2:
◆2uxje2eK★
2025/07/29(火) 01:23:12 ID:???00
蝉の声が遠くに響く夏の夕方、わたしは蓮ノ空女学院の校門で人を待っていた。
「さやかちゃん、お待たせ~」
まるで太陽のような元気な声に振り向くと、そこにはわたしの待ち人が立っていた。
そう、今日は花帆さんと2人で夏祭りに行く日なのだ。
「花帆さん」
浴衣姿の花帆さん。
ああ、なんて可愛らしいんだろう…
今からこの可愛い花帆さんを独り占めするんだと思うとわたしの心はちょっぴり踊る。
「さやかちゃん、浴衣姿がびっくりするくらい似合ってるね!お姉さんみたい」
花帆さんからの突然の誉め言葉にわたしは耳まで赤くなる自分に気が付いて視線を逸らす。
「さやかちゃん、お待たせ~」
まるで太陽のような元気な声に振り向くと、そこにはわたしの待ち人が立っていた。
そう、今日は花帆さんと2人で夏祭りに行く日なのだ。
「花帆さん」
浴衣姿の花帆さん。
ああ、なんて可愛らしいんだろう…
今からこの可愛い花帆さんを独り占めするんだと思うとわたしの心はちょっぴり踊る。
「さやかちゃん、浴衣姿がびっくりするくらい似合ってるね!お姉さんみたい」
花帆さんからの突然の誉め言葉にわたしは耳まで赤くなる自分に気が付いて視線を逸らす。
3:
◆2uxje2eK★
2025/07/29(火) 01:24:12 ID:???00
「花帆さんだって、素敵なお姉さんですよ…//」ボソッ
小さく呟くも花帆さんはよく聞こえなかったらしく、
「さやかちゃん、何か言った?」
と聞き返してくる。
「何でもありません。さ、行きましょう」
花帆さんの手を引いて金沢の街中へと向かうバス停へと歩を進めるのであった。
(今日一日は、わたしだけを見ていてくださいね、花帆さん)
小さく呟くも花帆さんはよく聞こえなかったらしく、
「さやかちゃん、何か言った?」
と聞き返してくる。
「何でもありません。さ、行きましょう」
花帆さんの手を引いて金沢の街中へと向かうバス停へと歩を進めるのであった。
(今日一日は、わたしだけを見ていてくださいね、花帆さん)
4:
◆2uxje2eK★
2025/07/29(火) 01:28:11 ID:???00
~夏祭り会場にて~
金魚すくいに、りんご飴。
花帆さんはまるで童心に帰ったかのように目をキラキラさせながら屋台をひとつずつ巡っていた。
「さやかちゃん、あっち行こ~」
「花帆さん、走ると危ないですよ。待ってください~」
そんな会話をしながら夏祭りを楽しむわたしたち。
「さやかちゃん、あそこ!わたあめあるよ!一つ買って半分こしようよ」
「いいですね」
一つのわたあめをふたりでつまむ。
しばらくは黙々と食べ進める。
花帆さんとなら黙っているこの時間も苦にならない。
いや、むしろこんな時間もすごく好きだ。
金魚すくいに、りんご飴。
花帆さんはまるで童心に帰ったかのように目をキラキラさせながら屋台をひとつずつ巡っていた。
「さやかちゃん、あっち行こ~」
「花帆さん、走ると危ないですよ。待ってください~」
そんな会話をしながら夏祭りを楽しむわたしたち。
「さやかちゃん、あそこ!わたあめあるよ!一つ買って半分こしようよ」
「いいですね」
一つのわたあめをふたりでつまむ。
しばらくは黙々と食べ進める。
花帆さんとなら黙っているこの時間も苦にならない。
いや、むしろこんな時間もすごく好きだ。
5:
◆2uxje2eK★
2025/07/29(火) 01:30:20 ID:???00
「ねえ、さやかちゃん」
「何ですか?」
「こうしてるとさ、なんだかあたしがさやかちゃんを独り占めしてるみたいだよ…//」
そう言って頬をうっすらと赤く染める花帆さん。
(花帆さん、あなたもそう思ってくれていたんですね…)
「ふふっ。今日のわたしは、あなたのものですよ?//」
「さやかちゃん// なんだか、秘密のデートみたいだね?//」
「何ですか?」
「こうしてるとさ、なんだかあたしがさやかちゃんを独り占めしてるみたいだよ…//」
そう言って頬をうっすらと赤く染める花帆さん。
(花帆さん、あなたもそう思ってくれていたんですね…)
「ふふっ。今日のわたしは、あなたのものですよ?//」
「さやかちゃん// なんだか、秘密のデートみたいだね?//」
6:
◆2uxje2eK★
2025/07/29(火) 01:32:22 ID:???00
花帆さんが照れたように笑う。
わたしの胸が、トクンと鳴る。
「本当に秘密だったらよかったんですけどね…」ボソッ
「え?」
「あ、いやいや、何でもありませんよ」
花帆さんは不思議そうにわたしを見つめるけれど…
「あ、そろそろ花火が上がるみたいですよ。花帆さん、行きましょう」
話題を逸らすべく花帆さんの手を引いて花火会場の方へと歩いていく。
わたしの胸が、トクンと鳴る。
「本当に秘密だったらよかったんですけどね…」ボソッ
「え?」
「あ、いやいや、何でもありませんよ」
花帆さんは不思議そうにわたしを見つめるけれど…
「あ、そろそろ花火が上がるみたいですよ。花帆さん、行きましょう」
話題を逸らすべく花帆さんの手を引いて花火会場の方へと歩いていく。
7:
◆2uxje2eK★
2025/07/29(火) 01:35:43 ID:???00
―――――――――――――――――――――――
夜空に、花火が咲いた。
光に照らされる花帆さんの横顔がとても大人びていて美しい。
(花帆さんもこんなに大人っぽい表情をするんですね…)
この横顔は誰にも見せたくないと思うのはわたしのわがままだろうか。
「花帆さん…」
「?」
花帆さんがこちらを向く。
とても可愛くて綺麗なそのお顔をもっとわたしに向けてほしい…
「わたし、花帆さんと今日ここに来れて良かったです。誰にも邪魔されずに、花帆さんだけを見ることが出来ました」
夜空に、花火が咲いた。
光に照らされる花帆さんの横顔がとても大人びていて美しい。
(花帆さんもこんなに大人っぽい表情をするんですね…)
この横顔は誰にも見せたくないと思うのはわたしのわがままだろうか。
「花帆さん…」
「?」
花帆さんがこちらを向く。
とても可愛くて綺麗なそのお顔をもっとわたしに向けてほしい…
「わたし、花帆さんと今日ここに来れて良かったです。誰にも邪魔されずに、花帆さんだけを見ることが出来ました」
8:
◆2uxje2eK★
2025/07/29(火) 01:57:36 ID:???00
「さやかちゃん?」
「わたしは、好きなのかもしれません。あなたの一挙手一投足が…あなたとのこの時間が」
かなり恥ずかしいことを言っている自覚はある。
あるけれど仕方がない。
これがわたしの本音なのだから…
「あなたのこの笑顔を、あなたとのこの時間を、わたしは独り占めしたいのかもしれません…//」
花帆さんの手がわたしの手を握った。
「じゃあ…しばらくあたしのこと、誰にも渡さないでね?」
「任せてください。絶対に」
繋がれた手に、夏の熱が残った。
「わたしは、好きなのかもしれません。あなたの一挙手一投足が…あなたとのこの時間が」
かなり恥ずかしいことを言っている自覚はある。
あるけれど仕方がない。
これがわたしの本音なのだから…
「あなたのこの笑顔を、あなたとのこの時間を、わたしは独り占めしたいのかもしれません…//」
花帆さんの手がわたしの手を握った。
「じゃあ…しばらくあたしのこと、誰にも渡さないでね?」
「任せてください。絶対に」
繋がれた手に、夏の熱が残った。
9:
◆2uxje2eK★
2025/07/29(火) 02:20:40 ID:???00
――――――――――――――――――――――
人の波を抜けて、二人きりの帰り道。
手を繋いだまま、無言で歩く。
(この時間が永遠に続けばいいのに…)
「ねえ、さやかちゃん」
花帆さんがふと口を開く。
「あたしね、さやかちゃんになら、独り占めされてもいいよ?//」
そう言う花帆さんは耳まで真っ赤になっている。
実に可愛らしい…
「だからね、あたしもさやかちゃんを独占したいな?」
「ふふっ。もちろんですよ、花帆さん。この夏も楽しみましょうね」
熱気に包まれた夏の夜に、わたしたちはふたりだけの誓いを立てたのだった。
おしまい
人の波を抜けて、二人きりの帰り道。
手を繋いだまま、無言で歩く。
(この時間が永遠に続けばいいのに…)
「ねえ、さやかちゃん」
花帆さんがふと口を開く。
「あたしね、さやかちゃんになら、独り占めされてもいいよ?//」
そう言う花帆さんは耳まで真っ赤になっている。
実に可愛らしい…
「だからね、あたしもさやかちゃんを独占したいな?」
「ふふっ。もちろんですよ、花帆さん。この夏も楽しみましょうね」
熱気に包まれた夏の夜に、わたしたちはふたりだけの誓いを立てたのだった。
おしまい
10:
◆2uxje2eK★
2025/07/29(火) 02:22:38 ID:???00