3: 2021/05/17(月) 22:54:49.92 ID:vB6izN+C
絵里 「急にどうしたのよ、亜里沙?」
亜里沙 「うん……あのね? テレビ見てたの」
絵里 「うん」
亜里沙 「でも暗いニュースばかりで……気持ちまで暗くなっちゃって……」
絵里 「……」
絵里 「そっか、おいで亜里沙」
亜里沙 「……うん」 タタタ
亜里沙 「うん……あのね? テレビ見てたの」
絵里 「うん」
亜里沙 「でも暗いニュースばかりで……気持ちまで暗くなっちゃって……」
絵里 「……」
絵里 「そっか、おいで亜里沙」
亜里沙 「……うん」 タタタ
4: 2021/05/17(月) 22:55:38.20 ID:vB6izN+C
ダキッ
亜里沙 「……」
絵里 「亜里沙は、本当に良い子だわ。私の自慢の妹よ」
亜里沙 「……」
絵里 「でも良い子すぎて、悲しいニュースをスルーできないのね……」
亜里沙 「……ダメなのかな」
絵里 「! そんなことないわ! たしかに、世の中をうまく生きていくために、他人事として目を伏せることも大事なのかもしれない。いちいち悲しいニュースに心痛めてたらキリがないもの」
亜里沙 「……」
亜里沙 「……」
絵里 「亜里沙は、本当に良い子だわ。私の自慢の妹よ」
亜里沙 「……」
絵里 「でも良い子すぎて、悲しいニュースをスルーできないのね……」
亜里沙 「……ダメなのかな」
絵里 「! そんなことないわ! たしかに、世の中をうまく生きていくために、他人事として目を伏せることも大事なのかもしれない。いちいち悲しいニュースに心痛めてたらキリがないもの」
亜里沙 「……」
5: 2021/05/17(月) 22:56:53.08 ID:vB6izN+C
絵里 「でも。人が死んだ、悲しいことがあった。って聞いた時に、悲しめる人はとっても素敵な人よ。だって、一緒に悲しんでくれる人は、幸せが訪れた時には、一緒に笑ってくれる人だもの」
亜里沙 「……でも、亜里沙はきっと弱いんだよお姉ちゃん。だって、周りに優しい人はたくさんいる。お姉ちゃんもすごく優しいもん。でも、お姉ちゃんは私に弱いところをあまり見せなかったから。それこそμ'sに入るときくらいだもん。だからきっと亜里沙が」
絵里 「ううん、亜里沙、違うの。人のために涙を流せるのは強さなのよ、強いからできることなの。たしかに優しくてもニュースで涙を流さない人はいる、でもそれは悪いことじゃない。辛いことがたくさんあると、きっと、自然にそうなっていくんだと思う。自分の心を壊さないためにも」
亜里沙 「……」
亜里沙 「……でも、亜里沙はきっと弱いんだよお姉ちゃん。だって、周りに優しい人はたくさんいる。お姉ちゃんもすごく優しいもん。でも、お姉ちゃんは私に弱いところをあまり見せなかったから。それこそμ'sに入るときくらいだもん。だからきっと亜里沙が」
絵里 「ううん、亜里沙、違うの。人のために涙を流せるのは強さなのよ、強いからできることなの。たしかに優しくてもニュースで涙を流さない人はいる、でもそれは悪いことじゃない。辛いことがたくさんあると、きっと、自然にそうなっていくんだと思う。自分の心を壊さないためにも」
亜里沙 「……」
7: 2021/05/17(月) 22:59:09.74 ID:vB6izN+C
絵里 「私もそうだった。自分で精一杯だった。だから、人のために悲しんだり、涙を流したり、それは強さなの」
亜里沙 「……そう、なのかな」
絵里 「うん、きっと……そうなのよ」
亜里沙 「……」
絵里 「……」
亜里沙 「……昨日、クラスメイトのね、人がね、別のクラスメイトの人の悪口を言ってたんだ」
絵里 「!」
亜里沙 「……そう、なのかな」
絵里 「うん、きっと……そうなのよ」
亜里沙 「……」
絵里 「……」
亜里沙 「……昨日、クラスメイトのね、人がね、別のクラスメイトの人の悪口を言ってたんだ」
絵里 「!」
8: 2021/05/17(月) 23:01:28.98 ID:vB6izN+C
亜里沙 「それを、近くで一緒に昼ごはんを食べてた雪穂と私が聞いちゃったの。私は許せなくて、怒っちゃった」
絵里 「……」
亜里沙 「雪穂も一緒に怒ってくれた。でも、雪穂は相手にも気を使ってるみたいだった。悪口を言った相手に気を使うなんて、って後で雪穂に問い詰めたの。そしたら」
雪穂 『でも亜里沙。言い過ぎちゃったら、今度は私たちが、相手を傷つけちゃうよ』
亜里沙 「……そう言われたとき」
絵里 「……」
亜里沙 「分かんなくなっちゃった。優しさって何なのかな、って」 ポロポロ
絵里 (亜里沙……)
絵里 「……」
亜里沙 「雪穂も一緒に怒ってくれた。でも、雪穂は相手にも気を使ってるみたいだった。悪口を言った相手に気を使うなんて、って後で雪穂に問い詰めたの。そしたら」
雪穂 『でも亜里沙。言い過ぎちゃったら、今度は私たちが、相手を傷つけちゃうよ』
亜里沙 「……そう言われたとき」
絵里 「……」
亜里沙 「分かんなくなっちゃった。優しさって何なのかな、って」 ポロポロ
絵里 (亜里沙……)
10: 2021/05/17(月) 23:03:35.73 ID:vB6izN+C
亜里沙 「それで色々悩んじゃって、今日の朝テレビを見たときに気付いたの。いつも素通りしてたけど、たくさん辛いことはあるって」
絵里 「……でも亜里沙は間違ってないわ。もちろん、雪穂ちゃんも間違ってない」
亜里沙 「だ、だけど」
絵里 「寛容は不寛容に勝てない、そういう言葉があるわ。そして、この世界では正義としての刀が何より恐ろしいとも言われてる。結局、優しさっていうのは大人になっても分からないことだらけなのよ」
亜里沙 「……」
絵里 「……でも亜里沙は間違ってないわ。もちろん、雪穂ちゃんも間違ってない」
亜里沙 「だ、だけど」
絵里 「寛容は不寛容に勝てない、そういう言葉があるわ。そして、この世界では正義としての刀が何より恐ろしいとも言われてる。結局、優しさっていうのは大人になっても分からないことだらけなのよ」
亜里沙 「……」
11: 2021/05/17(月) 23:06:52.73 ID:vB6izN+C
絵里 「だけど、より良くしてこうって気持ちがないと、何も変わらないことも分かってるわ。だから亜里沙は間違ってない。最初に言ったでしょ? 優しさは本当に大事なことなのよ」
亜里沙 「お姉ちゃん……」
絵里 「結局、今言えることはそれだけ、それ以上は、大人になっても分からないことだから、そう曖昧になってしまうけど。でもひとつだけ言わせて? 亜里沙」
亜里沙 「……うん」
絵里 「何もかもすべて気にしてたら生きていけない。でも、他人事でスルーして生きるのもまた違うの。亜里沙、優しさはね、何よりも大事なことなの。だから大切にして。亜里沙の笑顔も、亜里沙の大切な人の笑顔も、守るためにね」
亜里沙 「……」
亜里沙 「お姉ちゃん……」
絵里 「結局、今言えることはそれだけ、それ以上は、大人になっても分からないことだから、そう曖昧になってしまうけど。でもひとつだけ言わせて? 亜里沙」
亜里沙 「……うん」
絵里 「何もかもすべて気にしてたら生きていけない。でも、他人事でスルーして生きるのもまた違うの。亜里沙、優しさはね、何よりも大事なことなの。だから大切にして。亜里沙の笑顔も、亜里沙の大切な人の笑顔も、守るためにね」
亜里沙 「……」
12: 2021/05/17(月) 23:09:03.20 ID:vB6izN+C
絵里 「もし、亜里沙の優しさを利用しようとする人が出てきても、絶対お姉ちゃんが守るから。だから優しい亜里沙でいて」
亜里沙 「……」
絵里 「ね?」
亜里沙 「……うん。ありがとう、お姉ちゃん」
絵里 「……ふふ、どういたしまして」
亜里沙 「……」
絵里 「ね?」
亜里沙 「……うん。ありがとう、お姉ちゃん」
絵里 「……ふふ、どういたしまして」
13: 2021/05/17(月) 23:11:15.54 ID:vB6izN+C
亜里沙 「……」
絵里 「……」
亜里沙 「ごめんお姉ちゃん。なんか温っぽくなっちゃったね」
絵里 「亜里沙、多分、それは湿っぽくなっちゃったが正解よ。お湯が冷めちゃうから」
亜里沙 「……今日は久しぶりに一緒に寝ても良いかな」
絵里 「もちろん! せっかくだから昔みたいに私が絵本読んであげよっか?」
絵里 「……」
亜里沙 「ごめんお姉ちゃん。なんか温っぽくなっちゃったね」
絵里 「亜里沙、多分、それは湿っぽくなっちゃったが正解よ。お湯が冷めちゃうから」
亜里沙 「……今日は久しぶりに一緒に寝ても良いかな」
絵里 「もちろん! せっかくだから昔みたいに私が絵本読んであげよっか?」
14: 2021/05/17(月) 23:13:28.26 ID:vB6izN+C
亜里沙 「いいの!?」 パァァ
絵里 「もちろん。かしこいかわいいエリーチカに任せなさい!」
亜里沙 「やったーーー!!」
絵里 「じゃあこの本にしようかしら。むかしむかし……」
…
…
…
絵里 「もちろん。かしこいかわいいエリーチカに任せなさい!」
亜里沙 「やったーーー!!」
絵里 「じゃあこの本にしようかしら。むかしむかし……」
…
…
…
15: 2021/05/17(月) 23:15:35.25 ID:vB6izN+C
絵里 「『最後に小人さんは心から願いました。―― 少しだけでも、世界が優しくなるように。』」
亜里沙 「……」 ウトウト
絵里 「ふぅ、久しぶりに読んだら思ったよりも疲れたわね、って亜里沙?」
亜里沙 「うぅ……おねえちゃ……zzz」 スピースピー
亜里沙 「……」 ウトウト
絵里 「ふぅ、久しぶりに読んだら思ったよりも疲れたわね、って亜里沙?」
亜里沙 「うぅ……おねえちゃ……zzz」 スピースピー
16: 2021/05/17(月) 23:17:45.17 ID:vB6izN+C
絵里 「もぅ、寝ちゃったのね。でもすごく可愛い寝顔……私の大好きな笑顔……」
亜里沙 「ありがとぉ……おねえちゃん……zzz」 スピースピー
絵里 「ふふ、こちらこそ……。いつもありがとね、おやすみ亜里沙」 ニコッ
おわり
亜里沙 「ありがとぉ……おねえちゃん……zzz」 スピースピー
絵里 「ふふ、こちらこそ……。いつもありがとね、おやすみ亜里沙」 ニコッ
おわり
17: 2021/05/17(月) 23:23:14.51 ID:vEhdyZJg
これは乙
19: 2021/05/17(月) 23:29:24.12 ID:6L9MeZAu
これは賢いえりち
亜里沙が感受性強そうなのわかりすぎる
亜里沙が感受性強そうなのわかりすぎる
20: 2021/05/17(月) 23:30:32.87 ID:otMKBgu+
さすが公式で天使な亜里沙ちゃん
21: 2021/05/17(月) 23:36:16.19 ID:vB6izN+C
ありがとうございました。
今なにもかもが暗い世の中、明るい気持ち・優しい気持ちの大切さが改めて身に染みます。ということでそれをテーマにssを書いてみました。
亜里沙ちゃんの優しさ、絵里ちゃんの優しさ、やはり姉妹の絆は素敵です。
前作
希 「真姫ちゃんにちょっかいをかけるの巻」
前々作
海未 「山に行きますよーー!」 穂乃果・ことり 「「いえーーーい!!」」
今なにもかもが暗い世の中、明るい気持ち・優しい気持ちの大切さが改めて身に染みます。ということでそれをテーマにssを書いてみました。
亜里沙ちゃんの優しさ、絵里ちゃんの優しさ、やはり姉妹の絆は素敵です。
前作
希 「真姫ちゃんにちょっかいをかけるの巻」
【SS】希 「真姫ちゃんにちょっかいをかけるの巻」【ラブライブ!】
希 「凛二等兵!」
凛 「にゃ! なんでしょう希隊長!!」
希 「真姫ちゃんっていつもクール気取るやん?」
凛 「その通りにゃ! クールじゃないくせにいつもクール気取ってるにゃ!! 前だってノート見せてって言っただけなのに説教が始まるなんて……」 ブツブツ
海未 「それは完全に私怨ですよ、凛」
希 「実際は純粋だしチョロいし周りに甘々なのに、クール気取ってる真姫ちゃんに今からウチはちょっかいをかけたいと思ってます」
海未 「ちょっかい……? 希!! 真姫だって毎日忙しいのですよ!? そんなくだらない理由で」
前々作
海未 「山に行きますよーー!」 穂乃果・ことり 「「いえーーーい!!」」
【SS】海未 「山に行きますよーー!」 穂乃果・ことり 「「いえーーーい!!」」【ラブライブ!】
海未 「遭難しましたぁぁぁ!!」
穂乃果・ことり 「「えーーーっ!?」」
ピュュューーーー
ピュュューーーー
穂乃果 「遭難しちゃったの!?」
海未 「そうなんですよ」
穂乃果 「言ってる場合じゃないでしょ!?」
ことり 「ことりたち死んじゃうのかなぁ……」 グスッ
穂乃果 「うぅ、ことりちゃん泣かないで」
海未 「とりあえず助けを呼びましょう、真姫に連絡してみます」
穂乃果 「うん、よろしくね……」
引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1621259623/