【SS】梨子「ねぇ、曜ちゃんって彼女作らないの?」【ラブライブ!サンシャイン!!】

SS


1: 2017/08/11(金) 20:30:16.50 ID:yMJ0r2dD.net
曜「…へ?」

梨子「いや…へ?じゃなくて…」

曜「彼女…ってあの彼女?」

梨子「そうそう、鞠莉さんと果南さんみたいな」

曜「うーん…じゃあ梨子ちゃんは彼氏とか欲しいの?」

梨子「わっ…私?!…私は…ちょっとだけ」チラ

曜「そうなんだー…うーん、私は今はいいかなぁ」

梨子「…そうなの?」

曜「うん。なんか皆んなと一緒に居るのが本当に楽しいし、そんなに我儘は言えないよ」

梨子「でも曜ちゃんモテるし勿体ないんじゃない?この前も後輩の子にラブレター貰ってたでしょ?」

曜「それは…そうだけど。どうしたの?梨子ちゃん、やたら催促するね」

梨子「いやっ、そういうわけじゃ…」

「おーい!渡辺さーん!」

曜「じゃあ梨子ちゃん彼女になってくれる?」

梨子「…えっ?!?」

曜「ふふっ…なんてね、冗談だよ。じゃあ私水泳の方あるから、また明日ね」

梨子「うん、バイバイ」

曜「バイバーイ!」

梨子「…」

梨子「…//」

梨子「…バカ」

7: 2017/08/11(金) 20:37:02.74 ID:yMJ0r2dD.net
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「-さん」

「-梨子さん」

ダイヤ「梨子さん!」

梨子「っぁはい!」ガバッ

ダイヤ「…さっきから何度も呼んでいたのですけど」

梨子「すっ、すみません!」

ダイヤ「お疲れですか?でしたら練習はお休みになられた方が…」

梨子「大丈夫です!元気ですから」

ダイヤ「…本当でしょうか」

梨子「…はい」

ダイヤ「私に力になれることがありましたらお気軽に言ってくださいね」

梨子「…」

梨子「…ダイヤさんは」

ダイヤ「?」

梨子「ダイヤさんは好きな人とか…いますか?」

ダイヤ「?…私は皆さんが大好きですわよ」

9: 2017/08/11(金) 20:39:28.43 ID:yMJ0r2dD.net
梨子「いや…そういうことじゃなくて…。じゃあ、果南さんと鞠莉さん、どう思いますか?」

ダイヤ「どうとは…。とても仲がよろしいですわね」

梨子「それもそうですけど」

ダイヤ「イチャイチャしすぎて練習に身が入らない時があるのはいただけませんわ」

梨子「どっちから告白したとか…」

ダイヤ「どうでしょう…。お二人はすれ違う前から仲がよろしかったですから…。言うとしたら果南さんですかね…?」

梨子「鞠莉さんも結構イきそうですよ」

ダイヤ「鞠莉さんは肝心なところでヘタレですから、それはあり得ません!」

梨子「あの人、人の恋愛には先手必勝なのに、自分のことだと一気に…「悪かったわね」

ダイヤ・梨子「?!」

果南「やっほ、二人とも」

鞠莉「ヘタレですって?ダイヤ」

ダイヤ「いや…これは…その」

鞠莉「梨子…どう言うこと?ダイヤと色恋話だなんて」ワキワキ

梨子「それは…」

鞠莉「貧乳共ッ!鷲掴みよ!」

ダイヤ・梨子「イヤァァァァ!!」

10: 2017/08/11(金) 20:40:05.76 ID:yMJ0r2dD.net
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果南「曜のことが?本当に?」

梨子「…///」コクン

ダイヤ「そう言うことでしたか…」

鞠莉「ダイヤったら鈍感♪」

ダイヤ「わかるわけありません!」

鞠莉「でも意外ね。千歌の可能性もあったのに」

梨子「千歌ちゃんは…何というか初めて会った時から運命の友達って感じで」

梨子「曜ちゃんは…とっても良い子で友達だけど…なんでだろ…//」

梨子「~!///」ジタバタ

果南「…重症だね」

ダイヤ「…するしかありません」

鞠莉「ダイヤ?」

ダイヤ「告白するしかありませんわ!」

果南「楽しそうだね」

ダイヤ「梨子さん!協力しますわ!好きなのでしょう!曜さんのことが!」

梨子「だっ、ダイヤさん声が大きいです//」

13: 2017/08/11(金) 20:46:27.40 ID:yMJ0r2dD.net
ダイヤ「ここは私たちしかいませんから大丈夫です。それにこのことは決して誰にも言いませんから!」

果南「ダイヤ…そっとしておいてあげなよ」

鞠莉「お人好しもここまでくるとうざったいわね…」

ダイヤ「恋するに死するものにあらませばわが身は千遍死にかへらまし…」

梨子「?」

ダイヤ「万葉集の中の歌ですわ」

ダイヤ「梨子さん…貴女が曜さんに抱いている恋心は貴女がこれから抱く数多の感情を凌駕するものでしょう」

ダイヤ「大事にするべきです」

梨子「は、はぁ」

果南「でも告白って言ったって、そんなにすぐにできるものじゃないよ。タイミングとかも…」

鞠莉「曜とは仲が良いんでしょ?ならあとはタイミングね」

梨子「無理です!告白なんて…その…」

ダイヤ「梨子さん!曜さんはモテるのですから放っておいたら盗られるかもしれないのですよ!」

梨子「…曜ちゃんが…盗られる…」

ダイヤ「嫌でしょう…それは」

梨子「嫌です!」

18: 2017/08/11(金) 20:56:41.87 ID:yMJ0r2dD.net
ダイヤ「ですわ!」

果南「…じゃあ秋の学祭とかどう?雰囲気も出るし、それっぽくない?」

ダイヤ「学祭!…いいですわね」

鞠莉「でも私たちステージあるんでしょ?Aqoursとしてのものも…それにそれぞれ仕事もあるだろうし」

梨子「曜ちゃんと一緒に途中抜けるなんて…できませんよね」

鞠莉「理事長としてはオッケーだけど、そこはクラスの判断によるわねぇ」

果南「理事長的にはオッケーなんだ…」

ダイヤ「他に何かイベントはないんですの?」

鞠莉「夏休みがイベントじゃないの?」

ダイヤ「…それもそうですわね」

果南「あっ、じゃあ修学旅行は?ウチの学校全学年で行くんだし。そこでってのはどう?」

梨子「遠くですか…」

果南「地元の方がいい?」

梨子「なんだかそっちの方が安心できるというか…」

鞠莉「いいじゃない。修学旅行。ウチは…北海道だったかしら。雰囲気でそうよ」

梨子「…言われてみれば」

ダイヤ「乗りかかった船ですわ…。皆さん頑張りましょう」

19: 2017/08/11(金) 20:57:09.31 ID:yMJ0r2dD.net
果南「ダイヤが勝手に乗ったんじゃん…」

ダイヤ「可愛い後輩のためですわ…!ほら、皆さん今日はもう帰りましょう」

鞠莉「あら、珍しいわね。ダイヤがそんなこというなんて」

ダイヤ「千歌さんと曜さんはいませんし…ルビィたちも学祭の準備でいませんから、できることはありませんわ」

果南「まっ、それもそうだね。ダイヤも仕事あるんでしょ?」

ダイヤ「…手伝ってくれます?」

鞠莉「…仕方ないわね」

梨子「あのっ、じゃあ私も…」

ダイヤ「大丈夫ですわよ。気を使わなくて。梨子さんに重荷を負わせるわけにはいきません」

梨子「…そうですか」

果南「梨子、一人で帰れる?」

梨子「帰れます!」

20: 2017/08/11(金) 21:02:02.40 ID:yMJ0r2dD.net
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梨子「はぁ…ダイヤさんったら」

梨子(でも…なんかやる気でたかも)

梨子(…頑張ろう)フンッ

善子「リリー」

梨子「…!よっちゃん。今帰り?」

善子「えぇ。学祭の準備が予想以上にかかっちゃってね」

梨子「一年生は模擬店やるんだっけ」

善子「衛生管理とか色々大変だし…材料の手配も…面倒ね」

梨子「そんなこと言いながらもやるんでしょ」

善子「まぁ…そうだけど」

梨子「ふふ…善い子善い子」

善子「むっ!今ちょっとバカにしたでしょ!」

梨子「ふふっ…」

善子「…ねぇ、リリー。一緒に帰らない…?」

梨子「一緒に?でもよっちゃん方向逆じゃ…」

21: 2017/08/11(金) 21:02:34.36 ID:yMJ0r2dD.net
善子「あー!もう、一緒に沼津に遊びに行こうってこと!」

梨子「あっ…ごめんね」

善子「相変わらず察しが悪いんだから」

梨子「そんなに?」

善子「鈍感リリーよ」

梨子「いいよ。私も用事が早く終わっちゃったし、行こっか」

善子「本当?!」

梨子「うん」

22: 2017/08/11(金) 21:09:27.41 ID:yMJ0r2dD.net
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ブロロロ

善子「2年生は学祭何するの?」

梨子「うーん…まだそんなに決まってなくて…」

善子「そうなの…」

梨子「盛り上がりそうだね、学祭」

善子「超田舎の学校なのにね」

梨子「人数が少ない分、色々な人と仲良くなれそう。東京じゃあんまりないことだから…楽しみだなぁ」

善子「そんなに多いの?」

梨子「うん。でもこっちに来てよかったなって」

善子「…」

梨子「よっちゃん、私ね。今とっても楽しいんだ」

善子「リリー…?」

梨子「Aqoursのみんなに囲まれて…こんな地味な私を見てくれる人がいて」

23: 2017/08/11(金) 21:10:01.78 ID:yMJ0r2dD.net
梨子「東京にいた頃は思いもしなかった」

善子「私も楽しいわよ。Aqoursがなかったら多分学校に来れてなかったし…」

梨子「千歌ちゃんのいう通り奇跡だね」フフッ

善子「そうね…っあ」スマホススッ

梨子「どうしたの?」

善子「ウチのクラスの子、彼女できたって」

梨子「へぇ、凄いね」

善子「まぁ人数少ないからあり得なくもないけど…この子前も誰かと付き合ってなかったかしら」

梨子「尻軽なのね…」

善子「やめなさいよ。まぁ…そうかも」

梨子「やっぱり高校生ってそういうものなのかなぁ」

善子「…?」

梨子「果南さんと鞠莉さんはともかく何だか軽くない?お遊び感覚というか…」

善子「少しわかるわ。周りに多いし…」

善子「彼女欲しいとか、彼氏欲しいとか、よくわからないもの」

梨子「うん」

24: 2017/08/11(金) 21:10:29.29 ID:yMJ0r2dD.net
善子「そういうのって作るんじゃなくて一緒にいるうちにそうなりたいって思うものじゃないかしら…」

梨子「うん…」

善子「そもそも女の子同士なのに彼氏彼女なんて、基準がわからないし!」

梨子「それはまぁ…感覚じゃない?」

善子「その感覚がわからないのよ…」

梨子「よっちゃんは彼氏かなぁ」

善子「私が…?なんで?」

梨子「なんとなく♪」

善子「じゃあリリーはどっちよ」

梨子「私は…彼女…?が、いいな」

善子「いいなぁって…感覚関係ないじゃない」

梨子「それもそうね…ほら、着いたよ」

善子「うん…」

梨子「どうしたの?降りるよ」

善子「わかってるって!」

善子「…彼氏か…」

梨子「?」

善子「ううん!行くわよ!」

26: 2017/08/11(金) 21:24:20.67 ID:yMJ0r2dD.net
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善子「リリー似合ってるわよ!それ」

梨子「えぇ…ほんとう?ちょっと華美すぎるというか…」

善子「いいのよ。それぐらいが。それにしても珍しいわね」

梨子「…?」

善子「リリーが服選びなんて。好きな人でもできたの?」

梨子「でででできてないよ!よっちゃんセンスいいから選んでもらおうと思っただけ!」

善子「動揺し過ぎよ…」

梨子「えー、じゃあこれにしようかなぁ」

千歌「可愛い!」

善子「千歌さん?!」

千歌「それにしよう!可愛いよ!」

梨子「ちっ、千歌ちゃん、なんで?!」

千歌「お二人とも~ラブラブですなぁ」

善子「なっ//千歌さんいつの間に色恋オヤジになったのよ」

千歌「むっ、失礼な。修学旅行の買い出しにきただけだって」

27: 2017/08/11(金) 21:24:49.88 ID:yMJ0r2dD.net
善子「あー、私もやらなきゃ」

千歌「でしょ!」

善子「学祭に修学旅行なんて…イベント盛り沢山よね」

梨子「…よし」

千歌「梨子ちゃん?」

梨子「っわぁ!な、なに?」

千歌「変な梨子ちゃん」

梨子「ちなみに修学旅行っていつなの?」

千歌「もうすぐだよ!そろそろ学校の授業でも色々あると思う!」

美渡「千歌!なにやってんの!早く来い!」

千歌「じゃあ私行くね!じゃあ」

梨子「うん、バイバイ」

善子「修学旅行ねぇ…」

梨子(頑張らなきゃ)

善子「ねぇ、リリー」

梨子「…?」

善子「喫茶店にでも行かない?」

28: 2017/08/11(金) 21:25:21.27 ID:yMJ0r2dD.net
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花丸『それだけ…ずら?』

善子「それだけって何よ!結構頑張った方よ!?」

花丸『それを言うためだけにマルに電話したの?』

善子「そうよ、悪い?」

花丸『善子ちゃんらしいずら…』

善子「だって…だって…」

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『カップル限定サービス品をご提供させていただいております。どうぞ』

善子『え…?カップルって…え?』

梨子『見間違えられちゃったのかな』フフッ

梨子『あ、よっちゃんのジュースちょっとだけ飲んでもいい?』

善子『え…?別にいいけど、でもそれ…』

梨子『…?』チュー

善子『…///』

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善子「喫茶店に行って間違いなかったわ」

花丸『はいはい、よかったずら、幸せそうで。それだけ行ってるなら告白すれば良いのに』

29: 2017/08/11(金) 21:25:48.63 ID:yMJ0r2dD.net
善子「告白?!なななに言ってんのよ!」

花丸『駄目なの?』

善子「実は今日しようと…」

花丸『えっ?!』

善子「タイミングを見失ったのよ!」

花丸『言い訳ずら…』

善子「でも今日良いことを聞いたわ」

花丸『良いこと?』

善子「修学旅行よ!!」

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花丸「うん、じゃあ、おやみす」ピッ

花丸「…はぁ」ドサッ

花丸パパ「花丸、そろそろ電気消すぞ」

花丸「はぁ~い」

花丸パパ「いつにも増して元気がないのぅ」

花丸「ずら…」

花丸「……」

花丸「…善子ちゃん嬉しそうだったなぁ…」

花丸「…修学旅行かぁ」

30: 2017/08/11(金) 21:32:25.51 ID:yMJ0r2dD.net
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曜「おはヨーソロー!」

千歌「おはヨーソロー!」

梨子「お、おはよーそろ~」

曜「おぉ!梨子ちゃんがやってくれるなんて珍しいね!」

梨子「そうかな?ありがとう」

曜「こちらこそ!」

梨子「ねぇ、曜ちゃん、ちょっと…」

曜「うん?」

梨子「あ…今日の練習、一緒に組まない?色々見て欲しいところがあって」

千歌「え!ずるーい!私だけ仲間はずれ!」

ダイヤ「千歌さんは私とやりましょう」

千歌「あ、ダイヤさん、おはようございます」

ダイヤ「おはようございます。私では不満ですか?」

千歌「ううん!全然!」

ダイヤ「なら良かったですわ」

ダイヤ「…」チラッ

梨子「…?」

ダイヤ「…|c||^.-^||グッ」

梨子(ありがとうございます…)

36: 2017/08/11(金) 22:18:56.24 ID:yMJ0r2dD.net
曜「でも梨子ちゃんは特に問題ないと思うよ?ダンスもできてるし」

梨子「えっと…まだ振り付けが完璧じゃなくて…」

曜「そっか、じゃあ私と頑張ろう!」

梨子「うん…!」

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梨子『千歌ちゃん言ってたんだよ--


曜『…私、バカだ…バカ曜だ…』

あの日以来、いや、実際はそれよりも前から多分曜ちゃんのことが好きだ。

人気者で、ダンスも上手で、千歌ちゃんとは違う魅力を持ってて、頼りになって

梨子(格好いいなぁ…)

最初は憧れだった。自分にないモノを沢山持っていて、私もあんな風になれたらなって思っていた。

梨子(曜ちゃんみたいになりたい…曜ちゃんに見てもらいたい…)

37: 2017/08/11(金) 22:19:32.26 ID:yMJ0r2dD.net
そう思っているうちに想いは変わっていった。

きっかけなんて些細なことだろうし、 こんなに意識して曜ちゃんを見ているなんてちょっと気持ち悪いと思う。だけど--

仕草から挙動…細かなとこまで自然と追うようになってしまっている。

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果南「ワン、ツー、スリー、…梨子、マル、遅れてるよ!」

梨子「はい!」

花丸「ずらっ」

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曜「ふぅ…」

梨子「はぁ…はぁ…」

果南「じゃあ一旦休憩ね。ほら、みんな100円だして」

善子「いつものじゃんけん…」

ルビィ「善子ちゃん…」

鞠莉「ほら行くわよ!じゃーんけーん」

38: 2017/08/11(金) 22:20:14.42 ID:yMJ0r2dD.net
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梨子「珍しいね。曜ちゃんが負けるなんて」

曜「あっはは…。梨子ちゃんは休んでくれてても良かったんだよ」

梨子「ううん。私もちょっと運動しないといけないし、いいの」

曜「ふ~ん」

生徒「あっ、曜先輩!」

曜「こんにちは~」

生徒「先輩!良かったらこれ…」

梨子「…!//」

生徒「で、では…」ピュー

曜「…」

梨子「それ…ラブレター…だよね?」

曜「うん…」

梨子「嬉しくないの?」

曜「…やだなぁ。とっても嬉しいよ!」

梨子「そう…」

梨子「…そ、そ、それで返事は?」

曜「う~ん…とっても嬉しいけど…ごめん」

梨子「私に言ってどうするのよ」

曜「あっはは…あんまり慣れなくて」

梨子「ちょっと意外」

39: 2017/08/11(金) 22:41:16.50 ID:yMJ0r2dD.net
曜「そうかな?…だって、人間関係だよ」

曜「てきとうなこと返しちゃったら相手に失礼でしょ?…だから自分の気持ちに真っ直ぐでいたいんだ」

梨子「曜ちゃん…」

曜「恋愛経験なんてほとんどないしよくわからないけど、でも人を好きになる気持ちはちょっとだけわかる気がするんだ」

梨子「私も…」

曜「彼女いらないのかって前言ってたよね」

梨子「うん」

曜「私ね、彼女とかっているいらないより、そうなっていくものだって思ってるんだ」

曜「信頼し合える人と、共有し合える人と…出会って、一緒に過ごして…その中でこの人のこともっと知りたい!って」

曜「そうやって関係が進んでいくものだって思ってる」

梨子「よっちゃんも、同じこと言ってた」

梨子「確かにそうだよね」

梨子「意識的なものというより無意識的なって方が近いかも」

40: 2017/08/11(金) 22:42:56.88 ID:yMJ0r2dD.net
曜「でしょ…?私も見栄張っちゃうから、偉そうなことは言えないんだけどね」

梨子「ってことら…好きな人いるの?」

曜「おぉ…梨子ちゃん攻めるねぇ…」

梨子「…」ゴクッ

曜「今は…わかんないや。昔は…いたんたけど」

梨子「ええっ?!?」バッ

曜「…そんなに驚くこと?」

梨子「うん!」

曜「鞠莉ちゃんとかには…多分バレてるし、梨子ちゃんわかんない?」

梨子「…千歌ちゃん?」

曜「うん」

梨子「…」

曜「そこは驚かないんだね」

梨子「言われてみれば…って思ったから」

曜「中学生の時にね」

梨子「え?告白したの?」

曜「うん…。せっかちだから我慢できずに。果南ちゃんも知ってるよ」

梨子「そうなんだ…」

曜「まぁ断られちゃったんだけどね。私とは、やっぱり友達が良いって」

41: 2017/08/11(金) 22:44:04.81 ID:yMJ0r2dD.net
曜「千歌ちゃん優しいから何にも変わらず一緒にいてくれるんだ」

梨子「…千歌ちゃんが」

曜「まぁ、もしかしたらわかってないだけかもしれないんだけどっ」

梨子「そんなことない!」

曜「…?!」

梨子「あ…ごめん」

曜「梨子ちゃんも千歌ちゃんのこと好きなの?」

梨子「ふぇ…!?」

曜「千歌ちゃん可愛いもんね」

梨子「曜ちゃん…?」

曜「あれ…なんでだろ」ポロポロ

曜「あっはは…思い出し笑いならぬ思い出し泣きって感じかな…」

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千歌『曜ちゃん…私…やっぱり曜ちゃんとは友達のままがいい』

千歌『だって…だって、私ねっ!--

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曜「周りが女の子同士の恋愛ばっかりだったから、私も可笑しくなっちゃってたんだ」

42: 2017/08/11(金) 22:45:05.64 ID:yMJ0r2dD.net
曜「異常だってことは…わかってたと…思うんだけどね「違うよ!」

梨子「曜ちゃん…女の子を好きになることってそんなに可笑しいこと?」

梨子「仕方ないじゃん…!女の子が好きなんだから」

梨子「自分に嘘をついてまで女の子を嫌いになる必要はないよ」

梨子「レズだとか…障害だとか…関係ない!」

梨子「私は…女の子が好きだよ」

曜「梨子ちゃん…?」

梨子「私も女の子が好き。でも、それで後悔したことなんてない!」

梨子「音ノ木坂にも沢山いた!浦の星にも沢山いるわ!恥ずかしいことなんてない」

梨子「それに私の好きになった人は性別なんて干渉しないほど…凄い人だもん」

曜「梨子ちゃんも…レズだったんだ…」

梨子「そうよ。だって私、曜ちゃんが好きなんだもの」

曜「っはぁ?!…ぇ、え?」

梨子「すっ、少しは女の子の気持ちに気づけ、ば、バーカ!曜ちゃんのたらし!///」

曜「梨子ちゃんちょっと!」

梨子「わっ、わたし先行くから!じゃ!」ピュー

曜「……え?」

52: 2017/08/12(土) 01:17:14.60 ID:jL9KBcVo.net
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ダイヤ「あれ?梨子さん…早いですね。曜さんは?」

梨子「置いてきてしまいました」

果南「置いてきたって…え?」

鞠莉「まあまあ二人とも、そっとしておいてあげましょ♪」

梨子「…」

善子「リリー、大丈夫?」

梨子「う、うん!大丈夫!」

善子「あ、あの気分が優れないんだったら今日も遊ぶ?」

梨子「ううん。大丈夫だよ。ありがとう」

善子「そう…」

花丸「……」

果南「花丸?大丈夫?疲れてるの?」

花丸「あぁ…いや」

曜「ご、ごめんお待たせ」

果南「おかえり。さ、練習再開するよ」

曜(良かった…)

鞠莉「…」

鞠莉(なるほどねぇ…)

果南「…どうしたの?」

鞠莉「…大丈夫かしら」

ダイヤ「何がですか?」

鞠莉(鈍感…)

53: 2017/08/12(土) 01:18:15.14 ID:jL9KBcVo.net
-----

善子「あむっ…美味しっ」

ルビィ「えへへ、松月が新しいメニュー追加したこときいてたんだぁ」

善子「珍しいわね、貴女が誘ってくるなんて」

ルビィ「だって善子ちゃん元気なさそうだったし」

花丸「失恋ずら?」

善子「うっさいわね!」

善子「今日の梨子さんと曜さん…何かあったのかしら」

ルビィ「喧嘩でもしたのかな…?」

花丸「修学旅行まで…何もなければいいずら」

ルビィ「修学旅行?…あっ、善子ちゃん」

善子「そうよ。後押しされちゃったわ」

花丸「言える時にいったほうが…後悔しないずら」

ルビィ「でもでも恋愛は片思い中が一番楽しいのかもってお姉ちゃんが言ってたよ」

善子「そうなの?」

ルビィ「恋に恋してる状態って色んなこと想像できるでしょ。良いことも悪いことも」

ルビィ「だからって実際にそれが起こるわけでもないし、なんていうか夢見るっていいことだよね」

54: 2017/08/12(土) 01:19:14.38 ID:jL9KBcVo.net
花丸「マルも…好きな人が夢に出てきた時は幸せずら。覚めた時は…ちょっと寂しいけど」

善子「アンタ好きな人いたの?!」

ルビィ「花丸ちゃんのことだから好きな人はみんなー!ってことじゃない?」

花丸「…その通りずら」

善子「あっそー…花丸らしいわね」

善子「じゃあ私、バス来るから帰るわね」

ルビィ「うん。また明日ね」

善子「えぇ」

ルビィ「あっ、そうだ。修学旅行のお部屋、三人で一緒にしようよ」

花丸「…えっ」

善子「えぇ、いいわよ。楽しくなりそうね」

ルビィ「うん、じゃあね」

善子「バイバイ」

花丸「バイバイずら」

55: 2017/08/12(土) 01:19:41.36 ID:jL9KBcVo.net
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花丸「…ルビィちゃん、ありがとう」

ルビィ「え?ルビィ何かした?」

花丸「危うく口を滑らす…というか滑らしちゃったずら」

ルビィ「ルビィは滑らしてもいいと思うけどなぁ」

花丸「駄目だよ。善子ちゃんは梨子さんが好きなんだから、そっとしておかないと…」

ルビィ「…」

花丸「マルのせいで…善子ちゃんが気を使って奥手になっちゃったら駄目ずら」

ルビィ「そうなのかなぁ…」

花丸「いいの。マルは善子ちゃんを応援するって決めたから。ありがとね」

ルビィ「うん。わかった。じゃあルビィもそうする」

花丸「ありがとう…」

56: 2017/08/12(土) 01:24:24.10 ID:jL9KBcVo.net
とりあえずここまでにします。保守してくださった方ありがとうございます。寝ます

65: 2017/08/12(土) 11:16:26.43 ID:jL9KBcVo.net
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ダイヤ「皆さん!明日からは修学旅行です…が、今配ったメニューは欠かさないように」

鞠莉「北海道はDeliciousな食べ物がたくさんだけど食べ過ぎで太らないようにね」

ダイヤ「何かあったら私か鞠莉さんに連絡するように」

果南「私でもいいよ」

鞠莉「それぞれ行動が違うと思うけど、しっかりやるのよ」

千歌「私1日目は果南ちゃんと同じ班だよ!」

果南「ふふっ…色々珍しい組み合わせもできそうだね」

曜「北海道ってだけで涼しそうだね。楽しみ~」

鞠莉「そうでもないわよ。夏は気温もここらと変わらないし。蒸し蒸ししてないのは幸いだけど」

千歌「えー!暑いの?!」

ダイヤ「さぁ、今日の練習はこれくらいにして皆さん明日へ備えてしっかり寝るように!」

鞠莉「ノリノリね…ダイヤ」

66: 2017/08/12(土) 11:16:57.15 ID:jL9KBcVo.net
ダイヤ「皆さん一人一冊です。私が昨日徹夜で刷ってきました」ドンッ

花丸「何ずら…?その本」

ダイヤ「本ではありません、修学旅行のしおりです」

ルビィ「お姉ちゃん…遅くまで起きてると思ったら」

梨子「しおり…太っ」

ダイヤ「旅先で困ったことがあったら活用してください。ほぼほぼ載っていますから」

果南「『北海道でSaint snowに出くわした時の対処法』とか…ナニコレ」

ダイヤ「知らない土地ではあらゆるトラブルがつきものです。備えあれば憂いなしですわ!」

鞠莉「〇せ○せーか何かかしら…」

69: 2017/08/12(土) 12:30:14.45 ID:5ekp3t2J.net
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ダイヤ「それでは…さようなら」

「さようなら~」

バタン

ダイヤ「…さて」

梨子「…」

ダイヤ「明日からの修学旅行…いつ仕掛ける予定ですか?」

梨子「…2日目の…花火で」

果南「おぉ、こりゃまた鉄板のシュチュエーションきたね」

梨子「でも…曜ちゃん」

果南「…?」

梨子「ううん…何でもありません」

鞠莉「千歌っち?」

梨子「…鞠莉さん」

鞠莉「やっぱりあの時曜と話したのね」

果南「……」

梨子「はい…ついでに告白地味たこともしちゃって」

ダイヤ「なんとっ!?」

梨子「実は…」

70: 2017/08/12(土) 12:30:44.59 ID:5ekp3t2J.net
-----

果南「なるほどね…」

梨子「二人とも知ってたんですか?」

鞠莉「私は…確定じゃないけどまあ曜は分かりやすいから…」

果南「…私はあの二人とはずっと一緒だったから…言おうか迷ったんだけど…ごめん」

梨子「いや、謝らないでください。別に悪いことしたわけじゃないんですし…」

ダイヤ「…」←何も知らなかった人

ダイヤ「梨子さん…本当に申し訳ありません」

ダイヤ「何も知らないにわか者が調子づいてしまいました…」

梨子「気にしないでください…お人好しが空回りしただけですし」

ダイヤ「…シュン」

果南「今も引きずってるっぽい?千歌とのこと」

梨子「はい…。少し」

果南「中学…2年生の頃だったかな」

鞠莉「そんなに前なの?」

果南「うん…。結局千歌が断ってうやむやになっちゃったんだけどね」

果南「千歌も…多分今はそんなに気にしてないと思う。あの時も本気で受け取ったのかどうかわからないし」

果南「まぁ曜も…ああいう性格だから、表面では何事も無かったように…って感じ?」

梨子「そうなんですか…」

鞠莉「その調子だと梨子のことにも気付いてなさそうね。鈍感曜なら尚更」

71: 2017/08/12(土) 12:31:14.99 ID:5ekp3t2J.net
ダイヤ「いや…流石に気づいているでしょう。梨子さんがあんなことまで言ったんですから」

果南「曜のことだから…半ば梨子ちゃんが気を使ってくれた、くらいにしか思ってない場合が…」

鞠莉「違うわよ。あの娘は鈍感なんじゃなくて怖がってる」

果南「…」

鞠莉「自分の気持ちにも、梨子の気持ちにも多分ちょっとは気付いてるわよ。でも気付かないって言い聞かせて逃げてるだけ。悪いことじゃないけど」

梨子「曜ちゃんは今が楽しいから我儘は言えないって言ってました」

鞠莉「やっぱりねぇ…。曜は…恋の辛さを知ってるんでしょう」

鞠莉「恋愛って片思い中は楽しいけれど、いざとなったら半端ない不安に押しつぶされそうになるものでしょ」

梨子「じゃあ千歌ちゃんの時に…」

果南「それに千歌もしっかり受け止めてあげれば良かったんだろうけど、ちょっとモヤっとしてたから…」

梨子「ふふっ、じゃあ私、フラれたってことですね」

ダイヤ「そうとは限りませんわ。新しい恋と向き合うのも大切ですし」

梨子「いいえ、大丈夫です。私も…曜ちゃんと一緒に逃げてたので。…ずっと」

梨子「あれだけ二人と一緒にいたら嫌でもわかっちゃいます。でも自分にチャンスがあるかなって、そう言い聞かせてた気がします」

鞠莉「梨子…」

梨子「じゃあ明日の用意もあるので帰りますね」

果南「梨子…無理しないようにね」

梨子「修学旅行…頑張ります!」

72: 2017/08/12(土) 12:32:27.44 ID:5ekp3t2J.net
バタン

鞠莉「…健気ね」

ダイヤ「仕方ありませんわ。誰しも恋愛の辛さからは…背を向けたくなりますから」

果南「こればかりは本人たちに任せるしかないね」

鞠莉「えぇ…。あと一つ」

ダイヤ「…?」

鞠莉「気になるところがあるとすれば…善子ね」

果南「善子?」

鞠莉「千歌っちと曜、梨子たちがどう出るかはわからないけど、善子もよ」

ダイヤ「善子さんが何か?」

鞠莉「貴女たち気付かないの?善子は梨子のこと…気になってるんじゃない?」

果南「…そうなの?」

鞠莉「見てればわかるでしょ!」

ダイヤ「わかりません…」

鞠莉「…まぁいいわ。どっちにしろ私たちが大きく首を突っ込めるのはここまで」

鞠莉「修学旅行では完全裏方に徹するわ」

果南「うん…」

ダイヤ「懐かしいですわね…」

鞠莉「え?」

ダイヤ「鞠莉さんと果南さんの時もこんな感じだった気がします」

73: 2017/08/12(土) 12:32:58.11 ID:5ekp3t2J.net
果南「思い出させないでよ…恥かしいでしょ」

鞠莉「『私ってさ…ほら、結構鍛えてるし…鞠莉を守れると思うんだ』」

果南「ちょっと!やっ、やめて!//」

鞠莉「『ねぇ、鞠莉、ハグより上…イきたいんだ』」

果南「そこまでは言ってないってば!」

ダイヤ「…クククッ」プルプル

果南「ダイヤ…何笑ってるの」

ダイヤ「あひっ、いや、これは…」プルプル

鞠莉「貧乳鷲掴みよっ!」ガバッ

ダイヤ「イギャァァァァ!!」

-----

梨子「…」コツコツ

梨子「…」ツー

梨子「痛いなぁ…」

梨子「はぁ…」

善子「どうしたの、溜息なんてついて」

梨子「あれ…よっちゃん」

善子「何か辛いことでもあった?」

梨子「ううん…だ、大丈夫。最近よく帰り一緒になるね」

善子(待ってるのよ…バカ)「そうね」

76: 2017/08/12(土) 13:39:54.16 ID:5ekp3t2J.net
善子「修学旅行の用意はできてるの?」

梨子「ううん、全然。よっちゃんは?」

善子「私も」

善子「ねぇ、リリー」

梨子「…?」

善子「2日目…花火あるじゃない、花火」

梨子「うん」

善子「2年生のところ行っていい?」

梨子「えっ」

善子「…駄目?」

梨子「駄目じゃ…ないけど」

善子「そ、じゃあ行くわね」

梨子「うん」

善子「バス停まで送るわ」

梨子「あ、ありがとう…」

善子「……」

善子「鈍感リリー…」ボソッ

77: 2017/08/12(土) 15:18:50.22 ID:jL9KBcVo.net
-----

「…こちゃん」

曜「梨子ちゃん」

梨子「はい!」

曜「あっ、そこの苗植えてもらっていい?」

梨子「う、うん」サクッ

千歌「北海道って言っても暑いね…」

曜「うん…。でもジメジメしてなくていいかも」

梨子「それにしてもビニールハウスの中で農業体験だなんて…暑い…」

千歌「今頃花丸ちゃんたちはラフティング…、果南ちゃんたちは乗馬してるって言うのに…」

----

花丸「ずらぁぁぁぁぁぁぁ」ドドドドド

ルビィ「ピギィ!!善子ちゃん、オール早く!」

善子「わっ、わかってるてぇぇぇ~」

----

鞠莉「うう~ん、いい眺め!」パカラッパカラッ

果南「流石日課なだけあるね」

鞠莉「スターブライトの方が乗りやすいけどね♪」

果南「…」チラッ

ダイヤ「うわっ!ちょっと!お願いですから言うことを聞いてくださいまし!」

馬「ヒヒーン!」

ダイヤ「ピギャァァ!!」

鞠莉「ダイヤ!かかとあげちゃダメよ!力抜いて!」

ダイヤ「そっ、そう言われましてもっ!あっ!」ドチャッ

鞠莉・果南「あっ」

ダイヤ「いった~~い…ですわ」

果南「怪我…ない?」

ダイヤ「擦り傷程度…大丈夫ですわ」

ダイヤ「さぁもう一度!」

果南「…アチャー」

78: 2017/08/12(土) 15:19:20.36 ID:jL9KBcVo.net
-----

曜「まあまあ、私たちもこれ終わったら気球体験でしょ。それになんだかこれもたのしくなってきたし」

千歌「最後の自由行動は果南ちゃんと同じだし!梨子ちゃんだって鞠莉さんや花丸ちゃんと一緒じゃん!」

梨子「そっ、それはそうだけど~」

「その苗全部植え終わったらメロンでも食べるかい?」

千歌「本当ですか!?やった!」

曜「流石千歌ちゃん…単純」

梨子「ふふっ」

梨子(曜ちゃん…やっぱりこの前のこともなんとも思ってないっぽい?」

80: 2017/08/12(土) 15:46:23.98 ID:jL9KBcVo.net
曜「?…何が?梨子ちゃん」

梨子「うわぁ!って…いやいや何でもないよ!」

曜「…そうなの?」

梨子「う、うん!あぁ…曜ちゃん、気球って2人組でしょ?一緒に乗りたいなぁ…って」

曜「2人組…」

千歌「むー、また千歌を仲間外れにするなんて…」

梨子「い、いやそういうわけじゃないよ!」

むつ「まーまー、千歌は私と一緒に乗ろ?」

千歌「むっちゃんが一緒ならいいけど…」

むつ「桜内さん…」ボソッ

梨子「…?」

むつ「頑張りなよ」ボソッ

梨子「ふぇっ?!///」

曜「…」

----

ダイヤ『しのぶれど 色に出でにけり 我が恋は ものや思ふと 人の問ふまで』

ダイヤ『梨子さん…貴女の挙動不審さは私ですら気付くものですから…もしかしたら色々な人にバレているかもしれませんね』

梨子『…ええっ?!』

-----

梨子(…ダイヤさんの言ってたことってそういうこと…?)

むつ「千歌、暴れて墜落させないでよ」

千歌「わかってるよ!」

曜「…」

曜「じゃあ、梨子ちゃん一緒に乗ろっか」

梨子「え?本当にいいの?」

曜「やだなぁ…。そんなに嬉しかなさそうに見える?」

梨子「え…?」

曜「ありがとね」

梨子「…う、うん」

81: 2017/08/12(土) 16:29:13.86 ID:jL9KBcVo.net
------


ボゥッ

千歌「行っちゃったー…」

むつ「悪かったね、私とで」

千歌「そーゆーことじゃないの!」

むつ「曜と同じが良かった?」

千歌「んー…梨子ちゃんかなぁ」

むつ「へぇ…意外」

千歌「なんか最近曜ちゃん私と話ずらそうにしてるから、そっとしておいてあげたほうが良いのかなって」

むつ「放置なの?」

千歌「うん…ううん」

むつ「どっちよ…」

千歌「どっちなんだろ…」

むつ「幼馴染でしょー」

千歌「…幼馴染だよ」

千歌「私が大変な時って曜ちゃんがいつも側で支えてくれたんだ」

千歌「曜ちゃんが隣に居てくれるだけで…なんか安心できる」

むつ「ラブラブかっ」

千歌「……ラブラブ?」

むつ「…何でもないよ」

千歌「でも私…曜ちゃんに何してあげれば良いかわからないんだ。…私があげようとするものは全部持ってるから」

むつ「ふーん…」

むつ「曜もそんなに万能には見えないけどねぇ…」

82: 2017/08/12(土) 16:29:44.29 ID:jL9KBcVo.net
-------

曜「…綺麗だね」

梨子「うん…。ほら、あそこ、牧場かな?」

曜「かもね。馬に…牛、たくさん」

梨子「ふふっ、美味しそう?」

曜「じゅるり…北海道に来たらやっぱりお肉だよ!」

梨子「私は海鮮かなぁ…」

曜「海鮮…苦手なんだよね…」

梨子「克服しなきゃ…ふふっ」

曜「あっ…」

梨子「?」

曜「ほら、すぐ目の前鳥さん…大丈夫かな、このまま進んで」

梨子「小さいし大丈夫だよ…。カップルなのかな?」

曜「仲よさそうだね」

梨子「あの鳥も…女の子同士なのかな」

曜「どうしてそうなるのさ…」

曜「動物は…そういうことは考えないんじゃないかな」

梨子「そっか…じゃあ私たちは特別だね」

曜「そうだね」

梨子「顔とか性格とか…すれ違いとか、動物にとってはそういうのはあんまり存在しないのかな」

曜「うん…」

梨子「私たちにだけ与えられたプレゼントだね」

曜「…」

曜「ねぇ、梨子ちゃん…梨子ちゃんは、そのプレゼントに良いことばっかり詰まってないって知ってる…?」

梨子「……」

曜「恋って辛いんだよ?…タブーの恋なら尚更」

83: 2017/08/12(土) 18:05:43.04 ID:jL9KBcVo.net
曜「前言ってたよね…。全然普通だって。でもね、普通に考えたら普通じゃないんだ」

曜「梨子ちゃんを否定するわけじゃないよ。でも「いいよ」

梨子「人それぞれ考え方…あるから」

曜「うん…「でもね」

梨子「曜ちゃん何か避けてるみたい」

曜「避けてる…?」

梨子「避けなきゃいけないことでもあるの…?」

曜「どういうこと?」

梨子「自分の中にある変なモノ…わかってるはずなのに、認めようとしてないんじゃない…」

曜「……」

梨子「曜ちゃん…私、曜ちゃんのことたくさん見てきたんだよ。だって好きだから。一番…しっかり見てきた。気持ち悪いかもしれないけど」

梨子「だったら嫌でもわかるの。曜ちゃんの中に…千歌ちゃんがいることくらい」

曜「…!」

84: 2017/08/12(土) 18:06:06.68 ID:jL9KBcVo.net
梨子「恋が辛いことなんて…私も知ってる。初めは…恋愛ってものに憧れてたかもしれない…でも!」

梨子「知れば知るほど辛いの!痛いの!胸が薔薇に締め付けられるみたいに…ぎゅぅってなって…」

梨子「好きなんだもん!私!曜ちゃんが!頭から離れないくらい好きなんだもん!」

梨子「振り向いてなんて言わない…けど、曜ちゃんも素直になってよ!」

曜「…卑怯だよ、梨子ちゃん」

梨子「……」

曜「もう素直になってるよ。私は。みんなが大好きだから、一緒にいる。千歌ちゃんとも、大会の時に…分別つけたつもり」

曜「あの時のモヤモヤは…梨子ちゃんに嫉妬してたんじゃない。私は…私の居場所は千歌ちゃんの隣だけだってそう思ってたから…その居場所が無くなるのが怖かった!」

梨子「…曜ちゃん」

曜「居場所が無くなっちゃったら、私が私でいられなくなる。私が無くなっちゃう。そう思ったから!」

曜「そう…思ったから…」ポロポロ

梨子「…」

89: 2017/08/12(土) 20:27:26.97 ID:jL9KBcVo.net
梨子「…」

曜「だから…恋愛とは関係ない。あれは…私の変な勘違いで…」

梨子「じゃあ…何でそんなに苦しそうなの?」

曜「……それは」

梨子「私はわかるよ。…だって、私も曜ちゃんと同じだから」

梨子「好きな人に…想いが上手く伝わらないんだから!」

曜「それを出すのは卑怯だよ!」

梨子「そうよ!卑怯なの!曜ちゃんの優しさに漬け込んで…卑怯なの」

梨子「だから私みたいにならないで」

曜「…ぇ…」

梨子「無理に振り向いてくれなくていい、私を理解しようとしなくていい…けど」

梨子「曜ちゃんの中の『自分』には振り向いて、理解してあげて…」

梨子「ソレに本当に理解できるのは…曜ちゃんしかいないから」

曜「…梨子ちゃん」

90: 2017/08/12(土) 20:27:59.81 ID:jL9KBcVo.net
梨子「って、まぁ私もあんまり自分のことよくわかってないんだけどねっ」

曜「…うん。ありがとう」

曜「…私ね」

梨子「うん」

曜「自分語りになるけどいい?」

梨子「いいよ」

曜「ちょっと酷いこと言うかも」

梨子「うん、いいよ」

曜「口下手だから伝えるの下手くそかも」

梨子「わかってるって」

曜「もしかしたら…梨子ちゃんのこと傷つけるかも」

梨子「いいよ。せっかく…空の上で二人って、なかなかないし。なんでもきて」

曜「…そう」

曜「私ね…。女の子が好きなんだ、多分」

梨子「今更?」

曜「もー!いいから!…それでね。中学…2年生の頃かな。千歌ちゃんのことが…多分好きで、告白しちゃったんだ」

梨子「うん」

曜「知ってる通り…案の定断られちゃって。理由も…よく分からなくて。多分女の子同士だからかな、とか色々考えちゃって」

曜「お互い…自然とそこには触れなくなっちゃったの」

梨子「…そうなんだ」

曜「触れたら…またあの時の痛い想いをするんだって、また怖い想いをするんだって思ったら…逃げるしかなかった」

91: 2017/08/12(土) 20:28:36.72 ID:jL9KBcVo.net
梨子「多分…千歌ちゃんもそうなんじゃないかな」

曜「…え?」

梨子「気球…降りたら確認しなきゃね」ダキッ

曜「えっ、え…?梨子ちゃん?!」

梨子「お願い…このままでいさせて」ツー

梨子(もう少し…せめてこの気球が、私たちが空にいる間だけは…曜ちゃんは私のものっ…なんだから)

曜「でも…梨子ちゃん…」

梨子「いいの」

梨子「女の子は情けをかけられるのが一番嫌なんだよ?曜ちゃんらしくない」

曜「……梨子ちゃん」

梨子「きっと大丈夫だよ。今の曜ちゃんなら…」

梨子「千歌ちゃん嬉しくて…惚れ直しちゃうだろぅなぁ…」ポロポロ

--そう言う梨子ちゃんの声は震えていた。

92: 2017/08/12(土) 20:29:21.39 ID:jL9KBcVo.net
残酷だ。私は残酷だ。目の前で、こんなにも私のことを想ってくれている女の子がいるのに。健気で…優しくて…私のために自分を捨てようとしてる。

曜「あっ…太陽が…」

梨子「…」グスッ

陽が落ちていく場面を空から見ることなんて…多分ないと思う。それは綺麗なようで何処か寂しさを灯していて。

曜「……梨子ちゃ「謝らないで」

--よくわかったね。

梨子「このままでいて…。このままがいいの」

果南さんのハグ以上に強い力で曜ちゃんを抱きしめた。
もう地上に着きそう。

もうこの時間が終わっちゃいそう。

そう思ったら自然と身体中に力が入った。

梨子(やっぱりワガママだな…私って)

ふふ…制限付きだなんて…シンデレラみたい…ってちょっと違うかな。

梨子「もうすぐ…着くね」

曜「うん…」

曜「このまま降りる?」

梨子「ううん…。ちゃんと離れるから」

曜「うん…」

曜「千歌ちゃんには…明日言うね」

梨子「…え?」

曜「ありがとう。梨子ちゃんのおかげだよ」

梨子「……曜ちゃん?」

曜「だから今日は…今日のうちは梨子ちゃんと一緒にいるね」

梨子「…曜ちゃん…」

バシッ

曜「いたっ」

梨子「曜ちゃんのたらし!女好き!」

曜「…へ?」

93: 2017/08/12(土) 20:29:47.23 ID:jL9KBcVo.net
梨子「なんで無意識にそう言うこと言えるかなっ。もっと傷ついちゃうんだけど」

曜「え…あ…ご、ごめん」

梨子「もうっ…」グスッ

梨子「なんで…ここまで私を喜ばせるの…」ポロポロ

梨子「喜んじゃいけないのに…嬉しいなぁ…嬉しいなぁ…」ポロポロ

曜「うん…。私も嬉しい。ありがとう…梨子ちゃん」

梨子「もう…ほら、着くよ」

曜「あっ…涙…ハンカチあるけど、使う…?」

梨子「自分のあるから…!曜ちゃんも拭いたら?」

曜「そ、そう言えばそうだね」

曜「ズビビッ…」

梨子「曜ちゃん…汚いよ。やめて」

曜「ごめっ…って、そう言う梨子ちゃんも鼻水でてるよ」

梨子「あっ//もう!うるさーい!!」

曜「あっははは!」

拭いても拭いても止まらない、乾かない涙に、沈んでいく陽が反射して、露のように光って…私たちを照らす。

儚い想いも、時間も、関係も、全部洗い流すように、私たちの笑い声は尽きず、空に響き渡っていた。

94: 2017/08/12(土) 20:53:14.51 ID:jL9KBcVo.net
千歌「わっ、やっと帰ってきた!遅かったね~」

曜「思った以上に遠くまで行っちゃった。すごい飛んだね~」

梨子「うん」

私たちはもう友達。片思いの異性と、臆病な私はもう終わり。

千歌「曜ちゃん、梨子ちゃん、おかえり。次は自由行動だよ!ほら、行こ!」

曜「うん。梨子ちゃんも一緒に行こ?」

梨子「うん。でもふたりとも、置いていかないでね?」

千歌「大丈夫だって~!」

むつ「元気だねぇ…3人とも」

むつ(桜内さん…、アナタは凄いよ)

梨子「……」ググッ

泣かないって決めたのに…。全部忘れて…。さっきまでのことは夢だったって。
ずっとずっと言い聞かせてるのに。
身体はそれを疑って聞かない。

95: 2017/08/12(土) 20:53:33.49 ID:jL9KBcVo.net
繊細で華奢な私の身体には収まりきらないほどの温もりがまだ残って温めてくれているから…?いや、きっとこの温もりは…私が還る時まで、ずっと残り続けてくれるものだろう。それほどまでに---あったかいの。

梨子「……」

千歌「…梨子ちゃん?」

梨子「ねぇ、その前に私喉渇いちゃった。ジュース買っていい?」

千歌「うん」

--涙…流しすぎたせいかな。ふふっ…。

101: 2017/08/13(日) 00:49:11.43 ID:GgAbS2kz.net
-----

鞠莉「梨子…凄い顔だけど…大丈夫?」

梨子「大丈夫です。…ありがとうございました」

梨子「やっぱりフラれちゃいました」

鞠莉「そう…。よく頑張ったわよ。アナタは偉いわ」ハグッ

梨子「はい…」

鞠莉「忘れちゃダメよ。これも人生経験の一つ。そう思うのよ」

梨子「はい」

鞠莉「まぁ…色々理由つけて強がるのは後でいいわ。こういう時は気晴らしに遊びまくりましょう」

鞠莉「学年が関係しない班活動なんだからマリーと北海道を満喫しましょ♪」

梨子「ありがとうございます…!」

花丸「お待たせずら~」

鞠莉「あら、遅かったわね。1年生は今終わったの?」

花丸「ずら。ラフティングが予想以上にかかっちゃったずら」

梨子「ラフティング楽しそうだなぁ。怪我しなかった?」

花丸「ちょっとだけ擦っちゃったずら~…。気球は楽しかった?」

梨子「…うん。とっても楽しかった」

鞠莉「さ、疲れ切った身体に美味しい食べ物を取り込みに行きましょ」

鞠莉「空腹は最高の調味料よ♪ご飯食べたら皆んなにも会いに行きましょ」

102: 2017/08/13(日) 00:49:48.62 ID:GgAbS2kz.net
-------

果南「梨子と曜?」

千歌「うん。気球乗ってる時何かあったのかな…」

果南「そうなの?」

千歌「梨子ちゃんなんて泣いた後がくっきり…!」

果南「ほぇ~…(梨子…)」

千歌「何かあったのかな…」

果南「知りたいの?」

千歌「知りたい!果南ちゃん知ってるの?」

果南「知りはしないよ。大体わかるけど」

千歌「え~じゃあ教えてよ」

果南「ダ~メ。千歌が自分から曜に聞きなよ」

千歌「だって最近曜ちゃん気まずそうだもん…」

果南「そうかな?…何したの?」

千歌「何にもしてない!」

千歌「最近梨子ちゃんばっかり気にしてて、構ってくれないんだもん」

果南(千歌も無意識にソレをやってたんじゃ…)

果南「曜のこと好きなんだね」

千歌「うん」

果南「それはどういう意味で?」

千歌「…果南ちゃんのイジワル」

103: 2017/08/13(日) 00:50:14.63 ID:GgAbS2kz.net
果南「ごめんごめん。千歌もさ、曜のこと好きなはずなのに、上手くいかないよね」

千歌「ふぇ?」

果南「前の私と鞠莉みたいな感じ?」

千歌「……」

果南「こればかりは真正面で衝突しないと難しいからね。何が良いことで何がやっちゃいけないことなのか、わかんないから」

千歌「…心が読める能力が欲しい」

果南「そんなのあったら面白くないでしょ」

千歌「むー…」

果南「学生のうちに悩んで転んで起き上がってを繰り返しておくべきだよ。せっかくの修学旅行なんだから、ただの旅行で終わらさずにさ」

千歌「もー、果南ちゃん先生みたい」

果南「勉強全然できないよ?」

千歌「そういうことじゃないの」

千歌「…はぁ」

果南「ふふっ。珍しいね。曜のことで悩むんなんて」

千歌「梨子ちゃんのことの心配だし…曜ちゃんのこともね」

果南「いつぶり?こういうの」

千歌「…中学2年生の時に一回だけ」

果南「そっか」

千歌「果南ちゃんに相談しようにも受験だったし」

果南「ごめんって。でも今は自分で解決できるでしょ」

千歌「……」

104: 2017/08/13(日) 00:50:43.81 ID:GgAbS2kz.net
-----

善子「曜さん…私疲れたんだけど」

曜「良いじゃん、いいじゃん。せっかくの北海道だよ?」

善子「アイス!私あそこのアイスが食べたい!」

曜「おっ!いいね。寄ってこうよ」

善子「えぇ(やっと止まってくれた…)」

-----

善子「ううっ…」キーン

曜「一気に食べたらそうなるよ」

善子「ヨハネ…一生の不覚」

曜「もう終わるね。1日目」

善子「無視っ?!まぁいいけど…そうね」

曜「どうだった?」

善子「どう…ってフツーに楽しかったけど」

曜「ラフティング?」

善子「えぇ。怪我はちょっとしちゃったけど。そっちこそどうだったのよ」

曜「うーん…。なんだかすっごい長い1日だった」

善子「つまんなかったの?」

曜「ううん。とっても楽しかったよ」

善子「はぁ…」

曜「善子ちゃんってさ、好きな人いるの?」

善子「はぁ?!どうしたのよ」

曜「ちょっと聞いてみたくて」

善子「…よ、曜さんはどうなのよ」

曜「私は……いる、のかな。わかんないけど」

善子「そうなの?…誰?」

105: 2017/08/13(日) 00:51:11.40 ID:GgAbS2kz.net
曜「うぇぇ…?そこまで聞く?」

曜「じゃあ善子ちゃんも教えてよ」

善子「良いわよ。曜さんが教えてくれたらね」

曜「…うーん、千歌ちゃんなのかな」

善子「そう…」

曜「あんまり驚かないね。みんなそうなんだけど」

善子「まあ無い選択肢ではないから」

曜「もうちょっと良いリアクション期待してたんだけどなぁ」

曜「善子ちゃんは?誰?誰?」

善子「当てたらアイスもう一個奢ってあげるわ」

曜「う~ん。…花丸ちゃん!」

善子「花丸…は、確かに仲は良いけど違うわよ」

曜「…?!」

曜「じゃあ鞠莉さん?」

善子「なんでよ。違うわよ」

善子「……リリーが好きなの」

曜「…ぇ?」

善子「とぼけないでよ。わかるでしょ」

曜「リリーって…梨子ちゃん?」

善子「そうよ。悪い?」

曜「……ぃゃ」

善子「何よ。いいなさいよ」

曜「……」

善子「ちょっと、どうしたの?」

曜「…」ツー

106: 2017/08/13(日) 00:51:36.08 ID:GgAbS2kz.net
善子「ぇっ?!曜さん!?何泣いてるのよ!」

曜「…善子ちゃん」

善子「言いなさいよ。何があったか。楽になるわよ」

曜「言えない…んだ」

善子「言って。曜さん。目を見て」

曜「…善子ちゃん」

善子「お願い。一人で抱え込んじゃ駄目よ」

曜「そういうことじゃないんだって…。お願いだからそっと「言って」

善子「聞かなきゃいけない気がするのよ」

曜「……言っていいの?」

善子「えぇ」

曜「…梨子ちゃんに告白された」

善子「……」

善子「……ぇ」

善子「そ…それで…?」

曜「ごめん…って」

善子「そうなの…」

曜「梨子ちゃん良い子で気にしないでって…私を気遣ってくれて…私は最低だってそう思ってたのに…ずっと…」

善子「…好きな人には幸せになってほしいって思うものよ。絶対」

善子「だから私のことも気にしないでね。…リリーが、好きな人が選んだ道なら私は後からついていくから」

曜「……」

「曜さん、善子さーん」

曜「…ダイヤさん」

107: 2017/08/13(日) 00:52:01.01 ID:GgAbS2kz.net
ダイヤ「こんなとこにおられましたか。そろそろ時間ですわよ」

善子「ありがと」

ルビィ「善子ちゃん、お部屋一緒だね。えへへ」

善子「一緒にゲームでもしましょ」

ダイヤ「駄目です!明日も早いのですから早く寝なさい」

曜「皆んなは…?」

ダイヤ「皆さん向こうで待っていますわよ。揃ったらホテルの方へ移動と言うことで」

曜「そっか。今行くね」

ルビィ「私たち以外はもうホテルについてるのかなぁ」

善子「私たちそんなに遅いの?」

ダイヤ「遅いです!心配したのですから…。しおりを有効活用してください」

曜「あんなぶっといの持ち歩きたくないよ…」

-------

ルビィ「じゃあ先に入らせてもらうね」

花丸「うん」

バシャー

善子「疲れたわね…一日」

花丸「うん…。でも明日は一番疲れると思うよ」

善子「明日…ねぇ。花火?」

花丸「…」コクン

善子「…打ち上げ花火と一緒に玉砕してぬるわ」

花丸「え?」

108: 2017/08/13(日) 00:52:25.85 ID:GgAbS2kz.net
善子「リリー、曜さんが好きなんだって。仕方ないわよ」

花丸「そうなの…?」

善子「えぇ。曜さんから聞いたから間違いないわ」

花丸「……」

善子「でも堕天の魂は残ってるわ。なんたってヨハネなんだから」

善子「このくらいのことで諦めるわけにはいかないものね」

花丸「善子ちゃん…無理は良くないずら」

花丸「泣きたい時には泣いて良いんだよ?」

善子「ふふっ…。明日の花火が終わったら慰めてもらおうかしら」

花丸「お安い御用ずら」

バンッ

ルビィ「善子ちゃん!頑張ルビィ!」

バタン

善子「聞こえてたのね…」

花丸「ちょっと声が大きすぎたね」

善子「さ!ルビィが出る前に寝る準備しましょ!涙は明日のためにとっておくんだから!」

花丸「うん…」

花丸(そう言うところだよ…マルの好きなところは…)

花丸(マルも…ルビィちゃんに慰めてもらおうかな)

109: 2017/08/13(日) 00:52:52.71 ID:GgAbS2kz.net
)

-----

曜「…疲れた?」

梨子「うん…」

曜「何か…ごめんね。色々」

梨子「大丈夫だって言ったじゃない」

曜「……」

梨子「もう今日が終わるね」

曜「千歌ちゃんもそろそろ帰ってくると思うよ」

梨子「果南ちゃんと鞠莉さんに連れていかれたからね」

曜「ホント、あの人たちもやることがわざとらしいんだから」

梨子「でも…嬉しいな」

梨子「曜ちゃんが一緒にいてくれるって言ってくれて」

曜「ありがと」

梨子「曜ちゃん」

曜「…?」

梨子「私に…恋を教えてくれてありがとう」

曜「……」

梨子「…手、繋いでいい?」

曜「うん。いいよ」

ギュッ

110: 2017/08/13(日) 00:54:35.05 ID:GgAbS2kz.net
梨子「やっぱりあったかい」

曜「梨子ちゃんもね」

梨子「……」

カチッカチッ

時計の針が動く。心なしかいつもより早く。

梨子「言いたいことは気球の時に言っちゃったから…何喋ればいいかわかんないや」

曜「私はたくさんあるよ。明日からもいっぱい話そ」

梨子「うん…」

--優しいなぁ。嬉しいなぁ。…好きだな。

曜「明日からも忙しくなるね」

梨子「うん」

曜「花火もあるし…帰っても学祭だし」

梨子「学祭…頑張って踊らなきゃね」

曜「うん。大会の予行だと思って頑張るよ!」

梨子「私も。曜ちゃんまた練習付き合ってね」

曜「もちろん!」

111: 2017/08/13(日) 00:55:02.04 ID:GgAbS2kz.net
ブーブー

曜「…?」

梨子「千歌ちゃんからだ。もう戻るよって」

曜「あっ…もうこんな時間…」

--終わる。もう

梨子「……」

梨子「曜ちゃん!」

曜「うん?」

梨子「ごめん。私まだ言うことあったんだ」

梨子「…聞いてくれる?」

曜「うん」

梨子「曜ちゃん…好き」

梨子「曜ちゃんの全部が好き!だーい好き!」

曜「…うん。ありがとう…」

梨子「答えは?」

曜「え?」

梨子「告白されたんだから返事…ほしいな」

梨子「曜ちゃんの気持ち…教えて」

--わかってる。わかってるんだけど。これは私のケジメ。

曜「ありがとう。梨子ちゃん。私は…」

112: 2017/08/13(日) 00:56:31.28 ID:GgAbS2kz.net
曜「私は、梨子ちゃんとは友達でいてほしいんだ」

梨子「うん。だよね。…ありがとう」

曜「…」ポロポロ

曜「…泣かないって決めたのに。ごめんね」

梨子「曜ちゃん泣かないでよ。私まで泣いちゃうでしょ」

私に恋を教えてくれてありがとう。

私に優しさを教えてくれてありがとう。

私に温もりを与えてくれてありがとう。

梨子「大好きだよ…」

0:00…私の、私と曜ちゃんの関係がまた生まれ変わった--

曜ちゃん、頑張れ。

いっぱい、いっぱい貰った次は、私が曜ちゃんを応援してお返しする番。

全速前進ヨーソロー…なんてね。

123: 2017/08/13(日) 12:52:03.24 ID:GgAbS2kz.net
----

鞠莉「帰ったわね」

果南「うん」

ダイヤ「…お二人は状況の把握が素早いですわね」

鞠莉「ダイヤが遅いだけよ」

果南「千歌も曜も…梨子も…なんか思ってたよりみんな強いんだね」

鞠莉「そりゃぁ私たちを引っ張ったくらいだもの」

鞠莉「あの娘たちがいなければ今の私たちはないわ」

ダイヤ「ふふっ…さ、明日は花火がありますわよ。一大イベントですわ」

果南「夏の風物詩だからね」

鞠莉「忙しくなりそうね…」

-----

ピピピピピ

曜「…」ガバッ

曜「…」チラッ

千歌「zzz…」

梨子「スースー…」

曜(疲れ…取れたかな)

今日は私にとって、大切な日。梨子ちゃんがあそこまで頑張ってくれたら、私も頑張るしかない。

124: 2017/08/13(日) 12:52:28.63 ID:GgAbS2kz.net
曜「ほらほら起きて!もう朝だよ!」

梨子「うぅ~ん…」

千歌「あぇ…?曜ちゃん…なんでいるの?」

曜「千歌ちゃん、ここは家じゃないよ、ホテルだよ!」

梨子「…おはよ、二人とも」

千歌「梨子ちゃん…おはよ~」

曜「おはよう。ほら、朝食の集合もうすぐだよ。歯磨きして着替えよ」シャカシャカ

梨子「うん」

千歌「今日の花火楽しみだね」

梨子「うん!…ってあれ?」

曜「…?」シャカシャカ

梨子「曜ちゃん…ソレ、私の歯ブラシ//」

曜「えっっ!?…あ」

梨子「早く返して~!!」

曜「ごめん!新しいの用意するから!」

千歌「……」

125: 2017/08/13(日) 12:53:03.02 ID:GgAbS2kz.net
-------

むつ「あっぶな~。ギリギリじゃん。もうみんな食べてるよ」

千歌「ちょっと用意に手間取っちゃって…あはは」

曜「クラスのみんな…待たせちゃった?」

むつ「ううん。ギリギリセーフ」

梨子「よ、良かった」

むつ「ほらほら気にせず早く食べないと時間なくなっちゃうよ」

曜「はーい!」



梨子「アムッ…あつっ」

善子「おはよ。リリー、隣いい?」

梨子「よっちゃん、おはよ。うん、いいよ」

善子「夕方まで時間あるじゃない?」

梨子「え?」

善子「花火始まるまで自由だし」

善子「一緒に小樽辺りに行って海鮮でも食べないかなって」

梨子「よっちゃん…」

善子「私と…デートしない?…なんて」

梨子「ふふっ。可愛い」

善子「あっ、今バカにしたでしょ!」

梨子「してないよ~。いいよ。一緒に行こっか」

善子「やった!沼津の魚介とどっちが美味しいか食べ比べよ」

126: 2017/08/13(日) 12:53:58.85 ID:GgAbS2kz.net
梨子「うん!」

曜「……」

千歌「曜ちゃん」

曜「…千歌ちゃん?」

千歌「曜ちゃん何処か行きたいところある?」

曜「うう~ん。今日は花火まで部屋でゆっくりしてもいいなって」

千歌「そっか…。私も一緒にいい?」

曜「千歌ちゃんいいの?観光しなくて」

千歌「昨日たくさんしたから」

千歌「それとも私と一緒じゃ嫌?」

曜「いやいやいやいや!そんなことないよ!じゃあご飯食べたらお部屋戻ろっか」

千歌「うん。そうする」

梨子「じゃあ私は観光してくるね。荷物勝手に探っちゃダメだからね」

千歌「そう言われるとしたくなる…」

梨子「ぜっったいダメ!」

花丸(怪しい本でも入ってるのかな…) 」

ルビィ「花丸ちゃん…声に出てるよ」

ルビィ「私たちはどうする?」

花丸「ダイヤさんたちがバーベキューするらしいからついていくずら」

ルビィ「そうしよっか」

127: 2017/08/13(日) 12:54:25.11 ID:GgAbS2kz.net
-----

曜「ふぅ~……」ドサッ

千歌「久しぶりだね。こう言うの」

曜「そうだね」

千歌「高校生くらいになってからあんまりできなかったもんね」

曜「ごめんね。部活とかで忙しくて」

千歌「うん。仕方ないよ」

千歌「私も今は部活で忙しいし!」

曜「えへへ…そうだね」

千歌「水泳の方はどぅ?」

曜「うーん…。まあまあかな。自己ベスト目指して頑張ってるよ」

千歌「大変だったら…水泳の方中心でも良いからね。無理しないでね」

曜「無理はしてないよ。スクールアイドルも楽しいし、何より千歌ちゃんと一緒にやれるなんて、超嬉しい次第でございます!」

千歌「…私と」

千歌「…曜ちゃんは梨子ちゃんが好きなんじゃないの?」

曜「…え?」

128: 2017/08/13(日) 12:54:54.91 ID:GgAbS2kz.net
千歌「昨日ね、鞠莉さんたちの部屋から帰ってきた時、見ちゃったんだ。曜ちゃんと梨子ちゃんが手繋いでるところ」

-----

鞠莉「ダイヤ、ほら、焼けてるわよ!そこ!丸焦げじゃない!」

ダイヤ「あー!!すっ、すみません!」

ルビィ「うぅ…お姉ちゃん、ルビィのいる?」

果南「ダイヤ…やらかしすぎでしょ」

花丸「美味しいずら~!」

鞠莉「ダイヤ、ほら、私が焼いてあげたから。あーん」

ダイヤ「自分で食べれます!…あっっつ!!」

鞠莉「wwwww」ジタバタ

ダイヤ「良い加減にしなさい!!」

鞠莉「なにそれ、ダジャレ? 私への説教のいい加減にしろ、と火の加減を良い加減にって…カーハッハッハ!!」

花丸「つぼりすぎずら…」

ダイヤ「|c||^.-^||ピキピキ」

------

千歌「私がいないところでなにしてたの?気球から降りてきた時も…変だったし」

曜「……別に何も…してないよ」

千歌「私に言えないこと?」

曜「言えない…わけじゃないけど」

130: 2017/08/13(日) 16:05:33.58 ID:GgAbS2kz.net
千歌「…言ってよ。…曜ちゃん。中学生の時みたいになるのは嫌だよ」

曜「な…んで今それを…言うの?」

千歌「……」

曜「あの時は私はハッキリ言ったよ?!千歌ちゃんが好きだって。うやむやにしたのは千歌ちゃんじゃん!」

千歌「曜ちゃん…どうしたの?」

曜「私のこと嫌いなら嫌いって言ってくれればよかったのに」

--ダメだ。ダメだ。ダメだ。大好きな千歌ちゃんなのに無性に腹が立ってしまう。

昨日の出来事。一晩で整理できるほど…私の心は大きくない。無意識に、千歌ちゃんに八つ当たりしていた。

千歌「嫌いじゃないよ。私」

曜「じゃあなんでうやむやにしたのさ!自然消滅して…私、待ってたんだよ?」

千歌「だってそれは…!それは…」

曜「…なに?」

千歌「私は…曜ちゃんと付き合っちゃいけないんだって、思ったから」

曜「…は」

千歌「曜ちゃんの所為だよ!ずっと…私ずっと思ってたもん。いっつも曜ちゃんは隣にいてくれるけど、私はいて良いのかって」

131: 2017/08/13(日) 16:06:05.92 ID:GgAbS2kz.net
千歌「スクールアイドルも一緒にやってくれるって言った時は嬉しかったよ!曜ちゃんとダブルセンターはれるって思った時も…嬉しかったけど、怖かったんだもん!」

千歌「また曜ちゃんに貰うばっかりなんだって…」

曜「千歌ちゃん…もう自分をそんな目でみるやめようよ」

千歌「見ないように頑張ってたよ。でも…フラッシュバックするんだもん」

曜「…千歌ちゃん」

千歌「私だって曜ちゃんと付き合いたいって思った。あの時は…。でも付き合って良いのかって、これ以上近づいて良いのかって。言い聞かせたら…」

曜「それは私もだよ」

--
梨子『曜ちゃん…私、曜ちゃんのことたくさん見てきたんだよ。だって好きだから。一番…しっかり見てきた。気持ち悪いかもしれないけど』
---

だよね--。

曜「千歌ちゃん…私、ずっと千歌ちゃんを見てきたんだよ。好きだから。ずっと。幼稚園くらいの時から」

132: 2017/08/13(日) 16:06:28.29 ID:GgAbS2kz.net
千歌「そうやってまた優しいところを見せるから…傷ついちゃうんだよ」

千歌「曜ちゃんには、梨子ちゃんがいるでしょ」

曜「…なっ」

千歌「梨子ちゃんと付き合っちゃえば良いんだ!私なんて放っておいて!」

曜「…!!」

バシンッ!

千歌「…ぅっ」

曜「…ハッ」

やばい。自然と手が出た。

曜「…ぁ…千歌ちゃ、ごめ」

千歌「…グスッ」

ダダダダッ

曜「千歌ちゃん!」

135: 2017/08/13(日) 16:51:46.67 ID:GgAbS2kz.net
-----

梨子「美味しいね…」

善子「えぇ。あっ」バキッ

梨子「?」

善子「箸…折れちゃった」

梨子「大丈夫?」

善子「…不吉ね。何か悪いことでも起こったのかしら」

梨子「またまた~。変なこと言わないの」

梨子「……」

--曜ちゃん。

-----

やっちゃった…。千歌ちゃんに…。頬が赤くなってた。泣いてた。

曜「…はぁ」

理由はわかってる。許せなかったから。いくら千歌ちゃんでも。いくらお互い急な展開で動揺していたとしても。

136: 2017/08/13(日) 16:52:12.41 ID:GgAbS2kz.net
昨日の梨子ちゃんを知ってたら、あんなこと許せない。千歌ちゃんの発言が梨子ちゃんの気持ちを…なんだか踏み躙るようで。

曜(でも…手が出るなんて)

曜「私も子供だなぁ…」

曜「花火の時…どうしよ」

来て欲しかった時間が、来て欲しくない時間になりそう。そして知ってるんだ。こう言う時って、時間が経つのが異常に早い。

いつもの倍以上の早さで夕方に、花火の時間になる。


-----

千歌「…グスッ」

千歌(どうしてあんなこと言っちゃったんだろ)

曜ちゃんが珍しく本音を剥き出しにしてくれたからちょっと調子に乗っちゃったのかも。

千歌「皆んなに顔合わせれる気がしないや…」

あの曜ちゃんを見る限り、梨子ちゃんと何かあったんだろうな。だからあんなに怒った。

137: 2017/08/13(日) 16:52:37.14 ID:GgAbS2kz.net
初めて見た。叩かれる瞬間に映った曜ちゃんの顔。グッと何かを堪えて本当に怒ってた。曜ちゃん自身何が起こったのか理解できていなかったけど。…つまり何が言いたいかと言うとそれくらい怒ってた。

千歌「…果南ちゃん…」

果南「呼んだ?」

千歌「…ぇ、ええ?!」

果南「何…おばけだって感じだけど」

千歌「果南ちゃん…バーベキューは?」

果南「もうだいぶ片付いたよ。花火の準備しないの?」

千歌「…行きたくない」

果南「…曜と何かあったの?」

千歌「…」コクン

果南「やっぱり」

千歌「果南ちゃんは曜ちゃんと梨子ちゃんのこと知ってるんだよね?」

果南「うん。まぁね」

138: 2017/08/13(日) 16:53:01.97 ID:GgAbS2kz.net
果南「泣いてないで仲直りしなよ。花火始まる前に」

千歌「でも…」

果南「頭冷やして、一回落ち着いてごらん。色んなものが見えてくるからさ」

果南「まあ、私がこれ以上言うのも変だし、行くね。千歌も早くきなよ。花火」

千歌「…あっ、ちょっ」

千歌「早いよ……」

果南(頬が赤くなってた…。曜、やっちゃったか…)

果南(いつぶり…?こういうの。今までなかった気がしなくもないけど…)

139: 2017/08/13(日) 18:05:18.10 ID:GgAbS2kz.net
-------

梨子「ちょっと早かったかな…」

善子「いーのいーの。早い方がいいじゃない」

梨子「そんなに花火楽しみなの?」

善子「別にそういうわけじゃないわ。ただ漆黒の闇の中、光り輝く「楽しみなのね」

梨子「よっちゃん、浴衣似合うね」

善子「にっ、似合ってなんかないわよ!」

曜「あ、二人とも」

善子「曜さん」

梨子「あれ?千歌ちゃんは?」

曜「…あっちに…もうすぐ来るんじゃないかな」

善子「あっ…ほんとだ。千歌さーん!」

梨子「……」

梨子(何かあったのかな…)

千歌「あれ?皆んなは?」

善子「私たちが早かっただけよ」

千歌「へぇ…」チラッ

曜「…?」

曜・千歌「ふんっ!」

善子「…何やってるの?」

梨子(やっぱり…)

花丸「善子ちゃーん!」

善子「集まったようね」

善子(こんな雰囲気で大丈夫なの…?!)

鞠莉「……」

140: 2017/08/13(日) 18:05:45.62 ID:GgAbS2kz.net
------

ダイヤ「では、また後ほど、最初は仕事が終わりましたら他学年のところへ遊びに行きますので、それまでは花火を楽しんでいてください」

鞠莉「ニッポンの打ち上げ花火、楽しみだわ!小さい花火もとっても可愛くて好きだけど」

「はーーい」

-------

バチバチバチ

梨子(あっ、落ちちゃった…線香花火苦手だな…)

曜「……」

千歌「……」

梨子(気不味い…)

曜「…飲み物買ってくるけど、何かいる?」

梨子「あ、じゃあ…お茶で」

曜「ヨーソロー!」タッタッタッタッ

梨子「……」

梨子「元気ないね。どうしたの?」

千歌「……」

梨子「曜ちゃんと喧嘩?」

千歌「…」コクン

梨子「…そうなんだ」

千歌「私が悪いんだ」

梨子「そうなの?」

141: 2017/08/13(日) 18:07:11.40 ID:GgAbS2kz.net
千歌「うん。梨子ちゃんに嫉妬して、八つ当たりして、色々逃げちゃって」

千歌「ねぇ、梨子ちゃん、曜ちゃんと何があったの?」

梨子「……」

『次は私が応援する番』---

千歌「昨日も見ちゃったんだ。二人が手を繋いでるところ」

梨子「…私、曜ちゃんに告白したんだ」

千歌「えっ」

梨子「前からなんだけど…曜ちゃんのこと、好きで好きで堪らなかったの。ずっと曜ちゃんのこと考えちゃうくらい」

梨子「その想いをぶつけただけだよ」

千歌「……」

梨子「フラれちゃったけどねっ」

千歌「そうなの?!」

梨子「うん」フフッ

千歌「…ごめん」

梨子「なんで謝るの。悪いことしてないでしょ」

千歌「だから…あの時…」

梨子「曜ちゃんには他に好きな人がいて、私は見事にフラれ、青春の1ページとなりました~」

千歌「…?」

梨子「千歌ちゃんには勝てないね」

千歌「…私」

142: 2017/08/13(日) 18:07:35.69 ID:GgAbS2kz.net
梨子「曜ちゃんも、千歌ちゃんもきっと、本当に素直になれないだけなんだよ。二人とも意地っ張りだし」

千歌「私意地っ張りなの?!」

梨子「かもね…」

梨子「千歌ちゃん、曜ちゃんがいくら幼馴染だからって言っても曜ちゃんは超人じゃないんだから、全部はわからないんだよ」

千歌「でも曜ちゃんは…」

梨子「千歌ちゃんにはなんでもできるように映ってるかもしれないけど、私は…今は違うな」

梨子「千歌ちゃん、皆んな色んな色を持ってるの。綺麗な色も、汚い色も、曖昧な色も。たとえ表面は画一的な色で塗っていても、目立つ色を塗っていても、中身の色は色んなものが混ざってるんだよ」

梨子「千歌ちゃんに持ってないものを曜ちゃんが持ってて、曜ちゃんが持ってないものも千歌ちゃんは持ってる。それは私にだってあるものだって」

千歌「梨子ちゃん…」

143: 2017/08/13(日) 18:08:55.30 ID:GgAbS2kz.net
梨子「自分は何もない人間なんだって思ってた私に、ソレを教えてくれたのは千歌ちゃんだよ」

千歌「…私が?」

梨子「うん」

「リリー!どこー!」

梨子「じゃあ私、よっちゃんに呼ばれてるから行くね」

千歌「…ぇ、あ、ぅん」

----

曜「あ、いたいた、はい、頼まれてたお茶」

梨子「うん。ありがとう」

曜「なんか…会話に入るタイミング見失っちゃった」

梨子「あはは…ごめんね」

曜「ううん。聞こえてたよ。ありがとう」

梨子「ふふっ。曜ちゃんを応援するって決めたからね。下手なことしたら承知しないわよ?」

曜「うっ…頑張ります」

梨子「曜ちゃんらしく歩くだけでいいから。あんまり深く考えないようにね。終わったら一緒に花火しよ」

曜「うん--」

梨子ちゃん--何処までも--

144: 2017/08/13(日) 18:09:23.10 ID:GgAbS2kz.net
ザッ

曜「千歌ちゃん」

千歌「…曜ちゃん」

梨子ちゃん--見ててね。私、頑張るから。

曜「お、お話しない?」

千歌「うん、いいよ。私もしたかった」

-------

善子「あれで良かったの?」

梨子「うん…って知ってたの?」

善子「一応、曜さんから大体のことは聞いたけど」

梨子「聞かれちゃったか、恥ずかしいね」

善子「リリーも報われないわね」

梨子「そんな言い方しないの」

梨子「いいのよ。私は報われなくても。曜ちゃんを幸せにすることが役目だから」

善子「フラれても…曜さんのことは好きなの?」

梨子「うん…。好きだよ。本当に好きな人って自分の気持ちに応えてもらえなくても、簡単に諦めきれるものじゃないんだ。初めてわかった」

善子「そうね…。私も初めて理解したわ」

145: 2017/08/13(日) 18:10:06.56 ID:GgAbS2kz.net
梨子「え?」

善子「本当に好きな人って、その人が自分の気持ちに応えてくれなくても、簡単に割り切れないのよね」

梨子「う、うん。そうだけど…」

ドォン ドンドン

梨子「わぁ…」

善子「花火上がり始めたのね……綺麗ね」

善子「リリー」

梨子「うん?」

手汗が凄い…。こんなに緊張するものなの?結果はもうわかっているのに。

善子「好きよ」

タイミング良いのか悪いのか、私の言葉と同時に桜色の花火が上がった。

梨子「………」

梨子「………ぇ?」

148: 2017/08/13(日) 22:15:59.54 ID:GgAbS2kz.net
------

千歌「…朝はごめんね」

曜「いいよ…私も」

千歌「梨子ちゃんに教えてもらったよ。…無神経なことばっかり言ってごめん」

曜「別に千歌ちゃんだからじゃないよ。誰だってわかんない」

曜「そんなものなんだよね。皆んな重きをおく所なんて違うし、体験したことも違うから、自分をメインに考えるしかない」

曜「私も我儘だから…千歌ちゃんを傷つけて」

曜「……ごめん」

千歌「ううん。いいの。…私にね、嬉しかったんだ。ちょっとだけ」

曜「ぇ…」

千歌「い、いや、Mとかそういう意味じゃなくてね。曜ちゃんが本気で、本心をぶつけてくれた気がしてね、嬉しかったの」

千歌「曜ちゃん、私に本音をぶつけることなんてほとんど無かったから。曜ちゃんのこと見失ってたんだ」

曜「…だよ」

千歌「ふぇ?」

曜「好きな人の前では格好悪い所見せられないじゃん!どう思われるかなんてわかんないだもん」

149: 2017/08/13(日) 22:16:58.13 ID:GgAbS2kz.net
千歌「そんなこと私もだし!曜ちゃんの前で弱いところは見せないようにしようって、そう思ってたんだって!」

曜「…ぷっ」

千歌「ふふっ…ふふふっ」

曜「何笑ってんの」

千歌「曜ちゃんこそ」

曜「いや…なんだか私たちってくだらないなぁって」

千歌「ええー?!」

曜「一人で閉じこもって、一人で悩み混んで、結局答えは簡単なものだったって」

曜「ホント、千歌ちゃんと一緒にバカするのは楽しいや」ケラケラ

千歌「バカにしてる!これでも一応リーダーなのに」

曜「ふふっ。リーダーの千歌ちゃんも好きだよ。私の…理想の」

曜「上に立つでもなく、下に立つでもなく、いっつも私たちの横にいて、一緒に進んでくれるリーダー」

曜「千歌ちゃんの才能は…そういうところじゃないかな」

千歌「…ありがとう」

曜「あれ?否定しないの?」

千歌「せっかく曜ちゃんが言ってくれたんだから」

曜「おっ、千歌ちゃんもわかってきましたね~」

150: 2017/08/13(日) 22:17:25.73 ID:GgAbS2kz.net
千歌「むー…。梨子ちゃんにも謝らなきゃね」

曜「うん…」

梨子ちゃん--。

曜「千歌ちゃん」

千歌「…はい。」

曜「これからも一緒に私とバカして、隣にいてください」

千歌「何それ?!告白!?」

曜「変?」

千歌「変だよ!」

曜「ふふっ…」

千歌「いいの?…私が隣にいて。私が隣で」

曜「うん。千歌ちゃんにも、いて欲しいな」

千歌「…」ガバッ

曜「うわっ…と」

千歌「梨子ちゃんが言ってた曜ちゃんの温もりがわかった」

曜「何それ…」

千歌「曜ちゃん…よろしく、お願いします!!//」

曜「うん…」

花火が大きな音を立てて景色を塗り替えるなかで。千歌ちゃんの瞳に反射して見える『私』の顔は…くしゃくしゃな気がした。

やっと--本当の意味で千歌ちゃんと分かり合えた気がする。いや、私たちはもともとそうだったのかもしれないけど。

梨子ちゃん--ありがとう。ありがとう。

ごめんって言ったら怒りそうだから、ありがとうって、そう言うね。

---ありがとう。

151: 2017/08/13(日) 22:18:00.04 ID:GgAbS2kz.net
-----


花丸「…善子ちゃん遅いね」

ルビィ「うん」

ルビィ「花丸ちゃん…良かったの?」

花丸「うん…。今は善子ちゃんの番」

花丸「善子ちゃんが梨子さんにフラれて弱ってるところにマルが言ってあげるずら」

ルビィ「そっか。ふふっ」

花丸「マルね。レンアイって、本でしか読んだことなくて、あんまりよくわからなかったんだ」

ルビィ「うん」

花丸「百聞は一見に如かず、だね。今は痛いくらいわかるずら」

ルビィ「善子ちゃん可愛いしかっこいいもんね。仕方ないよ」

152: 2017/08/13(日) 22:18:27.08 ID:GgAbS2kz.net
花丸「ごめんね。色々協力してもらってたのに」

ルビィ「ううん。花丸ちゃんと花火見れて、ルビィは幸せ」

花丸「マルも幸せずら…」

ルビィ「ルビィは花丸ちゃんも善子ちゃんも皆んな好きだよ」

花丸「うん。ありがとう…マルも好き」

ルビィ「好きって難しいね」

花丸「うん…」

ルビィ「この娘が好き。歌が好き。スポーツが好き。猫が好き。友達が好き。貴女が好き…」

花丸「likeかloveの違い…だけじゃないよね。日本語って難しいずら」

ヒューードンッ

ルビィ「そのぶん色んな表現があるからルビィは好き」

花丸「マルも…」

ルビィ「花火終わっちゃいそう」

花丸「もうすぐ善子ちゃん帰ってくるかな」

ルビィ「うん。ルビィたち、部屋で待つ?」

花丸「美味しいお菓子でも用意して待機ずらっ」

ルビィ「うん…」

154: 2017/08/13(日) 23:32:03.17 ID:GgAbS2kz.net
-----

善子「…生きてる?」

梨子「…パクパクパク」

善子「り、リリー?」

梨子「……」

善子「リリー!!」

梨子「はっ、はい!!」

善子「なに放心してんのよ。聞いてた?」

梨子「聞いてた…よ」

善子「そ。ま、気にせずフッてくれて構わないわ」

梨子「そんなこと言わないで」

善子「早くフりないさよ」

--悪い癖だ。悪態をついて逃げようとしてる。…正直逃げたい。いつもの捻くれた自分を演じきることでなんとか、なんとかやり過ごせる…はず。

梨子「…でも」

善子「曜さんに告白したんでしょ」

梨子「…ぇ、…うん」

善子「曜さんにフられて嫌だった?」

155: 2017/08/13(日) 23:32:36.37 ID:GgAbS2kz.net
梨子「そ、そんなことない!曜ちゃんは曜ちゃんの気持ちを貫いてくれたら、私は、悲しいけど…良かったって言えるの!」

善子「…そう。じゃあそれと同じよ」

梨子「え?」

善子「今の立場…わかるでしょ。リリーが大好きで、告白した」

善子「だったらリリーがどんな答えを出しても、本当の気持ちを貫いてくれたら、私は嬉しい」

梨子「……よっちゃん」

善子「でも…ちょっとだけ泣くのは許してね」ポロポロ

あぁ。曜ちゃんもこういう気持ちだったんだ。ごめんって…謝りたくなるんだ。

謝らなくて良いとかそんなじゃない。謝らなきゃ耐えられないんだ。

でも--

梨子「ありがとう。よっちゃん」

梨子「なんか…励まされた!」

善子「…は?」

梨子「嬉しいな。よっちゃんのその気持ち。嬉しい。私なんかを好きになってくれるなんて」

善子「へぇ、じゃあオーケーしてくれても良いのよ?」

156: 2017/08/13(日) 23:33:00.90 ID:GgAbS2kz.net
梨子「そっ、それは…「冗談よ」

善子「曜さんのこと諦めるの?」

梨子「うーん……うん」

善子「ほら、やっぱり…ってえぇ?!」

梨子「だって、曜ちゃん見たらわかるでしょ。私に勝ち目ないよ。千歌ちゃんだよ?」

善子「…それで良いの?貴女は」

梨子「うん。良いよ。曜ちゃんが本音を通してくれたら。私は満足」

善子「へぇ…」

綺麗な瞳。綺麗…綺麗。リリーの瞳には一切の迷いもなく、真っ直ぐこっちを見つめてて。

強いね…。

善子「私は無理ね」

善子「リリー、私、貴女を後悔させてあげる」

善子「あの時告白をオーケーしとけば良かったって、絶対言わせてあげるから!」

梨子「善子ちゃん…」

善子「私は諦めないわよ!リリーを堕とすまで!堕天させるまで!リトルデーモンにさせるまで!」

善子「堕天使ヨハネとしてもっと魅力的な女性になって、もう一度迎えにくるから!」

善子「迎えに…くるから」ツー

157: 2017/08/13(日) 23:38:18.75 ID:GgAbS2kz.net
梨子「我慢しないで」

梨子「堕天使ヨハネじゃなく、津島善子として…」

いいの?全部出すよ。嫌な部分も。弱い部分も。我儘な部分も。


私の目をしっかり見て。

全部受け止めるよって、そう聞こえた。

善子「振り向いてよ!曜さんじゃなくて!私に!リリーが好きなの!」

善子「ちょっとドジなところも…ピアノ弾いてる時輝いてるところも…臭いも、髪も、温もりも好き!」

善子「うっうううっ…」

梨子「うん…うん…ありがとう。善子ちゃん」

善子「ぜったい…絶対メロメロにさせるから…!」

私が曜さんの真似をしても、多分リリーは振り向いてくれない。曜さんには曜さんの魅力があって、私がそれを真似しても同じものは作れない。

それなら私は、私なりの、リリーの好みじゃないかもしれない。リリーのタイプじゃないかもしれない。だけど、私なりのアプローチ、私なりのパフォーマンスで。

楽しみにしておきなさいよ--!。

159: 2017/08/14(月) 00:21:51.37 ID:/cgZI9+l.net
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ガチャ

花丸「善子ちゃん、おかえり」

ルビィ「……」

善子「…ただいま。花火見れた?」

花火「見れたよ。善子ちゃんは?」

善子「見れたわ…。とっても綺麗なのが」

ルビィ「そっか…」

善子「で、何そのパーティー用品は」

ルビィ「せっかくだし3人で盛り上がろうと思って」

善子「なによ!傷口に塩を塗ろうってわけ?」

ルビィ「…ってことは」

善子「ま、案の定フラれたわよ。なんかスッキリしたわ」

ルビィ「なんて言ったの?」

善子「曜さんが好きなのはわかったけど、私は諦めずリリーを手に入れてみせる!って言ってやったわ」

179: 2017/08/14(月) 02:10:02.95 ID:/cgZI9+l.net
>>178
申し訳ありません…

自分でも笑ってしまいましたww

160: 2017/08/14(月) 00:22:24.26 ID:/cgZI9+l.net
ルビィ「かっこいい…」

花丸「善子ちゃんらしいずら」

善子「まあ後はこれで帰るだけだし。ひと段落ついた感じね」

花丸「いーや、まだついてないずら」

善子「なに?慰めてくれるの?」

花丸「いいよ、おいで。マルの胸に飛び込んでおいで~」

善子「…はぁ」

花丸「オイデ…オイデ」

善子「わかったわよ」ガバッ

花丸「よしよし…よく頑張ったずら」

善子「んむぅー!大きすぎて息ができない!」

花丸「セクハラずら!窒息させるよ?」ムギュー

善子「っちょ!やめなさい!」バッ

161: 2017/08/14(月) 00:22:52.00 ID:/cgZI9+l.net
花丸「…チュッ」

善子「……はぁ?!///」

善子「何すんのよ!」

花丸「善子ちゃんは梨子さんに何て言ったずら?」

善子「だから…さっき言ったじゃない。諦めないって」

花丸「そう…。じゃあマルも諦めないずら。離さないよ」ギュッ

善子「えっ…ちょっ…あんたっ」

ルビィ「善子ちゃん…鈍感だね」

花丸「善子ちゃん、好きずら。だから--」

善子「…花丸…アンタ…」

花丸「マルとこれからも友達でいてほしいずら」

善子「…そっち?!ちょっとだけ期待したじゃない」

花丸「ふふ…期待しても良いんだよ?」

善子「じゃあちょっとだけ期待しておくわ」

162: 2017/08/14(月) 00:23:17.15 ID:/cgZI9+l.net
これで良い。善子ちゃんは善子ちゃんらしいやり方で。マルはマルらしいやり方で。

自分の中の『好き』に向き合えば。

神秘的だ。言葉では表せないこの気持ち。ふわふわしてて…でも中身は多分かたくて。

人それぞれ色んな形をしているこのキモチ。

善子ちゃんはどんな形をしているんだろう。

ソレに興味を持っちゃったマルは…もう善子ちゃんにメロメロずら。

たとえ叶わないとしても。贅沢は言わない。お寺で過ごしたから、慣れてる。大丈夫。

でも--いつか、叶えれたらいいな。

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ダイヤ「どうやら今回は私たちが出るまでもなかったようですわね」

鞠莉「皆んな強いんだから、大丈夫よ。ダイヤの方が心配だわ」

ダイヤ「…どういう意味ですか」

鞠莉「センチメンタルすぎて弱そう」

ダイヤ「やかましいですわ」

果南「もう既に涙目だもんね」

ダイヤ「それは…皆さんの勇姿を見ていたら…もらってしまいますわ」

果南「千歌たちも…もう大丈夫そうだね」

鞠莉「そうねぇ…」

163: 2017/08/14(月) 00:23:50.90 ID:/cgZI9+l.net
もうラストスパートなので頑張ります。もしここまで見てくださってる方がいたら感謝です。
ありがとうございます

168: 2017/08/14(月) 01:44:41.09 ID:/cgZI9+l.net
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曜・千歌「御迷惑をおかけしました」

梨子「ホントよ。喧嘩してた時はどうしようかと思ってたんだからね」

千歌「うぅ…ごめんなさい」

梨子「まぁ、無事ラブラブになれならよかった」

千歌「ぶっ//や、やめてよ…」

梨子「曜ちゃん悲しませたら承知しないんだからね?」

曜「梨子ちゃん恥ずかしいからやめてよ…」

梨子「ふーんだ」

曜「善子ちゃんとは…どうなったの?」

梨子「今は断っちゃったよ。だって曜ちゃんが好きだから」

千歌「…」(よく考えたらすごい修羅場だ…)

梨子「でもよっちゃん、諦めないって言ってくれたの。ふふっ…」

曜「そっか。善子ちゃんらしいね…」

千歌「…うん。…強いね。皆んな」

梨子「高海リーダーさんが率いるAqoursのメメンバーだからね」

千歌「リーダー…」

梨子「これからもよろしくね。二人とも」

千歌・曜「うん…!」

千歌「さぁ!学祭に向けて、頑張ろう!」

「おー!!」

みんなの色々な『好き』が転がっいて、丸みを帯びてたり、角ばっていたり。形も様々で、そして色も。

みかん色や桜色や、黄色や白、ピンク色に赤色、紫に黄緑、水色。

その色はたくさんのものと混ざって、汚れたり、もっと綺麗なものになったり。

それを繰り返して繰り返して。自分の中のモノが見えてくる。

このカラフルな日常を…曜ちゃんと梨子ちゃんとAqoursの皆んなと。

--歩いて行きたいんだ。

169: 2017/08/14(月) 01:45:25.31 ID:/cgZI9+l.net
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-学祭当日-

ワイワイ

ソレハコンデー ワカッター

ホライソイデ!


~♪♪

梨子「…うん」

私たちの学祭でのステージの曲。

作曲できたのは…みんなのおかげかな。

梨子(…なんかすごい時間だったな…)

ガラガラ

善子「やっぱりここにいたのね」

梨子「よくわかったわね」

善子「音楽室からリリーのピアノが聞こえたから」

梨子「バレちゃってたか」

善子「リリーのピアノ、好きだから」

梨子「ふふっ。ありがとう」

善子「それでさ、リリー」

善子「学祭、一緒に回らない?」

梨子「…うん。いいよ」

170: 2017/08/14(月) 01:46:02.36 ID:/cgZI9+l.net
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梨子「あ、よっちゃんアイス食べる?」

善子「食べる!」

梨子「すみませ~ん、アイス2つ…」

鞠莉「まいどっ!アイス二つで6万円デ~ス」

梨子「まっ、鞠莉さん!」

善子「6万!?高すぎでしょ!」

鞠莉「冗談よ。タダでいいわ」

善子「えっ、ホント?!」

果南「ふぅ…二人は仕事はいいの?」

ダイヤ「サボりではありませんよね?」

梨子「はい。ひと段落ついたから」

花丸「アイスが無料で食べれるの?!」

ルビィ「花丸ちゃん…って、お姉ちゃんたち」

鞠莉「特大のものを用意してあげるわ♪」

千歌「私も私も!…ってみんな!」

曜「ステージ始まる前にみんな揃っちゃったね」

善子「あっ、リリー一口ちょうだいよ、ソレ」

梨子「えっ?いいけど…」

善子「パクッ…」

梨子「私のスプーン…」

鞠莉「oh!間接キス…♡ヒューヒュー♪」

171: 2017/08/14(月) 01:46:29.77 ID:/cgZI9+l.net
梨子「ちゃっ、茶化さないで下さい!」

鞠莉「千歌っちもどう?カップル用のアイスがあるんだけど」

千歌「下さい!」

曜「恥ずかしいらダメダメダメ!」

善子「…」

二人きりで回るつもりだったんだけど。

こう言うのも‥悪くないわね。

梨子「…?」

善子「…フフッ」

善子「少しは私を女の子として見てくれてるのかしら~」

梨子「う~ん。どうだろね」

善子「ちぇ~…」

梨子「ま、まぁ…ちょっとだけ…興味は…」

善子「パァ…」

善子「ホント!?」

果南「おっ、堕天使にもついに春が来るのかな」

172: 2017/08/14(月) 01:47:29.78 ID:/cgZI9+l.net
花丸「よかったずらね…。善子ちゃん」

ダイヤ「結婚式は呼んでくださいよ?!」

善子「あ~!もう!この野次馬たち嫌~!!」

梨子「…クスッ」

自分のことを想ってくれる人と、自分が想っている人と、その人が想っている人と。

一見すると凄い修羅場でもおかしくないんだけど、なんでだろう。

楽しいな。私。

フラれちゃったけど、悲しい思いもしたけど、告白して良かったのかもしれない。

曜「善子ちゃん…凄いね」

梨子「うん…。恥ずかしくないのかな」

曜「好きな人がいるんだから、気にしてはいられない、でしょ?」

梨子「うん、そうかもね。でも私は曜ちゃんがまだ好きだから」

曜「ありがたいですなぁ…。じゃあ梨子ちゃんは…彼女とか作らないの?」フフッ

梨子「…チラッ」

梨子「クスッ」

善子「…?」

梨子「う~ん。わかんない!」

善子「なんで今ちょっとこっち見たのよ!」

梨子「なんでもないの。ほら、次はパフェでも食べに行こ」

善子「パフェ?!行く行く~!」

~おわり~

173: 2017/08/14(月) 01:48:46.09 ID:/cgZI9+l.net
少し変な終わり方にはなりましたが終了です。最後までお付き合いいただいた方、本当にありがとうございます。繊細な文章となるとかなり難しく、あまり上手くいきませんでしたが、皆さんのレスなどで元気付けられました。感謝です。

181: 2017/08/14(月) 02:11:16.30 ID:/cgZI9+l.net
おまけ

曜「…ぅぅ」

千歌「ほら、曜ちゃん、カップル用だよ。早く食べよ!」

曜「う…視線が辛い」

千歌「もー!なんでいきなりヘタレになっちゃうのさ。イケメン曜ちゃん見せてよ、イケメン」

曜「だ、だったら見せるよ!ほら、はい、千歌、あーん」

千歌「あーん」

曜「あっ…」ポトッ

千歌「もう少しだったのに!曜ちゃんのバカ!」

曜「ごめんって…手が震えて…」

ダイヤ「なんだか…お二人を見ていると安心します。うふふ」

曜「…どう言うことですか?」

ダイヤ「いえ…恋愛経験皆無の私を鞠莉さんが弄ってくるので」

ダイヤ「お二人の変わらないやりとりを見ていると…心が落ち着きますわ。えぇ。いいですわね」

鞠莉「ダイヤは青春の1ページを書き忘れたのよ」

ダイヤ「私だってちゃんと素敵なお相手を見つけてきますわ!凛々しくて…そう、私のことを毎日見てくれるような…」

果南「その辺にしてあげなよ…」

ルビィ「ルビィも頑張らなきゃ…」

花丸「そんなに急ぐ必要もないずら。マルは…もう目標は決まってるけど」

182: 2017/08/14(月) 02:11:53.49 ID:/cgZI9+l.net
ルビィ「善子ちゃん…難しそうだよ?」

花丸「うん。でも決めたから。マルもいけるとこまで行ってみようと思う」

ルビィ「そうだね…」

ダイヤ「いいですわ!私は!皆さんの全力サポートに回りますので。以後恋のキューピッドと呼ぶように!」

鞠莉「地雷が何か言ってるわよ、地雷が」

果南「やめなって」

ダイヤ「お望みとあれば貴女のところへ地雷を設置しにいきますが?」

果南「ダイヤも…くだらない煽りにすぐ乗らないの」

ダイヤ「恋のキューピッドダイヤ様の誕生ですわ、オホホホホ!」

鞠莉「ダイヤ…って…あっ」

果南「どうしたの?」

鞠莉「さっきダイヤにカルピス注いだつもりが日本酒注いじゃってた♪」

果南「えっ!?ちょっ…なにやってんの!」

鞠莉「てへぺろ♡」

193: 2017/08/14(月) 15:11:29.87 ID:/cgZI9+l.net

引用元: http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1502451016/

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