【SS】ことり「青と琥珀」

ことうみ (2) SS


1: (もんじゃ) 2022/02/02(水) 21:51:33.59 ID:Hsn4QmWN
代行、付き合ってることうみ
 

7: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:10:25.91 ID:7bHq06sL
地の文あり


ことりは青が好き。
空みたいな淡い色は、大好きな幼馴染の瞳の色に似ている。
海のように深い色はもうひとりの大好きな幼馴染のイメージカラー。
だからことりは青が好き。


海未「ことり、寒いですよ」


二月の始め、教室の窓を全開にしてぼーっとしていたら海未ちゃんに注意されちゃいました。
誰もいない休日の学校はなんだか変な感じで、溌剌とした運動部の声も今日は聞こえない。さっきから手にしている生徒会の書類は全然進んでいないけど、海未ちゃんは咎める様子もありません。
 
9: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:12:26.86 ID:7bHq06sL
ことり「あっ、ごめんね。はい、これ」

もこもこのブラウンケットを差し出すと、複雑そうな表情の海未ちゃん。

海未「あの、これは」

ことり「ブランケットだよ♪これをね…」モゾモゾ

海未「?」

ことり「えいっ!」ガバッ

海未「!?!こ、ことりっ、なにするんですか!」

ことり「ふふふ、海未ちゃんつ〜かまえた♪」

海未「ちょっ、離しなさいことり…!」

ブランケットをマントみたいにして、海未ちゃんを確保する。こんな風に集中できない時は海未ちゃん分を充電するに限ります♪
じたばたしていた海未ちゃんだけど、しばらくして諦めたようにため息を吐きました。

海未「全くことりは…」ハァ

ことり「えへへ〜」
 
11: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:14:06.83 ID:7bHq06sL
二人で一枚のブランケットに包まるのは少し窮屈だけど、海未ちゃんの体温がブレザー越しに伝わって、じんわりあたたかい。

海未「私は窓を閉めてほしかったのですが」

ことり「う〜ん、それはだめ」

海未ちゃんが面食らったようにこちらを見つめてきます。うん、その表情も素敵。

海未「…なぜです?ことりも冷え性でしょう?」

海未「今だってほら」

ことり「ひゃっ」

海未「こんなに指先が冷えているではありませんか」

ことり「う、うみちゃん〜」

突然手を取られて、指先をすりすりされると驚いちゃう。でも海未ちゃんの言う通り、ことりの指先はとっても冷たいんです。昔から冷え性で、寒いのは苦手だったなぁ。
 
12: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:15:17.21 ID:7bHq06sL
ことり「海未ちゃんの手は、あったかいね」

海未「そうですか?穂乃果の方が暖かいと思いますが…」

ことり「穂乃果ちゃんは、あれは比べちゃだめだよぉ」

海未「ふふ、思いっきり子ども体温ですもんね」

二人で顔を見合わせてくすくすと笑う。
穂乃果ちゃんは本当に体温が高くて、ことりは毎年、穂乃果ちゃんを湯たんぽにして冬を乗り切ってきたんです。特に授業で居眠りした後の穂乃果ちゃんは格別にぽかぽかあたたかくて、クラスの子たちにも湯たんぽにされてたなぁ。
 
13: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:16:17.11 ID:7bHq06sL
海未「ーーそれで、冷え性なことりはなぜ窓を全開に?」

ことり「んー、なんていうんだろう…」

ことり「外のにおいが好きだから?」

海未「ーーにおい、ですか…」

ことり「うん、海未ちゃん、ちょっときて」グイグイ

海未「わっ、引っ張らないでください」 

ことり「こっちこっち〜」グイグイ

海未「ことりぃ!」
 
15: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:18:10.10 ID:7bHq06sL
ブランケットごと海未ちゃんをぐいぐい引っ張って窓際まで行くと、二人でぴったりとくっつくように並ぶ。窓から少し顔を出してみると、ひんやりとした風が頬を撫でるのを感じます。

ことり「ね、なんだか冬って感じのにおいじゃない?」

海未「冬……」

ことり「そう、雪と街のにおいが混ざって、冬だなぁって」

それを聞いた海未ちゃんがくんくんと鼻を鳴らします。かわいい。
 
16: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:18:42.08 ID:7bHq06sL
海未「そうですね……言われてみれば、わかるようなわからないような…」

ことり「むう」

海未「うーん、やっぱりわからないような…?」

ことり「もう、海未ちゃんのわからずや」

海未「えぇ…?」

ことり「わからずやの海未ちゃんにはこうします」

海未「な、なんですか」

ことり「ぎゅ〜〜!」ギュッ

海未「こ、ことり!///」

海未ちゃんを正面からぎゅーっと抱きしめます。
 
17: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:19:44.51 ID:7bHq06sL
海未「そ、外から見えたらどうするんですか!」

ことり「だれもいないから見えません〜」

海未「で、ですが!」

ことり「ぎゅぎゅ〜♪」

ことり(照れてる海未ちゃん、かわいい♪)


ぎゅーっと抱きついていると、海未ちゃんも観念したのか、両腕をことりの背中に回してきました。
より密着した体勢で、ブレザーの硬い感触がだんだんとやわらいでいくのを感じます。
 
18: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:20:22.05 ID:7bHq06sL
ことり「えへへ、海未ちゃん湯たんぽあったかい♪」

海未「…ことり湯たんぽもあたたかいですよ」

ことり「えぇー、そう?」

海未「ええ、特に…この首筋なんて!」ズボッ

ことり「ひゃあっ!?」

突然の首への刺激に飛び上がります。そう、海未ちゃんがことりの首に手を突っ込んだのです。

海未「とてもあたたかいです」ニコッ

ことり「う、海未ちゃんのおばか!」

海未「ことりだって人を湯たんぽにしているでしょう」

ことり「む、むううう」
 
19: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:21:03.08 ID:7bHq06sL
こういう時、海未ちゃんの澄まし顔ときたらなんと憎たらしいのでしょう。ことりはそっと照準を海未ちゃんの首にあわせます。

ことり「えいっ」

海未「ふんっ」パシッ

ことり「な、なんでぇ」

海未「全く、ことりの考えそうなことです」

ことり「海未ちゃんだってしたのに!ずるい!」

海未「ことりの手は冷たいのでだめです」

ことり「やだ、だめじゃないです〜!」バタバタ

海未「ーーあんまり暴れるとキスしますよ」

ことり「えっ」

海未「……」

ことり「…暴れようかな」

海未「だめです」
 
20: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:23:09.73 ID:7bHq06sL
海未ちゃんからの思わぬ一言に、そわそわ心が浮き立っちゃう。
普段奥手なくせに、こういう時は急に攻めてくるんです、海未ちゃんって。

ことり「ねえねえ」

海未「…」

ことり「海未ちゃん…」ウルウル

海未「なんですか」

ことり「ここ、寒いからあっためて?」

海未「っ!?///」


とんとん、と唇をたたいて見せると、途端に顔を真っ赤にしちゃう海未ちゃん。そんな照れ屋さんなところも、ことりは大好きなんです。
 
21: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:24:16.85 ID:7bHq06sL
ことり「このままだとことり、風邪ひいちゃうよ…」ウルウル

海未「たしか鞄に使い捨てのカイロが」

ことり「やだ!」ギュッ

海未「わがままを言わないでください!」

ことり「海未ちゃんがちゅってしてくれたらすぐあったまるから!」

海未「が、学校でなんていけません///!」

ことり「休みだからいいの〜!」グイグイ

海未「関係ないでしょう!学校は休みの日でも学校です!」

ことり「一瞬だけ!いっしゅん〜!!」

海未「だめです!」
 
22: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:24:51.84 ID:7bHq06sL
海未ちゃんの意気地なし。へたれ。そんな悪態が頭を流れていきます。こういうときは、泣いたフリをするのが一番です。


ことり「ふぇえ…」グス

海未「こ、ことり!?」


海未ちゃんが慌てたように私の顔を覗き込むけど、もちろんうそ泣きなので涙なんて出てませんから、顔を両手で覆って隠します。まあ、その気になれば本当に泣くこともできるけど。

海未「ことりぃ……」

ことり「うええーん」グスグス

本当はことりだって嘘泣きなんてしたくないんです。でも海未ちゃんが悪いんです。ちゅーしてもらうには、こうするしかないんです。
 
25: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:35:43.94 ID:7bHq06sL
海未「な、なかないでください」オロオロ

ことり「ううぅ……グスッ」

ことり「わがまま言って、ごめんね……グスン」

海未「っ」

ことり「ことりとちゅーなんて、したくないよね…」グスッ

海未「〜〜〜っあぁもう!」

海未「こ、ことりっ!!」ガシッ

ことり「きゃっ♪」

海未「こ、こここっちを見てください」

ことり「……なぁに?」
 
26: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 22:45:32.01 ID:7bHq06sL
ふふふ♪
海未ちゃんが情熱的にことりの肩を掴みます。
その顔は今にも泣き出しそうで、綺麗な瞳がきらきらとこちらを見据えてきます。

きっと海未ちゃんも、ことりが嘘泣きしてるのなんてわかってるんです。
泣いたフリして、本当はにこにこしてるのをわかっているのにーーー

ことりが嘘でも泣いてると、どうしても甘やかしちゃうんだよね♡

そんな優しくて、いや、優しすぎるくらいな海未ちゃん。この優しさは、ことりだけのもの。他の誰にも、こんなに甘くてちょろくて優しくなんてないもんね、海未ちゃん♡
 
27: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 23:02:34.84 ID:7bHq06sL
海未「わ、私はことりのことがっ、すきなんです」

ことり「ほんとう?」ウルウル

海未「本当です!!」

海未「で、ですがこんな性格ですし、あまりにも恥ずかしくて」

ことり「恥ずかしくて、ちゅーなんてできない?」ウルッ

海未「ち、ちがいます!」アセアセ

泣きそうな声を出して、上目遣いで見上げれば、途端にあたふたしちゃう海未ちゃん。

ことり「……」ゾクゾク

はぁあああん♡♡かわいすぎるよお♡♡
ーーークスクス、本当に泣きそうなのは、海未ちゃんなのにね♪

ことりの背中に、ぞくぞくとした快感が走ります。
 
28: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 23:08:58.15 ID:7bHq06sL
海未「で、ですからっ、わたしはことりとっ」

ことり「うんうん♪」

ことり(頑張れ♡頑張れ♡)

海未「ーーきっ、き、キスをしたいと思っているんです、本当は!!」

ことり「……」

海未「こ、ことり…?///」

ことり「そっかぁ〜」

ことり「海未ちゃんがそう思ってくれて、ことり嬉しいな♡」

海未「はい、あの、はい…」プシュウウ

ようやくことりが笑顔になると、海未ちゃんはとても疲れたようにがっくりとうなだれてきます。
 
29: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 23:09:44.17 ID:7bHq06sL
ことり「よくできました〜♡」ナデナデ

海未「うう、どうせ、どうせ嘘泣きなのに……」

ことり「うふふ、どうでしょう?」クスクス

海未「ぜ、絶対にフリでしょう!!毎回そうやってばればれな嘘で私を翻弄してーー」

ことり「そんなバレバレな嘘泣きにいつも弄ばれてるのはだぁれ?」

海未「そ、それは……うぅ…///」

何も言えなくなって、真っ赤な顔で困ったように眉を下げる海未ちゃん、とっても可愛いんです♪
ことりのお気に入りの表情でもあります。
 
30: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 23:13:19.82 ID:7bHq06sL
そうこうしてるうちに日は傾いてきて、教室に夕陽が差し込みます。

ことり「ね、海未ちゃん」

海未「はい?」

ことり「キスしよっか」

海未「え、あ、えっと」

ことり「さっき言ったもんね、ことりとキスしたいって」

海未「い、言いましたけど、でも今っっんんぅ!?」

ことり「〜♪」チュー

隙だらけの海未ちゃんにちゅーしちゃいます♪
柔らかい唇をずっと堪能していたいけど、今はこれで我慢です。
 
31: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 23:15:19.84 ID:7bHq06sL
海未「んんっ、っ///」

ことり「んっ、ちゅ♡」

ことり「はい、おしまい♡」

海未「ぅあ…///」

ことり「ありがとう、海未ちゃん♪」ナデナデ

海未「あ、あぁあ…」ガクガク

ことり「ーー海未ちゃん?」

海未「ーーきゅ、急すぎますっ!!」ガタッ

ことり「きゃあっ♡」

海未「破廉恥です!!風紀が乱れます!!」

海未「あああああああ!!!」

ことり「海未ちゃん顔真っ赤〜」クスクス

海未「うわあああああ!!!」


ことり、青も好きだけど、やっぱりーー

夕陽みたいな海未ちゃんのほっぺと瞳の色が、一番大好きみたいです♡
 
32: (やわらか銀行) 2022/02/02(水) 23:15:38.38 ID:7bHq06sL
終わり
読んでくれてありがとう
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1643806293/

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