【SS】璃奈「エア璃奈ちゃんボード『にっこりん』」浅希「璃奈……りなっ……」【ラブライブ！虹ヶ咲】

ジョイポリスで行われたライブ
あの日を境に私と璃奈の距離は、グンと近くなった……！

あの日から私は、璃奈とお昼を食べるようになって
呼び方も天王寺さんから璃奈ちゃん、そして璃奈って呼ぶようになって……

・・・

『璃奈ちゃんボード、にっこりん♪』从[˶˃ᴗ˂˵]从

浅希「ふふっ、璃奈のライブはいつ見ても飽きないなぁ♪」

浅希「…………」

浅希「璃奈……早く望みが叶うといいね」

璃奈が本当に望んでることを、私は知ってる
本人からその話を聞いたことは無いけど、璃奈を見れば自ずと分かる

それが璃奈にとって困難であるっていう事も……

今日子「ああ……、早く歩夢ちゃんのライブ見に行きたいなぁ……」

浅希「今日子ったらホントに上原先輩が好きだよね」

今日子「だ、だってぇ～」ｱｾｱｾ…

璃奈「…………」

浅希「璃奈？」

璃奈「一緒に見に行きたいライブがあるんだけど、週末いいかな？」

色葉（……ふーん）ﾆﾔﾆﾔ

今日子（これはこれは……）ﾆｺﾆｺ

浅希「週末……私は大丈夫だけど」

浅希「二人とも大丈夫だよね？」

色葉「あー……その日は予定が入っているんだったー」

今日子「私もちょっと厳しいかなぁ～」

浅希「え？そんな話聞いて」

色葉「というわけで二人で行ってくるといいと思うよ」

今日子「うんうん」

色葉「それじゃあ、今日は部活も休みだし」

今日子「ばいばい璃奈ちゃん、浅希ちゃん♪」

浅希「ちょ、ちょっとー」

浅希「……なんなんだろう、あの二人」

ライブ当日

遥「みんな来てくれてありがとう♪」

浅希「東雲学院のライブ、生で見るの初めてだなぁ」

璃奈「そうなんだ」

浅希「中学の頃はお金貯めてライブに行こうって思ってたけど、なかなかチケットが当たらなくて」

璃奈「東雲はホントに人気が高いからね」

浅希「あ、でも今は璃奈のライブが一番の楽しみだからっ」ｱｾｱｾ…

璃奈「大丈夫だよ。浅希ちゃんの気持ちはちゃんと伝わってるから」

浅希「璃奈……///」

彼方「ラブリー♪ラブリー♪遥ちゃ～ん♪♪」

璃奈「彼方さん、張り切ってるなぁ」

・・・

浅希「近江先輩からの無料チケット、断ったんだ」

璃奈「うん。そっちのほうが彼方さんと遥さんの為かなと思って」

浅希（健気だなぁ、璃奈）

璃奈「さっきチケット当たらないって話してたけど」

璃奈「これはコツみたいなのがあって、要所さえ掴めば85％は固い」

浅希「そうなんだ」

璃奈「また行きたいライブとかがあったら私に相談してね」

浅希「うん♪」

浅希「…………」

璃奈「今日のライブ、色々参考になるところがあった」

浅希「へぇー。それ、聞きたいな」

璃奈「うん。例えば遥さんがサブからセンターに切り替わる場面で……」

・・・

璃奈「……ってな感じで色々参考になった」

璃奈「特に私はグループライブが少ないから、今度のQU4RTZのライブで活かしていきたいと思う」

浅希「璃奈って、結構勉強熱心だね」

璃奈「えへへ」从[ ´ ᴗ ｀ ]从

浅希「実は最近、璃奈のライブ以外はあまり興味が持てなくなったんだけど」

浅希「璃奈が真剣にアイドル研究している所を見て、こういうのも良いなって」

璃奈「浅希ちゃん……」

浅希「だから、またライブに誘ってね。璃奈♪」

璃奈「……うん！」

ｶﾞﾁｬｯ…

浅希「ふふっ、今日は楽しかったなぁ♪」

浅希「……簡単に取れちゃったな、璃奈とQU4RTZのライブチケット」

浅希「…………」

東雲学院の時は取ることが出来なかったライブチケット
璃奈を追いかけるようになって、こんなにも簡単に取ることが出来るようになっちゃった

浅希「見逃すことが無くなったのは嬉しいけど、やっぱりちょっと寂しいな」

浅希「ホントみんな見る目が無いなぁ。璃奈のライブ、あんなに楽しいのに」

浅希「……璃奈」

璃奈の魅力、もっとみんなに知って欲しい
それが璃奈の望んでいることににも繋がると思うから

浅希「今回は優木せつ菜のソロライブなんだ」

璃奈「うん。流石に今回はA席取れなかったけど」

浅希（同じ虹ヶ咲でも違いが出てしまう……）

璃奈「どうしたの？浅希ちゃん」

浅希「……はっ！ごめんごめん」ｱｾｱｾ…

璃奈「今回もみんなの分を確保してるんだけど、一緒に行ってくれるかな？」

浅希「もちろんだよ、璃奈♪」

璃奈「ふふっ、嬉しいな」从[˶˃ᴗ˂˵]从

浅希「それで、ふたりは今回も白ばくれる訳？」

色葉「ぎくっ！」

浅希「その顔は、図星なんだ」ｼﾞﾄｰ…

色葉「あはは～なんの事かな～？」ｱｾｱｾ…

今日子（私は歩夢ちゃんとファンの交流会があって、今回は普通に行けないんだけどね）

浅希「はぁ……まぁいいけど」

璃奈「それじゃあ２名分はキャンセルかな」

今日子「ごめんね。璃奈ちゃんのライブには絶対行くから」

璃奈「今日子ちゃん……」

色葉「私だって、愛先輩のと同じくらい楽しみにしてるんだから♪」

璃奈「色葉ちゃんも……」

浅希「わ、私なんて璃奈のライブが一番の楽しみなんだからっ！」ｱｾｱｾ…

色葉「はいはいごちそうさん」

璃奈「みんな、ありがとう」从[//_//]从

浅希「璃奈……」

ステージ裏

せつ菜「PV制作の件、本当にありがとうございます♪」

璃奈「私も楽しんで作っただけだから、お礼を言われる程ではないかな」

せつ菜「いえ、虹ヶ咲のスクールアイドル活動を支える璃奈さんの力、ないがしろになんて出来ません」

璃奈「せつ菜さん……」

浅希（あー……私、ちょっと場違いだったかな）

浅希「そ、それじゃあ私は先に客席へ……」

せつ菜「焼き菓子同好会の浅希さん、ですね」

浅希「え？どうして私の事……」

せつ菜「はい。虹ヶ咲学園の生徒は一通り覚え、もごご……」

璃奈「私が友だちの話をしたから、それを覚えてくれたみたいなんだ」

浅希「そうだったんですね」

ｺｿｺｿ…

璃奈「（せつ菜さん、それ言うと会長だってバレるからダメ）」

せつ菜「（ううっ……面目ありません……）」ｼｭﾝ…

浅希（何話してるんだろう）

璃奈「そうだ。せつ菜さん、ちょっとしたお願いがあるんだけど」

せつ菜「璃奈さんからのお願いでしたらお安い御用です♪」

璃奈「ありがとう。それで、内容は……」

・・・

せつ菜「撮影の許可……ちょっと変わったお願いですね」

璃奈「うん。自覚してる」

せつ菜「撮影をしなくても3点カメラで動画配信を予定しているのですが」

璃奈「客席からのライブ感を記録に残したくて」

せつ菜「そうですか……それでしたら撮影許可のカードホルダをぶら下げる形になりますが」

璃奈「うん。それで大丈夫」

せつ菜「では、交渉成立ですね♪」

璃奈「ありがとう、せつ菜さん」

・・・

ｷｬｰ♡ｾﾂﾅﾁｬｰﾝ♡

璃奈「…………」

浅希（璃奈が真剣に記録を取ってる）

浅希（東雲学院の時も真剣だったけど、今回はそれに輪をかけて真剣になってる）

浅希「璃奈、そこまで優木せつ菜の事……」

璃奈「私がスクールアイドルを始めたきっかけはせつ菜さん」

璃奈「あの時の……あのゲリラライブが私にとっての原点だから」

浅希「璃奈……」

ﾊﾞﾝｯ!!

璃奈「…………！」

浅希「始まった……」

せつ菜「みんなぁー！会いたかったよー！！」ﾍﾟｶｧ

ｷｬｰ♡ｾﾂﾅﾁｬｰﾝ♡ｺｯﾁﾑｲﾃｰ♡

浅希「…………！！」

璃奈「…………」ｶﾁｬｶﾁｬ…

この時初めて、優木せつ菜という名のスクールアイドルの凄さを知った
優木せつ菜の純粋無垢な笑顔
それはまるで、まだ疑うことを知らない子どもの如く

ファンはせつ菜が大好きで、せつ菜はファンが大好き
それがどれだけ難しい事なのかはアイドルの報道等で知るところ

なのにステージ上のその人は、ファンを信じて疑う事を知らない
そう、思わせる程の圧倒的な笑顔
これが、優木せつ菜の力……

浅希「璃奈はコレに惹かれて……コレに憧れてスクールアイドルを」

璃奈「…………」ｶﾁｯ…

浅希「璃奈……」

私と璃奈は、ただただ優木せつ菜のライブに圧倒された
この笑顔の前では、私の力なんて無力も同然

そう思ったら、くやしくて、くやしくて……

・・・

ｶﾞﾗﾗﾗﾗ…

浅希「あれ？あの本は……」

ﾊﾟﾗｯ…

浅希「月刊スクールアイドル、図書室にも置くようになったんだ」

浅希「虹ヶ咲学園特集、優木せつ菜と朝香先輩だけなんだ……」

璃奈「うん。果林さんはダイバーフェスで活躍したし、せつ菜さんは前から評判だったし」

浅希「あ、璃奈」

璃奈「浅希ちゃん、ここで会うのは珍しいね」

浅希「ごめん璃奈。傷つけちゃったかな」

璃奈「ううん、全然気にしてないよ」

浅希「よかった……」

璃奈「私はまだまだ力不足。だから、もっと頑張らないとって思って」

浅希「…………」

浅希「ねぇ璃奈、今度のライブ」

璃奈「うん」

浅希「……ごめん、やっぱりなんでもない」

璃奈「浅希ちゃん……」

浅希「あ、ライブには絶対行くから心配しないで」

璃奈「ふふっ、応援してくれたら嬉しいな」从[˶˃ᴗ˂˵]从

浅希「もちろんだよ、璃奈♪」

この時私は、璃奈に頑張れって言葉を送ろうと思った
けど、私は思いとどまる事にした
だって璃奈は、いつだって頑張ってるから
誰よりも頑張り屋さんなのを、私は知ってるから……

璃奈ライブ当日

ﾀｯﾀｯﾀ…

今日子「ごめん浅希ちゃん。待たせちゃったかな？」

浅希「ううん。今来たところだから大丈夫だよ♪」

色葉「グッズの量からはとてもそうとは思えないんだけど」

今日子「しかも当日限りのものばっかり」

浅希「あはは……」

・・・

ｻﾞﾜｻﾞﾜ…

色葉「璃奈ちゃんのライブも、人が集まるようになったね」

浅希「ふふっ、そうだね♪」

今日子（まるで自分の事のように喜んでる）

色葉（浅希の璃奈ちゃん推し、ここに極まれりってね）

ｷﾞｲｲｯ…

色葉「あ、会場開いたみたい」

浅希「うん♪」

・・・

今日子「あれ？浅希ちゃん、ライトは？」

浅希「うん、今日はあえて持ってきてないの」

浅希「私には、やることがあるから」

今日子「？？」

そう、璃奈はいつだって頑張っている
今頑張らないといけないのは私のほう

ライブで力いっぱい応援すれば璃奈は心から喜んでくれる
でも、今回はそれを採らなかった

今私に出来る事、それは……

ﾊﾞﾀﾝ…

浅希（ごめん璃奈。先に帰っちゃって）

ﾊﾟｻｯ…

浅希（記憶が鮮明なうちに、これをやらないといけなかったから）

ｶﾘｶﾘ…

天王寺璃奈ソロライブ、本当に良かったです。
ボード頼りのライブながら周りを盛り上げる所は、いつだって私に勇気を与えてくれます。
また近くに、天王寺璃奈のライブが開催されることを心から願っております。

ｶﾘｶﾘ…

ライブの演出やPV等は、天王寺璃奈のお手製と聞いております。
今回のライブでは、サビの部分からダンスのいち挙動ずつで背景がぴったりと噛み合い
客席からもすごいと感動しました。

ｶﾘｶﾘ…

天王寺璃奈はこれからもっと伸びる、それをもっと多くの人と分かち合いたい。
そんな思いで、今回この手紙を書きました。

今の私に出来ることはこのくらいしかありませんが
この思いが天王寺璃奈とスタッフの皆様に伝わる事を心から願っております。

ｶﾘｯ…

いつか、天王寺璃奈の笑顔が見られることを信じて

浅希「…………」

ｹｼｹｼ…

浅希「これは、ちょっと違うかな」

ｶﾘｶﾘ…

浅希「ふぅ……こんなところかな」

浅希「あとはこれを浄書してっと」

ｶﾘｶﾘ…

浅希「璃奈……私、頑張るからっ……！」

ｶﾘｶﾘ…

これで何かが変わる保証なんて、どこにもない
もしかしたら、無駄骨で終わってしまうかもしれない
でも、なにもしないよりずっといい

私は、璃奈のライブが好きだから
璃奈にはもっと幸せになって欲しいから……

ﾃｸﾃｸ…

浅希「あ、この本……」

ﾊﾟﾗｯ…

浅希「今月号、今日だったんだ」

浅希「せっかくだから、買っていこうかな」

浅希「読者アンケート、確かあったよね……」

ﾁｬﾘｰﾝ

店員「ありがとうごさいました」

浅希「公園でちょっと読もうかな」

・・・

ﾊﾟﾗｯ…

浅希「あっ、この記事……」

浅希「ねぇねぇ見た見た？今月号のコラム」

今日子「璃奈ちゃんの紹介が載ってたね♪」

浅希「そうそう♪ついに天王寺璃奈の時代来たりって感じで♪」

璃奈「え？」

浅希「あ、璃奈♪」

璃奈「その話、本当？」

浅希「うん♪ほら、この部分♪」

ﾊﾟﾗｯ…

璃奈「ホントだ」

浅希「良かったね、璃奈♪」

璃奈「うん」

璃奈「……ありがとう、浅希ちゃん」

浅希「璃奈……」

璃奈「ファンからの手紙、侑さんから話を聞いたんだ」

璃奈「原文はスタッフ預かりで、部室にはコピーしか無いけど」

璃奈「あの筆跡で浅希ちゃんからだって思って」

浅希「やっぱり、気付いてたんだ」

璃奈「うん」

浅希「ごめん璃奈、あの日ステージ裏で応援に行けなくて」

璃奈「ううん、この手紙で浅希ちゃんの気持ちが伝わったから」

浅希「璃奈……」

璃奈「スクールアイドルを始めてから、みんなと繋がることが出来た」

璃奈「私のライブが、みんなの力になれるんだってことを知ることが出来た」

璃奈「それもこれも、浅希ちゃんがいてくれたおかげ」

浅希「璃奈……」

璃奈「私は、まだまだ力不足なところがあるけど」

璃奈「そんな私の為に、また応援してくれたら嬉しいな」ﾆｺｯ

浅希「…………！！」

ﾊﾟｼｬｯ

璃奈「え？浅希ちゃん？」

浅希「璃奈……コレ、見てほしいんだけど」

璃奈「これ……本当に私が……」

浅希「おめでとう、璃奈♪」

今日子「良かったね、璃奈ちゃん♪」

璃奈（これが、今の私）

璃奈（本当に、これが今の……）

ﾎﾟﾛｯ…

浅希「璃奈……」

璃奈「あれ？おかしいな」ﾎﾟﾛｯ…

璃奈「こんなに嬉しい事なのに、何でだろう？」ﾎﾟﾛｯ

璃奈「涙が、溢れて……」ｸﾞｽｯ…

今日子「璃奈ちゃん……」

ｷﾞｭｯ…

浅希「おかしくなんて、ないよ」

璃奈「ぐすっ……浅希ちゃん……」

浅希「璃奈は今まであんなに頑張ってきたんだから」

浅希「今泣いたって、全然おかしくない」

璃奈「浅希ちゃん……うっ……ううっ……」ﾎﾟﾛｯ…ﾎﾟﾛｯ…

浅希「ふふっ、璃奈♪」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

ｶﾞﾗﾗﾗﾗ…

色葉「おはよう……ってどうしたの３人とも！？」

今日子「ぐすっ……うん、実はね」ﾎﾟﾛｯ…

璃奈……本当に、良かった……

ﾎﾟﾛｯ…

侑「これ……本当に璃奈ちゃんが？」

璃奈「うん、加工とかはしてない」

愛「良かったね、りなりー♪」ｷﾞｭｯ

璃奈「わわっ愛さん」ｱｾｱｾ…

歩夢「璃奈ちゃん……本当に、良かったね……」ｳﾙｯ…

璃奈「歩夢さん……」

せつ菜「流石です、璃奈さん♪」
彼方「璃奈ちゃんなら克服できるって信じてたよ～」
エマ「璃奈ちゃんの笑顔、可愛いね♪」
かすみ「ま、可愛さならかすみんだって負けないんだから」
しずく「こらこら。おめでとう、璃奈さん♪」
果林「お祝いのケーキ、用意したほうがいいかしらね」

璃奈「みんな……」

・・・

璃奈「それで、今度のQU4RTZのライブなんだけど」

エマ「うん。私はいいと思うよ♪」

璃奈「え？私はまだ何も」

彼方「これこれ璃奈ちゃんや、皆まで言わない言わない♪」

かすみ「あの笑顔見ちゃったら、やらない訳にはいかないからね」

璃奈「……ありがとう、こんな私のわがまま」

侑「それじゃあ、当日スケジュール引き直すね♪」

璃奈「うん」

ｶｽﾐﾝ♡　ｶｽﾐﾝ♡　ﾎﾞｰﾉ♡　ﾎﾞｰﾉ♡
ｶﾅﾀﾁｬﾝﾄｰ?　ｵﾈﾝﾈｼﾀｰｲ♡　ﾘﾅﾁｬﾝﾎﾞｰﾄﾞ?　ﾆｯｺﾘﾝ♡

今日子「わぁ～今日は満員なんだね♪」

色葉「どこかの誰かのおかげで璃奈ちゃんの人気上がったからねぇ～」

浅希「う、うるさい///」

今日子「そういえば、今回急遽予定の変更が入ったみたい」

色葉「え？そんな話聞いてないんだけど」

浅希（璃奈……やっぱりここで……）

今日子「どうしたの？浅希ちゃん」

浅希「あ、ううん。なんでもない」

今日子「そう……ならいいんだけど……」

浅希「…………」

・・・

かすみ「うわぁ、完全にフルハウスだよ」

彼方「あれれ～？かすみちゃん、緊張しちゃってるの～？」

かすみ「ま、まさかぁ～。かかかすみんに限ってそんな事、ある訳ないじゃないですか～」

彼方「わっかりやすいなぁ～」

璃奈「…………」

エマ「璃奈ちゃん？」

璃奈「今日のライブ、笑顔を見せることが出来たらいいな……」

エマ「璃奈ちゃん……」

璃奈「…………」

ｶﾞｼｯ!

璃奈「え？」

かすみ「りーな子、俯いてたら出来る事も出来なくなっちゃうよ」

かすみ「だから、前を向いて進もう。ね♪」

璃奈「かすみちゃん……」

彼方「うんうん。今の璃奈ちゃんならきっと出来る♪」

エマ「そうだね。あれだけ練習したんだから、きっと上手くいくと思うよ」

璃奈「彼方さん……エマさん……」

璃奈「みんな、ありがとう」ﾆｺｯ

かすみ「うんうん。その笑顔だよ、りな子♪」

璃奈「そうだね、かすみちゃん」

璃奈「…………」



浅希ちゃん……私、頑張るから……
だから……私の事、見守っていて……！

・・・

♪～♪～ライブ中♪～♪～

ｷｬｰ♡ｶｽﾐｰﾝ♡ﾘﾅﾁｬｰﾝ♡

QU4RTZ『『以上、Sing&Smile!!でした！』』

ｴﾏﾁｬｰﾝ♡ｶﾅﾀﾁｬｰﾝ♡ｺｯﾁﾑｲﾃｰ♡

かすみ「りな子、いよいよだね♪」

璃奈「うん……」

かなエマ（璃奈ちゃん、頑張って……！）

ﾃｸﾃｸ…

璃奈『今日はQU4RTZのライブに来てくれて、本当にありがとう』

璃奈『今からファンのみんなの為に、私の取って置きを見せるから』

璃奈『喜んでくれたら、嬉しいな』从[˶˃ᴗ˂˵]从

ｷｬｰ♡ﾘﾅﾁｬｰﾝ♡

浅希「璃奈……」


今こそ、私の全てを見せるとき…………
私の為にも、応援してくれるみんなの為にも


璃奈『それじゃあ、いくよ』

ｶﾁｯ…ﾊﾟｶｯ…


これが、私の全て…………！


ﾊﾞｯ…!!

璃奈『エア璃奈ちゃんボード『にっこりん』』

「…………」

璃奈（この反応は……恐らく失敗）

璃奈（やっぱり……私には、まだ……）

浅希「…………」

璃奈が、あんなに頑張ってるんだ
今こそ、璃奈の為に動き出さないと……！

浅希「天使天才天王寺……」

色葉「浅希……」

浅希「天使天才天王寺！天使天才天王寺っ！」

今日子「色葉ちゃん……！」

色葉「……うん！」


……声が、枯れてもいい
この先、声が出なくなっても構わない
璃奈が……璃奈が幸せになってくれるなら、それだけで私は……


今日子「天使天才天王寺！」

色葉「天使天才天王寺！」

浅希「天使天才天王寺！！！」

ﾃﾝｼﾃﾝｻｲﾃﾝﾉｳｼﾞ!!ﾃﾝｼﾃﾝｻｲﾃﾝﾉｳｼﾞ!!

そうだ……そうだったんだ……

ﾃﾝｼﾃﾝｻｲﾃﾝﾉｳｼﾞ!!ﾃﾝｼﾃﾝｻｲﾃﾝﾉｳｼﾞ!!

今まで私は、自分自身の力をふり絞ってライブをやってると思っていた
でも、違ったんだ……

愛「りなりー、頑張って……！」
侑「璃奈ちゃん、私は信じてるから……！」

舞台裏には愛さんや、侑さんがいて

かすみ（りな子、ファイトだよっ！）
彼方（一度でダメなら、二度目でやればいいだけだよ、璃奈ちゃん♪）
エマ（どうしてもダメなら、私たちが璃奈ちゃんをサポートするから♪）

ステージにはかすみちゃんがいて、彼方さんがいて、エマさんがいる。

今日子「璃奈ちゃーん！今日も可愛いよー！」
色葉「こっち向いてー！璃奈ちゃーん！」
ﾃﾝｼﾃﾝｻｲﾃﾝﾉｳｼﾞ!!ﾃﾝｼﾃﾝｻｲﾃﾝﾉｳｼﾞ!!

目の前にはファンがいて、クラスの友だちがいて……

浅希「璃奈……りなっ……！」

そして、浅希ちゃんがいる……

だから……だから私は……


璃奈『ごめんみんな、ちょっと失敗しちゃったみたい』

璃奈『それじゃあみんな、もう一回やってみるね』

だから私は、前に進めるんだっ……！

ﾊﾞｯ…!

璃奈『改めてまして、エア璃奈ちゃんボード『にっこりん』♪』ﾆｺｯ♪

ｷｬｰ♡ﾘﾅﾁｬｰﾝ♡ｴｶﾞｵｶﾞｶﾜｲｲﾖｰ♡
ｺｯﾁﾑｲﾃｰ♡ﾘﾅﾁｬｰﾝ♡

出来た……ライブ会場で……みんなの前で……！

璃奈『ふふっ、みんなありがとう♪』

璃奈『QU4RTZのライブはまだまだ続くから、最後まで楽しんでくれたら嬉しいな♪』ﾆｺｯ♪

ｷｬｰ♡ﾘﾅﾁｬｰﾝ♡ｶｽﾐｰﾝ♡
ｴﾏﾁｬｰﾝ♡ｶﾅﾀﾁｬｰﾝ♡


……私の笑顔が、みんなと繋がった
今まで出来なかったことが、出来るようになった

浅希ちゃん、あなたがいてくれたおかげで、私は……

浅希「璃奈……りなっ……」ｳﾙｯ…

今日子「浅希ちゃん……」

色葉「浅希……」

浅希「…………」

ｺﾞｼｺﾞｼ…ﾊﾟｼｯ!


ここで、泣いたらダメだ……！


浅希「ホラっ、ぼさっとしてないで、応援続けるよ！」

今日子「うん、そうだね♪」


璃奈があんなに頑張ってるんだから


色葉「一番感傷に浸ってるのは、どこの誰かなぁ～？」

浅希「なんか言った？」ｷﾞﾛｯ…

色葉「いえいえ浅希さま、ごちそうさまで～」

浅希「まったく色葉は……それじゃあ、いくよっ！」

色葉・今日子「うん！！」


最後まで、璃奈を見届けないと……！


浅希「璃奈ぁー、笑顔が素敵だよー！！」

・・・

今日子「QU4RTZのライブ、本当に良かったね♪」

浅希「うん」

色葉「璃奈ちゃんの笑顔、本番で上手くいって良かったね♪」

浅希「……うん」

色葉（完っ全に感傷モード、ダメだこりゃ）

ﾃｸﾃｸ…

璃奈「あっ、みんな」

浅希「璃奈……ライブ、良かったよ」

璃奈「ふふっ嬉しい♪」

浅希「…………」

私は今、どんな顔をしているんだろう
ライブ終了で璃奈に会うことがあったら、笑顔で迎えよう
そう、思っていたんだけど
璃奈と目が合った途端、そんな事出来なくなってしまって……

・・・

色葉「それじゃあ今日はもう帰るから」

浅希「え？ちょっと！璃奈のライブは３人で応援しようって」

色葉「あれれ～？璃奈ちゃんのソロライブで真っ先に帰ったの、どこの誰だったかなぁ～？」

浅希「ぐっ……」

色葉「それじゃあお二人さん、ごゆっくり～♪」

今日子「それじゃあ璃奈ちゃん、また学校で会おうね♪」

浅希「ま、待ってよ！」

ﾃｸﾃｸ…

浅希「行っちゃった……」

璃奈「…………」

ﾃｸﾃｸ…

璃奈「浅希ちゃん……」

浅希「ごめん璃奈。ソロライブで帰っちゃった件」

璃奈「大丈夫。ソロライブの件は学校で決着がついた話だから」

浅希「あ、そうだったね」

ｷﾞｭｯ…

璃奈「今日は、ありがとう……」

浅希「璃奈……」

璃奈「ごめん、間違えた」

浅希「え？」

璃奈「浅希ちゃん、いつもありがとう」

璃奈「私がスクールアイドルを始めて、璃奈ちゃんボードを作って」

璃奈「浅希ちゃんたちと友だちになれて、みんなと繋がることができて」

璃奈「最初にライブをやってた時は、これでいいんだと思ってた」

浅希「璃奈……」

璃奈「でも、やっぱり笑顔を諦めることが出来なかった」

璃奈「他のみんなみたいに精一杯の笑顔で、みんなと繋がりたいと思ってた」

浅希「璃奈、やっぱり表情の事……」

璃奈「そんな私を、浅希ちゃんは誰よりも応援してくれた」

璃奈「だから私は、笑顔になることが出来た」

璃奈「私の笑顔を、みんなに伝えることが出来た」

璃奈「浅希ちゃん、今まで本当にありがとう」

浅希「璃奈……」

璃奈「私の笑顔は、まだまだ未熟だけど」

璃奈「そんな私を、ずっとずっと応援してくれたら嬉しいな♪」ﾆｺｯ♪

浅希「うん、もちろんだよ……！」

璃奈「ふふっ♪」

浅希「…………」

……璃奈の笑顔が……願いが叶って
本当に……ほんとうに……よかった……！

ﾎﾟﾛｯ…ﾎﾟﾛｯ…

璃奈「浅希ちゃん……」

浅希「璃奈……りなっ……！」ｸﾞｽｯ…

浅希「ごめん……りなっ……」ｸﾞｽｯ…

浅希「璃奈にとって……本当に嬉しい出来事のはずなのに……」ｸﾞｽｯ…

浅希「こんなにも……涙が……止まらなくて……」ｸﾞｽｯ…

璃奈「浅希ちゃん……」

浅希「うっ……ぐすっ……」

ｷﾞｭｯ…

璃奈「ありがとう、浅希ちゃん」

璃奈「私を、こんなにも思ってくれて……」

浅希「璃奈……りなぁ……」ｸﾞｽｯ…

浅希ちゃん……あなたがいたから私は前に進むことが出来た
笑顔になることが出来た

璃奈「浅希ちゃん……」ｷﾞｭｯ…

浅希「璃奈……ぐすっ……」

最初のライブ以来、私を応援してくれる浅希ちゃん
私のライブが楽しいって言ってくれる浅希ちゃん

璃奈「っ…………」ﾎﾟﾛｯ…

ああ……今はただただ、この人が愛おしい……

璃奈「浅希……ちゃん……」ｸﾞｽｯ…

浅希ちゃん……あなたに出会えて
本当に……良かった……！

・・・

浅希「ねぇねぇ璃奈、次のSIFの出し物考えたんだけどね♪」

璃奈「うん」



今日子「あのライブ以来、すっかり仲が良くなったみたいだね♪」

色葉「膝の上に璃奈ちゃん乗せちゃって、最早隠す気もない様子で」

璃奈「あ……そういえば来月にソロライブがあるんだけど……」

今日子「へぇー、初耳だね」

色葉「最近璃奈ちゃんのライブが人気だから、チケット取れるかなぁ」

浅希「あ、それなら既に確保してあるから」

色葉・今日子「えっ？？？」

浅希「璃奈がコツを教えてくれたおかげで、いいチケット取れたんだ♪」

浅希「流石にA席は倍率高かったから、一人はC席になっちゃったけど」

今日子「そ、そうなんだ……」

色葉「……今日子、あとで体育館で決着をつけようか」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ…

今日子「い、色葉ちゃん……」ｱｾｱｾ…


浅希「ま、私がC席っていうのでも構わないんだけどね♪」

璃奈「浅希ちゃん……」

浅希「璃奈が幸せそうに、ライブで踊ってくれるだけで」

浅希「それだけで私は、嬉しいから♪」

璃奈「……ふふっ♪」

ﾊﾟｼｬｯ…

璃奈「あっ……」

浅希「璃奈、またいい笑顔だったよ♪」

璃奈「……ホントだ」

浅希「いっそ璃奈の笑顔アルバムとか作っちゃおうかな？」

璃奈「浅希ちゃん、それは恥ずかしいよ///」

浅希「ふふっ♪」



表情の出ない不思議な女の子、天王寺璃奈
スクールアイドルを通じて、彼女に奇跡が舞い降りた……！
それはきっと、神様からの贈り物……

私は、天王寺璃奈のライブが好き
こんなにも奇跡に満ち溢れたライブは他に無いから
私は、天王寺璃奈のライブが好き
ずっとずっと応援したいって思えるライブだから

そして私は、天王寺璃奈の事が……

おわり

これからも頑張れ私……

尊き夢を見た

いいぞ私

素晴らしいぞ私
これからも頑張れ私