【SS】海未「穂乃果がまたダイエットを怠らないように見張らないと」

穂乃果、ペースが落ちていますよ。


穂乃果、余所見しないで前を向いて走ってください。


前のめりになったら呼吸しづらいでしょう？


姿勢の次はまたペースが落ちてます。


水？ジョギングが終わってからにしてください。


死にません。私があなたを死なせるものですか。

ところで、花陽との思い出のご飯屋まであと100mほどですね。


「海未ちゃんのいじわるっ！」


食欲に堪える訓練です。言い方を改めてください。


ほらほら呼吸が乱れてきてますよ。


鬼で結構。あなたのためなら鬼にでも悪魔にでもなります。


「海未ちゃんだって穂乃果と寝るときは汗ぐっしょりでひいひい言うくせに！」

往来で何てこと言うんですかあなたは！！一周追加します！


「酷いよ……わかった！これって昨日の夜に、穂乃果が海未ちゃんにいじわるしたからその復讐でしょお！？」


だからそんなことを大っぴらに喋らないでくださいよ！


「悪かったよぅ！今度から海未ちゃんが『やめて』って言ったらやめるからランニングのメニュー軽くしてよ！でもあんなにふやけきった顔でいやがっても誘ってるようにしか見えないもん！海未ちゃんが誘うのだって悪いんだよ！」


全然反省してないじゃないですか！！

だいたい、私が話そうとしても穂乃果が続けるからまともに喋れないんです！


がっつき過ぎなんですよあなたは！猿ですか！


「穂乃果が止めようとしても海未ちゃんが無理矢理触らせてくるんじゃん！手握って揉ませたり顔摑んで舐めさせたり！舐めるのって意外に大変なんだよ！息苦しいんだよ！」


あれは穂乃果の吐く息がくすぐったいから……て大通りで何言ってんですかああああ！！


「ごめんなさーい！！」

あっ、こら。


「あー！足がもう動かない！」


自業自得です。間食した分と私の恨み分だけ走る義務があなたにはあります。


「もう走れない……！」


「お腹空いた！」


どこまでもあなたは食欲に塗れてるんですね。

「マラソンみたいに補給所があればな～」


はあ……しかたありません。


わかりました。


奥の手です。


「日陰に移動……」


ゾンビみたいな足取りで大変ですねぇ。

日陰ですね。そうしましょう。その方が都合良いです。


「何が？」


あなたの食欲を満たせるものを渡します。


「いいの！？じゃ、そこのコンビニ行きたい！」


やっぱりやめましょうか。

はい、足踏み、足踏み。準備運動してください。


「うひぇ。海未ちゃんの言うとおりにするからそれは勘弁して！」


最初から従っていればいいものを。


この日陰では汗ぐっしょりの顔を人前に晒すことになりますので移動します。


それではまず人通りの邪魔なので路地裏に入ってください。


壁にもたれて腰を下ろしていいですよ。足がガクガクしてるのを見ているのは落ち着きません。

ではこれからあなたの食欲を満たしてあげます。しかもカ口りーオフです。


「そんな夢のような食べ物が！？」


ええ。とっておきです。


しかもこれは穂乃果しかいただくことはできません。


「ふぇ？って海未ちゃん近い！近い！」


口を開けてください。

「……まさか」


喋りづらいんです。早くしてください。


「本気？」


……もういいです。私がこじ開けます。


「ふぇああ！はふ！はけふひゃりゃ！」


召し上がれ。

「んっ……」


「んん……熱いよぅ……海未ちゃんのよだれ……」


「ちゅぷっ……ちゅぷっ……」


「くちゅくちゅ……くちゅ……」


「こくんっ…」


「あまぁい……♡」

いやらしい声出さないでください。これで満足でしょう？


「まだ…まだ足りない……ちゅっ」


んん……。


「ちゅっ…ちゅぷっ……ん…はぁ…ちゅっ」


ぁ……ほのはぁ……ちゅぱっ…ちゅっちゅっちゅぷっ……。


ぁぁ……。

おしまい。

乙