【SS】絵里「素顔の璃奈」【ラブライブ!スクスタ】

えりち (8) SS


1: 2020/02/09(日) 15:39:48.54 ID:2c32UALX
部室

璃奈「……」カキカキ

璃奈「新しいボード、出来た」

璃奈「う~ん……あぁ~」ノビー

カタン パシャッ

璃奈「わっ、ジュースこぼしちゃった‼」

璃奈「……あ~あ、せっかく描いたボードが……」グッショリ

璃奈「誰か来る前に急いで描き直さなきゃ」

ガラッ

絵里「あら、璃奈。いたのね」

璃奈「うわっ、絵里さん!?」

璃奈「あわわわ……」バッ

璃奈「み、見ないで」

絵里「え?どうしたの?」

璃奈「素顔、見られるの……恥ずかしいから」

絵里「あ、そうなの。ごめんなさいね」

璃奈「こちらこそごめんなさい」

璃奈「あの、今ボードで顔を隠すから廊下で待ってて……お願い」

絵里「わかったわ、出てるわね」

5: 2020/02/09(日) 15:47:45.05 ID:2c32UALX
璃奈「……絵里さん、おまたせ。入っていいよ」

ガラッ

絵里「もう大丈夫?」

璃奈「うん、とりあえずライブで使うボードを付けた」

絵里「なにをしていたの?」

璃奈「新しいボードの顔を描いていたんだけど、ジュースをこぼして濡らしちゃったの……」

絵里「あぁ、なるほど。そこに私が来てしまったと、タイミングが悪かったわね」

璃奈「絵里さんは、悪くないよ。私が油断しただけ」

璃奈「また、描き直し。予備のボード持って来ててよかった」スッ

璃奈「……」カキカキ

絵里「あなた、いつもそうやってボードに顔を描いているの?」

璃奈「ボードがないと私、生活出来ないから」

絵里「そう、大変ね」

絵里「ーどうして、ボードで顔を隠すの?」

璃奈「そ、それは……」

絵里「言いたくないなら無理に話さなくてもいいけど」

璃奈「……」

6: 2020/02/09(日) 15:54:28.03 ID:2c32UALX
璃奈「私……感情がうまく表情に出せなくて」

璃奈「嬉しいとか、怒ってるよとか、悲しいとか、楽しいとか」

璃奈「そういう気持ちはあるんだけど、どうしてもそれを顔に出せない」

璃奈「だから、璃奈ちゃんボードを使って私の感情を皆に伝えているの」

絵里「そうだったの……」

璃奈「……出来た」

璃奈「絵里さん、ごめんなさい。ボードを交換するからちょっと後ろ向いてて」

絵里「はい、今度は失敗しないようにね」

璃奈「わかってる、慎重に慎重に……これで、よし」

絵里「いいかしら?」

璃奈「うん、璃奈ちゃんボード『おまたせ』」

絵里「見慣れた璃奈のボードになったわね」

璃奈「やっぱり、このボードが落ち着く」

9: 2020/02/09(日) 16:04:23.13 ID:2c32UALX
絵里「璃奈ちゃんボード、か」

絵里「私も絵里ちゃんボードなんて物があればあの時素直になれたのかな……」

璃奈「あの時?」

絵里「私、今でこそスクールアイドルをやってるけど」

絵里「μ'sに入る前は生徒会長としてどうすれば廃校を免れるか必死に考えていたわ」

絵里「同じくスクールアイドルとして活躍して廃校を防ごうと頑張っていた穂乃果達を否定したり」

絵里「私を気遣ってくれた希に反発したり」

絵里「とにかく、私一人でなんとかしようと周りも見ずに奔走していたわ」

絵里「でも、一人で頑張らなくてもいい」

絵里「自分の気持ちに嘘はついちゃいけないって」

絵里「穂乃果達が教えてくれたの」

璃奈「絵里さん……」

絵里「ごめんなさい、あなたとはまた事情が違ったわね」

璃奈「ううん、そんな事ないよ。絵里さんも辛い時があったんだね」

璃奈「絵里さんの気持ち、わかるよ。璃奈ちゃんボード『うんうん』」

12: 2020/02/09(日) 16:16:26.09 ID:2c32UALX
絵里「ところで、ずっと気になっていたんだけど」

絵里「そのライブ用のボードってどうなってるの?」

璃奈「これはオートエモーションコンバート璃奈ちゃんボード」

絵里「おぅとえもぅしょんこんばぁと……???」

璃奈「簡単に言うと、私の感情を読み取って画面に表情を出してくれるの」

絵里「へぇ~すごいわねぇ‼」

絵里「でもこれ、前は見えるの?」

璃奈「カメラが内蔵されていて周りをボードの内側から見る事が出来るから。璃奈ちゃんボード『心配ご無用』」

絵里「ハラショー‼まるでSF映画にでも出てきそうね」

絵里「私が付けても表情が出るのかしら」ワクワク

璃奈「これは私専用のボードだから絵里さんは使えないと思う」

絵里「なぁんだ、残念」

璃奈「……ちょっと待ってて」カキカキ

絵里「ん?なにを描いているの?」

璃奈「璃奈ちゃんボードは貸してあげられないから代わりに」

璃奈「私の手作り、絵里ちゃんボード」

璃奈「『かしこい』『かわいい』『エリーチカ』『ハラショー』の全4種」

璃奈「絵里さんにあげる」

絵里「わぁ、私の顔そっくり。上手ね璃奈」

璃奈「えへへ……それほどでも、あるかな」

13: 2020/02/09(日) 16:23:25.37 ID:2c32UALX
絵里「絵里ちゃんボード『かしこい』『かわいい』『エリーチカ』」

絵里「『ハラショー』‼」

璃奈「絵里さん、似合ってる。璃奈ちゃんボード『いいね‼』」

絵里「ありがとう、楽しいわね~これ」

璃奈「……楽しい、か」ジーッ

璃奈(絵里さん、ボードを見てワクワクしたり使えないってわかったらガッカリしたり)

璃奈(絵里ちゃんボードをあげたら喜んだり表情がコロコロ変わる……)

璃奈(やっぱり、私も……)

絵里「璃奈、どうかした?」

璃奈「クルクル変わる絵里さんの表情、羨ましい」

璃奈「私も、絵里さんみたいになりたいな」

璃奈「でも、こんな時でもボードに頼っちゃう。璃奈ちゃんボード『しょんぼり』」

絵里「璃奈……」

16: 2020/02/09(日) 16:35:56.96 ID:2c32UALX
絵里「私と璃奈は、変わらないわよ」

璃奈「え……?」

絵里「私は表情で、あなたはボードで感情を表している」

絵里「むしろボードを使っている璃奈の方が個性があっていいと思うわ」

璃奈「そう、なのかな」

絵里「コンプレックスと個性は捉え方次第でどちらにも転ぶものよ」

絵里「それに感情って顔だけで表現するものじゃないのよ」

絵里「声や雰囲気、あとは体全体を使って感情を伝える事が出来る」

璃奈「そっか、表情以外にも感情を表す方法はあるんだ」

璃奈「私、そこまで考えた事なかったよ。璃奈ちゃんボード『目から鱗』」

絵里「璃奈にはしっかりとした感情がちゃんとある」

絵里「それをボードで伝えるのはとても素敵な方法だと思うわ、立派な個性よ」

絵里「だから、自信を持って。あなたのやり方は間違っていないわ」

絵里「私は璃奈ちゃんボード、好きよ」

璃奈「……今の言葉、愛さんが聞いたら喜んでくれるだろうな」

璃奈「璃奈ちゃんボードは愛さんのアイディアなの」

絵里「愛が?そうなの、いい先輩じゃない」

璃奈「うん、愛さんのおかげでこうやって絵里さんとお話する事が出来る。璃奈ちゃんボード『ありがたい』」

17: 2020/02/09(日) 16:46:58.97 ID:2c32UALX
璃奈「璃奈ちゃんボードを使うようになって皆とお話出来るようにはなったけど」

璃奈「私、いつかは素顔を晒して感情を表してみたい」

璃奈「その時はとびきりの笑顔でいたいって思ってるの」

絵里「ーその日はきっと、そう遠くないわ」

璃奈「絵里さん、お願いがあるんだけど」

璃奈「私が笑顔を作る方法、一緒に考えて欲しいの。璃奈ちゃんボード『ぺこり』」

絵里「笑顔を作る方法……」

絵里「お笑いやバラエティー番組を見るとか?」

璃奈「そういうのはちょっと違うと思う……出来れば楽しい事をして笑いたい」

絵里「楽しい事、か。う~ん……」

絵里「あ、そうだわ」

絵里「ねぇ璃奈。今度のお休み、私とおでかけしない?」

璃奈「おでかけ?どこに行くの?」

絵里「楽しい所、よ。ふふ」

璃奈「璃奈ちゃんボード『?』」

19: 2020/02/09(日) 16:54:00.20 ID:2c32UALX
日曜日

璃奈「ここは……」

絵里「遊園地よ、来た事ある?」

璃奈「ううん、初めて来た」

璃奈「テレビでは見た事あるけど色々な乗り物がいっぱいだね。璃奈ちゃんボード『ワクワク』」

絵里「ふふ、ボードを使わなくても璃奈がワクワクしてるのが伝わるわね」

絵里「ここなら璃奈もきっと笑顔になれるはずよ」

璃奈「そうだといいなぁ」

璃奈「絵里さん、あれなんだろ?行ってみよう」トテテテ

絵里「あ、こら。走ると危ないわよ」

絵里「もう、まるで子供ね」クスッ

絵里(一緒に来てくれるか不安だったけど連れて来てよかったわ)

21: 2020/02/09(日) 17:01:28.89 ID:2c32UALX
ゴォォォーキャァァァー

璃奈「うわぁ、すごく速い……」

絵里「あれはジェットコースターね」

璃奈「愛さんが『チョー楽しいよ‼』って話してた事あったな、面白そう」

絵里「私も穂乃果に無理矢理乗せられた事があったわ……でも、スカッとするのよね」

璃奈「絵里さん、あれ乗ろう」

絵里「いいわよ。でも、ボードは大丈夫?」

璃奈「こんな事もあろうかと用意して来た」シュルシュル……ギュー

璃奈「じゃん、璃奈ちゃんボード『バージョン2』」

絵里「紐でボードを固定したのね、いいアイディアだわ」

絵里「それじゃ行きましょうか」

26: 2020/02/09(日) 17:12:08.88 ID:2c32UALX
おじさん「次の人どうぞ~」

おじさん「ん?ちょっと君、身長は何センチだい?」

璃奈「私?149センチ」

おじさん「あ~悪いねお嬢ちゃん、身長が150センチ未満の子は乗れないんだよ」

璃奈「そんな……璃奈ちゃんボード『ガーン』」

絵里「璃奈、惜しかったわね。残念だけど他の乗り物に」

璃奈「……むぅ~」

璃奈「璃奈ちゃんボード『ピョコン』!!」

璃奈「見ておじさん、髪の毛を合わせたら151センチあるよ、乗れるよ」

絵里「璃奈……そこまでして乗りたいのね」

おじさん「わかった‼いや~参った、おじさんの負けだ」

おじさん「お姉さんが一緒みたいだし特別に乗せてあげよう、身長はおまけしてあげる」

璃奈「うわ~い」ピョンピョン

絵里「どうもすみません、ありがとうございます」

おじさん「はは、たまにこういう子がいるからね。慣れてるよ」

おじさん「それじゃ、楽しんでおいで」

璃奈「おじさんありがとう、璃奈ちゃんボード『いってきます』」

30: 2020/02/09(日) 17:23:56.88 ID:2c32UALX
ガタン……ガタン……カタカタカタカタ……

璃奈「うわぁ~こんな上まであがるんだ」

絵里「このゆっくりとあがるのがまたスリルがあるのよね」

絵里「さぁ璃奈、ここから速くなるからしっかりレバーを握るのよ」

璃奈「う、うん」ギュッ

璃奈「あ、わ、わぁ……」

ゴォォォー

璃奈「うわぁぁぁ~!!」

絵里「きゃあぁぁぁ~!!」

グォォォー

璃奈「ぼ、ボードが……あわわわ‼」

絵里「くっ……抑えてるわ‼」バッ

グルングルン

璃奈「ひゃあぁぁぁ~!!」

絵里「いやぁぁぁ~!!」



プシュー……

おじさん「お疲れ様、楽しかったかい?」

璃奈「速すぎて楽しむ暇なかったかも……ボードも気になったし。璃奈ちゃんボード『ふらふら』」

絵里「ボードが吹き飛ばされなくてよかったわね……」

璃奈「絵里さん、抑えてくれてありがとう」

璃奈「これは改良しないといけない、もっと強力にくっつけないと」

31: 2020/02/09(日) 17:33:27.36 ID:2c32UALX
絵里「次は何に乗る?」

璃奈「う~ん……あ、あれってメリーゴーランドだよね」

絵里「そうね、あれならのんびり動くからボードの心配もいらないわね」

璃奈「絵里さん、隣の馬に乗って」

絵里「はいはい」



璃奈「お~これは上下にも動くんだ」

璃奈「まるで本物の馬に乗ってるみたい、璃奈ちゃんボード『ヒヒーン』」

絵里「それだと璃奈が馬になっているんじゃ……?」

璃奈「夢の中にいるみたい、おとぎ話の主人公になった気分」

絵里「ふふ、お姫様役にぴったりね」

璃奈「そんな……お姫様だなんて……璃奈ちゃんボード『はわわ』」

絵里(いい感じね、この調子で璃奈にもっと楽しんでもらいましょ)

33: 2020/02/09(日) 17:46:09.56 ID:2c32UALX
璃奈「絵里さん。今度はあそこ、あそこ行こう」グイグイ

絵里「どれどれ?ーひっく!?」

絵里「お、お化け屋敷……」

絵里「璃奈、お化け屋敷って怖い所なのよ?笑顔にはなれないんじゃ……」

璃奈「お化け屋敷ってどんなものなのか、怖いって感情も出してみたい」

璃奈「絵里さんと一緒なら入ってみたい、璃奈ちゃんボード『クゥ~ン』」

絵里「チワワみたいなボード出して……わかったわよ、まったくもう……どうなっても知らないわよ」



ギギーバサバサ

絵里「ひいっ!?璃奈……いるわよね?璃奈?」ガシッ

璃奈「ちゃんとそばにいるよ、璃奈ちゃんボード『』」

絵里「ぎゃーっ‼のっぺらぼう~!!」

璃奈「あ、いけない。白紙のボードだった」

璃奈「お化け屋敷って暗いだけで全然怖くないなぁ、璃奈ちゃんボード『拍子抜け』」

ケヒャヒャヒャヒャ~

絵里「いやあぁぁぁ~璃奈ぁ~!!」ギュウ~

璃奈「絵里さんの絶叫する顔の方が怖いよ……」

34: 2020/02/09(日) 17:54:27.76 ID:2c32UALX
絵里「はぁ……怖かった……」

璃奈「絵里さん、お化け屋敷苦手だったの?」

絵里「お化け屋敷と言うより暗いのが苦手で……」

璃奈「なんだか意外。ごめんね、苦手なのに付き合わせちゃって」

絵里「いえ……いいのよ、璃奈は平気な様子だったわね。すごいわ」

璃奈「作り物ってわかったら怖くなくなった、大した事なかったね。璃奈ちゃんボード『余裕』」

絵里「その度胸、分けて欲しいくらいね」

絵里「少し休みましょう、叫び過ぎて疲れたわ……」

璃奈「私、飲み物買って来る」

絵里「お願い、私はベンチに座って待ってるわね」

35: 2020/02/09(日) 18:09:46.27 ID:2c32UALX
璃奈「売店は……あ、あった」

璃奈「結構人が並んでるなぁ、しょうがない。今日は日曜日だもんね」

璃奈(そう言えば絵里さんに何飲みたいか聞くの忘れてたな……)

ドンッ

璃奈「痛っ……」

いじめっ子「邪魔だよ、ボーッと突っ立ってんじゃねーよ」

いじめっ子「ん?誰かと思えば天王寺じゃーん、こんな所でなにしてんのぉ?」

璃奈「と、友達と遊びに……」

いじめっ子「へぇ~あんたに友達なんていたんだぁ」ニヤニヤ

いじめっ子「つーかこんな所でもそのボード付けてんのかよ、だっせーなぁ」

いじめっ子「友達にもあんたの素顔見せてやりなよ、ほら外せよ」グイッ

璃奈「やめて、引っ張らないで‼」

バッ

璃奈「あっ……」

いじめっ子「はははははっ‼相変わらず何考えてるかわかんない顔してんなぁ~」

璃奈「返してよ~!!」

いじめっ子「へっ、じゃあ返してやるよ……細かくしてな‼」ビリビリィッ

璃奈「あ……あぁ……」

璃奈「うっ……うぅ……ぐすっ……ひっく」

いじめっ子「真顔で涙だけ流れるとかマジウケるんですけど~あははははっ!!」

絵里「ーあなた……なにを、しているの?」

40: 2020/02/09(日) 18:34:23.71 ID:2c32UALX
いじめっ子「あ?なにあんた?もしかしてこいつの友達?」

璃奈「絵里さん‼」バッ

絵里「璃奈!!どうしたのそれ……」

璃奈「ボード……破られちゃった……」

絵里「このハンカチで顔を隠して」サッ

絵里「あなた……璃奈になんて事を……」

いじめっ子「知るかよ、そんな人形みたいな奴に付き合ってるなんてあんたも物好きだねぇ」

絵里「人形、みたいな……?」

絵里「……ふざけないで!!」

絵里「璃奈は人形なんかじゃない、自分の考えや意見がしっかりと言えて感情だって私と変わらずにあるのよ」

絵里「璃奈を侮辱する事は許さないわ」キッ

いじめっ子「な、なんだよマジになっちゃってさ……バッカじゃねぇの」

いじめっ子「あ~あ、シラケたわ、まったねぇバイバ~イ」

絵里「二度と璃奈に近づくんじゃないわよ‼」

41: 2020/02/09(日) 18:48:52.76 ID:2c32UALX
絵里「璃奈、もう大丈夫よ」

璃奈「私……怖かった……」ダキッ

絵里「遅いから心配になって、一人にしてごめんなさいね」

璃奈「怖かった……怖かったのに……」

璃奈「そんな時でも表情は変わらなかった……やっぱり私……」

絵里「璃奈、落ち着いて」ギュッ

絵里「せっかく変わった表情が泣き顔じゃ悲しいでしょ?大丈夫よ。焦らないで、ゆっくりでいいから」

璃奈「……うん、わかった」

璃奈「ボード、無くなっちゃった。今日は予備も持って来ていないの」

絵里「それは困ったわね、いつまでもハンカチで隠す訳にもいかないし……ん?あれは」

絵里「璃奈、ちょっと待っててね」



絵里「ボードの代わりにこれ、どうかしら?」

璃奈「これは……ネコのお面?」

絵里「この遊園地のマスコットらしいわ、それなら顔も隠せるし付けててもおかしくないわ」

璃奈「……」スチャッ

璃奈「どう?似合う、かな?」

絵里「とってもよく似合ってる、かわいいわよ」

璃奈「璃奈ちゃんボード……あ、璃奈ちゃんボードじゃなかった」

璃奈「ネコちゃんボード『にゃんにゃん』」

璃奈「絵里さん……ありがとう」

42: 2020/02/09(日) 19:00:39.69 ID:2c32UALX
絵里「はい、璃奈のジュース。ストローが付いてるから飲みやすいでしょ」

璃奈「結局絵里さんに買って貰っちゃった。ストロー付きはありがたい」チューチュー

絵里「気を取り直して、またなにか乗りましょうか」

璃奈「ねぇ見て、世界一周汽車の旅だって」

絵里「へぇ、あの汽車に乗って観光する気分を味わえるのね。楽しそう」

璃奈「私、海外に行った事ないからあれ乗ってみたい」

絵里「いいわよ、私も乗りたいわ」




シュッシュッポッポッ…シュッシュッポッポッ…

絵里「ゆっくり走るのねぇ、のんびり見られるからいいわ」

璃奈「絵里さん、あれなぁに?」

絵里「あれはロシアのエルミタージュ美術館ね」

璃奈「じゃああれは?」

絵里「あれはメキシコのアステカ遺跡よ」

璃奈「じゃあさじゃあさ、あれは?」

絵里「あれはドイツのノイシュバンシュタイン城だわ」

璃奈「すご~い、絵里さんなんでも知ってる。物知り博士だ」

絵里「うふふ、本で見た事があるだけよ」

44: 2020/02/09(日) 19:09:51.01 ID:2c32UALX
絵里(汽車に乗ってる間、ずっと璃奈からの質問攻めだったわね)

絵里(璃奈は好奇心も旺盛なのね、かわいい)

璃奈「世界には色んな場所があるんだ、いつか私も行ってみたいな」

璃奈「その時は、絵里さんと一緒に。色々教えてもらうんだ」

絵里「あら、それは大変。私も勉強しなくちゃいけないわね」



絵里「さて、次はどうしましょうかね」

璃奈「私ばかり乗りたい物に乗ってる、今度は絵里さんの乗りたい物に乗ろうよ」

絵里「私?う~ん、そうね……」

絵里「あ、そうだわ。あれに乗りましょう」

璃奈「観覧車?」

絵里「昔、家族で遊園地に来た時に乗ってね」

絵里「私、好きなのよ。観覧車」

璃奈「絵里さんが好きって言うなら私も乗ってみたい」

絵里「ありがとう、それじゃ行きましょう」

48: 2020/02/09(日) 20:07:16.87 ID:2c32UALX
璃奈「うわぁ~どんどん上に昇ってく、どこまで行くのかなぁ」ノリダシ

絵里「ふふ、懐かしいわね。私の妹もそうやって外を眺めていたわ」

璃奈「下の人達や建物が小さくなってく……空を飛んでるみたい」

璃奈「不思議な感覚、面白いな」クルッ

璃奈「今日、絵里さんと遊園地に来てよかった」

絵里「楽しんでもらえたかしら?」

璃奈「うん、ジェットコースターはハラハラしてメリーゴーランドはウキウキになって」

璃奈「お化け屋敷は怖くなかったけど絵里さんと一緒にいたらドキドキしたし」

璃奈「世界一周汽車の旅は私の知らない世界をたくさん教えてもらってワクワクした」

璃奈「そしてこの観覧車も……」

璃奈「まるで絵里さんの妹になったみたいで心がポカポカする」

絵里「璃奈……」

璃奈「私、こんなに感情がいっぱい出たの初めて」スルスル……

璃奈「それが……」ポロッ




璃奈「それがすごく、嬉しい」ニッコリ

49: 2020/02/09(日) 20:17:46.47 ID:2c32UALX
絵里「璃奈……あなた……」

璃奈「え?ーあ、お面外れちゃった」

絵里「待って、あなた今笑っていたのよ。気が付かなかった?」

璃奈「私が……笑ってた?」キョトン

絵里(あまりにも自然に笑ったから自分じゃ気が付かなかったのね)

絵里「そうよ、すごく自然ないい笑顔だったわ」

璃奈「えっと、どうやって笑ったんだろう?こう?それともこんな感じ?」

絵里(色々表情を変えて百面相してる……これってもしかして)

絵里「璃奈、こっち見て」

璃奈「ふぇ?なに?」

絵里「うふっ」ニコッ

璃奈「ーえへっ、どうしたの絵里さん?」ニコッ

絵里「あなたの笑顔が見られて私も嬉しいのよ」

50: 2020/02/09(日) 20:27:14.92 ID:2c32UALX
絵里「ほら、手鏡で見てみなさい」スッ

璃奈「……本当だ、私……笑ってる」

璃奈「感情を表情に出せるようになった……」

絵里「目標、達成かしらね」

璃奈「……うん、こんなに早く出来るなんて思わなかった」

璃奈「これも、絵里さんのおかげ」

絵里「いいえ、それは違うわ璃奈」

璃奈「え?」

絵里「私はなにもしていない、言ったでしょ?私とあなたは変わらないって」

絵里「感情を表す方法が元に戻った、それだけよ」

絵里「私はただ、璃奈と楽しく遊んだだけ。特別な事はしていないのよ」

璃奈「絵里さん……」パァァ

璃奈「ーやっぱり、私が笑えるようになったのは絵里さんのおかげだよ」

璃奈「だから言わせて。絵里さん、ありがとう」

51: 2020/02/09(日) 20:42:22.45 ID:2c32UALX
璃奈「観覧車、忘れられなくなっちゃった」

絵里「確かに、忘れられなくなったわね」

絵里「お面外したままで大丈夫なの?」

璃奈「一人だと不安だろうけど今は絵里さんが隣にいるから平気」

絵里「ふふ、あの時恥ずかしがってたのが嘘みたいね」

璃奈「あ、あれは黒歴史……消去したい過去」カァァ

璃奈「ねぇ絵里さん、手、繋いでも……いい?」

絵里「もちろん、いらっしゃい」ギュッ

璃奈「えへへ……絵里さんの手、暖かい」



璃奈「あ、あそこにいるのって」

絵里「璃奈にあげたお面と同じ顔……マスコットの着ぐるみね」

オイデオイデ

絵里「ほら、ネコちゃんが呼んでるわよ」

璃奈「わ~い」ボフッ

璃奈「モフモフしてる、気持ちいい~」スリスリ

絵里「かわいいわね~写真撮ってあげるわ」ピロリロリン

絵里「うん、いい笑顔」

璃奈「絵里さんも一緒に撮ろう」グイッ

絵里「私も?うまく撮れるかしら」

絵里「ーよいしょ、ネコちゃんが入りきらないけど……撮るわよ」

璃奈「絵里さんとネコちゃんと一緒、にっこりん!!」ピロリロリン

52: 2020/02/09(日) 20:52:09.61 ID:2c32UALX
璃奈「絵里さん、さっき撮った写真送って」

絵里「いいわよ、今送るわね」

璃奈「ー来た、嬉しいなぁ。いい記念になるよ」

璃奈「遊園地……すごく、楽しかった」

璃奈「今日はありがとう。私、絵里さんに相談してよかった。うふふ」

絵里「璃奈は笑顔がよく似合うわね」

絵里「これから色んな表情を見せてね」ニコッ

絵里「今度は一緒に、スイーツでも食べに行く?」

璃奈「本当?行く行く、絵里さんのおすすめスイーツいっぱい教えて欲しい」

璃奈「楽しみにしてるね」ニコッ

絵里(ボードの璃奈も好きだけど)

絵里(やっぱり、素顔の璃奈の笑顔が1番好きね)

53: 2020/02/09(日) 20:55:51.27 ID:2c32UALX
終わりです。璃奈ちゃんボードの扱い難しいな……でもボードは璃奈の大切な個性だなと思いました。最後まで読んでいただきありがとうございました。

54: 2020/02/09(日) 20:56:48.66 ID:2adlzVws
お前がNo.10だ

55: 2020/02/09(日) 20:58:17.51 ID:iAC7nd90
お前がりなりーを笑顔にしたのか?

56: 2020/02/09(日) 20:58:45.54 ID:XdwEGZZY
とても良いお話で感動したよー
乙でした!
りなりーの自然な笑顔尊い…

57: 2020/02/09(日) 20:59:13.01 ID:fcv3jIal
エリチカお姉さんすこ

58: 2020/02/09(日) 21:06:09.66 ID:P92ug+jF
サンキューイッチ

59: 2020/02/09(日) 21:07:17.09 ID:ax86Fv+p
りなりーの自然な笑顔は尊い
10ハラショーよ

60: 2020/02/09(日) 21:08:33.89 ID:488I2OFg
スクスタ絵里お姉さんパワー振り切れてる

61: 2020/02/09(日) 21:20:19.37 ID:s6R8OUVj
おつおつ
日曜の夜に素晴らしいお話をありがとう…
姉妹感のある2人だった

62: 2020/02/09(日) 21:26:59.17 ID:dvCk5rPe
Blabo…

63: 2020/02/09(日) 21:36:57.49 ID:CIaHP2A/
从˶>ᴗ<˵从 ∬cV˶σ ᴗσv

65: 2020/02/09(日) 21:48:40.08 ID:PWuDv3EN
期待通りのいい話だった
一乙

66: 2020/02/09(日) 22:55:07.36 ID:UvhvL4AN
新たな可能性を見せてくれてありがとう

67: 2020/02/09(日) 23:05:12.96 ID:VT443rmp
10万ハラショーくらいあげたい

69: 2020/02/10(月) 08:07:49.62 ID:xsWxeJhY
いつか素顔を見せる日が来たら
その時は笑顔で居たい

はぁーしみるわー

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1581230388/

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