【SS】せつ菜「それでは、第3回ぽむ玉対策会議を始めます」【ラブライブ!虹ヶ咲】

せつな SS


6: 2021/03/13(土) 19:35:23.61 ID:B3+igovJ
せつ菜「議長と書記を兼任させていただきます優木せつ菜です」ペコッ

せつ菜「まずは前回の会議と同様に、目撃情報を順番に発表してください」

果林「でも、前の会議から1ヶ月も経たないうちに、またやることになるなんてね……」

せつ菜「報告された目撃情報が、この短期間に規定数を超えてしまいましたので……」

かすみ「3ヶ月くらい前に、せつ菜先輩が騒いでたときは、こんなことになるなんて思いませんでした」

しずく「そうだよね。『歩夢さんの髪の毛が生きてるんです!』とか言い出されてもね……」

エマ「せつ菜ちゃんは生徒会もあって忙しいから、休ませてあげなきゃって思ったんだけどなあ」

彼方「分かるよ。すっごく疲れてるのに5日くらい寝られないと、幻覚が見えてくるもんね」

愛「それが分かるのは、カナちゃんだけであって欲しいかなあ」

璃奈「できれば彼方さんにも分かって欲しくないけどね」

8: 2021/03/13(土) 19:38:05.99 ID:B3+igovJ
せつ菜「あのときは、みなさん本当にひどかったですよね!」

せつ菜「誰も私のこと信じてくれなくて、狂人か何かみたいな扱いをされましたよ!」プンプン

愛「いや、仕方ないよ。歩夢の髪が生きてるんだとか言われて、素直に信じる方が変でしょ?」

かすみ「とっても真剣な顔で、歩夢先輩の髪がうにょうにょ動いてたんですとか何度も言ってて……」

かすみ「実はかすみん、ちょっと怖かったです」

せつ菜「みなさん、すごく優しい顔で『疲れてるんだよ』と言うばかりで……」

せつ菜「本当に自分がおかしくなっちゃったんじゃないかって、かなり精神的にクるものがありました」

しずく「そんなこんなで、第1回ぽむ玉対策会議はせつ菜さんを心配するだけで終わったんですけど……」

彼方「でも、その後に彼方ちゃんたちも、ぽむ玉が動いてるのを見ちゃったんだよね~」

エマ「歩夢ちゃんの頭に付いてるぽむ玉が、侑ちゃんからLINEが来るたびにブルブル震えてたんだ」

エマ「見間違いとかいうレベルの動きじゃなかったし、夢かなって思ったんだけど……」

果林「私のときなんか、歩夢の頭からぽむ玉が9つ飛び出して、輪になって地面を跳ねまわったのよ!」

果林「笑顔の歩夢に『ほら、夢ここの私たち9人みたいで可愛いですね』って言われて……」

果林「あのとき悲鳴を上げなかった自分を、今でも褒めてあげたいわ」

11: 2021/03/13(土) 19:40:44.95 ID:B3+igovJ
璃奈「私が初めて見たぽむ玉は、ビュンビュン空を飛んでたなあ……」

彼方「それで2回目の会議をやって、今回が3回目か~」

しずく「ちょっと話は変わりますけど、誰が『ぽむ玉』って名前を付けたんですか?」

しずく「歩夢さんの頭のお団子が、人智を超越した挙動をしているときにそう呼ぶんですよね?」

せつ菜「私です! 歩夢さんの名前の漢字の読み方を少し変えることで、可愛さを表現したんです!」

せつ菜「とっても可愛らしいでしょ? 自信作です!」ペカー

愛「やっぱりさ、せっつー楽しんでるよね?」

せつ菜「ええ! どんなときでも、楽しむことが大事だと思うんです!」

愛「……そっか、そうだよね! 楽しいの天才だよね!」キャッキャッ

せつ菜「愛さん、ハンパなーい!」キャッキャッ

彼方「どうも2年組は、ぽむ玉が絡む話題になると思考を放棄しがちだよね」

エマ「まあ、気持ちは分からなくもないかなあ」

果林「同じ学年だし、歩夢と絡むことが多いものねえ」

彼方「確かに、逃避のひとつもしたくなるか」

12: 2021/03/13(土) 19:43:39.12 ID:B3+igovJ
かすみ「じゃあ、今回は私から発表してもいいですか?」

果林「かすみちゃんから?」

かすみ「はい! 前回は年上からってことで、果林先輩からだったでしょ?」

かすみ「だから、今度は年下からにしましょう! かすみんがトップバッターです!」フフーン

彼方「お誕生日まで考えると、かすみちゃんが一番の年下なんだっけ?」

かすみ「はい、そうですよ! 可愛いかすみんは、みんなの妹なんですから!」

かすみ「ほぉら、かすみんを可愛がってもいいんですよぉ」ヘヘーン

しずく「かすみさーん、お姉ちゃんですよー」ナデナデ

璃奈「幼いかすみちゃん、すき」ナデナデ

かすみ「ちょっと! なんで2人なの! 2人は同じ1年生でしょ!?」

しずく「誕生日まで考えるって話だったよね?」ナデナデ

璃奈「私より2ヶ月も年下なんだから、これは立派な妹」ナデナデ

かすみ「もうっ! ……まあ、別にいいですけど」テレテレ

かすみ「じゃあ、かすみんの発表を始めますね!」

13: 2021/03/13(土) 19:46:20.97 ID:B3+igovJ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

かすみ「んー、ちょーっと違うんですよねぇ」ブツブツ

@歩夢「かすみちゃん、どうしたの?」

かすみ「あっ、歩夢先輩! こんにちは!」

@歩夢「うん、こんにちは。それは、コッペパン?」

かすみ「はい、新作のコッペパンです! 今回はチーズたっぷりなんですよ!」ドヤァ

かすみ「だけど、何かちょっと足りない感じで……」

歩夢「そうなんだ。じゃあ、これを使ったらどうかな?」ブチッ

歩夢「千切りにして、チーズに混ぜてみて?」つ@ ハイ

かすみ「あ、歩夢先輩!? ……だ、大丈夫なんですか?」

@歩夢「大丈夫だよ。すぐに生えてくるから」ポンッ!

かすみ「いや、大丈夫かっていうのは、そういうことじゃなくて……」

かすみ「これをコッペパンに挟むの? そもそも髪の毛だし、千切りってどうすれば……」ブツブツ

16: 2021/03/13(土) 19:49:03.29 ID:B3+igovJ
@歩夢「ふふっ、ちょっと包丁を貸してね? まずは芯を取り除いて、それでこう千切りに……」ザクザク

@歩夢「千切りにしたのを、チーズの上から振りかければ……」パラパラ

@歩夢「はい、完成! かすみちゃん、味見してみて?」ハイ!

かすみ「え、えっと……」

@歩夢「ほら、美味しいよ? 食べてみて欲しいな」ニコニコ

かすみ「わ、分かりました。……えいっ!」パクッ

かすみ「んー! なんですか、これ! ぽむ玉がシャッキリポンと、舌の上で踊りますよ!」

@歩夢「でしょ?」ニコニコ

かすみ「柔らかで優しい味です! 胃の悪い人なんか、これを一口でも食べただけで治っちゃいます!」

@歩夢「お役に立てたみたいでよかったよ」

かすみ「ありがとうございます! 色んなチーズとの相性も考えて、完成したらごちそうしますね!」

歩夢「わあ、嬉しいな! じゃあ試作もあるだろうし、たくさん渡しとくね?」つ@@@@@@@@@@@@ 1ダース!

かすみ「はい、楽しみにしててください!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

20: 2021/03/13(土) 19:51:49.29 ID:B3+igovJ
かすみ「それが、一昨日に食べてもらったコッペパンになります」

果林「うえ!? あれって、ぽむ玉が入ってたの!?」ガーン!

せつ菜「まあ、ぽむ玉が食べられるということは、前回の会議でも報告されていましたし……」

愛「あれ、美味しいんだよねえ」

彼方「そっかあ、ぽむ玉だったんだ。3種類のチーズを使ってるとこまでは分かったんだけどさあ」

彼方「最後の隠し味が分かんなくて、フードデザイン専攻として悔しかったんだあ」

しずく「世界中を探しても分かる人なんていませんから、別に大丈夫ですよ」

璃奈「でも、前に愛さんと食べたときとは食感も味も違ったよね?」

愛「だよね? あのときは歩夢の頭からもいだのを、そのままリンゴみたいにかじって食べたんだけど……」

愛「シャッキリポンじゃなくて、すっごくもちもちしてたよ?」

璃奈「味もコッペパンのは甘かったけど、愛さんと食べたときのはカレーパンみたいだった」

せつ菜「なるほど。何らかの条件によって、食感や味が変わるということですね」メモメモ

璃奈「じゃあ、次は私が報告するね。これは先週の話なんだけど……」

23: 2021/03/13(土) 19:54:28.61 ID:B3+igovJ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

璃奈「あ、しまった。バッテリー切れか……。仕方ない、明日にしよう」

@歩夢「こんにちは、璃奈ちゃん」

璃奈「歩夢さん、こんにちは」ペコッ

@歩夢「その手に持ってるのは、スイッチ? 璃奈ちゃん、また何か作ったの?」

@歩夢「もうっ、あんまりイタズラしちゃダメだよ?」

璃奈「大丈夫だよ。これは、私より年下の同好会メンバーにしか影響のないスイッチなんだ」

璃奈「だから、歩夢さんには迷惑はかけない。それに、今はバッテリー切れだからね」

@歩夢「そうなんだ。だったら充電はしないの?」

@歩夢「そういうことに学校のコンセントを使うのは、あんまりよくないかもだけど」

璃奈「200ボルトの電圧が必要な仕様だから、そもそもできないんだ」

璃奈「電力量もかなり食うし、家でやるよ」

25: 2021/03/13(土) 19:57:17.78 ID:B3+igovJ
歩夢「あ! それなら、これを使ってよ」ブチッ

歩夢「これで充電できるはずだよ?」つ@ ハイ!

璃奈「……えっと、その、歩夢さん?」

@歩夢「これにプラグを差し込んでみて? 200ボルトならいけるはずだから」ポンッ!

璃奈「う、うん……」ゴソゴソ

璃奈「え? えっ、速い!? 嘘、もう終わった……」

@歩夢「ちゃんとできたかな?」

璃奈「ちゃんとできたどころか、通常の充電よりずっと速い。異常と言っていい速度」

璃奈「どういう仕組みなの? よかったら教えて欲しいな」

@歩夢「ごめんね、あんまり詳しいことは分からないんだ。私は理系じゃないから」

璃奈「理系とかそういう話? でも、すごく気になる……」

歩夢「もし璃奈ちゃんが調べたいなら、いくつか渡しとくよ?」つ@@@

璃奈「ありがとう、歩夢さん。とってもワクワクする!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

28: 2021/03/13(土) 19:59:51.36 ID:B3+igovJ
璃奈「家に帰ってぽむ玉を分解したんだけど、どこをどう調べてもただの髪の毛の塊だった」

璃奈「璃奈ちゃんボード『科学の敗北』」シュン

かすみ「それよりも、りな子! やっぱり先週のあれは、りな子の仕業だったんじゃない!」

璃奈「え? ……あ、やべ」

エマ「何かあったの?」

しずく「はい、かすみさんの身長が急に10センチくらい縮んだんです」

かすみ「あのとき何か心当たりはないかって聞いたら、普通にないって言ったよね!?」

璃奈「私より年下の人間の背は、私よりも低くあるべき。私は、世界の歪みを正しただけ」

璃奈「璃奈ちゃんボード『私は悪くない。だって、私は悪くないんだから』」

かすみ「りな子ぉ!」ホッペグニグニ

璃奈「ごめんなふぁい」グニラレグニラレ

せつ菜「そんな不思議なことが起こったのなら、璃奈さんが原因だと決めつけてもいいでしょうに」

果林「それでもちゃんと話を聞いて、違うと言われたら信じるのがあの子のいいところよね」

彼方「今回は決めつけるのが正解だったってことに目をつぶりさえすれば、普通に美談だよね~」

29: 2021/03/13(土) 20:02:47.74 ID:B3+igovJ
愛「でも、そんなに速く充電できたの? ちょっと愛さんも気になるかも」

璃奈「すごかったよ。計算したんだけど、最低でも1.21ジゴワットの電力が供給されてたはず」

愛「……え、マジで? それは、さすがにヤバくない?」

愛「指でも突っ込んだら、確実に死ねるレベルの電力だよね? 未来とか行けそう」BTTF

璃奈「うん、ぽむ玉は世界を変えるエネルギーを秘めてるのかもしれない」

果林「その世界を変えるエネルギーとやらを、コッペパンに挟んで食べてるのよねえ」

しずく「触っただけで死ぬのに、食べても平気とかあります?」

彼方「千切りにしても平気みたいだしね~」

エマ「うーん、ぽむ玉にも色んな種類があるのかなあ?」

せつ菜「凄まじいエネルギーを持つものがあるということは、記録しておきましょう」メモメモ

しずく「ぽむ玉の謎はなかなか解けなそうですけど、とりあえず次は私の番ですね」

33: 2021/03/13(土) 20:07:01.47 ID:B3+igovJ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

しずく「んー、やっぱり難しいなあ。なんでみんなはできるんだろ?」ブツブツ

@歩夢「しずくちゃん、バレーボールの練習してるの?」

しずく「あっ、歩夢さん! ……そうなんです。来週に球技大会があるでしょう?」

しずく「運動はそこそこできるんですが、どうも球技は苦手で……」

@歩夢「そうだったね。今はサーブの練習してたの? よかったら、ちょっと見せてくれる?」

@歩夢「私もそんなに得意ってわけじゃないから、何の役にも立てないかもだけど……」

しずく「いえ、助かります。1人で練習するのに、限界を感じていたところでしたから」

しずく「では、やりますね。……はあっ!」ピョン!

しずく「へけっ! あがっ! ごふっ! ぎぎぎぎぎぎぎぃー!」ゴッ! ズシャー

@歩夢「ん゛ん゛ん゛ーーー!!!」

しずく「……あとちょっとだったのに!」バンッ!

@歩夢「……あとちょっと? 何が? どうして、そうなるの?」

しずく「私にも分かりません。何度やっても、自分の頭に手がぶつかるんです」

しずく「それで気づいたときには、ボールと一緒に地面を転がってるんですよね」ウーン

※参考GIF
https://j.gifs.com/K1MVWl.gif

35: 2021/03/13(土) 20:09:42.89 ID:B3+igovJ
しずく「でも、コツは掴みかけてる気がするんです。あと少しで、完璧なサーブが打てるはずです!」

@歩夢「あと少し? 死にかけのアルパカみたいだったけど、本当に大丈夫?」

しずく「死にかけのアルパカ!? そんなにひどかったですか!?」ガーン!

しずく「はっ! もしかして、これがイップスってやつなの!?」

@歩夢「おこがましい!」

歩夢「もう普通に練習しても絶対に無理だよ! ……仕方ない、これを使おう」つ@

しずく「……それを使うって、ボールの代わりにするってことですか?」

歩夢「ううん、そうじゃないよ。しずくちゃん、ちょっと動かないでね」つ@~ ウニョウニョ

しずく「あ、歩夢さん!? 髪の毛が体に絡みついてきて……」

しずく「んっ♥ ああっ♥ やんっ♥ ダメッ♥」

@歩夢「やらしいなぁ」ポンッ!

37: 2021/03/13(土) 20:12:35.75 ID:B3+igovJ
しずく「んっ❤︎ ああっ❤︎ やんっ❤︎ ダメッ❤︎」

しずくの最後の台詞はこれです
これでもハートになっていなかったら脳内補完をお願いします

38: 2021/03/13(土) 20:15:08.76 ID:B3+igovJ
@歩夢「よし、これで準備できたよ! ねえ、しずくちゃん。動けないでしょ?」つ@~ ニョロニョロ

しずく「え? ……本当だ。体が動きません! 指の1本だって動かせません!」

しずく「なんで!? 髪の毛が絡みついてるって言っても、ほんの数本なのに!」オロオロ

@歩夢「大丈夫だよ。しずくちゃんの首から下の体を動かす権限は、今こっちにあるから」つ@~ ハーイ!

@歩夢「この子が神経に繋がってるの。だから、脳からの命令はカットされてるんだ」つ@~ ワタシガコノコデス

しずく「あんまり大丈夫に聞こえませんけど!?」ガーン!

@歩夢「練習が終わったら元に戻すから安心してね。……それで、これを再生すればっと」つ@~ トレースオン!

しずく「あ、体が勝手に……。ボールを拾って、サーブするんですか?」

@歩夢「そうだよー」つ@~ サーブ!

ピョン! バシッ!

しずく「おおっ! すごいです! 私の体で、こんなサーブが……」

しずく「なんていうか、マリオネットみたいですね」

@歩夢「確かにそんな感じかも。こうやって理想的なフォームを、体に覚え込ませるんだ」つ@~ イエーイ!

@歩夢「サーブが身についたら勝手に外れるようにしておいたから、それまで頑張って!」つ@~ ガンバロー!

@歩夢「ぽむ玉は、ここに置いておくね。じゃあ、私は侑ちゃんとする用事があるから」バイバイ

@~ シズク! ビシビシイクゾ!

しずく「はい、ありがとうございます!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

40: 2021/03/13(土) 20:17:52.25 ID:B3+igovJ
しずく「おかげで球技大会では大活躍でした! ……サーブだけは」ズーン

璃奈「そういうことだったんだ。しずくちゃんのサーブ、本当にすごかったもんね」

エマ「そんなにすごかったの?」

かすみ「はい、バレー部の人でも取れないくらいでしたから」

かすみ「なのにサーブ以外は死ぬほど下手くそだったから、不思議だなあって思ってたんですよねぇ」

しずく「レシーブしようとしたらボールが顔に当たって、ナマコの内臓みたいな動きだって言われたの」ズーン

璃奈「ボールが飛んでくるたびに、意味不明な動きしてひっくり返ってたよね?」

しずく「あれでも本気でやってたんだけどなあ」ズーン

果林「ぽむ玉には、人の体を操る力があるのね……。ちょっと怖いわね」

彼方「それよりも彼方ちゃんは、ぽむ玉がしゃべってる方が気になるな~」

愛「愛さんも、そっちが重要だと思うな。本体の歩夢からは独立した意思を持ってるんだよ」

愛「アタシが話す内容にも関係するんだけど、あれは歩夢に使われてるただの道具ってわけじゃないんだ」

エマ「ぽむ玉は生き物だっていうことなの?」

せつ菜「断定はできませんが、その可能性は十分にありますね。それも、人を操れる生き物です!」メモメモ

せつ菜「さて、次は私ですね! これは、第2回ぽむ玉会議の直後の話です!」

41: 2021/03/13(土) 20:20:34.43 ID:B3+igovJ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

菜々「そこのあなた! 何をしてるんですか!」コラッ!

@歩夢「あれ? せつ菜ちゃん? どうしたの?」

@歩夢「……それとも生徒会長モードだし、菜々ちゃんって呼んだ方がいいかな?」

菜々「歩夢さん!? 誰かと思ったら、あなただったんですか!? いったい何をやってるんですか!」

菜々「……それと、ここは菜々でお願いします」コホン

@歩夢「息抜きにちょっと遊んでたんだ。……いけなかったかな?」シュン

菜々「息抜きも遊ぶのも自由ですが、内容に問題があります! あの飛んでるの、ドローンですよね?」

菜々「校内でドローンを飛ばしている生徒がいると、生徒会に通報があったんです!」

菜々「確かにドローン同好会もありますが、校内で飛行させる場合には許可がいるんですよ!」

@歩夢「ごめんね、菜々ちゃん。……でもね、これはドローンじゃないんだ。ほら、よく見て」ハイ

菜々「いや、急にコントローラーを渡されても困るんですけど……」

菜々「って、違う! これは、ぽむ玉!?」ガーン!

@歩夢「ぽむ玉? 可愛い名前だね」フフッ

せつ菜「でしょ! 私が考えたんです!」ペカー

43: 2021/03/13(土) 20:23:44.68 ID:B3+igovJ
菜々「いやいや、今はそういう話じゃありませんから! ということは、あの飛んでるのも……」

@歩夢「そう、ぽむ玉だよ! 菜々ちゃんも操縦してみて。とっても楽しいよ?」ネ?

菜々「いえ、私はラジコンの操縦なんてしたことありませんし……」

@歩夢「大丈夫だよ。ぽむ玉を握って、こう飛んで欲しいって念じれば、その通りに飛ぶから」

菜々「まさかの思念による操作ですか!? ……あ、ホントだ。すごい」

歩夢「さらにね、これを頭に付ければ……」ゴソゴソ

@菜々「うえ!? ど、どうなってるんですか!? 私が飛んでる?」アタフタ

歩夢「違うよ。ぽむ玉ドローンが見ている映像を、菜々ちゃんの脳にそのまま流してるんだ」

@歩夢「そのために、菜々ちゃんの頭に受信用ぽむ玉を付けたの」ポンッ!

@せつ菜「おおっ、これはすごいですね! 大迫力です!」ペカー

@歩夢「本当に自分が空を飛んでるみたいでしょ?」

@せつ菜「はい! これ最高ですね! ……あっ、カラスが襲ってきました! すっごく大きく見えます!」

@歩夢「せつ菜ちゃん、逃げて! つつかれたりしたら、ぽむ玉が壊れちゃう!」

@せつ菜「任せてください! 当たらなければ、どうということはありません!」ペカー

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

44: 2021/03/13(土) 20:26:17.93 ID:B3+igovJ
せつ菜「その後、私の戻りが遅いので様子を見にきた副会長に死ぬほど叱られました」

せつ菜「ぴえん超えてぱおんでした」ズーン

璃奈「空を飛んでるとこは私も前に見たけど、撮影した映像をダイレクトに脳に送れるんだ」

愛「思念でぽむ玉ドローンを操作できるのも、かなりすごいよねえ」

璃奈「璃奈ちゃんボードに用いた技術を応用すれば、似たようなことはできるかもしれない」

璃奈「でも、カラスとドッグファイトするレベルの操作は無理かな。……なんか悔しい」ムー

果林「でも、ぽむ玉ならそれくらいはできるでしょって思えちゃうのがあれよねえ」

しずく「確かに、想像を上回るほどの情報ではなかったかもしれませんね」

彼方「璃奈ちゃんが再現できないって時点で、かなりすごいことなはずなんだけどね~」

せつ菜「『ぽむ玉が空を飛ぶなど、もはや当然のことである』っと」メモメモ

エマ「みんなのハードルが上がってて、とっても草で大草原だよ~」

45: 2021/03/13(土) 20:29:24.06 ID:B3+igovJ
エマ「でも、副会長さんもぽむ玉を見たんだったら、この会議に来てもらえばよかったね」

せつ菜「あっ、いや、副会長は、その……」

果林「あら、副会長には来て欲しくないの?」

せつ菜「いえ、そんなことはありません!」

せつ菜「ただ、えっと、副会長は歩夢さんに記憶を消されたみたいでして……」

彼方「おーっと、思いがけない展開だぜ?」

かすみ「なんか急にヤバい感じがしてきましたよ!」

愛「せっつーは、むしろそっちを報告しようよ」ネエ?

せつ菜「いえ、絶対に消されたというわけではないんです!」

せつ菜「その、歩夢さんも私と一緒に、ぽむ玉ドローンを飛ばしていた件で副会長に叱られたんです」

せつ菜「ただ、お説教の後に、飛んでいたのがドローンではないことに副会長が気づいてしまい……」

せつ菜「誤魔化そうとしても納得してくれなくて困っていたら、歩夢さんが……」

璃奈「歩夢さんが?」

せつ菜「自分の頭から取り外したぽむ玉を、さっと副会長の頭に付けたんです」

せつ菜「そうしたら副会長が急に大人しくなって、あっさりと引き下がってくれたんですよね……」

エマ「うわあ」

46: 2021/03/13(土) 20:32:04.05 ID:B3+igovJ
せつ菜「生徒会室に戻ってから、どんな感じか副会長にそれとなく聞いたんですが……」

せつ菜「ぽむ玉のことはもちろん、ドローンのことも何も覚えていないようで……」

愛「それ、もう絶対に記憶を消されてるでしょ」

かすみ「かすみん、けっこう本気で怖いんですけど」

しずく「実は私たちも、記憶を消されたりしてるのかな?」

果林「ええっ! 私は記憶を消された覚えなんかないわよ!」

彼方「そりゃあ記憶を消されてたら、覚えてるわけないよね~」

全員「…………」

せつ菜「つ、次に行きましょう! 今のは、あれです! ただの憶測ですから!」アセアセ

エマ「そ、そうだね! 証拠もないのに、人を疑っちゃダメだよね!」アセアセ

愛「だったら次は、愛さんが話しちゃうよ! 愛さんのも、かなりヤバいからね~」

48: 2021/03/13(土) 20:34:51.84 ID:B3+igovJ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

愛「うーん、どうすっかなあ」ブツブツ

@歩夢「愛ちゃん、どうしたの? 何か悩み事でもあるの?」

愛「あぁ、歩夢かぁ。……ごめんね、ブツブツ言ってて鬱陶しかったかな」ハハッ

@歩夢「もう、そんなわけないでしょ?」

愛「そっかあ」

@歩夢「そうだよ」

愛「…………」

@歩夢「…………」

愛「あー、やっぱ気になる感じ?」

@歩夢「気になるっていうか、よかったら相談して欲しいなあって思って……」

@歩夢「いつも愛ちゃんには色々とお世話になってるから、たまには私もお返しがしたいなって」

@歩夢「あ! もちろん話したくないなら、無視してくれていいんだよ?」アセアセ

@歩夢「それに愛ちゃんが悩むようなことなら、私なんかじゃ何の役にも立てないかもしれないしね」ヘヘッ

49: 2021/03/13(土) 20:37:31.39 ID:B3+igovJ
愛「いやいや、そんなことないよー! 愚痴を聞いてもらえるだけでも、十分に助かるからね」

愛「今のところそこまで深刻じゃないし、世間話みたいな感じで聞いてもらおうかな」

@歩夢「愛ちゃん!」パァ!

愛「最近ね、うちの店のお客さんが減ってるんだ。まあ、状況的に仕方ないことなんだけどさ」

@歩夢「ああ、なるほど。外食する人が少なくなって、そういうお店は大変だって聞くね」

愛「そうなんだよ! まあ、うちの店はありがたいことに常連さんも多いからね」

愛「今すぐ潰れるとかそういうことはないんだけどさ」

@歩夢「ふふっ、看板娘の愛ちゃんが人気なおかげかな?」

愛「いやいや、愛さんじゃなくて両親とかばあちゃんとじいちゃんとかの長年の努力の賜物だよ」

愛「もちろん愛さんも、少しでも役に立ててれば嬉しいんだけどね」

@歩夢「間違いなく愛ちゃんのおかげもあるよ!」

@歩夢「だって私たちが食べに行くのは愛ちゃんがいるからだし、ファンの人もよく来てくれるんでしょ?」

愛「そうだよねー! ホントありがたいよ!」

愛「とは言っても、お客さんが減ってるのは事実だし、この情勢がいつまで続くかも分かんないからさ……」

愛「余裕のある今のうちに何かできないかなって考えてたんだけど、特に思いつかなくってねえ」

50: 2021/03/13(土) 20:39:11.40 ID:B3+igovJ
@歩夢「なるほどね。お店に来てくれるお客さんかあ……」

愛「まあ、そう簡単に思いつくなら、誰も苦労してないっていうね」

愛「そうだ! よかったら、歩夢のファンの子たちにも、うちをお勧めしてくれない?」

愛「人気の歩夢に協力してもらえば、すっごく強力で百人力ってやつだよ!」キョウリョクダケニ!

@歩夢「もちろん喜んでさせてもらうよ! でも、他にも思いついたことがあるんだ……」

歩夢「ちょっと見ててね。……えいっ!」つ三@@@@@ ピュー

モゾモゾ(((@)))ホノホノ ウネウネ(((@)))チュンチュン プルプル(((@)))ミモミモ フルフル(((@)))ピギャピギャ ニュルニュル(((@)))ゥユゥユ

愛「……え? ぽむ玉が膨らんで、いったい何が……」

歩夢「もうすぐだよ」

  リ`・ヮ・)    (・8・)    cVσ_VσV    |c||^.-^||    ⌒°(・ω・)°⌒

愛「人になった!?」ガーン!

歩夢「これからは、この子たちも愛ちゃんのお店に通うから安心してね?」

愛「いや、えっと、これは、え? いったい、どうなって? ……ん? 通う? 何が?」

@歩夢「人数が足りないなら言ってね。いくらでも増やせるから」ポンッ!

愛「あ、はい」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

51: 2021/03/13(土) 20:41:53.08 ID:B3+igovJ
愛「そのとき生まれた5人は、今でも足繁く愛さんの店に来てくれてるよ……」

彼方「おおぅ、それはそれは……」

せつ菜「いやいや、ちょっと待ってください! 今までの報告とは一線を画す情報ですよ!」

しずく「ギアをひとつ上げてきましたね」

璃奈「人を生み出せるのか……。もはや神の領域だね」

エマ「歩夢ちゃんは神様だったの? 祈った方がいいかな?」エイメン

愛「その子たちは普通にもんじゃを食べて、普通にお金を払ってくれるんだ」

愛「おしゃべりも普通にできるし、みんな常連さんともすっかり仲良くなっちゃってさあ」

愛「お客さんを格付けするわけじゃないけど、事情を知らなければ本当にいいお客さんで……」

果林「あんまり難しいことは考えないで、めでたしめでたしってことじゃダメなの?」

愛「あの子たちとは、愛さんもよく話すんだ。いい子だなって思うし、接客してても楽しいんだけどね?」

愛「この子たちは人間じゃないんだよなあって思うと、無性に怖くなるときがあって……」

53: 2021/03/13(土) 20:44:52.95 ID:B3+igovJ
しずく「実は夢だったとかありませんか? というか、夢だったことにしませんか?」

璃奈「可能性は低いだろうけど、もうそれくらいしか逃げ場がないよね」

愛「さすがに愛さんも、あれは現実じゃなかったんじゃないかって考えたんだけど……」

愛「ときどき歩夢から、あの5人の様子を聞かれるんだ。生みの親として、迷惑かけてないか心配だって」

かすみ「おふぅ、生みの親ですか……」

せつ菜「夢だったという希望は、完全に潰されましたね」メモメモ

愛「まあ、お店としては助かってるし、迷惑なことなんてひとつもないしさ」

愛「後はアタシが慣れちゃいさえすれば、何の問題もなくなるんだけどね!」ハハッ

彼方「慣れちゃっても大丈夫なのかは、ちょーっと疑問だけどねえ」

愛「もー! カナちゃん、怖いこと言わないでよー」

彼方「ごめんよ~、愛ちゃん。まあ、疑問とか言っちゃったけど、大丈夫なんじゃないかな?」

彼方「だって、歩夢ちゃんが作ったんでしょ? そんな子たちが、悪いことなんてするわけないよ~」

愛「そっか、そうだね! 歩夢のことなら、信じられるよ!」ウンウン

エマ「愛ちゃんの悩みも解決したとこで、次は私がお話しするね」

55: 2021/03/13(土) 20:47:35.40 ID:B3+igovJ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

エマ「……はぁ」ハァ

@歩夢「エマさん、何を見てるんですか?」

エマ「あっ、歩夢ちゃん……」

@歩夢「これは、家族の写真ですか?」ヒョイ

エマ「うん、夏休みにスイスに里帰りする予定だったんだけど、色々あって行けなかったから」

エマ「私たちのスクールアイドル活動が大人気になって、いくつもイベントに出たりして忙しかったし……」

エマ「それに、今は外国に行くのは自粛した方がいいって雰囲気になってるでしょ?」

エマ「それで、ちょっとホームシックみたいになっちゃって……」

エマ「へへっ、3年生のお姉さんなのに恥ずかしいよね」

@歩夢「そんなことありませんよ。当たり前だと思います」

エマ「歩夢ちゃん……」

@歩夢「私は家族とずっと一緒の甘ったれだから、1人で外国に飛び出したエマさんを尊敬してるんです!」

@歩夢「恥ずかしいことなんて、何もありませんよ?」

エマ「ありがとう、歩夢ちゃん」フフッ

@歩夢「それに家族じゃないけど、侑ちゃんと会えなくなったりしたら、私もどうなるか分からないから」

56: 2021/03/13(土) 20:50:22.63 ID:B3+igovJ
エマ「まあ卒業したらスイスに帰るから、すぐに会えるんだけどね」ヘヘッ

エマ「でも、そうしたら今度はみんなに会えなくなっちゃうなあ」ウーン

@歩夢「そっか、スイスって遠いですもんね」

@歩夢「だけど、エマさんに会えなくなるのはイヤだな……」

歩夢「よおし! こういうときこそ、これの出番だよ! 試してみよう!」つ三@ ポイッ!

歩夢「さあ、行きましょう!」

     ■■■■■
   ■          ■                ■  ■
 ■      ■■■  ■                ■  ■
 ■    ■    ■  ■    ■■■■■■        ■■■■■■
 ■  ■    ■    ■              ■        ■        ■     ■  ■  ■
 ■  ■    ■    ■              ■        ■        ■     ■  ■  ■
 ■    ■■  ■■                ■        ■        ■             ■
   ■          ■                ■        ■        ■           ■
     ■■■■■        ■■■■■■        ■■■■■■       ■■

エマ「うわっ! 大きい! え? 行くって、どこに?」

歩夢「私についてきてください!」ガシッ!

エマ「ええっ! あれのところに行くの? 食べられたりしない?」ズルズル

57: 2021/03/13(土) 20:53:00.36 ID:B3+igovJ
歩夢「大丈夫ですよ! ほらっ!」ズボッ

エマ「ああっ、歩夢ちゃんが飲み込まれた! ま、待って! 私も!?」アー

@ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @

@歩夢「はい、到着です!」ポンッ!

エマ「うわー! ……って、あれ? 食べられてない?」オソルオソル

@歩夢「周りの景色に見覚えはありませんか?」

エマ「え、景色? ……あれ? 嘘、なんで? 私の家だ……」

@歩夢「はい、スイスです! パスポートは持ってないけど、来ちゃいました!」

エマ「ええっ! なんで!? 何がどうなってるの!?」

@歩夢「細かいことはいいじゃないですか。それより、庭に誰かいらっしゃいますよ?」

エマ「あ、お母さんだ。……お母さん! お母さーん! Mamma!」ダッ!

@歩夢「ふふっ、あんな顔のエマさんは初めて見るよ。やっぱり、やってよかったな」

@歩夢「エマさーん! 私のことも紹介してくださーい!」オーイ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

58: 2021/03/13(土) 20:55:43.09 ID:B3+igovJ
エマ「帰りもぽむ玉で送ってもらったよ。あっという間なんだあ」ニコニコ

かすみ「間違いなくすごいんですけど、あんまりびっくりしなくなってますね」

彼方「慣れって怖いよね~」

果林「エマが嬉しそうだから、私はそれで十分よ」キリッ

せつ菜「ふむふむ、離れた場所を繋ぐことができるわけですね」メモメモ

せつ菜「あれ? でも、どうして歩夢さんはエマさんの実家の場所が分かったんですか?」

せつ菜「私もスイスのイタリア語圏だということまでは分かりますが、住所までは知りませんよ?」

しずく「そう言えばそうですね……」

果林「私は前に、地図を見ながらエマに教えてもらったわよ? ここに住んでたって」

エマ「確かに果林ちゃんには教えたことあるけど、他の子には言ってないはずだけどなあ」

璃奈「ぽむ玉がエマさんの脳から必要な情報を読み取ったんでしょ?」

璃奈「これまでの報告から考えても、十分に可能だと思う。脳に干渉するのは得意みたいだし」

愛「だろうね。本家のどこでもドアにも、ノブを握った人の意志を読み取る機能があったはずだよ」

かすみ「あのピンクのドアって、そんなことしてたんですか!?」

59: 2021/03/13(土) 20:58:39.52 ID:B3+igovJ
エマ「まあ、とにかくね? 歩夢ちゃんも一緒に朝ごはんを食べて、色々とおしゃべりしたんだ!」

エマ「すっごくすっごく楽しかったよ~」エヘヘ

彼方「朝ごはんの時間に行ったの?」

エマ「ほら、日本は夕方だったけど、時差があるから」

しずく「そこはちゃんとしてるんですね」

せつ菜「歩夢さんって、イタリア語がしゃべれるんですか?」

エマ「ぽむ玉を食べたら、しゃべれるようになったの。コンニャクと同じ効果があるって言ってたけど……」

エマ「コンニャクって、あのプルプルしたスライムみたいなやつだよね?」

エマ「あれを食べると、外国語が話せるようになるの?」

愛「ほんやくコンニャクかあ……」

かすみ「やりたい放題じゃないですか……」

璃奈「おかしい。虹ヶ咲のドラえもん枠は、確実に私だったはず。なのに、なぜ?」

璃奈「璃奈ちゃんボード『天王寺璃奈のレゾンデートルとは?』」シュン

愛「大丈夫だよ。りなりーは十分にすごいし、仮にすごくなくても愛さんは大好きだからね」ナデナデ

かすみ「そうだよ! あんな反則アイテムと比べても意味ないから!」

彼方「そうだね。みんな璃奈ちゃんが大好きだからね~」ウンウン

彼方「次は彼方ちゃんの話を聞いて、理系の意見を聞かせておくれよ~」

60: 2021/03/13(土) 21:01:27.30 ID:B3+igovJ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

彼方「あ゛~、ダメダメ!」ブンブン

@歩夢「彼方さん、どうしたんですか!? 急に叫んだりしたら驚きますよ?」

彼方「あ~、ごめんね。歩夢ちゃん、いたんだ~」

彼方「彼方ちゃん、ちょっと寝ちゃいそうだったからさ~」フラフラ

@歩夢「よく見たら隈がすごいですよ? 少し寝た方がいいんじゃないですか?」

彼方「んー、ダメかな~。今ここで寝ちゃうと、確実に起きられないからさ~」

彼方「もうすぐ練習が始まるし、それが終わったら夕食を作ってからバイトに行って……」

彼方「あ~、せめてテスト勉強がなかったらなあ~」ア゙ー

@歩夢「テスト勉強? 彼方さんって、成績はよかったですよね?」

彼方「今度の定期テストの範囲が、ちょーっと苦手なとこなんだよ~」

彼方「まあ、さすがに赤点とかはないけど、万が一にでも特待生を取り消されたりしたら即死だからね~」

@歩夢「でもフラフラしてますし、心配ですよ! ずっと寝てないんじゃないですか?」

彼方「大丈夫だよ。まだ徹夜も4日目だからさ~」

彼方「人間って、1週間くらいなら眠らなくてもなんとかなるんだよ~」アハハー

61: 2021/03/13(土) 21:04:08.41 ID:B3+igovJ
@歩夢「もうっ、大丈夫なわけないでしょ! 本当に倒れますよ!」

歩夢「あんまり気が進まないけど、仕方ないか……」つ@@@@ ギューッ!

歩夢「ぽむ玉をギュッと搾って、出てきたぽむ汁をコップで受け止めて……」つ@@@@ ポタポタ

歩夢「はいっ、彼方さん! これを飲んでください!」つ凵 グイット!

彼方「ええーっと、これはなあに?」

歩夢「眠らなくてよくなる薬ですっ!」

彼方「そっかあ~。……彼方ちゃん、ちょっと目が覚めちゃったぜ?」

@歩夢「ひとつのぽむ玉から採れる量の薬を飲めば、一晩だけ寝なくても平気になるんです」ポンッ!

@歩夢「さあ、グイッといってください。味もそこそこ美味しいはずですから!」

彼方「まあ、歩夢ちゃんがそこまで言うなら飲もうかな……」

彼方「んー、変な臭いはしないけど……。ええいっ、女は度胸だ!」コクコク

彼方「おっ! けっこう美味しい」ゴクッゴクッ

@歩夢「どうですか?」

彼方「あっ、確かに眠気が取れてる! すごいすごい、ちゃんと効いてるよ!」オー!

@歩夢「でも、まだ少し眠そうですね。……ちゃんと4つ使ったのにな」ウーン?

彼方「あー、4日前に寝たのも3時間くらいだったし、その前も何日か徹夜してたからかも」

歩夢「もうっ、ダメじゃないですか! ほらっ、もっとガンガン飲みますよ!」つ@@@@@@@@@@ ギューッ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

62: 2021/03/13(土) 21:06:55.00 ID:B3+igovJ
彼方「本当に素晴らしく効くんだ! もうすっごいの!」キラキラ

彼方「おかげでここ3週間ずっと一睡もしてないのに、今の彼方ちゃんは元気いっぱいだぜ!」

エマ「3週間!?」ガーン!

かすみ「愛先輩のとは違う意味で、彼方先輩のもヤバそうですねぇ」

せつ菜「彼方さんの報告というか、彼方さん自体がヤバいですね!」

璃奈「理系の意見としては薬の成分が気になるけど、後輩の意見としては飲むのをやめて欲しいと思う」

彼方「えー! でも、睡眠時間が必要なくなったおかげで、他のことに時間を回せてるんだよ?」

彼方「練習もじっくりできるし、手の込んだ料理だって作れるし、テストもバッチリだったからね!」

璃奈「歩夢さんの薬だから、健康への悪影響は何もないのかもしれないけど……」

果林「それでも、やっぱり心配になるわよねえ」

しずく「確かに色々なものを削ってそうですよね」

63: 2021/03/13(土) 21:09:35.46 ID:B3+igovJ
せつ菜「コーヒーとかエナジードリンクみたいに、眠気が吹き飛ぶ感じなんですか?」

彼方「んー、そういうのとはちょーっと違うんだよね~」ンートネ

彼方「眠いときにね、一晩ぐっすり眠るとすっきりするでしょ? 当たり前だけどさ」

彼方「ぽむ薬を飲むと、一瞬でそんな感じになれるんだよ!」

せつ菜「まさに飲む睡眠といったところですね。体に影響さえなければ、私も欲しいくらいですが……」メモメモ

愛「でも、ほら、大丈夫だよ! 確かに薬は怪しいけど、歩夢のことなら信じられるでしょ?」ネッ?

エマ「愛ちゃん、自分に言い聞かせてるみたいな感じだね」

璃奈「ほら、愛さんもヤバいネタを掴まされてるから」

しずく「歩夢さんがちょっとその気になれば、私たち色々と終わりそうですね」

かすみ「もうっ、しず子ぉ! 怖いこと言わないでよ!」

果林「最後は私の番ね。私の話も、また違う意味でヤバいのよねえ……」

64: 2021/03/13(土) 21:12:14.41 ID:B3+igovJ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

@歩夢「果林さん、歩夢です。入ってもいいですか?」コンコン

果林「ええ、待ってたわ。歩夢、今日はごめんなさいね」ガチャ

@歩夢「いえいえ、私も暇だったんで。いつもお世話になってる果林さんの役に立てるなら嬉しいです」

@歩夢「あー、やっぱり散らかってますねえ。果林さんのお部屋」

果林「そうなのよ。私は特に何もしてないのに、勝手に散らかっていくの」

果林「いつもはエマが片付けてくれるんだけど、最近はあんまり来てくれなくってねえ」

@歩夢「あはは……」

果林「今日も実家にちょっと帰るって言ってたけど、大丈夫なのかしら?」

果林「最近ちょくちょく帰ってるらしいけど、スイスってちょっとで行けるようなところじゃないわよね?」

@歩夢「うーん、そうですねえ。でも、エマさんが幸せそうにしてるのは、果林さんも嬉しいでしょ?」

果林「もちろん、それはそうね。最近のエマは生き生きしてて、私も嬉しくなるわ」フフッ

果林「だけど、部屋が散らかるのは困るのよね。だから、今日は歩夢が来てくれて助かったわ」

@歩夢「はい、任せてください!」

65: 2021/03/13(土) 21:15:00.04 ID:B3+igovJ
@歩夢「果林さん、ここに散らばってる雑誌は捨てても大丈夫ですか?」

果林「私がビシッと写ってるやつは残しといてちょうだい。エマが褒めてくれそうなやつ。他はいらないわ」

@歩夢「あの、この飲みかけのペットボトルの群れはいったい……」

果林「捨てた方がいいんでしょうけど、もったいない気もするのよね。中身をまとめたりできないかしら?」

@歩夢「……こっちの隅にある冷蔵庫に入れておきますか?」

果林「ああ、それは壊れてるの。ゴミ捨て場まで持っていきたいんだけど、重たくってね」

@歩夢「…………」

果林「歩夢、どうしたの?」

@歩夢「もうこのぉ部屋は終わりだっ!」

果林「あ、歩夢?w」アセアセ

歩夢「普通に掃除しても埒が明きません。ここは不用品を徹底的に片付けましょう」つ三@ エイッ!

  ズオオオォォ >>>≫≫ @ ≪≪<<< ズズズッ

果林「……これは何?」

歩夢「ブラックホールです」

果林「ブラックホール」

67: 2021/03/13(土) 21:18:20.78 ID:B3+igovJ
@歩夢「いらないものは、この子がすべてこの世から消し去ってくれますから」ポンッ!

果林「この世から」

歩夢「さらに、これをこうすれば……」ゴソゴソ

@果林「え? 何? 何を付けたの? ……ぽむ玉!? イヤッ! 乗っ取られる!?」

歩夢「それが果林さんの思考を読み取って、いらないものかどうかを判断します」

@歩夢「いらないと判定されたものは、事象の地平面の向こうへと連れていかれるんですよ」ポンッ!

@果林「私の考えてることを読み取るだけ? 私を操ったりはしないのね?」

@歩夢「大丈夫、そんなことはしません」

@歩夢「果林さんはこれがいるのかなっていうのを、あの子が知るためだけに使われるんです」

@歩夢「あっ、でも……」

@果林「な、何!?」

@歩夢「冗談でも、自分はいらないとか思わないでくださいね。吸い込まれますから」

@果林「ええっ!? 私はいるわよ! いるに決まってるわ! 絶対にいるわっ!」

@歩夢「なら、問題ありませんね。後は見てるだけだし、おしゃべりでもしましょうか?」フフッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

69: 2021/03/13(土) 21:21:25.04 ID:B3+igovJ
果林「そのブラックホールは、10分くらい私の部屋をうろうろしてたんだけど……」

果林「部屋にあったいらないものを、ホコリひとつ残さずにすべてこの世から消してくれたわ」

エマ「だから果林ちゃん、教科書がなくなったって言ってたんだね……」

エマ「いじめにあってるんじゃないかって、すっごく心配したのに……」

璃奈「なんで教科書が吸い込まれてるの?」

しずく「教科書はいるでしょ……」

果林「ち、違うわよ! 私は教科書がいらないだなんて思ったわけじゃないの!」

果林「ただ、別になくてもいいわよねえって思ったってだけなのよ!」

彼方「それを、普通は『いらない』って言うんじゃないの?」

果林「えっと、それはそうかもしれないけど……」

エマ「果林ちゃん……」

果林「いや、でもブラックホールは本当にすごかったのよ!」アセアセ

果林「壊れた冷蔵庫を一瞬で飲み込んだところなんて、なかなかに見応えがあったんだから!」ドヤァ

愛「どうしてカリンは、この状況でドヤ顔ができるの?」

70: 2021/03/13(土) 21:24:11.21 ID:B3+igovJ
かすみ「いやいや、もっと気にしなくちゃいけないことがあるでしょ!?」

かすみ「大丈夫なんですか!? ブラックホールでしょう!?」

せつ菜「ゴミだけじゃなくて、虹ヶ咲ごと吸い込まれそうですね……」

かすみ「いくら小さくたって危ないですよ! 部屋にいていいようなもんじゃないでしょ!」

しずく「ルンバの代わりにするには、色々とあれ過ぎるよね」

愛「いや、そうとは限らないよ。すごく小さいブラックホールなら、学校を吸い込んだりはできないからさ」

愛「マイクロブラックホールとか言うんじゃなかったっけ? 勝手に消えちゃうんだよね?」ネッ?

璃奈「そうだね。マイクロブラックホールなら、学校を吸い込む前に消えちゃうよ」

しずく「消えちゃうの?」

璃奈「量子サイズの小ささだと、ホーキング放射による質量の減少が無視できなくて蒸発するの」

71: 2021/03/13(土) 21:26:56.54 ID:B3+igovJ
彼方「ブラックホールって蒸発するんだ……」

璃奈「でも、それはピコとかフェムトとかのオーダーでの話だから、人の目に見えるような大きさじゃない」

璃奈「そもそも部屋にブラックホールがあったとして、視認できるのかって問題があるけど……」

璃奈「まあ、ここではシュヴァルツシルト半径を持つ球体が見えるとするね」

璃奈「ぽむ玉くらいの大きさだと、数センチはあるでしょ? それだと……」

しずく「それだと?」

璃奈「虹ヶ咲だけじゃなくて、地球ごと吸い込まれるかな」

かすみ「やっぱりダメじゃん!」

璃奈「それに、仮にマイクロブラックホールだったとしても安全とは言えない」

璃奈「数グラムのものでも、消える過程で原爆レベルのエネルギーを周囲にばらまくから」

せつ菜「結局、どっちにしてもヤバいってわけですね」メモメモ

愛「そっかあ、やっぱりダメかあ。……くそぉ」

エマ「なんとかして、ぽむ玉は安全だってことにしようとするのやめよう?」

72: 2021/03/13(土) 21:29:36.55 ID:B3+igovJ
果林「でも、私の部屋は大丈夫だったわよ。ぽむ玉はちゃんと掃除してくれたし。なんで?」

璃奈「それは、ほら、歩夢さんが上手いことしてくれたんだよ。なんか、こうさ? 多分だけど」

かすみ「りな子の説明が、急にふわっとしちゃいましたよ!」

かすみ「さっきまでは何か難しそうなことを色々と言ってたくせに!」

璃奈「だって、分かんないんだもん」ムスッ

璃奈「科学的な知識には自信があったはずなんだけど、ぽむ玉を知ってからは分からないことばっかりだよ」

璃奈「璃奈ちゃんボード『無知の知』」

せつ菜「璃奈さんですら分からないことだらけだなんて、ぽむ玉はオーバーテクノロジーですね!」メモメモ

かすみ「ねぇ、せつ菜先輩? ずーっとメモを取ってますけど、何か分かりそうですかぁ?」

せつ菜「うーん、ぽむ玉はすごいということしか分からないですねえ」

かすみ「ですよねぇ。かすみんはぁ、やっぱり分かる人に聞かないとダメだと思うんですよぉ」

せつ菜「……分かる人ですか?」

かすみ「そうです、そうです! ほらぁ、歩夢先輩に聞きに行ってくださいよぉ?」

73: 2021/03/13(土) 21:32:45.80 ID:B3+igovJ
せつ菜「いや、それは最終手段というか……。まだ早いですよ!」

かすみ「なんでですか! 早くて悪いことなんかないでしょ!」バンッ!

かすみ「生徒会長の権力で呼び出して、ビシッと聞いてやってください!」

せつ菜「ダメですよ! 権力の濫用は許されません! とにかくダメです!」

璃奈「だけど、これ以上は本人に聞かないと何も分からないような気がするな」

璃奈「ねえ、愛さんが聞いてきてくれない? 同じ2年生だし」ネ?

愛「え? ……いや、それはちょっと。いくら、りなりーの頼みでも……」

愛「こういうのは、先輩の3年生が聞いた方がいいんじゃない? 愛さんは、そう思うよ」

せつ菜「そうですね! 礼儀正しい歩夢さんなら、長幼の序を重んじることでしょう」

せつ菜「年上の3年生の方々に聞いていただければ、きっと答えてくれるはずです!」

彼方「彼方ちゃんは気が進まないな~。素敵なお薬をもらえてるし、何も不満はないもん」

エマ「私も別に聞かなくていいかな。歩夢ちゃんのおかげで家族に会えてるだけで十分だよ」

果林「私もいいわ。吸い込まれたりすると怖いし」

しずく「果林さんの理由は、もうちょっと取り繕えませんか? 最上級生なわけですし」

74: 2021/03/13(土) 21:35:43.04 ID:B3+igovJ
果林「別にいいでしょ! 3年生だって、怖いもんは怖いのよ!」

果林「そう言うしずくちゃんこそ、聞いてみればいいんじゃない!?」

果林「優しい歩夢なら、後輩の質問には丁寧に答えてくれるはずよ!」

しずく「えー、操られたりすると怖いですしー」

果林「しずくちゃんも私と似たようなもんじゃない!」

しずく「私はいいんですよ。去年まで中学生だった1年生ですから」

1年生「2年生!」ギャーギャー

2年生「3年生!」ギャーギャー

3年生「1年生!」ギャーギャー

せつ菜「このままでは埒が明きませんね。……いいでしょう。私が聞きます」

かすみ「よっ! さすが生徒会長!」

せつ菜「ですが、歩夢さんに聞くわけではありません」

果林「歩夢に聞かないで誰に聞くのよ?」

せつ菜「ねえ、あなたは何か知っているんじゃないですか?」

せつ菜「侑さん!」

侑「……」

76: 2021/03/13(土) 21:39:09.24 ID:B3+igovJ
エマ「侑ちゃん、いたんだね」

璃奈「エマさんの台詞や話なんかでも、その存在は示唆されてたはず」

エマ「ううん、そうじゃなくてね。私が言いたいのは、この会議に参加してたんだなあってことだよ」

侑「ひどいなあ、エマさん。最初からいたでしょ? 見れば分かるじゃん」ネエ?

しずく「見えていない人たちには、しゃべらないと分からないんですよ?」

愛「そう言えば、ゆうゆはこの会議になると急に静かになるよね? 前の会議のときもさ」

侑「私は歩夢のお団子が荒ぶってるところなんて、今まで一度も見たことないからね」

侑「だから黙ってたってだけだよ?」ネ?

せつ菜「確かに侑さんから目撃情報が報告されたことはありませんが……」

せつ菜「だからといって、歩夢さんのあれやこれやの話を聞いても黙っていられるものですか?」

彼方「そもそも本当に一度も見たことないの?」

かすみ「ずっと一緒の幼馴染でしょ? 何かあるはずです!」

77: 2021/03/13(土) 21:41:52.56 ID:B3+igovJ
侑「えー、でも知らないものは知らないからなあ」ヘラヘラ

侑「あ! そう言えば、歩夢に用事があるんだった」

侑「悪いけど、私は抜けるね。会議は続けてくれて構わないから」スタスタ

かすみ「ちょーっと待ってください! 侑先輩!」ガシッ!

かすみ「怪しすぎるでしょ! 逃がしませんよ!」グイーッ!

かすみ「うぎゃっ!」ズルッ ベタンッ!

かすみ「あいたたた……、転んじゃいました。ごめんなさい、侑先輩は大丈夫で――」

エマ「きゃあああぁぁーっ!」

かすみ「な、何ですか!?」

せつ菜「か、かすみさんっ! あ、あなた、それは、何をっ!」

かすみ「うえっ!? ほ、本当に何ですか!?」

果林「かすみちゃん! その、あなたが抱えているものは何なのっ!?」

かすみ「え? ……う゛え゛っ!? う、う、腕!?」ギャー

78: 2021/03/13(土) 21:44:35.97 ID:B3+igovJ
侑「ひどいなあ、かすみちゃん。あんまり強く引っ張るから、取れちゃったじゃん」ヘラヘラ

彼方「大丈夫、侑ちゃん!? 早く止血しないと――」ダッ

彼方「って、あれ?」

愛「……血が出てない?」

しずく「運よく血管が傷つかなかったってことですか?」

璃奈「ありえないよ! 腕が肩から千切れておいて、出血がないなんて考えられない!」

侑「もー、腕が取れちゃって痛いなあ。……かすみちゃん、どうしてくれるの?」ン?

かすみ「あっ、いや、そんな……。ごめんなさい。かすみん、そんなつもりじゃ……」オロオロ

せつ菜「待ってください!」

かすみ「せつ菜しぇんぱぁい」ウルウル

せつ菜「かすみさん、大丈夫ですよ。あなたは下がっていてください」

せつ菜「侑さん……。あなた、おかしいですよ?」

侑「えー、私が責められるの? 私は被害者でしょ?」

せつ菜「そういうことを言っているわけじゃありません! 腕が千切れたのに、その様子……」

せつ菜「明らかに異常です! そもそも、あなた本当に侑さんで――」

@歩夢「せつ菜ちゃん、あんまり侑ちゃんをいじめないであげてくれるかな?」ガチャ

せつ菜「あ、歩夢さん!?」

@歩夢「侑ちゃんは、本当に何も知らないの。だからね?」

79: 2021/03/13(土) 21:47:17.10 ID:B3+igovJ
@歩夢「侑ちゃん、大丈夫? そんなに痛くないはずだけど……」

侑「あ! 歩夢ー! ちょっと驚いちゃったけど、そこまで痛くないから大丈夫だよ」

歩夢「いくらかすみちゃんが軽いとはいえ、1人分の体重がもろに腕1本にかかっちゃうとね……」ブチッ

歩夢「普通の人の体でも、脱臼くらいはしてたはずだよ」つ@ ペタペタ

@歩夢「はい、これでもう大丈夫!」ポンッ!

@歩夢「これから少しお話があるから、侑ちゃんは眠ってようね?」ナデナデ

侑「……」フラッ

@歩夢「おやすみなさい。ふふっ、可愛いなあ」ポスッ

彼方「腕が元通りに……」

しずく「でも、かすみさんが千切った腕は、あそこに転がったままですよ!?」

璃奈「ぽむ玉が新しい腕になったんだ」

81: 2021/03/13(土) 21:49:50.19 ID:B3+igovJ
@歩夢「えっと、みんなは何か聞きたいこととかあるかな?」

@歩夢「ないなら、もうお開きにしたいんだけど……」

愛「いやいや、ないわけないでしょ」

せつ菜「聞きたいことがありすぎて、何から聞くべきか迷うくらいですよ?」

彼方「まず、その侑ちゃんは何なの? 腕が千切れても平気そうだったけど……」

@歩夢「……この侑ちゃんは、ぽむ玉から生まれたんです」

@歩夢「ほら、髪の毛って切れても痛くないでしょ? だから、侑ちゃんも平気みたいで」

しずく「そこに落ちてる腕も、ぽむ玉からできてるんですか?」

@歩夢「あっ、そうだね。いつまでも、あのままにはしておけないよね。……えいっ!」

  💪 → グニグニ(((💪)))ウニョウニョ → ウネウネ(((@)))ウニウニ → 三@ ピョーン

エマ「腕が、ぽむ玉に……」

@歩夢@「じゃーん! ダブルぽむ玉だよ! 似合うかな?」エヘヘ

全員「…………」

@歩夢「似合ってなかった?」シュン

82: 2021/03/13(土) 21:52:35.10 ID:B3+igovJ
  腕 → グニグニ(((腕)))ウニョウニョ → ウネウネ(((@)))ウニウニ → 三@ ピョーン

腕の絵文字の出し方が分からないのでこれでお願いします
重ね重ねすみません

83: 2021/03/13(土) 21:56:26.00 ID:B3+igovJ
果林「それで、どうしてぽむ玉から生まれた侑が会議に来てるのよ!?」

@歩夢「ごめんなさい。みんながどんな話をしてるのか、私も気になっちゃって……」

@歩夢「ほら、ぽむ玉の話って、私の話みたいなものだし……」

@歩夢「でも、やっぱりよくなかったですよね。盗み聞きなんかして、ごめんなさい」ペコッ

しずく「この会議のこと、歩夢さんに知られてたんですね……」

かすみ「盗み聞きって、歩夢先輩はずっとドアのすぐ外にいたってことですか?」

璃奈「恐らく違うと思う。きっと、侑さん越しに聞いてたんだよ」

愛「だろうね。このゆうゆは、そのために作った盗聴器みたいなもんってことかー」

彼方「偽物の侑ちゃんをスパイとして送り込んでたんだね~。まったく気づかなかったぜ」

@歩夢「璃奈ちゃんの言うことはその通りだけど、愛ちゃんと彼方さんには反論したいな」

@歩夢「まず、この侑ちゃんを偽物って呼ぶのはやめてくれます?」

せつ菜「ですが、その侑さんは歩夢さんがぽむ玉から作ったんですよね?」

@歩夢「それはそうだけど、だからって偽物だなんて言うのはどうなの?」

@歩夢「だって、みんなはぽむ玉から生まれた侑ちゃんにしか会ったことないよね? なのに……」

せつ菜「……は?」ゾワッ

84: 2021/03/13(土) 21:59:07.22 ID:B3+igovJ
@歩夢「みんなが仲良くしてる侑ちゃんは、最初からずっとこの侑ちゃんなんだから……」

@歩夢「だから、偽物だなんて呼んだらこの子が可哀想だよ」プンプン

せつ菜「待って! 待ってください! ……え? 最初から、ずっと?」

@歩夢「そうだよ? この中で最初に侑ちゃんに会ったのは、璃奈ちゃんと愛ちゃんだったかな」

@歩夢「せつ菜ちゃんというか菜々ちゃんも同じ日だったよね?」

@歩夢「まあ、どっちにしても、そのときにはもう――」

かすみ「嘘です! そんなの嘘ですっ!」

@歩夢「ホントだよ? 嘘なんてついてない。そもそも、なんで嘘だって思うの?」

@歩夢「さっき腕が千切れる前の侑ちゃんを、かすみちゃんは普段と違うって少しでも思ったかな?」

かすみ「そ、それは……」

彼方「つまり本物の侑ちゃんは、ずっと前にもう……」コソコソ

璃奈「うん、多分。初めから高咲侑なんて人はって可能性もあるけど、口ぶりからすると……」ヒソヒソ

かすみ「あ! でも、普段は明るい侑先輩が、この会議になると全然しゃべらないのは変でしょ?」

かすみ「だから、やっぱり――」

@歩夢「侑ちゃんには、ぽむ玉を変だって思わないようにしてもらってるの」

@歩夢「だって、自分がぽむ玉からできてるのに、そこを気にされると困るでしょ?」ネ?

86: 2021/03/13(土) 22:01:50.54 ID:B3+igovJ
@歩夢「みんなにもそうしてもらうべきだったんだけど、ぽむ玉に驚いてるのを見るのが面白くって……」

@歩夢「それで、つい……。それに、洗脳みたいなことは、できればしたくなかったから……」

@歩夢「ごめんなさい、すべきことをしなかった私のミスです」ペコッ

@歩夢「だから、これからはちゃんとそうしてもらうね?」

エマ「え? どういうことなの?」

歩夢「こういうことですよ」つ三@ ピュッ!

@エマ「あっ! ……あっ……あっ……あぁ~」(´;ω;`)ビクンビクン

@エマ「…………」

果林「エマ!?」

果林「歩夢っ! あなた、何を!」

@歩夢「大丈夫ですよ。まったく痛くない――」ポンッ!

歩夢「ことはないかもしれないけど、すぐに何も感じなくなりますから」つ三@ ピュッ!

@果林「あっ! ……あっ……あっ……あぁ~」(´;ω;`)ビクンビクン

@果林「…………」

88: 2021/03/13(土) 22:04:31.81 ID:B3+igovJ
@歩夢「ふふっ、あの子を思い出すなあ」ポンッ!

彼方「歩夢ちゃん! 2人はどうなっちゃったの!?」

@歩夢「10分もすれば、問題なく目を覚まします。何も心配はいりません」

@歩夢「ただ、侑ちゃんの腕が千切れちゃったあたりからの記憶だけは消して……」

@歩夢「それと、今後は何かあってもぽむ玉に違和感を覚えないようにしてもらいます。それだけですから」

かすみ「ちょっと待ってください! そんな操られるみたいなのはイヤです!」

しずく「そうですよ! 別に、歩夢さんの秘密を公表したりはしませんよ?」

璃奈「ぽむ玉の原理は気になるけど、歩夢さんの不利益になることをするつもりはない」

歩夢「……ごめんね」つ三@@@@ ピュッ!

愛「りなりー!」グイッ!

@かな@あい@しず@かす「あっ! ……あっ……あっ……あぁ~」(´;ω;`)ビクンビクン

@かな@あい@しず@かす「…………」

歩夢「あれ? 愛ちゃんに当たっちゃったの?」

@歩夢「まあ、別にいいか」ポンッ!

89: 2021/03/13(土) 22:07:26.41 ID:B3+igovJ
せつ菜「……歩夢さん、どうしてそんなことをしたんですか?」

@歩夢「え? だから、ぽむ玉のことであんまり目立ちたくないし、みんなが変だって思わないように――」

せつ菜「違います! そういうことではなく、ぽむ玉の力をなぜ頻繁に行使していたのかということです!」

せつ菜「私たちが驚いているのが面白かったと言っていましたが……」

せつ菜「面白半分でそんなことをする人には見えませんし、力に溺れるタイプだとも思えません!」

せつ菜「私たちを洗脳したくなかったというのは本音でしょうが、だったら初めから何もしなければ……」

@歩夢「……私にはね、絶対にしたいことがあるんだ。絶対にしなきゃいけないことが」

@歩夢「でも今の私にはできないから、ぽむ玉を鍛えたいの。色々なことに使って、可能性を探りたいんだ」

せつ菜「……ぽむ玉にも、できないことがあるんですね」

@歩夢「火星にも行けるしスクールアイドルの神様にも会えるけど、全能ってわけじゃないから……」

璃奈「それで、色々と私たちを手伝ってくれてたんだね」

@歩夢「ごめんね、実験台みたいにしちゃって。せめて、もう少し隠そうとするべきだった」

@歩夢「どうせ何かあっても記憶を消せばいいやって、簡単に考えちゃってたのかな……」シュン

90: 2021/03/13(土) 22:10:25.59 ID:B3+igovJ
せつ菜「そういうことでしたら、私たちは協力し合えるはずです!」

せつ菜「洗脳する必要なんて、何もありませんよ!」

@歩夢「でも、私の力がバレたら、大変なことにならないかな? 捕まっちゃったりしない?」

@歩夢「みんなが言いふらすと思ってるわけじゃないんだよ? だけど、ついうっかりってあるし……」

璃奈「大丈夫だよ。そんなことにはならないから」

@歩夢「そうかな? 研究所とかに送られて、ずっと実験されるんじゃ……」

璃奈「バレたところで、歩夢さんをどうこうできる人がいるとは思えないけど……」

せつ菜「分かりませんよ! 非公開の特務機関に狙われるかもしれません! 秘密組織です!」ペカー

せつ菜「組織に所属するエージェントは、対能力者のスペシャリストですからね!」ペカー

せつ菜「いくら歩夢さんでも、油断はできませんよ!」ペカー

@歩夢「や、やっぱり……」ブルブル

璃奈「いやいや、そんな組織ないから。アニメじゃないんだし」

せつ菜「でも、歩夢さんのぽむ玉はアニメみたいでしょう?」

璃奈「それはそうだけど……」

せつ菜「ほら! やっぱりです!」ペカー

璃奈「いや、ちょっと待って? なんで、せつ菜さんはそっち側なの?」

91: 2021/03/13(土) 22:13:05.32 ID:B3+igovJ
璃奈「まあ、歩夢さんがそんなに心配なら、何か私たちに枷をかけたら?」

璃奈「ぽむ玉を使っちゃうのは同じだけど、洗脳するよりはマシでしょ?」

せつ菜「なるほど! うっかり口を滑らせそうになったら、頭がパーンとなるわけですね?」

璃奈「頭がパーンはイヤかな」

@歩夢「えっと、うっかりしちゃいそうになったら、しゃべれなくなるみたいな感じかな?」

璃奈「そう、それで安心でしょ?」

せつ菜「相手は記憶を読む能力者かもしれませんよ? パーンしなくて大丈夫ですか?」

璃奈「うん、せつ菜さんはちょっと黙って?」

@歩夢「確かに、それがいいかも。やっぱり、洗脳なんてしたくないし……」

@歩夢「って、みんなにあんなことしちゃった私が言ってもあれだけどね」シュン

璃奈「ううん、そんなことないよ。歩夢さんが思いとどまってくれて、嬉しい」

歩夢「ありがとう。……じゃあ、そういうふうに変えるね」つ三@@@@@@ エイッ!

@エマ@かり@かな@あい@しず@かす「あっ! ……あっ……あぁ~」(´;ω;`)ビクッビクッ

璃奈「……この顔は、なんていうか、あれだね」

歩夢「うん、とっても素敵だよね。すっごく可愛い」ウットリ❤︎

璃奈「え?」

@歩夢「ん?」ポンッ!

93: 2021/03/13(土) 22:16:17.78 ID:B3+igovJ
@歩夢「ぽむ玉を鍛えるためにやってるっていうのは嘘じゃないけど……」

@歩夢「この顔が見たいっていう気持ちも、嘘じゃないんだ」

@歩夢「ほら、『どんなときでも、楽しむことが大事だ』って、せつ菜ちゃんも言ってたでしょ?」ネ?

歩夢「……じゃあ、次は2人の番だね❤︎」つ@@

せつ菜「あれ? これ、普通に力に溺れてるパターンですか? 見誤りました?」

歩夢「そんなことないよ。ただ、趣味と実益を兼ねてるってだけ」つ@@

歩夢「ちゃんと、さっき言った通りにするから。洗脳なんてしないよ」つ@@ ズイッ!

璃奈「こわい」

歩夢「大丈夫、大丈夫だよ。2人とも、可愛い顔を見せてね」つ三@@ エイッ!

@せつ菜「あっ! ……あっ……あぁ~」(´;ω;`)ビクッビクッ

@璃奈「あっ! ……あっ……あぁ~」(´;ω;`)ビクッビクッ

@エマ@かり@かな@あい@しず@かす@せつ@りな「……あっ……あっ……」ポムッポムッ

@歩夢「ふふっ、可愛いなあ。みんな、ぽむ玉つけて可愛いなあ」ポンッ!

@歩夢「可愛いなぁ、可愛いなぁ……。とーっても可愛いなぁ……」

@歩夢「これからは、みーんな可愛い」

@歩夢「私のあの子」

94: 2021/03/13(土) 22:17:15.25 ID:B3+igovJ
終わりです

96: 2021/03/13(土) 22:25:08.42 ID:y/HN6XM5
乙です
ぽむ玉がヤバいのか歩夢がヤバイのか

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1615631262/

タイトルとURLをコピーしました