【SS】千砂都「それだよ! ロン、大車輪!」すみれ「ギャラクシー!?」【ラブライブ!スーパースター!!】

Liella!ーSS


1: (あら) 2022/02/19(土) 18:36:50.46 ID:C9aFD5RK
千砂都「役満だよ! 32000の2本場は、32600!」ドンッ!

【SS】千砂都「それだよ! ロン、大車輪!」すみれ「ギャラクシー!?」【ラブライブ!スーパースター!!】


すみれ「ま、待ちなさいよ! 大車輪はローカル役満でしょ!?」

すみれ「そんなの私は認めないわ! ノットギャラクシーよ!」

可可「ノットギャラクシーって何デスか?」

恋「ですが、大車輪は普通に計算してもほぼ役満じゃありませんでしたか?」

千砂都「清一色、平和、タンヤオ、二盃口が必ず複合するから、最低でも11翻は確定だね」

すみれ「ほら、三倍満じゃない! だから、32600じゃなくて24600で――」

かのん「でも、リーチしてたちぃちゃんに一発で振り込んだよね?」

可可「グソクムシ、見苦しいデスよ」

千砂都「すみれちゃん、裏はめくらないでおいてあげるね」

すみれ「……ギャ、ギャラクシー」ガクッ
 

2: (あら) 2022/02/19(土) 18:41:58.21 ID:C9aFD5RK
かのん(23700点)「これは負けちゃったかなあ。さすがちぃちゃん!」

千砂都(48200点)「ありがとう、かのんちゃん! でも、まだオーラスが残ってるから油断はしないよ!」

恋(27300点)「つい先ほどまでは、すみれさんの圧勝という流れでしたのに……。勝負事は怖いですね」

可可(観戦中)「おお、すみれ! 飛んでしまうとは情けない!」

すみれ(800点)「まだ飛んでないわよ!」

かのん「このままだと、次のセンターはちぃちゃんだね」

かのん「んー、ちぃちゃんの隣で歌いたいなあ……」

かのん「ねえ、可可ちゃんは25000点で計算するんだっけ?」

可可「そうデス。だから、今の点数のままならレンレンとククが千砂都の隣デス!」

かのん「ううっ、端っこはイヤだよお」

すみれ「私だってイヤよ!」

可可「800点のグソクムシは、ステージの外では?」

すみれ「そんなわけないでしょ!」
 
3: (あら) 2022/02/19(土) 18:45:11.95 ID:C9aFD5RK
すみれ「こんなの嘘でしょ? 私、一時は50000点を超えてたのよ?」

可可「それが今や瀕死のグソクムシなわけデスが」

すみれ「グソクムシって言うんじゃないわよ!」

かのん「でも、点数はともかくとしてさ。すみれちゃんは確かに上手な感じがするよ」

かのん「多分、一番いっぱいあがってるよね?」

千砂都「私のあがりは、今の大車輪も入れて2回かな」

恋「私も2回です」

かのん「私も2回だ。今の親番で連荘してたのだけだから」

すみれ「……私は4回」ズーン

可可「それでこの体たらくデスか?」

恋「まあ、麻雀はあがった回数を競うゲームではありませんからね」
 
4: (あら) 2022/02/19(土) 18:48:29.67 ID:C9aFD5RK
すみれ「これだから能力者とやるのはイヤなのよ。負けたときの理不尽さがエグいわ」ブツブツ

すみれ「いや、まだ負けてないったら負けてないけどね!」

かのん「あれ? すみれちゃんって無能力だったの?」

かのん「麻雀でセンターを決めたいとか言い出したから、てっきり強い能力があるんだと思ってたよ」

恋「そうですね。私もそう思っていました。手が早いのに高くて、押し引きの判断も的確でしたし」

恋「それでいて縛りがなさそうで能力が透けないので、私と違って汎用性の高い能力なのかなと」

千砂都「まだ勝負は終わってないし、実は隠してるんじゃないの?」ネエネエ

すみれ「そんなわけないでしょ。嘘なんてつかないわよ」
 
5: (あら) 2022/02/19(土) 18:52:04.13 ID:C9aFD5RK
可可「ククもそう思います。すみれは嘘をついていません」

すみれ「可可、私の味方をしてくれるの? いつもは突っかかってくるのに、嬉しいじゃない」フフッ

可可「そ、そういうことじゃないデスよ! 後ろから見ていたククが、公平に判断した結果デス!」

すみれ「あら、それは残念ね」ナデナデ

可可「もうっ! もうっ! なでるなデス! からかうなデス!」プンプン

かのん「まあまあ、可可ちゃんは落ち着いて」ドウドウ

恋「ですが、いくら後ろから見ていたからといって分かるものですか?」

可可「はい、すみれの打ち方に不自然なところはありませんでした」

可可「受け入れ枚数を即座に判断できて、期待値の計算も正確で、それに基づく押し引きも適切」

可可「相手の捨て牌から手牌が精度よく読めるだけでなく、数局の情報から人読みもできる」

可可「純粋に麻雀が上手いんデスよ。すべてが高いレベルでまとまっています」

可可「後ろから見ていたククには、すみれから数巡ほど遅れて打牌の意味が分かる感じでした」

すみれ「そ、そんな真面目な顔で褒めないでよ! 本気で恥ずかしいじゃない!」

可可「悔しいデスが、事実デス。ククは麻雀のことで嘘は言いません」
 
6: (あら) 2022/02/19(土) 18:55:27.90 ID:C9aFD5RK
すみれ「まあ私のことはこれくらいでいいとして、私からすると恋に能力があったことの方が驚きよ」

すみれ「恋のあがりは2回とも私からの直撃だったけど、あれがそうだったの?」

すみれ「私の打牌にミスはなかったと判断したから、運が悪かったものとして処理してたんだけど……」

恋「ええ、2回ともそうですね。すみれさんは、私の能力の条件を満たしました」

恋「そうなってしまえば、いくら打牌を工夫したところで決して逃げられません」

恋「振り込みを避けられるかどうかは、牌に対する支配力の強弱のみで決まる話になりますから」

すみれ「その支配力とかいうの、無能力者からすると理不尽の極みだからやめて欲しいのよねえ」

恋「ふふっ、すみません。ですが、そういうものですから」
 
7: (あら) 2022/02/19(土) 18:58:40.87 ID:C9aFD5RK
恋「お詫びに、私の能力の条件について説明しましょうか?」

すみれ「……いいの? まだオーラスがあるし、今後も打つかもよ?」

恋「構いませんよ。このオーラスではどうせ条件を満たせませんし、知れば逆に足枷になりますからね」

恋「私の能力は、私の親番を流した相手から次局で直撃を取るというものです」

恋「私から親を奪った相手への、私が親番で失った点数を超える点数での直撃が約束されます」

恋「ターゲットが複数の場合はランダムで選ばれ、私が点数を失っていない場合でも発動します」

恋「発動しないのは、全員ノーテンのときくらいですかね」

恋「この能力は、お母様が亡くなったことで目覚めたもので、親を失った――」

すみれ「うん、ありがとう。重い話になりそうだから、それくらいでいいわ」
 
8: (あら) 2022/02/19(土) 19:01:57.75 ID:C9aFD5RK
すみれ「でも、そうすると私は3人の能力者に囲まれてるわけね。めげたくなってくるわ」

千砂都「あれ? 私に能力があるかは聞かなくていいの? 言ってないよね?」

すみれ「千砂都のは分かりやすいにもほどがあんのよ! これ見よがしに筒子ばっかり集めちゃってさあ!」

千砂都「バレた?」

すみれ「当たり前でしょ!」

恋「なんだったら、打つ前から予想できてましたよね」

かのん「まあ、ちぃちゃんは丸が大好きだからね」

千砂都「そう! 私のまるまるサークルは、丸い牌を集める能力だよ!」

可可「千砂都は、自分の能力に名前を付けるタイプでしたか」

恋「ちょっと意外ですね」

かのん「えー、そういうとこも可愛いじゃん」
 
9: (あら) 2022/02/19(土) 19:05:12.45 ID:C9aFD5RK
すみれ「でも、千砂都の大車輪に振り込んだのは明らかに私のミスだったわ」

すみれ「かのんに親番で連荘されて焦っちゃって、まだトップなのに強引に流しにいった」

すみれ「3回も鳴いて手を短くして、無駄に手牌が筒子で染まったところで千砂都のリーチ」

すみれ「当たり牌が筒子なのは明らかだけど、千砂都の捨て牌には1枚も筒子がなくて読みようがない」

すみれ「色々と考えて七筒を切ったけど、あの状況に追い込まれた時点で負けだったわ」

恋「結局、すみれさんの手牌は5枚とも当たりだったわけですしね」

可可「でも、最も高めの牌を切るところが持ってないすみれらしいデス!」

すみれ「可可、黙りなさい」
 
10: (あら) 2022/02/19(土) 19:08:38.61 ID:C9aFD5RK
すみれ「もっと言うと、かのんに能力の使用を許可したことがそもそもの間違いだったのよ」

すみれ「かのんが飛びそうだったから限定的に認めたけど、あれは完全に失敗だったわ」

かのん「えー、酷いよ。私の能力なんだから、私の自由に使わせてよね」プンプン

すみれ「あの迷惑な能力を自由に使わせてくれるのは、世界中を探しても千砂都くらいよ」

かのん「そうかなあ? 歌うといい牌が引けるって、そんなにおかしい?」

千砂都「そうだよ! 麻雀しながらかのんちゃんの歌を聞けるなんて最高じゃん!」

千砂都「それに、風神って呼ばれてる世界ランカーの人と同じ能力なんだよ?」

すみれ「その人のことは私も知ってるけど、同じではないでしょ」

すみれ「歌いながら対局するのもどうかと思うけど、1牌をツモるのに1曲が必要なかのんは論外なの!」

恋「東一局の配牌を取る直前に、4曲だけ歌わせて欲しいと言われたときは、私も耳を疑いましたね」

かのん「だって、4牌ずつ取るから4曲いるでしょ?」

すみれ「だってじゃないのよ」

かのん「でも、親で最後にチョンチョンするときは、2曲だけでいいんだよ?」

すみれ「誰もそんなことは聞いてないのよ」

〇風神さん
https://i.imgur.com/XUN0RLY.jpg
 
11: (あら) 2022/02/19(土) 19:11:52.91 ID:C9aFD5RK
可可「あっ、そうデス! すっごく短い曲にしたらどうデスか? それなら迷惑になりません!」

かのん「それがさ、ダメなんだよ。世界で最も短い曲って1.316秒なんだけど、それじゃ効果がなくてさ」

かのん「色々と試してみたんだけど、最低でも136秒の長さが必要みたいなの」

かのん「麻雀の牌って全部で136枚あるから、それも仕方ないのかなあ」ウーン

すみれ「そこに何の因果関係があるってのよ……」

恋「まあ、能力なんてそんなものですよ」

可可「そんなこと言い出したら、そもそも歌うこととツモる牌の種類に因果関係なんてないはずデスしね」

かのん「親番のときに14曲だけ歌わせてもらえれば、必ず天和なんだけどね」

すみれ「14曲は、絶対に『だけ』とか言える量じゃないわよ」

恋「136秒で14曲だと、30分を超えますね……」

千砂都「前に2人麻雀でやってもらったけど、すっごく楽しかったよ」

可可「それって、かのんのソロライブの休み時間に、天和ショーを見てる感じになりませんか?」

すみれ「少なくとも麻雀と呼べる代物ではないわね」

〇1.316秒の曲
https://youtu.be/_-ywSPWu3K8
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC
 
12: (あら) 2022/02/19(土) 19:15:37.61 ID:C9aFD5RK
千砂都「それじゃあ楽しいお話はこれくらいにして、そろそろ始めようか」

千砂都「私のセンターを決めるオーラスをね!」フフーン

かのん「ねえねえ、また歌っていい?」

すみれ「ダメよ。あんたの親番は終わったの」

かのん「えー、さっきみたいに1局に3曲だけでいいからさあ」ネエネエ

すみれ「ダメだって言ってるでしょ。ここで私が役満をあがってトップに返り咲くんだから、邪魔しないの」

千砂都「へえ、大きく出たね」

恋「まあ、常にトップを目指すのは大切ですよ。……私は倍満のツモか跳満の直撃が最低でも必要ですか」フム

かのん「私はそれじゃあギリギリ届かないなあ。……もうひとつ上がいるかあ」ンー

千砂都「ふふっ、2人も狙ってるね。いいよ、勝つのは私だから!」

可可「このオーラス、ククは千砂都の後ろから見守ることにします!」

可可「みんな頑張ってください! 誰が勝っても素晴らしい試合デス!」
 
13: (あら) 2022/02/19(土) 19:19:33.83 ID:C9aFD5RK
千砂都「よし! リーチ!」

かのん「うわっ、早いなあ」

恋「まだ5巡目ですよ」

千砂都「ふふーん! 私のまるまるサークルは、オーラスでも絶好調だよ!」

恋「とは言っても、ここで降りるという選択肢はないんですけどね」チャッ

すみれ「端っこはイヤとか言ったけど、センターかどうかがすべてだものね」チャッ

かのん「負けるにしても前のめりで負けたいよね」チャッ

千砂都「あれあれ? 誰もあがれも鳴けもしなかったの?」

千砂都「じゃあ、これで終わりだね。このまん丸な牌が、私の勝利だよ!」スッ

すみれ「本当にそうかしら?」

千砂都「……え?」ピタッ
 
14: (あら) 2022/02/19(土) 19:22:53.83 ID:C9aFD5RK
千砂都「すみれちゃん、どういうこと? もう終わりでしょ?」

千砂都「この牌を私がツモることを防ぐ手段は何もないし、これは私のあがり牌だもん」

千砂都「つまり、私のあがりを邪魔するなんて誰にもできない。トップの私があがって終了だよ」

すみれ「ええ、そうね。千砂都のツモを妨害する方法はないわ」

すみれ「でも、そこまでよ。そこから先は、すべて起こることのない空想ね」

千砂都「……そんなわけない。これは確実に丸い牌だよ。この気配を、私が間違うはずがない」

すみれ「さっさと牌をめくって私の正しさを証明してあげてもいいけど、それは少し味気ないわね」フフッ

すみれ「私に何が見えているかを教えてあげるわ。能力者の足をすくうなんて簡単なのよ」
 
15: (あら) 2022/02/19(土) 19:26:23.27 ID:C9aFD5RK
すみれ「まず1つ目だけど、千砂都は自分の能力について嘘を言っているわ」

すみれ「まるまるサークルとやらに丸い牌を集める力はない。ただ、丸い牌がある場所が分かるだけよ」

恋「え? ですが千砂都さんの手牌は、いつも明らかに筒子が多かったですよ?」

可可「そうデス! あの偏りは偶然とは思えません。確実に能力によるものデス」

かのん「それに、ちぃちゃんは昔から筒子を集めまくってたよ?」

すみれ「牌山のどこに丸い牌があるか分かるから、鳴きでツモ順を操作して集めてたのよ」

すみれ「何もしなくても勝手に集まってくるわけじゃない。千砂都が自分の意思で集めてるの」

可可「千砂都って、そんなにたくさん鳴いてましたか?」

すみれ「他家の手牌にある丸い牌も分かるから、上手いことして鳴かせてたのね」

すみれ「自分で鳴くこともあるけど、相手に鳴いてもらう方がずっと多いわ」

すみれ「極めて自然で巧みな能力の使い方だけど、私の目を欺けるほどではないわね」
 
16: (あら) 2022/02/19(土) 19:29:40.50 ID:C9aFD5RK
千砂都「仮にそれが正しいとして、だからなんだって言うの?」

千砂都「今の状況で大切なのは、この牌が私のあがり牌かどうかってことだよね?」

千砂都「こんなに強い丸の気配を、私が間違えるなんてありえない。これは絶対に私のあがり牌だよ」

すみれ「次に2つ目なんだけど、千砂都には丸い牌の種類までは見えてないでしょ?」

千砂都「……どういうこと? 私には、これが丸い牌だって感じられるけど?」

すみれ「それは分かっても、例えば二筒か三筒かまでは判別できてないでしょって言ってんのよ」

すみれ「丸の気配とやらの強弱で、筒子の上の方か下の方かなんかは区別できてるみたいだけどね」

恋「本当ですか? 千砂都さんの手牌から、不要な筒子がこぼれることなんてありませんでしたよ?」

かのん「幼稚園の頃から、ちぃちゃんの河に筒子が無駄に残ってたことなんて一度もないと思うけど……」
 
17: (あら) 2022/02/19(土) 19:32:56.23 ID:C9aFD5RK
すみれ「二筒か三筒か分からないなら、どちらも受け入れられるように手を進めればいいのよ」

すみれ「能力のおかげで、千砂都にとって手牌を筒子で染めることは容易よ。不可能じゃないわ」

可可「確かに理屈は通りますけど……。千砂都?」

千砂都「…………すみれちゃん、さすがだね。確かにその通りだよ」

千砂都「二筒と五筒くらい違うと分かるけど、二筒か三筒か四筒かとかは間違うこともあるかな」

千砂都「それに、一筒は大きな丸だから気配が強くて、四筒あたりと間違えやすいんだ」

千砂都「もっと言うと、一索は描かれてる鳥の絵によって変わってくるよ。この牌だと六筒くらいだね」

千砂都「でも、それがどうしたって言うの? 今は何も関係ないよね?」

千砂都「これだけ強い気配なら、これは九筒で間違いない。もし九筒じゃないとしても、確実に八筒だよ」

千砂都「九筒だろうと八筒だろうと、どっちも私のあがり牌だよ!」

〇丸い牌
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18: (あら) 2022/02/19(土) 19:36:54.90 ID:C9aFD5RK
すみれ「ふふっ、そうだといいわね」

千砂都「あがり牌だもん! 丸い牌だもん!」

すみれ「それで最後の3つ目よ」

すみれ「千砂都、あんた油断したわね。このオーラス、千砂都は大きなミスを犯したわ」

かのん「ちぃちゃんがミス?」

恋「5巡目でリーチをかけたのにですか?」

すみれ「むしろ、それがミスなのよ」

可可「これはククも分かります。千砂都はリーチする必要なんてありませんでした」

千砂都「そ、それは……」

可可「リーチは強力だけど危険デス。この場ではデメリットの方がずっと大きいデス」
 
19: (あら) 2022/02/19(土) 19:40:01.05 ID:C9aFD5RK
すみれ「千砂都の手牌は染まることが多い。基本的にリーチに頼る必要性が薄いのよ」

すみれ「今回に至っては、鳴いてないからツモでいいわけだしね」

すみれ「少なくとも点数のいらないトップ目が、オーラスでやることじゃないわ」

かのん「ああ、まあ確かにそっか」

恋「リーチしても私たちは誰も降りませんでしたしね」

千砂都「それはその通りだけど、別に大丈夫でしょ? 結局、あがれるわけだし」

千砂都「リーチしない方がいいかなとは思ったんだけど、すっごく強い丸の気配がして、それで――」

すみれ「そうよね。普段とは何か違う丸の気配を感じて、その牌であがりたくなったんでしょ?」

すみれ「その牌を自分がツモるように周囲を鳴かせて、そのまま勢いでリーチをかけちゃったのよね?」

千砂都「……すみれちゃん?」

すみれ「ねえ、千砂都。そのリーチは、あなたがかけたリーチじゃないわ」

すみれ「私にかけさせられたリーチなのよ」
 
20: (あら) 2022/02/19(土) 19:43:31.67 ID:C9aFD5RK
千砂都「私が、すみれちゃんに操られてたって言うの? 手のひらの上だったとでも!?」

千砂都「そんなわけない! すみれちゃんに、丸い牌の気配をどうこうすることなんて――」

すみれ「私の話は終わりよ。さあ、牌をめくりなさい」

すみれ「それが、あんたの敗北よ」

千砂都「ありえない。これが私のあがり牌じゃないなんて、絶対にない!」

千砂都「この気配は確実に九筒か八筒だよ。七筒の気配がこんなに強いことなんて――」チャッ

千砂都「…………え?」ポロッ

    九 萬  ドンッ!

可可「九萬!? 筒子ですらないんデスか!?」

恋「これは、いったい……」

かのん「ちぃちゃんが筒子じゃない牌を筒子と間違うなんて……」

千砂都「……嘘だ」
 
21: (あら) 2022/02/19(土) 19:46:35.06 ID:C9aFD5RK
千砂都「こんなの絶対おかしいよ! だって、九萬だって分かったのに、まだ丸い牌の気配がする!」

千砂都「こんなにはっきり感じられるのに、どうして……」

すみれ「ご覧の通り、それは確かに九萬よ。そして……」パララッ

すみれ「私のあがり牌でもあるわ」

かのん「九萬の単騎待ち!?」

恋「すべて分かってたって言うんですか!?」

可可「すみれ、すごいデス!」

すみれ「千砂都、どうしたの? もう終わりでしょう?」

すみれ「その牌をリーチしてるあなたが切らずに済ます手段は何もないし、それは私のあがり牌だものね」

すみれ「つまり、私のあがりを邪魔するなんて誰にもできない。私があがって終了よ」ドヤァ!

千砂都「さっきの私の台詞を……」ワナワナ

かのん「すみれちゃん、ちょっと調子に乗ってない? ちぃちゃんが可哀想だよ」ヒソヒソ

恋「ですが、すみれさんの気持ちも分かります。ここまで見事に策がはまれば、ああもなりますよ」ヒソヒソ

可可「すみれ、かっこいいデス!」キラキラ
 
22: (あら) 2022/02/19(土) 19:49:39.56 ID:C9aFD5RK
千砂都「なんでなの!? 何をしたの、すみれちゃん!」バンッ!

すみれ「あら、言う必要あるかしら? 麻雀において情報は命よ」

千砂都「そ、それは……」グヌヌ

すみれ「でも、そうね。千砂都が降参してくれるなら、教えてあげてもいいわ」

かのん「降参?」

恋「それに何の意味があるんですか?」

すみれ「ここまでの様子を見て分かったけど、千砂都は丸い牌を捨てちゃうのがすごくイヤなんでしょう?」

すみれ「誰かに鳴かせてもっと多くの丸い牌を手に入れるためだって我慢してるみたいだけどさ」

すみれ「さっきかのんが言ってたわよね? 千砂都の河に筒子が無駄に残ってたことなんて一度もないって」

かのん「確かに記憶にないよ。そっか、そうだったんだ……」

恋「……」

すみれ「ましてや負けるために丸い牌を捨てるなんて辛いわよね。私は千砂都をいじめたいわけじゃないの」

すみれ「千砂都が降参して私の勝ちってことにしてくれるなら、それで十分よ。今回のタネも教えてあげる」

可可「おお! すみれは優しいデス!」
 
23: (あら) 2022/02/19(土) 19:53:33.51 ID:C9aFD5RK
千砂都「……分かったよ。降参する。私の負けだ」

千砂都「そうやって情けまでかけられたんじゃ、完敗としか言えないよ……」ガクッ

すみれ「そう、それはよかった! これで次のセンターは私ね! ギャラクシー!」

すみれ「それで今回の仕掛けだけど、その牌をよく見てごらんなさい」

千砂都「よく見てって、九萬でしょ? 筒子ですらないのに、なんで丸い牌の気配がするかを――」

すみれ「その牌、さっきの南三局の二本場で私の捨て牌にあったような気がするのよねえ」

すみれ「九萬なのは確かだけど、本当にただの九萬かしら?」

千砂都「ただの九萬って、何を言って……」チラッ

    丸 萬  ドドンッ!

千砂都「よく見ると丸萬になってる!?」ガーン!

かのん「ホントだ! ちょうどいいとこに何か汚れが付いてるよ!」

すみれ「あら、洗牌したときにでも汚しちゃったかしら」
 
24: (あら) 2022/02/19(土) 19:56:51.09 ID:C9aFD5RK
千砂都「……嘘でしょ? まるまるサークルって、これに反応しちゃうの?」

恋「まさか、こんなくだらないことが能力に影響するだなんて……」

すみれ「能力なんて、そういうものよ。基本的に融通なんてものは利かないわ」

すみれ「思いっきり丸って書いてあるんだから、そりゃあ丸い牌でしょうよ」

恋「そう言われてしまうと、そうかもしれませんが……」

かのん「あっ! すみれちゃん、これってイカサマじゃないの? 牌に何か付けるとかずるいじゃん!」

可可「かのん、それは無理デス。何の証拠もありません。ただの言いがかりになってしまいます」

可可「すみれがわざと汚したかはもちろん、前の局にすみれの河にこの牌があったかも証明できませんから」

恋「そもそも故意に汚れを付けたとしても、それがイカサマなのかどうかすら微妙なところです」

すみれ「そうよねえ。他の面ならガン牌になるかもだけど、その面に付けてもねえ」

すみれ「まあ、もちろん私が汚れを付けたってわけじゃないけどね」
 
25: (あら) 2022/02/19(土) 20:00:16.64 ID:C9aFD5RK
すみれ「じゃあ、もういいわね? このまま私がセンターの曲をどんな感じにするかを話し合うわよ」

すみれ「前のノンフィクションが好評だったから、その路線でギャラクシーな曲を――」スッ

恋「すみれさん、牌を崩すのは待ってもらえますか」ガシッ

可可「レンレン?」

恋「その話をするのは、まだ早いと思いますよ。何を焦っているんですか?」

すみれ「……別に焦ってなんかないったらないわよ」

すみれ「どうせ必要な話し合いなんだから、早くするに越したことはないってだけで――」

恋「分かってますよね? 私が気づいていることに」

恋「実に大胆な企みでしたが、さすがに通りません。ここで終わりです」

すみれ「ううっ」
 
26: (あら) 2022/02/19(土) 20:03:21.03 ID:C9aFD5RK
かのん「恋ちゃん、どういうことなの?」

恋「まったく、まだ誰も気づいてないんですか?」ヤレヤレ

恋「千砂都さんは手玉に取られたショックもあるでしょうから、まあ仕方ないとして……」

恋「かのんさんと可可さんは注意が足りませんよ。まったく、常に冷静沈着な私がいてよかったですね」

可可「冷静沈着? どういう意味の日本語デスか? ククが知ってるのとは違うみたいデス」

かのん「うーん、学校でエ チなサイトを見ても平気なくらい図太いって意味かな」

可可「おお、なるほど! レンレンのためにできた言葉なわけデスね! ぴったりデス!」

恋「黙りなさい、退学にしますよ! 普通科ごと潰されたいんですか!」

すみれ「それは怖いわねえ」

千砂都「学校ごと潰れちゃうよ?」
 
29: (あら) 2022/02/19(土) 20:07:15.96 ID:C9aFD5RK
恋「ああ、もう! すみれさんの手牌をよく見れば、おかしいことに気づくでしょう!?」

かのん「えー、何かおかしい? ちゃんと九萬単騎で聴牌してるじゃん」

かのん「……って、あれ? これじゃ、あがれなくない?」ン?

可可「本当デス! 何も役がないじゃないデスか!」アー!

可可「すみれのバカ! なんでリーチかけなかったデスか!?」

すみれ「う、うるさいわね! 800点しかないのに、どうやってリーチしろって言うのよ!」

恋「仮にリーチしていたとしても、リーのみですよね。ドラはないし、裏は乗っても3枚です」

恋「後は一発くらいしかありませんが、それでも8000点にしかなりませんよ?」

可可「千砂都を抜いてトップになるどころか、3位にだって届きません!」

かのん「うわっ! ラス確あがりなんて最低じゃん!」

すみれ「うるさいったらうるさいわよ! ここから九萬単騎の四暗刻にする予定だったの!」

恋「現状では二暗刻ですけどね」
 
30: (あら) 2022/02/19(土) 20:10:22.16 ID:C9aFD5RK
すみれ「いいでしょう! 私はこれに賭けたのよ!」

かのん「リーチできないリーのみに何を賭けるの?」

すみれ「役がないとか点数が足りないとかは、勢いで押し切れると思ったのよ!」

可可「そんなの無理に決まってます。やれやれ、これだからグソクムシは」

すみれ「いや、けっこう惜しかったでしょう!?」

恋「確かに惜しかったですね。あと少しというところでした」

恋「千砂都さんの能力の上を行った洞察力や発想も、その後の演技力や度胸も、相当なものです」

恋「ですが、残念でしたね。この葉月恋がいる限り、その企みが成功することはありません!」ドヤァ!

かのん「ふふっ、ドヤ顔してる恋ちゃんも可愛いねえ」

千砂都「そうだね。ちょっと曇らせたい気もするけどね」

恋「というわけで、このまま私がセンターの曲をどんな感じにするかを話し合いましょう」

恋「前のWish Songも素晴らしかったですが、今回は路線を変えて和ロックな感じの曲を――」

可可「ちょっと待つデス」
 
31: (あら) 2022/02/19(土) 20:13:40.05 ID:C9aFD5RK
かのん「そうだよ! なんで恋ちゃんがセンターなの?」

恋「なんでと言われても、それが当然でしょう?」

恋「すみれさんの手は、あがったところで順位には何の影響もありません」

恋「そして、トップの千砂都さんは先ほど降参を選択しました」

恋「ほら、2位の私が繰り上がりでトップになる以外の展開がありますか? ないでしょう?」

かのん「ぐぬぬ、そう言われるとそんな気がしてきた……」

可可「かのん、騙されてはいけません!」

恋「騙すとは人聞きが悪いですね」

すみれ「まあ騙すってのはあれだけど、恋がトップってのは都合がよすぎない?」

すみれ「勢いで終わらそうとした私が言うのもなんだけど、まだ南四局は終わってないでしょ?」

千砂都「それに、これを私が言うのはちょっとあれだけど、麻雀に降参とかないよね?」

恋「ですが、このまま続行するわけにもいかないでしょう? 牌を晒している人もいるわけですし……」

チクレカス「「「「「……うーん」」」」」
 
32: (あら) 2022/02/19(土) 20:16:41.63 ID:C9aFD5RK
可可「でしたら、こうしましょう!」

可可「これから半荘を5回やって、その合計ポイントで勝負を決めるんデス!」

可可「25000点持ちの30000点返しで、ウマは10-20でいいデスか?」

かのん「5回ってことは、可可ちゃんもやるってこと?」

可可「はい! 後ろから見てたら、ククもやりたくなりました! 5人が順番に抜けましょう」

千砂都「え? でも可可ちゃんは前のライブでセンターだったから、次は違うはずでしょ?」

恋「そうですよ。これまでだって、同じ人が連続でやらないようにしてたじゃないですか!」

可可「なんとなくそうしてましたけど、別に連続でやったっていいでしょう?」

可可「みなさんだって、できるなら連続でセンターをやりたいデスよね?」

かのん「まあ、それはそうだけど……」

可可「つまり、これからはずっとククがセンターなわけデス!」

すみれ「いや、それは許さないわよ?」
 
33: (あら) 2022/02/19(土) 20:19:47.97 ID:C9aFD5RK
可可「それとも、ククに麻雀で負けるのが怖いデスか?」ン?

可可「まあ、ククは麻雀の本場の中国から来ましたからね。怖がるのも仕方ないデス」プププ

千砂都「安い挑発だね。高くつくよ?」

すみれ「中国と日本じゃ、色々とルールが違うでしょうが!」

可可「無問題デス。強者はどんなときでも勝つから強者と呼ぶんデスよ?」

かのん「へえ、自信あるみたいだね。いいよ、乗ってあげる」

恋「そうですね。私も異存はありません」

恋「ですが、この半荘はどういう扱いにするんですか?」

可可「んー、エキシビジョンってことでいいデスか?」

可可「トップ目だった千砂都は降参しちゃいましたし、最後にすごかったすみれは結局は最下位デスしね」

千砂都「私はそれでいいよ」

すみれ「ええ、私も」
 
34: (あら) 2022/02/19(土) 20:23:01.35 ID:C9aFD5RK
可可「じゃあ、始めましょう! 最初は誰が抜けますか?」

千砂都「私が抜けるよ。さっきの半荘を反省して、まるまるサークルと向き合う時間が欲しいんだ」

恋「千砂都さんが最初なら、五十音順に抜けていくということでいいですかね」

かのん「いいんじゃない? どうせ、みんな同じだけやるんだしさ」

すみれ「さあ、可可! 席に着きなさい! ぐうの音も出ないくらいコテンパンにしてやるわ!」

かのん「まだ可可ちゃんだけはどんな能力なのか分かんないけど、ちょうどいいハンデだよね」

可可「ククの神盲牌を見せてやります! 伊達に衣装とステージの作製を担当してませんよ!」

恋「神盲牌ですか。その技の使い手がまだいたとは驚きですね。相手にとって不足なしです」

すみれ「さあ、楽しい楽しい麻雀の始まりよ!」

すみれ「サイコロまわして頭もまわすわ!」

〇神盲牌
https://i.imgur.com/GsPF5r0.jpg
https://i.imgur.com/kvxbDEj.jpg
〇轟盲牌
https://i.imgur.com/VTww81H.jpg
 
35: (あら) 2022/02/19(土) 20:32:53.02 ID:C9aFD5RK
終わりです
なお、点数の推移は以下のようになっていました。

        恋    すみれ   かのん  千砂都
       25000   25000   25000   25000
東1     -2600   +5200   -1300   -1300
       22400   30200   23700   23700
東2     +8000   -8000      0      0
       30400   22200   23700   23700
東3     -2000   +9000   -5000   -2000
       28400   31200   18700   21700
東4     -1000   -1000   -1000   +3000
       27400   30200   17700   24700
東4-1      0   +13300  -13300      0
       27400   43500    4400   24700
南1     -5000   +9000   -2000   -2000
       22400   52500    2400   22700
南2    +12000   -12000      0      0
       34400   40500    2400   22700
南3     -6000   -6000   +18000   -6000
       28400    34500   20400   16700
南3-1   -1100    -1100   +3300   -1100
       27300    33400   23700   15600
南3-2      0   -32600      0   +32600
       27300     800   23700   48200
南4
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1645263410/

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