1: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 14:59:10.81 ID:lPu9Fx4q
ダイよし
短め
短め
2: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 14:59:45.34 ID:lPu9Fx4q
『仲良し三人組』
とても素敵な言葉。
私の横にはいつも果南さんと鞠莉さんがいた。
つまらないことで喧嘩別れした二年間以外、ずっと仲良しの三人組として。
鞠莉「ダイヤ、今日の練習は何をするんだっけ」
ダイヤ「ダンスのフォーメーションの確認ですわよ」
果南「えー、今日は身体を動かしたい気分だから、体力トレにしない?」
ダイヤ「駄目です、本番も近いのですから」
とても素敵な言葉。
私の横にはいつも果南さんと鞠莉さんがいた。
つまらないことで喧嘩別れした二年間以外、ずっと仲良しの三人組として。
鞠莉「ダイヤ、今日の練習は何をするんだっけ」
ダイヤ「ダンスのフォーメーションの確認ですわよ」
果南「えー、今日は身体を動かしたい気分だから、体力トレにしない?」
ダイヤ「駄目です、本番も近いのですから」
3: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:00:21.76 ID:lPu9Fx4q
鞠莉「もー、本当にダイヤの頭は固いなぁ」
ダイヤ「普通ですわよ、これぐらい」
果南「そんなダイヤには――こうだ!」
ダイヤ「ちょ、急にハグしないでください!?」
鞠莉「あー、ズルいわよダイヤ。私もハグされたい」
果南「ハイハイ、鞠莉もハグッ」
ダイヤ「……」
ダイヤ「普通ですわよ、これぐらい」
果南「そんなダイヤには――こうだ!」
ダイヤ「ちょ、急にハグしないでください!?」
鞠莉「あー、ズルいわよダイヤ。私もハグされたい」
果南「ハイハイ、鞠莉もハグッ」
ダイヤ「……」
5: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:00:52.10 ID:lPu9Fx4q
私たちは『三人組』。
それなのに、常にどこか疎外感を感じる。
鞠莉さんは果南さんを、果南さんは鞠莉さんを常に見ている。
それぞれに優先順位を付けるとしたら、私は二人にとって二番目の存在に過ぎない。
果南「ダイヤ、どうしたの?」
鞠莉「急にボーっとして、体調でも悪い?」
ダイヤ「……いえ、何でもありませんわ」
それなのに、常にどこか疎外感を感じる。
鞠莉さんは果南さんを、果南さんは鞠莉さんを常に見ている。
それぞれに優先順位を付けるとしたら、私は二人にとって二番目の存在に過ぎない。
果南「ダイヤ、どうしたの?」
鞠莉「急にボーっとして、体調でも悪い?」
ダイヤ「……いえ、何でもありませんわ」
6: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:01:37.51 ID:lPu9Fx4q
だけど二人は悪いわけじゃない。
惹かれあう二人が仲睦まじく過ごすのは、自然の事。
むしろその二人の間にいる私の存在こそ、お邪魔虫なのだ。
鞠莉「そういえば、今日うちに美味しいケーキが届いたのよ」
鞠莉「良かったら、二人とも練習の後に食べに来ない?」
果南「いいね、鞠莉が美味しいって言うぐらいなら凄そうだし」
鞠莉「ええ、それはもうスペシャルなケーキよ」
惹かれあう二人が仲睦まじく過ごすのは、自然の事。
むしろその二人の間にいる私の存在こそ、お邪魔虫なのだ。
鞠莉「そういえば、今日うちに美味しいケーキが届いたのよ」
鞠莉「良かったら、二人とも練習の後に食べに来ない?」
果南「いいね、鞠莉が美味しいって言うぐらいなら凄そうだし」
鞠莉「ええ、それはもうスペシャルなケーキよ」
7: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:02:15.45 ID:lPu9Fx4q
鞠莉「もちろんダイヤも来るわよね」
ダイヤ「そうですね……」
ダイヤ「私は――遠慮しておきますわ」
鞠莉「えー、どうして?」
ダイヤ「鞠莉さんの誘いはありがたいのですが、今日は少し家の用がありまして」
果南「ありゃ、タイミングが悪い」
鞠莉「それなら仕方ないわね」
果南「ダイヤが来れないなら、ケーキはまた今度にする?」
鞠莉「そうね、ダイヤがいないなら今日じゃなくても」
ダイヤ「そうですね……」
ダイヤ「私は――遠慮しておきますわ」
鞠莉「えー、どうして?」
ダイヤ「鞠莉さんの誘いはありがたいのですが、今日は少し家の用がありまして」
果南「ありゃ、タイミングが悪い」
鞠莉「それなら仕方ないわね」
果南「ダイヤが来れないなら、ケーキはまた今度にする?」
鞠莉「そうね、ダイヤがいないなら今日じゃなくても」
8: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:03:02.12 ID:lPu9Fx4q
ダイヤ「いえ、私の事は気にせずに、二人で楽しんでください」
鞠莉「でも――」
ダイヤ「ケーキなら今日中に食べた方がいいでしょう」
ダイヤ「私はまた別の機会に誘っていただければ充分ですから」
鞠莉「まあ、ダイヤがそういうなら」
ダイヤ「ほら、それよりも今は練習ですよ」
ダイヤ「ラブライブまで時間もないんですから」
鞠莉「ええ、そうね」
鞠莉「でも――」
ダイヤ「ケーキなら今日中に食べた方がいいでしょう」
ダイヤ「私はまた別の機会に誘っていただければ充分ですから」
鞠莉「まあ、ダイヤがそういうなら」
ダイヤ「ほら、それよりも今は練習ですよ」
ダイヤ「ラブライブまで時間もないんですから」
鞠莉「ええ、そうね」
9: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:03:53.80 ID:lPu9Fx4q
※
練習後、一人残った生徒会室。
ダイヤ「はぁ」
書類の整理をしながら、思わず漏れるため息。
もちろん、本当は用なんてない。
二人との時間も、美味しいケーキも、正直名残惜しかった。
でもつい、二人に気を遣って身を引いてしまう。
それが私という人間の性。
練習後、一人残った生徒会室。
ダイヤ「はぁ」
書類の整理をしながら、思わず漏れるため息。
もちろん、本当は用なんてない。
二人との時間も、美味しいケーキも、正直名残惜しかった。
でもつい、二人に気を遣って身を引いてしまう。
それが私という人間の性。
10: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:04:45.09 ID:lPu9Fx4q
この距離感も、ある意味でそんな行動の積み重ねが生んでしまった結果。
幼いころから、聡い方ではあったと思う。
だから早い段階から気づいた、鞠莉さんの果南さんへの想い。
もし気づかなければ、私と二人はもっと近い関係だったかもしれない。
ダイヤ「はぁ」
また漏れるため息。
なんと女々しい仮定をしているのだろう、私は。
そんな事よりもせっかくできた時間、溜まった仕事を片付けて――
幼いころから、聡い方ではあったと思う。
だから早い段階から気づいた、鞠莉さんの果南さんへの想い。
もし気づかなければ、私と二人はもっと近い関係だったかもしれない。
ダイヤ「はぁ」
また漏れるため息。
なんと女々しい仮定をしているのだろう、私は。
そんな事よりもせっかくできた時間、溜まった仕事を片付けて――
11: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:05:23.07 ID:lPu9Fx4q
ダイヤ「あら」
ふと目を下すと見える中庭。
そこにポツリと存在する一人の後輩。
ダイヤ「善子さん?」
確か練習後、一年生は三人で帰ったはずなのに。
揃って学校に残った?
でもルビィと花丸さんの姿は見えない。
ふと目を下すと見える中庭。
そこにポツリと存在する一人の後輩。
ダイヤ「善子さん?」
確か練習後、一年生は三人で帰ったはずなのに。
揃って学校に残った?
でもルビィと花丸さんの姿は見えない。
12: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:06:07.18 ID:lPu9Fx4q
ダイヤ「まさか」
一人だけはぶかれている? いじめ?
あぁ、この平和な浦の星にもそんな事態が――
ダイヤ「あるわけないですわね」
独特の感性を持つ善子さん。
普通ならその可能性もなくはないけど、あの子たちに限ってそれはないだろう。
仲良しなのはもちろんのこと、ルビィも花丸さんもやさしく、意識的に人を傷つけられるような性格ではない。
一人だけはぶかれている? いじめ?
あぁ、この平和な浦の星にもそんな事態が――
ダイヤ「あるわけないですわね」
独特の感性を持つ善子さん。
普通ならその可能性もなくはないけど、あの子たちに限ってそれはないだろう。
仲良しなのはもちろんのこと、ルビィも花丸さんもやさしく、意識的に人を傷つけられるような性格ではない。
13: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:08:37.89 ID:lPu9Fx4q
善子さんの今の状態にも、何か事情があるのだろう。
口を挟むようなことではない程度の、些細な事情が。
けど少しうつむき、落ち込んだ様子。
普段の道化のように皆を笑わせる彼女からは、あまり想像もできない姿。
気づいてしまったからには放っておくわけにはいかない。
一応、話しぐらい聞きに行こうかしら。
口を挟むようなことではない程度の、些細な事情が。
けど少しうつむき、落ち込んだ様子。
普段の道化のように皆を笑わせる彼女からは、あまり想像もできない姿。
気づいてしまったからには放っておくわけにはいかない。
一応、話しぐらい聞きに行こうかしら。
14: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:09:17.77 ID:lPu9Fx4q
中庭に降りると、そこには変わらずに後輩の姿。
私はゆっくり近づいて声をかける。
ダイヤ「善子さん」
善子「ダイヤ?」
突然の現れた私の存在に、驚いたような表情を見せる善子さん。
善子「どうしたのよ、こんなところ」
ダイヤ「生徒会室で仕事をしていたら、善子さんを見かけたので」
私はゆっくり近づいて声をかける。
ダイヤ「善子さん」
善子「ダイヤ?」
突然の現れた私の存在に、驚いたような表情を見せる善子さん。
善子「どうしたのよ、こんなところ」
ダイヤ「生徒会室で仕事をしていたら、善子さんを見かけたので」
15: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:10:21.97 ID:lPu9Fx4q
善子「仕事、一人で?」
ダイヤ「ええ」
善子「練習後に一人って、やっぱり生徒会の仕事って忙しいのね」
ダイヤ「そうですね、それなりには」
善子「凄いと思うわよ」
善子「いくら生徒が少ないからって、部活をしながら一人で仕事をこなすのは」
ダイヤ「まあ、最近は鞠莉さんや果南さんも手伝ってくれますから」
ダイヤ「ええ」
善子「練習後に一人って、やっぱり生徒会の仕事って忙しいのね」
ダイヤ「そうですね、それなりには」
善子「凄いと思うわよ」
善子「いくら生徒が少ないからって、部活をしながら一人で仕事をこなすのは」
ダイヤ「まあ、最近は鞠莉さんや果南さんも手伝ってくれますから」
16: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:12:08.02 ID:lPu9Fx4q
善子「へぇ、なら今日も三人で?」
ダイヤ「いえ、今日は一人です」
善子「あら、二人とも冷たいのね」
ダイヤ「ふふっ、そうですね」
ダイヤ「そう言う善子さんこそ一人なんですね」
善子「そうよ、悪い?」
ダイヤ「いえ」
ダイヤ「ただルビィ達と一緒に帰ったと思ったので」
ダイヤ「いえ、今日は一人です」
善子「あら、二人とも冷たいのね」
ダイヤ「ふふっ、そうですね」
ダイヤ「そう言う善子さんこそ一人なんですね」
善子「そうよ、悪い?」
ダイヤ「いえ」
ダイヤ「ただルビィ達と一緒に帰ったと思ったので」
17: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:13:21.30 ID:lPu9Fx4q
善子「一応、三人で遊びに行こうって話になってたんだけどね」
善子「私なりに気を使って、二人きりにしてあげたのよ」
善子「いつもいちゃついて、困ったものだわ」
ダイヤ「申し訳ありません、いつも妹が」
善子「ダイヤが謝ることじゃないわよ、別に」
私は知っている、善子さんの気持ちを。
遥か昔、仲良しだった幼馴染。
彼女と運命的に再会し、惹かれていった。
それは自然な事。
善子「私なりに気を使って、二人きりにしてあげたのよ」
善子「いつもいちゃついて、困ったものだわ」
ダイヤ「申し訳ありません、いつも妹が」
善子「ダイヤが謝ることじゃないわよ、別に」
私は知っている、善子さんの気持ちを。
遥か昔、仲良しだった幼馴染。
彼女と運命的に再会し、惹かれていった。
それは自然な事。
18: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:15:01.49 ID:lPu9Fx4q
それだけなら、美しい恋。そう、それだけなら。
その幼馴染には、既に付き合っている相手がいた。
中学の時に出会った親友。
善子さんより遅く出会いながら、善子さん以上に長く、濃密な時間を築いた私の妹。
幼馴染の心は既に、その子に奪われていた。
誰も悪意を持たない、変えることも誰かを責めることもできないもどかしい現実。
なんて残酷なんでしょうね、運命というものは。
その幼馴染には、既に付き合っている相手がいた。
中学の時に出会った親友。
善子さんより遅く出会いながら、善子さん以上に長く、濃密な時間を築いた私の妹。
幼馴染の心は既に、その子に奪われていた。
誰も悪意を持たない、変えることも誰かを責めることもできないもどかしい現実。
なんて残酷なんでしょうね、運命というものは。
19: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:15:50.88 ID:lPu9Fx4q
善子「ダイヤは生徒会室に戻るの?」
ダイヤ「ええ、そのつもりです」
善子「私も一緒に行っていいかしら」
善子「ちょうど暇だし、仕事手伝うから」
ダイヤ「あら、どういう風の吹き回しですか」
善子「可哀想な生徒会長を助けてあげようと思っただけよ」
ダイヤ「そうですか」
ダイヤ「ええ、そのつもりです」
善子「私も一緒に行っていいかしら」
善子「ちょうど暇だし、仕事手伝うから」
ダイヤ「あら、どういう風の吹き回しですか」
善子「可哀想な生徒会長を助けてあげようと思っただけよ」
ダイヤ「そうですか」
20: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:16:33.16 ID:lPu9Fx4q
似てますね、貴女と私は。
仲良し三人組に属しながら、離れている。
三人の中で、特別な二人を輝かせるための道化。
自然と目に宿る、孤独な光。
そんな自分と同じ光に惹かれてしまうのは、いけないことなのでしょうか。
この想いは届かない。
善子さんは、花丸さんが好き。
誠実な彼女がそれを変えることは、おそらくない。
でもいいのです、私は慣れていますから。
仲良し三人組に属しながら、離れている。
三人の中で、特別な二人を輝かせるための道化。
自然と目に宿る、孤独な光。
そんな自分と同じ光に惹かれてしまうのは、いけないことなのでしょうか。
この想いは届かない。
善子さんは、花丸さんが好き。
誠実な彼女がそれを変えることは、おそらくない。
でもいいのです、私は慣れていますから。
21: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:17:25.56 ID:lPu9Fx4q
善子「どうしたの、急に黙り込んで」
ダイヤ「……いえ、なんでもありませんわ」
善子「そう?」
ダイヤ「ええ」
善子「それなら早く行きましょう」
善子「仕事、たくさんあるんでしょ」
ダイヤ「……ええ」
ダイヤ「……いえ、なんでもありませんわ」
善子「そう?」
ダイヤ「ええ」
善子「それなら早く行きましょう」
善子「仕事、たくさんあるんでしょ」
ダイヤ「……ええ」
22: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:18:01.86 ID:lPu9Fx4q
ゆっくりとしか一歩を踏み出すことができない、臆病な私。
ダイヤ「善子さん、今日は夜まで時間がありますか?」
善子「ええ、どうせお母さんの帰りは遅いから」
ダイヤ「それなら、帰りにケーキを食べて帰りましょう」
ダイヤ「手伝っていただくお礼に、ご馳走しますよ」
善子「えっ、本当に!?」
ダイヤ「ええ」
ダイヤ「善子さん、今日は夜まで時間がありますか?」
善子「ええ、どうせお母さんの帰りは遅いから」
ダイヤ「それなら、帰りにケーキを食べて帰りましょう」
ダイヤ「手伝っていただくお礼に、ご馳走しますよ」
善子「えっ、本当に!?」
ダイヤ「ええ」
24: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:19:06.93 ID:lPu9Fx4q
いつか、この想いを口にすることはできるのでしょうか。
善子「それは楽しみね、がぜんやる気が出てきたわ」
ダイヤ「ふふっ、それは良かったですわ」
善子「でもいいの、ルビィにあとで何か言われそうだけど」
ダイヤ「ルビィは花丸さんと二人で楽しんでいるのでしょう」
ダイヤ「私たちは置いていかれた者同士、文句を言われる筋合いはありませんわ」
善子「……あはは、それもそうね」
分からない、この先どうなるか。
でも今は素直に楽しむとしましょう。
私によく似た、大切な人との時間を。
善子「それは楽しみね、がぜんやる気が出てきたわ」
ダイヤ「ふふっ、それは良かったですわ」
善子「でもいいの、ルビィにあとで何か言われそうだけど」
ダイヤ「ルビィは花丸さんと二人で楽しんでいるのでしょう」
ダイヤ「私たちは置いていかれた者同士、文句を言われる筋合いはありませんわ」
善子「……あはは、それもそうね」
分からない、この先どうなるか。
でも今は素直に楽しむとしましょう。
私によく似た、大切な人との時間を。
25: (もんじゃ) 2018/09/03(月) 15:20:42.70 ID:lPu9Fx4q
以上です
読んでくださった方、ありがとうございます
読んでくださった方、ありがとうございます
引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1535954350/