【SS】絵里(28)「同窓会行きたくないわ・・・」

同窓会のお知らせ

拝啓 初秋の候 皆様におかれましては益々ご健勝のことと お慶び申し上げます。

さて、このたび同窓会を下記のとおり開催する運びとなりました。

御多忙とは思われますが、皆様のご来会をお待ちしております。　　敬具

絵里「同窓会の案内がついに来たわ」

絵里「行きたくないわ・・・」

絵里「希やにこにはもう何年も会ってないし

絵里「私、仕事すらしてないのに・・・行けるわけないじゃない」

絵里「やる事と言えばFF14ばっかだし・・・亜里沙と二人暮らしで亜里沙の稼ぎで暮らしてるし・・・・」

絵里「かしこくてかわいい私のイメージを壊すわけにはいかないわ・・・」

絵里「って事でこれは郵便受けに封印！見なかったことにしましょう。」

絵里「希とにこには仕事で行けないって後で電話すれば良いわよね」

翌日

亜里沙「お姉ちゃん、同窓会の案内 ◯つけてポストに出しておいたよ」

絵里「なんてことするのよ！！！！！！！！！」

亜里沙「え・・・なにかまずかった・・？」

絵里「まずいわよ！！！！！！こんな私を見て、誰があの絢瀬絵里だと思うのよ！！！」

亜里沙「大丈夫だよ・・・お姉ちゃん綺麗だし、とても無職だとは思わないし。」

絵里「見る人が見たら無職人のオーラで分かるのよ！！！！」

亜里沙「メチャクチャだよ お姉ちゃん・・・」

絵里「ああ・・もう・・・どうするのよ・・・」

亜里沙「でも良い機会だと思うよ。働いてる同世代の人を見れば、お姉ちゃんの現状を把握出来るよ。それでやる気出るんじゃない？」

絵里「イヤよ 絶対にイヤ。そんなの見たらコンプレックスで死んでしまうわよ！！！」ジタバタ

亜里沙「・・・・・・・・・」ピキッ

亜里沙「・・・・・・・」 ピポパ

絵里「あ、亜里沙？」

絵里「あ、亜里沙？」

亜里沙「もしもし。あ、希さん。亜里沙です。お久しぶりです。 ええ、その件です。お姉ちゃんも参加します。」

亜里沙「ええ、お姉ちゃんですか？今ちょっと忙しいみたいで私が代わりに電話を・・・はい。 はい。 ええ、では伝えておきます。お忙しいところ申し訳ありませんでした。では失礼致します。」

亜里沙「・・・・・という事だから」ニコ

絵里「ああああああああああああ！！！！！！！！！！！！！もう！！！！なんて事するのよ！！！！！！！！！！
」

亜里沙「もう逃げられないよ。諦めて行ってこよう？行けばきっと楽しいよ」

絵里「うう・・・こうなったら仕方ないわ・・・！やってやろうじゃない！」

亜里沙「その意気だよ お姉ちゃん」

絵里「だから亜里沙、私の仕事の設定考えるわよ！！！」

亜里沙「お姉ちゃん働こうよ・・」

当日

絵里「ス・・・スーツなんて着るの就活以来ね・・・えーと・・化粧ってどうやるんだったかしら・・」

亜里沙「お姉ちゃん・・・私がやってあげるよ・・・」ペタペタ

(大丈夫 大丈夫・・・)

(私は可愛い )

(私は賢い)

(そうよ。私はあの音ノ木坂を救った伝説の生徒会長なのよ)

(一世一代の嘘を突き通してみせるわ！)

会場

モブ「やっぱり絢瀬さん 綺麗ですねー」

絵里「ふふ、ありがとう。」

(良いわよ・・・誰も私に違和感を感じでいないようね・・・楽勝じゃない。)

にこ「絵里、久しぶりね」

絵里(・・・・・！)ドキッ

絵里(だ・・・大丈夫。設定はしっかりと考えてきたんだもの 焦らず 焦らず・・・)

絵里「・・・久しぶりね にこ。」

絵里(うわ・・・雰囲気だいぶ変わったわね・・・これが社会人の醸し出すパッシブスキルなのかしら)

絵里「ず・・ずいぶん大人っぽくなったわね・・・」

にこ「そう？あー・・でも妹達に最近昔のママに似てるってよく言われるわ。嬉しいとも思うけど歳とったと感じてなんともいえなくなるわ。」

にこ「絵里は、昔のまま変わらないわね。羨ましいわ」

絵里「・・・・・」

(ま・・・まさか仕事してない事をバレてないわよね・・・？社会経験のなさの幼さを感じとられてないわよね？)

絵里「そ、そう？私だって変わったわよ。昔のままってわけではないわ。」

(ある意味本当に昔から変わってしまったけど・・・・)

にこ「そういえば絵里は仕事は何してるの？」

(きたわね！ふふ、この質問は想定内よ。亜里沙と何回も練習したもの。)

絵里「私は◯◯コーポレーションで総務やってるわ。」

にこ「知らない会社ね」

(・・・そりゃそうよ。亜里沙と考えた架空の会社だもの・・・)

にこ「どんな会社かしら」スマホポチポチ

絵里「ストオオオオオオオオオオオオップ」

にこ「な、なに・・・？」ビクッ

絵里「そ、その小さい会社だからホームページとかはないの！良い？調べても無駄よ！？」

にこ「・・・・そ、そう。分かったわ」ジーッ

絵里(あ、怪しんでるわ・・・ここは話変えないと)

絵里「にこは今どんなことやってるの？」

にこ「私は数年前までアイドルやってたでしょ。今は引退して事務所で後輩育成の方を担当してるわ」

にこ「ここで経験積んでいつかは自分で会社起こしたいわね」

絵里「素晴らしい夢じゃない。」

にこ「それで・・・絵里の方は・・」

絵里「あー！希じゃない。こっちよ こっち！」

希「お、えりちとにこっちやん」

希「にこっちは大人っぽくなったなー」

にこ「そ、ありがと。」

希「こっちは全然成長してないみたいだけど」ワシワシ

にこ「ちょ！まったく、子供みたいな事はやめなさい！」ジタバタ

希「ふふふ、やっぱにこっちはこうじゃなくちゃな」

にこ「ったく、希は今何してるのよ」

希「ウチは◯◯コーポレーションってとこで働いてるんよ。」

絵里「・・・・・・・」ブーッ

モブ「あ、絢瀬さん！大丈夫ですか。どうしました？むせましたか？」

絵里(なんでその会社が存在してるのよ！！！！！)

にこ「それ・・・絵里の会社と同じところね・・・」

希「・・・・・・・・」

絵里「そうよ！今、私は希と同じところで働いてるのよ！！！！」ジロッ

絵里「ね・・・！希！そ！う！で！しょ！」ギロ

希「そ、そうやね・・・・」チラ

(希 ありがとう！！！！！！！)

希「あー・・・うん。えりちは今ウチと同じ会社で営業やっとるんよ」

にこ「営業・・？さっき絵里は総務にいるって聞いたけど」

希「・・・・・・・・・・・」

絵里「・・・・・・・・・・・・」

にこ「・・・・・・ねぇ、二人とも本当に働いてるの？」

希「えりちは嘘だけどウチはホンマに働いとるで！！！！」名刺みせー。

絵里「希の裏切り者！！！！！！！！」

希「これ以上誤魔化すの無理やって。やるなら最初から教えてくれへんと出来るわけないよ」

絵里「ニートだから口裏合わせてなんて言える訳ないじゃない！！！」

出席者全員 じーっ

絵里「あ・・・・」

絵里「あああああ死にたい 死にたい 死にたい！！！！！！！！！！！！！！」

にこ「・・・・・・」

希「えりち・・・・」

みんな「・・・・・・」ごくり・・


絵里「何よ！何が悪いのよ」

絵里「別に仕事なんてしてなくて良いじゃない！それで生きてるんだから良いじゃない。」

絵里「同窓会なんて成功者達の自慢したがり会じゃない！！！！茶番よ茶番！！！」

絵里「そんな中ここに来ただけでも凄いことじゃない！！！」

絵里「そうよ。私は生きてるのよ！！！！！！！精一杯生きてるのよ！！！！」

家

亜里沙「お姉ちゃん、これで分かったでしょ。働かないとどうなるのか。」

亜里沙「さ、これからは真面目に人に誇れるように仕事を探そう。私も応援するよ」

絵里「いえ・・もう色んな人に私が無職なのバレたし、もう恐れるものがなくなったわ」

絵里「さぁ、今日もエオルゼアで冒険ね」

亜里沙「いい加減 働け！！！！」


おわり

助けておばあさま…

これはおうちに帰りますねぇ...