【SS】彼方「遥ちゃん、実はね? 彼方ちゃんには彼氏がいるんだ」【ラブライブ!虹ヶ咲】

はるかかなた SS


1: 2021/04/13(火) 10:24:12.52 ID:l7fUl07b
※ここまでのあらすじ※

長年連れ添った互いに好意を持っている仲の良い近江姉妹
しかし最近になって妹の遥が「部活疲れ」を理由にスキンシップを控えてしまう

悩みに悩んだ彼方は夕飯の最中、おもむろに「彼氏がいるんだ」と嘘をつくのだった

2: 2021/04/13(火) 10:29:27.89 ID:l7fUl07b
遥「えぇっ!?」ガタンッ

彼方「今まで、黙っててごめんね?」フイッ

遥「そんな……い、いつから?」

彼方「……実は、ニジガクに通うようになって、すぐ……」

遥「そんな……」

遥(あ、ありえない)

遥(自意識を持つようになってから、今まで)

遥(お姉ちゃんのことは1から100までしっかりと把握してきたはずなのに)

遥(訳3年も前からの交際に気づかないなんて、絶対にありえない……)

彼方「………」チラッ

遥「………」フルフル

彼方(来た!)

彼方(遥ちゃんが悩んでる!)

彼方(本当はお付き合いしてる人なんていないけど、これで少しは――)

遥「そうなんだ……驚いちゃった」

遥「教えてくれたってことは、紹介してくれるってことだよね?」

彼方「えっ?」

遥(どうせいないもん、紹介なんてできるはずがないっ!)

遥「お姉ちゃんが好きになった人、私会ってみたいな~」

3: 2021/04/13(火) 10:34:04.50 ID:l7fUl07b
彼方「え、えぇ~……どうしようかな~」

彼方(の、乗ってきた……!?)

彼方(慌てて、嘘だよね!? って詰め寄ってくるくらいだと思ったのに)

彼方(平然と笑いながら会いたいって言ってくるなんて……)

遥「変な人じゃないなら、邪魔したりしないから大丈夫だよ~」

遥(本当は付き合ってる人なんていないはず)

遥(慌てずに、冷静に聞いていけば本当はいないよって言ってくれる)

遥(私を慌てさせたいだけ……慌てさせたいだけ……っ)ドキドキ

彼方「変な人じゃないよ」

彼方「優しくて、格好良くて……すっごくいい人だよ~」

遥「へ、へぇ……そ、そうなんだ」

6: 2021/04/13(火) 10:38:44.96 ID:l7fUl07b
彼方「う~ん……」

彼方(遥ちゃんが引いてくれそうな気配がない)

彼方(私が、本当はいないよ。って自白するまでは絶対に)

彼方(こうなったら……誰かに彼氏役をお願いして……)

彼方「いいよ~」

遥「え゛っ!?」ビクッ

彼方「いいよ~会わせてあげる~」

遥「わ、わ~い」

遥(何で!?)

遥(い、いないはずじゃ……)

遥(う、ううん……まだわからない)

遥(呼び出しが確定するまでは、お姉ちゃんは嘘をつき続けられる)

遥(……こうなったら)

遥「じゃぁ、さっそく明日会えないかな?」

7: 2021/04/13(火) 10:42:30.05 ID:l7fUl07b
彼方「あ、明日!?」

遥「駄目かな~?」

遥(この反応……お姉ちゃんは代役でも頼むつもりだったはず)

遥(明日なら、代役に余計な準備させることはできないし)

遥(頼むのだって、今日これから急遽お願いすることになるはず……)

遥(本当にいるなら、万事休すで首をくくる準備が必要だけど)

遥(でも、きっと、いない……うん)

遥(私のお姉ちゃん記録がいないと言ってるもん)

遥(でも……代役って、誰になるかな?)

10: 2021/04/13(火) 10:48:20.24 ID:l7fUl07b
彼方「そうだなぁ……」

彼方(ここで変に拒んだりしたら、絶対に怪しい)

彼方(本当はいないんじゃないの? って詰め寄ってくる可能性が高い)

彼方(相手の予定も考えないといけないから~って常套句はあるけど)

彼方(そんな使い古された時間稼ぎが遥ちゃんに通用するとは思えない)

彼方(なら――)

彼方「じゃぁ、これからちょっと電話して聞いてみるね」

遥「んぐっ!?」ビクッ

遥「い、今から……電話!?」

遥(あ、ありえないよっ!)

遥(電話する場合、私に会話を聞かれる可能性を考えれば相手に対してあたかも彼氏のような会話を必要とする)

遥(急にそんな話し方をされたら相手はびっくりするし、お姉ちゃん自身が変に思われる)

遥(つまり……)

遥「うん、ごめんね。お願い」

遥(込み入った話がしやすい相手――同好会のい人たちに代役を頼むと見た!)

遥(じゃないと死ぬしかない……お願い神様っ!)

11: 2021/04/13(火) 10:54:44.13 ID:l7fUl07b
彼方「じゃぁ、ちょっと部屋に行くね」

遥「うんっ」

――パタンッ

彼方「ふぅ……」

彼方(遥ちゃんのあの反応……私にはいないって前提で考えてるって予想は当たってたかも)

彼方(でも……あえてハイリスクな電話をするって言うことで)

彼方(遥ちゃんはきっと、代役ではなく本当にいるって考えを持たざるを得なくなったはず)

彼方(問題は明日っていうところ)

彼方(先延ばしにすればするほど、遥ちゃんはやっぱり代役では? って疑ってくる)

彼方(今の遥ちゃんの動揺を維持して、その波に乗って揺さぶるには)

彼方(明日の顔合わせを受け入れる必要がある)

彼方(となると……相手は)

12: 2021/04/13(火) 11:05:06.06 ID:l7fUl07b
遥「……」チラッ

ガサゴソッ

遥(ドアに紙コップ……なんかちょっと楽しい)

遥(じゃ、なくて)ドキドキ

遥(お姉ちゃん、本気で彼氏役を作るつもりなのかな)

遥(同好会の中で、彼氏役に向いてるのは誰だろ)

遥(しずくさんが一番演技に長けてるけど……女の子女の子とした雰囲気は消しきれないはず)

遥(なにより、お姉ちゃんより小さかったはず……ほぼ同じような感じだったし)

遥(お姉ちゃんより背が高いって時点で、愛さん、エマさん、果林さんに絞られる)

遥(エマさんはありえない……というか、無理だと思う)

遥(愛さんなら軽いノリで彼氏役に付き合ってくれそうだけど……ウエストが細すぎる)

遥(明らかに男の人のくびれじゃない……ダボっとした服でごまかすと、ダサくなるだろうから)

遥(背が高くて、今の体系に見合った男の人っぽい……あるいはボーイッシュファッションを持ってて)

遥(……こうなったら、果林さんくらいしかいないよね?)

14: 2021/04/13(火) 11:12:46.32 ID:l7fUl07b
――あ、もしも~し

遥「!」ピクッ

――えへへ~ごめんねぇ

遥(ほ、本当に電話してる?)

遥(……いや、これは果林さんが相手なはず)

遥(なら、やることは一つ)

スッ

遥(姫乃さんに、果林さんが男の人とデートしてるっぽいって嘘ついて、電話してもらおう)

遥(電話出なかったから違ってたってフォロー入れれば大丈夫だろうし)

遥「……果林さん、ごめんなさい」ボソッ

遥(……送信)スッ

――うん。うん。えぇっとね

遥「……」

ヴィーッ

遥(あ、姫乃さん返事早い……!?)

ガタンッ

遥(電話したけど、出てくれた!?)

遥(え、じゃ、え……今、誰と電話してるの!?)

――えへへ、もちろん、彼方ちゃんも好きだよ~

遥(あ、死にそう)ビクッ

15: 2021/04/13(火) 11:22:26.91 ID:l7fUl07b
――ガタンッ

彼方「えへへ~」チラッ

彼方(遥ちゃんが聞き耳を立ててるのは想定内)

彼方(遥ちゃんなら私の交友関係は把握してるだろうから、頼む相手はきっと見透かされてる)

彼方(彼氏役のファッションが準備なしに出来そうな子……そう、果林ちゃん)

彼方(遥ちゃんは、私が本当に彼氏に電話してるのかを確かめるために)

彼方(絶対に、電話中に果林ちゃんに何らかのアクションを起こす)

彼方(でも……この時間なら果林ちゃんも手が空いてるだろうからその何らかのアクションに応えてくれるはず)

彼方(じゃぁ、今こうやって私が楽しく話してるのは本当に彼氏なのかも? って思い始める)

彼方(これ……空電話だけどね)

彼方「も~テレビ通話はだ~め」

彼方「それより、遥ちゃん……妹にね。あーくんのこと紹介したいなって思って」※あーくん(朝香くん)

――ガタタッ

彼方(かわいい)

彼方「うん。うん。明日かな~。良い?」

彼方「えへへ~よかったぁ……これでようやく、ちゃんとお付き合いできるねぇ~」

――ガタンッ

彼方「えへへ。うん……愛してるよ~」チュッ

17: 2021/04/13(火) 11:28:58.76 ID:l7fUl07b
――パタンッ

遥「コホンッ……」チラッ

遥「どうだった?」

彼方「うんっ、オッケーだって」

彼方「明日の放課後に会ってくれるよ」

遥「そっか、楽しみだな~」

遥(ほ、本当に彼氏が来るのかな……)

遥(それとも、果林さんじゃない別の代役?)

遥(代役じゃなかったらどうしよう)

遥(バイト先の人とか、ほかの学校の人とか、近所の人とか)

遥(そういうのだったらどうしよう)

遥(……)グスッ

彼方「はる――」

遥「ご馳走様っ」ガタンッ

タタタタッ

彼方「……遥ちゃん」

19: 2021/04/13(火) 11:40:34.45 ID:l7fUl07b
彼方(ど、どうしよう)

彼方(遥ちゃん泣いちゃった……)

彼方(気を引きたかっただけなのに)

彼方(だって、遥ちゃん最近かまってくれないから……)

彼方(だから、彼方ちゃんからちょっと誘ってみようって)

彼方(うぅぅ)グスッ

彼方「……遥ちゃん」

彼方「っ」

タタタッ

   パタンッ

彼方「遥ちゃん、あのねーー」

遥「明日早いからもう寝させて」

彼方「え……で、でもっ」

遥「お願い、疲れてるから」

遥「練習中に体調不良で倒れたりとか、したくないから」

彼方「う、うん……」

彼方(明日、朝起きたら落ち着いて話聞いてくれるかな?)

21: 2021/04/13(火) 11:46:09.33 ID:l7fUl07b
――翌日

果林「え、待って……なんで私がそんな厄介ごとに巻き込まれてるの?」

彼方「だって、遥ちゃんが最近かまってくれなかったから……」

果林「それで彼氏いるって嘘ついた挙句」

果林「引き際を誤った結果、私がその……刺〇されるかもしれない彼氏役をやる羽目になったの?」

果林「冗談でしょ?」

彼方「お願いっ!」

果林「どうして昨日のうちに誤解を解かなかったのよ」

彼方「……電話する振りした後、遥ちゃん泣いちゃって」

彼方「まったく口をきいてくれなかった挙句、朝起きたらもう家を出ちゃってた」

果林「電話とかしてみたの?」

彼方「朝からメッセージは既読にならないし、電話しても出てくれなくて」

果林「はぁ……じゃぁ、私から遥ちゃんに電話してみるわ」

果林「それで話が通じそうになかったら、彼方……家で土下座して遥ちゃんを待ってなさい」

果林「連れて帰るから」

彼方「う、うん。わかった」

果林「念のため、離れてて頂戴」シッシッ

彼方「うぅ」フラフラ....

22: 2021/04/13(火) 11:54:28.58 ID:l7fUl07b
果林(こんなわけのわからないこと頼める相手が限られたんだろうけど)

果林(そもそも、私が彼氏役って……無理があるでしょ)

果林「はぁ……」スッ

ピリリリリリッ

ピッ

遥『もしもし?』

果林「もしもし? 果林よ。朝香果林……遥ちゃんよね?」

遥『はい。そうです……えぇっと、今日はよろしくお願いします』

果林「えっ?」

遥『果林さんが、お姉ちゃんの彼氏役を引き受けてくださるんですよね?』

果林(なんだ、わかってるんじゃない……)

果林「ええ、ついさっきそのことを頼まれたわ」

果林「遥ちゃんに彼氏がいるって嘘ついて取り返しがつかなくなったからって」

遥『……じゃぁ、お姉ちゃんは誰とも付き合ってないんですよね?』

遥『本当に、誰とも……彼氏なんて、存在してないんですよね?』

果林「ええ、私が知る限り影も形もないし、彼方の好意に満ちた会話に出てくるのは遥ちゃんだけよ」

25: 2021/04/13(火) 12:07:51.21 ID:l7fUl07b
遥『よかった……』

遥『もし本当に彼氏がいたら、クリスさんに寝取って貰わないといけなくて……』

果林「えっ?」

遥『お姉ちゃんから来るよりも、私から行くことが多くなったなぁって悩んでたら』

遥『クリスさんが、押してダメなら引いてみるのも手ですよ? なんて教えてくれたのを実践してたんです』

果林(うん……?)

遥『そのせいでお姉ちゃんに彼氏ができてたりなんかしたら』

遥『悪いのはクリスさんですよね?』

果林(3年前からの彼氏が、最近の助言でできるっていう理屈がわからない……)

果林「3年前からの彼氏って設定だって聞いたけど」

遥『いえ、それだけは絶対、何があっても、100%、確実にありえないので』

遥『できてたとしても直近なのは間違いないので、クリスさんのせいです』

果林「へ、へぇ……」

26: 2021/04/13(火) 12:13:25.67 ID:l7fUl07b
果林「まぁその、そういうことだから」

果林「彼方に彼氏なんていないし、代役は私」

果林「だから遥ちゃんは安心してーー」

遥『いえ、このまま付き合って代役お願いします』

果林「どうして?」

遥『お姉ちゃんに彼氏ができたって信じ込んだ私が、どうなるかをお姉ちゃんに見せつけて気を惹きます』

遥『彼氏がいるなんて、酷い冗談がダメだって知るべきだと思います』

果林(何なのこの姉妹……でも、まぁ、この酷い茶番に二度と巻き込まれないためには)

果林(それも必要なことかしら?)

果林(遥ちゃんに刺〇される心配もないし……)

果林「仕方がないわね。付き合ってあげるわ」

遥『ありがとうございます』

遥『あ、あと……』

果林「なに?」

遥『姫乃さん嗾けてすみませんでした。フォローはしたので大丈夫だと思います』

果林「あぁ、いいのよ。ええ……」

果林(私に彼氏がいるのかなんて、急に電話来た理由は遥ちゃんだったのね)

果林(部屋掃除に来てたエマにまで詰め寄られて死ぬかと思ったんだけど……)

果林「もう、私を巻き込まないでね?」

36: 2021/04/13(火) 14:11:30.31 ID:l7fUl07b
果林「はぁ……」スタスタ

彼方「ぁ……果林ちゃん……」

果林「えぇと……」

果林(この数分で一気に憔悴したように見えるんだけど……)

果林(え、これ……嘘ついて大丈夫?)

果林「彼方、その、電話は繋がらなかったわ」

彼方「そっか……」トボトボ

果林「でも、私が彼氏役で遥ちゃんに会って、パパっと誤解を解いてしまえばいいでしょ?」

彼方「うん……」フラフラ

果林「彼方、大丈夫?」

彼方「うん……」トボトボ

果林「……どこ行くの?」

彼方「屋上から羽ばたこうかなって」

果林「何言ってるのよ」

果林(あぁもう……目を離したら本当に飛んでいきそうだし)

果林「午後は保健室で休みましょ。彼方、酷い顔してるから」

ギュッ

果林「……今日は私と一緒にいなさい。私の彼女なんでしょ?」

彼方「え……」

果林「ね?」ニコッ

彼方「ごめん、本気にはなれないかな」

果林「なられたら困るわよ!」イラッ

43: 2021/04/13(火) 15:56:56.42 ID:DxEglI8F
―――放課後


彼方「はぁ……」

果林「大丈夫? 生きてる?」

彼方「……身体だけは生きてるよ」

果林「精神的に自〇してどうするのよ……まったく」

果林「これに懲りたら、遥ちゃんに対して変な嘘つかないようにしなさい」

彼方「うん……もうやめる」

彼方「死ぬ」

果林「そうじゃなくて!」

果林「遥ちゃんに構って欲しかったなら構ってって素直に言えばいいじゃない」

果林(遥ちゃん、それ狙ってるような感じだったし)

彼方「でも、面倒くさいお姉ちゃんだって思われたくないし」

果林「じゃぁなに、私には面倒くさい同級生だって思ってもいいって?」

彼方「……遥ちゃんに思われるよりは」

果林(二人とも面倒くさいんだけど……付き合って欲しくないなら付き合っちゃえばいいじゃない)

果林(いろいろ問題あるけど、巻き込まれるよりはそっちで落ち着いてくれた方がいいわよ……)

44: 2021/04/13(火) 16:09:13.08 ID:DxEglI8F
果林「ねぇ、遥ちゃんは彼方に彼氏が出来たってだけでこんなことになったわけだけど」

果林「遥ちゃんに彼氏が出来たらどうするの?」

彼方「え……」

彼方「遥ちゃんに、彼氏……?」

彼方「……」ポロッ

彼方「うぅ……」ポロポロッ

果林「ちょ、ちょっと!」

果林「待って、今泣かれると困る!」キョロキョロ

――あ、あれ朝香さんじゃない?

――隣にいるのって――

――わ、泣いてるよあの子

果林「彼方! あくまで仮定だからっ」

果林「あぁもぅ……!」ギュッ

タタタタッ

果林「さっさと寮に行くわよ!」

果林(彼方が泣きはらした顔してるのが私のせいになったら、彼方より先に私が死ぬわね……間違いなく)

45: 2021/04/13(火) 16:25:39.22 ID:DxEglI8F
彼方「……ごめんね。シャワー借りちゃって」

果林「いいわよ別に」

果林「服は悪いけど、貸せるようなものはないから」

彼方「うん……平気」

果林「そんな状態で、本当に遥ちゃんと話せるの?」

果林「遥ちゃんが彼氏いても良いよって認めてきたらどうするの?」

彼方「遥ちゃんが、彼氏を許してくれるわけない……」

彼方「私なら、許さないよ」

果林(それでどうして、彼氏がいるなんてこと言ったのよ……)

果林(遥ちゃんは彼方に灸を据えるつもりでいるから、もしかしたら受け入れたふりをするかもしれない)

果林(……)

果林「もしそうなっても、私がネタばらししてあげるわ」

果林「だから心配しないで堂々と遥ちゃんと会いましょ」

彼方「果林ちゃん……」

果林「泥船だろうと乗ったからには手を貸してあげるから」

彼方「うん……」

彼方「あ、でも……本気になられても困るからね?」

果林「ならないってば」

46: 2021/04/13(火) 16:41:20.67 ID:DxEglI8F
彼方(遥ちゃんは私に彼氏がいても平気なのかな)

彼方(受け入れてくれちゃうのかな)

彼方(……そしたら、どうしよ)

彼方(それってつまり、彼方ちゃんのことをそこまで好きじゃないってことだよね?)

彼方(彼方ちゃんの一番は遥ちゃんなのに)

彼方(遥ちゃんの一番は彼方ちゃんじゃない……)

彼方「うぅ……」グスッ

ナデナデ

果林「泣かない」

彼方「果林ちゃん……」

果林「大丈夫よ。遥ちゃんも彼方のことが好きなはず」

果林「じゃなかったら、彼氏がいるなんてことにこんな怒ったりしないはずでしょ?」

果林「怒ってなければ、電話もメッセージも無視しない。でしょ?」

彼方「……うん」

果林「わかったら、泣かない」

果林「このめん……じゃなかった」

果林「この問題をさっさと片付けてしまいましょ」

彼方「ありがと……」

49: 2021/04/13(火) 17:02:42.25 ID:DxEglI8F
――――――
―――

彼方「遥ちゃん!」

遥「あ……ほんとに連れてきたんだ」

彼方「う、うんっ……約束、だったし」

果林「……君が遥ちゃんかな?」

果林「赤佐です。よろしく」 ※あさか⇒あかさ

遥「よろしくお願いします。お姉ちゃんの妹の遥です」

遥「……」ジーッ

果林「……えっと」

遥「お姉ちゃんとは、いつから?」

果林「え? あ、そうですね。もう3年くらい付き合わさせてもらってます」

果林「あ、いや……今まで黙ってて申し訳ない」

遥「いえ……お姉ちゃんとはどこまで?」

彼方「は、遥ちゃん!?」

遥「言えないことまでしたの?」チラッ

彼方「それは……」フイッ

果林(え、待って……言わないといけないの? 卑猥なこと言わされるの!?)

50: 2021/04/13(火) 17:09:27.00 ID:DxEglI8F
果林「それは、えっと」

果林「……コホンッ」

果林「清いお付き合いの範疇……かな」

遥「具体的には?」

果林「そ、それを遥ちゃんに言うのはちょっと」

遥「……お姉ちゃんがスクールアイドルをしてることは?」

果林「知ってるよ」

遥「アルバイトをしてることは?」

果林「知ってる」

遥「特待生で、勉強を頑張ってることは?」

果林「も、もちろん知ってるよ」

果林(私、協力者よね? なんでこんな尋問受けなくちゃいけないの……)

果林(なに、なんで……ちょっと、泣きそう……)

遥「そんな頑張ってるお姉ちゃんの貴重な時間を、清いお付き合いで無駄にしてるんですか?」

果林「ひっ」

彼方「遥ちゃんっ!」

彼方「か……あーくんを悪く言わないで!」

果林(なんでそこで乗っかってるのよ!?)

52: 2021/04/13(火) 17:30:13.75 ID:DxEglI8F
遥(隣にいるのが果林さんなのはわかってる)

遥(でも、男の人とお姉ちゃんが一緒に歩いてる……そんな姿を見てられなかった)

遥(お姉ちゃんは私が果林さんだって知ってるって知らない)

遥(だからあーくん……果林さんをかばったのかもしれないけど)

遥(でも……でも)

遥「っ……」

遥「なんで……なんで私じゃなくてその人の方をかばうの!?」

遥「お姉ちゃんの大事な時間を奪ってるのは事実なのにっ」

遥「清いお付き合いとか言って、妊娠させたあげくさっさと逃げるような人かもしれないのにっ」

彼方「……」

彼方(遥ちゃん、本気で私のこと考えてくれてるのかな)

彼方(遥ちゃんの一番は、やっぱり私なのかな……っ)

彼方(なら……)

彼方「だって、あーくんは彼方ちゃんの彼氏だからっ!」

彼方(攻めれば遥ちゃんから来てくれるはずっ!)

遥「うぅ……」ポロポロ

彼方「ぁっ……」

遥「私はお姉ちゃんの妹だもん!」

遥「こんな、血のつながりもない赤の他人よりもずっと、ずっと深い関係だもんっ!」

遥「彼氏だからって……私からかばうなんて……」

遥「酷いよ……っ」グスッ

54: 2021/04/13(火) 17:50:28.51 ID:DxEglI8F
遥(……本気で泣いちゃった)

遥(けど……好都合……グスッ)

遥(お姉ちゃんが果林さんに相談したって時点で、お姉ちゃんが彼氏なんていないことは分かってる)

遥(つまり、お姉ちゃんの子の反応は私が折れてくれる前提……)

遥(彼氏なんてやめてって)

遥(一緒にいてって)

遥(そういわせたい……はず)

遥(……折れちゃお)

遥「もういいよ……もういい」

彼方「遥ちゃん?」

遥「いいよ……幸せになってくれるなら、その人とお付き合いしてもいいよ」

彼方「えっ……あっ、えっ……い、いいの?」

遥「だって、私よりも大事で大好きで大切で愛してるんだよね?」

遥「なら、いいよ……もう、いいよ……」

彼方「え、それは……」オロオロ

果林(……はぁ)

果林「待って、もういいでしょ? 私よ。私……彼氏なんて嘘よ」

55: 2021/04/13(火) 17:57:24.11 ID:DxEglI8F
彼方「あ……」

遥「え……」

果林「いい加減、見てられないし聞いてられないから口を挟ませて頂戴」

果林「部外者が口をはさむことじゃないとは思うけれど」

果林「ここまで協力してあげたんだから、少しくらい言わせてもらうわ」

果林「良い?」

彼方「あ、うん……」

遥「どうぞ……」

果林「遥ちゃんは、彼方に彼氏が出来ることを本当に許せるの?」

遥「許せません」

果林(即答……)

果林「彼方は、遥ちゃー―」

彼方「死ぬ」

果林(言わせてくれさえしないし……)

果林「はぁ……」

果林「じゃぁもういっそ、二人が付き合っちゃえばいいじゃない」

果林「その心配も疑いも必要ないし、付き合ってれば互いに求めあうことに躊躇も何もないでしょ?」

果林「いろいろ問題はあるだろうけど、ぎすぎすしたり、無関係の人……巻き込むよりはマシだと思わない?」

56: 2021/04/13(火) 18:13:18.44 ID:DxEglI8F
彼方「……果林ちゃんって、女の子同士で恋愛しちゃうタイプだったんだ」

果林「はぁ!?」

遥「……待ってお姉ちゃん、それ以前に姉妹だよ?」

彼方「そうだよね……」

彼方「あ……果林ちゃんもしかして、女の子同士なら妊娠しないから姉妹でもオッケー的な考えなのかな~」

遥「その発想はなかった……」

遥「確かに、姉妹だとしても女の子同士なら子供が出来ちゃう心配ないよねっ」

遥「なにより、今までは姉妹のスキンシップってだけのつもりだったから」

遥「一方的になっちゃうと申し訳なかったり、愛されてないのかなって不安になったりしたけど」

遥「恋人同士なら、常に好きって言っても愛してるって言ってもおかしくないもんね」

彼方「果林ちゃん、天才だねぇ」

果林「……」イラッ

果林(……まさか、彼方が本気になられたら困るって言ってたのって)

果林(遥ちゃん云々以前に、女の子同士だからってことだったの?)

果林(周りからしてみれば、2人のスキンシップがもはや交際してるレベルだって暴露してやろうかしら……)

58: 2021/04/13(火) 18:31:31.35 ID:DxEglI8F
果林(仲良くお出かけはともかく)

果林(常に手を繋いでたり、腕を組んでたり、食べさせあったり)

果林(カップルジュースだのなんだの……)

果林(カップルジュースって……カップルじゃないの?)

果林(それをこんな、茶番……)

果林(部屋掃除を喜々としてやってたエマの隣で鳴り響く電話)

果林(綾小路さんからの、男性とデートってどういうことなのかという怒鳴り声)

果林(床に落ちるゴミ袋、笑顔のエマ、向けられる刺すような視線)

果林(交際相手なんていないって説得に費やした昨夜の1時間半……彼方に付き添ってさぼった今日の午後)

果林(ふ……ふふ……ふふふっ……)

彼方「果林ちゃん、ありがと……私たち付き合ってみるね」

遥「姉妹とか女の子とか、変だって思ってたけど……でも、問題が起こらない分安心だし安全ですよね」

遥「ありがとうございます」

果林「ふ、ふふっ……そう、そうね」

果林「よかったじゃない……」

果林(夫婦喧嘩は犬も食わないんじゃなかったの? 泣きそう)

果林「私、もう帰っていい?」

彼方「え、せっかくだから晩御飯をご馳走させて~」

果林「嫌よ! 帰る! 帰らせて! もう巻き込まないで!」タタタタタタタタッ

60: 2021/04/13(火) 18:42:50.15 ID:DxEglI8F
遥「果林さん、気を使ってくれたのかな?」ギュッ

彼方「果林ちゃん優しいから……そうかも」ギュッ

彼方「……ごめんね遥ちゃん」

彼方「遥ちゃんに愛想つかされたんじゃないかって不安で」

彼方「彼氏いるなんて嘘ついて気を惹こうとして」

遥「ううん、私こそごめんね」

遥「私から行くばかりで、もしかしたらお姉ちゃんに愛されてないんじゃないかって勝手に不安になって」

遥「押してダメなら引いてみようって……少し冷たく接しちゃって」

彼方「ううん、彼方ちゃんが遥ちゃんを受け入れるばっかりで主張しなかったのが悪かったんだよ~」

彼方「遥ちゃんが来るなら任せてあげようって……自分から行くの我慢しちゃってたから」

遥「そんなことないよっ……私がお姉ちゃんの我慢に気づかずにグイグイしちゃってたのが悪いよっ」

遥「……もう」

――ギュッ

彼方「えへへ~」

彼方「初めから、果林ちゃんに相談して、こうしておけばよかったねぇ」

遥「うん……お姉ちゃん。好き」

彼方「私も、遥ちゃんのこと好きだよ」

61: 2021/04/13(火) 18:52:07.34 ID:DxEglI8F
遥(でも、今回のことがあったからこそ)

遥(お姉ちゃんがすごく、私のこと好きだって分かった……)

遥(でも、それとおんなじくらいに私もお姉ちゃんが好きだって分かった)

遥(姉妹なんかじゃない……ずっと深くて強い好きって気持ち)

彼方(怖かったし、不安になった)

彼方(でもだからこそ自分の中でどれだけ遥ちゃんが大切か分かった)

彼方(どれだけ好きなのかがわかった)

彼方(そんな自分と同じように泣いたりする遥ちゃんの気持ちがうれしかった)

彼方(果林ちゃんが遥ちゃんも好きなはずって言ってくれなかったらあそこで勇気を出せなかったかもしれない)

彼方「……」

彼方「遥ちゃん、実はね? 彼方ちゃんには好きな人がいるんだ」

遥「……そっか」

――チュッ

彼方「!」

遥「えへへ……」

遥「お姉ちゃん、実はね? 私にも好きな人がいるんだ」

62: 2021/04/13(火) 18:56:58.02 ID:DxEglI8F
終わり。
ただの痴話喧嘩、果林さんには申し訳ないことをしました。

70: 2021/04/13(火) 19:47:49.82 ID:DxEglI8F
せっかくなので、果林Side

71: 2021/04/13(火) 19:48:31.40 ID:DxEglI8F
―――――
――


果林(もう、最悪だったわ)

果林(彼方は本当に死ぬ勢いだったし)

果林(丸く収まってくれたなら、それはそれでよかったといえばよかったけれど……)

ガチャッ

果林「開いてる……?」

果林(合鍵持ってるのはエマだけど……)

果林「エマ?」

タタッ

エマ「果林ちゃん、お帰りなさい」

果林「今日は掃除の必要はないはずだけど……どうしたの?」

エマ「あっと……そのね?」

エマ「昨日は、果林ちゃんに悪いことしちゃったなって思って」

エマ「果林ちゃんが男の人とお付き合いすることは何の問題もないのに」

エマ「私、全然知らなかったって思って……つい、変な風に迫っちゃったでしょ?」

果林「良いわよ。気にしないで」

エマ「うん……彼方ちゃんからも連絡あって」

エマ「二人のことでいろいろあって果林ちゃんが巻き込まれたってことはもうわかったよ」

エマ「でもやっぱり果林ちゃんには……悪いことしちゃったから、ちゃんと謝りたいの」

72: 2021/04/13(火) 19:54:49.17 ID:DxEglI8F
エマ「果林ちゃん、ごめんね?」

果林「……いいわよ。もう」

果林「誤解が解けたならそれで」

エマ「ありがと……」

果林「……昨日も言ったけれど」

果林「私は、別にモデルを本業として活動してるわけじゃない」

果林「スクールアイドルではあるけど、本当のアイドルのように恋愛禁止みたいな縛りがあるわけでもないし」

果林「……けど」

果林「だからと言って、男性とお付き合いするつもりがあるのかと言われれば」

果林「それは首を横に振るわ」

果林「今の環境が好きだし、今の関係が好きだし、今手にしているもので……正直に言うと精いっぱい」

果林「あれもやりたいこれもやりたい、でもしっかりと突き詰めたいって……そう思うと」

果林「これ以上、自分の手に負えないものを背負うなんて、まっぴらごめんだわ」

74: 2021/04/13(火) 20:09:47.44 ID:DxEglI8F
果林「だから」

――果林ちゃんって、女の子同士で恋愛しちゃうタイプだったんだ

果林「……なんて」

エマ「……うん、わかってるよ」

ナデナデ

果林「……エマ」

エマ「昨日は言えなかったけど」

エマ「……大丈夫、わかってるよ」

果林「何をわかってるのよ。もう」

エマ「……」

エマ「ん……えへへ」

エマ「何が分かってて欲しい?」

果林「……」

果林「そうね」

果林「……今して欲しいこと。とか」

75: 2021/04/13(火) 20:19:21.41 ID:DxEglI8F
エマ「え~?」

エマ「ん~……」

エマ「あっ、膝枕……かな?」

果林「エマには、私が彼方にでも見えてるの?」

エマ「そうだよねっ」

果林「でも……」

果林「まぁ」

果林「……」

果林「ちょっと、彼方の気持ちが知りたいかも」

エマ「……じゃぁ、してもいいの?」

果林「私が聞く方でしょ」

果林「エマの膝を借りるんだから」

エマ「でも、ベッドもお部屋も果林ちゃんのだからやっぱり、私がしてもいいのかなって言うべきじゃないかな?」

果林「ふふっ、じゃぁどうぞ」

エマ「ありがと~」

76: 2021/04/13(火) 20:31:15.28 ID:DxEglI8F
……ポスッ

果林「……」

エマ「どうかな~」

果林「……いいと思うわ」

果林「……」

ナデナデ

エマ「……眠れそう?」

果林「彼方ほど寝つきがよくないから」

エマ「そっか」

果林「……」

果林「まぁ……彼方の気持ちなんて、知りようがないわよね」

エマ「彼方ちゃんは彼方ちゃん、果林ちゃんは果林ちゃんだから」

エマ「私も、彼方ちゃんの気持ちを考えたことはあっても」

エマ「それを知れたなぁ……って、思ったことはないかなぁ」

果林「なに? エマも膝枕されたいの?」

エマ「ん~……そういうわけじゃないけど」

果林「……」

果林「特別に、してあげてもいいわよ」

77: 2021/04/13(火) 20:36:47.55 ID:DxEglI8F
エマ「どうして?」

果林「せっかくだから、やってあげる側の視点から考えてみようかと思って」

エマ「そっかぁ」

エマ「……」

エマ「じゃぁ」

エマ「ちょっとだけ……お願いしてもいい?」

果林「ええ」

ギシッ
    キシッ

ポフッ
    ポスッ....

エマ「……なんだか変な感じがする~」

果林「そうね」

ナデナデ

果林「……どう? 彼方の気持ち、わかりそう?」

エマ「ん~」

エマ「えへへ……わからないかなぁ」

78: 2021/04/13(火) 20:57:02.65 ID:DxEglI8F
果林「でしょうね……」

エマ「……」

エマ「でもね」

果林「ん?」

エマ「でも……」

エマ「少しは、わかるかも」

エマ「……ちょっとだけ」

エマ「少しだけだけどね~」

果林「そう……」

ナデナデ

果林「それは、よかったわ」

エマ「……ねぇ、果林ちゃん。彼方ちゃんと遥ちゃんは、ずっとあのままでいられるのかな」

果林「さぁ? 正直、あのままでいてくれないと私が困るけど」

エマ「……卒業したら、もう巻き込まれないかもしれないのに?」

果林「………」

――卒業

果林「そうとは、限らないから」

エマ「……」

エマ「それもそうだねぇ……」

エマ「お疲れ様、果林ちゃん」

果林「ほんとよ」

――卒業したら、もう

果林「……」

果林「はぁ……」

果林「ねぇ、エマ……少し、話を聞いてくれる?」

79: 2021/04/13(火) 21:00:58.55 ID:DxEglI8F
果林Side終わり。
近江姉妹とは違う二人

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1618277052/

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