【SS】花丸「オラはハッカー2」【ラブライブ!サンシャイン!!】

まる SS


【SS】花丸「オラはハッカー」【ラブライブ!サンシャイン!!】
■約15000文字■ 2018/01/07(日) 16:34:34.10 ID:lGqc2NB1 花丸「未来ずらー」 善子「何言ってんのよ。簡単じゃない」 ルビィ「花丸ちゃん、情報処理の授業苦手だもんね...」 善子「エクセル、ワードは現代社会で必須よ。ほら、教えてあげるから」 花丸「ありがとう、善子ちゃん」 善子「ヨハネ!」 --- -- - 花丸「」カタカタッターン 花丸「...データ抜き取り、成功ずら」
4: 2018/01/12(金) 22:25:07.89 ID:3MPNJ1mI
花丸「未来ずら〜」

善子「ふふん。パワポを使えば発表資料なんてちょこざいよ」

ルビィ「すごい!アニメーションもついてる!」

花丸「オラも資料を可愛く飾りづけしたい」

善子「白背景に文字だけ?全くパワポ初心者はこれだから。ほら、貸しなさい」

花丸「ありがとう、善子ちゃん」

善子「ヨハネ!」


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花丸「...」 カタカタッターン

花丸「データ改ざん、成功ずら」

6: 2018/01/12(金) 22:26:11.61 ID:3MPNJ1mI
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医師「残念ですが」

女「嘘でしょう?こんなに暖かいのに...?」

医師「手は尽くしたのですが、脳死の判定が」

女「あぁ...そんな...果南」

果南「」

医師「...」

7: 2018/01/12(金) 22:26:42.01 ID:3MPNJ1mI
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ザワザワ...

花丸「10時から全校集会だってさ」

善子「気が滅入るわね」

ルビィ「きっと、あの事だろうね...」

花丸「ルビィちゃん、知ってる子なんでしょ?」

ルビィ「うん...お姉ちゃんとすごく仲がよかった」

ルビィ「いつも明るくて...元気いっぱいで」

ルビィ「最近会わなかったけど、ルビィにも優しくて」

ルビィ「うっ...花丸ちゃぁ...」

花丸「泣かないで。ルビィちゃん」 ヨシヨシ

善子「...気が滅入るわね」

8: 2018/01/12(金) 22:27:16.08 ID:3MPNJ1mI
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グズ... グズ....

花丸(三年生の方からすすり泣きが。無理ないか)

鞠莉「おはようございます」

鞠莉「今日は緊急の全校集会、申し訳ありませんでした」

鞠莉「お話するのは...もう、何人かはご存知かもしれませんが」

鞠莉「私たちの学友の...松浦、果南さんが...う、うぅ...」

鞠莉「昨晩...脳死の連絡が...松浦さんの親御さんから」

鞠莉「彼女は本当に活発な女の子で...」

鞠莉「一週間前のあの日も...元気に登校して...う、果南...うわぁあん」

花丸「...」

9: 2018/01/12(金) 22:27:54.66 ID:3MPNJ1mI
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花丸「もすもす」 モグモグ

梨子『こんばんは。のっぽパン?』

花丸「うん」 モグモグ

梨子「太るよ?」

花丸「梨子ちゃんと違って、オラは絶賛育ち盛りずら」

花丸「で?どうしたの?」

梨子『なんとなく。電話したくなっちゃった』

花丸「ふーん...」

10: 2018/01/12(金) 22:29:04.75 ID:3MPNJ1mI
花丸「残念だけど、今日さ、なんかモヤモヤしちゃって」

花丸「パフォーマンスが出ないと思う」

花丸「できれば警察の案件、やりたくないな」

梨子『...そっか。わかった』

梨子『かくいう私も、同じよ』

梨子『公務とはいえ、今日の理事長室の盗聴は早々に切り上げたわ』

梨子『ずっと泣いてるだけだし...』

花丸「あぁ」

梨子『理事長ファンの私には辛いもの』

花丸「...なんだ、それ」

11: 2018/01/12(金) 22:29:34.20 ID:3MPNJ1mI
花丸「...梨子ちゃんは、松浦さん、知ってた?」

梨子『知らない』

花丸「だよね。学年違うし。オラも知らなかったずら」

花丸「松浦さん、体育の途中で倒れたんでしょ?」

梨子『えぇ。でも、元気が取り柄みたいな子、だったのは本当みたい』

梨子『クラスの彼女と幼馴染の子が言ってた』

花丸「ルビィちゃんも言ってたずら」

梨子『今日の集会は、事故を予想するのは困難だった、っていう弁明ね』

花丸「SNSやマスコミへ漏らすのも慎め、という意図もあったと思う」

花丸「こんなローカルのニュース、関心を持つのいないけどね」

梨子『これ以上のリスクは回避したいのよ...きっと』

12: 2018/01/12(金) 22:30:16.23 ID:3MPNJ1mI
梨子『理事長も可哀想に。同級生の脳死で辛いはずなのに』

梨子『危機管理の怠慢を親御さんやPTAに詰められるよ。きっと』

花丸「廃校に、友人の事故に、PTAの晒し上げ」

梨子『彼女、お祓いに行った方がいいかも』

花丸「神頼み?そんなもん、何にもならんずら」

梨子『仏に頼んだ方がよかった?』

花丸「ふん。本当に問題を解決したいんだったら...」




ピロロン

花丸「あ、なんか依頼きた。待ってて...」

梨子『うん』

13: 2018/01/12(金) 22:30:55.63 ID:3MPNJ1mI
花丸「...ただいま」

花丸「梨子ちゃん、すごい急なんだけどさ」

梨子『うん?』

花丸「松浦さんが入院してるのって、藤浪総合病院であってる?」

梨子『えぇっと。確か、最初は学校に近い高山大学病院に運ばれたはずだけど...』

梨子『入院先はそっちだったはず。理事長室の盗聴器から、そんな名前が聞こえた』

梨子『どうして?』

花丸「...どうやら理事長は、頼むべき相手を知ってるみたいずら」

14: 2018/01/12(金) 22:31:47.67 ID:3MPNJ1mI
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カランカラン

店員「いらっしゃいませ、1名様ですか?」

鞠莉「いえ、待ち合わせで...ヨハネです」

店員「ヨハネ様ですね。はい、こちらへどうぞ」

鞠莉(...ハッカーとの顔合わせ)

鞠莉(どんな人でも怯えちゃだめ。大丈夫、私なら出来る...)

店員「こちらの一番奥の席ですね。どうぞ」


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花丸「パフェうまいずらー」

鞠莉「...」


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15: 2018/01/12(金) 22:32:28.35 ID:3MPNJ1mI
鞠莉「まさか、浦女の生徒だなんて。サプラーイズでーす」

花丸「あ、そういうのいいんで」 モグモグ

鞠莉「ご、ごめんなさい」

花丸「...」 モグモグ

鞠莉「...」 シュン

花丸「...オラも理事長に情報屋と繋がりがあったの、驚いてるずら」

鞠莉「...メッセンジャーとは留学先のラーメン屋でね」

鞠莉「お話ししたら意気投合して、連絡先を交換したの」

鞠莉「困ったことがあったらコールしてくれって」

花丸「ふーん」 モグモグ

花丸(偶然を装って小原とコネクションを取ろうとしたんだろうなぁ)

16: 2018/01/12(金) 22:33:06.69 ID:3MPNJ1mI
鞠莉「で、今回の件で相談したら」

鞠莉「オススメの日本のハッカーがいるって」

花丸「...それがオラだったってわけね」

鞠莉「彼、言っていたわ。最近あなたが警察と組んで事件を解決したって」

鞠莉「私の依頼も、警察の力が必要になるから、あなたが最適だと」

花丸「あー...理解したずら」

花丸(やっぱり警察に手を貸したの、情報屋にはバレてるずらか...)

17: 2018/01/12(金) 22:33:53.92 ID:3MPNJ1mI
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花丸「うん。依頼には十分な貯金ずら」

花丸「でも、これってお父さんの...?」

鞠莉「いえ。自分で稼いだもの。仮想通貨取引でね」

鞠莉「最初のマネーこそ、親に出してもらったけど、1000倍まで育てたのは私」

鞠莉「ちゃんと親にはタックス付きで借金返済済みよ」

花丸「義理堅いずら」

鞠莉「手堅く日本円に換金しているのは、これっぽっちだけだけど」

鞠莉「株や仮想通貨、海外の口座を合わせれば、資産プラス20億ってとこかしら」

花丸「ファー」

花丸(個人資産で30億越え。オラの生活スタイルなら7転生ぶん遊んで暮らせるずら)

19: 2018/01/12(金) 22:35:24.03 ID:3MPNJ1mI
鞠莉「でも...このマネー。私が豪遊するために作ったマネーじゃ無いのよ?」

鞠莉「知ってるかもしれないけど...」

鞠莉「今、浦女は一個大きな問題を抱えているの」

花丸「廃校の事?」

鞠莉「あはは。やっぱりユー、ノーイング」

鞠莉「...私は、このお金を使って守るつもりだったの。浦の星女学院を」

鞠莉「でも、全然足りない。相手にされない。親の金だろうって」

鞠莉「悔しいよ...」 グッ

花丸「...」

鞠莉「ねぇ、国木田さん」

鞠莉「...あなたも私が親のお金を貪ってるだけの、おバカなスポイルガールに見えてた?」

花丸「うぐ...」

鞠莉「ふふ、いいの。ホテルの娘って、パリスちゃんみたいに思われる、さがだから」

花丸「...認識を改めるずら」

鞠莉「そうしてくれたら、マリー嬉しいな」 ニコッ

花丸「」ドキッ

20: 2018/01/12(金) 22:36:05.99 ID:3MPNJ1mI
---

花丸「...で、依頼の事なんだけど、気になっている部分があるずら」

鞠莉「何でも聞いて?」

花丸「うん。まぁ、一点だけなんだけど。きっかけ、だよね」

花丸「何で急に松浦さんの病院を探ってほしいと思ったのかなって」

鞠莉「...私、プライベートでも果南と仲がよかったの」

鞠莉「ここ一週間は公務ってことで」

鞠莉「学校サボって果南のお見舞いに行ってるぐらいにね☆」

花丸「バッドガールずら」

鞠莉「お互い様でしょ?」

21: 2018/01/12(金) 22:36:55.37 ID:3MPNJ1mI
鞠莉「...果南さ。今にも目をさますんじゃないかってぐらい綺麗なの」

鞠莉「脳死って聞いて、本当に信じられなかった」

鞠莉「そんな折よ...一通のメールが届いたの」

花丸「メール?」

鞠莉「えぇ。待ってね...これよ」 ッス

花丸「差出人不明。件名なし。本文は...」



花丸「『松浦果南は脳死ではない。藤浪総合病院の裏を探れ。まだ助けられる』...?」

22: 2018/01/12(金) 22:37:35.40 ID:3MPNJ1mI
鞠莉「理事長宛てのメールとして届いてきたの」

花丸「警察には?」

鞠莉「もちろん見せたわ。でも...悪戯だって」

花丸「...そっか。そうなるよね」

鞠莉「果南のご父兄にも連絡したけど、彼らにもメールは届いてて」

花丸「同じ文言で?」

鞠莉「そう言ってたわ」

鞠莉「でも、こんなメールで決心を惑わせないでくれ、って怒鳴られちゃった」

花丸「決心って...」

鞠莉「延命装置を切る事だと...思うわ」

花丸「だとしたら、あまり、時間がなさそうだね」

鞠莉「えぇ。だから、病院にも直接電話したけど...相手にされなかった」

花丸「ふむ...」

23: 2018/01/12(金) 22:38:05.98 ID:3MPNJ1mI
花丸「って、え?理事長、病院に電話したの?」

鞠莉「え?えぇ、したわ。もう一度診断し直してって」

花丸「...う、うぅーん」

鞠莉「まずかった、かしら...」

花丸「うん」

24: 2018/01/12(金) 22:38:50.06 ID:3MPNJ1mI
花丸「...このメールが悪戯じゃないと仮定して...」

花丸「メールの送り主は、態々インスタントメアドを取得して」

花丸「自分の素性がバレないように、こっそり病院の闇を暴いて欲しい、と連絡した訳だよ」

花丸「それなのに、病院に正面から不正を騒ぎ立てるって...どう思う?」

鞠莉「あ...」

花丸「まだ親ならわかるずら。娘の死を受け入れられないんだなって」

花丸「でも、理事長と松浦さんの関係性は、あくまでも学生とその学校の理事長」

花丸「不正を働いてる病院の人が聞いたら、警戒すると思わない?」

鞠莉「あ、あぁ...本当、私って馬鹿...うぅ」

鞠莉「いつもこうなの。何にも上手に行かない...私はただ果南を...」

鞠莉「果南を助けたいだけなのに...うぅ...うわぁぁん」


花丸(やってしまったずらー)

25: 2018/01/12(金) 22:39:27.36 ID:3MPNJ1mI
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花丸「落ち着いた?」

鞠莉「ごめんなさい。最近泣き慣れてて」

花丸「嫌な慣れずらねぇ」

鞠莉「それで、国木田さんは...この依頼、うけてくれる?」

花丸「うーん。清く快諾って訳にはいかないずら」

鞠莉「そう...」

花丸「うん。病院って結構セキュリティ強くて...」

花丸「ハッキングで医療器具が動かなくなりました。なんてことがあったらまずいからね」

花丸「たまに保険会社から病死の裏どりの依頼されるけど、骨が折れるずら」

鞠莉「へー...」

花丸「つまるとこ、このメールだけでは」

花丸「いくらお金を積まれても、オラのリスクに合わない」

鞠莉「!」

26: 2018/01/12(金) 22:40:03.26 ID:3MPNJ1mI
鞠莉「...だよね。このメールも悪戯かもしれないし...」

鞠莉「ありがとう。話を聞いてくれただけでも心が軽くなった」 ニコッ

鞠莉「...お会計してくるね」 ッス

花丸「待つずら」

鞠莉「?」

花丸「確かにオラには、お断り案件だけど」

花丸「理事長には、実はもうワンチャンス、オラに依頼できる可能性があるずら」

鞠莉「え...?」

花丸「」 ッピ

鞠莉(トランシーバー?...)

花丸「...どうする?理事長ファン1号?」

27: 2018/01/12(金) 22:40:47.23 ID:3MPNJ1mI
トランシーバー『どうする?って、なーに、カッコつけてるの』

鞠莉「!」

トランシーバー『理事長を泣かした罰。協力しなきゃ逮捕ね。通信アウト』

花丸「...やれやれ。協力しないと、オラ、逮捕されちゃうってさ」

28: 2018/01/12(金) 22:41:17.85 ID:3MPNJ1mI
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ブロロロ...ブーン....

花丸「で、何で公安オッケー出たの?」

梨子「...花丸ちゃんとの電話終わった後、藤浪に関わる口座を洗ったんだけど」

梨子「ちょっと気になる金の動きを見つけたのよ」

花丸「できる上司はスピード感が違うずら」

梨子「ふふ。私が情で捜査決定したと思った?」 ニコッ

花丸「まっさか。鬼悪魔梨子っぴー軍曹がそんな、そんな」 ニコッ

梨子「おろすよ」

花丸「ごめんずら」

29: 2018/01/12(金) 22:41:53.88 ID:3MPNJ1mI
花丸「でもさ、医者なんて裏金がグルグルしてなんぼなとこあるし」

花丸「大したもの出ないと思うずら」

梨子「そうね。それならそれでいいんだけど...」 ゴソゴソ

梨子「これ見て」 ピラッ

花丸「写真?...ただの白いトラックずら」

梨子「えぇ。藤浪総合病院付近のNシステムが捉えたトラックなんだけれど」

梨子「この車がNシステムに引っかかった3日後に必ず振り込まれている金があるの」

梨子「それも、数千万単位で」

花丸「こういう因果関係調べるの得意だよね。おたく」

梨子「...何が運ばれてると思う?」

花丸「臨床実験データの紙媒体...とはいかないかな。冷蔵コンテナだし」

花丸「臓器...多分ね」

梨子「私もそう思う」

30: 2018/01/12(金) 22:42:31.14 ID:3MPNJ1mI
花丸「じゃあ、強制踏み込みしようずら」

梨子「そうもいかないのよ。あそこ、立地が悪いでしょ?」

梨子「マスコミが来にくいから、衆議院の休養施設として人気なの」

花丸「はぁ...ここで政治家が絡んでくるずらか...」

梨子「痛いところよね。急に動きづらくなる」

梨子「だから、調べるとしても内部の決定的な証拠が必要なの」

梨子「よろしくね、花丸ちゃん」 ニコッ

花丸「はぁ、明日もずる休みか...」

花丸「オラも公務で学校が休めたらなぁ」

31: 2018/01/12(金) 22:43:08.42 ID:3MPNJ1mI
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花丸「自分の部屋と、図書室の次ぐらいに、ここが好きずら」

梨子「偽装トラックが?」

花丸「ハッカーにとってこんなに恵まれた場所もなかなかないよ」

梨子「ふーん。PCがブンブン煩くて、辛気臭いのに」

花丸「このロマンがわからんとは、遅れてるずら」

梨子「...で、手に持ってる大量のお菓子は?」

花丸「今さっき、家から持ってきたずら」

花丸「どうせ、残業させるんでしょ?」

梨子「よくわかってるじゃない。ルマンド頂戴」

花丸「やーだね」

32: 2018/01/12(金) 22:43:53.26 ID:3MPNJ1mI
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梨子「で、ハックフローは?」 モグモグ

花丸「藤浪のWebサイトをハッキングして、院内のVPN探しから」 モグモグ

花丸「ポータルがあるはずだから、そこから潰すずら」 モグモグ

梨子「いいと思う」 モグモグ

花丸「警察が踏み込むためには何がいる?」

梨子「そうね...手術ログと、外科にかかった患者データ。あと院内死亡患者も」

花丸「結構重いのを軽々と並べられた」

梨子「やめる...?」

花丸「誰に言ってるずら?理事長泣かせた分は働いてやるずら」

梨子「だよね」 ニコッ

33: 2018/01/12(金) 22:44:35.36 ID:3MPNJ1mI
花丸「そっちは何を?」

梨子「積荷の終着地点と、金の出所を追うわ。あと踏み込めれるように書類まとめとく」

梨子「取得したデータは全部流して。逐一レポートしていく」

花丸「なるほど。任せるずら」

梨子「じゃ、徹夜になると思うけど、頑張りましょ」 ッス

花丸「ずら」 ッス

パシンッ

34: 2018/01/12(金) 22:45:18.50 ID:3MPNJ1mI
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花丸「...梨子ちゃん。ヤバいものを見つけたずら」

梨子「ん?ヤバいものだらけで、今更だけど。どうしたの?」

花丸「今、藤浪の薬剤保管庫のデータに潜ってるんだけど」

花丸「...BIA10-2474って薬、覚えてる?」

梨子「えぇっと、確かフランスでの臨床実験時に死亡事故の起きた...」

花丸「惜しいずら。脳死事故が起きた経口薬ずら」

梨子「!」

35: 2018/01/12(金) 22:46:06.29 ID:3MPNJ1mI
花丸「元々は脳神経の一部を阻害して、苦痛を和らげる薬だったんだけど」

花丸「副作用で、神経に必要なタンパク質、脂質も破壊しちゃって」

花丸「結果として、大脳を損傷させたとんでもない失敗作ずら」

梨子「詳しいのね」

花丸「この事故後から、製薬会社へのハッキング依頼が急増してね」

梨子「で、藤浪にその危険な薬が沢山あったと?」

花丸「いや、この改悪版のBIA10-2474Xなるものが」

花丸「病院内部で開発されて、大量に保管されてた」

梨子「え?」

37: 2018/01/12(金) 22:47:02.90 ID:3MPNJ1mI
花丸「研究レポートを見るに」

花丸「このBIA10-2474Xはオリジナルの副作用を本作用として昇格させた」

花丸「脳みそ絶対破壊マンって感じの薬ずら」

梨子「...臓器の摘出は時間の経った死体からはできない」

梨子「この薬は臓器を新鮮に保ったまま人を〇せる...」

花丸「そう。臓器コーディネーター生唾ものの薬ずら」

梨子「ご丁寧に経口薬から注射剤になってるし、確信犯ね」

梨子「これを患者に打っていたデータは?」

花丸「脳死と診断された人の日付と、この薬の在庫数が一致してた」

38: 2018/01/12(金) 22:48:08.73 ID:3MPNJ1mI
花丸「梨子ちゃん。検挙としては、臓器摘出のデータが欲しいところだけど」

花丸「劇薬の不正生成、保存、使用で、警察を先に動かせないかな?」

梨子「どうしたの、急に?」

梨子「こんな薬があったのなら、臓器摘出の記録も割れそうじゃない」

花丸「うん...だけど、私たちにはタイムリミットがあったんだ」




花丸「1時間後...松浦さん、この薬を打たれるかもしれない」

梨子「はい?」

39: 2018/01/12(金) 22:49:44.30 ID:3MPNJ1mI
---

梨子「はい。資料はお送りした通り。至急現場へ向かってください。では」 ガチャッ

花丸「...どう?」

梨子「大丈夫。警察は動いた」

梨子「10分あれば警察が到着するわ」

花丸「焦らす結果になって申し訳なかったずら」

梨子「花丸ちゃんのせいじゃないわ」

梨子「むしろここまできて、松浦さんにあの劇物が刺されてたかと思うと...」

花丸「オラも在庫の数が減る瞬間を盗聴できたのはラッキーだったずら」

花丸「ま、そこから手術室の予約管理サーバーにアクセスして」

花丸「松浦さんの名前を見たときはぞっとしたけどね」

40: 2018/01/12(金) 22:50:20.83 ID:3MPNJ1mI
梨子「...でもさ、松浦さんって脳死の診断されてたよね?」

花丸「うん。だけど、松浦さんが入院してから使われた形跡はなかったずら」

梨子「誰かが、松浦さんのカルテを偽装してたってこと?」

花丸「先に脳死にしておくことで、BIA10-2474Xが打たれない用にしてたんだと思うよ」

梨子「ふーむ...つまり、その偽装をした医師が」

花丸「メールをよこした内部告発者ずら」

41: 2018/01/12(金) 22:50:55.59 ID:3MPNJ1mI
花丸「でも、偽装としてはお粗末すぎ」

花丸「在庫のログも改ざんしてないし、脳波の記録だって改ざんが不自然」

梨子「素人だったわけだ」

花丸「うん」

花丸「単純に悪事の内容をメールに書けばいいものを」

花丸「わざわざ怪文テイストに送ってきてた時点で、三流だと察してたけどね」

梨子「それもそうね」

梨子「ただ...不器用なりに彼が出来る事で、松浦さんを助けようとしたの」

梨子「なんだか、分かる気がするわ」

42: 2018/01/12(金) 22:51:43.04 ID:3MPNJ1mI
---

花丸「ハラハラしたら、眠気吹っ飛んだずら」

梨子「私も。何百人もの脳死になった人のレポートを見て...」

花丸「なんか家からお茶でも持ってくる?」

梨子「いや、いいわ。戻ったら学校サボったことバレるんじゃ?」

花丸「確かに。じゃあ、テレビつけていい?」

梨子「そうね。気分転換に。面白いのでお願い」

花丸「平日のお昼のテレビは、ズル休みの特権ずら〜」 ッピ

テレビ『...速報です。先ほど、静岡、県道334号線で起きた両線に跨る事故で...』

45: 2018/01/12(金) 22:59:45.37 ID:3MPNJ1mI
梨子「ん?」

テレビ『...この事故は、トラック、バスを含む...』

花丸「うわぁ...すごい事になってるなぁ」

46: 2018/01/12(金) 23:00:43.61 ID:3MPNJ1mI
梨子「...まずいわ」

花丸「え?」

梨子「...!」

花丸「どうしたずら?」

梨子「もしもし!はい、先ほど連絡した桜内です!到着の件ですが!え、えぇ!」

花丸「...」

梨子「はい。はい。わかりました。失礼します」 ツーツーツー

梨子「まずいわ。花丸ちゃん」



梨子「このテレビの事故で、警察の到着まで45分以上かかる」

47: 2018/01/12(金) 23:01:23.51 ID:3MPNJ1mI
梨子「至急、病院システムにアクセス!院内のカメラをモニターに!」

花丸「了解!」 カタカタカタ...

梨子「...」 カタカタカタッターン

梨子「緊急通信。こちら桜内、装備Sで静岡藤浪総合病院へ。4人でいい。20分でいける?」

スピーカー『ネガティブ。30分かかる』

梨子「わかった。時間はこっちで稼ぐ。急いで。病院についたら誘導する」

梨子「送る資料は機内で目を通して」

スピーカー『ラジャー。通信アウト』

48: 2018/01/12(金) 23:01:52.66 ID:3MPNJ1mI
花丸「今のは?」 カタカタカタ

梨子「公安フレンズよ。進捗は?」

花丸「あと少し...開くよ」 カタカタカタ

梨子「よし、視界は確保できた」

梨子「花丸ちゃん。10分よ。10分私たちで松浦さんの手術までの時間を稼ぐ」

花丸「了解。状況は読めてきてる」

花丸「まずは病院全フロアに枝をはる。やってやるずら!」 カタカタカタ

50: 2018/01/12(金) 23:02:23.05 ID:3MPNJ1mI
---

花丸「...全部じゃないけど、完了。残り時間は!?」

梨子「手術開始まで8分。公安到着まで16分」

花丸「8分稼ぐ...あ、エレベーターを止めるってどう?」

梨子「駄目よ。あの事故の患者が運び込まれた時のERの妨げになる」

梨子「松浦さんの部屋にロックはかけられない?」

花丸「無理ずら。オールドタイプの錠前ずら」

梨子「そっか。考えるのよ...」

51: 2018/01/12(金) 23:02:58.55 ID:3MPNJ1mI
花丸「あ」

梨子「ん?」

花丸「大きな事故が起きたから、もしかすると緊急性が高いとして」

花丸「手術室の予約が、切り替わっているかもしれない」 カタカタ

梨子「確かに。予約状況はどうなってる?」

花丸「出すよ」 カタカタ

52: 2018/01/12(金) 23:03:44.94 ID:3MPNJ1mI
梨子「どんどんER用に手術室が予約されていってるけど...」

花丸「松浦さんの予約は...取り消されていない!」

梨子「緊急搬送よりも松浦さんを脳死にすることの方が大事みたいね」

花丸「腐ってるずら!」

梨子「怒っては駄目。クールに方法を考えましょう」

花丸「くぅ!...あれ?今モニターに映ったの...」

梨子「え?」

花丸「迷ってる時間はないずら!電話をかける!」 ピッピ

53: 2018/01/12(金) 23:04:41.67 ID:3MPNJ1mI
---

ガラツ

鞠莉「〜♪」

鞠莉「かっなーん。花瓶のウォーター変えてきたよ☆」

果南「」

鞠莉「窓際に置いとくね」

果南「」

鞠莉「ほ〜んと。いつまでたっても手がかかる!さっさと起きなさいよ」

果南「」

鞠莉「みんな、待ってるんだから」

54: 2018/01/12(金) 23:05:25.89 ID:3MPNJ1mI
ガラッ

医師「おや、お見舞いかな?」

鞠莉「!...はい。失礼しております」

鞠莉(いつものドクターじゃない...?)

医師「君は確か...松浦さんの学校の理事長でしたかな?」

鞠莉「はい...ご無沙汰しております」

医師「聞きましたよ。3日前に、診断し直してくれって電話されたこと」

鞠莉「も、申し訳ありませんでした」

医師「いえいえ。お若いのに、学校の生徒の為に。熱心ですね」

55: 2018/01/12(金) 23:06:15.75 ID:3MPNJ1mI
医師「その電話のおかげか、松浦さん、今から再検査する事になりましてね」

鞠莉「ほ、本当ですか!」

医師「えぇ。確証はできませんが、もしかすると脳死ではないかもしれません」

鞠莉「う、うぅ...果南...良かった...」

医師「では、これからその再検査に連れて行きますので」

医師「暫く、松浦さんをお借りしますね」

鞠莉「はい!あ、手伝います!」

56: 2018/01/12(金) 23:07:06.43 ID:3MPNJ1mI
---

医師「では、失礼します」

医師「良い結果だと、いいですね?」

果南「」

鞠莉「どうか、よろしくお願いします!」


ピシャッ




鞠莉「...う、うぅ...果南...良かった...」

58: 2018/01/12(金) 23:07:42.91 ID:3MPNJ1mI
鞠莉(そうだ、国木田さんとご父兄に...)

鞠莉(あれ?着信きてる...)

鞠莉(...誰もいないし) ピッ

鞠莉「...チャオ☆」

花丸『つ、繋がった!理事長、今、どこ!?」

鞠莉「ホワッツ?どこって、果南の病室だけど...?」

59: 2018/01/12(金) 23:08:31.77 ID:3MPNJ1mI
---

花丸「梨子ちゃん。理事長、病院にいた!」

梨子「最高よ。状況を確認して」

花丸「もしもし、松浦さんは?」

鞠莉『今、ドクターが脳死の再検査をしてくれるって、連れて行ったわ』

花丸(行動が想定より早い...)

花丸「お医者さんさ、その時、何か注射とかしてた?」

鞠莉『いえ?刺してないよ?』

花丸(そこはセーフずらか...)

60: 2018/01/12(金) 23:09:16.34 ID:3MPNJ1mI
---

花丸『理事長、よく聞いて。その検査は真っ赤な嘘』

花丸『逆に脳死の誤診を隠す為に、脳死にさせるつもりずら』

鞠莉「...え...?そ、そんな!」

花丸『とにかく、今警察が向かっている』

花丸『松浦さんが3階の2番手術室に入ったら最後』

花丸『注射1本で終わってしまうずら...!』

61: 2018/01/12(金) 23:10:28.20 ID:3MPNJ1mI
花丸『理事長、お願い!時間を稼いで!』


花丸『今、松浦さんを助けられるのは小原さんだけずら!』


鞠莉「...っく。わかった!時間を稼げばいいのね!」 ピッ

鞠莉(果南...!)ダッ

62: 2018/01/12(金) 23:11:49.57 ID:3MPNJ1mI
---

梨子「誤診を隠す為に脳死にさせる。いい言葉のチョイスよ」

花丸「今、そういうお世辞をいう暇ないよ」

花丸「何か妙案は!?」

梨子「えぇ。手術室って電子ロックよね。手術室の使用状況も同期されるみたいだし」

花丸「!」

梨子「3階2番手術室のパスをデタラメに。一時的に使用不可にして構わないわ」

花丸「分かった!間に合えぇぇ!」カタカタカタ

63: 2018/01/12(金) 23:12:21.59 ID:3MPNJ1mI
---

鞠莉「はぁ...はぁ...」

鞠莉「み、見つけた...」

鞠莉(手術室まで、もうそこ...!声を..大きな声を!)

鞠莉「お、お医者さん!!」

医師「...ん?」

果南「」

医師「あぁ、理事長さん。どうなされました?」 ニコッ

鞠莉「」 ビクゥ

鞠莉(怖い...今、人を〇そうとしてる人が目の前にいる)

64: 2018/01/12(金) 23:12:47.13 ID:3MPNJ1mI
鞠莉「あの、その...果南に...最後の言葉を言いたくて...」

医師「最後?検査が終われば、また病室に連れて帰りますよ?」

鞠莉「あ..あ...」

鞠莉(こ、怖い...!)

鞠莉(誰か...力を貸して...!)


 「今、松浦さんを助けられるのは小原さんだけずら!」


鞠莉「っ...!」

鞠莉(味方は...一人じゃない!)

65: 2018/01/12(金) 23:13:16.12 ID:3MPNJ1mI
鞠莉「ち、違うの!もし、今回の検診で脳死って決まっちゃったら」

鞠莉「私の声が、絶対に届かないって決まっちゃったら」

鞠莉「私が彼女にずっと伝えたかった言葉を一生言えない...!」

鞠莉「届く可能性がある、この時間を私にください!」

鞠莉「お願いします!少し!少し...時間をください!」

果南「」




医師「...わかった。少しだけだよ」

鞠莉「ありがとうございます!」

66: 2018/01/12(金) 23:14:07.65 ID:3MPNJ1mI
ピーポーピーポー ハヤク!

医師(窓の外が騒がしくなってきたな...早く済ませてオペ室を空けたいが)

鞠莉「果南!果南...!」

医師(...)

67: 2018/01/12(金) 23:14:57.26 ID:3MPNJ1mI
---

梨子「理事長がギリギリで止めたわ!公安到着まで、あと6分!」

花丸「パスコード変更完了!...だけど!」

梨子「だけど...?」

花丸「生体認証がまだハックできてない」

梨子「パスコードとセットじゃないの?」

花丸「逆。パスコードか、生体認証でロックが開く」

花丸「くそう、このデータを改ざんしたらERの手術室まで響く...」

花丸「下手したら他の手術室に医者が入れなくなるずら」

梨子「この手術室だけ、サーバへのアクセスは切れない?」

花丸「ハードとの繋がりがきついけど、やってみるずら!」カタカタ

梨子「頑張って、花丸ちゃん。...理事長」

68: 2018/01/12(金) 23:15:33.65 ID:3MPNJ1mI
---
--
-

鞠莉「果南...私は果南と出会って色んな事を教わったよ」

果南「」

鞠莉「世界が広い事、友達との時間が楽しい事」

鞠莉「喧嘩の仕方に仲直りの仕方」

果南「」

鞠莉「私は、まだまだ貴方との時間を歩んでいきたい」

鞠莉「必ず、目覚めさせる...私が貴方を守る」

鞠莉「私が果南を思う気持ち...形にするから」



鞠莉「応援してね?」 ギュッ

70: 2018/01/12(金) 23:16:12.25 ID:3MPNJ1mI
医師「...さて。そろそろ、いいかな?」

鞠莉「...」

医師「理事長さん...?」

鞠莉「...」

医師「理事長?」

鞠莉「...」

医師「理事長...!」

グッ

鞠莉「いや!私はどかない!」

医師「!」

72: 2018/01/12(金) 23:17:24.03 ID:3MPNJ1mI
鞠莉「絶対通さない。果南を見〇しにはさせないんだから!」

医師「何を言っているんだ...」

鞠莉「全部お見通しよ!果南を脳死させるつもりだって!」

医師「...!」

鞠莉「私は知ってる!この病院に闇がある事を!」

74: 2018/01/12(金) 23:18:20.07 ID:3MPNJ1mI
ザワザワ... ナンダナンダ...?

医師「言わせておけば...おい、看護師!こいつを抑え 」

看護師A「え?は、はい!」

看護師B「友人のお見舞いかな?興奮しないで?」

鞠莉「触らないで!果南は渡さない!」

看護師C「あっばれるな!患者に迷惑だ!」

看護師B「大人しくなさい?」

鞠莉「果南は生きてる!手術室なんかに連れては行かせない!」

看護師A「こ、こら!患者から離れなさい」

看護師C「ひっぺがすぞ。せーっの」

鞠莉「あっ...!」

果南「」

77: 2018/01/12(金) 23:20:44.99 ID:3MPNJ1mI
看護師C「こっちにこい!」

看護師B「ナースセンターでお話しましょ?」

鞠莉「やだ!はなっしって!脳死なんかじゃない!離して!」

医師「ふん...」

医師「ボンボンの娘らしいが...何もできないくせに」

鞠莉「誰か!止めて!あいつを止めて!」


医師「...」ピッピ

ビービー

医師「?」 ピッピ


ビービー


医師「っく」 ピッピ



ビービー


鞠莉「誰か、止めてぇぇええ!!!」


---

梨子「突入」

---

78: 2018/01/12(金) 23:21:42.97 ID:3MPNJ1mI
パリンパリン!! ドタドタドタ


隊員A「公安だ!全員手を上げろ!」

隊員B「壁に手をつけるんだ!」


医師「!?」

看護師「!?」

鞠莉「!」


隊員C「こいつだ!拘束しろ!!」

隊員D「は!」

医師「な、なんだ!ぐぅ!」


隊員A「目標1、確保!目標2、外傷なし!」

79: 2018/01/12(金) 23:22:24.29 ID:3MPNJ1mI
---

梨子「2名はそのまま第2手術室に突入。BIA10-2474Xという注射剤を手に入れてラボに」

梨子「他は10分後にくる地元警察に目標1の身柄を引き渡し、事情を説明して合同捜査を」

梨子「裏は取れてる。必ず不正臓器摘出のデータが出てくるわ」

梨子「なお、ここでは334号線の事故の治療も行われている」

梨子「事の次第が落ち着くまで、他の手術室、1階ER部には侵入は不可とする」

梨子「あと8階は衆議院のVIP。不要に立ち入らないで」

梨子「目標2は6階601号室に連れ戻しておきなさい」

隊員A『ラジャー。通信アウト』



梨子「...ふう。花丸ちゃん、お疲れ様」

花丸「あっはっは。神経衰弱。堕天使ヨハネが見えるずら〜」 バタン

80: 2018/01/12(金) 23:23:21.78 ID:3MPNJ1mI
---
--
-

花丸「うん...うん。そっか。じゃ、またね」 ッピ

梨子「誰から?」

花丸「鞠莉ちゃん」

花丸「松浦さん、新しい病院で再検査して、脳死じゃなかったってさ」

梨子「よかった...」

梨子「って。『鞠莉ちゃん』って何よ」

花丸「あれ?知らなかった?オラ達、もう下の名前で呼び合う仲ずら」

梨子「えー。私の方が理事長ファン1号なのに」

花丸「盗聴で一方的に近い関係になった気になるか」

花丸「ちゃんと電話やラインで、コミュニケーションを取ったかの差ずら」

梨子「私が必要以上に接触してはいけない、って知ってて虐めるよね」

81: 2018/01/12(金) 23:23:56.17 ID:3MPNJ1mI
花丸「事件は落ち着いた?」

梨子「落ち着くわけないじゃない」

梨子「内部告発者から、保護を条件に情報を提供してもらってるけど」

梨子「臓器輸出のルートから、関連企業の黒い部分が、もー出るわ出るわ」

梨子「芋づる式で、毎日寝不足よ」

花丸「そっか...これで犠牲者の無念が晴れれば、と思うずら」

梨子「そうね」

82: 2018/01/12(金) 23:24:34.76 ID:3MPNJ1mI
梨子「ねぇ、そういや、ずっと気になってたんだけど」

花丸「ん?」

梨子「どうして理事長にハッカーだって教えたの?」

花丸「あー...うーん、そうだなぁ」

花丸「梨子ちゃんにバレちゃってから、そういう気が緩くなったのかも」

梨子「警察以上にバレちゃいけない、なんてないもんね」

花丸「うん。あとは...」

花丸「オラ、鞠莉ちゃんの手札になりたいって思ったずら」

梨子「手札?」

花丸「そう」

83: 2018/01/12(金) 23:25:26.56 ID:3MPNJ1mI
花丸「...鞠莉ちゃんさ、立場が立場だから」

花丸「今もこれからも、不条理や圧力という強大なものに」

花丸「一生立ち向かっていかないといけないんだよ」

花丸「だけど、鞠莉ちゃんの周りに、その部分で手を差し伸べれる人がいないずら」

花丸「一人で解決する、っていう手札しか知らない鞠莉ちゃんに」

花丸「オラっていうカードを、加えたいなって思ったんだずら」

梨子「ふーん」

梨子「...優しいんじゃない?」ニヤッ

花丸「ま。たまには、ね」

84: 2018/01/12(金) 23:30:20.16 ID:3MPNJ1mI
 



---
--
-

85: 2018/01/12(金) 23:32:29.49 ID:3MPNJ1mI
鞠莉「スヤスヤ...」


パチ...


鞠莉「Zzz...」


ゴソゴソ

鞠莉「ウゥン...スヤスヤ....」


「...届いたよ。鞠莉」




---

花丸「オラはハッカー2」  終わり

86: 2018/01/12(金) 23:35:29.54 ID:3MPNJ1mI
読んでいただきありがとうございました。

実在の人物や団体、阪神とは関係ありません。

また、スレ立て代行してくださったかた、ありがとうございました。

87: 2018/01/12(金) 23:39:17.25 ID:XpgVV1Ag
乙です
今回も熱い展開で一気に読んでしまいました
次回も楽しみ

91: 2018/01/13(土) 00:07:26.12 ID:pcy0GcyX
乙、今回も面白かった
基本淡々としてる雰囲気なんだけど熱いとこもあって好きだわ

124: 2018/01/14(日) 08:57:34.60 ID:n3CbKU1v
面白いぞ
花丸と梨子のチョイスもすごくいい

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1515763372/

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