【SS】璃奈「私は愛さんがいた。しずくちゃんには……」かすみ｢私、行ってくる！｣【ラブライブ！虹ヶ咲】

短編三幕構成のオムニバス形式です。


【 一幕 】


しずく｢たちましょラッパでたちつてと……トテトテタッタと……｣

演劇部員A｢見つけた！｣

しずく｢……照子さん。｣




かすみ｢ってなんでですかー！？｣

〜〜〜

しずく｢私……嫌われるのが怖いよ……｣

演劇部員A｢嫌われるかもしれないからなんだ！ヒロインだけで芝居が成り立つと思うな！｣

演劇部員A｢見に来てる人はただのいい子なんか見ても面白くもないってわかんないの！？｣

演劇部員A｢もっと照明の私の気持ち考え　！！｣

しずく｢照明の……気持ち？｣

演劇部員A｢あーそうですか。"大女優さん"には裏方なんて下々の人に見えているんでしょうね。｣

演劇部員A｢テンプレートな上っ面の演技を照らしてるこっちの気持ちになってみてよ｣

しずく｢ちょっと自分が舞台に立たないからって何その言い方？｣

演劇部員A｢じゃあ何？しずくちゃんはあの役で何がしたいの？｣

しずく｢……劇場で歌うことに拘こだわり続ける執着心と、周りに嫌われたくない羞恥心。｣

演劇部員A｢ほら、あってるじゃん。しずくちゃんに。｣

演劇部員A｢しずくちゃんの頑固なところも、意地っ張りな所も、本当は自信が無いところも、私は照らしたい。｣

しずく｢照子さん……｣

演劇部員A｢私は桜坂しずくのこと、大好きだから。｣

演劇部員A｢///帰る！｣

しずく｢あぁ、ちょっと！｣

演劇部員A｢ここまで言ってもいい子ぶるんなら、せいぜいソマリアにでも行って慈善活動でもしてな！｣ｽﾀｽﾀ

かすみ｢えぇ……しず子……｣


演劇部員A｢……｣ﾍﾟｺﾘ

かすみ｢ど、どうも……｣ﾍﾟｺﾘ

演劇部員A｢……｣ｽﾀｽﾀ


璃奈｢かすみちゃん。｣

かすみ｢私はりな子に言われたから来ただけだからね。｣

璃奈｢私としたことが計算外だった。ゴメン。｣

かすみ｢マウンテンパンケーキ奢って。｣

璃奈｢うん、3つくらいなら余裕で奢る。｣

かすみ｢そんなに食べられない。｣


ー一幕完ー

【二幕】

璃奈｢なんか……ゴメンね。｣

かすみ｢べ、別にいいよ｣

璃奈｢私も人付き合い得意なタイプではないのに、安直な判断だった。｣

かすみ｢かすみんだって、しず子に演劇部にあんな友達がいるなんて知らなかった。｣

璃奈｢似たもの同士。ぼっち同盟｣ｶﾞｼｯ

かすみ｢かすみんぼっちじゃないから！｣

璃奈｢え、そうだったの？『 ｷｮﾄﾝ』｣

かすみ｢だってほら！かすみんには53人もSNSのフォロワーが！｣

璃奈｢どれどれ……。かすみちゃん、多分それ、ほぼヲチ目的。｣

かすみ｢うぉち……なんて？｣

璃奈｢英語のwatchからとってヲチ。SNSの言動を見て面白がってる人たちのことだよ。｣

かすみ｢楽しんでもらえてるならそれでいいのでは？｣

璃奈｢よく考えてみて。見ず知らずの人がかすみちゃんに個人情報を握ってるってことだよ。｣

璃奈｢そんな人たちの｢いいね｣の為に毎日自撮りを投稿してるの、虚しくならない？｣

かすみ｢うぅ……かすみんはこれでいいの！｣

璃奈｢まぁ好きなら無理には止めない。私も似たようなことやってるから。｣

かすみ｢え、りな子もSNSやってるの？｣

璃奈｢私はどちらかと言うと、こっち。｣

かすみ｢あ、ニユニユだ！｣

璃奈｢スクールアイドルとして表向きのyoutudeアカウントがあるけど、小学生の頃からこっちでずっと動画作ってる。｣

かすみ｢それでPVの技術があったのか〜！チャンネル登録者数は…3万……｣

璃奈｢中等部の頃はクソコラMADばかり作ってコメント見て越に浸ってた。｣

かすみ｢うわ……これはちょっと……いや、別にいいんだけど｣

璃奈｢大丈夫。そういう反応は慣れてるから。｣

璃奈｢だから愛さんが笑ってくれた時は本当に嬉しかった。｣

かすみ｢確かに愛先輩こういう変なの好きそう。｣

〜〜〜

愛｢へ〜ここがりなりーの部屋か〜！最新ガジェットいっぱいで未来みたい！｣

璃奈｢お茶入れてくるから、適当にくつろいでて。｣

ｺﾎﾟｺﾎﾟｺﾎﾟ

璃奈(マズい……PCつけっぱなしだった……！あの画面に写ってるものなんか見られたら絶対……！！)ﾀﾞｯ

愛｢ギャハハハハハ｣

璃奈 (あれ？部屋になんかおもしろいものなんて置いてあったっけ？)

璃奈｢愛さん、どうしたの？｣

愛｢ゴメンwwwパソコンついてたからこの動画見ちゃったんだけどwwwなにこれwwwめっちゃwww｣

璃奈｢愛さん？その動画おもしろい？｣

愛｢なんかよくわかんないけどwwwこれりなりーが作ったの！？www｣

〜〜〜


璃奈｢愛さんがネットミームも知らないのに私のMAD動画で笑ってくれた時は、再生回数ベストを更新した時よりも嬉しかった。｣

かすみ｢そっかぁ。じゃありな子は愛先輩と仲良くなって、幸せハッピーエンドでよかったね｣

璃奈｢おおむね満足はしているけど……そうとも言いきれない。｣

璃奈｢愛さんのお友達層を見ると、なんでその中に私がいるのか不安に思えてくる。｣

かすみ｢なんでよ｣

璃奈｢愛さんと2人で歩いてると、大抵誰かが話しかけてくる。愛さんに。でも｣

〜〜〜
愛友｢あ！愛さんやっほ！｣

愛｢お！友っちおつかれ！ラクロス終わり？｣

愛友｢うん。今終わったとこ。ほんと今マージで疲れてんだわー明日本間ちゃんの指導入っててさー｣

愛｢えーあの人先週も来てなかった！？｣

愛友｢今度の大会に向けて気合い入ってるみたいでさー毎週土曜は来るようになった｣

愛｢うわ想像できる｣

璃奈(あぁ……何話してるか分からない……知らない人こわい……)

愛｢じゃ、紅白戦の時またそっち行くわ、じゃぁね！｣

愛友｢愛さんもまたね！｣

璃奈(あ、終わった)

〜〜〜

璃奈｢割と毎日こう。｣

かすみ｢うわ、これは辛い。｣



今日子｢あ！璃奈ちゃん！｣

璃奈｢あ、今日子ちゃん。C++のお勉強？｣

今日子｢うん、他の言語に比べて難しいけど処理が速いし、AIの分野進みたいからC++かなーって思ってて｣

璃奈｢てことはもうC言語は一通り覚えたんだ。｣

今日子｢うん一応ね。まだ使いこなせては全然ないんだけどね｣

かすみ(待って私の知らない人と知らない話してる……！)

〜二幕完～

【三幕】

璃奈｢紹介するね。こちら、同じ学科の今日子ちゃん。｣

今日子｢今日子です。｣ﾍﾟｺﾘ

璃奈｢こちら、普通科でスクールアイドル同好会のかすみちゃん。｣

かすみ｢みんなのアイドル、かすみんで〜す♡｣

今日子｢わ〜！生かすみちゃんだ〜！｣

璃奈｢このように、今日子ちゃんは同好会のファンだから2人ともすぐ仲良くなれると思う。｣

今日子｢かすみちゃん、PV見ました！｣

かすみ｢ほんとですか！わーい！うれしー！｣

かすみ｢また知らない人と知らない話し始めたからちょっと不安になっちゃいました。｣

今日子｢そんなそんな〜いつもかすみちゃんの活動見てますよ〜｣

かすみ｢本当ですか！？あ、同じ学年だしためでいいかな？｣

今日子｢うん、大丈夫だよ｣

今日子｢そういえばSNSもフォローしてるんだけど……アカウント、わかるかな？｣

かすみ｢うれしい！ほーらりな子！こーやってフォロワーさんとエンカできるんだから！｣

璃奈｢嘘、あのフォロワーの中に……!?まさかそんなはずは。｣

今日子｢これ私だよ。｣

ポムスキー@TTOMCKNN


『 歩夢ちゃんのお団子食べたい』

『 歩夢ちゃんのぽむぽむをぽむぽむしたい』

『 かすみちゃんの寝巻き見れるとか実質同棲じゃん』

『 @Ayumu_Uehara おやすみ?明日も楽しみ』

『@KasuminN サイコー(ﾟ∀ﾟ●))もう1枚！』

『@KasumiN かすみんかわいいですマジ天使かよ』


かすみ｢え゛……っ！このアカウントが……｣

今日子｢私です｣ﾆｺ

かすみ｢なんでかすみん推しじゃないんですかー！！｣

璃奈(そこ!?)

今日子｢もちろんかすみちゃんもいいなーって思うよ、だけどね、私は歩夢ちゃんの真心と純真さが溢れる優しい感じが好きなの。｣

かすみ｢あ……歩夢先輩が……｣

璃奈｢純真……間違ってはないけど……｣

かすみ｢今日子ちゃん、歩夢先輩にはちょっと気をつけてね。｣

今日子｢え、なんかまずい感じなの？｣

かすみ｢普段優しいんだけど時々怖いというか……｣

今日子｢優しい中にも厳しさがあるなんて最高じゃん！ほら今日の1枚も｣


上原歩夢@Ayumu_Uehara

『 今日はミックスベリーコッペパン☺』


今日子｢毎日スイーツツイートしてくれるんだよ。こんなかわいい人が厳しいなんて最高じゃん！｣

璃奈｢今日子ちゃん、その写真みて気づいたこと、ない？｣

今日子｢歩夢ちゃんがかわいいよ？｣

璃奈｢うん、それはそう。だけどね、｣

璃奈｢毎日その写真を撮ってる誰かがいる。｣

今日子｢撮ってる人？｣

かすみ｢だってほら、かすみんの投稿は自撮りメインだけど、歩夢先輩の写真は全部両手がちゃんと写ってるんだよ？これでわかるよね？｣

今日子｢まさか、丁寧な歩夢ちゃんのことだから、きっと3脚を用意してるんだよ！｣

璃奈｢でも、このパンケーキの写真には手前にストローが写ってる。明らかに1人前にいる。｣

今日子｢それね、ホントすごいよね〜！歩夢ちゃんの写真ってデート感を演出しててすごいんだよー！そのためにわざわざもうひとつ注文してるのかな？｣

今日子｢笑顔も自然だし、普段の投稿もほら、｣

『あなたが応援してくれるから、私はスクールアイドルとして輝けるんだよ』

『あなたに出会えて、今日も幸せ。おやすみ☺』

今日子｢ほら！ね、すごくない！私これに返信して寝るのが日課なんだ〜。まさに理想のアイドル！｣

璃奈(ダメだこの子……完全に盲目になってる……)

かすみ｢デート感というか歩夢先輩のそれは多分デ……うわ！ ｣

璃奈｢どうかした？｣

かすみ｢見えちゃいました……。ほら、これ。｣

璃奈｢あ、これは……｣

今日子｢どうしたの？なにか歩夢ちゃんかわいいとこでも……！｣

今日子｢え、これ誰？｣

かすみ｢この写真、グラスに反射して撮影してる侑先輩の顔が思いっきり写ってますね……｣

今日子｢ゆう先輩？｣

璃奈｢歩夢さんの幼なじみ。この前ジョイポリで今日子ちゃん達に会った時もいた｣

今日子｢あ、なんか1人だけ動画で見たことない人いたなーって思ったけど｣

かすみ｢包み隠さず言うと、歩夢先輩と侑先輩は毎日ずーっと一緒にいるんだよ。かすみんが侑先輩に抱きついたら歩夢先輩すっごい目で見てくる。｣

今日子｢うそ……純真な天使の歩夢ちゃんがそんな……｣

今日子｢じゃあ毎日のスイーツツイートも？｣

今日子｢お休みの時の寝巻き写真も？｣

全部｢ユウ先輩って人が撮ってるってこと……？｣

璃奈｢多分そう。｣

今日子｢……ふふ、わかった。なるほどね。道理でSNSが恋人シチュエーションみたい訳だ。｣

今日子｢SNSの投稿は全部『 あなた』ってぼかしたその人の事だったんだ……。｣

今日子｢考えてみれば、複数形の"you"じゃなくて単数形の"あなた"だもんね。｣

璃奈｢悲しくなった？｣

今日子｢うん、やっぱりそれなりにね……ダメージはあるかな。｣

かすみ｢じゃあこれを機にかすみん推しに乗り換えてみるのもいかg……｣

今日子｢でもそんな恋してキュンキュンな歩夢ちゃんがかわいい！！｣

今日子｢やっぱり私、結局歩夢ちゃんファンなんで！！歩夢ちゃんをもっと応援して広めたい！！｣

璃奈｢今日子ちゃん、逞しい。｣

今日子｢ね、かすみちゃん、どうやったらもっと歩夢ちゃんを応援できるかな！？｣

かすみ｢まずは侑先輩に……繋いでみるとか…… ｣

今日子｢できるの！？じゃあ早速ゆう先輩に繋いでみてもらってもいい！？｣

かすみ｢うん。侑先輩もマネージャーだから、多分同じように歓迎してくれると思うよ｣

かすみ ｢『 侑先輩、りな子の友達で歩夢先輩のファンの子がいるんだけど歩夢先輩の支援をしたいみたいで……』と｣

ﾋﾟﾛﾝ

かすみ｢うわっもう返信きた。｣

侑先輩『 ほんと！??歩夢のかわいさを伝えるには人手が足りなかったから大助かりだよ〜！』

かすみ｢こと人もこの人で大概ですね……｣

かすみ｢LINE送ってと……あ、りな子お願いしてもいい？｣

璃奈｢いいけどせっかくだし。｣

かすみ｢そうだね。今日子、LINE交換しよ｣

今日子｢うん。｣

〜〜〜

侑｢そっか〜それでかすみちゃんと仲良くなって〜｣

今日子｢はい、侑先輩が素敵な人で安心しました。そうだ、SIFの歩夢ちゃんのステージプラン考えてみたんですけど、｣

侑｢え！見せて見せて〜！｣


歩夢(あれ？侑ちゃん？)

歩夢(あの子、誰？)

〜三幕完〜
Fin

お付き合い頂きありがとうございました。

過去作一覧です

QU4RTZでかなエマがかすりな甘やかしてるもんだから自分もしずくを甘やかそうとする果林さん
https://itest.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1610532779/

菜々｢コッペパン同好会？｣
https://itest.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1610801530/

かすみ（変装したしずく）「大好きだよしず子…♡」
https://itest.2ch.net/fate/test/read.cgi/lovelive/1617672067

乙
面白かった

おつでした。今日子ちゃんファンの鏡だな。それも含めて推しの魅力だから！って言えちゃうのか