花帆先輩ってば!」ユサユサ
花帆「……」スゥスゥ
梢「花帆……」
梢(──結局、何をしても花帆は眠り続け)
梢(放課後になっても……花帆が目を覚ますことはなかった)
花帆「……」スゥスゥ
梢「花帆……」
梢(──結局、何をしても花帆は眠り続け)
梢(放課後になっても……花帆が目を覚ますことはなかった)
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42: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:26:02 ID:???00
────
梢(──放課後の練習は急遽、無しになった。花帆がいなくては、まともに練習など……できやしない)
梢(そして私は……一人、部室にいる)
梢「……はぁ」
梢(……私のせい、よね)
梢(──放課後の練習は急遽、無しになった。花帆がいなくては、まともに練習など……できやしない)
梢(そして私は……一人、部室にいる)
梢「……はぁ」
梢(……私のせい、よね)
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43: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:28:05 ID:???00
花帆『夢の中でなら、あたしは梢センパイと離れなくてもいい、永遠に一緒にいることだって、できるんですよ?』
梢(花帆のその言葉を、素直に受け取るならば……花帆は私のことを思い、夢に、囚われている)
梢(夢が続けば、一緒にいられる……きっと花帆は私を、夢の中で一心に待っているのだろう)
梢(……それはつまり、花帆が目覚めない責任の全ては、私にある、ということで)
梢(花帆のその言葉を、素直に受け取るならば……花帆は私のことを思い、夢に、囚われている)
梢(夢が続けば、一緒にいられる……きっと花帆は私を、夢の中で一心に待っているのだろう)
梢(……それはつまり、花帆が目覚めない責任の全ては、私にある、ということで)
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44: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:30:02 ID:???00
梢「でも……私は」
梢(花帆が、何を考え、何に焦っていたのか……分からない)
梢(最近の花帆の様子がおかしい、と吟子さんでさえ気づいていたのに……私はそんな花帆に、目を向けられていなかったのだ)
梢「私は三年生だというのに……これじゃ、先輩失格ね……」ハァ
トタトタ
梢「! 足音……? 誰かしら……」
ガチャ
綴理「──やっほー、こず」
梢「……綴理?」
梢(花帆が、何を考え、何に焦っていたのか……分からない)
梢(最近の花帆の様子がおかしい、と吟子さんでさえ気づいていたのに……私はそんな花帆に、目を向けられていなかったのだ)
梢「私は三年生だというのに……これじゃ、先輩失格ね……」ハァ
トタトタ
梢「! 足音……? 誰かしら……」
ガチャ
綴理「──やっほー、こず」
梢「……綴理?」
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45: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:32:03 ID:???00
梢「どうしたの、綴理。今日の練習は無くなったはずよ」
綴理「うん、ボクもそれは分かってる」
梢「それじゃあ、どうして、ここに……」
綴理「こずに会いに来たから」
梢「……私に?」
綴理「うん。こずのことが心配だから、来たんだ」
綴理「うん、ボクもそれは分かってる」
梢「それじゃあ、どうして、ここに……」
綴理「こずに会いに来たから」
梢「……私に?」
綴理「うん。こずのことが心配だから、来たんだ」
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46: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:34:04 ID:???00
梢「……何も心配されるようなことはないわ。花帆のことだって……私なら、大丈夫だから」
綴理「んー……」ジー
梢「つ、綴理? その、近いのだけれど……」
綴理「……こずのその“大丈夫”、久しぶりに、信じられないほうのだね」
梢「……っ」
綴理「んー……」ジー
梢「つ、綴理? その、近いのだけれど……」
綴理「……こずのその“大丈夫”、久しぶりに、信じられないほうのだね」
梢「……っ」
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47: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:36:06 ID:???00
梢「そんなことないわ……私は……」
梢(先輩として、最上級生として、ただ一心に何かを残そうと動いてきて……私の行動は、間違っていなかったはず)
梢(……それなのに、なぜ、こうなってしまったのかしら)
綴理「ねぇ、こず。このあいだ、めぐと一緒にやった勉強会のこと、覚えてる?」
梢「……ずいぶん唐突ね。勉強会はもちろん、記憶に新しい出来事なのだけれど……」
梢(先輩として、最上級生として、ただ一心に何かを残そうと動いてきて……私の行動は、間違っていなかったはず)
梢(……それなのに、なぜ、こうなってしまったのかしら)
綴理「ねぇ、こず。このあいだ、めぐと一緒にやった勉強会のこと、覚えてる?」
梢「……ずいぶん唐突ね。勉強会はもちろん、記憶に新しい出来事なのだけれど……」
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48: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:38:06 ID:???00
綴理「あの勉強会の後、話をしたよね……卒業のこと」
梢「!」
綴理「あのときからずっと、こずは自分の気持ちを隠してるように、ボクは思うんだ」
梢「それは……」
綴理「こずは、どう思ってるの? 卒業のこと」
梢「…………私は……」
梢「!」
綴理「あのときからずっと、こずは自分の気持ちを隠してるように、ボクは思うんだ」
梢「それは……」
綴理「こずは、どう思ってるの? 卒業のこと」
梢「…………私は……」
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49: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:40:05 ID:???00
梢「今持てる全てを、後輩に引き継ぐことが……私に課せられた、卒業前にすべき責務であって……」
綴理「あ、そうじゃなくて」
綴理「知りたいのは、こずの本当の気持ちのほうだよ」
梢「私の、本当の気持ち?」
綴理「うん。こずはずっと、それを隠してるから。しなきゃいけない、じゃなくて……こずの思いが知りたいな」
梢「……」
梢(卒業に対する、私自身の気持ち……)
綴理「あ、そうじゃなくて」
綴理「知りたいのは、こずの本当の気持ちのほうだよ」
梢「私の、本当の気持ち?」
綴理「うん。こずはずっと、それを隠してるから。しなきゃいけない、じゃなくて……こずの思いが知りたいな」
梢「……」
梢(卒業に対する、私自身の気持ち……)
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50: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:42:03 ID:???00
梢(──そっと心にかけた鍵が、開く音がする)
梢「……私だって、今はまだ……しっかりとは、考えられていないのよ」
梢「……沙知先輩の去り行く背中を見たら、いやでも自分の番のことを考え、不安に思ってしまう」
梢「だけど、本心を打ち明けるならば、私は……」
梢(私はずっと、ただ後輩のため、花帆のためを思って動いてきた)
梢(花帆には……私がいない蓮ノ空で立ち止まってしまうなんて、あって欲しくない。もしできることなら、ずっと……)
梢(……ああ、ようやく気づいた)
梢「そう、私は……花帆と、離れたくなかったのよ」
梢「……私だって、今はまだ……しっかりとは、考えられていないのよ」
梢「……沙知先輩の去り行く背中を見たら、いやでも自分の番のことを考え、不安に思ってしまう」
梢「だけど、本心を打ち明けるならば、私は……」
梢(私はずっと、ただ後輩のため、花帆のためを思って動いてきた)
梢(花帆には……私がいない蓮ノ空で立ち止まってしまうなんて、あって欲しくない。もしできることなら、ずっと……)
梢(……ああ、ようやく気づいた)
梢「そう、私は……花帆と、離れたくなかったのよ」
0
51: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:44:06 ID:???00
梢(……卒業は否応なしに、私達を引き離してしまうことになる。だからこそ、私は……向き合うのが怖かったのだろう)
綴理「……ん。やっと気持ちが聞けた、こずの言葉で」
梢「でも私は……そんな花帆をいつの間にか、不安にさせてしまってもいたのよ?」
梢「……私は、何がいけなかったのかしら。それさえも、分からなくて……」
綴理「こず。その答えは、簡単だよ」
綴理「離れたくないっていうその気持ち……かほには、ちゃんと伝えた?」
梢「……! 花帆に……」
綴理「……ん。やっと気持ちが聞けた、こずの言葉で」
梢「でも私は……そんな花帆をいつの間にか、不安にさせてしまってもいたのよ?」
梢「……私は、何がいけなかったのかしら。それさえも、分からなくて……」
綴理「こず。その答えは、簡単だよ」
綴理「離れたくないっていうその気持ち……かほには、ちゃんと伝えた?」
梢「……! 花帆に……」
0
52: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:46:04 ID:???00
綴理「気持ちは、ちゃんと言葉にして、相手に言わなきゃ伝わらない」
綴理「今のままじゃ、かほはこずの気持ちを何も知らない。それだと、かほは……寂しいんじゃないかな」
梢「……花帆が寂しがっている、のかしら」
綴理「うん。きっと、かほから見たら……今のこずは、何も言わずに自分から離れようとしてるみたいに感じるはずだ」
梢「自分から離れようと……」
梢(後輩に託そうと動くことは……決して、今、頑張ることを諦めている、というわけではない)
梢(だけれど、振り返ってみると……)
──
梢「ええ。これなら、私が卒業しても大丈夫ね」フフッ
梢『私が卒業しても、花帆がスクールアイドルを続けられるよう、伝えることだって、きっとまだまだあるもの』クスッ
──
梢「……そう、だったのね」
梢(私は……未来を見据えようとした結果、今が見えていなかった)
梢(すぐ隣で私を慕ってくれる後輩の姿に、気づけていなかったなんて)
綴理「今のままじゃ、かほはこずの気持ちを何も知らない。それだと、かほは……寂しいんじゃないかな」
梢「……花帆が寂しがっている、のかしら」
綴理「うん。きっと、かほから見たら……今のこずは、何も言わずに自分から離れようとしてるみたいに感じるはずだ」
梢「自分から離れようと……」
梢(後輩に託そうと動くことは……決して、今、頑張ることを諦めている、というわけではない)
梢(だけれど、振り返ってみると……)
──
梢「ええ。これなら、私が卒業しても大丈夫ね」フフッ
梢『私が卒業しても、花帆がスクールアイドルを続けられるよう、伝えることだって、きっとまだまだあるもの』クスッ
──
梢「……そう、だったのね」
梢(私は……未来を見据えようとした結果、今が見えていなかった)
梢(すぐ隣で私を慕ってくれる後輩の姿に、気づけていなかったなんて)
0
53: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:48:02 ID:???00
梢(……花帆と、話さなくちゃ)
梢(今の私の気持ちを、花帆に話して……花帆を連れ戻す……!)
梢「……私、行かなくては。花帆のところに」スタッ
綴理「ん。それでこそ、ボクの思うこずだ」
梢「……その、綴理」
綴理「?」
梢「……ありがとう、来てくれて、話をしてくれて助かったわ」
綴理「! うん。どういたしまして、こず」ニコッ
梢(今の私の気持ちを、花帆に話して……花帆を連れ戻す……!)
梢「……私、行かなくては。花帆のところに」スタッ
綴理「ん。それでこそ、ボクの思うこずだ」
梢「……その、綴理」
綴理「?」
梢「……ありがとう、来てくれて、話をしてくれて助かったわ」
綴理「! うん。どういたしまして、こず」ニコッ
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54: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:50:04 ID:???00
──
────
梢『ここは…………スクールアイドルクラブの部室、ね』
梢『まずは花帆を探す……いえ、そんな必要もないみたいね』チラッ
花帆『──梢センパイ!』タタッ
梢『花帆……』
花帆『ふふっ、また、会えましたね。ここ……“夢の中”で』
────
梢『ここは…………スクールアイドルクラブの部室、ね』
梢『まずは花帆を探す……いえ、そんな必要もないみたいね』チラッ
花帆『──梢センパイ!』タタッ
梢『花帆……』
花帆『ふふっ、また、会えましたね。ここ……“夢の中”で』
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55: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:52:03 ID:???00
花帆『あたし、待っててよかったです! 梢センパイなら、絶対来てくれるって信じてましたから』
花帆『それじゃあ、梢センパイ! まずは何をしましょうか? 時間はいーっぱいあるから、何だって……』
梢『……花帆』スッ
梢『私は、あなたを連れ戻しに来たの』
花帆『……!』
花帆『それじゃあ、梢センパイ! まずは何をしましょうか? 時間はいーっぱいあるから、何だって……』
梢『……花帆』スッ
梢『私は、あなたを連れ戻しに来たの』
花帆『……!』
0
56: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:54:02 ID:???00
花帆『……何を言われても、あたしは、ここを動きません。梢センパイを帰したくも……ないです』
梢『花帆…………』
花帆『それにここは、離れてしまうことも、忘れてしまうこともない、あたし達二人だけの最高の世界!』
花帆『……ねぇ、梢センパイ! ここでずっと一緒にいましょうよ! ここでなら“永遠”がつくれます』
梢『……永遠?』
梢『花帆…………』
花帆『それにここは、離れてしまうことも、忘れてしまうこともない、あたし達二人だけの最高の世界!』
花帆『……ねぇ、梢センパイ! ここでずっと一緒にいましょうよ! ここでなら“永遠”がつくれます』
梢『……永遠?』
0
57: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:56:03 ID:???00
花帆『そうです! 梢センパイとあたし、二人だけで、永遠に終わることのない幸せな日々が送れる……まさしく夢の世界!』
花帆『あたしは、梢センパイと……ここで、そんな風に過ごしていたいです』
梢『花帆……それでも私は、あなたと話をしなければならないの。花帆にきちんと、今の私の、考えを伝えたい』
花帆『考え、ですか。……それなら、聞きたいことがあります。なんで梢センパイは、あたしにキーボードを教えてくれたんですか?』
梢『キーボード? それは……私が卒業して、いなくなった後も花帆がスクールアイドルを続けられるように──』
花帆『──いなくなって大丈夫なわけ、ないじゃないですか!』
梢『……!』
花帆『大丈夫なわけ、ないんですよ……』
梢『花帆……』
花帆『あたしは、梢センパイと……ここで、そんな風に過ごしていたいです』
梢『花帆……それでも私は、あなたと話をしなければならないの。花帆にきちんと、今の私の、考えを伝えたい』
花帆『考え、ですか。……それなら、聞きたいことがあります。なんで梢センパイは、あたしにキーボードを教えてくれたんですか?』
梢『キーボード? それは……私が卒業して、いなくなった後も花帆がスクールアイドルを続けられるように──』
花帆『──いなくなって大丈夫なわけ、ないじゃないですか!』
梢『……!』
花帆『大丈夫なわけ、ないんですよ……』
梢『花帆……』
0
58: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 22:58:03 ID:???00
花帆『嫌です、嫌ですよ……梢センパイがいなくなっちゃうなんて』
花帆『沙知センパイが卒業して、センパイ達が三年生になってから……梢センパイはずっと、どこか遠くを見つめてるんです』
花帆『あたし達、後輩に何かを残す……そのために行動する梢センパイの姿は』
花帆『まるで……今がもう、存在しないみたいで』
梢『……』
花帆『沙知センパイが卒業して、センパイ達が三年生になってから……梢センパイはずっと、どこか遠くを見つめてるんです』
花帆『あたし達、後輩に何かを残す……そのために行動する梢センパイの姿は』
花帆『まるで……今がもう、存在しないみたいで』
梢『……』
0
59: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 23:00:04 ID:???00
花帆『あたしはもう、怖くて……もう一歩も進みたくないんです。きっと進んだら、梢センパイと、離れてしまうから』
花帆『きっと……あたしなんかが届かない場所に、センパイは行って、もう、二度と、会えなくなるんじゃないか、って……』グスッ
花帆『だから、あたしは──』
梢『っ……! 花帆!』ギュッ
花帆『きっと……あたしなんかが届かない場所に、センパイは行って、もう、二度と、会えなくなるんじゃないか、って……』グスッ
花帆『だから、あたしは──』
梢『っ……! 花帆!』ギュッ
0
60: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 23:02:04 ID:???00
花帆『梢、センパイ……?』
梢『……ごめんなさい、花帆。私はあなたの気持ちを、深く考えようとはしていなかった』
梢『私は、自分の持てる全てを後の世代に残すことが、後輩にとって……花帆にとって最善だと信じてきた』
梢『でも……忘れていたの。花帆が隣にいるということ、花帆と過ごす“今”がかけがえのないものである、ということを』
梢『……ごめんなさい、花帆。私はあなたの気持ちを、深く考えようとはしていなかった』
梢『私は、自分の持てる全てを後の世代に残すことが、後輩にとって……花帆にとって最善だと信じてきた』
梢『でも……忘れていたの。花帆が隣にいるということ、花帆と過ごす“今”がかけがえのないものである、ということを』
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61: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 23:04:01 ID:???00
花帆『……梢センパイ……』
梢『花帆。私達、もう一度しっかり向き合いましょう? まだ時間はあるのだから』
花帆『……でも、梢センパイは卒業しちゃったら、もう……』
梢『そんなに不安にならないで、花帆。別に、二度と会えなくなるというわけではないのよ?』
花帆『それでも、あたし、怖くて……』
梢『ふふっ、大丈夫よ。約束したでしょう? あなたと私は、一生スリーズブーケ』
梢『一生、隣にいるのだから』クスッ
梢『花帆。私達、もう一度しっかり向き合いましょう? まだ時間はあるのだから』
花帆『……でも、梢センパイは卒業しちゃったら、もう……』
梢『そんなに不安にならないで、花帆。別に、二度と会えなくなるというわけではないのよ?』
花帆『それでも、あたし、怖くて……』
梢『ふふっ、大丈夫よ。約束したでしょう? あなたと私は、一生スリーズブーケ』
梢『一生、隣にいるのだから』クスッ
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62: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 23:06:03 ID:???00
梢『それに、ね。私はスリーズブーケとして、花帆と同じ夢を見ていたい』
花帆『夢……』
梢『私の夢……ラブライブ!優勝は、現実でしか叶えられない夢、花帆と一緒に現実だからこそ見られる夢、だから』
花帆『梢センパイ……』
梢『……花帆は、どうかしら?』
花帆『夢……』
梢『私の夢……ラブライブ!優勝は、現実でしか叶えられない夢、花帆と一緒に現実だからこそ見られる夢、だから』
花帆『梢センパイ……』
梢『……花帆は、どうかしら?』
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63: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 23:08:03 ID:???00
花帆『あたしも……同じです! 同じ気持ちで、います』
花帆『梢センパイと一緒に、同じ夢を見たいです』
梢『花帆……ありがとう。……さぁ、そろそろ起きる頃合いね。一緒に、目覚めましょう』
花帆『はい、梢センパイ!』
花帆『梢センパイと一緒に、同じ夢を見たいです』
梢『花帆……ありがとう。……さぁ、そろそろ起きる頃合いね。一緒に、目覚めましょう』
花帆『はい、梢センパイ!』
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64: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 23:10:01 ID:???00
────
タッタッタッ
梢「──花帆!」ガチャ
花帆「……ん、んん」パチリ
花帆「ふわぁ…………朝?」
梢「──花帆」スッ
花帆「!?!? こ、梢センパイ!? なんでここに……」
花帆「……あ、そっか、あたし梢センパイのことを夢で……」
タッタッタッ
梢「──花帆!」ガチャ
花帆「……ん、んん」パチリ
花帆「ふわぁ…………朝?」
梢「──花帆」スッ
花帆「!?!? こ、梢センパイ!? なんでここに……」
花帆「……あ、そっか、あたし梢センパイのことを夢で……」
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65: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 23:12:01 ID:???00
花帆「こ、梢センパイ! あたし、謝らなきゃ──」
梢「花帆。朝起きて、言う台詞は一つでしょう?」クスッ
花帆「あ……え、と……いいんですか?」
梢「ええ。ダメな理由なんて、ないでしょう?」
花帆「……そう、ですよね。……ふぅ」
花帆「梢センパイ、おはようございます!」
梢「ええ。おはよう、花帆」ニコッ
梢「花帆。朝起きて、言う台詞は一つでしょう?」クスッ
花帆「あ……え、と……いいんですか?」
梢「ええ。ダメな理由なんて、ないでしょう?」
花帆「……そう、ですよね。……ふぅ」
花帆「梢センパイ、おはようございます!」
梢「ええ。おはよう、花帆」ニコッ
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66: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 23:14:05 ID:???00
梢「ふふっ、本当によかったわ……花帆とまたこうして、現実で過ごすことができて」
花帆「梢センパイ……その、ごめんなさい! あたしのせいで迷惑かけちゃって……」
梢「いいのよ、迷惑なんて思わないで、花帆。私は“センパイ”なんだから、ね?」
花帆「うぅ……梢センパイ~~!」
花帆「梢センパイ……その、ごめんなさい! あたしのせいで迷惑かけちゃって……」
梢「いいのよ、迷惑なんて思わないで、花帆。私は“センパイ”なんだから、ね?」
花帆「うぅ……梢センパイ~~!」
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67: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 23:16:05 ID:???00
ガチャ
吟子「──花帆先輩、目、覚ましたの!?」ハァハァ
花帆「ぎ、吟子ちゃん!? どうして……」
吟子「話し声、聞こえたから……よかった、元気そうで」
花帆「あ……心配かけちゃった、かな」アハハ
吟子「……」
花帆「吟子ちゃん?」
吟子「……っ、ほんっと、花帆先輩ってば、だらぶち……! 人に心配ばっか、かけないでよ……!」グスッ
花帆「! 吟子、ちゃん……ごめんね、あたし勝手に……」
吟子「本当だよ……花帆先輩にはこれから責任、とってもらわなきゃいけないんだから」ハァ
吟子「──花帆先輩、目、覚ましたの!?」ハァハァ
花帆「ぎ、吟子ちゃん!? どうして……」
吟子「話し声、聞こえたから……よかった、元気そうで」
花帆「あ……心配かけちゃった、かな」アハハ
吟子「……」
花帆「吟子ちゃん?」
吟子「……っ、ほんっと、花帆先輩ってば、だらぶち……! 人に心配ばっか、かけないでよ……!」グスッ
花帆「! 吟子、ちゃん……ごめんね、あたし勝手に……」
吟子「本当だよ……花帆先輩にはこれから責任、とってもらわなきゃいけないんだから」ハァ
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68: ◆1yWSYfza★ 2024/07/01(月) 23:18:03 ID:???00
梢「──花帆」
梢(卒業を前にして、時間は限られているけれど……)
梢「放課後の練習、気合いを入れて頑張りましょうね」ニコッ
花帆「! は、はい! よろしくお願いします、梢センパイ!」
梢(隣にいてくれる後輩と、同じ夢を見ていられる“今”を楽しみたい)
梢「さぁ、今日もラブライブ!優勝を目指して、特訓よ!」フフン
おしまい
梢(卒業を前にして、時間は限られているけれど……)
梢「放課後の練習、気合いを入れて頑張りましょうね」ニコッ
花帆「! は、はい! よろしくお願いします、梢センパイ!」
梢(隣にいてくれる後輩と、同じ夢を見ていられる“今”を楽しみたい)
梢「さぁ、今日もラブライブ!優勝を目指して、特訓よ!」フフン
おしまい
引用元: https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11188/1719835442/