【SS】千歌「曜ちゃんエグゼ、トランスミッション!」【ラブライブ!サンシャイン!!】

SS


2: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:14:38.35 ID:8E5jsiQ2
データになってもずっと友達
 
4: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:16:12.08 ID:8E5jsiQ2
千歌「曜ちゃん!?」

果南「曜!!」

ダイヤ「曜さん!?誰か、救急車を!!早く!!」

あれ、私どうなったんだろ――――――?

身体うごかないや

あれれ?
 
5: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:18:02.46 ID:8E5jsiQ2
「恐らく娘さんはもう――――」

「そんな…………」

「娘はまだ高校生なんです!!部活動も飛込競技だってあんなに頑張ってたのに……!」

誰かの話声がする。

パパとママと…誰だろう?

意識はあるのに体は動かないし声も出せない。

私はどこに居るんだろう…

真っ暗で何も見えない

はは……ちょっと怖いな
 
6: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:21:09.12 ID:8E5jsiQ2
「一つだけ娘さんを活かす方法があります」

「何でもいいから娘を助けてください!!」

「分かりました。娘さんに直接お話して最終的な意思確認をさせていただきます」

??お話しなんてできるのかな…

「聞こえているかな?急な話なんだが、君はもう肉体的には死んでしまった」

もしもし……はい、聞こえてます

死んじゃったんですね、私
 
7: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:25:07.87 ID:8E5jsiQ2
「残念ながらね。だが、私は幽霊でも何でもない。君を活かす方法を知っているものだ」

お医者さんですか?

植物人間になっちゃってパパやママに迷惑かけちゃうくらいなら……怖いけど、私死にます
パパとママと…千歌ちゃんにありがとうって伝えてください

「いいや、君はこれからもご両親やお友達と過ごすことができるんだ。その方法は――」


………お願いします
 
8: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:29:36.37 ID:8E5jsiQ2
「ー…ゃん、よ…ちゃん、よーちゃん!」

『ん……ここは?』

千歌「ようこそ!!浦の星女学院スクールアイドル部へ!曜ちゃん!」

曜『色々心配かけちゃってごめんね…渡辺曜、電子の世界に復活であります!』

画面を通して見る世界。
これが私の新しい人生の始まりだった。
 
9: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:33:59.12 ID:8E5jsiQ2
果南「曜ーーーーーーー!!心配したんだからねー!」

ダイヤ「あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!!果南さんPCのモニターをハグする人がありますか!!液晶が割れたらどうするんですの!」

花丸「未来じゅらー……でも、本当に良かった…良かったよ」

ルビィ「これからも一緒だよ…?」

善子「契約はもうしたから!これから勝手に居なくなるの禁止よ!」

梨子「これからは作曲も手伝ってもらえたら嬉しいな♪」

鞠莉「おかえりなさい…我が浦の星女学院は貴女の復帰を心より歓迎するわ!!」

曜『ありがとう…ただいま!!』

こうして私は、再び浦の星女学院へと舞い戻ることが出来ました!
 
11: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:37:40.52 ID:8E5jsiQ2
鞠莉「それじゃあ記念のCoffeでも♪」

ルビィ「へっくち!」

鞠莉「oh」

ダイヤ「あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!!PCにかかったらどうするんですの!?もう少しあなた方は気を付けてですね…!」

ヨーソローヨーソロー、前途は多難そうであります
 
12: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:41:11.38 ID:8E5jsiQ2
こうして私は基本的に千歌ちゃんのお家でお世話になることになりました。

パパはあまり帰ってこれないし、ママも日中はお仕事でいない。

帰ろうと思えばネットさえ繋がっていればいつでも帰れるし、友達と居た方がいいんじゃないかということで千歌ちゃんのスマホやスクールアイドル部のPCが私の新しい住処。
 
13: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:43:31.77 ID:8E5jsiQ2
千歌「わぁぁぁぁぁん!どうしよー!作詞ずっとしてたから課題ちっとも終わってなーい!!」

曜『あはは…どうしよっか』

千歌「どうしよっかじゃないよぉ~梨子ちゃんもう寝ちゃってるっぽいし…」

曜『LINEでも送ってみる?』

千歌「……いい」

曜『そうだ!課題のページにカメラ向けてみてよ!』

千歌「こう?」

曜『OK!ちょっと調べてみるね!えっとこの公式は…こうやって解けば』

千歌「かしこーい!」

曜『分からない問題があったらどんどん言ってね!バッチリ教えちゃうよ!』
 
15: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:46:29.84 ID:8E5jsiQ2
千歌「ふぅ~終わったぁ。もう千歌寝るね、明日7時に起こしておやすみぃ曜ちゃん」

曜『了解であります!おやすみ、千歌ちゃん』

千歌ちゃんが眠った後も私は眠らない。

眠くもならないし寝る必要だってない。

同じ時間を同じ場所で過ごしているのに、共有できることが一つ減ってしまったようで

なんだか少し寂しいな、なんて。
 
17: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:51:25.40 ID:8E5jsiQ2
曜『花丸ちゃんワンテンポ遅れてるよー!』

花丸「はいっ!」

曜『果南ちゃんは少し早い!』

果南「あれっ?ごめん、もっかいお願い!」

ダイヤ「ふふ、曜さんもなかなか熱が入ってますわね」

曜『まぁ…私ができるのってこんなことだから』

鞠莉「NO!そういう考え方は良くないわよ?貴女も含めて9人のAqoursなんだから」

ルビィ「そうだよ!ルビィだけじゃ衣装作るの大変だから型紙作るのとかお手伝いしてもらわないと…」

曜『そうだね。ありがとう、ごめんね』
 
18: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:55:13.38 ID:8E5jsiQ2
些細なことなんだろうけど

ごめんね、ありがとうじゃなく

私はありがとう、ごめんねと言葉を紡いでしまった。

皆は私を迎えてくれたけど

私はもう二度と衣装を作ることもできないし、みんなと同じ舞台で踊ることもできない。

優しく接してもらうほど、画面の向こうが遠くなっていくようだった。

私が居ないところで何かしてるみたいだし

もう私は要らないのかな?

そんな事を時々考えてしまう。

考えすぎだよね
 
19: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 00:58:41.99 ID:8E5jsiQ2
千歌「電池切れてた…大丈夫、曜ちゃん!?」

曜『ん…あれ、私…』

千歌「ほんとごめん!電池切れてたんだぁ…何ともない?」

曜『平気だよ、なんともないみたい。でも…』

千歌「でも?」

曜『ううん、なんでもない。最近千歌ちゃんずっと忙しそうだもんね』

自分の意識が急に途絶えた時とても怖かった。

それを千歌ちゃんに言えるワケもなくて。

私が消えてもいいだなんて千歌ちゃんが思ってるわけないのに、どうしようもなく悲しくなった。
 
20: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 01:02:42.85 ID:8E5jsiQ2
ダイヤ「新曲発表まで時間がありません。気を引き締めて!」

善子「承知!」

果南「曜もしっかり振り付け覚えてきてよー?」

曜『私も?』

鞠莉「当然♪何度も言ってるでしょ?9人でAqoursなんだから」

曜『ありがと…そうだね』

梨子「歌も覚えてこないと梨子ちゃんビームの刑だからねー?」
 
22: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 01:10:24.12 ID:8E5jsiQ2
私は意図的に記憶を削除しない限り忘れるということがない。

つまりは歌も踊りも一度見てしまえばそれでお終い。

疲れもしないし、何曲歌おうが喉を傷めることもない。

機械みたいな私がAqoursの一員でいていいのかな?

きっと考えすぎなのは分かってる。

でも、こんなこと誰に言ったって分かってもらえるわけないから。
 
23: (プーアル茶) 2018/10/18(木) 01:23:44.71 ID:8E5jsiQ2
千歌「はー…今日も練習疲れたぁ」

曜『お疲れ様。そう言えば宿題はやったの?』

千歌「まだだった…よーちゃん今日だけでいいから答えだけ教えて」

曜『別にいいけど…もうそろそろ期末だよ?勉強しなくても大丈夫?』

千歌「だーいじょうぶー!ちゃんと後で勉強するから」

曜『でも最近練習ばっかりで勉強してるところ見てないな…なんて』

千歌「しょうがないじゃん!曜ちゃんと違って疲れるんだもん」

曜『そんな言い方…』

千歌「あ、違うの……ごめん、そうじゃなくて」

曜『ごめんね、お家の中までずっと一緒に居て勉強のこと言われたら怒るよね?私だって嫌だと思うもん』

千歌「違う!今のは千歌が悪くて!」

曜『いいよ、千歌ちゃんは悪くないから。答えだけまとめて置いていくね、私一回家のPCに帰ることにするよ』

千歌「まって!よーちゃん!よーちゃんってば!」
 
41: (プーアル茶) 2018/10/19(金) 00:11:01.98 ID:4RcWwzx6
家のPCに帰り、何の気なしにゴミ箱に入ってみる。

削除した後にアンインストールを自らの意思で選択すれば、渡辺曜という存在は完全に消えてしまう。

何度も何度も躊躇って、ついに私は二度目の死を受け入れることは出来なかった。

曜『何やってるんだろう私……こんなことがしたいわけじゃないのに』
 
42: (プーアル茶) 2018/10/19(金) 00:16:09.19 ID:4RcWwzx6
幾らインターネットで沈んだ気持ちを治める方法を調べても効果的なものは見つからない。

そんな事を繰り返しているうちに、いつの間にか一日と半日ほどの時間が経過していたらしい。

そうだ、今日はパパが帰ってくる日だ。

忘れてなんかいなかったし、時刻も正確に把握していたのに

体感時間というものがまだこの世界に慣れていなかったのかな?

こんな時はパパにお話をしてみよう。
 
43: (プーアル茶) 2018/10/19(金) 00:17:40.20 ID:4RcWwzx6
『私ね、死のうとしてたんだ。って…もう死んじゃってるんだけど、はは…』

『なんだか最近、私だけ仲間外れなんじゃないかって気がして』

『ううん、本当はみんな私に優しくしてくれるよ』

『少し拗ねちゃってるのかな…』

いつも私の話を時間の限り聞いてくれる優しいパパ。

パパは一つの点を除いて、今まで通り私のお話を聞いてくれた。

パパが私の意見をハッキリと否定したのはこれが初めてかもしれない。
 
44: (プーアル茶) 2018/10/19(金) 00:24:14.39 ID:4RcWwzx6
「どんな形でもパパより一日でも長く生きていてほしい」

それはきっと子供を持つ親なら珍しくない願いなんだと思う。

そんな当たり前の事も分からず、また死のうとしてた私はやっぱりバカ曜で…

こんなバカ曜をパパは今でも変わらず、ずっと愛してくれていて

前を向こう。そう決めたのであります!

「友達の事が気になるなら他のお友達に聞いてみるのもいい」

パパのアドバイスを受けた私はそのままメンバーの元へ全速前進!

……とはいかず、パパが眠ってから朝になるまでずっとソワソワしていました。
 
62: (プーアル茶) 2018/10/20(土) 20:33:18.23 ID:w3TluxBG
梨子「それで私の所に?」

曜『うん』

梨子「ふふっ、なんだか嬉しいかも」

曜『え、なんで?』

梨子「うーん……聞きたい?」

曜『折角だしそんなに勿体ぶられると気になっちゃうよ』

梨子「まず一つはね、曜ちゃんも私の事を友達だって思ってくれてたんだなぁって」

曜『……』

梨子「何となくね、私は千歌ちゃんのお友達だから曜ちゃんも私とお話してくれてたのかな?って思ったことがあるの」

曜『そんなこと…』

梨子「うん。だからこうして友達として私に相談しに来てくれたことが嬉しい」
 
63: (プーアル茶) 2018/10/20(土) 20:36:59.12 ID:w3TluxBG
曜『一つってことはまだ何かあるの?』

梨子「千歌ちゃんの一番のお友達はね、曜ちゃんあなただと思うの。羨ましいくらいに」

曜『そうかな…梨子ちゃんの方が』

梨子「その曜ちゃんから見て千歌ちゃんと仲のいい友達だって思われてて、私少し安心したんだ。あぁ、私と千歌ちゃんはちゃんとお友達なんだって」

曜『そうだと思うよ。だって千歌ちゃんは梨子ちゃんが来てからずっと…』

梨子「曜ちゃん、ネガティブは禁止だよ?自分で決めたんでしょう?」

曜『ホントだ…ごめんね』

梨子「まずは曜ちゃんの不安を取り除くのが先なのかな。千歌ちゃんね、曜ちゃんが帰ってきてからずっと曜ちゃん曜ちゃんってうるさいんだから」

曜『そうだったの!?』

梨子「うん。ちょっと嫉妬しちゃうくらいにね」

曜『梨子ちゃんが嫉妬だなんて…なんで』
 
64: (プーアル茶) 2018/10/20(土) 20:39:09.23 ID:w3TluxBG
梨子「曜ちゃん。人の気持ちってね、きっと誰にも分からないものだと思うの。今の曜ちゃんに言うのは酷かもしれないけれど、普通に生きてきた時の曜ちゃんだって、今の私達だって何も変わらない」

曜『かもしれないね。梨子ちゃんが苦しんでいたなんて私思わなかったな』

梨子「曜ちゃんの苦しみは重いものだと思うけれど、私にはそれがどんなものなのか分からない。程度は違うかもしれないけど私が辛いことは曜ちゃんにも分からなかったでしょう?」

曜『はは…結構刺さるなぁ』

梨子「でもね、相手に寄りそって一緒に悩んだり道を探すことはできる。それがお友達なんじゃないかなって思うの」

曜『だとしたら、私も梨子ちゃんの役に立てたってことなのかな』

梨子「役に立つってそんな言い方しなくても、曜ちゃんは私のお友達の曜ちゃんのままなんだから。話をしてもらえて嬉しかったし、聞いてもらえてよかった。おあいこね」

曜『うん。友達…だもんね』
 
65: (プーアル茶) 2018/10/20(土) 20:43:04.61 ID:w3TluxBG
梨子「曜ちゃん、あなたはあなたのまま何も変わってないわ。だから安心してAqoursは9人でAqoursなの」

曜『ありがとう、梨子ちゃん』

梨子「どういたしまして」

曜『でも…それなら千歌ちゃん最近ずっと忙しそうなのにどうして私に相談の一つもしてくれないんだろう』

梨子「それはね…」

曜『それは?』

梨子「ふふ、内緒♪」

曜『えーー!何か隠してるの!?ズルいよーーーー!教えてよーー!』

梨子「ダーメ。あ、でも新曲はちゃんと覚えてきてね?忘れたりしたらダメだから」
 
66: (プーアル茶) 2018/10/20(土) 20:45:36.57 ID:w3TluxBG
こうして、謎を抱えたまま月日が経過していきました。

誰に相談してみても、お楽しみだとか内緒ではぐらかされて肝心な部分は教えてもらえない。

皆どこかソワソワしていて…特に千歌ちゃんは

一つはっきりしたのは千歌ちゃんが何やら次のライブに向けて今まで以上に頑張っていることなんだけど…

それ以上は分からず、言われたとおりに歌と踊りを覚えとうとう新曲発表の日が来てしまいました。

結局千歌ちゃんとの仲直りは出来ていない。みんながライブをやり切った後に必ず仲直りするんだ。
 
67: (プーアル茶) 2018/10/20(土) 20:47:49.62 ID:w3TluxBG
果南「お、みんな揃ったね」

ダイヤ「当然。新曲発表の日に遅れるだなんてブッブー!ですわ」

曜『随分山奥のステージにしたんだね』

梨子「どうしても譲れない条件があって…それだとここしかなかったんだ」

果南「ホントは沼津市街とかでできればよかったんだけど、まだまだグループとして力不足だったみたい」

曜『そっかぁ…そう言えば千歌ちゃんが居ないみたいだけど』

梨子「千歌ちゃんはね、朝早くから運営の人とステージの細かい調整とかでもう先に入ってるんだ」

曜『じゃあ、今日は頑張ってね、私も応援するから!』

善子「フフフ…」

鞠莉「ルビィ、準備はいい?」

曜『どうしたの?PCもって…なんだか怖いんだけど』
 
68: (プーアル茶) 2018/10/20(土) 20:52:45.63 ID:w3TluxBG
梨子「言ったでしょ?ダンスと歌覚えてきてねって」

ルビィ「曜ちゃんもお着替えの時間だよ!」

曜『えぇー!?』

鞠莉「USBセットオン!」

ルビィ「ぅゆ!」

曜『わっ!これ…私のステージ衣装?』

ダイヤ「新曲も、これからもずっと曜さんと一緒に踊るんだって千歌さん聞かなかったんです」

果南「運営にも掛け合って、慣れない衣装データ作りまでやりだしたりねー」

曜『それじゃずっと千歌ちゃんは…』

善子「アンタと同じステージに立てるようにリーダーらしく頑張ってたってわけ」

果南「一番目立つスクリーンの中で踊ってもらうからね」
 
69: (プーアル茶) 2018/10/20(土) 20:57:14.53 ID:w3TluxBG
ダイヤ「さぁそろそろ私達も最後の打ち合わせに……」

ルビィ「……なんだか焦げ臭い」

「みんな避難してくれ!!火事だ!!」

ダイヤ「火事ってどういうことです!?」

「見ての通りだよ!!こんな山奥で機材あれこれ引っ張り出したの初めてだったから……ネズミ辺りがケーブルを齧っててそれがショートしたのかもしれない」

善子「それで千歌は見捨てて逃げてきたっていうの!?」

「引っ張ってきたんだけど手を振りほどいて戻っていったんだよ…とにかくこのままじゃ君たちも危ない、最悪山火事になるぞ!」

果南「千歌はどこ!私が行く!」

「PCが置いてある部屋じゃないかな…ここのステージ山奥なのに無駄にハイテクだからスプリンクラーもシステム制御なんだ。
何せ本番どころか君たちとの打ち合わせ前だったからね、立ち上げる前にこのザマだよ。意地でも今日のステージ成功させたかったみたいだからそこだと思うが…」

花丸「それでも火が止まってないってことは…千歌ちゃんは部屋の中で」

ルビィ「花丸ちゃん!」

花丸「ごめんなさい。でも、早くしないと千歌ちゃんが危ないと思う」

鞠莉「OK、私が行くわ。水はかなり持って来てるから被っていけばちかっちを助けて帰ってくるまでは持つはず」

ダイヤ「危険すぎます!」

曜『私が行くよ』

梨子「曜ちゃん!?」

曜『電波は出てるみたいだしここから会場のPCまで送ってもらえれば、私が一番スムーズにスプリンクラーを作動させられる』
 
72: (プーアル茶) 2018/10/21(日) 01:35:56.98 ID:VeuaXUML
善子「スプリンクラーって問答無用に辺りに水撒くんじゃないの?」

ダイヤ「曜さんがこちらに帰ってくる前に向こうのPCが壊れてしまえば…」

曜『それ以上は言わないで。大丈夫、必ず帰ってくるから』

鞠莉「やっぱり私が…!」

曜『私と皆じゃ命の重さが違うから。それにえーっと……バックアップも取ってあるからもし向こうのPCが壊れても平気』

梨子「本当に大丈夫なのね」

曜『うん、任せて』

鞠莉「分かった。火が収まったらすぐに行くから…死なないでね」

曜『了解であります!全速前進、ヨーソロー!』
 
73: (プーアル茶) 2018/10/21(日) 01:38:33.46 ID:VeuaXUML
私はひとつ皆に嘘をついてしまった。

私のデータにバックアップなんてものは存在しない。

人間という膨大の情報の塊を無理矢理データに変換したものが今の私。

圧縮のおかげで普通のPCでも活動できるようにはなっているけれど、一度壊れてしまえば拾いきれない程の断片的なデータとして散らばってしまう。

もしデータとして死んでしまった君を復元してもそれは出来のいい人工知能の域を出ないものになってしまうだろうと。

その事は私を救ってくれた科学者の人から言って聞かされていた。

それでも行くんだ…!

待っててね、千歌ちゃん!
 
74: (プーアル茶) 2018/10/21(日) 01:40:18.03 ID:VeuaXUML
曜『PCルームまでは来られたけど…この部屋のPCカメラないんだ…監視カメラもここにはないみたいだし、千歌ちゃん本当にこの部屋にいるのかな』

心を決めて、スプリンクラーを起動させる。

起動は確認できるんだけど、実際自分が水に濡れるわけじゃないからイマイチ実感としては分かり難い。

っと…他の部屋の監視カメラを見ればいいんだ。

うん、大丈夫そうだね。

すぐ帰りたい所だけどせめて鎮火を確認してからじゃないと……

あれ…?なんだかおかしいな…身体が

そっか、PCに水がかかってきちゃったのか

スピーカーついてないみたいだけど、場内の放送システムはまだ生きてるしこれでいいかな
 
75: (プーアル茶) 2018/10/21(日) 01:41:46.96 ID:VeuaXUML
曜『あ…あー…千歌ちゃ…聞こえる?』

千歌「んっ…冷たぁ。よーちゃんの声だ」

曜『ごめ…んね。折角かわいい衣装つ…ってく……のに』

千歌「よーちゃん!!」

嬉しかったよ。私の為に一生懸命になってくれて。

千歌「よーちゃん!壊れちゃうから水止めて!千歌はもう大丈夫だよ!」

私もみんなと一緒にまた踊りたかったなぁ。

千歌「聞こえてないんだ…!マイクなんて取りにいってたら曜ちゃんが…!」

みんなにごめんって代わりに伝えておいて。

千歌「千歌だって…千歌だってまだよーちゃんに謝れてないのに!」

死んじゃってからも私の友達でいてくれて嬉しかった。

きっと今日千歌ちゃんを助けるために私はもう一度命を得たんだね。

パパ、約束守れなくてごめんなさい。

ありがとう、さようなら。

千歌「死んじゃやだーーーーーーーーーーーーーー!!」
 
76: (プーアル茶) 2018/10/21(日) 01:44:21.85 ID:VeuaXUML
善子「…なんてこともあったわね」

曜『いや~心配をおかけしました』

ダイヤ「全く…千歌さんがPCに覆いかぶさっていたから助かったものの」

千歌「まぁまぁ。いいじゃんもう終わったことだし、風邪ひいたくらいで済んでよかったよ」

梨子「それにほら…曜ちゃんが居なきゃ千歌ちゃんも危なかったんだし」

果南「そうそう、怒らないの」

ダイヤ「怒ってなんかいません!…曜さんが無事でよかったと言ってるんです」

花丸「素直じゃないずら~」

ルビィ「えへへ、でもおねぇちゃぁ曜ちゃんが無事だって分かった時、本当に喜んでたんだよ?」

鞠莉「なになに~詳しく教えてほしいデース」

ダイヤ「こらっ、余計なことを!!」

曜『あ、そろそろ時間だよみんな』

千歌「本当はサプライズでしたかったけど…新曲の発表、今度こそ9人で成功させるよ!」

「「「「「「「「『Aqours、サンシャイーン!!』」」」」」」」」
 
77: (プーアル茶) 2018/10/21(日) 01:46:05.88 ID:VeuaXUML
こうしてライブは大成功。

Aqoursはラブライブにも優勝し、私達は本当の輝きを手に入れることができた。

それから時は経ち、皆はそれぞれの道を歩み始める。

いつまでも私だけが変わらないまま月日は経過していく。

両親やお世話になった先生、メンバーの訃報が入るようになっても私は何も変わらない。

一つ変わったことがあるとするなら死を受け入れることが出来たことなんだと思う。

細かにアップデートを繰り返しているお陰か、私は今でも最新の機能を持たせてもらっている。

私のような疑似人格も大幅に増え、ネット上ではそう言った心を持った人工知能用のSNSや娯楽まで存在する世界になった。

ステキな世界になったんだなと思いつつもこの世界にもう未練はない。

大好きな人たちは旅立ってしまい、渡辺曜としての役目はもうとっくに終えてしまっているから。

アイドルとしても一個人としても、もう私を覚えている人はいないから。

昔感じたような恐怖心はない、穏やかな気持ちで自分をアンインストールする。

千歌『ストップ!ストーーーーップ!!』

する?

曜『え?』
 
78: (プーアル茶) 2018/10/21(日) 01:47:04.30 ID:VeuaXUML
千歌『何自〇しようとしてるの!ダメだよー!』

曜『千歌ちゃん?』

千歌『えへへ…家族には反対されてたんだけどね、もし千歌が死んじゃったらこっちの世界にこられるようにってお願いしてたんだ』

曜『…どうして』

千歌『だって……曜ちゃんずっと寂しそうだったんだもん』

曜『そんなことのために……バカだなぁ』

千歌『あー!馬鹿って言った!?酷くない?』

曜『でもね、ずっと寂しかった……寂しかったよ…!』

千歌『え、ちょ、泣かないでー。もうどこにもいかないよー?』

曜『本当?』

千歌『うん。こっちの事あんまり分からないし案内してよ』

曜『うん、任せて!それでは電子の海へ全速前進…』

『『ヨーソロー!』』
 
79: (プーアル茶) 2018/10/21(日) 01:48:00.32 ID:VeuaXUML
データになってもずっと友達。
 
80: (プーアル茶) 2018/10/21(日) 01:49:04.87 ID:VeuaXUML
終わり
全部sageで行きたかったけどたまに忘れちゃうのよな
ありがとうございました
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1539789168/

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