【SS】侑「見た相手の考えている事が分かるメガネ?」璃奈「うん」【ラブライブ!虹ヶ咲】

SS


1: 2021/04/14(水) 22:02:51.32 ID:aDKlPx+b
璃奈「遂に完成したの」

璃奈「私が裏でひっそりと作っていた」

璃奈「ツナガルメガネversion1が」スチャ キラーン

侑「へ、へぇ……」

2: 2021/04/14(水) 22:07:47.74 ID:aDKlPx+b
侑(いやいや、そんな事出来るわけ)

璃奈「そんな事出来る」

侑「!?」ビクッ!!

侑(う、嘘でしょ!?)

璃奈「嘘じゃない。ホントだよ」

侑「」ポカーン

璃奈「りなちゃんボード『从[*¯ ꒳¯*]从』ドヤッ」

侑「す、すごい!」

侑「すごいよ璃奈ちゃん! そんなもの作れるなんて!」

侑「天才だよ!」キラキラ

璃奈「てれてれ」

4: 2021/04/14(水) 22:12:21.19 ID:aDKlPx+b
侑「でも、なんでいきなり私にそれを見せてくれたの?」

璃奈「実は侑さんに頼み事があった」

侑「頼み事?」

璃奈「うん」

璃奈「完成したと言っても、これはまだversion1。より高性能な物にグレードアップさせるために」

璃奈「侑さんには是非、このメガネの性能を確認して、レポートを作ってほしい」

侑「え? それは作った璃奈ちゃんがやった方が……」

璃奈「侑さんは、顔が広い。コミュニケーション能力も高い」

璃奈「最近、私も同好会の皆のお陰で交流増えてきたけど、誰かと取るコミュニケーションは、やっぱりまだ恥ずかしい」

璃奈「話す事に精一杯になっちゃうから、正確なレポートが取れないと思う」

侑「な、なるほど」

璃奈「……ダメ?」

侑「うーん……他の子の考えている事を覗き見るのは正直気は引けるけれど」

侑「可愛い後輩の為だもん」

侑「いいよ、璃奈ちゃん! 私に任せてよっ!」ニコッ

侑(ちょっと面白そうだし)

9: 2021/04/14(水) 22:19:40.94 ID:aDKlPx+b
璃奈「ありがとう、侑さん」

璃奈「じゃあ、使い方を説明するね」

侑「うん」コクリ

璃奈「メガネを付けて、考えている事を知りたい子を、じーっと凝視する」

璃奈「そうすると、その子の考えている事が文字として浮かんできて、わかる」

侑「へぇ~」

侑(凄すぎない? この子本当に高校生かな?)

璃奈「ちゃんと高校生だよ?」

侑「マジですごいね璃奈ちゃん」

11: 2021/04/14(水) 22:25:22.93 ID:aDKlPx+b
璃奈「でも、あまりにも知ってはいけない事をその子が考えている場合、フィルターがかかるようになってる」

璃奈「そこまで分かっちゃうのは、さすがにその子が可哀想だから」

侑「知ってはいけない事……?」

璃奈「うん」

璃奈「例えばエ チな事考えてたりしてたらそれは見えない」

侑「ぶっ!!////」

侑「り、りりりりりり璃奈ちゃん!?(わああああああああ!!!!)」

侑「急に何言ってるの!?(急に何言ってるの!?)」

璃奈「これ結構面白い」

13: 2021/04/14(水) 22:30:46.66 ID:aDKlPx+b
璃奈「侑さん、慌てすぎ」

侑「璃奈ちゃんが変な事言うからじゃん!!」

璃奈「あくまでも例えだから」

璃奈「でも急に変な事言ったのは、ごめんなさい」ペコリ

侑「も~……////」

璃奈「かわいい」

侑「先輩をからかわない」ジトー

璃奈「侑さん、かわいい」

14: 2021/04/14(水) 22:32:02.87 ID:aDKlPx+b
璃奈「とりあえず、よろしくね。侑さん」スッ

侑「うん。分かったよ」

侑「では早速璃奈ちゃんを──」スッ……

璃奈「ダメ!」

侑「!?」ビクッ

璃奈「私は、まだダメ」

侑「え、えぇ……」

璃奈「最後。私は最後にして」

侑「わ、分かったよ」

璃奈「うん」

璃奈「じゃあ、よろしくね。侑さん」

璃奈「りなちゃんボード『从[`・ω・´]从』ファイト!」

15: 2021/04/14(水) 22:37:21.10 ID:aDKlPx+b
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

スタスタスタスタ

侑「さて、誰かいないかなぁ」

侑(今日に限って同好会は休みだからなぁ)

侑(皆、学校にいるといいけど)

侑(まぁ最終的に連絡取ってみればいいよね)

スタスタ

侑「あっ」


かすみ「にっしっし……同好会が休みの日はイタズラを考えるに限りますね……」

かすみ「あー、明日の部活が楽しみです……」ニヤニヤ


侑(あっ、かすみちゃんだ!)

侑(うーん、かすみちゃんは今日も可愛いなぁ)

侑(よし、メガネをかけて……話かーけよ!)スチャ

19: 2021/04/14(水) 22:47:01.34 ID:aDKlPx+b
スタスタ

侑「かすみちゃん!」

かすみ「ぴゃあっ!!」ビクッ!!

かすみ「いやいや! かすみんイタズラなんて考えてないですよ!? ほんとーですよ!?」

かすみ「──って、あれ?」

侑「こんにちはっ、かすみちゃん」ニコッ

かすみ「あっ! 侑先輩!」パァァァァ

かすみ「こんにちはです!」ニッコリ

侑(はぁぁぁぁ……!! 笑顔が可愛いなぁ……!! ときめいちゃうよ!!)

20: 2021/04/14(水) 22:53:59.28 ID:aDKlPx+b
かすみ「あれ? 侑先輩、今日はメガネなんですか?」

侑「へ!? あ、ああ! うんっ」

侑「ちょっとイメチェン!」

侑(危ない危ない。当初の目的を忘れてたよ)

かすみ「へぇ~」

かすみ「メガネかけてる侑先輩も可愛いですね!」

かすみ「まっ、かすみん程じゃないですけれどぉ~」ニコッ

侑「あはは、ありがとう」ニッコリ

侑(えーと、凝視するんだったよね? よーし……)

侑「……」ジィィィ

かすみ「ゆ、侑先輩?」

侑「……」ジー

かすみ「せ、せんぱい?」

かすみ『ゆ、侑先輩……どーしたんだろ?』

侑「!!(み、見えた!!)」

21: 2021/04/14(水) 22:56:13.85 ID:aDKlPx+b
侑(付けてる側には、こんな感じで見えるんだ! 璃奈ちゃんすっごいねほんと!!)

侑「……」ジー

かすみ「ゆ、侑先輩~?」

かすみ『う、うわぁ……!!』

侑「?」

かすみ『侑先輩に見つめられるの』

侑「……」

かすみ『は、恥ずかしい……!!』

侑「」

かすみ「う、うぅ////」カァァァァ

22: 2021/04/14(水) 23:03:18.13 ID:aDKlPx+b
侑「かすみちゃん」

かすみ「ひゃ、ひゃい!」

かすみ『ま、まさかこれは……あ、あれかな!? 大事な話的なやつ!?』

侑「かすみちゃんってさ」

侑「実は恥ずかしがり屋さんだったりする?」

かすみ「へ?」

かすみ『は?』

侑「は!?」ビクッ!!

かすみ「!?」ビクッ!!

かすみ『び、びっくりしたぁ!』

かすみ「ゆ、侑先輩!? いきなりどうしたんです!?」

侑「──あっ、ごめんかすみちゃん!」

24: 2021/04/14(水) 23:10:18.14 ID:aDKlPx+b
侑(は? って考えられるとは思わなかったからつい声出しちゃった……こ、これ結構頭ごちゃごちゃになるなぁ……)

かすみ「もー。なんか今日の侑先輩、変ですよ?」ジトー

侑「ご、ごめんごめん」

かすみ「いや、別にいいんですけど……」

かすみ『でも、変だけど侑先輩はやっぱり今日も』

侑「へ?」

かすみ『かわいい!』

侑「」

かすみ「で? なんでしたっけ? かすみんが恥ずかしがり屋さんなのかって質問でしたっけ?」

侑「え? あ、あぁ。……う、うん」

かすみ『私が一番可愛いけれど、侑先輩も私と同じくらいかわいいよね』

侑「」

25: 2021/04/14(水) 23:23:27.28 ID:aDKlPx+b
かすみ「かすみんは恥ずかしがり屋ではないですよ~? かすみんはナンバーワンスクールアイドルなんですから! なんなら目立ちたがり屋です!」

かすみ「スクールアイドルは目立ってなんぼなんです!」ビシッ

かすみ「あっ、侑せんぱーい。これはオフレコでお願いしますね? 他の子の参考にされては困りますので」ニコッ

かすみ『私の事たっくさん褒めてくれるし、よくなでなでもしてくれるし! 本当に優しいよね』

侑「……」ジー

かすみ『あーあ……侑先輩も私と同い年だったら良かったのに……。元気が出ない時とか、侑先輩が色々と褒めてくれたりするからやる気出るし』

かすみ『本当に私って可愛いのかなぁ? ってちょっと自信がなくなっちゃった時とかも、察して声掛けて元気づけてくれるし。いつもありがとう』

侑「……っ……!!」

かすみ「あれ?」
かすみ『あれ?』

侑「へ?」キョトン

かすみ「侑先輩、聞いてますか?」
かすみ『侑先輩、聞いてるかな?』

侑「──っ!!」ハッ!!

侑「う、うん! 聞いてるよ!? ちゃんと聞いてる!///」カァァァァ

26: 2021/04/14(水) 23:30:59.02 ID:aDKlPx+b
かすみ「あれ~? 顔、赤くないですか?」

かすみ「もしかして~? かすみんの可愛さにときめいちゃいましたか~?」ニヤニヤ

かすみ『まぁ、そんな事ないと思うけどね』

侑「そうなの!!」

かすみ「へ?」

かすみ『え!?』

侑「かすみちゃん、結構色々考えてるんだね……表ではキャピキャピしてるのに……」

かすみ「え!?」

かすみ『急になに!?』

侑「大丈夫! かすみちゃんは可愛いよ!!」

侑「ほんとーに可愛いから!」

侑「安心してよ!!」

かすみ「あ、あの……えっと」

かすみ「と、当然ですよ! 何当たり前の事を言ってるんですか!」

かすみ『や、やばいよ。そんな急に褒められると……』

侑「?」ジー

かすみ『に、にやけちゃう……!!』

かすみ「っ、……っ……!!////」プルプル

侑「」

27: 2021/04/14(水) 23:34:09.51 ID:aDKlPx+b
かすみ『でも! にやけちゃダメ! スクールアイドルなんだから! 褒められても顔に出さず、笑顔を見せる!』

かすみ「か、かすみんが可愛いのなんて! 当然ですよ!!」ニコッ

侑「」

侑「……──」スゥゥゥ

かすみ「え?」

侑「かすみちゃんかわぃぃいいいいいいいいいいい!!!!」 ダッ!!

かすみ「え、えぇぇぇ!?」

かすみ「ゆ、侑先輩ー!? どこ行くんですかー!?」

28: 2021/04/14(水) 23:41:07.38 ID:aDKlPx+b
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

侑「はぁ、はぁ、はぁ」

侑「つ、つい走って逃げてしまった……」

侑「……」

侑(こ、これやばい)

侑(知らない一面が知れて)

侑「すっごくときめいちゃう……!!」ゾクゾク

侑「はぁぁぁぁ……かすみちゃん、あまりにも可愛い……!!」

侑「色々と考えてる子なんだね……そうだよね、結構周りよく見てるもんね……かすみちゃん」

侑「今度良いライブ開催できるように、色々企画するからね……かすみちゃん……!!」

「え? かすみん?」

侑「!!」ビクッ!!

コペ子「かすみんが……どうかしたんですか?」

29: 2021/04/14(水) 23:46:26.28 ID:aDKlPx+b
侑「あっ、キミは確か……かすみちゃんのファンの……」

コペ子「どうもです」ペコリ

コペ子「かすみんがどうかしたんですか?」

侑「え?」

侑「えっと」ジー

コペ子「?」キョトン

侑「……」ジー

コペ子『かすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみん』

侑「」

32: 2021/04/14(水) 23:58:40.23 ID:aDKlPx+b
コペ子『かすみん。かすみんになにかあったのかな?』

コペ子『それともただの呟きかな?』

コペ子『この人もかすみん推しだったら、是非ともコッペパン同好会に来てほしいな。かすみん、あんなに可愛い子なのにファンの人数が見合ってないもん』

コペ子『はぁ、かすみん。名前聞くだけでテンション上がっちゃうよね。かすみん、かすみん。本当にかすみん、可愛いよね。かすみんかすみんかすみん』

コペ子「……」ジー

侑「え、えっとぉ……」

コペ子「?」キョトン

コペ子『かすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみん』

侑(この子は常にかすみちゃんの事を考えてるのかな!?)

侑「そ、その……」フルフル

侑「ひ、一人だけなんて選べないから!! ごめん!! さよなら!!」ダッ!!

コペ子「え!? ちょ、ちょっ!」

コペ子「い、行っちゃった……」

コペ子「かすみん推しが増えると思ったのに」ボソッ

コペ子「残念……」

37: 2021/04/15(木) 00:10:50.74 ID:RukQu0oP
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

侑「はぁ、はぁ、はぁ……!!」

侑「怖いよ!! あんなに大人しそうな顔してるのに!! 怖いよ!!」

侑「人は心の中では何を考えてる分からないもんだね」

侑「ま、まぁ当然の事か……人間だもんね」

侑「メモしとこ」カキカキ

侑「……よしっ、とりあえず二人分のデータ(?)は取れたね」

侑「誰かいないかなー?」

侑(できたら次は平和な子がいいなぁ……)

侑「あっ!」


しずく「……」ペラ、ペラ


侑(しずくちゃんだ! ベンチで本読んでる!)

侑(うーん、絵になるなぁ……本当に美人さんだよね、しずくちゃん)

侑(よーし! 話かーけよ!)

41: 2021/04/15(木) 00:26:54.22 ID:RukQu0oP
スタスタ

侑「しずくちゃん!」

しずく「ん?」

侑「本読んでるのにごめんね。こんにちは!」ニコッ

しずく「あっ、侑さん。こんにちは」ニッコリ

侑(はぁぁぁぁぁ……笑顔がお淑やかで可愛い……!! しずくちゃんとクラスメイトの子は羨ましいなぁ。隣の席の子とか、毎日ときめいちゃうだろうね)

しずく「あれ? 侑さん目、悪いんでしたっけ?」

侑「あぁ、これは伊達メガネだよ! イメチェンなんだ~」

しずく「そうなんですね! 似合ってますっ」ニコッ

侑「ありがとうー」ニッコリ

侑(よし、では早速……)

侑「……」ジー

しずく「?」キョトン

しずく『メガネ。メガネかぁ~』

侑「!!(見えた!!)」

しずく『メガネと言えば主人公が付けていることは少ないけれど物語の中で必ずと言って良い程いるよねメガネを付けた登場人物。メガネを外した時のギャップも素晴らしいしそのままアイデンティティとして残してもしっかりと登場人物として成立するし必要不可欠だよね。上目遣いをされた時に覗き見れる瞳に見とれるヒロインも王道。そんな時に貴方って綺麗な瞳してるねという一言で赤面させるのもありだよね。私だったらその時どんな反応するのかな──』

侑「」

43: 2021/04/15(木) 00:35:18.15 ID:RukQu0oP
しずく「侑さん?」キョトン

しずく『あっ! またいつもの癖で……妄想に耽けてはダメだよね、桜坂しずく!』

いい子なしずく『私が出た方が良いかな?』

普通なしずく『確かに普通に考えたらそうかも』

冷静なしずく『いやいや、本当の私で過ごしてくって決めたでしょ?』

しずく『うんうん。そうだよ』

怖がりなしずく『でも……上手く会話しないとまた変な子って思われるかもだよね?』

しずく『侑さんはそんな事思うような人じゃないよ!』

侑「誰!?」ビクッ!!

しずく「!?」ビクッ

44: 2021/04/15(木) 00:54:18.35 ID:RukQu0oP
しずく「ど、どうしたんですか?」

侑「え、あっ! ごめん! なんでもないよ!!」

しずく「は、はぁ」

侑(落ち着け、落ち着け高咲侑。もう三人目なんだから、一々反応しない!)

侑(しずくちゃん、演劇部だから色々と考えてるんだよね!? 多分、演じるキャラ同士で脳内会話させて……って、自分の気持ちなのに演じるキャラ同士ってなに!?)

しずく『ど、どうしたんだろ今日の侑さん……集合! みんな集合ー!』

冷静なしずく『侑さん、いつもの様子が違うね。こんな時は別の桜坂しずくを演じた方が良いのか会議だよね?』

しずく『そうだよ桜坂しずく。本当の私でこのまま上手く会話できるのか、精査する必要がある』

怖がりなしずく『そうだよね……もう変な子って思われるの怖いもんね』

元気なしずく『本当の私を見てくださいって決めたじゃん! ポジティブに考えよう!』

怖がりなしずく『でも本当は不安で怖いでしょ? 変な子って思われるのは人として間違ってないもん』

冷静なしずく「それはそうだけど今はその事は置いておこうよ」

普通なしずく『いや、まぁ普通に会話すればいいじゃん。脳内でこんな事考えずにさ』

冷静なしずく『ちょっと、その判断は私がするべきじゃないかな?』

しずく『って! そんな事どうでもいいよぉ!!』

侑「…………」 スッ

しずく「へ? 侑さん? メガネ外しちゃってどうしたんですか……?」

侑「い、いや……だ、大丈夫だよ。気にしないで」ニコ、ニコ

侑(目、いったぁ……っ……!!)

侑(視界が文字で埋め尽くされるよ……!!)

侑(色々考え過ぎだよしずくちゃん……)

48: 2021/04/15(木) 01:12:07.53 ID:RukQu0oP
侑「……」スチャ

しずく「え? もう付けるんですか?」

侑「う、うん」

侑(よーし、引き続き頑張ろう。大丈夫。さっきのかすみんで視界が埋め尽くされた時よりは遥かにマシだよ)


しずく『みんな! ちゃんと考えて!』

しずく『せっかく侑さんが話しかけてくれたんだから!』

侑「!?」

怖がりなしずく『そうだよね。せっかく侑さんがわざわざ私なんかに話しかけてくれたんだもんね』

冷静なしずく『普段、私と侑さんってあんまり話さないもんね』

侑「……」

しずく『私達の為に色々と行動してくれるし、本当に頼りになる先輩だよ。でも……普段は私が恥ずかしがっちゃって、中々声掛けられないもん』

いい子なしずく「本当の私はコミュニケーション能力低いもんね。いい子な私を演じないと中々会話できない」

しずく『そ、それでも同好会の皆さんのお陰でだいぶ本音で会話できるようになった!』

元気なしずく『そうだよ!! 怖がりな私もそう思うよね!?』

怖がりなしずく『ま、まぁ……それは……』

侑「……」

49: 2021/04/15(木) 01:17:25.50 ID:RukQu0oP
しずく『と、とにかく今はちゃんとコミュニケーション取らないと!』

侑「……ふふっ」クスクス

しずく「へ? 侑さん……?」

侑「ぷっはっはっはっは!」

しずく「……」ポカーン

しずく「ゆ、侑さん?」

侑「あー、ごめんごめん」

侑「──しずくちゃん」

しずく「は、はい?」

侑「えいっ!」バッ

ギュュュュュュ

しずく「へ?」

しずく「え? へぇ!?////」カァァァァ

52: 2021/04/15(木) 01:22:45.61 ID:RukQu0oP
ギュュュュュュ

侑「ふふっ」ニコニコ ナデナデ

しずく「あ、あわわわわわ……!!」

しずく「え、ええぇぇぇぇぇええええ!!////」

しずく『な、なんで私抱きしめられてるのぉぉぉおおおおお!?』

いい子なしずく『な、なんで私抱きしめられてるのぉぉぉおおおおお!?』

普通なしずく『な、なんで私抱きしめられてるのぉぉぉおおおおお!?』

冷静なしずく『な、なんで私抱きしめられてるのぉぉぉおおおおお!?』

怖がりなしずく『な、なんで私抱きしめられてるのぉぉぉおおおおお!?』

元気なしずく『な、なんで私抱きしめられてるのぉぉぉおおおおお!?!?』

54: 2021/04/15(木) 01:32:31.27 ID:RukQu0oP
侑「しずくちゃん!」

しずく「な、ななななんでしょう!?」

侑「難しく考えすぎ!」ニコッ

しずく「へ?」

侑「あっ、ごめんメガネちょっと外す」 スッ

しずく「……」ポカーン

侑「大丈夫だよ」

侑「誰かと会話するのに、難しく考える必要なんてないよ」

しずく「え? えぇ!?」

侑「あははっ(なんで考えてる事が分かるの!? って顔してるなぁ)」

侑「確かにさ、私としずくちゃんってあんまり話す事なかったかもだけど」

侑「私はしずくちゃんがいつも頑張ってること、知ってるよ」ニコッ

しずく「侑さん……」

55: 2021/04/15(木) 01:42:25.60 ID:RukQu0oP
侑「スクールアイドルの練習も、演劇部の練習も頑張ってるし」

侑「周りの子達をよく見て、上手く話聞いてくれてるし! 聞き上手な子だなぁって思ってるよ」ナデナデ

しずく「……」

侑「しずくちゃんはコミュニケーション能力、低くなんかない」

侑「しずくちゃんが思っている以上に、私はキミの事見てる」

しずく「……」

侑「私が音楽科に転入するって話した時も、手伝える事があったらなんでも言ってって言ってくれる優しさも知ってるし」

侑「合宿で三年生に驚かされて怖がった時に……私にも抱き着いてきちゃう、怖がりな所も知ってる!」

しずく「そ、それは忘れて下さいっ!////」

侑「あははっ!」ニッコリ

侑「──まぁ、つまりね」

しずく「……」

侑「私と会話するのに、難しい事考えなくていいよ」

しずく「侑さん……」

侑「私もしずくちゃんと会話できるの、楽しいし! どんどん話しかけてよっ」

侑「ね?」ニコニコ ナデナデ

しずく「…………」

しずく「……ふふっ」クスクス

しずく「──はいっ!」ニッコリ

しずく「これからどんどん話しかけちゃいますからね!」

56: 2021/04/15(木) 01:43:11.18 ID:RukQu0oP
つづく

74: 2021/04/15(木) 21:48:52.64 ID:RukQu0oP
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

スタスタ

侑「なんだか走って逃げなかったパターン初めてな気がする」

侑「いやぁ、それにしても皆色々と考えてるんだなぁ」

侑「まぁ当然っちゃ当然か……」

侑「人間は考える葦であるって言うもんね。使い方あってるか分かんないけど」

侑「よーし! 引き続き璃奈ちゃんの為にレポート頑張ろっ!」

侑「誰かいないかなぁ」キョロキョロ

侑「──あっ!」


彼方「……すー……すー……」zzz


侑「あれは……彼方さん」

侑(ま、またあんな所で寝てる……いくら校内だからってベンチで寝るのは危ないよ?)

侑「枕とタオルケットまで用意してあるし……少し可哀想だけど起こさないと」

75: 2021/04/15(木) 22:00:07.62 ID:RukQu0oP
スタスタ

侑「おーい。彼方さーん。起きて~」ユサユサ

彼方「……すー……すー……」zzz

侑「じゅ、熟睡だ……」

侑「それにしても……」

侑(はぁぁぁぁ~……!! 彼方さんの寝顔、可愛いなぁ~……!!)

侑(本当に美人さんだ。エマさんとは違う包容力がある! 甘え上手なのに、偶に甘やかしてくれるから、好きなんだよなぁ彼方さん!)ニコニコ

彼方「……すや……すー……」zzz

侑「ダメだ……全然起きない」

侑「……ん? 待てよ?」

侑「寝てる人が考えている事も分かるのかな? これ……」スチャ

侑「人は寝ている間も脳は働いてるって言うもんね。……よーし」

侑「……」ジー

彼方「…………」zzz

侑「……」ジー

彼方『』モヤモヤ

侑(──おぉ! なんか見えそう! もう少し凝視するんだ!)ジィィィ

76: 2021/04/15(木) 22:03:54.47 ID:RukQu0oP
彼方「……すぅ……すぅ……」zzz

彼方『微分計算は、積・商・合成関数の微分法をマスターするだけでほとんどの関数を微分することができる。でも、積分計算は積・商の一般的な方法が存在しないため、それぞれの積分計算ごとに適切な変形や解法が必要となり──』

侑「」

77: 2021/04/15(木) 22:16:24.19 ID:RukQu0oP
侑「………………」

侑「……」スッ

侑「ふぅー」

彼方「……」zzz

侑「……うん、寝てるよね……」

侑「…………」スゥゥゥ

侑「うん、落ち着こう。高咲侑。落ち着け~」

侑「彼方さんは寝てる」

侑「きっと今のは見間違いだよ。うん」

侑「……よしっ」

侑「もう一回」スチャ

彼方『受験に向けて対策するべき英語。現在進行形だけでなく過去進行形の対策も重要。過去進行形は英文法の基礎的な領域であるが、受験英語でも英文法問題のダミー選択肢として活躍する傾向にある。過去進行形を完璧に理解しておくと、英文法問題の正答率が自ずと上がるから要復習。また、多くの人が混乱しやすい英文法問題として、過去形と過去進行形の使い分けがある。その為──』

侑「」

侑「彼方さん、寝てるよね!?」

79: 2021/04/15(木) 22:30:28.36 ID:RukQu0oP
彼方「……ん~?」

侑「あっ」

侑(大きな声出しちゃって、彼方さん起きちゃった……)

侑(いや、でも寝ながらあんな風に考えてるなんて思わないじゃん? 普通驚いちゃうよね?)

侑「あ、あはは……おはようございます。彼方さん」

彼方「……おやぁ~? 侑ちゃんだぁ~」ニヘラァ

侑(それにしても、寝てる時に勉強の事考えてるんだから、起きてる時なんてどんな事を──)

彼方「おはよ~」ニッコリ
彼方『おはよ~』

侑「へ?」

彼方「いやぁ、こんなとこで寝てるの見られちゃって、彼方ちゃんちょっと恥ずかしいですなぁ~」
彼方『いやぁ、こんなとこで寝てるの見られちゃって、彼方ちゃんちょっと恥ずかしいですなぁ~』

侑「」

彼方「せつ菜ちゃんには内緒にしといてね~。ゆーうちゃんっ」ニコッ
彼方『せつ菜ちゃんには内緒にしといてね~。ゆーうちゃんっ』

侑「は、はい」コクリ

侑(あっ、彼方さんはこれあれだ。一切裏表ないやつだ。思った事そのまま言っちゃうタイプの自由人だ)

80: 2021/04/15(木) 22:46:51.86 ID:RukQu0oP
侑「彼方さん。せつ菜ちゃんには内緒にするけど、こんな所で寝てちゃ風邪引いちゃうよ?」

彼方「あはは~。ごめんごめん~」
彼方『あはは~。ごめんごめん~』

侑(これはこれで頭の中ごちゃごちゃになる……)

彼方「あれ? 侑ちゃん今日メガネなの~?」
彼方『あれ? 侑ちゃん今日メガネなの~?』

侑「うん。イメチェンっ」

彼方「可愛いね~」ニコッ
彼方『可愛いね~』

侑「あ、ありがとうございます///」

侑(心からの言葉って思うとちょっと恥ずかしくなる)

彼方「おぉ~、照れてる侑ちゃん、新鮮だぁ~。かわいいぞ~」
彼方『おぉ~、照れてる侑ちゃん、新鮮だぁ~。かわいいぞ~』

侑「……」

81: 2021/04/15(木) 23:01:51.86 ID:RukQu0oP
侑「彼方さん」

彼方「ん~?」
彼方『ん~?』

侑「彼方さんって、思った事を言っちゃうタイプの方なの?」

彼方「え? うん。そうだよ~」
彼方『え? うん。そうだよ~』

侑「嘘偽り無しだ……」

彼方「?」キョトン
彼方『?』

侑「──彼方さん! 今、何かしたいことってありますか?」

彼方「え? 急だなぁ……」

彼方「うーん」

彼方「特には……ないかなぁ」

彼方『遥ちゃんと一緒にお買い物に行きたいなぁ』

侑「……っ……っ……!!(妹の遥ちゃんの事になると意地張っちゃうのかぁ)」プルプル

彼方「ゆ、侑ちゃん? 急に震えちゃってどうしたの?」キョトン

侑「彼方さんがあまりにも愛おしくて……」

彼方「きゅ、急に何言ってるの!?」
彼方『急に何言ってるの!?』

侑「ちょっと焦ってて可愛いなぁ……もう!!」

彼方「ゆ、侑ちゃんどうしたの!?」
彼方『ゆ、侑ちゃんどうしたの!?』

彼方『きょ、今日の侑ちゃん! 何か変だよぉ~!!』

82: 2021/04/15(木) 23:15:24.58 ID:RukQu0oP
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


侑「……いやぁ、ピュアピュア彼方さん……可愛かったなぁ……」

侑「余韻に浸れる……」

侑「寝てる時は正直怖かったけど……あれが睡眠学習って言うのかな」

侑「あっ、そうだ。遥ちゃんに連絡しよ」スッ

侑「遥ちゃんへ……彼方さんが遥ちゃんとお買い物に行きたがってたよ。学校終わりに誘ってみれば……っと」

侑「これでよしっ」

侑(彼方さん、遥ちゃんと楽しい時を過ごしてね)

侑「さぁ! 癒されたし、引き続き頑張るぞー! 次なる癒しを求めて!」

侑「さて、誰かいないかなぁ」キョロキョロ

侑「……あれ?」


スタスタ

姫乃「……」


侑「え? 姫乃ちゃん?」

侑「なんでニジガクにいるんだろ……」

侑(何か困ってるのかな? それとも用事? まぁ、とにかく話しかけてみよっと!)

85: 2021/04/15(木) 23:20:31.83 ID:RukQu0oP
スタスタ

侑「姫乃ちゃん!」

姫乃「!!」ビクッ!!

姫乃「だ、誰ですの!?」

侑「そ、そんなにビックリする!?」

姫乃「あ、あぁ……侑さん。こんにちは」ニコッ

侑「こんにちは、姫乃ちゃん!」

侑「ニジガクに何か用があったの?」ジー

姫乃「えぇ、そうなんですの」ニッコリ

侑「そうなんだ! どんな用事が──」ジー

姫乃『はぁ、はぁ……果林さん……果林さん……!! 早くお顔が見たいですぅ……!!』

侑「」

86: 2021/04/15(木) 23:26:55.97 ID:RukQu0oP
姫乃「用事ですか? はい。虹ヶ咲学園のお花が綺麗だと美咲さんからお聞きして──」

侑「果林さん?」

姫乃「!?」ビクッ!!

侑「果林さんを見に来たの?」

姫乃「え? えぇ?」

姫乃「果林さんが……どうかしたんですか?」ニコッ

姫乃『な、なんで私が果林さんを見に来た事がバレてるんですの!?』

侑「ひ、姫乃ちゃん……」

姫乃「は、はい」

侑「まさか……ストーカーはしてないよね?」

87: 2021/04/15(木) 23:37:40.94 ID:RukQu0oP
姫乃「ス、ストーカー……? 誰のです?」

侑「果林さんの」

姫乃「し、してるわけないじゃないですか!」

侑「……」ジー

姫乃『そんな低俗な者達と一緒にされては困ります! 私は果林さんのファン! ストーカーではなく純粋にお顔が見たいから来ているだけです! それに! 果林さんはよく迷子になるので、私が後ろからついて行ってあげないと迷っちゃう可能性がありますの!! それをさりげなくフォローするのがファンである私の役目なのです!! そう! だから私は決してストーカーなどではなく──』

prrrrr!! ピッ

侑「あっ、もしもし? 美咲さん。私です。虹ヶ咲学園の高咲侑です。……はい。その説はお世話になりましたっ。──うん。今、姫乃ちゃんがニジガクに来てて──」

姫乃「あー!! 手が滑りましたわぁ!!」パシッ! ピッ!!

姫乃『させませんわッ!!!!』

侑「わ、私のスマホー!!」

侑「結構攻撃的だぞこの子!?」

89: 2021/04/15(木) 23:44:19.62 ID:RukQu0oP
姫乃「侑さん! 美咲さん呼び出しはダメです! やりすぎですよ!」

侑「いや、だって……」

侑「ウチの大事な部員の危険が迫ってる気がして……」

姫乃「侑さんは私をなんだと思ってますの……?」

侑「ちょっと前まではキラキラ輝いてるすっごいスクールアイドル」

侑「今はちょっと怖い人かな」

姫乃「え、えぇ……」

姫乃『なんでこんなに急に好感度下がってるんです!?』

90: 2021/04/15(木) 23:56:20.46 ID:RukQu0oP
姫乃「……侑さん」

侑「なに?」ジー

姫乃「……本当の事をお話します」

侑「どうぞ……」ジトー

姫乃『うぅ……そんな目で見ないで……うぅ……!! 全て見透かされてる見たいで怖いです……』

侑「!!」

侑「…………」スッ

姫乃「へ? メガネ……外すんですの?」

侑「う、うん」

侑「なんか……ごめんね」シュン

姫乃「え? え?」キョトン

侑「あー、うん。気にしないで」

姫乃「は、はぁ」

92: 2021/04/16(金) 00:09:22.40 ID:QyS/nMnW
姫乃「実は、今日学園の美術の授業で課題が出たのです」

侑「うん」

姫乃「自分が世界で一番美しいと思うモノを描いて来るようにと」

侑「うんうん」

姫乃「結論から申し上げます」

姫乃「果林さんを描く為に観察しに来ましたっ」ニッコリ

侑「せ、世界で一番美しいと思うモノの課題の為に……?」

姫乃「はい」

姫乃「世界で一番美しいと言ったら果林さんですもの」

侑「…………」

姫乃「そ、そんな引かないで下さいよぉ……!!」プルプル

侑「い、いや! 引いてないよ!? 本当に引いてないから! そんなに涙目にならないで!」

姫乃「はい……」

93: 2021/04/16(金) 00:22:14.46 ID:QyS/nMnW
姫乃「……私、果林さんの事が本当に大好きなんです」

姫乃「私のお家はそこそこ裕福なので、不自由無く過ごしてきました。ですが、少し世間知らずで育ってしまいました」

姫乃「お洋服もお母様が用意した物を着る毎日でした」

姫乃「ですが、お友達が読んでいた雑誌を見て、そこに写っていた美しい方に……私は心が打たれたんです」

姫乃「そのお方が果林さんでしたの。そこからは私は彼女の大ファンになってしまいました。……自分でもお洋服を買うようになって、毎日が楽しくなりましたっ」ニッコリ

侑「……ふふっ、そうなんだ」

侑(姫乃ちゃん……行動はやりすぎかもだけど、本当に果林さんの事好きなんだなぁ)

姫乃「……本当は話すつもりありませんでしたのに。何故か今日の侑さん、鋭いんですもの」ジトー

侑「あ、あはは……なんかごめん」

96: 2021/04/16(金) 00:35:25.48 ID:QyS/nMnW
侑「姫乃ちゃん」

姫乃「?」

侑「さっきは怖い人って言ってごめんね」ペコリ

姫乃「え?」キョトン

侑「ねぇねぇ、姫乃ちゃん」

姫乃「は、はい?」

侑「一緒に、果林さん探しに行かない?」

姫乃「へ……?」

97: 2021/04/16(金) 00:51:24.98 ID:QyS/nMnW
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

スタスタ

侑「あ! 果林さん見つけた。やっぱりカフェにいたんだ」


果林「……」


侑(端っこの席でコーヒー飲んでる……かっこいいなぁ……絵になるよ)

侑「さっ、姫乃ちゃん。私の目の届く範囲で果林さんを観察し──」

姫乃「……」カメラ スッ

侑「こら」

姫乃「!!」ビクッ

侑「盗撮はダメだよ?」ジー

姫乃「……ダメ?」

侑「当たり前でしょ」

姫乃「はーい……」

侑「全くもう」

侑「私も果林さんを観察したい用事があったし、色々と話してくれたから誘ったけれど」

侑「やりすぎはダメだからね? ファンのいきすぎな行動は厄介に繋がっちゃうからね?」

姫乃「うっ……わ、分かりました。申し訳ございません」ペコリ

侑「分かってくれたならいいよ」

98: 2021/04/16(金) 01:01:20.76 ID:QyS/nMnW
侑(よし、私も璃奈ちゃんのレポートの続きを進めなきゃ)

侑(姫乃ちゃんの事も見ないとだし、今回は遠くから凝視しよう)スチャ

姫乃「はぁ……果林さん……お美しいです……」


果林「……」ズズッ


侑(優雅にコーヒー飲んでるなぁ)

侑(果林さん。きっと、色々考えながらリラックスしてるんだろうなぁ)ジー

侑(モデルの事を考えてるのかな? それともスクールアイドルの事かな?)ジー

侑(さぁ、どんな事を考──)


果林『ん~』

果林『コーヒー……うんまきゃ~』


侑「」

99: 2021/04/16(金) 01:01:45.05 ID:QyS/nMnW
つづく

114: 2021/04/16(金) 23:38:15.00 ID:QyS/nMnW
侑「……姫乃ちゃん」

姫乃「なんでしょう? 侑さん」

侑「うんまきゃ~ってどこの方言か分かったりする?」

姫乃「突然なんですの……?」

侑「いや、その……気になっちゃって」

姫乃「は、はぁ」

姫乃「確か八丈方言ですね。八丈島や青ヶ島で使用される方言です」

侑「そうなんだ。ありがとう」

姫乃「はい」

侑「……っ……っ……」プルプル

姫乃「!?」

侑(果林さん)

侑(ギャップがあり過ぎて、かわいい……!! ときめいちゃう……!!)

姫乃「侑さん、本当に今日どうしたんです……!?」

115: 2021/04/16(金) 23:55:34.15 ID:QyS/nMnW
侑「私は気にしないで、姫乃ちゃん。今は果林さんを観察しよう」

侑(あれ? なんかこの発言やばい気がしてきたけど大丈夫かな?)

姫乃「わかりました」ニッコリ

侑(あ、全然平気だったみたい。良かった良かった)


果林「……」ズズッ

果林『平和け~』

果林『め、こんな日も大事大事ー』

果林『天気も良い。はぁ、エマと彼方とひなたぼっこしたか~』


侑「……!! ……っ、っ……!!」プルプル

侑(果林さん可愛い……!!)

姫乃「果林さん……コーヒー飲んでるだけで優雅です……。きっと色々とお考えなのでしょう。スクールアイドルの事を考えてるのでしょうか……」ウットリ

侑(ひなたぼっこのこと考えてるよ……!!)

116: 2021/04/16(金) 23:59:37.92 ID:QyS/nMnW
侑「!!」

侑(そうだ)

侑「ねぇねぇ姫乃ちゃん」

侑「せっかくだし、果林さんとお話したくない?」

姫乃「え!?」

117: 2021/04/17(土) 00:02:00.99 ID:d99L1Hxe
姫乃「と、当然お話したいですが……よろしいのでしょうか?」

姫乃「本日は観察しに来ただけですのに」

侑「ここまで来たんだし、いい機会じゃん?」

姫乃「……な、ならお言葉に甘えてお話しにいこうかな……」ボソッ

侑(まぁ本来私が止める権限はないしなぁ)

侑「あっ! でも変な行動起こしたりしたらすぐに止めに入るからね!」

姫乃「私は淑女なのでそんなこといたしません! もうっ!」

姫乃「って、侑さんは来ないんですか?」

侑「私はここから2人を見てるよ。あと、私がここにいるのは内緒にしてね?」

侑(集中して見てたいし)

姫乃「わ、分かりました……では、行ってまいります」

侑「はーい。行ってらっしゃい。楽しんできてね~」フリフリ

スタスタ

127: 2021/04/18(日) 22:17:03.37 ID:ztqXchJ2
侑「……」ジー


姫乃「果林さん、ごきげんよう」ニッコリ

果林「あら、綾小路さんじゃない! どうしたのかしら? 遊びに来たの?」ニコッ

姫乃「はいっ。果林さんにお会いしたくて」

果林「ふふっ、お上手ね?」クスクス


侑「……」ジー


果林『綾小路さん、今日もかえーしきゃの~』

果林『あ、いけないいけない。方言出さないように気を付けないと……。集中よ、朝香果林』


侑(ごめんなさい。果林さんの秘密を知ってしまいました。私の中だけの秘密にするからね)

侑「……」ジー


姫乃『はぁぁぁぁああああっ!! 果林さん! 果林さんはぁっ!! 可愛い、お美しいです! 果林さぁんッ!!!!』


侑(やっぱり止めに入った方がいい気がしてきたんだけど)

128: 2021/04/18(日) 22:46:59.99 ID:ztqXchJ2
果林「そう言えば綾小路さん。この前のスクールアイドルの特集雑誌で表紙になってたわよね?」

姫乃「え!? な、なんでそれを……」

果林『表紙の綾小路さん、可愛かったのよね』

姫乃『果林さぁぁぁぁぁぁぁん!!!!』

果林「ふふっ、読モの仕事仲間であなたのファンの子がいてね。見せてもらったのよ」ニコッ

姫乃「か、果林さんに知ってもらえているだなんて……恐縮です」

果林『まぁ実はわたしも綾小路さんのこと、結構気に入ってるのよね』

姫乃『う、嬉しい……嬉しいよぉ! お母様、お父様! 綾小路姫乃は幸せです!! はぁ~!! 果林さぁぁぁぁん!! 生まれてきてくれてありがとう……ありがとう、ありがとう』

果林「あら? わたしもあなたの事、結構買ってるのよ? もっと自信持っていいのに」

果林「ッッ~~~~~!!////」カァァァァァ

果林「ふふっ、照れちゃって可愛いわね?」アゴクイ

姫乃「──っ!!/////」

姫乃「~……恥ずかしいです……/////」

果林『綾小路さん、真っ赤になっちゃった。かえーしきゃ~』

姫乃『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!! 果林さん、果林さん果林さん……!! 閉じ込めていた感情が溢れ出しちゃいそう……!!』

姫乃『果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん果林さん!!!! ──ずっとファンでいさせてくださぁぁあああああい!!!!』



侑『光と闇かな?』

侑「……ふふっ」

侑(──でも、姫乃ちゃん幸せそう! それもそうだよね。果林さんの大ファンだし!)

侑「良かったね、姫乃ちゃん」ニコッ

侑(この距離感の近さが、スクールアイドルの良い所だよね)

129: 2021/04/18(日) 22:56:40.94 ID:ztqXchJ2
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

スタスタ

侑「さぁて、誰かいないかなぁ」キョロキョロ

侑(お二人の邪魔しちゃ悪いかなって思って、移動しちゃった。果林さんとは今度ゆっくりお話しよ~っと)

侑(それにしても、やっぱりファンの子達は熱狂的な子が多いよね)

侑(私も相当熱狂だと思うけど、上には上がいるんだなぁ)

侑「……あっ!」


浅希「……」シャカシャカ


侑「浅希ちゃんだ! 1人でいるなんて珍しいなぁ」

侑(音楽聞いてるみたいだけど……なに聞いてるんだろ? あの子璃奈ちゃんのファンだから、璃奈ちゃんの歌聞いてるのかな?)

侑「……」スチャ

侑(浅希ちゃんも熱狂的なのかなぁ? ごめん、これも璃奈ちゃんのレポートの為だから……見せてもらうね!)

侑「……」ジー

131: 2021/04/18(日) 23:07:09.51 ID:ztqXchJ2
浅希『R-I-N-A-C-H-A-N-B-O-A-R-D! 璃奈ちゃんボード!』


侑「!?」


浅希『R-I-N-A-C-H-A-N-B-O-A-R-D! 璃奈ちゃんボード!』

浅希『よし、もっかいここリピートしよ』スッ、スッ

浅希『うーん、やっぱりARDの所が少し早いから、ちゃんと声に出せるか心配だなぁ。しっかりと本番で言えるようにリズム覚えて、アルファベットを間違えないよう完璧にしなきゃ』

浅希『R-I-N-A-C-H-A-N-B-O-ARD! 璃奈ちゃんボード!』

浅希『R-I-N-A-C-H-A-N-B-O-ARD! 璃奈ちゃんボード!』

浅希『今度の璃奈のライブのために! 全力で応援できるように練習しなきゃ!』

浅希『璃奈……楽しみにしてるし、楽しみにしててね……!!』


侑「……」ジー

侑(コールの練習してる……)

132: 2021/04/18(日) 23:12:31.00 ID:ztqXchJ2
侑(すっごい)

侑(私の中で今、浅希ちゃんの評価が急上昇してる)

侑(ファンの鏡だよ。ときめいちゃうよ)

侑「今度、璃奈ちゃんのライブで最前線の席のチケット用意して浅希ちゃん達にプレゼントしてあげよ……」

侑(楽しみにしててね……!!)ジーン


スタ、スタ バッ

「……だーれだ!」

ギュッ!!

侑「!?」 ビクッ!!

134: 2021/04/18(日) 23:17:09.72 ID:ztqXchJ2
侑「え? え!?」

侑(び、びっくりしたぁ! 後ろから抱きつかれちゃった……えと、声からして)

侑「あ、愛ちゃん?」

愛「せーかい!」バッ

愛「驚いた?」

侑「う、うん。ちょっとだけ」

愛「えへへ、ごめんごめん」

侑「全然大丈夫だよ。こんにちは、愛ちゃん」ニコッ

愛「うん! ゆうゆ、ちーっす!」ニコッ

135: 2021/04/18(日) 23:38:09.87 ID:ztqXchJ2
愛「ゆうゆ、今日はメガネなんだ! オシャレじゃん!」

侑「あはは、ありがとう。璃奈ちゃんから借りたんだ~」

愛「そーなんだ! ゆうゆは良い顔してるからメガネも似合うんだね~」

侑「て、照れるなぁ。でも、私より愛ちゃんの方がずっと可愛いよ」

愛「お上手だなぁ! ゆうゆは~!」

侑(はぁぁぁぁ……愛ちゃん今日も可愛い! いつも元気で楽しそうだし、話してて私まで楽しくなってくるんだよなぁ~!)

侑(皆を楽しくできる愛ちゃん! まさに楽しいの天才だよ!!)

愛「そーいえばゆうゆ、1人でいるなんて珍しいね? 何してたの?」

侑「私? うーん、学校内のおさんぽ?」

愛「あはは! なんで疑問形なのさ~」

侑「たしかに!」

愛「ゆうゆは天然だなぁ。なにしてんねんってね! 天然なだけに!」

侑「ッッッッッ!!」

侑「──ぷっはははははは!!」

侑「や、やめてよー!」

愛「ゆうゆのダジャレへの反応、本当にいいねぇ! 愛さん嬉しくなっちゃうよ!」

侑「も、もー!」ニコニコ

侑「急にダジャレ言われると笑っちゃうよ、愛ちゃ──」ジー

愛『ゆうゆ、今日も可愛いなぁ』

侑「!?」

136: 2021/04/18(日) 23:50:13.32 ID:ztqXchJ2
愛『背小さいのにスタイルいいし、身体もやわらかい。なんか温かいし抱きつきたくなっちゃうんだよね。本当に可愛い。好きだぞゆうゆ~』

侑「……っ……!!///」

愛「え? ゆうゆ、どしたん?」

侑「な、なんでもないよ!?////」

愛「ん~?」キョトン

愛『顔赤くしてるゆうゆ、新鮮だ! ……でも、急にどうしたんだろ?』

愛『──はっ!! まさか熱!?』

愛「ゆうゆ! 体調悪かったりしない!?」

侑「う、うん……平気だよ?」

愛「ほんと!?」

愛『大事なゆうゆに何かあったら大変だもん!』

侑「……え、えへへ……」ニヘラァ

侑(や、やばい……かすみちゃんの時の再来だ。めっちゃ照れちゃう。褒められるの、慣れてないんだってば!!)

愛「ゆ、ゆうゆ!?」

愛『急に笑ってどうしたんだろ!?』

愛『可愛いけど!』

侑「……!!」フイッ

侑(目が合わせらんないよ!!)

愛「ゆ、ゆうゆ?」

139: 2021/04/19(月) 00:04:43.44 ID:E+kPipMU
愛『な、何かあったのかな……? ゆうゆに目、逸らされちゃった……』

侑(違う、違うんだよ愛ちゃん!)

愛『そ、そうだ! ダジャレで気を引いて、何かあったのか聞いてみよう!』

侑「!?」

愛「…………」ジー

侑(めっちゃ真剣な顔しとる!)

愛『きれいなゆうゆに激励』

侑「!!」

愛『元気出さないのは厳禁』

侑「っ、ッッッ……!!」プルプル

侑(い、今すぐ笑いたい……!! 笑いたいけど!! 今笑っちゃうと確実にヤバい子になる!!)

愛『滲む虹。りなりーは無理難題がすき。歩夢と歩む』

侑「……はっ、ッッッ、ふっ……~……!!」プルプルプルプル

侑(死ぬ!! ここにいたら私は死ぬ!! 笑いたいッ!!)

愛「ゆ、ゆうゆ!? どうし──」

侑「あ、愛ちゃん──ご、ごめん!!」 バッ

タッタッタッタ!!

愛「ゆ、ゆうゆー!?」

142: 2021/04/19(月) 00:16:45.84 ID:E+kPipMU
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

タッタッタッタ!!

侑「はぁ、はぁ、はぁ」

侑「ふー……」

侑「…………」キョロキョロ

侑(誰もいない。よし!)

侑「──!!」

侑「ぷっははははははッ!!」

侑「あっはっはっはっはっは!!」バン、バン!!

侑「ひー……!! ひっ……!!」

侑「あ、歩夢と歩むて……!!」

侑「そ、そんままじゃん! ぷは、──あっはっはっはっはっは!!」バンバンバンバン!!

侑「ふー、ふー……」プルプル

侑「はぁ、はぁ……はぁ~……!!」

侑「……はぁ……ふぅ……」

侑「………………」

侑(し、死ぬかと思った)

侑「このメガネ、結構危険かもしれない。命の危険を感じたよ」

侑「さて、スッキリしたし、誰にも見られてなかっただろうし引き続──」

エマ「」

侑「」

143: 2021/04/19(月) 00:24:34.67 ID:E+kPipMU
エマ「侑ちゃん?」キョトン

侑「え、エマさん!?」

侑「い……いつからここに?」

エマ「えっとぉ~」

エマ「侑ちゃんがすっごい大きな声で笑ってる時くらいに……」

侑「」

侑(ぜ、全部見られてるー!!)

侑(や、やばい……絶対に変な子って思われた……)

侑「え、エマさん! その──」

エマ『たっくさん笑ってる侑ちゃんかわいい~』

侑(聖母か?)

144: 2021/04/19(月) 00:29:51.55 ID:E+kPipMU
エマ「すっごく楽しそうに笑ってたね~」ニコニコ

エマ「侑ちゃん、何かあったの?」

侑「そ、その……愛ちゃんのダジャレ連発が面白くて」

侑(嘘は言ってない!)

エマ「そーだったんだ! 愛ちゃんのダジャレ面白いよね~」

侑「私からしたら反則ですよ……あれは」

エマ「わかるわかる~」ニコッ

侑(聖母だ。エマさんは聖母だよ)

侑(はぁぁぁぁ……!! エマさん、優しすぎるよ……!! 普通、あんなに笑ってる人見たらドン引きするのに)

侑(何かあったのか聞いてくれて、同調してくれて……優しい! 癒し! 声も可愛いし、つい甘えたくなっちゃうんだよね……!!)

145: 2021/04/19(月) 00:42:02.96 ID:E+kPipMU
エマ「あれ? でも愛ちゃんはどこ~?」キョロキョロ

侑「あっ、愛ちゃんは別の所にいるよ。私がダジャレに耐え切れずに逃げてきちゃったの」

エマ「そーだったんだ」ニッコリ

侑「うん!」

エマ『あんなに侑ちゃんを笑わせる事ができるなんて、愛ちゃんはすごいなぁ』

エマ『私もダジャレ、練習した方がいいかな?』

侑「!?」

エマ「ねぇねぇ! 侑ちゃん! 私もダジャレの練習した方が──」

侑「え、エマさんはダジャレ言うようなキャラじゃないじゃん!? 別に練習しなくていいと思う!」

侑(これ以上ダジャレ連発されたら呼吸困難になっちゃうよ!)

エマ「え?」

侑「だ、だから──」

エマ『拒否されちゃった』

侑「!?」

エマ「そうだよね、確かにダジャレは愛ちゃんの専門分野だもんね~」ニコニコ

エマ『そっか、そうだよね』

エマ『私のキャラじゃないもんね』

侑「え、エマさん?」

146: 2021/04/19(月) 01:13:06.78 ID:E+kPipMU
エマ『少しでも笑わせようと思って、変な事言っちゃった。反省反省』

エマ『同好会の皆は、留学生である私を受け入れてくれて、優しくしてくれる』

エマ『大好き。この子達には少しでも笑顔でいてもらいたい』

エマ『嫌われたくない』

侑「……」ポカーン

エマ『同好会は、侑ちゃんがいたからまた皆で集まれたんだもん』

エマ『私は何も出来なかった。3年生なのに。皆よりもお姉さんなのに……』

エマ『そんな私なんかを、侑ちゃんは慕ってくれる』

エマ『侑ちゃんには、本当に感謝してる。だからこそ、嫌われたくない』

エマ『もっと上手くやらないと。ちゃんと、しっかりと……やらないと』

エマ「あっ! そう言えば侑ちゃん今日はメガ──」

侑「……」 スッ

エマ「──へ? メガネもう外しちゃうの?」

侑「エマさん」

エマ「?」

147: 2021/04/19(月) 01:15:48.15 ID:E+kPipMU
侑「……──」スゥゥゥゥ

侑「私は!!」

侑「エマさんの事!!」

侑「──大好きだよぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおッ!!!!」

エマ「!?」ビクッ!!

エマ「ゆ、侑ちゃん!?////」

149: 2021/04/19(月) 01:25:59.05 ID:E+kPipMU
侑「はぁ、はぁ、はぁ……!!」

エマ「侑ちゃん、急にど──」

侑「エマさん!」

エマ「は、はい!」ビクッ!!

侑「私はエマさんのこと、絶対に嫌いになったりしない!!」

エマ「!?」

侑「エマさんは、本当優しくて、みんなの事……すごくよく考えてくれてる」

侑「自分の事よりも! 周りの子達の事ばっかり考えてるのも知ってる!」

侑「優しすぎるくらいだよ」

エマ「……」

侑「エマさんを……嫌うわけないじゃん! エマさんを嫌う子なんていないよ! そんな子いたら、私が怒ってあげるから……! 安心してよ。私も、皆も! エマさんの事大好きだよ!」

エマ「ゆ、侑ちゃん……」

侑「だから……だから……」

侑「そんな……」

侑「“私なんて”……だなんて……」

侑「思わないでよ……っ……!!」

エマ「…………」

150: 2021/04/19(月) 01:27:46.21 ID:E+kPipMU
>>149 誤字修正


侑「はぁ、はぁ、はぁ……!!」

エマ「侑ちゃん、急にど──」

侑「エマさん!」

エマ「は、はい!」ビクッ!!

侑「私はエマさんのこと、絶対に嫌いになったりしない!!」

エマ「!?」

侑「エマさんは、本当優しくて、みんなの事……すごくよく考えてくれてる」

侑「自分の事よりも! 周りの子達の事ばっかり考えてるのも知ってる!」

侑「優しすぎるくらいだよ」

エマ「……」

侑「エマさんを……嫌うわけないじゃん! エマさんを嫌う子なんていないよ! そんな子いたら、私が怒ってあげるから……! 安心してよ。私も、皆も! エマさんの事大好きだよ!」

エマ「ゆ、侑ちゃん……」

侑「だから……だから……」

侑「そんな……」

侑「“私なんか”……だなんて……」

侑「思わないでよ……っ……!!」

エマ「…………」

151: 2021/04/19(月) 01:35:24.57 ID:E+kPipMU
侑「だから……だから!」

エマ「侑ちゃん」

侑「!!」

エマ「ありがとうね」

侑「……っ」

エマ「……ふふっ、いつもすごい周りを見てる子だけど──今日の侑ちゃんは、私の心の中まで見えてるみたいだね~」ニコニコ

侑「え!? ち、違──あぁ、その……違くはないんだけど……そ、その!!」

エマ「冗談だよ~」

侑「え……えと……」

エマ「侑ちゃん」

侑「……」

エマ「ありがとう」ニッコリ

侑「……うん」コクリ

152: 2021/04/19(月) 01:48:02.38 ID:E+kPipMU
侑「あっ! でもその……実はこのメガネ!!」

エマ「侑ちゃん、大丈夫だよ」

侑「え?」

エマ「言わなくても、大丈夫。なんとなく分かってるから」

侑「……」

エマ「私、実はちょっぴり怖がりだったりするんだ~」

エマ「それで心の中では、ネガティブに考えちゃう事もあるの。──あっ! 皆には内緒にしてね?」

侑「エマさん……」

エマ「でも! 今日侑ちゃんが言ってくれた言葉、本当に嬉しかった」

エマ「……そうだよね」

エマ「私、スクールアイドルだもん。ネガティブに考えるんじゃなくて、ポジティブに考えないと……もっと輝けないよね!」

エマ「私なんかだなんて、もう思わないようにする」

エマ「私は、癒し系スクールアイドルだもん。ポジティブに考えないとだよねぇ!」

侑「!! ──エマさん!!」パァァァァ

エマ「えへへ」

エマ「侑ちゃん、ありがとうね」

エマ「これからも私の事、大好きでいてね。応援してねっ!」ニコッ

侑「うん!!」 ギュッ!!

153: 2021/04/19(月) 01:54:57.74 ID:E+kPipMU
エマ「ふふっ。ぎゅ~」

侑「あはは、癒される~」ニコニコ

エマ「良かった♪」

エマ「──あっ! 侑ちゃん」

侑「ん?」

エマ「璃奈ちゃんに開発はほどほどにねって言っておいてね?」

侑「あ、あはは……はい」

侑(さすがエマさん。鋭い……)

164: 2021/04/19(月) 22:20:05.80 ID:E+kPipMU
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


侑「さてさて、結構色々な子達のレポートが出来てきた」

侑「スクールアイドル同好会の子達も残り少なくなってきたね」

侑(でも、やっぱりこのメガネは少し危険だね)

侑(さっきのエマさんの考えてる事は……心の悩みだった)

侑(何とか解決出来たから良かったけれど……あまり知りすぎてはいけない事だ)

侑(もう少しフィルターの範囲を広げた方が良いと思う)

侑(悩みは……その人の口から直接聞きたいもん)

侑「……よしっ、引き続き頑張ろう」

侑「待っててね、璃奈ちゃん」

スタスタ


「……──で、──ここは……」

「──ですね、……──に印鑑を……」


侑「ん? 教室から声が……」

侑(誰かいるのかな?)

スタスタ

侑(ここの教室からだ! ちょっと覗いてみよ) ササッ

165: 2021/04/19(月) 22:27:42.49 ID:E+kPipMU
副会長「なるほど……会長、ありがとうございます」

菜々「いえ、大丈夫ですよ。むしろ書類を手伝ってくれて……こちらこそありがとうございます」ニコッ



侑(せつ菜ちゃんと副会長ちゃんだ!)

侑(教室で生徒会の書類作成してるのかな?)

侑(いつも学園の為に色々としてくれて、本当にありがたいよね)

166: 2021/04/19(月) 22:36:35.73 ID:E+kPipMU
菜々「では、次はこちらをお願いします」スッ

副会長「はい。任せて下さい」

菜々「本当にありがとうございます」

副会長「いえいえ。……というか、私よりも会長の方が数倍多くの書類を作成してるじゃないですか」

副会長「私も副会長ですから。もっと会長のサポートをさせて下さい」

菜々「……ふふっ、分かりました。では、お互い頑張りましょう」

副会長「はい」ニコッ



侑(うーん、2人とも絵になるなぁ)



菜々「……」カキカキ



侑(せつ菜ちゃんも頑張ってるなぁ……きっと色々学校の事考えてくれているんだろうなぁ)

侑「……」スチャ

侑「……」ジー



菜々「……」カキカキ

167: 2021/04/19(月) 22:41:58.55 ID:E+kPipMU
菜々『黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅きもの
時の流れに埋もれし 偉大な汝の名において
我ここに闇に誓わん 我等が前に立ち塞がりし すべての愚かなるものに 
我と汝が力もて 等しく滅びを与えんことを!』

菜々『──いきます!』

菜々『せつ菜☆スカーレットストーム!!』



侑「」

169: 2021/04/19(月) 22:56:03.59 ID:E+kPipMU
菜々「……」カキカキ

菜々「あっ、そこは印鑑が必須なので気を付けてくださいね?」

副会長「!! ──すみません、ありがとうございます!」

菜々「いえいえ。私もよく間違えるので」ニッコリ

菜々『うおおおおおおおお!!!!』

菜々『やはりドラグ・スレイブの詠唱はカッコ良すぎますよね!!』

菜々『何度も復唱しました。アニメ版と詠唱が一部だけ異なるのも良いですよね!!!!』

菜々『……うーん、何とかライブのせつ菜☆スカーレットストームパフォーマンスで詠唱を混ぜたいのですが……中々良いのが思い浮かびません』

菜々『丸パクリはダメだと思いますが、やはりかっこいい詠唱を作るにはかっこいい詠唱を参考にするのが1番だと思います』

菜々『うおおおおおおお!!!! 気合い入りますね!! 頑張りましょう!! 優木せつ菜!!!!』

菜々『えい・えい・おー!! 』

菜々「この書類は完成できました。次のに取り掛かります」

副会長「会長、早いですね……さすがですっ」



侑「」

170: 2021/04/19(月) 23:15:08.78 ID:E+kPipMU
菜々『そう言えば……しずくさんのSolitude Rainの開幕詠唱もかっこいいですよね』

菜々『──雷鳴が胸に鳴り響いて 閉じ込めていた感情が溢れ出していく もう見失ったりしない ──私だけの思いを!』

菜々『──いきます!』

菜々『せつ菜☆スカーレットストーム!!』

菜々『ッ~~~~~!! かっこいいです!!!!』

菜々『ですが、雷鳴ですからね……その要素を活かすなら! よし!』

菜々『──せつ菜☆スカーレットサンダーストーム!!』

菜々『うおおおおおおお来ました!!!! 最高にしっくりきます!!!!』

菜々『これはぜひしずくさんとかっこいいデュエットソングを歌いたいですね……!!』

菜々「……」カキカキ

副会長『集中してる会長かっこいいです……さすがです……!!』



侑「」

侑「……」スッ

侑(目、いったぁ……ッッ……!!)

侑(元気過ぎだよせつ菜ちゃん)

侑(──というか!!)

侑(何であんなに色々考えてるのに書類どんどん作成できるの!?)

侑(仕事にすっごい集中してそうなのに……意外と皆、こんな感じなの!?)

侑(あと、しずくちゃんのあれは詠唱ではないからね!?)

172: 2021/04/19(月) 23:28:09.70 ID:E+kPipMU
副会長「!! 会長、もうその書類終わりそうですね」

副会長「すごいです……」

菜々「そんな大したことしてないですよ」

副会長「そんなに謙遜しないで下さい。私は会長を尊敬しています。そんな方が謙遜していては、私の見る目がないってことになってしまいますよ?」

菜々「わ、私を尊敬してる……?」

副会長「ええ、当然です」

副会長「……そう言えば、会長は誰か尊敬してる方はいらっしゃるんですか?」

菜々「え? 私が尊敬してる方ですか?」

副会長「はい」コクリ

菜々「そうですね……」

菜々『高咲侑さんに決まってます』



侑「!?」ビクッ

173: 2021/04/19(月) 23:51:55.37 ID:E+kPipMU
菜々『彼女は、私のヒーロー』

菜々『スクールアイドルをやめようと思っていた、私を救い出してくれた』

菜々『私のことを大好きだと言ってくれた侑さん……全く、ずるいですよね』

菜々『私の事が大好きだとか、私の歌が聴ければ充分だとか……そんなのこと真っ直ぐ伝えられたら』

菜々『歌わないわけには……いかないもん』


侑「……せつ菜ちゃん……」


菜々『彼女は、一度止まっていた私を──再びスクールアイドルの世界に……大好きな世界に!! 飛び込ませてくれた方です』

菜々『侑さんのおかげで、今の私がいるんです』

菜々『本当いつも感謝してます。感謝の気持ちでいっぱいです』

菜々『侑さんは私の、大切で、大事な、尊敬している……ヒ──』



侑「ッッ!!」 スッ!! ──ガチャン!!

侑「……っ……!! ……っ、!!」

侑(泣いちゃダメだよ。泣くな、高咲侑)

侑「……人の……心を見て……泣くなんて……っ……!!」

侑「ダメに決まってるもん……!!」


侑「!!」 バッ!!

ガラガラッ!!

侑「な、中川会長!!」


菜々「!?」ビクッ!!

副会長「!?」ビクッ!!

菜々「高咲……ゆ、侑さん!?」

174: 2021/04/20(火) 00:03:13.65 ID:T+NG8vrb
侑「……えっと、その! お仕事中にごめんなさい。優木せつ菜ちゃんに伝言をお願いします!!」

菜々「!?」

副会長「え!? 優木せつ菜ちゃん!?」パァァァァ

侑「──」スゥゥゥゥ

侑「いつもありがとう!! 私……せつ菜ちゃんの事、ずっと大好きだからっ!!」

菜々「!?!?!?」

菜々「ゆ、ゆゆゆゆゆ侑さんッ!?////」カァァァァ

侑「そ、それじゃ……ご、ごめん!! 失礼しました!!」バッ!!

タッタッタッタ!!

副会長「……な、なんだったんでしょう──って、会長?」キョトン

菜々「……ッッ////」

副会長「お顔……真っ赤ですよ? 大丈夫ですか……?」

菜々「は、はい! だ、だだだ……大丈夫です!! き、気にしないでください!!」フイッ

副会長「は、はぁ……」

175: 2021/04/20(火) 00:14:05.52 ID:T+NG8vrb
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

タッタッタッタ!!

侑「はぁ、はぁ、はぁ……!!」

侑「……っ、走って逃げてきちゃった……ごめん、せつ菜ちゃん」

侑(あんなのずるいよ……本当に……)

侑「……私だって、せつ菜ちゃんの歌があったから……大好きなこの世界に飛び込めたんだから」

侑「私も、歩夢も……せつ菜ちゃんのおかげでスクールアイドルに出会えたんだよ……?」

侑(本当、ありがとう。今度、せつ菜ちゃんに直接お礼を言おう)

侑「……同好会の子達は、残り二人。歩夢と璃奈ちゃんだけだ」

侑「……ん!」パシッ

侑「さて、切り替えなきゃ」

侑「よーし」

侑「最後まで頑張ろうっ!」グッ

侑(とりあえず、歩夢を探そう)

176: 2021/04/20(火) 00:20:10.53 ID:T+NG8vrb
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

スタスタ

色葉『うーん、やっぱり侑&愛の組み合わせが王道だよねぇ』


侑(いない)キョロキョロ





スタスタ

演劇部部長『次の演劇のキャスティング、しずくは誰にしようかな? 意外と悪役も上手く演じれるかもしれないかな? よし。彼女の成長の為に次はあの登場人物に──』


侑(ここにもいない)キョロキョロ





スタスタ

コペ子『かすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみんかすみん』


侑(逃げろッ!!) バッ!!




177: 2021/04/20(火) 00:26:38.81 ID:T+NG8vrb
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

侑「………………」

侑「歩夢!! どこにいるのー!!」

侑(全然見つからないよ……)

侑「……さすがに疲れてきたかも……」

侑「なんかメガネに映る文字も心無しか薄くなってる気がするし……目が疲れてきたんだろうなぁ」

侑「歩夢……どこぉ~?」キョロキョロ

スタスタ


今日子「歩夢ちゃん! 今日はありがとう! 本当に楽しかったっ」ニコニコ

歩夢「ふふっ、私もだよ今日子ちゃん! またお菓子作ろうね~」ニコッ

今日子「ッ~!! え、笑顔が可愛い……また作りましょうね!!」

歩夢「も、もぉ~! 恥ずかしいよ~」

今日子「えへへ! じゃあ、またね!」 バッ

歩夢「うん、またね~」

タッタッタッタ



侑「あ、あぁ……!!」パァァァァ

侑(あ、歩夢だぁぁぁぁ!! やっと見つけた!!)

179: 2021/04/20(火) 00:36:13.19 ID:T+NG8vrb
タッタッタッタ!!

侑「歩夢ー!!」

歩夢「──あっ! 侑ちゃんっ」パァァァァ

侑「みーつけたっ」 バッ ──ギュッ!!

歩夢「わっとと」ダキッ

歩夢「ど、どうしたの? 侑ちゃん」キョトン

侑「あははっ、なんか久しぶりに会えた気がして、嬉しくなっちゃった!」ニコッ

歩夢「ふふ、なにそれ~」ニコニコ

侑(はぁぁぁぁ……!! 歩夢と話すの、本当に落ち着くなぁ)

侑(もう、深くは考えなくても良くて、歩夢とはずっと一緒にいたいよ~!! これに限る!)

歩夢「あれ? 侑ちゃん、今日メガネなの? 朝は付けてなかった気がするけど……」

侑「あっ! うん。イメチェンっ! どう?」クイッ

歩夢「うーん、似合ってるけど……侑ちゃんはもっと色が薄いメガネの方が似合う気がするなぁ。ちょっとそのメガネはメタリック過ぎる気がする」

侑「おぉ、初意見だ」

歩夢「ふふっ、そっか」ニコッ

侑(さぁ、歩夢……ちょっとだけ見させてね!)

侑「……」ジー

歩夢「ん? ゆ、侑ちゃん? どうしたの?」

侑「……」ジー

侑(あ、あれ……?)

180: 2021/04/20(火) 00:38:25.12 ID:T+NG8vrb
侑「……」ジィィィ

歩夢「侑ちゃん~?」キョトン

侑(……あ、あれ?)

侑(歩夢の考えてる事が……)

侑「……なんにも、見えない……」

歩夢「え?」

211: 2021/04/21(水) 20:56:22.24 ID:ehLz0Hm4
侑(うそ、今までこんなことなかったのに)

侑「……」スッ

歩夢「?」

侑「……」スチャ

歩夢「???」キョトン

侑(や、やっぱりなんにも見えない……)

歩夢「侑ちゃん、どうしたの?」

侑(そう言えば璃奈ちゃんが……)


─────────────

璃奈「でも、あまりにも知ってはいけない事をその子が考えている場合、フィルターがかかるようになってる」

璃奈「そこまで分かっちゃうのは、さすがにその子が可哀想だから」

璃奈「例えばエ チな事考えてたりしてたらそれは見えない」

─────────────


侑(みたいな事言ってたよね?)

侑(し、知ってはいけない事しか考えてないのかな……? いや、そんなのありえないよ!)

侑(あ、歩夢もしかして……悩み事!?)

212: 2021/04/21(水) 21:00:17.93 ID:ehLz0Hm4
侑「歩夢!!」

歩夢「!?」ビクッ!!

歩夢「ど、どうしたの急に……?」

歩夢「なんか今日の侑ちゃんへ──」

侑「──何か悩み事あったりする!?」

歩夢「え?」

侑「思い悩んじゃうような……誰かに知られたくないような……そんな悩み!」

歩夢「へ? いや、特には……」

侑「抱え込まないで、なんでも言ってよ! 私、歩夢の力になりたいよ!」

歩夢「いや、本当に何にもないよ?」

歩夢「私、侑ちゃんには隠し事にしたくないもん」

侑「歩夢……」

213: 2021/04/21(水) 21:13:20.37 ID:ehLz0Hm4
侑(嘘をついている様子はなさそう)

侑(ってことは……も、もしかして)

侑「……」

侑「歩夢」

歩夢「なに?」

侑「いまエ チな事考えたりする?」

歩夢「」

222: 2021/04/21(水) 21:22:23.88 ID:ehLz0Hm4
歩夢「は、はぁ!?////」

歩夢「ゆ、侑ちゃん急に何言ってるの!?////」

侑「いまエ チな事考えてたり……する?」

歩夢「2回も言わないでよ!」

歩夢「考えてるわけないじゃん! なんなの急に~!!////」

侑「でも今、顔真っ赤だよ?」

歩夢「侑ちゃんが変な事言うからだよ!!////」

侑(……か、顔真っ赤にさせてる歩夢可愛いなぁ~!!)

侑「ふふっ、照れてる歩夢も可愛いね」ニコッ

歩夢「急に!?」

侑「──はっ!! しまったいつもの癖が出ちゃった……」

侑「今の発言は忘れて!」

歩夢「忘れたい発言が多すぎてわかんないよぉ!!」

224: 2021/04/21(水) 21:28:20.45 ID:ehLz0Hm4
侑「ちなみに歩夢」

歩夢「なに!?」

侑「本当にエ チな事考えてないの……?」キョトン

歩夢「だから考えてるわけないでしょ……? 今日の侑ちゃん変だよぉ……!!」

侑「でも何にも見えないし……」

歩夢「私は侑ちゃんの発言の意図が全く見えないしわかんないよ!!」

225: 2021/04/21(水) 21:38:50.99 ID:ehLz0Hm4
侑(で、でも……何も考えてる事が見えないなんて変だよ!)

侑「じゃ、じゃあ今! 何のこと考えてた?」

歩夢「か、考えてたこと?」

侑「うん」

侑「私と話始めたばっかりの時のでも良いけど、なに考えてたの?」

歩夢「えっと……」ウーン

歩夢「今日子ちゃんとお菓子作ってた事を思い出してたかなぁ」

侑(今日子ちゃんとお菓子作ってた事思い出してたのに何にも見えないの変じゃない……!?)

侑(ま、まさか歩夢……今日子ちゃんで変な事考えてたの!?)

侑「最低だよ歩夢ッ!!」クワッ!!

歩夢「え、えぇぇぇええええ!?」

侑「というか、何で私じゃないのさッ!!」

歩夢「なにが!?」

侑「歩夢を1番最初に可愛いと思っていたのは、私なのに……っ……!!」グス、グス

歩夢「本当にどうしたの侑ちゃん!?」

歩夢「情緒不安定過ぎるよぉ……!!」

227: 2021/04/21(水) 21:43:17.39 ID:ehLz0Hm4
侑「も、もう歩夢なんて知らないッ!!」 バッ

タッタッタッタ!!

歩夢「ゆ、侑ちゃーん!?」

歩夢「」ポカーン

歩夢「わ、わかんない」

歩夢「侑ちゃんの考えてる事がわかんないよぉ……」

228: 2021/04/21(水) 21:47:13.87 ID:ehLz0Hm4
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

璃奈「……」カタカタカタカタ

璃奈「……よし、皆のMVの編集、終わりそう」

璃奈「もう少し、頑張──」

タッタッタッタ!! バンッ!!

璃奈「!?」ビクッ!!

侑「はぁ、はぁ、はぁ」

璃奈「ゆ、侑さん? お、おかえりなさい……」

璃奈「どうしたの? そんなに急いで」

侑「璃奈ちゃん!!」

侑「歩夢が……歩夢がぁ……!!」グスグス

璃奈「」

229: 2021/04/21(水) 21:55:07.44 ID:ehLz0Hm4
璃奈「あ、あわわわわわ」

璃奈「侑さん……ど、どうしたの?」

璃奈「な、泣かないで……?」

侑「うぅ……っ、うぅ……!!」

璃奈「な、何かあったの?」

侑「……見えないの」

璃奈「へ?」

侑「歩夢の考えてる事が……なんにも見えないの!!」

璃奈「なんにも見えない?」

侑「璃奈ちゃん、言ってたよね……?」

侑「このメガネは……知ってはいけないことを考えてたり、エ チな事を考えてたらフィルターが掛かって見えなくなるって……!!」

璃奈「う、うん」

侑「歩夢の……考えてる事がこのメガネで何も見えないの……」

侑「それで……歩夢が変な事考えてるのかなとか思ったら……」

侑「歩夢の事が分からなくなるなって……こ、こんな事……は、初めてで……! 私、どうすればいいかわかんないよぉ……!!」グスグス

璃奈「侑さん……」

230: 2021/04/21(水) 22:00:06.62 ID:ehLz0Hm4
璃奈「ちょっと、メガネ貸して」

侑「へ?」

璃奈「私が、見てみる」

侑「う、うん」スッ

璃奈「ありがとう」

璃奈「……」スチャ ジー

侑「歩夢だけ……なんにも見えなくて……」グスグス

璃奈「……」ジー

璃奈「侑さん」

侑「?」

璃奈「このメガネ」

璃奈「──バッテリーが切れてる」

侑「」


侑「え?」

侑「……え?」

233: 2021/04/21(水) 22:09:26.51 ID:ehLz0Hm4
璃奈「おかしいと思った」

璃奈「なんにも見えなくなるなんて、明らかにおかしい」

侑「」

璃奈「それに、歩夢さんがそんな変な事をずっと考えているなんて、思えない」

侑「」

侑「そ、そう言えば……」

璃奈「?」

侑「歩夢と話す前」

侑「メガネに映る文字が心無しか」

侑「薄くなってた気が……」ダラダラ

璃奈「それ、バッテリーが切れる前兆だね」

璃奈「充電すればまた見えるようになると思う」

侑「……」

璃奈「侑さん」

璃奈「バッテリーの事伝えれていなかった。……ごめんなさい」ペコリ

侑「う、ううん。大丈夫……そ、それよりも! 私!!」

侑「歩夢に謝らないと……!!」

侑「ご、ごめん璃奈ちゃん! レポートここに置いておくから!!」

侑「私、ちょっと行ってくる!!」 バッ

タッタッタッタ!!

璃奈「……ファイト!」

235: 2021/04/21(水) 22:34:55.26 ID:ehLz0Hm4
璃奈「……」スッ

璃奈「!! すっごい、文字でいっぱい」

─────────────

かすみちゃんは本当にいい子だ。

この子は普段から周りを意外とよく見ている子だなぁって思ってたけれど、ちゃんと周りの子達の事も見てリスペクトしてくれていそうだ。
↑ しずくちゃんが悩んでた事もすぐに気がついてたし。あの時はすぐに気がつけなくてごめんね。

でも、自分を一番可愛いと考えている事に嘘偽りなし。

いつもかすみんが~、かすみんが~と自分の事ばかりいうから、周りの子をあまり褒める事はないけれど……。

恥ずかしながら、私の事も可愛いと思ってくれてるみたい。感謝もしてくれていた。
可愛いかすみんに褒めてもらえるだなんて、嬉しいや!

─────────────

璃奈「……」

ペラ、ペラ

─────────────

コッペパン、こわい

人は心の中では何を考えてるかは分からないもんだね……。

─────────────

璃奈「?」

ペラ、ペラ
ペラ、ペラ

璃奈「……」

236: 2021/04/21(水) 22:40:24.01 ID:ehLz0Hm4
璃奈「……」

璃奈「すごく色々……書いてくれてる……」

ペラ、ペラ

璃奈「フィルター……強くした方がいい、か……」

璃奈「……」

璃奈「ふむふむ」

ペラ、ペラ

璃奈「……」

璃奈「突然の頼みだったのに、すごく真剣に書いてくれてる」

璃奈「……」

璃奈「本当に、侑さんは」

璃奈「優しい」ニコッ

237: 2021/04/21(水) 22:44:24.25 ID:ehLz0Hm4
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

~後日~

侑「璃奈ちゃん、MVの編集どんな感じ?」

璃奈「うん。だいぶ出来てきた」

侑「そっか! いつもありがとうねっ」

璃奈「大丈夫。楽しいし、私に任せてほしい」

璃奈「りなちゃんボード、『从[`-ω-´]从』キリッ」

侑「あはは、頼もしいや」

璃奈「そう言えば侑さん」

侑「んー?」

璃奈「歩夢さんと仲直りできて、良かったね」

238: 2021/04/21(水) 22:51:34.62 ID:ehLz0Hm4
侑「あはは……あの時は本当にごめん」

侑「まぁ、喧嘩と言うよりも私が一方的に暴走しちゃっただけなんだけどね」

璃奈「私は一つ分かったことが増えてよかった」

侑「へ?」

璃奈「普段冷静な侑さんだけど」

璃奈「歩夢さんが絡むと暴走する事もある」

侑「あ、あはは……」

侑「わ、忘れてくれると助かるかな……」

璃奈「ずっと忘れない」

侑「ですよね……」

侑「──あっ、そう言えば璃奈ちゃん」

璃奈「?」

侑「ツナガルメガネのレポート、どうだった? バージョンアップできそう?」

璃奈「……あの時はありがとう」

璃奈「実は……」

侑「?」

璃奈「あのメガネ、開発中止にした。作ったやつも、もう封印する」

侑「へ?」

240: 2021/04/21(水) 23:02:18.20 ID:ehLz0Hm4
侑「そ、そうなの?」

璃奈「うん」

璃奈「侑さんが書いてくれたレポートにも書いてあったけれど」

璃奈「他人の考えている事が分かるのって、意外と危険」

侑「まぁ……ね」

璃奈「そこからトラブルになっちゃう可能性もあるし、見た人が傷付いてしまう事もあると思う」

璃奈「その事がよく分かった」

璃奈「変な事に付き合わせちゃって、ごめんなさい」ペコリ

侑「あ、謝ることじゃないよ? ほ、ほら! 私もちょっと楽しかったし!」

璃奈「ほんと?」

侑「うん! 嬉しくて泣きそうになっちゃう事もあったしさ! やりたい事も増えたよ」

璃奈「……」

侑「あっ、でも璃奈ちゃんを最後に見るって話になってたのに実行できてないや。それは少し心残りかなぁ」

璃奈「……」

璃奈「侑さん、聞いてほしい」

璃奈「あのメガネを作った理由を」

侑「え?」

241: 2021/04/21(水) 23:03:28.84 ID:ehLz0Hm4
璃奈「あれ」

璃奈「侑さんに」

璃奈「私の考えてる事を見てほしかったから、作ったの」

242: 2021/04/21(水) 23:11:13.21 ID:ehLz0Hm4
侑「へ? 私に?」

璃奈「うん」

璃奈「私は、想いを伝えるのがすごく苦手」

璃奈「りなちゃんボードのおかげで、解決出来たこともあるけど」

璃奈「まだまだ苦手意識はある」

侑「……」

璃奈「私は、感情を表に出せないけれど、心の中ではすごく色々考えてる。メガネで見たら沢山文字が見えると思う」

璃奈「だから、メガネを完成させて……見てもらいたかったの」

侑「そうなんだ……」

璃奈「うん」

璃奈「でも、そんなのずるい事だって分かった」

璃奈「だから直接言わせて」

璃奈「私の考えてる事」

侑「……うん」

侑「ゆっくりでいいから、璃奈ちゃんが私に見てほしかった事……聞かせてほしいな」ニコッ

璃奈「……うん!」

243: 2021/04/21(水) 23:22:07.01 ID:ehLz0Hm4
璃奈「侑さん」

璃奈「いつも、みんなの為に色々してくれてありがとう」

璃奈「私が……ライブの前日に逃げて迷惑かけた時」

璃奈「悩みを打ち明けた時」

璃奈「……その……」

璃奈「ありがとうって言ってくれて」

璃奈「ありがとう」


璃奈(私の本当の気持ち。これを聞いて侑さんはどんな反応をするのかな?)

璃奈(怖い。急に何? って思われたりしたらどうしようとか考えちゃうけど! 怖がってちゃダメだ)

璃奈(想いを伝えるのは難しい。そんなの当たり前だ。けれど! ちゃんと直接言葉にして伝えなきゃダメだよね? 侑さん!)

244: 2021/04/21(水) 23:23:57.28 ID:ehLz0Hm4
璃奈「侑さん」

璃奈「いつも、いつも本当に」

璃奈「ありがとう」

璃奈「私……侑さんのこと」





璃奈「すき」

245: 2021/04/21(水) 23:24:11.07 ID:ehLz0Hm4
おしまい。

247: 2021/04/21(水) 23:26:38.01 ID:El9pd4o5
おつでした。すごく可愛い終わり方だった

249: 2021/04/21(水) 23:27:32.35 ID:JyDZznV3
素晴らしい

250: 2021/04/21(水) 23:29:18.17 ID:zq7h5fcU
クオリティ高いな?

254: 2021/04/22(木) 00:43:18.81 ID:1ksS/oph
ゆうりな、すき

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1618405371/

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