【SS】可可「すみれ！すみれ！大掃除をしマショウ！」すみれ「えっ？」【ラブライブ！スーパースター!!】

～部室～

可可「おぉ～！」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

すみれ「……」ｼﾞｰｯ

可可「おぉ～！！」

すみれ（いったい何を読んでるのかしら……？）

可可「……すみれ！すみれ！」ﾋﾟｮｺﾋﾟｮｺ

すみれ「なによ。どうしたの？」

可可「見てクダサイ！お掃除の特集が書いてありマス！」

すみれ「掃除？」

可可「はいデス！なんでも日本人は、元旦に向けて掃除をするのが習慣だとか」

すみれ「掃除……あぁ、大掃除のことね」

可可「それデス！ところですみれ」

すみれ「？」

可可「来年のお正月っていつでデシタっけ？」

すみれ「はぁ？正月は一月一日に決まってるじゃない」

可可「なんと！？今年は一月にあるのデスか！？」

すみれ（そんな当たり前のことでいちいち驚かないで欲しいのだけれど）
　

恋「確か、可可さんの国では二月の頭にお正月を迎えるのでしたよね」

可可「はいデス！お正月はお祭りなので、一週間くらい仕事をお休みにしてみんなでお祝いをしマス」

すみれ「そっか……ふ～ん、なるほどね」

可可「けど今年は可可が日本で迎える初めてのお正月！可可は今からとってもとっても楽しみデス！」

すみれ「別に、お正月だからって特別なことは起こらないと思うわよ」

可可「でも日本人はお正月をすごく大切にしていると媽媽が言ってマシタ」

すみれ「そうなの？」ﾁﾗｯ

かのん「う～ん、どうだろ。ほら、今って昔と違ってお正月に親戚で集まったりとかもしないお家が多いみたいだし……」

千砂都「お正月と言えば……しめ縄とか鏡餅を飾ったりとか？」

可可「カガミモチ！可可それ知ってマス！戸棚におもちとみかんを飾るやつデス！可可の家も代わりに一昨日からクリスマスケーキを机の上に飾ってありマス！」

すみれ「いや代わりになっていないわよ、それ」

恋「ケーキみたいな生ものだと、お正月を迎える前に腐ってしまいそうですね」

可可「デスから中身のケーキだけはちゃーんと可可が美味しく頂き済みデス！」

すみれ「それはただゴミの空箱を放置してあるだけ！早く捨てちゃいなさいよね！」
　

可可「しめ縄、というのは何を絞める縄デスか？首デスか？」

すみれ「物騒な事言わないでちょうだい。神様がいらっしゃる（占める）場所、って意味でしめ縄よ」

可可「ナルホド……」

千砂都「あとは、お正月っぽいことと言えば～」

かのん「お年玉じゃない？」

可可「オトシダマ？」

かのん「うん。大人から子供にお金……とか、プレゼントをあげるんだよ」

可可「プレゼント……」

ﾁﾗﾘ

すみれ（ぎくっ）

可可「すみれ！すみれ！可可はすみれからのプレゼントが欲しいデス！」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ!

すみれ（あちゃー、そう来たかぁ……）
　

可可「すみれー！すみれー！プレゼントー！」

すみれ「はぁ……」

可可「可可にもオトシダマをクダサイ！」

すみれ「……そっか。でもね、可可。残念だけど私からあなたにはお年玉はあげられないの」

可可「えっ？」

すみれ「本来お年玉って、年上の人が年下の人に物を送る風習なのよ。ほら、あなたは7月生まれで、私は9月生まれでしょう？だから可可にはお年玉をあげられないの」

可可「むぅ……」ﾌﾟｸｰｯ

すみれ「はい、というわけで私から何かを貰おうって考えは、残念だけど諦めて……」

可可「だったらこっちデス！」ﾋﾞｼｯ!

すみれ「えっ？」

可可「日本にはお年賀という風習があるらしいデス！すみれは普段から可可のお世話になっているので、感謝を込めてプレゼントを贈るべきデスっ！可可はすみれからの心のこもったプレゼントが欲しいデス～っ！」ﾑｷﾞｭｯ!

すみれ「わっ！？ちょっと可可！？///」
　

可可「グソクムシ～！プレゼント～！」

すみれ「うぇぇ……///」

可可「むぅ～！！」

すみれ「くっつかないでよ！！恥ずかし……///」

かのちぃれん「……」ｼﾞﾄｰｯ

すみれ「うっ……///ってかどんだけプレゼントが欲しいのよーっ！！///いいからさっさと離れ

可可「いやデス！すみれが約束してくれるまで離れマセン！！」

すみれ「うぇっ！？///ちょっ……」

かのちぃれん「……」

すみれ「っ……///あーもうわかった！！あげる！！あげるからーっ！！////」

可可「はいデス。約束デス！むふ～♪」

すみれ「っ……///」

かのちぃれん「……」

かのちぃれん（それ、お年玉じゃなくてただのカップルのプレゼント交換なんじゃない……？）
　

可可「あとは可可、日本のおせちを食べてみたいデス。すみれ！」

すみれ「はいはい。多めに作っておすそわけしてあげるわよ」

可可「それとあとは……」

恋「それこそ先程の可可さんが仰っていた、大掃除でしょうか？」

可可「それデス！可可は大掃除をやってみたいデス！」

すみれ「えっ？」

可可「可可も日本のお正月行事を体験してみたい！」

すみれ「体験って……ただ掃除するだけだからなーんも楽しいものじゃないわよ、それ」

かのん「中国ではお正月に向けてお掃除したりとかはしないの？」

可可「可可にとってお正月は休むためのものデシタ」

かのん「ふ～ん」

可可「すみれ～！」ﾁﾗｯ

すみれ「えぇ～？けど、掃除なんて……ぶっちゃけめんど

千砂都「いいんじゃない？」

すみれ「え？」
　

かのん「うん。ちょうど部室に物もたくさん溜まってきた頃合いだもんね」

恋「私も一度この部屋を整理したいと思っていたところです」

すみれ「……マジ？えっと、部室の大掃除ってことは、もちろん私も……」

かのん「うん」

千砂都「すみれちゃんも強制参加だよ」

すみれ「えぇ……」

可可「というわけで、今日はこれからみんなで部室のお片付けをしマショウ！」

４人「おぉ～！」

すみれ「……」

ｸｼｸｼ

すみれ「はぁ……まったく、しょうがないわね」
　

◇———◇

すみれ「……」

すみれ（うっわぁ、相変わらず埃っぽ……）

ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

すみれ「はぁ……」

すみれ（なーんで私が部室のお片付けなんかを……これでも一応、ショービジネスの世界ではトップクラスのカリスマ性を併せ持つタレントなのよ？それがどうして、埃まみれでお掃除なんてしなくちゃいけないのよ……）

ﾌｷﾌｷ

すみれ（どーせ、近いうちに家の神社の大掃除もしなくちゃいけないんだろうし、寒い中……あーあ……）

すみれ「……」

可可「すみれ！すみれ！」ﾋﾟｮｺｯ!

すみれ「……」

可可「すみれ！」

すみれ「……なによ」

可可「じゃじゃーん！見てクダサイ！」

すみれ「……？」

可可「これ！すみれが初めてセンターで踊った時の衣装デス！」

すみれ「ふ～ん……」

すみれ（懐かしい……わざわざ残しておいてくれてたのね。ちょこっとだけ嬉しいかも）
　

すみれ「でも、ところどころ糸がほつれたりしてるわね」

可可「ずーっと物置に置きっぱだったから仕方ないデス」

すみれ「……捨てるの？」

可可「まさか。可可の見立てによれば、この衣装はまだまだ大丈夫なはずデス。それに小さな怪我は舐めれば治るって、昔に爸爸が教えてくれマシタ」

すみれ「舐め……ってそれ、衣服じゃなくて人間の擦り傷とかの対処法でしょ。肌とかに使うものよ」

可可「なるほど。ではすみれは可可に肌を直接舐めて欲しいと」

すみれ「はへっ！？///」

可可「んもう、すみれってばえ　ちデスね～」ﾆﾔﾆﾔ

千砂都「すみれちゃん、エ　チなのは良くないと思うよ」

すみれ「ち、ちがっ！！そーゆー意味で言ったんじゃないわよっ！！///」
　

すみれ「とにかくほら！！私の思い出の衣装残してくれてるのは素直に嬉しいけどっ！！さっさと掃除に戻りなさい！！」

可可「でも可可はもう少しだけすみれとの思い出話に浸っていたいデス」

すみれ「そういうのは掃除が終わってからゆっくり話してあげるから、さっさと続きをやるっ！」

可可「むぅ……」

かのん「続きって何の？」

千砂都「すみれちゃんと可可ちゃんのイチャイチャってことじゃない？」

すみれ「違うわよったら違うわよっ！！///」

恋「すみれさん、エ　チなのは良くないと思います」

すみれ「私じゃないっ！！可可の方から言い出してきてるのだからねっ！！///」
　

＊　＊　＊

すみれ「はぁ……」

ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

可可「すみれ！すみれ！」ﾋﾟｮｺｯ!

すみれ「……」

可可「すみれ！聞いてマスか？」

すみれ「……今度は何よ」

可可「ゴミのフンベツがつかないので教えて欲しいのデス」

すみれ「ふんべつ？」

可可「はいデス。わからないとちゃんとゴミを仕分けられマセン」

すみれ「仕分け……あぁ、分別ね。分別（ふんべつ）がつく、だと別の意味になっちゃうわよ」

可可「日本のゴミ出しは中国に比べてややこしくて難しいデス」

すみれ「そうかもね。地域によって違いがあるとも聞くし」
　

すみれ「可可の国ではどんな感じの分別だったの？」

可可「捨てるものがゴミという扱いで、捨てないものはゴミではありませんデシタ」

すみれ「それは当たり前で世界共通よ。そうじゃなくて、もっと具体的な中身を教えて欲しいのよ」

可可「具体的な……？」

すみれ「ほら、燃えるゴミとか燃えないゴミとかあるでしょう？」

可可「モエル……なるほど、やはりすみれはそういうことでしたか」

すみれ「？」

可可「ふむ……すみれの性癖は、極度の捨てるものフェチであると。わかりマシタ。では可可も次からすみれにもっと気に入ってもらえるよう工夫してきマス」

すみれ「そっちの萌えるじゃないっ！！///」

かのん「すみれちゃん、無理やりエ　チなのに持っていくのは良くないと思うよ」

すみれ「だからーっ！！コイツよ、コイツ！！全部可可が悪いんだってば！！///」
　

すみれ「っ……はぁ。で？いったい何を捨てようとしてたの？」

可可「これデス。この折れてしまったお裁縫用の縫い針デス」

すみれ「それは金属だから燃えないゴミね。他は？」

可可「それとこの食べかけだったチョコレートケーキと……」

すみれ「なんでそんなものが出てくるのよ。普通に燃えるゴミね」

可可「あとはこの飲みかけだったレモンティーとか」

すみれ「……」

可可「入学式のときにもらったコサージュと

すみれ「ストップ！可可関連の古いゴミ、出てき過ぎじゃない？普段から細かいゴミ捨てくらいやっておきなさいよ」

可可「でも……」

すみれ「でも、じゃないわよ。ほら、ここら辺のゴミ全部捨てるからね」ｶﾞｻｯ

可可「あっ！けど……確かにすみれにとってはゴミに見えるのかもしれませんが、可可にとっては全部が大切な思い出なのデス」

すみれ「えっ？」

可可「部室に置いてあるモノには全て、可可にとってあなたとの大切な思い出が詰まっていマスから。すみれ」ﾆｺｯ

すみれ「……」
　

すみれ「……」

可可「すみれ……？」

すみれ「……別に、あなたとの学校生活はまだ二年間も残っているわけだし、ここからたくさん紡いでいけばいいだけでしょう？それに例えモノを捨てたって、思い出は消えてなくならないわよ」

可可「……」

すみれ「あなたがゴミを捨てられないのなら、ほら。私が代わりにやってあげるから」

可可「ほんとうデスか？」

すみれ「ええ。それくらいの汚れ仕事はやってあげるわ」

可可「わかりマシタ。では終わったらここら辺の埃のはき掃除もお願いしマス」

すみれ「はいはい、しょーち」

可可「それと終わったらフローリングの水拭きもお願いしマス。すみれ、バンガッテクダサイ！」

可可「では可可は隣の部屋で休んでマス～」

すみれ「おっけー」

ｶﾞｻｶﾞｻ

すみれ「ふぅ……」ﾃｷﾊﾟｷ

ﾌｷﾌｷ

すみれ（……あれ？何か、少しおかしいような気がするけど……）



かのちぃれん「……」ｼﾞﾄｰｯ

かのちぃれん（すみれちゃんって、ほんと、可可ちゃんにだけチョロ甘だよね～……）


この後一人で大掃除した
　

終わりです。お粗末様でした