かすみ 「かすみんは学びます!」【ラブライブ!SS】jo

かすみん SS


1: 2020/12/18(金) 23:56:52.01 ID:2XrqTpAv
短編三つ+αの四部構成になっています。
・かすみ 「かすみんは学びます!」
・歩夢 「笑いのレベルが赤ちゃんだから」
・果林 「また迷っちゃったわねぇ」

また、+αである4つ目の作品の題名は、展開上の都合で、三つ書き切るまで秘密とさせていただきます。
よろしくお願いします。

3: 2020/12/19(土) 00:00:02.00 ID:SglJbksM
―かすみ 「かすみんは学びます!」―

かすみ 「せつ菜先輩の眼鏡を無断で盗んじゃいました!」

侑 「また怒られちゃうよ?」

かすみ 「大丈夫です。その代わり新しいメガネを一から作ってせつ菜先輩にプレゼントしましたから!」

愛 「おおっー! さすがかすかすぅー!」

かすみ 「なっ!? かすかすじゃなくて、かすみんですぅ!!」

かすみ (って怒っても愛先輩は懲りもせず繰り返すことを学びました……なので)

かすみ 「愛先輩!」

愛 「えっ? どうしたの?」

4: 2020/12/19(土) 00:00:50.39 ID:SglJbksM
かすみ 「かすかすは使ってる文字の種類は二種類ですよね?」

愛 「そ、そうだけど」

かすみ 「かすみんは四種類ですよね?」

愛 「それがどうかしたの?」

かすみ 「使ってる文字の種類の数が多い方がダジャレのレパートリが増えますよ?」 ニヤリ

愛 「!?」

かすみ 「かすみんって呼んでくれますよね?」

愛 「ふふっ、なるほどね! 愛さん、頭にかかった霞が一気に吹き飛ぶくらいの衝撃を受けたよ!! かすみんだけに!」

かすみ 「それでいいんですよ」 ニヤニヤ

かすみ (こうしてしっかり学んで、対策を講じれば全てうまくいくんです!)

5: 2020/12/19(土) 00:01:34.31 ID:SglJbksM
侑 「なんか分からないけどかすみちゃんが嬉しそうで良かったよ!」 ニコッ

かすみ 「先輩……!」 ウルウル

かすみ (やっぱり先輩は優しいです!)

かすみ 「先輩、大好きっ!!」 ダキッ

侑 「ちょ、かすみちゃん?/// 急に抱きついてくるなんて恥ずかしいよ///」

かすみ 「大好きな先輩にくっつきたいかすみんのわがままを許してください!」

侑 「仕方ないなぁ///」

6: 2020/12/19(土) 00:02:36.89 ID:SglJbksM
?? 「……」 ギロッ

かすみ 「!?」

かすみ (恐ろしい〇気を感じる……!)

歩夢 「侑ちゃん? 何してるの?」 ニコッ

侑 「あっ、歩夢!」

かすみ 「ひぃっ!? く、黒幕!?」 ビクビク

歩夢 「ダメだよかすみちゃん、みんなが見てる前でそんなにくっついてたら勘違いされちゃうよ?」

侑 「勘違い……?」

かすみ 「それはきっと勘違いじゃないですよ!」 ドヤッ

歩夢 「はぁ?」

かすみ 「ひっ!?」

7: 2020/12/19(土) 00:03:28.65 ID:SglJbksM
歩夢 「とりあえず侑ちゃんから離れようよ?」

かすみ 「い、いや離れる気はありません!」 ガクガク

侑 「どうしたのかすみちゃん!? 足が震えてるよ!?」

かすみ 「アイドル震いですよ……」

愛 「武者震い的な?」

かすみ (たとえ歩夢先輩に痛い目に遭わされても、先輩からは離れません!!)

歩夢 「なら仕方ないね。少し強引な手を使っちゃうけど」 トコトコ

かすみ 「ち、近づいてこないでください!?」

8: 2020/12/19(土) 00:04:16.08 ID:SglJbksM
かすみ (考え 、かすみん。ねばれよ、かすみん。諦めるな、かすみん!!)

かすみ (どうにかしてこの状況から抜け出す方法を考えるんだ! 今さっき学ぶことの大切さを学んだばかりじゃないか!)

かすみ 「かすみんは学びます!」

かすみ 「先輩! 歩夢先輩のことどう思ってますか!?」

侑 「えっ? 歩夢のこと?」

歩夢 「!?」

侑 「それはもちろん大好きな親友だよ! 歩夢はずっと前から、そしてずっとこれからも、大切な幼馴染として一緒に歩きたいって思ってるよ」

歩夢 「ゆ、侑ちゃん……///」 カァァ

9: 2020/12/19(土) 00:05:50.80 ID:SglJbksM
かすみ (よし! キザセリフbotの先輩と、すぐ浮かれる歩夢先輩だからこそ、成し得た作戦です! 今のうちに!)

かすみ 「先輩!! 歩夢先輩がモジモジしてるうちに二人でどっか行きましょう!」 ガシッ

侑 「えっ」

歩夢 「でもそれとこれとは話が別だよね」 ガシッ

侑 「えっ」

かすみ 「なっ!? 歩夢先輩も往生際が悪いですよ!!」 ググググ

歩夢 「かすみちゃんこそ、しずかすがあるでしょ?」 ググググ

10: 2020/12/19(土) 00:07:37.70 ID:SglJbksM
かすみ 「しず子は演技に夢中でよくかすみんと他の人の名前を間違えるからなしです!!」 ググググ

歩夢 「ならせつ菜ちゃんとかいるでしょ!」 ググググ

かすみ 「せつ菜先輩はアニメに夢中でよくかすみんとキャラクターの名前を間違えるからなしです!!」 ググググ

歩夢 「かすみちゃんの恋愛基準は名前を間違えないかどうかなの!?」 ググググ

侑 「いたたたたた!!」

愛 「取り合って二人で引っ張り合うなんて映画みたいだ!」

璃奈 「というより大岡裁きかもしれない」 ピョコ

愛 「あっ、りなりー!! えっと、大岡裁きって?」

璃奈 「簡単に説明すると……璃奈ちゃんボード『紙芝居』」

11: 2020/12/19(土) 00:09:33.39 ID:SglJbksM
――大岡裁き――

ある所に子供がいました。
子供の母親は一人ですが、どういうわけなのか、母親を主張する女子が二人いました。
双方共に「わたしこそがこの子の母親よ」と、頑として引かない様子です。

二人の争いはとうとう収まらず、大岡越前の奉行所でついに白黒付ける事になりました。
大岡越前は二人にこう提案しました。
『その子の腕を一本ずつ持ち、それを引っ張り合いなさい。勝った方を母親と認めよう』
その言葉に従い、二人の母親は子供を引っ張り合いました。
当然ながら引っ張られた子供はただではすみません。たまらず「痛い、痛い!」と叫びました。
すると、その声を聞いて哀れに思ったのか、片方の母親が手を離してしまいます。

引っ張り合いは終わり、引っ張りきった方の母親は子供を嬉々として連れて行こうとします。
が、大岡越前はこれを制止します。
『ちょっとまて、その子は手を離したこちらの母親のものだ』
引っ張りきった方の母親は納得がいきません。なんせ、自分は引っ張り合いに勝っているのですから。
当然、こちらの親は食い下がりました。しかし大岡越前は『わたしは「引き寄せた方が勝ち」などとは言っていない。それに、本当の親なら、子が痛いと叫んでいる行為をどうして続けられようか』と言いました。
大岡越前は、母の持つ愛情をしっかり見切ったのでした。
これにて一件落着。

――おしまい――

12: 2020/12/19(土) 00:10:25.18 ID:SglJbksM
愛 「良い話だねぇ」

璃奈 「この状況は大岡裁きにとても酷似してる」

愛 「なら手を離した方が真の愛を持ってるってこと?」

璃奈 「うん」

かすみ 「……」 ググググ

歩夢 「……」 ググググ

かすみ (そんな話を聞いちゃったら)

歩夢 (手を離すしかないよ……)

パッ

侑 「た、助かった……」

14: 2020/12/19(土) 00:11:22.45 ID:SglJbksM
愛 「ありゃ? 同時に手を離しちゃったね」

璃奈 「二人とも愛がある」

歩夢 「ごめんね、侑ちゃん……痛かったよね」

かすみ 「先輩のことを考えないで自分のことばっかり優先して……本当にごめんなさい!」

侑 「二人とも謝らないで……たしかに少し痛かったけど、二人が喧嘩する方がもっと嫌だからさ」 ニコッ

歩夢 「侑ちゃん……!」 パァァ

かすみ 「先輩……!」 パァァ

15: 2020/12/19(土) 00:12:22.25 ID:SglJbksM
ガチャ

せつ菜 「侑さん!!」

侑 「せつ菜ちゃん?」

せつ菜 「以前二人で見に行った映画のイベントが、近くでやってるみたいですよ!! さぁ、行きましょう!!」

歩夢 「二人で見に行った映画?」

かすみ (歩夢先輩、目が笑ってない……!?)

侑 「えっ、あの映画の!? うん! 行こう!」

せつ菜 「では出発です!」 ガシッ

ガチャ

16: 2020/12/19(土) 00:13:24.58 ID:SglJbksM
歩夢 「……」

愛 「あっという間にゆうゆうを連れて行っちゃったね……あんなに取り合ってたのに」

璃奈 「二人とも手繋いでた」

愛 「もう! ゆうゆうはかすみんと歩夢のものなんだよ!! 返せっつの! せっつーだけに!」 ドヤッ

しずく 「やっぱりゆうせつなんだよなぁ」

17: 2020/12/19(土) 00:14:14.32 ID:SglJbksM
ガチャ

せつ菜 「忘れ物しちゃいました!!」

かすみ 「あの……せつ菜先輩」

せつ菜 「はい? なんでしょうか?」

かすみ 「以前は忘れてましたけど、私の名前今は覚えてますか?」

せつ菜 「カスミですよね!! オレンジ髪で覚えてます!」

かすみ 「それはポケモンの方のカスミですよね……カタカナ表記ですし」

\セツナチャーン/

せつ菜 「あっ! 呼ばれてます! すいません、早く行かないと!」

ガチャ

18: 2020/12/19(土) 00:15:37.27 ID:SglJbksM
歩夢 「……」

かすみ 「歩夢先輩……」

歩夢 「ねぇ、かすみちゃん」

かすみ 「な、なんですか」 ドキッ

歩夢 「さっき侑ちゃんを利用して、二人で私から逃げようとしたよね?」 ゴゴゴゴ

かすみ 「ひぃぃ!!」

歩夢 「侑ちゃんが喧嘩するのやめてって言ったからやめたけど、今はもうせつ菜ちゃんと一緒にいなくなっちゃったし……」

かすみ 「うぅ……」 ガクガク

歩夢 「許さないよ?」

19: 2020/12/19(土) 00:17:03.10 ID:SglJbksM
ボキッ

バキッ

ドドドドドドドド

かすみ 「うぎゃぁぁぁぁーーーー!!!」

璃奈 「二人とも愛があった。だからこそ拗れると厄介」

しずく 「私、演技でもここまでの迫力は出せません……! 勉強になります」

愛 「やっぱり呼び名は、かすかすの方がいいよ! 歩夢にボコボコにされてるし!!」

璃奈 (愛さん……辛辣……!)

おわり

20: 2020/12/19(土) 00:20:06.96 ID:SglJbksM
では短編二作目頑張ります。

― 歩夢 「笑いのレベルが赤ちゃんだから」―

かすみ 「おかしくないですか?」

愛 「何が?」

かすみ 「歩夢先輩の発言が、ですよ。だって赤ちゃんってダジャレで笑います?」

愛 「愛さんのダジャレが面白くないってこと?」

かすみ 「いやいやそういうことじゃなくて……赤ちゃんに言葉遊びの笑いが分かりますかね? 変顔とかなら笑うかもですが」

愛 「あーそれはそうかも! 愛さんも親戚の赤ちゃんを笑わせようとしたことがあるけど、すごく大変だったもん! ダジャレをいくら言っても笑わなかったのに、真顔のせっつーを見せたらすぐ笑ったんだ~」

21: 2020/12/19(土) 00:21:19.75 ID:SglJbksM
かすみ 「だから歩夢先輩の発言、少し違和感を感じたんです」

愛 「うーん、言葉の綾だと思うけどなぁ。そんなに気になるなら今日、歩夢をこっそり追跡しちゃおうよ!」

かすみ 「追跡ですか?」

愛 「そうそう! こっそりバレないようにゆっくり、ゆっくり、歩むんだ! 歩夢だけに!」

かすみ 「……」

愛 「……」

かすみ 「……あっ、あの」

愛 「ツボれよ、ほら」(低音)

かすみ 「ひっ」

22: 2020/12/19(土) 00:22:08.40 ID:SglJbksM
かすみ (超怖い顔で睨まれてる……!? やっぱり愛先輩って髪染めてるし怖い人だったんだ……!?) ガクガク

かすみ 「ははは……愛先輩のダジャレ面白いなぁ……」

愛 「でしょーー!!」 ニコッ

かすみ 「そ、それはそれとして、追跡してみるのは良いかもですね! 思い立ったら吉日!! 今日の放課後やってみます!」

愛 「おおっー!! 応援してるよーー、かすかすぅ!」

かすみ 「だからかすかすじゃありません!!」 プンプン






23: 2020/12/19(土) 00:26:31.40 ID:SglJbksM
かすみ 「ってことでこっそり歩夢先輩を追跡しています……!」

かすみ (今日は侑先輩はせつ菜先輩と用事があって、歩夢先輩は一人で帰ってます……! 大岡裁き事件のこともあって、歩夢先輩とはギスギスしていますが、とはいえかすみんは怖気ついたりしません!)

プルプル

歩夢 「電話……? 侑ちゃんかな?」 チラッ

歩夢 「あっ、愛ちゃんだ」

かすみ (愛先輩?)

愛 『あっ、もしもし? 歩夢?』

歩夢 「どうしたの愛ちゃん?」

24: 2020/12/19(土) 00:27:32.12 ID:SglJbksM
愛 『歩夢ゆうゆうの笑いのレベルが赤ちゃんだって言ってたじゃん』

歩夢 「うん、侑ちゃんは本当に笑いのレベルが赤ちゃんだからね」

愛 『かすかすがね、赤ちゃんはダジャレで笑わないのになんであのとき赤ちゃんなんて言葉が出てきたのかって疑問に思っててね』

歩夢 「あー……」

愛 『もしかして理由でもあるのかなって、愛さんも気になっちゃって電話しちゃった!』

歩夢 「うーん、理由は特にないよ。最近侑ちゃんに赤ちゃんのイメージがあって、ふと浮かんできちゃっただけ」

愛 『へぇ……ってなんで赤ちゃんのイメージが?』

25: 2020/12/19(土) 00:28:21.93 ID:SglJbksM
歩夢 「あっ」

愛 『むむむ? 歩夢ちょっと怪しいぞ??』

歩夢 「な、なんでもない、切るね!」 ポチッ

愛 『ちょっと待っ』

ツーツー

歩夢 「危なかったぁ……」

かすみ (遠くてあまり聞き取れませんでしたが、歩夢先輩、少し焦ってる様子ですね)

ピコーン

かすみ 「あれ? 愛先輩からメール?」

26: 2020/12/19(土) 00:29:12.20 ID:SglJbksM
かすかすへ
愛さんなりに探ってみたんだけど、特に理由はないんだって! 強いて言えば、ゆうゆうに赤ちゃんのイメージがあったから……らしい。
でも正直これって怪しいよね?
赤ちゃんのイメージがあるっていうのがそもそも意味が分からないし、焦って電話を切ったのも気になる。
もしかしてかすかすの推理通り、なにかあるのかも……!

かすみ 「赤ちゃんのイメージ? なんですか、それ……。むむ、これは調べ甲斐がありますね」

27: 2020/12/19(土) 00:29:56.11 ID:SglJbksM
かすみ 「とりあえず情報提供もしてくれたし返信しないと。『かすかすじゃなくて、かすみんです!』……と」 ポチポチ

歩夢 「……」 クルッ

かすみ 「あっ、歩夢先輩が動き始めました! 見失わないようにしないと!」

かすみ (ってそこを右折!? 歩夢先輩の家は侑先輩の隣のはずですよね……ならそこは左折ですよ!? つまり、向かってるのは家じゃない? )

かすみ 「歩夢先輩……ますます怪しくなってきました。一体何を隠してるんですか……!」






28: 2020/12/19(土) 00:30:45.55 ID:SglJbksM
歩夢 「……」 トコトコ

かすみ (ってずっと歩夢先輩についていってたら、いつのまにか見知らぬ森の中に入ってましたよ!?)

かすみ 「こんな森の中なんて、何もないはずなのにどうして……」

歩夢 「ここまで来るのは疲れるなぁ……だけどバレたら大変だもんね。仕方ないや」

ガチャ

かすみ 「って小屋がある!? しかも歩夢先輩、中に入っていって……!」

かすみ (こんなの怪しさてんこ盛りじゃないですか! まさか歩夢先輩の赤ちゃんレベル発言から、こんな展開になるなんて……)

29: 2020/12/19(土) 00:31:58.92 ID:SglJbksM
かすみ 「あの小屋の中に歩夢先輩のとんでもない秘密が……! で、でも、もしかすみんがこっそりついてきてたのがバレたらどうなるんでしょうか……」 ガクガク

かすみ 「歩夢先輩、怒ると怖いし……ただでさえ最近の歩夢先輩は侑先輩がせつ菜先輩に取られて機嫌悪いし……」

かすみ (むぅ……やっぱり痛い目にあいたくないし帰ろうかなぁ……)

かすみ (だけど気になるし、愛先輩にも真実を教えてあげたいしなぁ……)

かすみ 「こうなったら当たって砕けろだ!!」

ガチャ

かすみ 「って地下に続く階段!?」

かすみ (真っ暗……)

かすみ 「でも行くしかない!!」






30: 2020/12/19(土) 00:34:11.64 ID:SglJbksM
かすみ 「こ、これは……!」

ガラスのやつ 「ぶくぶく」

かすみ 「よくハリウッド映画とかSF漫画で見る、泡がぶくぶくしてる液体が入ってるガラスのやつだ……!」

かすみ 「これってもしかして、化学実験でもしてるんでしょうか……でも、森の奥地、しかも地下でわざわざする必要があるの?」

かすみ 「ん? 本が落ちてる」 スッ

本 「クローン人間の作り方」

かすみ 「ひっっ!? く、クローン人間の作り方!? な、なんでこんなものが!?」

かすみ 「ま、まさか……侑先輩に赤ちゃんのイメージがあるのって……!」 ガクガク

かすみ (ここでこっそり先輩のクローンを作ってるから!?)

31: 2020/12/19(土) 00:35:01.90 ID:SglJbksM
\オギャーー!/

かすみ 「って赤ちゃんの泣き声!?」

かすみ (あの部屋から声が聞こえました!)

かすみ 「歩夢先輩……! いくらせつ菜先輩に奪われたからってクローンは絶対ダメですよ!! そ、そんなの!」 タタタタ

かすみ (なんの法律に引っかかるかは分かりませんけど、絶対犯罪ですよね!? そんなに先輩のことが好きなんですか!? 歩夢先輩がもし逮捕されたら……悲しむのは侑先輩だけじゃないんですよ!!)

かすみ 「かすみんだって……かすみんだって……!」 タタタタ

かすみ 「歩夢先輩のことが大好きなんですぅ!」

ガチャ

32: 2020/12/19(土) 00:35:51.28 ID:SglJbksM
歩夢 「おーい、よしよしー♪ 」 ナデナデ

人形 「」

テレビ 「オギャーー!」

かすみ 「はっ?」

歩夢 「ってかすみちゃん!?」

かすみ 「こ、これは一体……く、クローンは? 先輩のクローン赤ちゃんは?」

歩夢 「あ、えっと、そ、その」 アタフタ






33: 2020/12/19(土) 00:36:45.66 ID:SglJbksM
かすみ 「ええっ!? 人形ごっこしてた!?」

歩夢 「うん……最近侑ちゃんと距離が遠くなっちゃったからつい……」

かすみ 「で、その赤ちゃんの人形と、赤ちゃんの泣き声の映像ってわけですね」

歩夢 「うん……ちなみにこの映像は侑ちゃんの赤ん坊の頃の映像だよ。こっそり借りてきたんだ」

かすみ 「とりあえず良かったです……いや、良くはないんですけど! 結構犯罪スレスレですけど!? まぁ、それでも、犯罪を犯してなくて本当に良かったです……」 ホッ

歩夢 「かすみちゃんは私を心配してくれたの?」

34: 2020/12/19(土) 00:37:59.81 ID:SglJbksM
かすみ 「そりゃあ心配しますよ!! 歩夢先輩がいなくなっちゃうかもって、本気で思ったんですからね!?」 ウルウル

歩夢 「ごめんね……かすみちゃん……」

かすみ 「うぅ……でも本当に良かったです……」 ポロポロ

歩夢 (まさか、かすみちゃんをここまで心配させちゃうなんて……悪いことしちゃったなぁ。しばらくここに来るのはやめておこう)

かすみ 「歩夢先輩……ギュッとしても良いですか?」 ポロポロ

歩夢 「ギュッ?」

35: 2020/12/19(土) 00:38:40.55 ID:SglJbksM
かすみ 「遠くに行かないようにです!!」 ギュッ

歩夢 「えっ……///」 カァァ

かすみ 「うぅ、しばらく離しませんよ!」

歩夢 「……」

歩夢 (なんだか最近侑ちゃんのことしか考えてなかったけど……抱きしめられるとあったかいなぁ……)

かすみ 「歩夢先輩……!!」 ポロポロ

歩夢 「……」 ナデナデ






36: 2020/12/19(土) 00:39:26.83 ID:SglJbksM
かすみ 「……」 グスッ

歩夢 (泣き止んだかな……?)

かすみ 「歩夢先輩……ワガママ言ってごめんなさい」 パッ

歩夢 「あっ」

歩夢 (ハグ、終わっちゃった……)

かすみ 「ま、まぁ、元々は歩夢先輩が悪いんですけどね!」 プンプン

歩夢 「ふふっ、ごめんね、かすみちゃん」 ニコッ

かすみ 「少しは笑ってないで反省してください! もぅ!」

37: 2020/12/19(土) 00:47:15.45 ID:SglJbksM
歩夢 (かすみちゃん、いつも通りになって良かった)

かすみ 「歩夢先輩……気持ちは分かりますけど、ちょっとは周りのことも考えてください!! 歩夢先輩が侑先輩を心配してるように、スクールアイドル同好会のみんなも歩夢先輩のことを心配してるんですから!」

歩夢 「そっか……みんな、いつも、心配してくれて……」

かすみ 「もちろんです!! それは今までも、そしてこれからも、変わりませんよ!!」

歩夢 「ふふっ、ありがとう、かすみちゃん」

かすみ (これでようやく万事解決ですね! あれ、そういえば……?)

38: 2020/12/19(土) 00:48:06.74 ID:SglJbksM
かすみ 「あのぉ……そういえば、あっちの方でクローン人間についての本がありましたけど……あれは何なんですか?」

歩夢 「クローン人間? あっ、それはね、ふふ、侑ちゃんとの将来を見通してね」

かすみ 「へぇ……」

かすみ (まぁともかく無事解決して良かったです……ってあれ? こんな施設作って、人形ごっこして、将来のためにクローン人間の勉強してるって……)

かすみ (それ十分怖くない!?)

歩夢 「ふふ」 ニコニコ

かすみ 「ひぃぃ!」 ビクッ

歩夢 「?」 キョトン

おわり

39: 2020/12/19(土) 00:50:27.44 ID:SglJbksM
では三作目参ります。

― 果林 「また迷っちゃったわねぇ」―

果林 「千葉に向かってたのに……東京ディズニーランドに着いちゃうなんて」

果林 「運がないわねぇ」

果林 「そういえば前に璃奈ちゃんがカーナビみたいなアプリを、スマホに入れてくれてたような……使ってみようかしら」

果林 「えっと『璃奈ちゃんカーナビ』これで大丈夫なの?」

ポチッ

41: 2020/12/19(土) 00:54:12.85 ID:SglJbksM
璃奈 『起動してくれてありがとう。今、果林さんがこの映像を見ているということは……』

璃奈 『もう私はいないということだろう』

果林 (なに? ハリウッド映画でも始まったの?)

璃奈 『つまりver2.0の璃奈ちゃんカーナビからver3.0になるということだ。アップデートして、再起動してね』

果林 「あっ、アップデートのお知らせだったのね」

42: 2020/12/19(土) 00:55:07.58 ID:SglJbksM
―再起動中―

果林 「よし、アップデート終わったわ」

璃奈 『よろしく。ver3.0の璃奈です。この璃奈ちゃんカーナビはスクールアイドル同好会の九人分の性格をインプットしているんだ。機械に弱いであろう果林さんが親しみやすいように工夫した結果だよ』

果林 (なんか煽られてる……)

璃奈 『では下のボタンをクリックして、早速使ってみてね』

果林 「まずは誰が出るのかしら?」

ポチッ

43: 2020/12/19(土) 00:56:11.56 ID:SglJbksM
せつ菜 『こんにちは!!!! 果林さん!!!!』

果林 「……なるほど」ボリューム高速下げ

せつ菜 『まずは目的地を教えてください!!!!』

果林 「千葉よ」

せつ菜 『千葉? 千葉の具体的にどこに行きたいのですか?』

果林 「別に……ただ千葉に行ってみたかっただけだから、具体的な場所は決まってないの」

せつ菜 『なぜ千葉に行きたくなったのです?』

44: 2020/12/19(土) 00:57:10.80 ID:SglJbksM
果林 「ふなっしーっているじゃない? 千葉の非公認ゆるキャラ。あれにハマっちゃって、千葉に興味が湧いたのよ」

せつ菜 『なら船橋に行ってみてはどうですか?』

果林 「別にそこまではこだわってないの。千葉ならどこでも良いのよ」

せつ菜 『では千葉に行ってみましょうか!!!! 位置情報サービスをオフにしてるみたいなので、それをオンにするか、もしくは自分の居場所が具体的に分かるなら教えてください!!!!』

果林 「居場所は東京ディズニーランドよ」

せつ菜 『東京ディズニーランドですか?』

45: 2020/12/19(土) 00:58:19.07 ID:SglJbksM
果林 「ええ」

せつ菜 『ならもう千葉じゃないですか』

※東京ディズニーランドは千葉県浦安市舞浜にあります。

果林 「何言ってるのよ? まだ東京じゃない」

せつ菜 『?』

果林 「千葉に向かってたのに東京から出てないからカーナビに頼ったのよ? しっかりしてほしいわ。ここは東京よ」

せつ菜 『???』

果林 「もう一度言うわよ? ここは東京ディズニーランド。東京ってついてるでしょ? つまりDOWNTOWNってわけ!」

せつ菜 『?????』

46: 2020/12/19(土) 00:59:13.66 ID:SglJbksM
果林 「もしかしてせつ菜……千葉をあまり知らないのかしら? あのね、勉強も大事だけど、実際に歩くことも大切なのよ? 文字からだけじゃ得ることのできない経験が世界には山ほどあるわ。例えば千葉には東京とドイツの人が一緒に住んでる村があるのよ? 国際都市よねぇ……」

せつ菜 『???????』

果林 「ふふ、せつ菜、分かるかしら?」 ドヤッ

せつ菜 『えっと……まさかそれって……東京ドイツ村のことを言ってます?』

果林 「そうよ。なかなかやるわね」

※東京ドイツ村は千葉県袖ヶ浦市にあるテーマパークのことである。ちなみに東京ドイツ村は全く国際都市ではない。そもそも都市でもない。東京アクアラインが開通した時にオープンした、ということで勢いで「東京」と付け、オーナーがドイツに寄せたデザインをしたため「ドイツ」と付けている。ちなみに、ドイツではやってないであろう「さつまいも掘り」や「落花生掘り」などのイベントがある。

47: 2020/12/19(土) 01:00:29.47 ID:SglJbksM
せつ菜 『えっとまずどこから説明すればいいんでしょうか……』 アセアセ

璃奈 『タイムアップ!』 ピコーン

せつ菜 『えっ』

愛 『ってことで次は愛さんだよ!』

果林 「画面が愛に変わったわ」 ボリューム元に戻す

愛 『それでカリンはどこに行きたいのかな?』

果林 「千葉よ。どこでも良いからとにかく千葉よ」

48: 2020/12/19(土) 01:02:04.36 ID:SglJbksM
愛 『なるほど~。ナビゲーターなんて愛さん重要な立場だね! 千葉だけに!』

果林 「……」

愛 『……』

果林 「……えっ、あっ」

愛 『ツボれよ、ほら』(低音)

果林 「ひっ」

果林 (超怖い顔で睨んでるわ……。やっぱり愛って髪染めてるし怖い人なの……!?) ガクガク

果林 「あっ、たちばで千葉か! 私、鈍感だからすぐ気付かなかったわ……愛のダジャレは本当にクオリティが高いわね!」

愛 『でしょーー!!』 ニコッ

49: 2020/12/19(土) 01:03:01.56 ID:SglJbksM
果林 「そ、それはそれとして、ナビゲーターを頼めるかしら? 愛?」

愛 『もちろんだよ! どこにも行けるし、どんな人にも会いに行けるよ! 愛だけに!』

果林 「ははっ、面白いわね」

愛 『ちなみに現在地は分かるかな、もしかして銀座1の料理店とか!? 現在地だけに!』

果林 「笑えるわね」

愛 『……ねぇカリン、なんか適当に相槌打ってない?』(低音)

果林 「ひぃぃ! そ、そんなわけないじゃない……笑いすぎて呼吸するので精一杯なのよ」 アセアセ

愛 『そっか! そんな笑ってもらえて愛さんも嬉しい!』

璃奈 『タイムアップ!』 ピコーン

愛 『えっ』

50: 2020/12/19(土) 01:04:05.58 ID:SglJbksM
果林 (また道案内してもらえなかったわ……)

歩夢 『よろしくお願いします、果林さん』

果林 「あっ、歩夢! 歩夢なら安心ね!」

歩夢 『目的地と現在地を教えてくれるかな?』

果林 『目的地はどこでもいいからとにかく千葉で、現在地は東京ディズニーランドよ』

歩夢 『えっ?』

果林 (何かおかしなこと言ったかしら……?)

51: 2020/12/19(土) 01:05:10.63 ID:SglJbksM
歩夢 『東京ディズニーランド……侑ちゃんと小学3年生の頃に行ったなぁ』

果林 (あっ、やばい)

歩夢 『途中で侑ちゃんとはぐれちゃったんだけど、しばらくして侑ちゃんが私を見つけてくれたんだ! それはもう、夕陽に照らされて笑う侑ちゃん、かっこよかったなぁ……』

果林 「あ、歩夢? 幼馴染トークも興味深いけれど、今はまず道案内をして欲しいなぁ……なんて」

歩夢 『だけどこれからはきっと、侑ちゃんはせつ菜ちゃんと二人でディズニーランドに行くんだ。そんなの夢の国じゃないよ! 私が侑ちゃんの隣にいれないなんて……!!』 ブツブツ

果林 「ひっ!」

果林 「こ、これは無理ね」

52: 2020/12/19(土) 01:06:54.94 ID:SglJbksM
璃奈 『タイムアップ!』 ピコーン

果林 「ちょ、ちょっと待って、璃奈!」

璃奈 『……? どうしたの、果林さん』

果林 「正直このままじゃ誰も道案内してくれそうにないわよ!? それに、そのタイムアップって何なのよ?」

璃奈 『せっかくいろんなバリエーションを作ったから、果林さんには全部体験して欲しくて。だから、五分経つとメンバーチェンジする機能をつけた』

果林 「なるほど……」

璃奈 『ちなみに一周したら、二時間使えなくなる機能もある』

果林 「ええっ!? なんでそんな機能つけてるのよ!?」

璃奈 『スリルがあって良いかなって』

53: 2020/12/19(土) 01:08:00.91 ID:SglJbksM
果林 「よ、良くないわよ!! 私が道案内される前に一周しちゃったら、私は迷ったままってことでしょ!?」

璃奈 『頑張って。次は私だから何とかする』

果林 「あっ、璃奈ちゃんが次なのね……ならなんとかなるかしら? えっと、千葉のどこかに行きたくて、現在地は東京ディズニーランドよ」

璃奈 『えっと、まずは東京ディズニーランドの場所から教えないといけない。実は東京ディズニーランドは……』

璃奈 『タイムアップ!』 ピコーン

璃奈 『あっ』

54: 2020/12/19(土) 01:08:42.75 ID:SglJbksM
果林 「えっ?」

璃奈 『ごめん、タイムアップした』

果林 「な、なんで? まだナビゲート始めたばっかりじゃ……まさか私がいろいろ質問し始めた頃から時間を測ってたの!?」

璃奈 『うん。チェンジしてから五分だから』

果林 「そ、そんな!?」

かすみ 『ってことで次はかわいいかすみんですよー♪』

果林 (その後、かすみちゃんは可愛いアピールをしつこく間に挟んだために、結局役に立たないまま終わってしまった……)

かすみ 『ってかすみんはダイジェストで終わりですか!?』






55: 2020/12/19(土) 01:09:48.78 ID:SglJbksM
果林 「しずくちゃんは私と一緒に迷ってる役を演じ始めて、結局、道案内をしてくれなかったわね……」

果林 「そして彼方はすぐに寝るし……」

果林 「侑は一番頼り甲斐があったけど、私が言ったことが偶然ダジャレになってしまって……そこからは五分間爆笑で喋れなかったわね……」

果林 「そして、ついに次で九人目。璃奈ちゃんの言ってることがもし本当だとしたら、次の人でも道案内してくれなかったら私はこのまま迷ったままでBADENDってことに……!」 ガクガク

56: 2020/12/19(土) 01:10:54.09 ID:SglJbksM
果林 「せつ菜、愛、歩夢、璃奈ちゃん、かすみちゃん、しずくちゃん、彼方、侑……ってことは」

果林 「次はエマだわ!!」 パァァ

果林 「エマなら大丈夫!! きっといけるわ!!」

璃奈 『タイムアップ!』 ピコーン

侑 『ひぃひぃ……! ご、ごめんなさい、果林さん……笑いが止まらなくて……!』

果林 「まぁ仕方ないわ、気にしないで。でもあなたはもう少し笑いのツボを深くした方がいいと思うわ」

果林 (最後に賭けるわよ……エマ!!)

57: 2020/12/19(土) 01:11:49.09 ID:SglJbksM
果林 『で、目的地はどこかしら?』

果林 「」

果林 『どうしたの? 早く言ってくれないかしら?』

果林 「え、えっと、エマは……?」

璃奈 『みんなの性格をインプットするために調査した期間がちょうどエマさんの里帰りに重なって、エマさんはできなかった』

果林 『いいの? あと少しで五分経っちゃうわよ?』

果林 (もう無理かも……)

58: 2020/12/19(土) 01:17:11.40 ID:SglJbksM
果林 「えっと一応聞くけど、ここは東京ディズニーランドで、千葉に行きたいの。どうすれば行けるかしら?」

果林 『千葉? 千葉なら、えっと……あっち! あっちに行けばいいと思うわ!』

果林 「私そっちからここに来たんだけど」

果林 『……』

果林 「……」

璃奈 『タイムアップ!』 ピコーン

果林 『……』

璃奈 『今からこのアプリは二時間使えなくなるから気をつけてね』

59: 2020/12/19(土) 01:18:02.33 ID:SglJbksM
―停止中―

果林 「……」

果林 「エマにメールしようかな……」

エマヘ
私は今東京ディズニーランドにいます。
せっかくだからエマが食べたがっていたチュロスをお土産に買っていくわね。
でも出来立ては諦めてください。
おそらく数時間どころの話では済まないと思います。
ついでに綺麗な夜景も撮っておくわ。
きっと千葉の夜景って綺麗なのね。
行きたかった、千葉。

おわり

61: 2020/12/19(土) 01:34:56.77 ID:IAlLvnN/
おつ

62: 2020/12/19(土) 01:51:40.90 ID:2RwOH4VN
草、好きわよ

65: 2020/12/19(土) 05:01:15.27 ID:6EgL/9X6
期待


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