【SS】曜「ストロベリームーン」【ラブライブ！サンシャイン!!】

6月9日　朝


TV「本日は年に一度のストロベリームーンです！」

TV「このストロベリームーンは見ると幸せになれる。好きな人と一緒に見ると永遠に結ばれるとの言い伝えがあるそうです」

TV「今日の天気は九州から関東にかけては梅雨の晴れ間が広がる予報となっており、日本の広い範囲でストロベリームーンが楽しめそうです」

TV「月が出たばかりの時間帯は、まだ日が落ちておらず、空が明るいので、日の入り30分後ぐらいの20時頃から満月となる22時台までが見ごろとなりそうです」

TV「今夜は気になっている人とロマンチックな夜を過ごしてみては如何でしょう！」


曜「へー……」
　

曜（ストロベリームーン……初めて知ったなぁ）

曜（好きな人と一緒に見ると永遠に結ばれる……）

曜（千歌ちゃんと見たいけど……）

曜（でも千歌ちゃんは……）
　

善子「おはよう」

曜「おはよう善子ちゃん……」

善子「なんだか浮かない顔ね」

曜「うん……ちょっとね……」
　

バス


善子「ストロベリームーンね」

曜「うん、善子ちゃんは知ってたんだ」

善子「ええ、もちろんよ」

善子「毎年一人で見てたわ」

曜「……なんかごめん」

善子「ちょっと！謝らないでよ！！」

善子「……今年はずら丸とルビィと一緒に見るわ」

曜「三人は仲いいね」

善子「あなた達だって仲いいでしょ」
　

曜「……仲……いいのかな……」

善子「何よ……何かあったの？」

曜「最近さ、二人が私に隠れて何か話してるんだよね」

善子「……」

曜「私が何話してたの？って聞くといっつもはぐらかされるんだよね……」

善子「曜にサプライズでも計画してるんじゃない？」

曜「でも誕生日はもう過ぎたよ……？」

善子「…………」
　

善子「まぁ…その…親友でも言えないことだってあるわよ」

善子「曜だって千歌に言えないこと、梨子に言えないことあるでしょ？」

曜「そりゃあるけど……」

善子「曜は少しネガティブに考えすぎよ」

曜「……」

善子「ったく、なんで堕天使の私が励ましてるのよ」

曜「…………ごめん」

善子「だから謝らないでってヴぁ」
　

曜（私の考え過ぎなのかな……）

曜（もう迷わないってあの日決めたはずなのに……）

曜（それでも……）

曜（やっぱり目にするとまた考え込んじゃうよ……）

曜（二人共……何の話してるの？）
　

教室


扉「ｶﾞﾗﾗ…」

曜「…………」ｽﾀｽﾀ


千歌「今日見られるかな？」

梨子「天気予報見なかったの？」

千歌「なんかそれどころじゃなくて///」

梨子「もう……今日は一日晴れ間よ」

梨子「何事もなければちゃんと見られるわ……あっ、曜ちゃんおはよう」

千歌「よ、曜ちゃんおはよう！」

曜「……おはよう二人共」
　

梨子「元気ないけど大丈夫なの？」

千歌「曜ちゃん大丈夫？」

曜「ちょっと気分悪くて……でも平気。大した事ないから」

曜「それよりさ、なに話してたの？」

梨子「無理しちゃダメよ？えっとね……て、天気の話してたの」

千歌「そうなの！私が寝坊しちゃって天気予報見損ねたからさーあはは」

曜「……そっか」
　

曜（今のでわかったよ）

曜（二人は今日……一緒にストロベリームーンを見るんだね……）

曜（きっとあのベランダから二人だけで……）

曜（私も家が隣なら見れたのかな……）

曜（梨子ちゃんがいなければ見れたのかな……）

曜（…………ううん、わかってる……梨子ちゃんがいなくても関係ないって……）

曜（だって）

曜（さっきの千歌ちゃんの表情が…………私が見たことない…………）

曜（恋する乙女だったから）
　

帰りのバス


善子「そう……千歌と梨子がストロベリームーンをね……」

曜「うん……きっと私に気を使ってくれてたんだ」

曜「私、今日の朝まで知らなかったし」

善子「…………」

曜「はぁ～……どうせならもっと上手く隠してくれればいいのにね」

曜「まぁでも今朝のは私がわざと静かに教室入ったんだけど」

曜「お似合い……だよね……あの二人…………まるで運命みたいな」

善子「曜さん」

曜「ん？」

善子「今日は……私と見ない？」
　

曜「へ？善子ちゃんは花丸ちゃんとルビィちゃんと見るんでしょ？」

善子「断るわよ。別にずら丸の家に集まるつもりだったからまだ間に合うし」

曜「そんな悪いよ……」

善子「曜さんは私とじゃイヤ？」

曜「イヤじゃない……イヤなわけない……」

曜「でも……」

曜「今日は一人にさせてほしい……かな」

善子「…………そう……わかったわ」

曜「……ありがとう善子ちゃん」
　

バス下車


曜「それじゃぁね善子ちゃん」

善子「ええ……また月曜日に」

曜「またねっ！ヨーソロー！」ﾋﾞｼｯ

善子「……」ﾌﾘﾌﾘ

ｽﾀｽﾀ…

ｽﾀｽﾀ…

善子「……」

善子「待って！曜さん！」

曜「へ？」

善子「こっち向かないで！！」

曜「え？え？」
　

ﾀｯﾀｯﾀ

曜「ど、どうしたのさ善子ちゃん？」

善子「そのままじっとして、前向いてて」

曜「うん……」

ｷﾞｭｯ

曜「ちょ、ちょっと善子ちゃん！？」

善子「堕天使三大奥義の一つ　『堕天使の抱擁』」

善子「これからあなたに堕天使の祝福が訪れるわ」

善子「必ず……堕天使ヨハネの名に懸けて」

善子「だから…………元気だしてね」

曜「…………うん」

曜「ありがとう……優しい堕天使さん」
　

夜21時頃
渡辺家のベランダ


曜「もうそろ満月かぁ」

曜「今頃、みんなは誰かとこの月を見てるのかな」

曜「思ったより赤くないこの月を……」

曜「私もいつか……」

曜「運命の人とこの月を見られるのかな……」

「ようちゃん」

曜「千歌ちゃんが運命の人だったらなぁ……」

「ようちゃーん」

曜「はぁ……こんな幻聴まで聞こえて……」

「ようちゃん！」

曜「」
　

曜「千歌ちゃん！？」

千歌「もう！さっきから呼んでるじゃん！」

曜「なんでここにいるの！？」

千歌「それはあとで言うから！とにかくこっちきて！」

曜「う、うん」
　

土手


千歌「よっこらせっと」

千歌「ほら、曜ちゃんも座って座って」

曜「……うん」ｽｯ

千歌「曜ちゃん、体調は大丈夫？」

曜「大丈夫だよ……それで、どうして来たの？」

千歌「へっへっへ」

曜「何さ？」

千歌「驚いた？」

曜「そりゃ驚いたよ……何か前にもこんなことあったし……」
　

千歌「あったねぇ～～～、あの時、曜ちゃん大泣きしちゃって大変だったよ」

曜「もう蒸し返さないでよ……」

千歌「ごめんごめん」

曜「で、なんで来たのさ」

千歌「えっとね……その……んー……」

曜「？」

千歌「曜ちゃんと…………このストロベリームーンが見たくて…………」

曜「…………」
　

曜（こ、これって……そういう意味……だよね？）

曜（私、喜んでいいんだよね？）

曜（浮かれちゃってもいいのかな？）

曜「ち、千歌ちゃん……それって……」

千歌「こ、こここの赤い月を見ると幸せになれるんだって！梨子ちゃんに教えてもらったんだけど！」

千歌「曜ちゃん知ってた！？」

曜「そ、そうなんだ……知らなかったなー……」

千歌「不思議だよね！十七年も生きてるのに！」

曜「うん……不思議だね」

千歌「来年はさ！一緒に見られるかわからないし！？今日いっぱい見とこ！」

曜「……そうだね」
　

千歌「…………」


曜「…………」
　

曜（結ばれる話は知らないのかな……）

曜（まぁ千歌ちゃんだし……知っててもそんなつもりはないよね……）

曜（…………）

曜（月……綺麗だなぁ……）

曜（I love youを訳すと……月が綺麗ですね……）

曜（確か中学の時に千歌ちゃんと話したっけ……）
　

千歌『I love youを日本語にすると月が綺麗ですねってロマンチックだねー』

千歌『私もこんな風に告白されたいなぁ～』

曜『そう？私はもっとストレートな告白がいいけどなぁ』

千歌『曜ちゃんは変化球好きじゃないもんねー』

曜『うん。千歌ちゃんの変化球打ちづらいもんやめてよ』

千歌『ちかのストレートは遅いから嫌なの！』



曜（なんて、すぐソフトボールの話になっちゃったけど……）

曜（でも）

曜（もし千歌ちゃんが覚えてるなら……）
　

曜「千歌ちゃん」


千歌「んー？」


曜「月が綺麗ですね」
　

千歌「…………えっ？」


曜「あっ……いや……すごい綺麗だなって思って……その……」


千歌「き、綺麗だよね！ストロベリームーン！自転車飛ばしてきたかいあるよ！」


曜「うん……来てくれてありがとう千歌ちゃん……一緒に見られて私、幸せだよ」
　

千歌「…………」



曜「…………」
　

千歌「わ、私もね…………」



千歌「曜ちゃんとこの赤い月が見られて幸せだよ…………」



千歌「本当に………」




千歌「このまま死んじゃってもいいくらい」





おわり