【SS】かのんのグルメ【ラブライブ!スーパースター!!】

Liella!ーSS


1: (らっかせい) 2022/01/31(月) 00:52:29.59 ID:IlXV4tn8
お読みになる前に

このssはかのんがliellaメンバーのご飯を食べるだけの作品です。キャラクターの描写や誤字脱字等の誤りがありましたら申し訳ありません。
 

3: (らっかせい) 2022/01/31(月) 00:53:54.31 ID:IlXV4tn8
嵐千砂都のタコづくし御膳


かのん「はぁ、疲れたぁ……」

千砂都「お疲れ、かのんちゃん。 ダンスのキレがどんどん良くなってるね」

かのん「ありがと、ちぃちゃん……でも優勝するんだったら今よりずっと動けるようにならないと」

千砂都「そうだねぇ。やっぱり体力があれば無理せず動けるようになるし、そのぶんダンスにも余裕が生まれてかろやかに見えるよね」

かのん「だよね……だけどさすがにくたびれたよ」

千砂都「あははっ、無理もないよ……まぁ「千里の道も一歩から」って言うし、ちょっとずつ力を付けていこう?」

かのん「うん……って、もう///」小さくお腹の音が鳴り、思わず顔を赤らめる……
 
4: (らっかせい) 2022/01/31(月) 00:54:37.54 ID:IlXV4tn8
千砂都「あははっ、可愛いお腹の音だったね♪」

かのん「……聞かなかったことにして///」

千砂都「えー? かのんちゃんと私の間で、今さら隠し立てするような事なんてないと思うけどな」

かのん「ちぃちゃんが良くっても私が恥ずかしいの……!」

千砂都「ふふ、かのんちゃんは乙女だからね」

かのん「……からかわないでよ///」

千砂都「ごめんごめん……そうだ、良かったらうちでご飯でも食べていかない?」
 
5: (らっかせい) 2022/01/31(月) 00:55:12.29 ID:IlXV4tn8
かのん「ちぃちゃん家でご飯かぁ……そうだね、たまにはいいかも」

千砂都「分かった、それじゃあ決まりだね」

かのん「うん。じゃあお母さんに連絡しておかなきゃ……」

千砂都「うぃっすー♪」
 
6: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:01:39.29 ID:IlXV4tn8
…千砂都ハウス・玄関先…

かのん「……ちぃちゃんの家って久しぶりかも」

千砂都「そうだねぇ……あ、ちょっと部屋を片付けるから待っててね」

かのん「そんな気をつかわなくたっていいのに」

千砂都「まぁまぁ「親しき仲にも……」って言うし……大丈夫、すぐ済ませるから」

…数分後…

千砂都「……お待たせ、入っていいよ♪」

かのん「お邪魔しまーす」

千砂都「はーい……お帰りなさい、かのんちゃん。 ご飯にする? お風呂にする? それともわ・た・し?」

かのん「もう、ちぃちゃんってば……///」

千砂都「冗談だよ、かのんちゃん……それじゃあすぐご飯にするから、手洗いとうがいを済ませておいてね」

かのん「うん」
 
7: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:03:01.88 ID:IlXV4tn8
かのん「ちぃちゃん、何か手伝おうか?」

千砂都「大丈夫だから座ってていいよ」

かのん「でも、何にも手伝わないのも悪いし……」

千砂都「それじゃあお箸でも並べておいてもらおうかな♪」

かのん「分かった」

…しばらくして…

千砂都「……はい、お待たせ」

かのん「わぁ、タコだらけだね」

千砂都「いやぁ、豊洲で安かったからついついたくさん仕入れちゃって……そのお余りみたいなモノだから、遠慮せずにたくさん食べてね♪」
 
8: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:05:05.18 ID:IlXV4tn8
…色とりどりの鞠の模様も可愛らしいまんまるな有田焼の茶碗には、淡い茶色の炊き込みご飯がふんわりと盛られている……隣の汁椀には澄んだすまし汁が湯気を立て、小鉢には飴色に煮えたタコ脚のぶつ切りが三つ四つ入っていて、上に針生姜がのせてある……そしてテーブルの中央、向かい合わせに座った二人の間には、薄切りにしたタコにオリーヴオイルをたらし、サラダ菜やかいわれ大根のような青物をあしらった洋皿が鎮座している…
 
9: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:05:53.80 ID:IlXV4tn8
かのん「それじゃあ、いただきます」

千砂都「どうぞ召し上がれ♪」

…まずは喉湿しと言うことで、椀のお汁に手を付けたかのん……ごくあっさりとした味付けのおすましは、戻しておいてさっと汁にくぐらせたワカメをおつゆの「身」として、ぱらりと刻んだネギが散らしてある…

かのん「ワカメがシャキシャキしてて美味しいね」

千砂都「乾燥ものじゃなくて塩蔵のワカメだからね……塩抜きのタイミングを間違えるとしょっぱいし、すごく量が増えるからうっかり戻すと大変なことになるんだけど、美味しさは段違いだよね」

かのん「へぇ……ちぃちゃんはお料理も上手だし、きっといいお嫁さんになれるね」

千砂都「えへへ……それじゃあかのんちゃんのお嫁さんに立候補しちゃおうかな♪」

かのん「いいよ、ちぃちゃんがお嫁さんならきっと毎日幸せだもん」

千砂都「もう、かのんちゃんってば上手なんだから……それに私なんてまだまだだし、もうちょっとだけ待っててね」

かのん「そんなことないと思うけどなぁ……」
 
10: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:06:46.39 ID:IlXV4tn8
千砂都「……それより、おしゃべりしているとせっかくのご飯が冷めちゃうよ?」

かのん「いけない、そうだった……はむっ」

…少し固めに炊き込んであるタコの炊き込みご飯は米の粒立ちがしっかりしていて、ほわっと立ちのぼる醤油と出汁の香り、そしてぶつ切りにしたタコの脚からほどよく染みこんだ味わいが口の中でじんわりと広がる…

かのん「ふわ……はむっ……」

千砂都「美味しい?」

かのん「うん、とっても美味しい……タコも固くないし、味が良く染みてる」

千砂都「ふふーん♪ たこ飯は生のタコをぶつ切りにして炊き込むやり方もあるんだけど、今回は別に煮付けておいたのを炊き込んだの……お米は白いご飯にも炊き込みご飯にもよく合うから宮城の「ひとめぼれ」にして、お出汁の分だけお水を減らして、最後に煮付けのタコを散らして炊き込んだんだ。 その余りがこっちの小鉢なんだけどね」
 
11: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:08:26.61 ID:IlXV4tn8
かのん「そうなんだ……それじゃあこっちも……」

…柔らかく煮付けられているタコの脚はもっちりとしていながら歯切れもよく、醤油とみりん、それに日本酒で甘めに味付けされている…

かのん「わぁぁ……タコってこんなに柔らかいんだ」

千砂都「タコはゆっくり煮付けていくと柔らかくなるんだよね……あとは調理の前に酒に浸けるか、叩くとかするといいみたい。それにこれはモーリタニア産だから、明石のものより柔らかいんだ」

かのん「へぇ、モーリタニアかぁ……そんな遠くから運ばれてくるんだね」

千砂都「うん。地元の人は「気持ち悪い」から食べないんだって」
 
12: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:11:33.80 ID:IlXV4tn8
かのん「地域によって色々なんだね……それじゃあ、今度はこれもいただこうかな」

千砂都「どうぞ。これはタコをカルパッチョ風にしてみたんだけど……どう?」

…さっと茹でたタコを薄くスライスして、上から岩塩を少し振ってあるカルパッチョ風……かいわれやサラダ菜のシャキシャキした歯ざわりと、ほどよい塩気がちょうどいい…

かのん「うん、これだと蒸し鶏のサラダみたいになるね……さっぱりしててすごくいいよ」

千砂都「あんまり和食には合わないけどね」

かのん「まぁまぁ。それにこういうのもおしゃれでいいと思うな」
 
14: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:14:16.98 ID:IlXV4tn8
かのん「……ふぃー、ごちそうさまでした」

千砂都「美味しかった?」

かのん「うん、美味しかった……温かいご飯とお汁があるっていいよね」

千砂都「あはは、かのんちゃんってばお年寄りみたい」

かのん「だって本当に美味しかったんだもん……それとも、ちぃちゃんと一緒だったから美味しかったのかな」

千砂都「……かのんちゃん、それはちょっと恥ずかしいよ///」

かのん「えっ……うわ、今のなし!」

…帰り際・玄関…

千砂都「……また良かったらいつでも食べに来てね」

かのん「ありがと、ちぃちゃん……それじゃあまたね。うぃーっす♡」ユビキス

千砂都「うぃーっす♡」
 
15: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:16:57.27 ID:IlXV4tn8
二品目

…唐可可の上海炒麺と紅焼肉(ホンシャオロウ)…

…とある日…

可可「かのん、かのん」

かのん「どうしたの、クゥクゥちゃん?」

可可「クゥクゥは、かのんに頼みごとがありマス」

かのん「頼み事?」

可可「ハイ」

かのん「……それで、その「頼み事」って?」

可可「はい、実は……」
 
16: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:18:24.63 ID:IlXV4tn8
かのん「……なるほどね。すみれちゃんに料理の腕前を披露したいんだ」

可可「ハイ……神津島の時は料理を焦がしてしまいましたガ、あれは慣れない場所で慣れない道具だったからデス」

かのん「それで今度こそちゃんとした料理をご馳走してあげたい……と」

可可「その通りデス。まずはかのんに味見をしてもらって、そして今度こそすみれをうならせるような美味しい上海料理をご馳走してあげたいと思ってマス」

かのん「分かったよ、それじゃあいつにしようか……」

可可「今からデス」

かのん「今から?」

可可「ハイ。まさに「善は急げ」デス」

かのん「うーん、今からかぁ……まぁお昼の予定もないし、いいよ」
 
17: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:19:32.25 ID:IlXV4tn8
…可可ルーム…

可可「さぁどうぞ、遠慮せずにかけてくだサイ」

かのん「うん……このジャイアントパンダのクッション、可愛いね」

可可「はい、クゥクゥのお気に入りデス♪」

かのん「そっか……それと綺麗になったよね」

可可「き、綺麗……///」

かのん「あ、いや……綺麗っていうのは「部屋の段ボール箱が片付いて」って言う意味で……///」

可可「大丈夫、ちゃんと分かってマス……不意打ちだったから驚いただけデス///」
 
18: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:21:40.38 ID:IlXV4tn8
かのん「えーと……そ、それじゃあ何を作ってくれるのかな」

可可「はい、今日は上海炒麺に紅焼肉デス」

かのん「おぉ、本格的だね」

可可「上海料理は江蘇料理や浙江料理のいいところが合わさった比較的新しい料理デスシ、貴州や四川のように辛い料理がないので食べやすいはずデス」

かのん「なるほど……」

可可「そんなことを言っている間に、じゃーん♪」
 
19: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:22:47.23 ID:IlXV4tn8
かのん「すごい、もう出来たんだ」

可可「ハイ。とりあえず紅焼肉が出来るまでの間に上海炒麺を食べていてくだサイ、冷めてしまっては美味しくありまセン」

…白地に鳳凰の描かれた楕円の中華皿に盛られている太めの焼きそばと、隣に置かれた温かいキンモクセイ茶…

かのん「それじゃあお言葉に甘えて……いただきます」

…太めの麺で色も濃い様子から味付けもかなりしょっぱいものと思っていたが、案外甘い目の味付けで、さっと炒め合わせた千切り豚肉と青梗菜というシンプルな具材がなかなか良く合っている…

かのん「ん、おいしい」

可可「好! それはよかったデス」忙しそうに台所を動き回っている可可の背中から、声だけがかのんの方に飛んでくる……

かのん「うん、甘い目の味付けで食べごたえがあるね……砂糖醤油というか、オイスターソースというか……何の味だろ?」
 
20: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:24:08.94 ID:IlXV4tn8
可可「あぁ、それは中国醤油デス。 色は濃いデスガ甘めなので、色んな料理によく合いマス」

かのん「なるほど……中華料理の独特の風味ってこれだったんだ」

可可「そうデス」

かのん「なるほどね……それに麺もただ炒めてあるだけじゃないみたい、すごくもっちりしてる」

可可「ハイ。麺は先に茹でて、それを炒めてありマス」

かのん「やっぱり……って、もう食べ終わっちゃった」

可可「美味しかったデスカ?」
 
21: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:27:00.19 ID:IlXV4tn8
かのん「うん、美味しかった……ワガママを言うともうちょっと欲しいかな、って感じ」

可可「まぁまぁ、まだ紅焼肉が待ってますカラ」

かのん「そうだったね……あー、待ち遠しいな」中華鍋と中華おたまが触れあう音と、漂ってくる良い匂いに食欲を刺激されているかのん…

可可「お待たせしまシタ、かのん。 クゥクゥの特製「紅焼肉」デス」

かのん「おぉ……すごい照りがあってつやつやしてる」
 
22: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:29:29.03 ID:IlXV4tn8
…やはり楕円の皿に載せられてきたのは東坡肉や角煮のような見た目をした料理で、赤っぽい照りと艶が食欲をそそる…

かのん「わぁ……すっごく美味しそう」

可可「ささ、どうぞ食べてみてくだサイ♪」

かのん「それじゃあお言葉に甘えて……あむっ」

…紅焼肉を一切れ取って口の中に運ぶと、ほのかな山椒と八角の香りと、甘辛い味のよく染みこんだ豚肉がとろりととろける…

かのん「んー、脂身のところはとろっとろで、赤身のところはほろっとほぐれて……よくある言い方だけど、本当に「口の中で溶けちゃう」みたい……これ、作るのにすっごく時間がかかってるんじゃない?」
 
23: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:30:32.22 ID:IlXV4tn8
可可「ハイ。紅焼肉は時間がかかるノデ先にある程度済ませておいて、最後の仕上げだけかのんが来てからやりまシタ」

…まず揚げ焼きにするようにして肉の表面に焼き目を付け、表面がカリッとしたら肉を取り出し、鍋肌に残った肉の脂や汁を少しだけ残して後は取りのけ、残っている脂っ気にしょうがやネギの青い部分、中国醤油や紹興酒を入れて味を作る……そこに肉を戻してたっぷりと絡ませる…

かのん「なんだかごめんね、面倒だったでしょ?」

可可「そんなことアリマセン。せっかく料理を作るなら、時間がかかっても「美味しい」って言ってもらえるほうがいいに決まってマス」

かのん「その気持ち分かるかも……やっぱり「美味しかったよ」って言ってもらえるのが作った人にとっては一番うれしい言葉だもんね」

可可「ハイ♪」

かのん「それじゃあクゥクゥちゃんにもちゃんと言わないと……とっても美味しかったよ」

可可「ありがとう、かのん///」
 
24: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:31:34.59 ID:IlXV4tn8
かのん「はぁ、お腹いっぱい……そうだ。お礼っていうほどじゃないけど、お皿を洗うの手伝うよ」

可可「不客気(どうぞおかまいなく)、後でクゥクゥが洗いますカラ」

かのん「そう?」

可可「ハイ、かのんが笑顔になってくれればクゥクゥは満足デス」

かのん「そんな風に言われるとなんだか照れるね///」

可可「……っ、今のは取り消しデス///」

かのん「いや、もう聞いちゃったし……///」

可可「……そ、ソレデハ今度はかのんがクゥクゥにご飯をご馳走してくだサイ///」

かのん「そ、そうだね……それじゃあ、しぇーしぇー、しょーろんぽー、つぁいちぇん///」

可可「ハイ、また学校デ……再見///」
 
25: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:34:26.72 ID:IlXV4tn8
三品目

…平安名すみれの精進ごはん…

…平安名神社・門前…

かのん「はっ、ふっ……はっ、ふっ……」

すみれ「……あら、かのんじゃない……その様子だとランニングね?」

かのん「あ、すみれちゃん……うん、トレーニングで……はぁ、ふぅ……この辺りを走ってて……すみれちゃんは神社のお手伝い?」

すみれ「ええ、今度うちの神社の祭礼があるから色々とね……それよりずいぶん汗ばんでるわよ、冷たいお茶でも飲んでいかない?」

かのん「いい? ありがとう……今日は思ってたより暑くって……」

すみれ「もう、無理するんじゃないわよ……かのんったら本当に頑張り屋さんなんだから」

かのん「すみれちゃんだってそうでしょ?」

すみれ「かもね……さ、上がって?」
 
26: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:38:24.71 ID:IlXV4tn8
かのん「お邪魔しまーす……」

すみれ妹「……お姉ちゃん、誰か来たの?」

かのん「どうも、お邪魔してます」

すみれ妹「あ、えーと……お姉ちゃんのお友達の……」

かのん「はい……えーと、いつもすみれちゃんにはお世話になっており……」

すみれ「なに二人してかしこまってるのよ……はい、お茶」お盆に冷えた麦茶のポットとグラスを持ってきて、たっぷり注いで渡す……

かのん「ありがと、すみれちゃん……ごく、ごくっ……」

…二つほど氷が浮かんでいて、グラスの表面に露が降りた冷たい麦茶をごくごくと飲む…

すみれ「いいのよ……それよりそろそろお昼だけど、かのんはどうするの?」
 
27: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:39:32.08 ID:IlXV4tn8
かのん「たぶんお昼過ぎたらカフェも空くから、そうしたら朝の残り物とかで適当に済ませるつもりだけど……どうして?」

すみれ「いえ、どうせだからうちで食べていかない?」

かのん「すみれちゃんの所で? でも急に来てお茶をごちそうになったのに、その上お昼ご飯までー……なんて悪いよ」

すみれ「構わないったら構わないわよ……ほとんどは作り置きのおかずだし、二人も三人もそう変わらないわ」

かのん「うーん、それじゃあお言葉に甘えちゃおうかな……」

すみれ「決まりね……それじゃあちょっと着替えて用意してくるから、座って待っててちょうだい」

かのん「うん」
 
28: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:40:17.69 ID:IlXV4tn8
かのん「……神社も忙しいんだね」

すみれ妹「はい、お姉ちゃんってば私が手伝おうかって言っても「大丈夫、このギャラクシーな私がやるからいいわよ」って、ほとんど自分でやっちゃうので……」

かのん「あはは、すみれちゃんらしいね」

すみれ妹「そうなんです……あと、いつも澁谷さんのことをたくさん話してくれて「かのんってば本当にすごいんだから」って、すっごく嬉しそうに話していて……」

かのん「えっ///」
 
29: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:41:00.41 ID:IlXV4tn8
すみれ「……はぁ、巫女の衣装って言うのは締め付けがきついから窮屈よね」

すみれ妹「あ、お姉ちゃん……今ちょうど澁谷さんとお姉ちゃんのお話をしてたところだよ」

かのん「う、うん……妹さんから色々聞いちゃったところ///」

すみれ「ちょっと、あんた一体なにを話したの!?」

すみれ妹「え? いつもお姉ちゃんが私に澁谷さんのことを話してくれるっていうこととか……」

すみれ「……かのん、あんたにはもう一度儀式を受けてもらう必要がありそうね」

かのん「待って待って、私が聞きだそうとしたわけじゃないってば!」
 
30: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:41:35.16 ID:IlXV4tn8
かのん「……なんかごめん」

すみれ「いいわよ、今さら気にしないことにしたわ……それより、ご飯が出来たわよ」

すみれ妹「それじゃあ澁谷さんのは私が持ってきますね」

かのん「かのんでいいよ。すみれちゃんとはお友達だし、妹ちゃんとも仲良くしたいから」

すみれ妹「分かりました……それじゃあ、えーと……かのんさん///」

かのん「もう、かのんでいいってば」
 
31: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:43:08.49 ID:IlXV4tn8
すみれ「悪いわね、神事の前だから形ばかりだけど生臭(なまぐさ)物は避けてるの……」

かのん「ううん、全然構わないよ……むしろ京都の料亭みたい」

すみれ「せいぜい田舎のおばあちゃんちでしょ……ま、遠慮せずに食べて」

かのん「それじゃあごちそうになります」

すみれ妹「いただきます」

すみれ「いただきます」

…茶碗によそった白米と赤だしのおみおつけ(味噌汁)が左右に並び、長方形のお皿には串に刺した豆腐の田楽が二本ずつ……箸休めの小鉢には山菜の煮付けとなめこの大根おろしがけ…

かのん「あむっ……」

すみれ「……で、お味は?」
 
32: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:45:06.47 ID:IlXV4tn8
かのん「もちろん美味しいよ。豆腐の水気がしっかり切れてて、表面の味噌が香ばしくて……なんて言うのかな、派手さはないけど「滋味豊かな味」って感じ」

…まずは田楽を一口食べるかのん……固くしっかりした木綿豆腐を短冊形に切って串を打ち、表面に少しの砂糖とみりんで伸ばした八丁味噌を軽く塗り、白胡麻を振って軽くあぶる……表面の味噌が焦げる手前の絶妙なタイミングで止めてある豆腐の田楽は、少し酸味のある八丁味噌がほどよく効いていて、胡麻の香りも香ばしい…

すみれ「そう?」

かのん「うん……おしゃれな洋食もいいけど、こういう和食もいいよね」
 
33: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:47:56.70 ID:IlXV4tn8
すみれ「気に入ってくれてよかったわ……煮付けもどうぞ」

かのん「そうだね」

…姫竹(根曲がり竹)やわらび、ぜんまいなどを醤油とみりん、昆布と椎茸の出汁でゆっくりと煮付けた山菜の煮付けと、なめこを軽く湯がいて大根おろしを添え、軽く醤油を垂らしたなめこのおろしがけ……どちらも地味ではあるが、不思議と白いご飯によく合う…

かのん「あ、これ美味しい……」

…じんわりと味が染みこんでいる山菜の煮付けは、シャキッとした姫竹に始まり、少しぬるっとしているものや繊維質のものなど、山菜の色々な食感が楽しめる……なめこの方はつるりとしたなめことさっぱりした大根おろしが箸休めにちょうどいい…

すみれ「たかだか山菜の煮付けよ? そんなに美味しいかしら?」

かのん「そんなことないよ……一見すると地味だけど、真面目に手間ひまかけて作ったって感じがする」

すみれ「まぁ、そういう意見もあるかもしれないわね……///」

すみれ妹「……これ、お姉ちゃんがコトコト時間をかけて煮付けたんですよ」

すみれ「余計な事は言わなくていいったら言わなくていいのよ」

かのん「そっか、だから美味しいんだ」
 
34: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:48:59.83 ID:IlXV4tn8
すみれ「あんたもそういうことは言わないで、黙って食べなさいよ……///」

かのん「はーい」

…炊きたての白いご飯は米が大粒で張りがあり、しっかりした歯ごたえを感じながらよく噛むと、じっくりと甘味が広がってくる……かといって味わいが強すぎることはなく、ほどの良い主張をしてくる…

かのん「このお米、粒立ちがしっかりしてて美味しいね……どこのお米だろ?」

すみれ「確か「ふさおとめ」だったはずよ……袋に大きなおにぎりを持った着物の女の子が描いてあったもの」

かのん「へぇ、こんどうちのお母さんにも「買ってみてよ」って言っておこうかな」

…茶碗を置くと、今度はおみおつけを一口……おみおつけは田楽の味噌と味がかぶらないよう、ごくあっさりとした淡色の味噌で仕立ててあり、細切りにした油揚げが浮いている…

かのん「……ん、油揚げがサクっとしてて香ばしいね」

すみれ「軽く焼いてから味噌汁に入れるとこうなるのよ」

かのん「なるほどね」

すみれ妹「それと、お味噌は最後に入れるんだよね?」

すみれ「そうよ、それも火を止めてからね……ぐらぐら沸いているところに味噌を入れると風味が飛んじゃうのよ」
 
35: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:49:41.74 ID:IlXV4tn8
かのん「……やっぱりすみれちゃんってすごいね」

すみれ「あら、今さらこの平安名すみれのギャラクシーさが分かったのかしら」

かのん「うん、本当にすごいよ」

すみれ「……あのね。 こういう時はたいていフリなんだから「え、グソクムシじゃなくて?」とか言うもんでしょうが///」

かのん「だって本当に色々できてすごいなって思ったんだもん」

すみれ「……本気で言われると恥ずかしいから止めなさいよ///」
 
36: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:50:29.45 ID:IlXV4tn8
かのん「……ごちそうさまでした」

すみれ「はい、お粗末さまでした」

かのん「ちっとも「お粗末さま」じゃなかったよ……お礼って言うわけじゃないけど、今度はうちに食べに来てよ。妹さんも一緒に来てくれれば、ありあも喜ぶと思うし」

すみれ「そうね、それじゃあ今度お邪魔させてもらうわ……じゃあ、気を付けて帰りなさいよ」

かのん「うん、それじゃあね♪」
 
37: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:51:45.50 ID:IlXV4tn8
四品目

…葉月恋のサンドウィッチとお手製ハンバーガー…

…葉月邸…

恋「かのんさん、作詞の方はどうですか?」

かのん「うーん、実はあんまりいい歌詞が浮かばなくて……考えれば考えるほど混乱してきたって言うか、粗ばっかり目立ってくる感じで……」

恋「まぁまぁ、そういう日もありますよ……良かったら見せてくれませんか?」

かのん「どうかな、こんな感じなんだけど……」

恋「そんなに気落ちするほど悪い歌詞には見えませんが……ここの部分なんて可愛らしい雰囲気でいいと思いますし、この部分はしっとりと聞かせていて……平板な感じではなくて、ちゃんと曲に陰影が付いている感じです」
 
38: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:53:04.22 ID:IlXV4tn8
かのん「そうかなぁ……」

恋「はい……あまり根を詰めて取り組んでも空回りしてしまいますし、少し休憩すればまたいい考えも浮かぶと思いますよ」

かのん「そうだね、それじゃあ一旦休憩にしようかな」

恋「はい。それにもうお昼時ですから……良かったら昼食をご一緒にいかがですか?」

かのん「え、でも急に来たのに悪いんじゃない?」

恋「そんなことありませんよ。サヤさんと過ごす時間も好きですが、かのんさんと一緒にお昼ご飯をいただくのもまた新鮮で楽しいですから」

かのん「そうかな、それじゃあお言葉に甘えてごちそうになるよ」

恋「はい♪」
 
39: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:54:33.49 ID:IlXV4tn8
…ダイニングルーム…

恋「それではお昼にしますね……飲み物は何がいいですか?」

かのん「うーん、お昼が和食と洋食のどっちかによるかな。あんまりご飯にカフェオレは合わないから……」

恋「確かにそうですね……ちなみにサンドウィッチとハンバーガーにする予定ですよ」

かのん「ハンバーガー?」

恋「……かのんさん、もしかしてハンバーガーはお嫌いですか?」

かのん「いや、ハンバーグは好きだしハンバーガーも同じくらい好きだよ……そうじゃなくて恋ちゃんってお嬢様だから、てっきり「ハンバーガーというものはどのような食べ物なのでしょう?」とかって言うと思ってた」

恋「ふふっ……わたくしは別にお嬢様ではありませんし、ハンバーガーを食べたことくらいありますよ。 時折サヤさんが作って下さいましたから」

かのん「あ、ファストフード店のやつじゃないんだね……やっぱりお嬢様だ……」

恋「……それで、飲み物は何がいいですか?」

かのん「あぁ、ごめん……それじゃあカフェオレで」

恋「はい、分かりました」白地にイチゴ柄のエプロンをつけ、いそいそと台所へと入っていく恋……
 
40: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:55:51.29 ID:IlXV4tn8
かのん「何も手伝わなくていいのかな……」

サヤ「……はい。大丈夫ですからどうぞそのままくつろいでいてください」

かのん「あ、サヤさん」

サヤ「澁谷様、いつも恋様に良くしてくださりありがとうございます……今日は澁谷様がおいでになるということで、恋様は朝から髪を整えたり着る物を選んだりと、首を長くして待っておられましたよ」

かのん「……なんだか恥ずかしいですね///」

サヤ「いいえ、そのようなことはございません。 私はあくまでも恋様のメイドですから、身の回りのお世話は出来ても、ご学友の方のように親しいお付き合いが出来る間柄ではありませんし……澁谷様を始めとしたご学友の方がお見えになってからというもの、恋様も楽しげにしておりますし、私も自分のことのように嬉しく思っております」

かのん「ありがとうございます……それにしてもメイドさんって大変ですよね」

サヤ「いいえ、私は恋様のメイドで良かったと常々思っておりますよ……少し恋様の様子を見て参りますので、どうぞお楽になさっていてください」

かのん「やっぱり恋ちゃんって愛されてるんだなぁ……サヤさん、あんなにいつくしむような目をして話してた……」
 
41: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:56:53.23 ID:IlXV4tn8
恋「お待たせしました、かのんさん」

かのん「ううん、全然待ってないよ……わ、カゴもおしゃれだしすごいね」

恋「はい、せっかくなのでピクニック風にしてみようかと……///」

かのん「サンドウィッチとハンバーガーも綺麗に収まってて可愛いよ」

恋「そう言ってもらえると嬉しいです……///」

かのん「それじゃあいただこうかな……どれも美味しそう♪」

…柳のバスケット(カゴ)が汚れないよう紙を敷き、そこにお行儀良く並んでいるサンドウィッチと小ぶりなハンバーガー……三角形のサンドウィッチは八枚スライスくらいの厚みをしたパンに、それぞれきゅうりのスライスやハムとレタス、刻んでマヨネーズで和えたゆで卵などが挟まっている……ハンバーガーの方は手のひらサイズのバンズに厚手のパティとチェダーチーズのスライス、レタスとトマト、それにスライスしたピクルスが挟まっていて、カゴの中でバラバラにならないように、てっぺんからピック(つまようじ)を刺してある…

かのん「……はむっ♪」
 
42: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:58:01.85 ID:IlXV4tn8
恋「どうでしょうか……?」

かのん「うん。パンはふわっとしてるし具材もバランスがいいね……美味しいよ」

…ハムのサンドウィッチはパンに軽くバターと粒マスタードを塗って水気がパンに沁みるのを防いであり、そこにハム数枚と、鮮やかな若葉色をしたレタスが挟まっている……どこかちゃんとした精肉店で買っているらしい薄桃色のしっとりとしたハムと、レタスの軽い歯ざわりがほどよく合っている…

かのん「ん、レタスもシャキシャキ……」

恋「はい、レタスはしばらく氷水に浸けておきましたから」

かのん「そうだよね、じゃないとこういう風にシャキッとならないし」
 
43: (らっかせい) 2022/01/31(月) 01:58:51.72 ID:IlXV4tn8
…一つ目のサンドウィッチをたいらげると、今度は小ぶりなハンバーガーの方に手を伸ばしたかのん……直径が十センチあるかないかの手頃な大きさのハンバーガーを一口かじると、まだ熱いパティから透明な肉汁がじゅわっとあふれてくる……刻みタマネギをたっぷり混ぜ込んだ牛ひき肉の濃い味わいと、薄いスライスでも十分に濃厚なオレンジ色のチェダーチーズ、そして口の中の脂をさっぱりと中和するトマトとレタスに、アクセントになる甘酸っぱいようなピクルスの風味…

かのん「……わわ、肉汁が……すっごいジューシーだし、いい味が付いてる」

恋「はい。下味にはガーリック少々とウスターソース、それに塩胡椒……あとは少しだけナツメグとオールスパイスを効かせてあります」

かのん「うんうん、やっぱりガーリックを少し入れると風味が出るんだよね……ちょっと匂いが気になるけど、美味しいから仕方ないよね」
 
44: (らっかせい) 2022/01/31(月) 02:00:08.00 ID:IlXV4tn8
恋「はい、それにキスをするわけでもありませんし……」

かのん「えっ……?」

恋「あ、いえ……何でもありません///」

サヤ「こほん……それに牛乳や緑茶を飲むと匂いは軽減されるそうですから」

かのん「あ、それ聞いたことあります……あと、手に付いた匂いはステンレスの食器を洗うとステンレスイオンの効果で良く取れるんですよね」

サヤ「おっしゃるとおりです……銀でも良いのですが、あいにく銀食器は普通の家庭にはありませんから」

かのん「ですよね」
 
45: (らっかせい) 2022/01/31(月) 02:02:03.03 ID:IlXV4tn8
恋「かのんさん、タマゴのサンドウィッチもどうぞ……///」

かのん「うん、ありがと」

…固ゆで卵を包丁で刻んだりフォークの背で潰したりして、それをマヨネーズで和える……ほろほろとしたゆで卵をマヨネーズがほどよくまとめていて、とても食べやすい……マヨネーズは多すぎると味が濃すぎて飽きてしまうし、少ないとほぐしたゆで卵がうまくまとまらないが、その加減もちょうどいい…

かのん「はむっ……ん」

恋「……お味はいかがですか?」

かのん「うん、マヨネーズも多すぎなくてちょうどいいよ……いいよね、タマゴサンド」

恋「はい、わたくしも子供の頃から好きでした」

かのん「分かるなぁ、こういうふわふわしててちょっと甘いような味って美味しいよね」

恋「ええ」
 
46: (らっかせい) 2022/01/31(月) 02:03:45.99 ID:IlXV4tn8
…食後…

かのん「あー、美味しかった……って、結構食べちゃったかも……」

恋「いけませんか?」

かのん「いや、最近ちょっと体重が……ね」

恋「大丈夫ですよ、作詞でたくさん頭を使っているのですから」

かのん「そうかなぁ……」

恋「そうですよ……それに食べ過ぎてしまうほど食べてくださって、わたくしも嬉しいですし♪」

かのん「そうだね、残しちゃうよりは良いか」

恋「はい」

かのん「さぁて、それじゃあ午後も頑張ろうっと……ごちそうさまでした♪」


おしまい
 
47: (らっかせい) 2022/01/31(月) 02:05:10.90 ID:IlXV4tn8
あとがき

千砂都編で出てきたお米の「ひとめぼれ」は千砂都からかのんへの「ひとめぼれ」と言う意味も込めて選びましたが、交配品種がコシヒカリと「初星」という品種だそうで「星」ということでも「スーパースター」つながりになっていて驚きでした
 
49: (らっかせい) 2022/01/31(月) 02:13:35.48 ID:IlXV4tn8
過去作

すみれ「やっちゃったったらやっちゃったのよ…」可可「スバラシイテクニックノヒト…♡」
かのん「そういえばちぃちゃんのお団子ってどんな味がするんだろう…」
かのん「リバーサイドホテル?」千砂都「そうだよ」
恋「禁断のセカイを開いてしまいました…」
恋「なんと『ママ活』をするとイチゴがいただけるのですか」
恋「平安時代の雅な遊びをしましょう」すみれ「いいけど?」
 
51: (らっかせい) 2022/01/31(月) 02:30:44.66 ID:IlXV4tn8
追記

そのうちに「〇〇のグルメ」シリーズ的なものとして「liella」メンバーそれぞれで書けたらいいなと思い、アイデアを温めています


他に百合コメディ的なものなど二、三本ほど……いつになるかは分かりませんが、二期で新キャラが増える前に書く予定です。

そのときはどうぞお付き合いください
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1643557949/

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