【SS】穂乃果「叶えたかった物語」

SS


1: (SIM) 2022/01/21(金) 18:43:42.45 ID:cmKs9EA1
―練習後・屋上―


穂乃果「ふぅ〜、今日の練習もハードだったね〜」グダー

海未「穂乃果!寝転がらずに早く着替えなさい。風邪を引きますよ」

穂乃果「ぶーぶー。海未ちゃんったらお母さんみたい」

海未「余計なことを言わない!!」

ことり「あはは…穂乃果ちゃん、今日もすっごく頑張ってたもんね」

穂乃果「もっちろん!だってラブライブがまた開催されるんだよ。もーっと頑張らないと!!」

ことり「…うんっ、そうだね!」

海未「……」
 

2: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:45:11.16 ID:K8f9nsLi
穂乃果「あっ、海未ちゃん!明日こそは全員揃って練習できる?」

海未「あの…そのことなんですが…」


絵里「ごめんなさい穂乃果…私、明日は用事があって…」

穂乃果「そんなぁ…ここ最近全然9人で練習できてないよ…」

海未「…仕方ないですよ。明日も個人練習重視のメニューでいきましょう」

絵里「ホントにごめんなさい、穂乃果…」

穂乃果「ううん…謝らなくていいよ絵里ちゃん。しょうがないことだもん」


穂乃果「そうだ!真姫ちゃんはどう?」

花陽「えーっと…真姫ちゃん、明日も忙しいみたいで…」

穂乃果「そっかぁ…真姫ちゃん、しばらく練習来れてないね…」
 
3: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:46:43.81 ID:K8f9nsLi
穂乃果「もしかして、もうスクールアイドルがイヤになっちゃったとか…」アワワワ

花陽「そ、そんなことないよ!なかなか練習に出られないこと、真姫ちゃんすごく残念そうにしてたから…」

凛「そうそう!それに真姫ちゃん、明後日は来れるって言ってたよ!」

穂乃果「ホント!?よかったぁ…」


にこ「そもそもねぇ、このNo.1アイドルにこにーが練習に参加してるだけで十分でしょ?ありがたく思いなさい!」

希「にこっちは暇人やもんな」

にこ「なんでそうなるのよ!?ていうかアンタなんて毎日いるじゃないの!!」

穂乃果「あははっ、二人ともラブライブに向けて気合バッチリだね!」

にこ「…当然でしょっ!」

希「ふふっ、もちろん!」


穂乃果「よーっし、クヨクヨしてる暇なんてないよね!穂乃果も頑張るぞー!!」


――――――
――――
――
 
4: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:48:00.72 ID:K8f9nsLi
―翌朝・神田明神―


穂乃果「おはよっ、二人とも!!」

ことり「穂乃果ちゃん、おはよう!」

海未「おはようございます。なんだか今日はいつにも増して元気ですね」

穂乃果「うん!それがさ、昨日帰ってからずっと考えてたんだけど…」

ことり「…?」

穂乃果「最近、あんまり前みたいに9人全員で練習できてないでしょ?」

海未「…そうですね」

穂乃果「だからさ、練習に来れないみんなの分まで穂乃果が頑張るって決めたんだ!」

海未「穂乃果…」

ことり「ふふっ、穂乃果ちゃんは偉いね」

穂乃果「えへへっ」
 
5: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:48:53.46 ID:K8f9nsLi
海未「…でも無理は禁物ですよ。あなたはすぐ一人で突っ走ってしまいますから…」

穂乃果「大丈夫だって!も〜、海未ちゃんは心配性だなぁ」

海未「……」


穂乃果「さてと!今日も朝練から気合入れてこー!!」

ことり「おーっ!!♪」

海未「それはいいとして…穂乃果、学校生活の方はどうですか?勉強とか…」

穂乃果「うっ…」

海未「μ'sの活動ももちろん大切ですが、学生の本分は勉強にあります。しっかり文武両道で…」

穂乃果「わ、わかって――あーっ!!」

ことり「ど、どうしたの穂乃果ちゃん!?」

穂乃果「今日って数学の小テストの日じゃん!!か、完全に忘れてた…まずい…」

海未「言っているそばから…」
 
6: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:50:01.75 ID:K8f9nsLi
穂乃果「うぅ…海未ちゃんたちのクラス、もう小テスト終わってるよね…?ちょーっとだけさ、答え教えてよっ」

海未「ダメに決まっているでしょう!!」

穂乃果「だってそうでもしないと穂乃果0点だよ〜!!」

海未「日頃からしっかり勉強しておかないからそうなるんです」

穂乃果「海未ちゃんの薄情者!ねぇ、ことりちゃんは穂乃果を助けてくれるよね!?」

ことり「えぇ!?う、うーんとぉ…」アタフタ

海未「穂乃果っ!ことりを困らせないでください!!ことりも、そそのかされてはいけませんよ」

ことり「ごめんね、穂乃果ちゃん…」

海未「まったく…今日の朝練は中止にして、小テストのための勉強をしましょう」

穂乃果「うわーん!!嫌だよそんなの!!せっかく気合入れたところだったのに!!」

海未「自業自得です」
 
7: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:50:52.73 ID:K8f9nsLi
穂乃果「鬼!悪魔!ふーんだ、先に一人で朝練始めちゃうもんねー!!」タタタッ

海未「こらっ、穂乃果!待ちなさい!!」

ことり「穂乃果ちゃん!?」

穂乃果「早く来ないと置いてっちゃうよー!!」タタタッ


ことり「…行っちゃったね」

海未「はぁ…相変わらず振り回されてばかりです」

ことり「ふふっ、海未ちゃんは世話焼きさんだからね」

海未「……」

ことり「…心配?」

海未「いいえ…と言いたいところですが、ただの強がりにしかなりませんね」

ことり「そっか…」

海未「ことりは心配じゃないですか?」

ことり「もちろん心配だけど…今は信じることしかできないから」

海未「…そうですね」

ことり「……」

海未「穂乃果ならきっと、乗り越えられるはずです」

ことり「…うん」


――――――
――――
――
 
9: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:53:42.99 ID:K8f9nsLi
―放課後・教室―


穂乃果(授業おーわりっ♪あ〜、よく寝た!)ノビー

穂乃果(それにしても小テスト散々だったなぁ…絶対海未ちゃんに怒られるよ…)

穂乃果(そもそも難しすぎる!穂乃果あんなの習ったかなぁ…?)

穂乃果(もしかして他の子もあんまり解けなかったんじゃ…ちょっと聞いてみよっと!)


穂乃果「ねぇねぇ!」

「えっ、あ…は、はい…?」

穂乃果「今日の数学の小テスト、すっごく難しくなかった?」

「えーっと…あぁ、うん…そう、だね」

穂乃果「やっぱりそうだよね!穂乃果も全然わからなかったよ〜」

「あはは…そっか…」
 
10: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:54:22.85 ID:K8f9nsLi
「……」

穂乃果「……」

「そ、それじゃ…私、部活あるから…」

穂乃果「あっ…そうなんだ!頑張ってね!」

「ありがとう…じゃあ」タタタッ

穂乃果「……」


穂乃果(はぁ…やっぱりクラスメイトの子たちとあんまり仲良くなれないなぁ…)

穂乃果(なんでだろ…穂乃果はいつも通り元気に接してるつもりなんだけど…)

穂乃果(うーん…海未ちゃんとことりちゃんと違うクラスになる前は、こんなこと一度もなかったのに)

穂乃果(……)


ズキン…ズキン…


穂乃果(イタタ…なんか頭まで痛くなってきたよ…)


穂乃果「あー!!やめやめ!!もう忘れて早く練習行こーっと!!」


――――――
――――
――
 
12: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:55:22.59 ID:K8f9nsLi
―翌朝・神田明神―


凛「あっ、穂乃果ちゃん!おはよ!!」

花陽「おはようっ、穂乃果ちゃん」

穂乃果「みんなおはよ――あっ、真姫ちゃん!!」

真姫「おはよう穂乃果。しばらくぶりね」

穂乃果「真姫ちゃーーーん!!!」ダキッ

真姫「うぇええ!?なに抱きついてるのよ…!?」

穂乃果「だって真姫ちゃん、最近忙しいからって全然練習来てくれないんだもん!!μ'sのこと嫌いになっちゃったのかなって、心配してたんだよ…?」

真姫「それは…ごめんなさい。でも…」

穂乃果「でも…?」

真姫「…嫌いになんてなるはずないでしょ」

穂乃果「真姫ちゃーーーん!!!」ギューッ

真姫「だから抱きつかないでっ!!」ジタバタ

凛「朝からアツアツだにゃ〜」
 
13: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:56:00.34 ID:K8f9nsLi
穂乃果「真姫ちゃん、次はいつ来れるの?」

真姫「次って…ちょっと気が早すぎない?」

穂乃果「だって早く全員で練習したいんだもん!今日は海未ちゃんとことりちゃんが来れないみたいだし…」

真姫「…そうなのね。でも…まだ詳しい予定がわからないの。だから次いつ練習に出られるのかは…」

穂乃果「そっかぁ…勉強で忙しいの?」

真姫「まぁ…そんなところ」

穂乃果「うぅ…真姫ちゃんはお医者さん目指してるんだもん、たくさん勉強しなきゃだよね…」

真姫「……」


真姫「…穂乃果」

穂乃果「うん?」

真姫「改めてだけど…ごめんなさい」
 
14: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:57:47.97 ID:K8f9nsLi
穂乃果「えっ?」

真姫「穂乃果にとってμ'sがどれほど大切な存在なのか…私は理解してるつもりよ」

真姫「でも私は…あなたのその想いに応えられていない。だから…」

穂乃果「真姫ちゃん…」

真姫「本当にごめんなさい」

穂乃果「……」


穂乃果「これはね、海未ちゃんたちにも伝えたんだけど…」

真姫「…?」

穂乃果「穂乃果、練習に出られないみんなの分まで頑張ろうって決めたの」

真姫「……」
 
15: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:58:30.81 ID:K8f9nsLi
穂乃果「人それぞれ、やりたいことってあるでしょ?それってすごく素敵なことだと思う」

穂乃果「だからみんなには…みんながやりたいことを全力で頑張ってほしい。もちろん穂乃果も頑張るから」

真姫「……」

穂乃果「って思うんだけど…変かな?」

真姫「…いいえ。どこも変なんかじゃないわ」

穂乃果「…ありがとう、真姫ちゃん」

真姫「……」


凛「…えいっ!!」ギュッ

穂乃果「わわっ、凛ちゃん!?」

凛「しんみりした時間は終わり!凛、早く体を動かしたいにゃ!」

真姫「…ふふっ、そうね」
 
16: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 18:59:13.12 ID:K8f9nsLi
凛「じゃあ穂乃果ちゃん、男坂を一往復競走ね!負けた方はジュース奢りだよ!!」タタタッ

穂乃果「あっ、凛ちゃんズルイ!!今月もうお金ないんだから〜!!」タタタッ


花陽「あはは…怪我しないといいけど」

真姫「…今回は凛に救われたわ」

花陽「凛ちゃん、すっごく気が利く子だから…」

真姫「見かけによらずね」

花陽「ふふっ、そうかも」


真姫「…ねぇ。花陽は…何か嫌なことがあったとき、どうやってそれを忘れようとする?」

花陽「えっと…好きなもののことを考えるかな。アイドルのこととか、ご飯のこととか…」

真姫「…私と一緒ね」

花陽「…急にどうしたの?」

真姫「結局のところ、みんな同じなんだと思うの。受け入れたくない事実には、楽しい気持ちで蓋をする」

花陽「……」

真姫「その楽しい気持ちが、無理矢理つくり出されたものだとしても」


――――――
――――
――
 
17: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:01:20.49 ID:K8f9nsLi
―昼休み・教室―


穂乃果(んー、今日もパンが美味い!)モグモグ

穂乃果(でも…)


ポツーン…


穂乃果(一人で食べるの寂しいなぁ…かと言って一緒に食べる相手もいないし…)

穂乃果(うーん…海未ちゃんたちのクラスに突撃して一緒に――ん?)


ガヤガヤ


「ねぇ聞いた?また数学の小テストあるらしいよ」

「まじ?昨日やったばっかじゃん!」

「さっき5組が言われたんだって」

「サイアク。何回やれば気が済むんだか…」
 
18: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:02:02.93 ID:K8f9nsLi
穂乃果「ねぇ、その話ホント!?」

「あっ…うん、ホントだけど…」

穂乃果「うへぇ…穂乃果、昨日の小テストも全然解けなかったんだよね…」

「あー…そなんだ」

穂乃果「…とりあえず教えてくれてありがとっ。頑張ろうね!」

「そだねー…」

穂乃果「……」


穂乃果「…はぁ。次はさすがに少しくらい勉強しないとヤバイかも…また海未ちゃんに怒られちゃうし」

穂乃果「憂鬱だぁ〜…!!」



「…さっきのマズかったかな?」

「見た感じ普通っぽいし大丈夫じゃない?」

「だといいけど…大ごとになったら面倒だし」

「あーあ…なんでウチらだけこんなに気を遣わなきゃいけないわけ?」

「ねー。ま、可哀想だとは思うけど」


――――――
――――
――
 
19: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:02:44.19 ID:K8f9nsLi
―練習後・屋上―


穂乃果「はぁ…」

希「穂乃果ちゃん元気ないね。どうしたん?」

穂乃果「希ちゃん…もうすぐ数学の小テストがあるんだよ。だから勉強しなくちゃいけなくて…」

絵里「あら!偉いじゃない穂乃果」

にこ「ぷふっ、穂乃果の口から『勉強』なんて言葉が出てくるとは思わなかったわ」

穂乃果「あー!!にこちゃんにだけは言われたくないよ!!」

にこ「アンタねぇ…ったく。数学だったら希も絵里も結構できるでしょ?教えてあげればいいじゃない」

希「せやねぇ。えりちは忙しいからアレだけど、ウチは全然いいよ!」

穂乃果「ホント!?」

希「間違えた問題の数だけワシワシMAXのスパルタ授業やけどね?」

穂乃果「こ、今回は一人で頑張ろうかなぁ…あはは…」
 
20: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:03:36.44 ID:K8f9nsLi
絵里「もう、希は変なこと言わないの」

希「冗談に決まってるやん〜」

にこ「アンタが言うと冗談に聞こえないのよ」


絵里「穂乃果、ごめんなさい。勉強もそうだし、練習もあまり…」

穂乃果「大丈夫だよ!勉強はなんとかするし…練習も絵里ちゃんの分まで穂乃果が頑張るから!!」

希「おっ、頼もしいね!」

穂乃果「だって穂乃果、絶対みんなとラブライブ優勝したいし!」

にこ「……」


にこ「ラブライブに夢中になるのはいいけど、あんまり気を張りすぎない方がいいわよ」

穂乃果「えっ?」

にこ「もっと気楽にいきなさい、気楽に」

穂乃果「……」ポカーン

にこ「…なによ、アホみたいな顔して」

穂乃果「ア、アホじゃないもん!じゃなくて…」
 
21: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:04:34.51 ID:K8f9nsLi
にこ「意外だって言いたいんでしょ?」

穂乃果「うん…なんなら、にこちゃんが一番ラブライブへの想いが強いと思ってたから」

にこ「もちろん、できることならどんな手を使ってでも出たいと思ってるわよ」

穂乃果「だったら――」

にこ「でもラブライブだけが全てじゃないでしょ?」

穂乃果「全てじゃない?」

にこ「そっ。ラブライブに向けてみんなで努力した。その思い出だって大切だと思わない?」

穂乃果「それはそうだけど…うーん」


ズキン…ズキン…


穂乃果(うぐぐ…また頭が…)


にこ「…まぁ、穂乃果には難しすぎる話ね」

穂乃果「む〜っ、さっきから穂乃果のことバカにしすぎだよ!!にこちゃんだって大概なくせに!!」

にこ「なんですってぇ!?さっきから黙って聞いてれば…あほのかのくせに!!」

穂乃果「だからアホじゃないもん!!」


ギャーギャーギャー‼︎
 
22: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:05:12.23 ID:K8f9nsLi
希「あらら。おバカな争いが始まっちゃったね」

絵里「……」

希「…えりち?」

絵里「あっ、ごめんなさい。ちょっと考えごとを…」

希「にこっちが言ってたこと?」

絵里「お見通しね…えぇ、そうよ。にこなりの優しさなんだろうって思ったの」

希「…そうだね」

絵里「……」

希「……」

絵里「自分の気持ちを押し〇すのは、とても辛いことよね」

希「…経験談?」

絵里「ふふっ、そうなのかも」

希「……」

絵里「さっ、カワイイ喧嘩を止めましょうか」

希「…うん」


――――――
――――
――
 
23: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:06:06.51 ID:K8f9nsLi
―翌日・昼休み―


穂乃果(お腹空いたぁ…ようやく昼休みだよ〜)

穂乃果(よしっ!今日こそは海未ちゃんたちのクラスに行って一緒に食べよっと!)

穂乃果(そうと決まれば、早速隣のクラスにしゅっぱ〜つ!!)タタタッ


ガヤガヤ


穂乃果(うーんと…二人ともいないなぁ。どこ行っちゃったんだろ)キョロキョロ

穂乃果(んー…誰かに聞いてみよ)


穂乃果「あの〜、ちょっといいかなっ?」

「……」

穂乃果「あ、あのぉ…」

「…え、アタシ?ごめんごめんっ、どうしたの?」

穂乃果(よかった〜、親切そうな子だ…)

穂乃果「いきなり話しかけちゃってゴメンね!海未ちゃんとことりちゃん、どこに行ったか知ってるかなーって思って」

「えっ?」

穂乃果「一緒にお昼食べようと思ったんだけど見当たらなくてさ。もし知ってたら教えてほしいんだけど…」

「えーっと…」



「クラス間違ってないかな?ウミちゃんとコトリちゃんって子は、このクラスにはいないけど…」
 
24: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:06:48.07 ID:K8f9nsLi
穂乃果「あれ?このクラスじゃなかったっけ…ゴメン、うっかりして――」

穂乃果(…え?)


ズキンッ…ズキンッ…


「あははっ、わかるわかる!アタシもよく友達のクラス間違えちゃうんだよね〜」

穂乃果(この学校…穂乃果たちの学年って…)


ズキンッ…ズキンッ…



「まぁ仕方ないよ。ウチの学校、一学年に8クラスもあるんだし」


――――――
――――
――
 
25: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:08:13.00 ID:K8f9nsLi
―練習後・帰り道―


穂乃果「……」

海未「…穂乃果、どうかしたんですか?練習のときからずっと、なんだか元気がなさそうですが…」

穂乃果「…ううん、そんなことないよ」

海未「ですが…」

ことり「穂乃果ちゃん、もしかして体調悪い…?もしそうなら、今夜はしっかり休んで――」


穂乃果「穂乃果ね?9人全員で、絶対にラブライブ優勝したいって思ってるんだ」

海未「…それは私たちも同じですよ」

ことり「練習に出られない日もあって、すごく申し訳ないと思ってるけど…ことりも同じ気持ちだよ」
 
26: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:08:56.45 ID:K8f9nsLi
穂乃果「…そっか」

海未「えぇ。私たちだけではなくμ'sの全員が同じ想いです」

穂乃果「…そうだよね。穂乃果、信じていいんだよね」

ことり「もちろんっ!」

穂乃果「じゃあさ、ひとつ聞きたいことがあるんだけど…」



穂乃果「海未ちゃんとことりちゃん、今日の昼休みって何してた?」

海未「……」

ことり「…お昼ごはんを食べてたよ」

穂乃果「どこで?」

ことり「えっと…」

海未「教室です」

穂乃果「……」
 
27: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:09:28.27 ID:K8f9nsLi
穂乃果「…あはは、そりゃそうだよね。ごめんねっ、変なこと聞いて」

ことり「…ううん、気にしないで」

海未「……」


穂乃果「…あっ!穂乃果、教室に忘れ物しちゃったかも!」

海未「…まったく、これで何度目ですか?」

ことり「……」

穂乃果「えへへ…まだ学校って開いてるよね?ちょっと取ってくるから、二人は先に帰ってて!」

ことり「うん…わかった。バイバイ、穂乃果ちゃん」

海未「慌てると怪我をしますから、気をつけてくださいね」

穂乃果「うんっ。それじゃ、また明日ね!」タタタッ
 
28: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:10:02.21 ID:K8f9nsLi
ことり「…行っちゃったね」

海未「えぇ」

ことり「……」

海未「何度も言っていますが…ことり、あなたは悪くありませんよ」

ことり「海未ちゃんはいつでも優しいよね。でも…」

海未「……」

ことり「…悪くないわけないよ」

海未「……」

ことり「……」

海未「…みんなに連絡しましょう」

ことり「これが…最後なんだよね」

海未「…はい」



海未(罪滅ぼしの日々が終わる…)

海未(いっそのこと、終わらなければいいのに)


――――――
――――
――
 
29: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:11:12.45 ID:K8f9nsLi
―学校―


穂乃果「はぁ、はぁ、はぁ…」


ズキンッ…ズキンッ…ズキンッ…ズキンッ…


穂乃果(痛い…頭が割れそう…)


ズキンッ…ズキンッ…ズキンッ…ズキンッ…


穂乃果(でも…)

穂乃果「…確かめないと」


ことり『…お昼ごはんを食べてたよ』


海未『教室です』


穂乃果「海未ちゃんとことりちゃんは嘘をついてる。どうしてかはわからないけど…」

穂乃果「二人が穂乃果に隠し事なんて…こんなこと今まで一度も…」


ズキンッ‼︎
 
30: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:11:46.34 ID:K8f9nsLi
穂乃果「…ッ!!痛った…」

穂乃果「……」


穂乃果(穂乃果たちは昔からずっと仲良しで…親友同士なんだもん)

穂乃果(隠し事なんてされたことない…たったの一度も)

穂乃果(……)

穂乃果(――本当に?)


ズキンッ…ズキンッ…ズキンッ…ズキンッ…


穂乃果「…ないよ、そんなの。あるわけない」

穂乃果「とにかく…まずは教室に向かわなきゃ」


――――――
――――
――
 
32: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:13:02.59 ID:K8f9nsLi
―第二学年廊下―


穂乃果「まず絶対におかしいこと…」


『まぁ仕方ないよ。ウチの学校、一学年に8クラスもあるんだし』


穂乃果「…そんなわけない。だって音ノ木坂は廃校寸前で…二年生は2クラスしかなかったもん」

穂乃果「でも…」チラッ


『2-8』


穂乃果「たしかに8組まで…どうして?それに…」

穂乃果「なんで穂乃果は気づかなかったんだろう…いくらなんでもこんな単純なこと…」

穂乃果「……」

穂乃果「穂乃果の記憶…学校は廃校寸前で…海未ちゃんたちとは違うクラスで…」


ズキンッ‼︎
 
34: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:13:41.05 ID:K8f9nsLi
穂乃果「…っ」

穂乃果「……」

穂乃果「…違う。それも間違ってる」

穂乃果「穂乃果たち三人は…」


ズキンッ…ズキンッ…ズキンッ…ズキンッ…


穂乃果「……」スタスタ


ガラッ


穂乃果「名簿…きっと教卓の中に…」ガサゴソ


『2年1組 生徒名簿』


穂乃果「…あった」
 
35: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:14:25.08 ID:K8f9nsLi
穂乃果「『高坂穂乃果』…もちろん穂乃果の名前は書いてある」

穂乃果「じゃあ…」

穂乃果(『園田海未』…園田海未…園田…そのだ…)

穂乃果(…ない。『南ことり』も…ない)

穂乃果(……)

穂乃果「隣のクラスは…」タタタッ


『2年2組 生徒名簿』


穂乃果「『園田海未』…ない。『南ことり』も…」

穂乃果「…っ」タタタッ


『2年3組 生徒名簿』


穂乃果「…ない」


『2年4組 生徒名簿』


穂乃果「…ない…ない」


『2年5組 生徒名簿』

『2年6組 生徒名簿』


穂乃果「ない」


『2年7組 生徒名簿』

『2年8組 生徒名簿』


穂乃果「ない。ない。ない。ない。ない。」


ズキンッ…ズキンッ…ズキンッ…ズキンッ…
 
36: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:15:03.81 ID:K8f9nsLi
穂乃果「……」

穂乃果(頭の中がごちゃごちゃで…いろんな記憶が入り混じってる)

穂乃果(海未ちゃんとことりちゃん…二人と同じクラスだった記憶と…違うクラスだった記憶)

穂乃果(でもこの名簿は…どっちの記憶とも噛み合わない)

穂乃果(じゃあ…この記憶は何?)


ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎


穂乃果(わからない…わからないよ。穂乃果はずっと…嘘をつかれてたの?)

穂乃果(海未ちゃんとことりちゃんは…)



『――のかちゃん―――きたともだち――ずっとそばに―――』



穂乃果(……)

穂乃果「そうだよ…穂乃果たちはずっと友達…ずっと一緒なんだもん」

穂乃果「嘘とかそんなのじゃない…きっと何か理由があるんだよ」

穂乃果「…今はそれを探さなきゃ」


――――――
――――
――
 
37: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:16:15.19 ID:K8f9nsLi
―学校・校門前―


真姫「…おまたせ」

海未「真姫…」

真姫「他のみんなは?」

ことり「もう少しで着くみたい」

真姫「そう…」


真姫「…様子はどうだった?今までと違った印象はあった?」

海未「正直なんとも言えません。かなり考え込んでいるようには見えましたが…」

真姫「…なるほどね」
 
38: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:16:54.56 ID:K8f9nsLi
ことり「…私たちがしてることって正しいのかな」

真姫「……」

ことり「…ごめんね、否定するつもりじゃないの」

真姫「わかってるわ。私も…疑問に思うときがある」

ことり「……」

真姫「私たちは…もっともらしい理由をつけて逃げ続けてるだけなんじゃないかって。見切りをつけるタイミングなんていくらでもあったのに」

海未「…でもその答えも、もうすぐわかるでしょう?どちらにせよ後戻りなんてできません」

真姫「…そうね」


真姫(うまくいったとしても、失った時間を取り戻せるわけじゃないけど…)

真姫(前に進める可能性が少しでもあるのなら…)


真姫「やり遂げましょう、最後まで」


――――――
――――
――
 
39: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:17:50.09 ID:K8f9nsLi
―理事長室前―


穂乃果「……」

穂乃果(理事長室…ここに答えがあるのかはわからないけど)

穂乃果(調べてみる価値はある…はず)

穂乃果(とはいえ、そもそも理事長が部屋にいたらどうしようもないよね…)

穂乃果「…考えてても仕方ないか」


コンコン


穂乃果(…いないのかな。鍵は…)


ガチャッ…


穂乃果(開いてる…)

穂乃果「…失礼します」
 
40: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:18:19.49 ID:K8f9nsLi
穂乃果「電気…ついてる」

穂乃果「……」

穂乃果「…早く探さなきゃ」

穂乃果(でも何を…)


ガサゴソ


穂乃果「人事告知…予算報告書…学校規模の適正化…違う、こんな書類じゃなくて…」

穂乃果「…?」

穂乃果「このファイルだけタイトルがついてない…」

穂乃果「……」ペラッ

穂乃果「……」

穂乃果「なに…これ…」
 
41: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:19:27.97 ID:K8f9nsLi
『2年1組 高坂穂乃果への特例処置について』

標記の件につき、全職員は下記の通り対応を徹底してください。

1. 高坂穂乃果(以下「当該生徒」という。)が空想する状況を否定せず、可能な限りその筋書きに沿った役割を演じること。

2. 当該生徒が所属する2年1組の生徒には、当該生徒の病状について適度に説明を行うこと。ただし、生徒への負担を考慮し、過度な治療協力の強制は避けること。

3. 治療の本旨を鑑みて、2年1組以外の生徒には当該生徒の病状について周知をしないこと。

4. 以下8名の旧音ノ木坂学院卒業生は、当該生徒の治療において特に重要な役割を担っているため、本校への出入りならびに突発的な授業参加等を許可すること。

・園田海未
・南ことり
・絢瀬絵里
・東條希
・矢澤にこ
・小泉花陽
・西木野真姫
・星空凛

5. 治療の過程で当該生徒が予期せぬ反応を示した場合、通常の医療機関への連絡は行わず、南理事長まで早急に報告をすること。
 
42: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:20:05.81 ID:K8f9nsLi
穂乃果「……」


ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎ズキンッ!!


穂乃果(治療…病気ってこと?穂乃果が…?)

穂乃果(…意味がわからない。それに…)


『以下8名の本校卒業生は――』


穂乃果(卒業生…って?)


穂乃果「穂乃果は…海未ちゃんとことりちゃんだけじゃなくて、他のμ'sのみんなにも…」


ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎ズキンッ!!


穂乃果(…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)

穂乃果(違う…空想なんかじゃない。私は――)



『――穂乃果ちゃんは――てできた友達だよ――ずっとそばにいた友達――』
 
43: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:20:57.73 ID:K8f9nsLi
穂乃果(……)

穂乃果「穂乃果たちは…そう…友達なんだもん…9人みんながずっと…」


ガチャッ…


穂乃果「…っ!!」

穂乃果(誰…?もしかして理事長が…)



真姫「…穂乃果」

穂乃果「真姫ちゃん…?」

真姫「私だけじゃないわ。みんなも一緒よ」

海未「……」

ことり「穂乃果ちゃん…」

穂乃果「みんな、どうして…」
 
44: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:21:37.57 ID:K8f9nsLi
絵里「…ごめんなさい、穂乃果」

希「……」

穂乃果「ごめんなさいって…もういいよ、そんなの…みんなそればっかりだもん!」

にこ「……」

穂乃果「説明してよ…みんなで穂乃果に隠し事してたんでしょ…?」

花陽「ち、違うの穂乃果ちゃん。私たちそんなつもりじゃ…」

凛「…仕方ないよ。穂乃果ちゃんからしたら、そう見えても…」


穂乃果「……」

海未「…真姫」

真姫「…わかったわ」
 
45: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:22:12.14 ID:K8f9nsLi
真姫「穂乃果…その書類は読んだのよね?」

穂乃果「…読んだよ」

真姫「そう…なら話は早いわ」

穂乃果「……」

真姫「これから話すこと、とても受け入れ難いと思う。でもあなたなら…乗り越えられるって信じてる」

穂乃果「……」

真姫「穂乃果…まず私たちは――」



真姫「もう音ノ木坂の生徒じゃない。だから…μ'sというスクールアイドルは既に存在しない」



穂乃果「なに…言ってるの…?」

真姫「……」

穂乃果「だって…ずっと練習してきたじゃん!今日だって!!」

穂乃果「たしかに最近は、なかなか全員揃わなかったかもしれないけど…それでもっ!!」
 
46: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:22:50.95 ID:K8f9nsLi
真姫「……」

穂乃果「つい最近だって、みんなでライブもしたよ!!オープンキャンパスでのライブとか、路上ライブとか…学園祭でも――」


ズキンッ‼︎


穂乃果「…ッ!!」

真姫「学園祭でのライブ…思い出せる?」

穂乃果「……」


ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎ズキンッ!!


真姫「あの日、私たちは雨の中…屋上でのライブに臨んだ」

穂乃果「…イヤ」


ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎ズキンッ‼︎ズキンッ!!


真姫「穂乃果…あなたは体調不良を押してライブをしようとして…」

穂乃果「やめてよ…」



真姫「一曲目を歌い切ることができずに、倒れ込んでしまった」

穂乃果「やめて!!!」
 
47: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:23:23.48 ID:K8f9nsLi
穂乃果「ハァ、ハァ、ハァ…」

真姫「…ごめんなさい。でも、ここでやめるわけにはいかないの」


穂乃果(違う違う違う…!!デタラメだよ…穂乃果は…私は…)

真姫「…この一件を受けて、私たちはラブライブへのエントリーを辞退したわ。そして同時に…」

真姫「音ノ木坂学院の統廃合が決定した。周辺の高校と合併して、校舎はそのまま利用しているけれど…」

穂乃果「そんなわけない…学園祭ライブは成功して…入学希望者も…増えて…」

真姫「……」

海未「…穂乃果」

穂乃果「海未…ちゃん…?」

海未「心の底では、あなたも理解しているはずです。でも…それを現実として受け入れない限り、前には進めないんです」
 
48: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:24:19.19 ID:K8f9nsLi
穂乃果「受け入れるとか、前に進むとか…海未ちゃんが何を言ってるのかわからないよ…」

海未「……」

穂乃果「だって…たしかに覚えてるんだもん!ライブをして、廃校を阻止して…それで――」


ズキンッ‼︎


穂乃果「…っ」

海未「それで…その後は?」

ことり「……」

穂乃果「その後…その後は…」


『――穂乃果ちゃんは、初めてできた友達だよ――ずっとそばにいた友達だよ――』


真姫「…ラブライブへのエントリーを辞退して、学校の統廃合が決まった後…」



ことり「私が…留学で海外に行くことになった」
 
49: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:25:00.69 ID:K8f9nsLi
穂乃果「ことりちゃん…?留学って…」

穂乃果(だって穂乃果たちは…何があってもずっと一緒に――)



『聞いてほしかったよ、穂乃果ちゃんには…一番に相談したかった…だって穂乃果ちゃんは、初めてできた友達だよ…ずっとそばにいた友達だよ…!!』



穂乃果「ぅ…ぁ…」

ことり「穂乃果ちゃん…ごめんね…ごめん…」

真姫「…ことりが留学に行ってしまってから、あなたは完全に心を閉ざしてしまった」

真姫「学校にも来なくなって…一年間入院していたの。思い出せるでしょう?」

穂乃果「……」

真姫「あのときの穂乃果…見ていられなかったわ。虚ろな目で茫然として…いつも太陽みたいに眩しかったあなたが…」

海未「…っ」


穂乃果「…そっか」

ことり「穂乃果ちゃん…?思い出し――」
 
50: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:25:37.15 ID:K8f9nsLi
穂乃果「みんなで穂乃果をからかってるんでしょ?こんな書類まで作って…イジワルだなぁ」アハハ

ことり「穂乃果ちゃん…」

穂乃果「ドッキリはもう終わりだよっ。こんな作り話には引っかからな――」



海未「穂乃果っ!!」

穂乃果「…海未ちゃん、どうしたの?」

海未「穂乃果…お願いです…」

穂乃果「どうして…」





穂乃果「どうして泣いてるの?」

海未「……」ポロポロ
 
51: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:26:25.99 ID:K8f9nsLi
海未「穂乃果…これが最後のチャンスなんです…今回もダメだったら…またあなたは…」

穂乃果「…海未ちゃん、やっぱりさっきから言ってること全然わかんないよ。最後ってどういう――」





海未「あなたは空想の世界を繰り返し続けてるんです!!何度も…何度も!!!」



穂乃果「空想…繰り返す…?」

海未「……」

穂乃果「海未ちゃん、ホントに何を――」


ズキンッ‼︎


穂乃果「……」
 
52: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:27:54.19 ID:K8f9nsLi
真姫「ことりが一年間の留学から戻ってすぐに、あなたは退院していつも通りの生活に戻ったわ」

真姫「私たちは安心した。元気な穂乃果に戻ってくれたんだって…失ったものもあったけど、またみんなで楽しく笑えるんだって」

穂乃果「……」

真姫「でも元通りにはならなかった…いえ、元通りすぎたのかもしれない」



穂乃果『もっちろん!だってラブライブがまた開催されるんだよ。もーっと頑張らないと!!』



穂乃果「私は…」

真姫「……」





真姫「あなたは現実から目を背け、空想の世界をつくり出した。音ノ木坂学院を廃校から救って、もう一度9人でラブライブ優勝を目指す世界を」
 
53: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:28:27.78 ID:K8f9nsLi
穂乃果(…あぁ、そっか)


真姫「…ロールプレイング療法って呼んだりするの。心理療法の一つよ」


穂乃果(μ'sがしてきたこと…)


真姫「私たちはできる限り、つくり出された世界で役割を演じ続けた。あなたが現実との矛盾に気づき、それを受け入れられるようになるまで」


穂乃果(私がしてきたことは…)


真姫「今まで何度も同じことを繰り返してきたわ…三年もの間ね」





穂乃果(全部ムダだったんだ)
 
54: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:29:24.06 ID:K8f9nsLi
穂乃果「……」

海未「…絵里たちは今、大学四年生です。もうすぐ新しい道に進むことになって…治療のために時間を割くことは難しくなります」

海未「だから…今回が最後なんです」

真姫「…今回うまくいかなければ、あなたはもう一度入院することになる。そして…きっとまた心を閉ざしてしまう…」

穂乃果「……」

海未「穂乃果…あなたのあんな姿、もう見たくないんです…だから…!!」



穂乃果「…あははっ」

海未「穂乃果…?」

穂乃果「そうだよね…みんなゴメンね。最初から最後まで私のワガママに付き合わせちゃって」

穂乃果(そう…全部私のワガママだったんだ)



『今日から私たちは…μ'sだ!!!』





穂乃果「思い出したよ、何もかも」


――――――
――――
――
 
55: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:30:14.97 ID:K8f9nsLi
―数日後・穂乃果の部屋―


トントン


海未「…穂乃果、入りますよ」スーッ

ことり「…おじゃまします」



穂乃果「あっ、いらっしゃい!二人とも、お見舞いに来てくれたの!?」

海未「…えぇ、そうですよ。体調はよくなりましたか?」

穂乃果「うんっ、もうバッチリだよ!」

ことり「どこか痛いところとかない…?」

穂乃果「ふふっ、ことりちゃん心配しすぎだって。どこも痛くないよ!」

ことり「そっか…よかったぁ」

穂乃果「いつまでも休んでいられないもん。ラブライブも近いし、早く練習に復帰しないと!!」

海未「……」

ことり「そう…だね」
 
57: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:30:58.85 ID:K8f9nsLi
穂乃果「うぅ〜…二人の顔見たら、なんか居ても立っても居られなくなってきちゃった!ちょっとランニングしてくる!!」バッ

海未「穂乃果…いけませんよ、病み上がりなんですから…」

ことり「海未ちゃんの言う通りだよ、しばらく安静にしてないと…」

穂乃果「だいじょーぶ!!私、ホントのホントに元気いっぱいだから!!」

海未「ですが…」

穂乃果「……」



穂乃果「…ねぇ。海未ちゃん、ことりちゃん」

ことり「…?」

海未「…どうしたんですか?」





穂乃果「後悔しながら無理して生きるのと、何もかも忘れて逃げ出してしまうの…どっちがマシなんだろ」





ことり「穂乃果ちゃん…?」

海未「なにを言って…」

穂乃果「……」



穂乃果「――ゴメンね、じゃあ行ってくるっ」


――――――
――――
――
 
58: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:31:37.23 ID:K8f9nsLi

 
61: (もんじゃ) 2022/01/21(金) 19:38:13.05 ID:K8f9nsLi
元ネタ『シャッター アイランド』


前に書いたSSもよかったら

穂乃果「天国にいる二人に、もう一度会いたい」

https://itest.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1611229018/
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1642758222/

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