3: (たこやき) 2023/06/18(日) 13:58:08.33 ID:NlpuBC8a
花帆「犯人は──この中にいる!!」ビシッ
梢「花帆さん?その格好は……」
花帆「あ、梢センパイ!」
花帆「実はですね、今あたしの中で密かに探偵ブームが咲き誇っているんですよ!」ブルーム!
梢「全く隠せていないのだけれど……」
梢「なるほどね。それで鹿撃ち帽やインバネスコートに身を包んでいるわけね」
花帆「そうなんです!似合ってますか?」クルクルクル-
梢「ええ、とても。まず形から入ってしまうところが花帆さんらしくて愛おしいわね」
花帆「えへへ~」テレテレ
梢「花帆さん?その格好は……」
花帆「あ、梢センパイ!」
花帆「実はですね、今あたしの中で密かに探偵ブームが咲き誇っているんですよ!」ブルーム!
梢「全く隠せていないのだけれど……」
梢「なるほどね。それで鹿撃ち帽やインバネスコートに身を包んでいるわけね」
花帆「そうなんです!似合ってますか?」クルクルクル-
梢「ええ、とても。まず形から入ってしまうところが花帆さんらしくて愛おしいわね」
花帆「えへへ~」テレテレ
4: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:01:03.63 ID:NlpuBC8a
梢「で、でも……どうして花帆さんは探偵にハマったのかしら?」
花帆「それはですねー、さやかちゃんとのミステリー談義のときに……あ!もっと前から話しますね」
花帆「あたし、配信でよく『ハリー・ポッター』の話をするんですよ」
梢「そうね。花帆さんの個人配信では話題に上りやすい作品よね」
花帆「それである日、ファンのみんなとハリポタ談義に花が咲いて、気づけばイギリスの児童文学の話にまで広がっていたんですよ」
花帆「ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』やA・A・ミルンの『くまのプーさん』、アユム・ウエハラの『いやあ!わたしを離さないで』」
花帆「そして……」
梢「コナン・ドイルの……」
こずかほ「『シャーロック・ホームズ』!」
花帆「さやかちゃんが推理小説好きって聞いてたから、ミステリーの話とかしたり、本を貸してもらったりしてたんです」
花帆「そしたらもうドハマりしちゃって!図書室にあるホームズ作品、端から端まで全部読破しちゃいました!」
梢「なるほどね……。花帆さんの探偵ブームにはそんな経緯があったわけね?」
花帆「はい!どんな迷宮入りの謎だって……」
花帆「この"名探偵カホームズ"がすべて解き明かしちゃうよ!」ドヤッ
梢「…………はあ、やはり似るものね」
花帆「へ?梢センパイ?」
梢「い、いえ!なんでもないわ……!」
花帆「それはですねー、さやかちゃんとのミステリー談義のときに……あ!もっと前から話しますね」
花帆「あたし、配信でよく『ハリー・ポッター』の話をするんですよ」
梢「そうね。花帆さんの個人配信では話題に上りやすい作品よね」
花帆「それである日、ファンのみんなとハリポタ談義に花が咲いて、気づけばイギリスの児童文学の話にまで広がっていたんですよ」
花帆「ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』やA・A・ミルンの『くまのプーさん』、アユム・ウエハラの『いやあ!わたしを離さないで』」
花帆「そして……」
梢「コナン・ドイルの……」
こずかほ「『シャーロック・ホームズ』!」
花帆「さやかちゃんが推理小説好きって聞いてたから、ミステリーの話とかしたり、本を貸してもらったりしてたんです」
花帆「そしたらもうドハマりしちゃって!図書室にあるホームズ作品、端から端まで全部読破しちゃいました!」
梢「なるほどね……。花帆さんの探偵ブームにはそんな経緯があったわけね?」
花帆「はい!どんな迷宮入りの謎だって……」
花帆「この"名探偵カホームズ"がすべて解き明かしちゃうよ!」ドヤッ
梢「…………はあ、やはり似るものね」
花帆「へ?梢センパイ?」
梢「い、いえ!なんでもないわ……!」
5: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:02:50.54 ID:NlpuBC8a
花帆「謎、どこかに落ちてないかなー?」
梢「推理したくてうずうずしているのね、かわいいわ」
花帆「そうなんです!いざ探偵やってみようと思い立ったのに、肝心の事件が起きないんですよー!」
梢「事件、ねえ……。平和に越したことはないと思うのだけれど」
花帆「ですよね……やっぱり探偵は廃業します……」オフゥ
梢「ま、待って!諦めるのが早すぎないかしら!?」
花帆「かっこいい探偵なんて所詮はフィクションです……。猫探しと浮気調査の依頼しか来ないのが現実ですよ……」
梢「……花帆さん!そうそう、ひとつ"謎"があったわ」
花帆「えっ!ほんとですか!?」オンッ!
梢「ええ」
梢「……これは数日前、クラスメイトの子が教室でしていた話よ」
花帆「はい!」ワクワク
梢「推理したくてうずうずしているのね、かわいいわ」
花帆「そうなんです!いざ探偵やってみようと思い立ったのに、肝心の事件が起きないんですよー!」
梢「事件、ねえ……。平和に越したことはないと思うのだけれど」
花帆「ですよね……やっぱり探偵は廃業します……」オフゥ
梢「ま、待って!諦めるのが早すぎないかしら!?」
花帆「かっこいい探偵なんて所詮はフィクションです……。猫探しと浮気調査の依頼しか来ないのが現実ですよ……」
梢「……花帆さん!そうそう、ひとつ"謎"があったわ」
花帆「えっ!ほんとですか!?」オンッ!
梢「ええ」
梢「……これは数日前、クラスメイトの子が教室でしていた話よ」
花帆「はい!」ワクワク
6: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:05:09.45 ID:NlpuBC8a
梢「そのクラスメイト──仮に〈Aさん〉と呼称するわね」
梢「ある夜のこと。Aさんが寮の自室でお友達と電話していると、窓の外で、"なにか"が落ちてきたの」
梢「落下したそれはかなりの重さだったみたいで、地面にぶつかった衝撃で大きな音がしたそうよ」
花帆「あ!その音、あたしも聞いたかも」
梢「その時Aさんは、人が落ちたと思い、窓から様子を確認しようと試みたのだけれど……」
梢「ご存知の通り、窓には"鉄格子"がハメられており、下の方は覗くことができなかった」
花帆「ですよね~」
梢「不安になったAさんはすぐに自室を飛び出し、寮の裏手へと回って音の正体を探ろうとしたわ。そうしたら……」
梢「──そこには、"ダンボール箱"があったのよ」
花帆「ダンボール……?」
梢「落下した物体がただのダンボール箱だとわかり、胸を撫で下ろしたAさんは自室へと戻ったわ」
梢「でも、後になってから考えてみると、それは絶対にありえない状況だったのよ」
花帆「え、そうですか?誰かがうっかり、窓から落としたんじゃ……」
梢「そうね、物を落とすなら窓しかないわ。けど寮の窓には鉄格子がハメられているでしょう」
梢「その落下した箱は……とてもじゃないけれど、鉄格子の隙間を通せるサイズではなかったそうよ」
花帆「!つまり、ダンボールは……」
梢「〈鉄格子をすり抜けた〉──ということになるわね」
花帆「えええええーーー!?謎だーーー!!」
梢「ある夜のこと。Aさんが寮の自室でお友達と電話していると、窓の外で、"なにか"が落ちてきたの」
梢「落下したそれはかなりの重さだったみたいで、地面にぶつかった衝撃で大きな音がしたそうよ」
花帆「あ!その音、あたしも聞いたかも」
梢「その時Aさんは、人が落ちたと思い、窓から様子を確認しようと試みたのだけれど……」
梢「ご存知の通り、窓には"鉄格子"がハメられており、下の方は覗くことができなかった」
花帆「ですよね~」
梢「不安になったAさんはすぐに自室を飛び出し、寮の裏手へと回って音の正体を探ろうとしたわ。そうしたら……」
梢「──そこには、"ダンボール箱"があったのよ」
花帆「ダンボール……?」
梢「落下した物体がただのダンボール箱だとわかり、胸を撫で下ろしたAさんは自室へと戻ったわ」
梢「でも、後になってから考えてみると、それは絶対にありえない状況だったのよ」
花帆「え、そうですか?誰かがうっかり、窓から落としたんじゃ……」
梢「そうね、物を落とすなら窓しかないわ。けど寮の窓には鉄格子がハメられているでしょう」
梢「その落下した箱は……とてもじゃないけれど、鉄格子の隙間を通せるサイズではなかったそうよ」
花帆「!つまり、ダンボールは……」
梢「〈鉄格子をすり抜けた〉──ということになるわね」
花帆「えええええーーー!?謎だーーー!!」
7: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:09:09.67 ID:NlpuBC8a
花帆「ダンボールをすり抜けさせた方法……ちくわだ……」
花帆「むむむ……鉄格子を外すのは無理だよね……。上からダンボールを落とすには……超能力、もしくは魔法だったり?」
花帆「あ、あの!答えは結局なんだったんですか!?」ワクワク
梢「……あなたが推理するんじゃなかったの?」
花帆「あっ、そうでした……。この謎、あたしが解き明かしてみせます!」
梢「ふふっ。頼もしいわね、探偵さん」
花帆「よーし!まずは第一発見者のAさんに聴き込みだー!」
花帆「……って、そのAさんが誰なのかすらわからない!」
梢「その子は私のクラスメイトよ。寮の部屋番号も知っているわ」
花帆「あ、そっか!じゃあ梢センパイ、あたしの謎解きに協力してもらえませんか!?」
梢「ええ、そのつもりよ」
花帆「ありがとうございます!それじゃあ改めまして、調査開始──」
梢「練習は?」
花帆「……へ?」
梢「練習よ。来週にはライブが控えているでしょう?」
花帆「はい……。もちろんライブが優先ですよね……やっぱり探偵は廃業だあ……」オフゥ
梢「ふふ、心配ないわ。こういう時はね、両立してしまえばいいのよ」
花帆「両立って……?」
梢「」ニコニコ
花帆「センパイ?……笑顔が怖いんですけど?!」
花帆「むむむ……鉄格子を外すのは無理だよね……。上からダンボールを落とすには……超能力、もしくは魔法だったり?」
花帆「あ、あの!答えは結局なんだったんですか!?」ワクワク
梢「……あなたが推理するんじゃなかったの?」
花帆「あっ、そうでした……。この謎、あたしが解き明かしてみせます!」
梢「ふふっ。頼もしいわね、探偵さん」
花帆「よーし!まずは第一発見者のAさんに聴き込みだー!」
花帆「……って、そのAさんが誰なのかすらわからない!」
梢「その子は私のクラスメイトよ。寮の部屋番号も知っているわ」
花帆「あ、そっか!じゃあ梢センパイ、あたしの謎解きに協力してもらえませんか!?」
梢「ええ、そのつもりよ」
花帆「ありがとうございます!それじゃあ改めまして、調査開始──」
梢「練習は?」
花帆「……へ?」
梢「練習よ。来週にはライブが控えているでしょう?」
花帆「はい……。もちろんライブが優先ですよね……やっぱり探偵は廃業だあ……」オフゥ
梢「ふふ、心配ないわ。こういう時はね、両立してしまえばいいのよ」
花帆「両立って……?」
梢「」ニコニコ
花帆「センパイ?……笑顔が怖いんですけど?!」
8: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:11:29.21 ID:NlpuBC8a
―寮(2階)―
二階堂「あれ、乙宗さんだ」
梢「突然押しかけてごめんなさい」
梢「花帆さん。こちらが二階堂さんよ」
花帆「はじめ、まして……!あなたが……Aさん……!」フンフン
二階堂「……Aさん?」
梢「実はね、二階堂さんが話していたダンボール箱の話を、こちらの日野下さんが詳しく聴きたいそうなのよ」
二階堂「ダンボール……あー、あれか。鉄格子をすり抜けたやつね」
花帆「……はい……!話、を……聴かせて、くださ、い……!」フンフン
二階堂「う、うん。それはいいんだけどさ」
二階堂「……なんで二人ともスクワットしてるの?」
花帆「練習と……謎解き…………の、両立……です……!」フンフン
二階堂「筋トレする探偵とか怖いんだけど」
梢「次はニートゥーエルボー、10セットよ」
花帆「はい!」
二階堂「うん、とりあえず中入って。お願いだから部屋の前でニートゥーエルボーしないで!」
花帆「おじゃ、まー、しま、すー!」フンフン
二階堂「だから筋トレやめて!あと動きの過程で靴脱がないで!」
二階堂「あれ、乙宗さんだ」
梢「突然押しかけてごめんなさい」
梢「花帆さん。こちらが二階堂さんよ」
花帆「はじめ、まして……!あなたが……Aさん……!」フンフン
二階堂「……Aさん?」
梢「実はね、二階堂さんが話していたダンボール箱の話を、こちらの日野下さんが詳しく聴きたいそうなのよ」
二階堂「ダンボール……あー、あれか。鉄格子をすり抜けたやつね」
花帆「……はい……!話、を……聴かせて、くださ、い……!」フンフン
二階堂「う、うん。それはいいんだけどさ」
二階堂「……なんで二人ともスクワットしてるの?」
花帆「練習と……謎解き…………の、両立……です……!」フンフン
二階堂「筋トレする探偵とか怖いんだけど」
梢「次はニートゥーエルボー、10セットよ」
花帆「はい!」
二階堂「うん、とりあえず中入って。お願いだから部屋の前でニートゥーエルボーしないで!」
花帆「おじゃ、まー、しま、すー!」フンフン
二階堂「だから筋トレやめて!あと動きの過程で靴脱がないで!」
9: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:13:24.20 ID:NlpuBC8a
―二階堂の部屋―
花帆「わあ~!これが上級生の部屋……!」
二階堂「そんなに珍しい?」
花帆「センパイの部屋に入ること自体が初めてなので、なんだか新鮮です!」
梢「そうだったの……。あ、今度……私の部屋に……」
花帆「あの、二階堂センパイ!事件が起こったのはいつ頃ですか?」
二階堂「いつだっけなあ……。たぶん5日前ぐらい?」
花帆「5日前……」メモメモ
二階堂「夜、えーっと何時だったかは忘れたけど……急に外からドーン!!って音がしたの!」
花帆「ドーン……ですか?」
二階堂「そうそう。普段からドンドンって音が鳴ったりしてるんだけど、その日はとびきりでかくて!」
二階堂「それでびっくりして窓の外を見たんだけどさ、なにが落ちたかまではわかんなかったわけよ」
花帆「この窓ですよね」ヒョイ
花帆「うーん……ほんとだ。鉄格子が邪魔して、下の方は死角になってますね~」
二階堂「めちゃくちゃ怖くない? 外に重たい物が降ってきたのに、それが何か見えないんだよ??」
二階堂「もしかして人かもって思って……確認しに行くのも怖かったけどさー……この目で確かめないことには眠れないし」
梢「……だから、裏手に」
二階堂「そうそう。あ、見に行ってみる?」
花帆「はい!行きたいです!」
花帆「わあ~!これが上級生の部屋……!」
二階堂「そんなに珍しい?」
花帆「センパイの部屋に入ること自体が初めてなので、なんだか新鮮です!」
梢「そうだったの……。あ、今度……私の部屋に……」
花帆「あの、二階堂センパイ!事件が起こったのはいつ頃ですか?」
二階堂「いつだっけなあ……。たぶん5日前ぐらい?」
花帆「5日前……」メモメモ
二階堂「夜、えーっと何時だったかは忘れたけど……急に外からドーン!!って音がしたの!」
花帆「ドーン……ですか?」
二階堂「そうそう。普段からドンドンって音が鳴ったりしてるんだけど、その日はとびきりでかくて!」
二階堂「それでびっくりして窓の外を見たんだけどさ、なにが落ちたかまではわかんなかったわけよ」
花帆「この窓ですよね」ヒョイ
花帆「うーん……ほんとだ。鉄格子が邪魔して、下の方は死角になってますね~」
二階堂「めちゃくちゃ怖くない? 外に重たい物が降ってきたのに、それが何か見えないんだよ??」
二階堂「もしかして人かもって思って……確認しに行くのも怖かったけどさー……この目で確かめないことには眠れないし」
梢「……だから、裏手に」
二階堂「そうそう。あ、見に行ってみる?」
花帆「はい!行きたいです!」
10: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:16:24.81 ID:NlpuBC8a
―寮(裏手)―
花帆「わー、いろんな雑草が生えてますね」
梢「あまり手入れはされていないのね」
二階堂「そりゃまあ、こんなとこ滅多に来ないでしょ」
二階堂「来るとしたら……落とし物したか、ダンボールが降ってきたときぐらいだろうし」
梢「……確かにそうね?」
花帆「あ、あはは……」
二階堂「ちょうどこの辺りかな。ほら、きれいに地面が凹んでるでしょ?」
花帆「ほんとだ!ダンボールだから四角い跡が残ってるんですね。写真撮ろう~」カシャ
梢「…………」
花帆「梢センパイ?」
梢「ねえ、二階堂さん。件のダンボール箱がどこにも見当たらないのだけれど」
花帆「あっ、ほんとだ!鉄格子に通せるかどうか検証したかったのに……」
二階堂「たぶん、持って帰ったんじゃないかな」
梢「持って帰った……?」
二階堂「……あ、そっか。これはまだ言ってなかったっけ」
二階堂「5日前の夜──ダンボールが落下したときなんだけどさ」
二階堂「私が裏手に来て間もなく、後ろから"誰か"が走って来たんだよね」
花帆「え!?」
梢「……」
花帆「わー、いろんな雑草が生えてますね」
梢「あまり手入れはされていないのね」
二階堂「そりゃまあ、こんなとこ滅多に来ないでしょ」
二階堂「来るとしたら……落とし物したか、ダンボールが降ってきたときぐらいだろうし」
梢「……確かにそうね?」
花帆「あ、あはは……」
二階堂「ちょうどこの辺りかな。ほら、きれいに地面が凹んでるでしょ?」
花帆「ほんとだ!ダンボールだから四角い跡が残ってるんですね。写真撮ろう~」カシャ
梢「…………」
花帆「梢センパイ?」
梢「ねえ、二階堂さん。件のダンボール箱がどこにも見当たらないのだけれど」
花帆「あっ、ほんとだ!鉄格子に通せるかどうか検証したかったのに……」
二階堂「たぶん、持って帰ったんじゃないかな」
梢「持って帰った……?」
二階堂「……あ、そっか。これはまだ言ってなかったっけ」
二階堂「5日前の夜──ダンボールが落下したときなんだけどさ」
二階堂「私が裏手に来て間もなく、後ろから"誰か"が走って来たんだよね」
花帆「え!?」
梢「……」
11: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:19:36.06 ID:NlpuBC8a
花帆「誰かって……?」
二階堂「月明かりでぼんやりしてたけど、この寮の住人だと思うよ。私と同じ方向から来たし」
梢「……そうね、二階堂さんと同じく、様子を見に来る人がいても不思議ではないわね」
二階堂「でさ、その人が『荷物を落としちゃっただけ』って言うから、どうやら事件じゃないんだとわかって安心したわけよ」
二階堂「私は先に部屋に戻ったから知らないけど、きっとその後、その人が自分のダンボールを回収したんだろうね」
花帆「ダンボール……かいしゅう……」
花帆「はっ!閃いたかも!?」
梢「あら!早くも花帆さんの推理を披露してもらえるのかしら?」
花帆「はい!」
花帆「──あたしが思うに、その謎の人物はリフォーム会社の人なんですよ!」
梢「……んん?」
花帆「屋上の改修作業中に、ついうっかり、荷物を入れた重たいダンボールを下に落としちゃったんです!」
梢「うっかりでは済まない事故なのだけれど……」
花帆「これなら二階堂センパイの証言とも辻褄が合いますよね?」
花帆「そう!ダンボールは鉄格子をすり抜けたわけじゃなく、屋上から落下したんです!」
二階堂「月明かりでぼんやりしてたけど、この寮の住人だと思うよ。私と同じ方向から来たし」
梢「……そうね、二階堂さんと同じく、様子を見に来る人がいても不思議ではないわね」
二階堂「でさ、その人が『荷物を落としちゃっただけ』って言うから、どうやら事件じゃないんだとわかって安心したわけよ」
二階堂「私は先に部屋に戻ったから知らないけど、きっとその後、その人が自分のダンボールを回収したんだろうね」
花帆「ダンボール……かいしゅう……」
花帆「はっ!閃いたかも!?」
梢「あら!早くも花帆さんの推理を披露してもらえるのかしら?」
花帆「はい!」
花帆「──あたしが思うに、その謎の人物はリフォーム会社の人なんですよ!」
梢「……んん?」
花帆「屋上の改修作業中に、ついうっかり、荷物を入れた重たいダンボールを下に落としちゃったんです!」
梢「うっかりでは済まない事故なのだけれど……」
花帆「これなら二階堂センパイの証言とも辻褄が合いますよね?」
花帆「そう!ダンボールは鉄格子をすり抜けたわけじゃなく、屋上から落下したんです!」
12: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:22:17.92 ID:NlpuBC8a
二階堂「……まあ、その説は真っ先に考えたけどさ」
花帆「えっ」
二階堂「実はね、落下があったのは寮の消灯時間後の話なんだよ」
梢「遅い時間ね……。明かりもない真っ暗闇の中、屋上に上がる人はいないでしょうね」
花帆「た、確かに……あたしが音を聞いたのも、寝る直前だったような……」
花帆「……でもあれ?二階堂センパイ、その時間はお友達と電話していたんじゃ……」
二階堂「私、毎日12時ぐらいまで電話してるんだよねー。寮母さんにバレないよう、隠れながらね」
花帆「えー!そんなことしてたら目が悪くなりますよ!」
梢「心配するのそこかしら……?」
花帆「うう、屋上説は潰れました……探偵への夢も潰えたり……」オフゥ
梢「……」
梢「ねえ、二階堂さん」
梢「ダンボールの持ち主を名乗ったその人物は、あなたの上の階の住人だと思うのだけれど……どうかしら?」
二階堂「んー、まあそうなるよね。3階か4階か……」
花帆「顔は見たんですよね?」
二階堂「見たけどさー……上の階の住人が誰かなんて知らないよ」
二階堂「騒音トラブルでも起きない限り、上下の部屋とは関わんないでしょ」
花帆「言われてみれば、あたしも知らないや……」
花帆「えっ」
二階堂「実はね、落下があったのは寮の消灯時間後の話なんだよ」
梢「遅い時間ね……。明かりもない真っ暗闇の中、屋上に上がる人はいないでしょうね」
花帆「た、確かに……あたしが音を聞いたのも、寝る直前だったような……」
花帆「……でもあれ?二階堂センパイ、その時間はお友達と電話していたんじゃ……」
二階堂「私、毎日12時ぐらいまで電話してるんだよねー。寮母さんにバレないよう、隠れながらね」
花帆「えー!そんなことしてたら目が悪くなりますよ!」
梢「心配するのそこかしら……?」
花帆「うう、屋上説は潰れました……探偵への夢も潰えたり……」オフゥ
梢「……」
梢「ねえ、二階堂さん」
梢「ダンボールの持ち主を名乗ったその人物は、あなたの上の階の住人だと思うのだけれど……どうかしら?」
二階堂「んー、まあそうなるよね。3階か4階か……」
花帆「顔は見たんですよね?」
二階堂「見たけどさー……上の階の住人が誰かなんて知らないよ」
二階堂「騒音トラブルでも起きない限り、上下の部屋とは関わんないでしょ」
花帆「言われてみれば、あたしも知らないや……」
13: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:26:12.89 ID:NlpuBC8a
花帆「とにかく、3階と4階の人に当たってみるしかなさそうですね」
梢「……そうね」
二階堂「じゃ、私はお役御免ってことで。謎が解けたら教えてね~」
花帆「はい!必ず解明してみせますから!」
梢「……最後にひとつ、訊いてもいいかしら」
二階堂「ん、なに?」
梢「あなたが見たというダンボールの持ち主──その人の行動に、どこか不自然な点はなかった?」
二階堂「不自然……」
梢「例えば、『なにかを探していた』……だとか」
二階堂「んー……あ、そういえば!」
二階堂「その人……ダンボールを浮かせて、やたらと下を確認していたような……」
二階堂「普通、中を確認するもんだと思ってたからさ、ちょっと不思議だったんだよね」
梢「……そう。ありがとね」
花帆「梢センパイ、なにか気になることでもあるんですか?」
梢「い、いえ、なんでもないわ。今は花帆さんが探偵だものね……」
梢「さ、聴き込みに行きましょう」
花帆「?……はい!」
梢「……そうね」
二階堂「じゃ、私はお役御免ってことで。謎が解けたら教えてね~」
花帆「はい!必ず解明してみせますから!」
梢「……最後にひとつ、訊いてもいいかしら」
二階堂「ん、なに?」
梢「あなたが見たというダンボールの持ち主──その人の行動に、どこか不自然な点はなかった?」
二階堂「不自然……」
梢「例えば、『なにかを探していた』……だとか」
二階堂「んー……あ、そういえば!」
二階堂「その人……ダンボールを浮かせて、やたらと下を確認していたような……」
二階堂「普通、中を確認するもんだと思ってたからさ、ちょっと不思議だったんだよね」
梢「……そう。ありがとね」
花帆「梢センパイ、なにか気になることでもあるんですか?」
梢「い、いえ、なんでもないわ。今は花帆さんが探偵だものね……」
梢「さ、聴き込みに行きましょう」
花帆「?……はい!」
14: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:28:11.70 ID:NlpuBC8a
―寮(3階)―
―三船の部屋―
花帆「部屋に上げてくれて、ありがとうございます!」
三船「だ、だって……部屋の前に逆立ちコンビがいたら、周りになんて思われるか……!」
梢「3階に住んでいる三船さん、よね」
三船「……そうですが。なんの用ですか」
花帆「あの!今ですね、とある謎を調査しているところでして、三船センパイから少しお話が聴きたいんです」
三船「……もしかして、下から聴こえてくる音のことですか?」
花帆「はい!ずばりそれです!」
梢「ちょっと、花帆さん!?」
三船「やっぱり……。毎晩毎晩、12時あたりまで下から騒音がして、全然眠れないんですよ……!ほんと、いい迷惑です!」
花帆「へ……騒音?」
三船「あまりに喧しいから床をドンドン踏み鳴らしても、一向に止む気配もなく……もう私、頭おかしくなりそうで……」
花帆「あ、いや……」
三船「あなたたち、調査してるってことは……騒音問題を解決してくれるってことですよね?一刻も早く、下の階の人に注意してやってください!」
花帆「えっと……あの、その……」
―三船の部屋―
花帆「部屋に上げてくれて、ありがとうございます!」
三船「だ、だって……部屋の前に逆立ちコンビがいたら、周りになんて思われるか……!」
梢「3階に住んでいる三船さん、よね」
三船「……そうですが。なんの用ですか」
花帆「あの!今ですね、とある謎を調査しているところでして、三船センパイから少しお話が聴きたいんです」
三船「……もしかして、下から聴こえてくる音のことですか?」
花帆「はい!ずばりそれです!」
梢「ちょっと、花帆さん!?」
三船「やっぱり……。毎晩毎晩、12時あたりまで下から騒音がして、全然眠れないんですよ……!ほんと、いい迷惑です!」
花帆「へ……騒音?」
三船「あまりに喧しいから床をドンドン踏み鳴らしても、一向に止む気配もなく……もう私、頭おかしくなりそうで……」
花帆「あ、いや……」
三船「あなたたち、調査してるってことは……騒音問題を解決してくれるってことですよね?一刻も早く、下の階の人に注意してやってください!」
花帆「えっと……あの、その……」
15: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:30:06.59 ID:NlpuBC8a
梢「ごめんなさい。ご近所トラブルに関しては、当人間で話し合うか、寮母さんに相談してみてちょうだい」
三船「はあ……。なんですかあなたたち、冷やかしにでも来たんですか?まったく……」
花帆「」ジー
三船「……なんですか、興味あるんですか?ボトルシップに」
花帆「これ、センパイが作ったんですか!?すごいですね!」
三船「え、ええ……まあ」
花帆「ビンの中に、こんな大きな船があるなんて……!どうやったんですか!?」
三船「……そんなに難しくないですよ。細長いピンセットをビンの口から挿れて、中で組み立てるだけです。ボトルの外だろうと中だろうと、作業の要領は同じですから」
花帆「へー!あたしにもできるかな~」
三船「あ、よかったら今度、作り方を……」
梢「花帆さん。ここに来た目的を忘れていないかしら……?」
花帆「え……あっ!わ、忘れてませんよ、もちろん!」
花帆「三船センパイ!あたしたちが調べているのは、落下したダンボール箱についてなんです!」
三船「ダンボール……?」
三船「はあ……。なんですかあなたたち、冷やかしにでも来たんですか?まったく……」
花帆「」ジー
三船「……なんですか、興味あるんですか?ボトルシップに」
花帆「これ、センパイが作ったんですか!?すごいですね!」
三船「え、ええ……まあ」
花帆「ビンの中に、こんな大きな船があるなんて……!どうやったんですか!?」
三船「……そんなに難しくないですよ。細長いピンセットをビンの口から挿れて、中で組み立てるだけです。ボトルの外だろうと中だろうと、作業の要領は同じですから」
花帆「へー!あたしにもできるかな~」
三船「あ、よかったら今度、作り方を……」
梢「花帆さん。ここに来た目的を忘れていないかしら……?」
花帆「え……あっ!わ、忘れてませんよ、もちろん!」
花帆「三船センパイ!あたしたちが調べているのは、落下したダンボール箱についてなんです!」
三船「ダンボール……?」
16: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:33:05.77 ID:NlpuBC8a
梢「5日前の話よ。かなり大きな音がしたそうだけれど、三船さんは気がつかなかったみたいね?」
三船「そりゃそうですよ……。だって下の階はいつもうるさいですから」
花帆「あはは……。二階堂センパイ、声大きいもんね……」
梢「……つまり、ダンボールを落としたのは三船さんではないのね?」
三船「なんでそんなことするんですか……。誰かに当たったら大変じゃないですか」
三船「第一、窓には鉄格子があるから無理だと思うんですが」
花帆「ですよねですよね?ほんっと、不可思議なんです!」
梢「三船さん。ここ最近で、なにか変わった出来事はなかったかしら?」
三船「変わったこと……毎晩毎晩、異常にうるさい騒音が鳴り響いてますけど……」
三船「あ!そうです……!」
梢「なにかあったのね?」
三船「"あった"というより、"なくなった"んですけど……」
三船「実はちょっと前まで、寮の裏の森には"怪物"がいたんです……!」
花帆「えええーーー!怪物ーーー!?」
梢「……話してくれるかしら」
三船「はい……。とても恐ろしくて、口にするのも憚られますが、がんばります……!」
三船「そりゃそうですよ……。だって下の階はいつもうるさいですから」
花帆「あはは……。二階堂センパイ、声大きいもんね……」
梢「……つまり、ダンボールを落としたのは三船さんではないのね?」
三船「なんでそんなことするんですか……。誰かに当たったら大変じゃないですか」
三船「第一、窓には鉄格子があるから無理だと思うんですが」
花帆「ですよねですよね?ほんっと、不可思議なんです!」
梢「三船さん。ここ最近で、なにか変わった出来事はなかったかしら?」
三船「変わったこと……毎晩毎晩、異常にうるさい騒音が鳴り響いてますけど……」
三船「あ!そうです……!」
梢「なにかあったのね?」
三船「"あった"というより、"なくなった"んですけど……」
三船「実はちょっと前まで、寮の裏の森には"怪物"がいたんです……!」
花帆「えええーーー!怪物ーーー!?」
梢「……話してくれるかしら」
三船「はい……。とても恐ろしくて、口にするのも憚られますが、がんばります……!」
17: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:34:09.15 ID:NlpuBC8a
三船「消灯後……決まってこの時間に、"それ"は現れるんです……!」
三船「かさかさ……かさ……と、窓の方から聴こえてくるんですよ。夜の帳が下りた頃、かさかさ……なにかが擦れるような音が」
三船「なんの音だろう……?耳を澄ましてみると、どうやらその音は、どんどん大きくなっているらしい……」
三船「かさかさ、かさかさ……段々と近づいてくるじゃあないか」
三船「怖いなあ、怖いなあ……そう思いながらも、好奇心が勝り……私はふいと、窓を見やったんです」
三船「すると……」
花帆「ごくり……」
梢「……」
三船「──ギョ口リ!」
三船「闇夜にギラめく双眸が、こちらをじっと覗いていたんです!!」
花帆「ひゃあ!!」
梢「大丈夫、花帆さん!?」
花帆「は、はい……。ちょっとびっくりしちゃっただけです……」
梢「そう?もし腰が抜けて歩けないなら、私が運んであげるからね」
花帆「いや、いいですいいです!恥ずかしいですから~!」
三船「かさかさ……かさ……と、窓の方から聴こえてくるんですよ。夜の帳が下りた頃、かさかさ……なにかが擦れるような音が」
三船「なんの音だろう……?耳を澄ましてみると、どうやらその音は、どんどん大きくなっているらしい……」
三船「かさかさ、かさかさ……段々と近づいてくるじゃあないか」
三船「怖いなあ、怖いなあ……そう思いながらも、好奇心が勝り……私はふいと、窓を見やったんです」
三船「すると……」
花帆「ごくり……」
梢「……」
三船「──ギョ口リ!」
三船「闇夜にギラめく双眸が、こちらをじっと覗いていたんです!!」
花帆「ひゃあ!!」
梢「大丈夫、花帆さん!?」
花帆「は、はい……。ちょっとびっくりしちゃっただけです……」
梢「そう?もし腰が抜けて歩けないなら、私が運んであげるからね」
花帆「いや、いいですいいです!恥ずかしいですから~!」
19: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:37:26.82 ID:NlpuBC8a
花帆「えっと、それって動物なんですかね?」
三船「ここ3階ですよ?この窓の高さまで届くなんて、化け物しか考えられませんよ」
花帆「そうですか……」
三船「でもですね、ここ最近は化け物の音はしなくなったんです。……うるさくて眠れないのは相変わらずですが」
梢「音がしなくなった……それは何日前から?」
三船「──5日前です」
花帆「!!それって……!」
梢「ダンボール落下の件と、重なるわね?」
花帆「なにか関係があるんでしょうか……?」
梢「……話は十分ね。ありがとう、お時間取らせてしまったわ」
三船「別にいいですよ。調査?がんばってください」
花帆「はい!ありがとうございました!」
ガチャン
梢「次は4階ね」
花帆「……梢センパイ。あたし、わかっちゃいました!」
梢「まあ!もう真相を究明できるのね?」
花帆「はい!……あ、一応4階には行きましょう」
三船「ここ3階ですよ?この窓の高さまで届くなんて、化け物しか考えられませんよ」
花帆「そうですか……」
三船「でもですね、ここ最近は化け物の音はしなくなったんです。……うるさくて眠れないのは相変わらずですが」
梢「音がしなくなった……それは何日前から?」
三船「──5日前です」
花帆「!!それって……!」
梢「ダンボール落下の件と、重なるわね?」
花帆「なにか関係があるんでしょうか……?」
梢「……話は十分ね。ありがとう、お時間取らせてしまったわ」
三船「別にいいですよ。調査?がんばってください」
花帆「はい!ありがとうございました!」
ガチャン
梢「次は4階ね」
花帆「……梢センパイ。あたし、わかっちゃいました!」
梢「まあ!もう真相を究明できるのね?」
花帆「はい!……あ、一応4階には行きましょう」
20: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:39:16.12 ID:NlpuBC8a
―寮(4階)―
梢「ワン、ツー、スリー、フォー」パンパン
花帆「あたし、わかり、ました……!ダンボール、落とした、のは……三船、センパイです!」
梢「そう考える根拠は?」
花帆「まず……どうやって、鉄格子……すり抜け、したか……ですけど!」
花帆「きっと……ボトルシップと、同じ、やり方、なんです!」
花帆「潰した、ダンボールを、持ったまま……鉄格子から、腕出して、窓の外に……そこから、組み立てるん……です!」
梢「なるほどね。鉄格子を通したあとで、ダンボールを組み立てた……と」
花帆「そうです……!」
梢「ハウダニット──鉄格子をすり抜けさせた方法としてはいい発想だと、私も思うわ」
花帆「ほんと、ですか……!?」
梢「……ただ、結論を出すのは、この部屋を調べてからにしましょう」
ガチャ
四方山「……なにか」
梢「四方山さんね。少しお時間いいかしら?」
花帆「今ね、謎の、調査、してるの!」ホッホッ
四方山「ボックスステップ……」
梢「ワン、ツー、スリー、フォー」パンパン
花帆「あたし、わかり、ました……!ダンボール、落とした、のは……三船、センパイです!」
梢「そう考える根拠は?」
花帆「まず……どうやって、鉄格子……すり抜け、したか……ですけど!」
花帆「きっと……ボトルシップと、同じ、やり方、なんです!」
花帆「潰した、ダンボールを、持ったまま……鉄格子から、腕出して、窓の外に……そこから、組み立てるん……です!」
梢「なるほどね。鉄格子を通したあとで、ダンボールを組み立てた……と」
花帆「そうです……!」
梢「ハウダニット──鉄格子をすり抜けさせた方法としてはいい発想だと、私も思うわ」
花帆「ほんと、ですか……!?」
梢「……ただ、結論を出すのは、この部屋を調べてからにしましょう」
ガチャ
四方山「……なにか」
梢「四方山さんね。少しお時間いいかしら?」
花帆「今ね、謎の、調査、してるの!」ホッホッ
四方山「ボックスステップ……」
21: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:42:24.58 ID:NlpuBC8a
―四方山の部屋―
花帆「えええーーー!!」
四方山「うるさ」
花帆「ご、ごめん…………けど!」
梢「……あなたがダンボールを落としたのね、四方山さん?」
四方山「だからそう言ってる……。なにか問題でも?」
花帆「あーいや……。急に謎が解決したから、なんだか拍子抜けしちゃって……」
花帆「……って、あたしの推理、外れてた~!廃業だあ……」オフゥ
四方山「なに?感情のジェットコースター?」
梢「都合がいいわ。箱を落とした当人に訊いてみたかったのよ」
梢「あなたはどのようにして、窓からダンボール箱を落としたのかしら?」
四方山「……わからない」
花帆「わからない……って、ええ!?あなたが落としたんじゃ……」
梢「落としたダンボールは、四方山さんの物だったのよね?」
四方山「うん」
梢「それは今、どこにあるのかしら」
四方山「捨てた」
花帆「ええーーー!!捨てたーーー!?」
四方山「耳壊れる……花帆ちゃんだけミュートしたい……」
花帆「えええーーー!!」
四方山「うるさ」
花帆「ご、ごめん…………けど!」
梢「……あなたがダンボールを落としたのね、四方山さん?」
四方山「だからそう言ってる……。なにか問題でも?」
花帆「あーいや……。急に謎が解決したから、なんだか拍子抜けしちゃって……」
花帆「……って、あたしの推理、外れてた~!廃業だあ……」オフゥ
四方山「なに?感情のジェットコースター?」
梢「都合がいいわ。箱を落とした当人に訊いてみたかったのよ」
梢「あなたはどのようにして、窓からダンボール箱を落としたのかしら?」
四方山「……わからない」
花帆「わからない……って、ええ!?あなたが落としたんじゃ……」
梢「落としたダンボールは、四方山さんの物だったのよね?」
四方山「うん」
梢「それは今、どこにあるのかしら」
四方山「捨てた」
花帆「ええーーー!!捨てたーーー!?」
四方山「耳壊れる……花帆ちゃんだけミュートしたい……」
22: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:46:35.77 ID:NlpuBC8a
花帆「んーーー……」
四方山「なにやってるの?」
花帆「鉄格子から腕を通した状態で、ダンボールを組み立てられるか……シュミレーションしてるの!」
梢「……花帆さん。"シミュレーション"ね」
花帆「そう、それです!」
梢「どうかしら。うまく箱にできそう?」
花帆「たぶん大丈夫だと思います。けっこう腕に余裕あるので、組み立てるぐらいならお茶の子さいさいですよ!」
花帆「はうだにっと?は、この方法で解決ですね!」
四方山「……ねえ。あなたたちはどうして探偵ごっこなんてしてるの?」
梢「それはね、そこに謎があるからよ」
四方山「ふーん」
花帆「ん?なんだろう、鉄格子の下の方に擦れた跡が……」
花帆「はっ!もしかして、ノコギリで鉄格子を切ったのかな……!?」
花帆「そしたら取り外しも可能に……」
四方山「やってみる?できるものならね」
花帆「……やめとく」
梢「……」
四方山「なにやってるの?」
花帆「鉄格子から腕を通した状態で、ダンボールを組み立てられるか……シュミレーションしてるの!」
梢「……花帆さん。"シミュレーション"ね」
花帆「そう、それです!」
梢「どうかしら。うまく箱にできそう?」
花帆「たぶん大丈夫だと思います。けっこう腕に余裕あるので、組み立てるぐらいならお茶の子さいさいですよ!」
花帆「はうだにっと?は、この方法で解決ですね!」
四方山「……ねえ。あなたたちはどうして探偵ごっこなんてしてるの?」
梢「それはね、そこに謎があるからよ」
四方山「ふーん」
花帆「ん?なんだろう、鉄格子の下の方に擦れた跡が……」
花帆「はっ!もしかして、ノコギリで鉄格子を切ったのかな……!?」
花帆「そしたら取り外しも可能に……」
四方山「やってみる?できるものならね」
花帆「……やめとく」
梢「……」
23: (たこやき) 2023/06/18(日) 14:57:39.39 ID:NlpuBC8a
花帆「うーん…………」
花帆「せっかく落とした張本人は見つけられたのに、捜査は行き詰まっちゃった……」
花帆「ねえ!どうやって箱を落としたの?ダンボール箱の中にはなにが入ってたの?」
四方山「……知らない」
花帆「ダメだぁ……。事件は迷宮入り……」
花帆「」グー
梢「……あら」
花帆「や、違うんです!なんか、近江町市場を思い出して……お腹が反応しちゃって……」
梢「近江町市場、ねぇ……」
四方山「……」
花帆「事件の全貌はまったく見えてきませんけど……」
花帆「なにも答えてくれないなら、ここにいてもどうしようもないですね」
梢「そうね……。四方山さん、お邪魔したわ」
花帆「まったねー!」
四方山「はあ……もう来なくていいよ」
梢「…………」
梢「──あなたはそれでいいの?」
四方山「!!」
花帆「ん……?センパイ、どうかしましたか?」
梢「なんでもないわ。さ、行きましょう」
四方山「っ……」
花帆「せっかく落とした張本人は見つけられたのに、捜査は行き詰まっちゃった……」
花帆「ねえ!どうやって箱を落としたの?ダンボール箱の中にはなにが入ってたの?」
四方山「……知らない」
花帆「ダメだぁ……。事件は迷宮入り……」
花帆「」グー
梢「……あら」
花帆「や、違うんです!なんか、近江町市場を思い出して……お腹が反応しちゃって……」
梢「近江町市場、ねぇ……」
四方山「……」
花帆「事件の全貌はまったく見えてきませんけど……」
花帆「なにも答えてくれないなら、ここにいてもどうしようもないですね」
梢「そうね……。四方山さん、お邪魔したわ」
花帆「まったねー!」
四方山「はあ……もう来なくていいよ」
梢「…………」
梢「──あなたはそれでいいの?」
四方山「!!」
花帆「ん……?センパイ、どうかしましたか?」
梢「なんでもないわ。さ、行きましょう」
四方山「っ……」
24: (たこやき) 2023/06/18(日) 15:08:09.17 ID:NlpuBC8a
―グラウンド―
タッタッタッ
梢「いいペースよ」
花帆「はあ、はあ……はい!」
梢「ねえ、花帆さん!」
花帆「なんですかー!」
梢「こうして運動していると、頭によく血が巡って思考が円滑になるでしょう?」
花帆「そ、そうですかね……?はあ……疲れて、それどころじゃ……はあ」
花帆「……あ」
梢「なにか思いついた?」
花帆「はい……!」
花帆「なんで四方山ちゃんが、ダンボール箱を落としたか、ずっと考えてたんですけど……」
花帆「もしかして……脱走を試みたんじゃないですか?」
梢「……いつしかの花帆さんみたいに?」
花帆「あ、あたしは正々堂々と正面突破しましたよ!」
梢「胸を張るところではないと思うのだけれど……」
タッタッタッ
梢「いいペースよ」
花帆「はあ、はあ……はい!」
梢「ねえ、花帆さん!」
花帆「なんですかー!」
梢「こうして運動していると、頭によく血が巡って思考が円滑になるでしょう?」
花帆「そ、そうですかね……?はあ……疲れて、それどころじゃ……はあ」
花帆「……あ」
梢「なにか思いついた?」
花帆「はい……!」
花帆「なんで四方山ちゃんが、ダンボール箱を落としたか、ずっと考えてたんですけど……」
花帆「もしかして……脱走を試みたんじゃないですか?」
梢「……いつしかの花帆さんみたいに?」
花帆「あ、あたしは正々堂々と正面突破しましたよ!」
梢「胸を張るところではないと思うのだけれど……」
26: (たこやき) 2023/06/18(日) 15:22:37.94 ID:NlpuBC8a
花帆「ダンボールに入れていたのは、きっと四方山ちゃんの私物なんですよ!」
花帆「荷物だけ先に降ろして、その後回収しに行ったんです!」
梢「……」
花帆「ほら、覚えてますか?四方山ちゃんの部屋って、二階堂センパイや三船センパイと比べて、物が少なかった気がするんです」
梢「……そうねぇ。確かに生活感は薄かったわ」
花帆「そうですよ!あの部屋の荷物の少なさは、脱走を考えてたに違いありません!」
梢「……脱走を考えているのに、四方山さんは荷物を移動させて数日経った今も、学校にいるのね」
花帆「それは……。二階堂さんに気づかれて、計画を中断している……とか?」
梢「人に見つかっただけで中断する計画なら、4階から重い荷物を落とし、音が鳴ってバレるようなリスクは避けるのではないかしら」
花帆「う、うう……」
梢「ほら、コートがよれてるわ」キュッ
花帆「うう、梢センパイー……!もうあたしにはわかりません……!」
花帆「やっぱり、探偵なんて向いてなかったんです……」
梢「……」
梢「今日の練習はここまで。部室に戻りましょう」
花帆「え?はい……」
花帆「荷物だけ先に降ろして、その後回収しに行ったんです!」
梢「……」
花帆「ほら、覚えてますか?四方山ちゃんの部屋って、二階堂センパイや三船センパイと比べて、物が少なかった気がするんです」
梢「……そうねぇ。確かに生活感は薄かったわ」
花帆「そうですよ!あの部屋の荷物の少なさは、脱走を考えてたに違いありません!」
梢「……脱走を考えているのに、四方山さんは荷物を移動させて数日経った今も、学校にいるのね」
花帆「それは……。二階堂さんに気づかれて、計画を中断している……とか?」
梢「人に見つかっただけで中断する計画なら、4階から重い荷物を落とし、音が鳴ってバレるようなリスクは避けるのではないかしら」
花帆「う、うう……」
梢「ほら、コートがよれてるわ」キュッ
花帆「うう、梢センパイー……!もうあたしにはわかりません……!」
花帆「やっぱり、探偵なんて向いてなかったんです……」
梢「……」
梢「今日の練習はここまで。部室に戻りましょう」
花帆「え?はい……」
27: (たこやき) 2023/06/18(日) 15:32:49.11 ID:NlpuBC8a
―部室―
梢「気持ちが落ち着く紅茶よ」
花帆「ありがとうございます……」グビビ
花帆「はあ……ちょっとリラックスできました~」
梢「それはよかったわ」フフ
花帆「……よーし!休憩もできたし、もう一度捜査に行ってきま──」
梢「その必要はないわ」
花帆「…………」
花帆「えっと、梢センパイ……?それってどういう……」
梢「……『日の下に新しきものなし』」
花帆「あ、ホームズの……」
梢「すべての事件は、過去を顧れば必ず解き明かせるわ」
花帆「……?」
梢「ごめんなさい、回りくどい言い方になったけれど……つまり、こういうことよ」
梢「花帆さん。あなたはすでに、真相に辿り着くだけの証拠を集めているわ」
花帆「え……えええーーーーー!?」
梢「ここからは、謎解きの時間よ」
梢「……紅茶が冷めないうちに、ね?」
梢「気持ちが落ち着く紅茶よ」
花帆「ありがとうございます……」グビビ
花帆「はあ……ちょっとリラックスできました~」
梢「それはよかったわ」フフ
花帆「……よーし!休憩もできたし、もう一度捜査に行ってきま──」
梢「その必要はないわ」
花帆「…………」
花帆「えっと、梢センパイ……?それってどういう……」
梢「……『日の下に新しきものなし』」
花帆「あ、ホームズの……」
梢「すべての事件は、過去を顧れば必ず解き明かせるわ」
花帆「……?」
梢「ごめんなさい、回りくどい言い方になったけれど……つまり、こういうことよ」
梢「花帆さん。あなたはすでに、真相に辿り着くだけの証拠を集めているわ」
花帆「え……えええーーーーー!?」
梢「ここからは、謎解きの時間よ」
梢「……紅茶が冷めないうちに、ね?」
30: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:16:02.11 ID:NlpuBC8a
―寮(4階)―
四方山「また……。今度はなに?」
花帆「……四方山ちゃん。事件、すべて解けたよ!」
四方山「はあ……そう」
四方山「で、なんで私に報告?2階に住んでる人が真相を知りたがってるんじゃ」
梢「いいえ。あなたこそ、真相──いえ、後日談を知るべきでしょ?」
四方山「!!」
花帆「あたし、時間をかけた割に、捜査は全然ダメだったけど……」
花帆「じゃじゃん!見て見て!」
四方山「……写真?」
花帆「うん!あたし、ちゃんとカメラに証拠を残してたんだ!」
花帆「でね、この写真……寮の裏の、凹んだ草むらを撮った写真なんだけどさ」
花帆「最初見たときは気づかなかったけど……これ、すごく変なんだよ!」
四方山「……どこが?ダンボールが落ちて草が踏み潰されたんでしょ」
花帆「ううん。雑草ってね、一度踏まれたぐらいじゃへこたれないんだ。倒れてもちゃんと起き上がるの!」
花帆「でもこの写真の草は、ダンボールの跡がはっきりわかるくらい、倒れたまま……。普段から押し潰されてないとこうはならないよ」
梢「と、いうことは」
花帆「……ダンボール箱はあの夜、突然現れて、落ちてきたわけじゃなく……」
花帆「ずっとずっと、寮の裏に置いてあったんだよ!」
四方山「また……。今度はなに?」
花帆「……四方山ちゃん。事件、すべて解けたよ!」
四方山「はあ……そう」
四方山「で、なんで私に報告?2階に住んでる人が真相を知りたがってるんじゃ」
梢「いいえ。あなたこそ、真相──いえ、後日談を知るべきでしょ?」
四方山「!!」
花帆「あたし、時間をかけた割に、捜査は全然ダメだったけど……」
花帆「じゃじゃん!見て見て!」
四方山「……写真?」
花帆「うん!あたし、ちゃんとカメラに証拠を残してたんだ!」
花帆「でね、この写真……寮の裏の、凹んだ草むらを撮った写真なんだけどさ」
花帆「最初見たときは気づかなかったけど……これ、すごく変なんだよ!」
四方山「……どこが?ダンボールが落ちて草が踏み潰されたんでしょ」
花帆「ううん。雑草ってね、一度踏まれたぐらいじゃへこたれないんだ。倒れてもちゃんと起き上がるの!」
花帆「でもこの写真の草は、ダンボールの跡がはっきりわかるくらい、倒れたまま……。普段から押し潰されてないとこうはならないよ」
梢「と、いうことは」
花帆「……ダンボール箱はあの夜、突然現れて、落ちてきたわけじゃなく……」
花帆「ずっとずっと、寮の裏に置いてあったんだよ!」
31: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:19:41.89 ID:NlpuBC8a
四方山「……だったらなに?」
花帆「そう!そう思うよね?!あたしも同じ反応だったよ!」
花帆「でもね、梢センパイがあたしの思考を導いてくれたんだ!」
梢「それほどのことはしていないわ。花帆さんがすごいだけよ」
花帆「いえ、センパイのおかげでたどり着けたんですよ!」
四方山「……で、続きは?」
花帆「うん。地面にあったダンボール……かなり重たいんだよね。これがどうして、高いところから落ちてきたのか……」
花帆「答えは、これしか考えられないよね」
花帆「そう!ダンボール箱は──四方山ちゃんによって、持ち上げられていたから!」
四方山「……」
花帆「……四方山ちゃんの部屋の、鉄格子さ。線みたいな擦れた跡があったよね?」
花帆「あれはきっと、ロープかなにかの痕跡だったんだよ!」
四方山「……さあ、どうだろうね」
花帆「四方山ちゃんはたぶんだけど、4階の窓からロープを手繰り、ダンボール箱を持ち上げることを習慣にしていたんじゃないかな」
花帆「で、あの夜。ロープがほどけ、4階からダンボールが落下してしまった……」
花帆「……今までの証拠と照らし合わせてみたら、辻褄は合ってるよね」
四方山「はあ。矛盾はしてないかもしれない。けどなんで、私がそんなことする必要があるの?」
花帆「うんうん!変だよね、重いダンボールをロープで持ち上げる習慣なんて!」
花帆「これを……えっと」
梢「ホワイダニットね」
花帆「そう、ほわいだにっと!」
花帆「この事件の本当の謎はね、ダンボールを落下させた方法じゃなかったんだ!」
花帆「『Why done it?』──"なぜダンボールを持ち上げる必要があったのか?"なんだよ!」
花帆「そう!そう思うよね?!あたしも同じ反応だったよ!」
花帆「でもね、梢センパイがあたしの思考を導いてくれたんだ!」
梢「それほどのことはしていないわ。花帆さんがすごいだけよ」
花帆「いえ、センパイのおかげでたどり着けたんですよ!」
四方山「……で、続きは?」
花帆「うん。地面にあったダンボール……かなり重たいんだよね。これがどうして、高いところから落ちてきたのか……」
花帆「答えは、これしか考えられないよね」
花帆「そう!ダンボール箱は──四方山ちゃんによって、持ち上げられていたから!」
四方山「……」
花帆「……四方山ちゃんの部屋の、鉄格子さ。線みたいな擦れた跡があったよね?」
花帆「あれはきっと、ロープかなにかの痕跡だったんだよ!」
四方山「……さあ、どうだろうね」
花帆「四方山ちゃんはたぶんだけど、4階の窓からロープを手繰り、ダンボール箱を持ち上げることを習慣にしていたんじゃないかな」
花帆「で、あの夜。ロープがほどけ、4階からダンボールが落下してしまった……」
花帆「……今までの証拠と照らし合わせてみたら、辻褄は合ってるよね」
四方山「はあ。矛盾はしてないかもしれない。けどなんで、私がそんなことする必要があるの?」
花帆「うんうん!変だよね、重いダンボールをロープで持ち上げる習慣なんて!」
花帆「これを……えっと」
梢「ホワイダニットね」
花帆「そう、ほわいだにっと!」
花帆「この事件の本当の謎はね、ダンボールを落下させた方法じゃなかったんだ!」
花帆「『Why done it?』──"なぜダンボールを持ち上げる必要があったのか?"なんだよ!」
32: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:21:21.71 ID:NlpuBC8a
四方山「……その理由はわかったの?」
花帆「ううん!さっぱり!」
四方山「はあ!?」
花帆「これかなー?と思う推理はあるんだけど、あたしの妄想だーって言われたらそこまでだからさ……」
花帆「できれば、四方山ちゃん本人から聞きたいなって」
四方山「……」
花帆「四方山ちゃんは嘘はつかないと思うんだ。だから、四方山ちゃんが真相を話してくれたら、それは間違いなく真実なんだよ!」
四方山「……言えない」
梢「どうしても……?」
四方山「うん……」
花帆「そっか……」
花帆「じゃあ、あたしの妄想だけど……聞いてもらっていいかな」
花帆「あ、違うかったら違うって言ってね?」
四方山「……わかった」
花帆「ロープに吊り下げたおもり……これってある物の構造に似てるんだよね」
花帆「あたしもね?蓮ノ空に来たら毎日乗れるってワクワクしてたんだけど……まああるわけないよね」
花帆「機械で制御されたハイテク装置。でも、人力で再現するのは容易かったんだ」
花帆「四方山ちゃんはさ、ダンボールのおもりを利用して……」
花帆「〈エレベーター〉にしていたんじゃないかな?」
花帆「ううん!さっぱり!」
四方山「はあ!?」
花帆「これかなー?と思う推理はあるんだけど、あたしの妄想だーって言われたらそこまでだからさ……」
花帆「できれば、四方山ちゃん本人から聞きたいなって」
四方山「……」
花帆「四方山ちゃんは嘘はつかないと思うんだ。だから、四方山ちゃんが真相を話してくれたら、それは間違いなく真実なんだよ!」
四方山「……言えない」
梢「どうしても……?」
四方山「うん……」
花帆「そっか……」
花帆「じゃあ、あたしの妄想だけど……聞いてもらっていいかな」
花帆「あ、違うかったら違うって言ってね?」
四方山「……わかった」
花帆「ロープに吊り下げたおもり……これってある物の構造に似てるんだよね」
花帆「あたしもね?蓮ノ空に来たら毎日乗れるってワクワクしてたんだけど……まああるわけないよね」
花帆「機械で制御されたハイテク装置。でも、人力で再現するのは容易かったんだ」
花帆「四方山ちゃんはさ、ダンボールのおもりを利用して……」
花帆「〈エレベーター〉にしていたんじゃないかな?」
33: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:22:25.66 ID:NlpuBC8a
花帆「エレベーター、昇降機……人や物を上下に運搬する装置……」
花帆「四方山ちゃんは、エレベーターを使って、一体なにを運搬していたんだろう?」
花帆「……そのヒントは、下の階の住人から聞いた証言にあったんだ」
四方山「!」
花帆「2階の二階堂さんによると……」
花帆「ダンボール落下の夜。駆けつけた四方山ちゃんは、ダンボール箱の中ではなく、下側をしきりに確認していたらしい」
花帆「3階の三船さんによると……」
花帆「なにかが擦れるような音や、窓から怪物のようなものが覗いていることがあったけど、ダンボール落下の日以来はすっかりなくなったとか」
花帆「他にもあるよ。四方山ちゃんの部屋からはね、海鮮のにおいがしたんだ」
花帆「部屋であたしが近江町市場を思い出したのも、たぶん魚介類のにおいが原因だと思うんだ」
花帆「あと……これは気のせいかもしれないけど、ダンボールの跡が残っていた現場付近には、フンがたくさんあった気がするの」
花帆「動物は自分の縄張りにマーキングするからね。きっと、寮の裏手に通い詰めていたんだよ」
花帆「……ここから、あたしが導き出した考えは」
花帆「四方山ちゃんは毎晩、お手製エレベーターを使って森にいる動物を4階まで上げ、エサの海鮮を与えていた……んじゃないかなぁ?」
花帆「四方山ちゃんは、エレベーターを使って、一体なにを運搬していたんだろう?」
花帆「……そのヒントは、下の階の住人から聞いた証言にあったんだ」
四方山「!」
花帆「2階の二階堂さんによると……」
花帆「ダンボール落下の夜。駆けつけた四方山ちゃんは、ダンボール箱の中ではなく、下側をしきりに確認していたらしい」
花帆「3階の三船さんによると……」
花帆「なにかが擦れるような音や、窓から怪物のようなものが覗いていることがあったけど、ダンボール落下の日以来はすっかりなくなったとか」
花帆「他にもあるよ。四方山ちゃんの部屋からはね、海鮮のにおいがしたんだ」
花帆「部屋であたしが近江町市場を思い出したのも、たぶん魚介類のにおいが原因だと思うんだ」
花帆「あと……これは気のせいかもしれないけど、ダンボールの跡が残っていた現場付近には、フンがたくさんあった気がするの」
花帆「動物は自分の縄張りにマーキングするからね。きっと、寮の裏手に通い詰めていたんだよ」
花帆「……ここから、あたしが導き出した考えは」
花帆「四方山ちゃんは毎晩、お手製エレベーターを使って森にいる動物を4階まで上げ、エサの海鮮を与えていた……んじゃないかなぁ?」
34: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:24:33.76 ID:NlpuBC8a
花帆「ど、どうかな?どこが違うか教えてくれたら嬉しいけど……」
四方山「…………」
花帆「あ!まさか全部違ってた!?やっぱりダンボールで筋トレが正解──」
四方山「合ってるよ、全部」
花帆「え、ダンボールで筋トレ!?」
四方山「違う!」
梢「あなたは毎晩、動物をエレベーターで上げ、かわいがっていたのね?」
四方山「……うん。勝手にエサあげてるとかバレたら、寮母さんに怒られそうで……」
花帆「うそ……ほ、ほんとに!?あたしの推理に合わせてない??」
四方山「私は嘘つかないって言ったの、花帆ちゃんでしょ」
花帆「そ、そっか……」
四方山「あ、でも一つだけ違う」
四方山「動物じゃない。……まる太郎」
花帆「まる太郎?」
四方山「丸太みたいに太いから、まる太郎」
四方山「できるなら、うちの部屋で飼いたかったけど……」
四方山「まる太郎は、鉄格子を通れなかったから」
花帆「それでエレベーターを……」
四方山「…………」
花帆「あ!まさか全部違ってた!?やっぱりダンボールで筋トレが正解──」
四方山「合ってるよ、全部」
花帆「え、ダンボールで筋トレ!?」
四方山「違う!」
梢「あなたは毎晩、動物をエレベーターで上げ、かわいがっていたのね?」
四方山「……うん。勝手にエサあげてるとかバレたら、寮母さんに怒られそうで……」
花帆「うそ……ほ、ほんとに!?あたしの推理に合わせてない??」
四方山「私は嘘つかないって言ったの、花帆ちゃんでしょ」
花帆「そ、そっか……」
四方山「あ、でも一つだけ違う」
四方山「動物じゃない。……まる太郎」
花帆「まる太郎?」
四方山「丸太みたいに太いから、まる太郎」
四方山「できるなら、うちの部屋で飼いたかったけど……」
四方山「まる太郎は、鉄格子を通れなかったから」
花帆「それでエレベーターを……」
35: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:26:43.73 ID:NlpuBC8a
四方山「最初は、偶然だった」
四方山「私の寮暮らしを心配した母親が、大量の海鮮を送りつけてきて……」
四方山「私はもう自立してたし、こんなのいらない!って、窓から魚を捨ててやったの」
四方山「でも、腐って変なにおいしたらいやだから、思い直して寮の裏まで回収しに行った」
四方山「……そこで、まる太郎と出会った」
花帆「……魚、食べてたの?」
四方山「うん。目を充血させて食い荒らしてた」
梢「獰猛なのね……」
四方山「次の日の夜、私はロープの先にザルをつけて、そこに魚を載せて窓から降ろしてみた」
四方山「しばらく振動があった後、上げてみたら、ザルの魚はきれいになくなってた」
四方山「それからは毎日、自分の部屋から魚や貝を垂らして、まる太郎に与えていた」
四方山「……そんなある日。いつものように振動が終わって、持ち上げてみたら──」
花帆「……いたんだ、まる太郎!」
四方山「うん……!」
四方山「なんか重いなとは思ってたけど、まさかザルに載ってるとは思わなくてびっくりした」
四方山「なんとか落ちないようにザルを持って、腕がプルプルしてたけど……」
四方山「そのとき初めて、まる太郎と目が合ったの」
四方山「彼はまばたきで、『いつもおいしい魚をくれて、どうもありがとう』と言っていた」
花帆「きゃ、素敵……!」
四方山「その次の日、私はエレベーターを使ってまる太郎を昇降する案を思いつき、実際に作ってみた」
四方山「そしたら意外とうまくいった。まる太郎も素直に載ってくれたし」
四方山「……私とまる太郎は、毎晩逢瀬を重ねた。週末には外出許可を取ってエサの買い出しにも行った」
四方山「私たちは、幸せの中にいた……それなのに……」
四方山「私の寮暮らしを心配した母親が、大量の海鮮を送りつけてきて……」
四方山「私はもう自立してたし、こんなのいらない!って、窓から魚を捨ててやったの」
四方山「でも、腐って変なにおいしたらいやだから、思い直して寮の裏まで回収しに行った」
四方山「……そこで、まる太郎と出会った」
花帆「……魚、食べてたの?」
四方山「うん。目を充血させて食い荒らしてた」
梢「獰猛なのね……」
四方山「次の日の夜、私はロープの先にザルをつけて、そこに魚を載せて窓から降ろしてみた」
四方山「しばらく振動があった後、上げてみたら、ザルの魚はきれいになくなってた」
四方山「それからは毎日、自分の部屋から魚や貝を垂らして、まる太郎に与えていた」
四方山「……そんなある日。いつものように振動が終わって、持ち上げてみたら──」
花帆「……いたんだ、まる太郎!」
四方山「うん……!」
四方山「なんか重いなとは思ってたけど、まさかザルに載ってるとは思わなくてびっくりした」
四方山「なんとか落ちないようにザルを持って、腕がプルプルしてたけど……」
四方山「そのとき初めて、まる太郎と目が合ったの」
四方山「彼はまばたきで、『いつもおいしい魚をくれて、どうもありがとう』と言っていた」
花帆「きゃ、素敵……!」
四方山「その次の日、私はエレベーターを使ってまる太郎を昇降する案を思いつき、実際に作ってみた」
四方山「そしたら意外とうまくいった。まる太郎も素直に載ってくれたし」
四方山「……私とまる太郎は、毎晩逢瀬を重ねた。週末には外出許可を取ってエサの買い出しにも行った」
四方山「私たちは、幸せの中にいた……それなのに……」
36: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:28:13.42 ID:NlpuBC8a
花帆「ダンボール……落ちちゃったんだね」
四方山「……落ちた後、思ったんだ」
四方山「まる太郎が下敷きになったかも!……って」
花帆「それで、落ちたダンボールの下側を入念に見ていたんだもんね……」
四方山「たぶん、まる太郎は無事……と思う」
四方山「けど、あの日から……まる太郎はいなくなった」
四方山「そうだ……大きなダンボールが近くに降ってきたんだから、もう二度と近づかないよ……」
四方山「大丈夫かな、まる太郎……。お腹すいてないかな……寂しくないかな……元気に暮らしてるかな……」
花帆「……なんか、お母さんみたい」
四方山「え……」
花帆「まる太郎のこと、それだけ心配できるんだもん。ほんとに好きだったんだね?愛してたんだね?」
四方山「うん、私はまる太郎が、好きで……」
四方山「──はっ!」
花帆「きっと、四方山ちゃんのお母さんも、四方山ちゃんのことすっごく心配してたんだよ」
梢「娘のために海鮮を送ってくれるだなんて、いいお母さんね?」
四方山「……そっか。そうだったんだ……」
四方山「ごめん……お母さん……」
花帆「……センパイ」
梢「ちょ、ちょっと待って頂戴……。えー、写真はどこから見られるの……」
花帆「ああ!あたしがやります!」
四方山「……?」
四方山「……落ちた後、思ったんだ」
四方山「まる太郎が下敷きになったかも!……って」
花帆「それで、落ちたダンボールの下側を入念に見ていたんだもんね……」
四方山「たぶん、まる太郎は無事……と思う」
四方山「けど、あの日から……まる太郎はいなくなった」
四方山「そうだ……大きなダンボールが近くに降ってきたんだから、もう二度と近づかないよ……」
四方山「大丈夫かな、まる太郎……。お腹すいてないかな……寂しくないかな……元気に暮らしてるかな……」
花帆「……なんか、お母さんみたい」
四方山「え……」
花帆「まる太郎のこと、それだけ心配できるんだもん。ほんとに好きだったんだね?愛してたんだね?」
四方山「うん、私はまる太郎が、好きで……」
四方山「──はっ!」
花帆「きっと、四方山ちゃんのお母さんも、四方山ちゃんのことすっごく心配してたんだよ」
梢「娘のために海鮮を送ってくれるだなんて、いいお母さんね?」
四方山「……そっか。そうだったんだ……」
四方山「ごめん……お母さん……」
花帆「……センパイ」
梢「ちょ、ちょっと待って頂戴……。えー、写真はどこから見られるの……」
花帆「ああ!あたしがやります!」
四方山「……?」
37: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:28:59.98 ID:NlpuBC8a
花帆「見て見て!はい、まる太郎!」
四方山「!?ま、まる太郎……!!」
四方山「これ、いつ……!?」
梢「ついさっきよ」
四方山「生きてたんだ……!あ、でも……ちょっと痩せてる……」
梢「違うわ!元々が太りすぎてたのよ」
四方山「え……でも、たぬきはこれぐらいの大きさじゃ……」
花帆「この子、カワウソだよ!」
四方山「……カワウソ!?」
梢「四方山さんは一年生だから知らなかったのね?」
花帆「このカワウソちゃん……まる太郎はね、生徒会で飼ってるペットなんだよ!」
四方山「そ、そうだったの……?私、知らなくて……」
四方山「カワウソかぁ……。確かに、たぬきはお魚食べないか……」
四方山「…………ふふ。太りすぎだよ、まる太郎」
梢「……これで一件落着、ね?」
花帆「ですね!」
四方山「!?ま、まる太郎……!!」
四方山「これ、いつ……!?」
梢「ついさっきよ」
四方山「生きてたんだ……!あ、でも……ちょっと痩せてる……」
梢「違うわ!元々が太りすぎてたのよ」
四方山「え……でも、たぬきはこれぐらいの大きさじゃ……」
花帆「この子、カワウソだよ!」
四方山「……カワウソ!?」
梢「四方山さんは一年生だから知らなかったのね?」
花帆「このカワウソちゃん……まる太郎はね、生徒会で飼ってるペットなんだよ!」
四方山「そ、そうだったの……?私、知らなくて……」
四方山「カワウソかぁ……。確かに、たぬきはお魚食べないか……」
四方山「…………ふふ。太りすぎだよ、まる太郎」
梢「……これで一件落着、ね?」
花帆「ですね!」
38: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:29:56.33 ID:NlpuBC8a
翌日
―部室―
さやか「へー、それはすごい推理でしたね。カホームズの初事件解決、お見事!」
花帆「そうなのそうなの!あたしの灰色の脳細胞が輝いていたの!」
さやか「それはアガサ・クリスティの方では……」
花帆「あ、でもね。推理が冴え渡りはじめたのは、梢センパイの紅茶を飲んでからなんだよねー」
花帆「なんか、すごく賢くなった気がして……!センパイと話している間に、どんどん推理が湧いてきたの!」
梢「あら、それは不思議ねぇ」
花帆「梢センパイ!捜査とか紅茶とか、いろいろ協力してもらってありがとうございました!」
梢「ふふ。私はただ、紅茶を淹れて、花帆さんの思考をまとめただけよ」
花帆「そのおかげで解決できたんです!本当にありがとうございます!」
さやか「花帆さんはすでに、その衣装に見合う探偵ですね!」
花帆「えへへ~」テレテレ
綴理「…………」
―部室―
さやか「へー、それはすごい推理でしたね。カホームズの初事件解決、お見事!」
花帆「そうなのそうなの!あたしの灰色の脳細胞が輝いていたの!」
さやか「それはアガサ・クリスティの方では……」
花帆「あ、でもね。推理が冴え渡りはじめたのは、梢センパイの紅茶を飲んでからなんだよねー」
花帆「なんか、すごく賢くなった気がして……!センパイと話している間に、どんどん推理が湧いてきたの!」
梢「あら、それは不思議ねぇ」
花帆「梢センパイ!捜査とか紅茶とか、いろいろ協力してもらってありがとうございました!」
梢「ふふ。私はただ、紅茶を淹れて、花帆さんの思考をまとめただけよ」
花帆「そのおかげで解決できたんです!本当にありがとうございます!」
さやか「花帆さんはすでに、その衣装に見合う探偵ですね!」
花帆「えへへ~」テレテレ
綴理「…………」
39: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:30:43.53 ID:NlpuBC8a
花帆「あ、忘れてた!二階堂さんに事件の真相を伝える約束してたんだった!」
花帆「行くよ、ワト村くん」
さやか「…………」
さやか「え、わたしですか!?」
花帆「もちろん!ほら、行こう!」
さやか「わわ!待ってください~!」
バタバタバタ
綴理「いいの、こず?」
梢「なにがかしら?」
綴理「こずが昔、『紅茶探偵』だったこと……かほに言わないの?」
梢「それは昔の話よ……。花帆さんには絶対に秘密にするんだから!」
綴理「また見たいな。シャーロット・ホーコズ」
梢「もう、綴理!二度とその名で呼ばないで!!」
綴理「あ、照れてる」
梢「はあ……最悪の黒歴史を握られているわ……」
花帆「行くよ、ワト村くん」
さやか「…………」
さやか「え、わたしですか!?」
花帆「もちろん!ほら、行こう!」
さやか「わわ!待ってください~!」
バタバタバタ
綴理「いいの、こず?」
梢「なにがかしら?」
綴理「こずが昔、『紅茶探偵』だったこと……かほに言わないの?」
梢「それは昔の話よ……。花帆さんには絶対に秘密にするんだから!」
綴理「また見たいな。シャーロット・ホーコズ」
梢「もう、綴理!二度とその名で呼ばないで!!」
綴理「あ、照れてる」
梢「はあ……最悪の黒歴史を握られているわ……」
40: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:32:00.40 ID:NlpuBC8a
綴理「でも、大丈夫?探偵活動なんかして」
梢「今の探偵は私じゃなく、花帆さんよ」
梢「忌まわしき紅茶探偵は……もういないの」
綴理「……そっか」
ガチャ
花帆「センパイセンパイ!やっぱり梢センパイと綴理センパイも来てください!」
さやか「ああ、花帆さん……!先輩方にご迷惑が……」
綴理「やったー。行く行くー」
さやか「え、いいんですか……?」
綴理「もち。こずもおいで」
梢「……はあ、わかったわ」
花帆「それじゃあ行きましょう!」
梢(探偵か……いつぶりかしら?)
梢「……ふふっ」
梢「しばらく、退屈しなそうね♪」
終
梢「今の探偵は私じゃなく、花帆さんよ」
梢「忌まわしき紅茶探偵は……もういないの」
綴理「……そっか」
ガチャ
花帆「センパイセンパイ!やっぱり梢センパイと綴理センパイも来てください!」
さやか「ああ、花帆さん……!先輩方にご迷惑が……」
綴理「やったー。行く行くー」
さやか「え、いいんですか……?」
綴理「もち。こずもおいで」
梢「……はあ、わかったわ」
花帆「それじゃあ行きましょう!」
梢(探偵か……いつぶりかしら?)
梢「……ふふっ」
梢「しばらく、退屈しなそうね♪」
終
41: (たこやき) 2023/06/18(日) 18:35:48.31 ID:NlpuBC8a
紅茶探偵シリーズの記念すべき一作目です。
全10話構成なのですが、今回のコンペティションのために特別に第一話を投稿致しました。
今後も単話毎かまとめてかで投稿していこうと思います。
人が死なないミステリ、どうぞご堪能あれ。
全10話構成なのですが、今回のコンペティションのために特別に第一話を投稿致しました。
今後も単話毎かまとめてかで投稿していこうと思います。
人が死なないミステリ、どうぞご堪能あれ。
47: (SB-Android) 2023/06/19(月) 07:48:36.91 ID:hiaH+Wc1
面白かった
続編に期待
続編に期待
42: (もんじゃ) 2023/06/18(日) 18:39:18.57 ID:BYTQO6Ne
氷菓てきなイメージかしら
楽しみ
楽しみ
43: (光) 2023/06/18(日) 22:02:18.45 ID:5pu7704z
素晴らしい作品ね
残り9話、楽しみにしているわ
残り9話、楽しみにしているわ
44: (しまむら) 2023/06/18(日) 23:57:08.66 ID:YlfxLbgJ
おだれられてる花帆ちゃんかわいい
引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1687064109/