【SSコンペ】しずく「狐の嫁入りって知ってます?」【ラブライブ!虹ヶ咲】

SS


1: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 16:38:50.99 ID:CcA+tzAx
こちらへの参加作品です

https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1685782999/l50
 
3: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 16:46:32.16 ID:CcA+tzAx
ガラガラ

栞子「おや、今はしずくさんお一人ですか?」

しずく「あ、栞子さん。はい、かすみさんも璃奈さんもクラスの方に用事があるみたいで」

しずく「栞子さんは生徒会の方は大丈夫なの?」

栞子「はい、この後生徒会室に顔を出しにいきますがまだ少々時間がありますので」

しずく「そっか、私もこの後演劇部に行かなきゃだけどもうちょっと時間あるから」

栞子「そうだったんですね」
 
4: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 16:48:18.28 ID:CcA+tzAx
栞子「・・・あの、しずくさん」

しずく「ん?どうしたの?」

栞子「その・・・あの・・・」

しずく「・・・」

栞子「いえ、やっぱりなんでもないです」

しずく「そっか」
 
5: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 16:54:10.60 ID:CcA+tzAx
しずく「ねえ栞子さん、『狐の嫁入り』って知ってる?」

栞子「突然ですね、どうしたんですか?」

しずく「いえ、知ってるのかなーと不意に思っただけです。で、知ってますか?」

栞子「はい、晴れている時に降る雨のことですよね?一般的にはお天気雨とも言いますが」

しずく「それじゃあ、なんでそれを狐の嫁入りっていうか知ってる?」

栞子「いえ、そこまで詳しくは知りませんね。どうしてなのですか?」
 
7: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 17:03:55.21 ID:CcA+tzAx
しずく「狐が人を化しているとか、狐には不思議な力があるからとか色々あるんですけど」

しずく「他に一番素敵だなって思う理由があるんです。なんだと思います?」

栞子「そうですね・・・。『嫁入り』というのですからそれに関係することでしょうか?」

しずく「正解です。天気雨の時、よく山の麓では晴れているのに山の上の方はよく雨が降っていることが多かったらしいんです」

しずく「それは山の上では狐の嫁入りが行われていて、その様子が人目につかないようにするために狐が雨を降らせているからと昔の人は信じていたらしいんです」

栞子「それで『狐の嫁入り』、なんですね」
 
9: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 17:11:14.28 ID:CcA+tzAx
しずく「素敵ですよね、人目につかない場所で静かに執り行われる婚礼」テクテク

しずく「そこで二人・・・狐ですから二匹でしょうか?」スッ

しずく「互いに永遠の愛と生涯共に添い遂げることを誓うんです」ガチャ

栞子「・・・どうして後ろ手に部室のドアを閉めたのですか?」

しずく「さあ、どうしてでしょうね?」
 
11: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 17:19:02.45 ID:CcA+tzAx
しずく「栞子さん、もう一つ質問してもいいですか?」

栞子「なんでしょうか?」

しずく「ここは同好会の部室、場所は部室等の端の方ですから用のある方以外が来たり前を通ったりすることはあまりありません。」

しずく「そして階数は二階なので外から見えることはほぼないでしょう」

栞子「・・・・」

しずく「そして私は今、唯一の入り口であるこのドアに鍵をかけました」

しずく「そして最初にした『狐の嫁入り』のお話」

しずく「さてここで質問、というより問題です」

しずく「私は今、何を考えているでしょうか?」
 
12: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 17:27:05.81 ID:CcA+tzAx
栞子「・・・そうですね、少し問題が難しいのでこちらからもいくつか質問してもいいでしょうか?」

しずく「いいですよ、その代わり質問は五回、回答は一回までですからね?」

栞子「わかりました、それでは早速」

栞子「それはしずくさんがして欲しいと思っていることですか?」

しずく「はい、そうです。本当はわかっているんじゃないんですか?」

栞子「いいえ、まだはっきりとした答えは出ていませんね」
 
13: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 17:36:03.12 ID:CcA+tzAx
栞子「それでは二つ目です。それは私、『三船栞子』でないと出来ないことですか?」

しずく「はい、もちろん・・・。やっぱり分かってますよね?」

栞子「すみません、恐縮ですがまだわからなくて」スッ

しずく「もう・・・頑固なんだから」

栞子「それでは三つ目」テクテク

栞子「それは私たち二人ではないと出来ないことですか?」

しずく「・・・どうでしょうか?出来なくはないと思いますよ?」

栞子「!!」

しずく「少なくとも私は栞子さん以外とはしたくありませんが、栞子さんはどうですか?」

栞子「わ、私もしずくさんとだけです!!」

しずく「ほら、やっぱり分かってるじゃないですか?」

栞子「!!・・・四つ目!!四つ目の質問です!!」ギュッ

しずく「フフ、とても可愛いですよ」
 
14: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 17:44:07.95 ID:CcA+tzAx
栞子「今こうやってしずくさんの手を引いている私の行動は正しいですか?」

しずく「どうでしょう、窓際の方に向かっていますけど・・・私、何をされちゃうんでしょうか?」

栞子「・・・しずくさんこそ、何をされるか分かっているでしょう!」

しずく「さて、なんのことでしょうか?あと、先ほどの質問の答えはこの後の行動次第ですね」

栞子「本当にあなたって人は・・・それじゃあ最後の質問です」
 
18: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 17:51:42.51 ID:CcA+tzAx
栞子「私が今とっている行動」ファサ

栞子「ベールを栞子さんの頭にかけるのは正しい、ですよね?」

しずく「レースのカーテンをそれっぽく見立てるなんて、栞子さんって結構ロマンチストですよね?」

栞子「う、うるさいです!それで、質問の答えはどうなんですか?」

しずく「さっき自分で言ってたじゃないですか、はい正解です」

しずく「それでは正解をどうぞ」

栞子「正解は・・・け・・・」

しずく「け?」
 
19: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 17:53:13.51 ID:CcA+tzAx
>>18一部訂正

栞子「私が今とっている行動」ファサ

栞子「ベールをしずくさんの頭にかけるのは正しい、ですよね?」

しずく「レースのカーテンをそれっぽく見立てるなんて、栞子さんって結構ロマンチストですよね?」

栞子「う、うるさいです!それで、質問の答えはどうなんですか?」

しずく「さっき自分で言ってたじゃないですか、もちろん正解です」

しずく「それでは正解をどうぞ」

栞子「正解は・・・け・・・」

しずく「け?」
 
20: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 17:56:37.04 ID:CcA+tzAx
栞子「結婚式がしたい・・・ですよね・・・?」

しずく「・・・はい、正解です・・・///」

栞子「ちょっと、なんでしずくさんの方が照れるんですか!?」

しずく「すみません、自分で口にすると思わず恥ずかしくなってしまって///」

栞子「そんなこと言わないでくださいよ!私が一番どうしていいかわからないんですよ!?」

しずく「う、うるさいです!!ほら、私にベールをかけたってことは栞子さんが新婦なんでしょ!?」

しずく「ここからどうすればいいかわかりますよね!_?」
 
30: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 18:31:05.16 ID:CcA+tzAx
>>20

ちょっとミスってたんで一部修正
しずく「う、うるさいです!!ほら、私にベールをかけたってことは栞子さんが新郎なんでしょ!?」
 
22: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 18:03:59.54 ID:CcA+tzAx
栞子「そんな、いきなり丸投げしないでくださいよ!!」

栞子「それに神父がいないと教会婚は出来ません、どうするつもりだったんですか!?」

しずく「もう!!そういうのは流れでいいんですよ!!栞子さんは細かいところを気にしすぎです!!」

栞子「流れに乗れなくて恥ずかしくなっちゃったのはしずくさんのほうじゃないですか!」

しずく「ああもう分かりましたよ!!神父を用意するのでちょっと待ってください!!」
 
25: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 18:08:37.75 ID:CcA+tzAx
ーーーーーーーーーーーーーーーー
しずく「はい!!これが神父です」ドン(かすみんBOX)

しずく「それじゃあ私が神父の言葉をいうのでそれに従ってください!!」

栞子「・・・」

しずく「それでは・・・汝(低音)」

栞子「ブフォッ」

しずく「ちょっと栞子さん!!こっちは真面目にやってるんですよ!?」

栞子「すみません・・・ですが・・・この見た目から・・・その声は・・・フフ」
 
26: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 18:13:20.68 ID:CcA+tzAx
しずく「そんなこと言ったって・・・フフッ」

栞子「ほら!!しずくさんだって笑ってるじゃないですか!!」フフッ

しずく「違う、これは!!これは栞子さんのが、移った、だけで」フフ

栞子「・・・・」

しずく「・・・・」

栞子・しずく「・・・・フフッ」

栞子「一旦落ち着きましょうか」

しずく「そうですね」
 
27: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 18:17:44.36 ID:CcA+tzAx
栞子「もう、しずくさんがこんなもの用意するからいけないんですよ」

しずく「ごめんなさい、私も売り言葉に買い言葉でつい熱くなっちゃって」

栞子「いいですよ。それに、私も確かに細かいことを気にしすぎていました。

栞子「それで・・・ええっと・・その・・・どうしましょうか・・・。」

栞子「もう一回やりますか?・・・結婚式・・・///」
 
28: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 18:23:12.49 ID:CcA+tzAx
しずく「ええっと・・・はい、栞子さんがよければ・・・///」

栞子「分かりました、それではベールをもう一度かけるので少し頭を下げてください」

しずく「これでいいですか?」

栞子「はい、ありがとうございます・・・出来ました」

しずく「こちらこそ、ありがとうございます。それじゃあ・・・もうこの際細かいところは省きましょうか」

栞子「そうですね、私も細かいところまでは存じないのでお任せいたします」
 
29: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 18:29:28.42 ID:CcA+tzAx
しずく「分かりました。それでは栞子さん、私のベールを上げて頂けますか?」

栞子「はい・・・とっても綺麗ですよ、しずくさん」

しずく「!!///もう、いきなりはずるいですよ・・・。」

栞子「すみません、先程までのお返しです」

しずく「もう!!それじゃあ次に指輪の交換ですが・・・これは飛ばしましょうか」

栞子「・・・そうですね、指輪もありませんし」
 
31: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 18:38:15.63 ID:CcA+tzAx
しずく「それじゃあ最後・・・誓いの、キス、です・・・///」

栞子「はい・・・分かりました・・・///それでは・・・」スッ

しずく「あっ」ビクッ

栞子「!!」

しずく「ごめんなさい、ちょっとびっくりしちゃって・・・」

栞子「い、いえ、大丈夫です・・・それでは・・・んっ」

しずく「んっ」

栞子「・・・」

しずく「・・・これで終了です」

栞子「・・・ずるいです」

しずく「え?」

栞子「私もなりたいです・・・しずくさんの・・・お嫁さんに・・・///」
 
32: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 18:45:06.82 ID:CcA+tzAx
しずく「!!・・・分かりました・・・それでは交代しましょうか・・・///」

栞子「はい・・・」

しずく「それじゃあベールを被せますよ・・・少し屈んでもらっても大丈夫ですか?」

栞子「あ、そうですよね。私も身長が伸びましたから」

しずく「それって私が成長してないって言ってます?」ムスッ

栞子「いえいえ、そんなつもりはありません!!」

しずく「冗談ですよ、やっぱり栞子さんは可愛いですね」

栞子「もう・・・」
 
33: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 18:49:40.00 ID:CcA+tzAx
しずく「よし、これで大丈夫でしょうか。それではベールを上げて・・・栞子さん、綺麗ですよ」

栞子「はい、ありがとうございます」

しずく「それでは、誓いのキスを・・・んっ」

栞子「んっ」

「「・・・・・」」

しずく「どうですか、栞子さん。花嫁になった気分は?」

栞子「・・・」

しずく「・・・栞子さん?」

栞子「・・・もう一回」

しずく「栞子さん?」

栞子「もう一回、キスをしてください」ポロポロ
 
34: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 19:00:31.53 ID:CcA+tzAx
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
かすみ「ごめんりな子、お待たせーーー!!」

璃奈「かすみちゃん、ちょっと遅い」

かすみ「本当にごめんって、クラスの子たちと写真撮ってたら遅くなっちゃって」

璃奈「卒業ライブ時の方が良かったんじゃ?衣装もそこが最後だし」

かすみ「もーー分かってないなありな子は。ステージ衣装のかすみんももちろん可愛いけど、制服姿のかすみんだって超超可愛いんだから、撮らなきゃ損だよ♪」

璃奈「それはそれ、これはこれ。遅れた事実は変わらない」

かすみ「だからそれは本当にごめんってーー」

璃奈「嘘ウソ冗談、そこまで気にしてない」

かすみ「やっぱりちょっと気にしてるんじゃん・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
かすみ「そういえば今部室って誰かいるんだっけ?」

璃奈「多分栞子ちゃんがいると思う、でも最初にちょっと部室を覗いた時には誰もいなかった」

かすみ「かすみんもちょっと部室覗いたけどその時は誰もいなかったですねー。みなさん明日来るんでしょうか?」
 
35: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 19:09:21.93 ID:CcA+tzAx
璃奈「今日はみんなそれぞれで用事があるんじゃないかな?明日が本番だし」

かすみ「それもそっか」

かすみ「それにしても、明日の天気は大丈夫かなあ?」

璃奈「天気予報では雨だけど、50%だから降らないかもしれない」

かすみ「あーあ、もし降ったとしてもステージだけでも晴れてくれませんかね」

璃奈「それって『狐の嫁入り』のこと?」

かすみ「へ?狐さんの結婚式がなんですか?」

璃奈「違う、『狐の嫁入り』。雨が降ってるのに晴れてること」

かすみ「へーそんな言葉があるんだね、りな子は本当に物知りだ」

璃奈「一般常識、までとはいかなくても知っててもおかしくない知識だよ」

かすみ「ちょっとそれ、もしかしてかすみんのバカにしてます?」

璃奈「バカにはしてない、ちょっとアホの子だと思っただけ」

かすみ「ふーんだ!!いいもん、女の子はちょっと抜けてるぐらいが可愛いもん!!」
 
37: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 19:18:32.95 ID:CcA+tzAx
かすみ「でもなんで狐の嫁入りって言うんですかね?」

璃奈「それは私も知らない、ちょっと調べてみる・・・へぇ」

かすみ「どうだったの?かすみんにも見せてよ・・・色々書いてあって難しいですね・・・」

璃奈「かすみちゃん、それでよく受験乗り切ったね」

かすみ「ふふーん、かすみんはやればできる子なんです!!」

璃奈「それは間違いないと思うけど・・・」

かすみ「それにしても理由がパッとしませんねえ・・・こっちの方がよっぽど狐の嫁入りっぽくないですか?」

璃奈「どれ?」

かすみ「ほらこれ、一番下。」

璃奈「えっと何々・・・」

璃奈「昔の話には、人間の男性のもとに化けた雌の狐が嫁ぐ話もあり、代表的なものとしては・・・」
 
38: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 19:32:11.11 ID:CcA+tzAx
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
栞子「もう一回、キスしてください・・・」ポロポロ

しずく「・・・可愛い顔が涙で台無しですよ、顔を上げてください・・・んっ」

栞子「んっ・・・・まだ・・・足りないです・・・んっ」

しずく「んっ・・・・これでも足りないですか?・・・・んっ」

栞子「全然・・・んっ、足りないです・・・んっ」

しずく「しょうがないですね・・・・んっ・・・・・・・・・プハッ」ハァハァ
   
   「これで・・・どうですか?」ハァハァ

栞子「まだ・・・まだ足りないです」ハァハァ

しずく「じゃあ・・・どれだけ足りないんですか?」

栞子「ずっと、ずっと足りないです・・・」
 
39: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 19:35:52.63 ID:CcA+tzAx
しずく「そんなこと言われても・・・じゃあどうすれば

栞子「足りないんです!!」

しずく「・・・」

栞子「だって・・・だって・・・!!」

栞子「今日が終わればしずくさんとは二度と!!・・・二度と、会えない・・・」
 
41: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 19:49:16.32 ID:CcA+tzAx
しずく「・・・」

栞子「しずくさんがいなくなってから数ヶ月後、なぜか私だけにはしずくさんが見えるようになりました」

栞子「照りつける猛暑の中、エアコンの壊れた部室にも関わらずあの日と変わらない冬服のままで座るあなたを」

栞子「最初はびっくりしました、いるはずのない姿を見て不審者とも思いました」

栞子「だけどそうではなくて、本物のしずくさんで」

栞子「それが分かった瞬間嬉しくてたまらなくて、それでも他の人には見えていなかった」

栞子「だから思ったんです、私にしか出来ないことがあるから私にしか見えないんだって」
 
42: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 20:01:42.57 ID:CcA+tzAx
栞子「それから私は考えました、私にしか出来ないこととはなんなのか、しずくさんの心残りは何なのか」

栞子「しずくさんのことをずっと考えていました、何が好きなのかどんな人だったか何を見ているのか」

栞子「そうやってしずくさんの事ばかり考えてるうちに、私はしずくさんに惹かれていきました」

栞子「まあ本当は前から気にはなっていた、いえ、好きだったんだと思います」

栞子「だから思い切って告白したんです。ダメで元々、本当は伝えることの出来ない気持ちなのだから」
 
44: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 22:20:57.94 ID:CcA+tzAx
しずく「・・・あの時は本当にびっくりしたよ、まさか栞子さんから告白してもらえるなんて」

しずく「ありがとう、栞子さん」

栞子「そうやって感謝するのでしたらちゃんとしたお返事をください」

栞子「何ですか、『お返事はまた今度で』って」

しずく「しょうがないじゃないですか、うら若き16歳の乙女なんだから。色々経験してみたいんだもん」

栞子「そうやって引き伸ばしてかれこれ約一年が経ちましたが」

しずく「待たせるのはいい女の特権だよ」

栞子「全く・・・そのうち分かったんですよ、しずくさんの心残りが何なのか」

しずく「!!・・・本当?」
 
45: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 22:29:34.26 ID:CcA+tzAx
栞子「去年の丁度今頃、先輩方の卒業式を覚えていますか?」

しずく「もちろん、かすみさんが侑先輩から離れようとしないで大変でしたよね」

しずく「それと璃奈さんも。ずっと愛さんから離れなくて」

栞子「そしてせつ菜さんと歩夢さんも、ですよね」

しずく「!!」

栞子「しずくさんはずっと二人を見ていました、最初は同じユニットの仲間だからだと思っていましたが」

栞子「二人を見るあなたの目がとても寂しそうな目をしていたんです」

しずく「・・・よく見ていましたね」

栞子「好きな人のことです、当然」
 
47: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 22:42:35.87 ID:CcA+tzAx
栞子「それで気付いたんです、しずくさんの心残りが何なのか」

しずく「・・・」

栞子「それは」

しずく「・・・」

栞子「私たちと一緒に卒業すること、ですよね」

しずく「・・・」

栞子「私たちはソロのスクールアイドルとして活動してきました」

栞子「時にライバルとして、時に仲間として互いに切磋琢磨してきました」

栞子「いずれそれぞれが別々の道に行くとしても、みんなからもらった温もりはなくならない」

栞子「それでも、いいえ、だからこそ最後はみんなで笑っていたかった」

栞子「だからたとえ姿は見えなくても、気持ちだけでも私たち四人と一緒に卒業したかった」

栞子「まあ後半はほぼ私の妄想のようなものですが、自信はあります」

栞子「だって私が仮にしずくさんだったらそう思うはずだから・・・違いますか?」
 
48: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 22:48:16.90 ID:CcA+tzAx
しずく「・・・はぁ・・・」

栞子「・・・?」

しずく「・・・どうやら栞子さんには全てお見通しのようですね、そうです、その通りです」

しずく「去年の卒業式の日、せつ菜さんと歩夢さんを見た時にふと思ったんですよ」

しずく「来年のあの場所に、私はいられないんだなって」

しずく「同好会を一緒に立ち上げたかすみさんと、ここが好きな場所だって言ってくれた璃奈さんと」

しずく「そして、今ここにいる栞子さんと」
 
49: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 22:54:11.70 ID:CcA+tzAx
しずく「そう思ったら苦しくて、悲しくて、つらくて」

しずく「そこで私も気付いたんです、私が今ここにいる理由が何なのか」

栞子「しずくさん・・・」

しずく「あーあ、でもようやくスッキリしました!!栞子さんに分かってもらえて」

しずく「それで、何かしてくれるんですか?栞子さんにしか出来ないこと」

栞子「はい、ちゃんと考えてきました。元、ではありますが生徒会長の私にしか出来ないことを」
 
50: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 23:01:17.06 ID:CcA+tzAx
ガサゴソ

しずく「?」

栞子「これです、私とかすみさんと璃奈さんで作ったしずくさんの卒業証書です!!」

しずく「わぁ・・・これ、私のために作ってくれたんですか?」

栞子「はい、しずくさんには秘密にしたかったので生徒会室で作戦会議をしていました」

栞子「かすみさんと璃奈さんを何か理由をつけて生徒会室まで連れて行くのは大変でしたが」

栞子「お陰で秘密にしたまま完成させれられました」

しずく「これ・・・ほとんど本物にしか見えない・・・印まで本物だし」

栞子「それは理事長に頼んで押してもらいました、生徒会長として」
 
51: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 23:10:20.89 ID:CcA+tzAx
しずく「そんな・・・本当に嬉しい・・・ありがとうございます!!」

栞子「出来ればかすみさん達がいるところで簡単な授与式を出来れば良かったんですけど、そういう訳にはいきませんし」

栞子「なのでひとまずここで私たちだけの卒業式を行います」

しずく「なるほど、確かにそれは元生徒会長の栞子さんにしか出来ませんね」

栞子「それではこちらの机をここに置いて・・・よしこれで大丈夫です」

しずく「それじゃあ私は少し離れた椅子から始めますね」

栞子「それでは・・・桜坂しずく!」

しずく「はい!!」
 
52: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 23:21:58.14 ID:CcA+tzAx
タッタッタ

栞子「卒業証書、桜坂しずく殿、貴女は本校に置いて学業並びに演劇、そして・・・スクールアイドルとしての活動を、修められたことを、ここに、表する」グスッ

しずく「・・・・」

栞子「令和〇〇年、3月10日、グスッ、虹ヶ咲学園生徒会長、三船、栞子」グスッ

栞子「スクールアイドル、同好会、部長、中須、かすみ、副部長、天王寺、璃奈」グス

しずく「・・・・」

栞子「・・・・」ポロポロ

しずく「・・・栞子さん?」

栞子「・・・やっぱり・・・いやです」ポロポロ
 
53: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 23:28:35.81 ID:CcA+tzAx
しずく「栞子さん・・・」

栞子「・・・すみません・・・ちゃんと渡さないとダメなのに・・・卒業しなきゃ、いけないのに・・・」ポロポロ

しずく「もう、栞子さんってば・・・本当に・・・泣き虫、なんだから・・・」ポロポロ

栞子「しずくさんだって、泣いてるじゃないですか」ポロポロ

しずく「!!・・・うるさいです、それもこれも、栞子さんが泣き始めるから!!」

栞子「私だって!!本当は泣きたくなかったですよ!!」

栞子「泣いちゃダメなんですよ・・・泣かずにやらなきゃ・・・またさっきの気持ちを、思い出しちゃう・・・」
 
54: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 23:38:40.75 ID:CcA+tzAx
しずく「・・・」

栞子「私がやるべきことを果たそう、それだけに集中しよう、そうすればきっと泣かずに笑って見送れる」

栞子「さっきまではそう思っていました、だけど・・・やぱっり無理でした・・・!!」

栞子「私は!!しずくさんが!!・・・桜坂しずくのことが・・・好きなんです・・・!!」

しずく「栞子さ

栞子「もうこのままいっそ、私も卒業せずにずっと!!

しずく「それはダメだよ」
 
55: (もんじゃ) 2023/06/11(日) 23:57:24.86 ID:CcA+tzAx
栞子「!!」

しずく「栞子さんは将来誰かを救えるような人になりたいんでしょ?」

しずく「誰かの夢を叶える、夢を追いかける人の支えになる、そんな人になりたいんでしょ?」

栞子「そんなこと!!しずくさんに比べたらずっと!!」

しずく「ごめん、じゃあ待たせた告白のお返事を今するね。今の栞子さんのことは嫌い、大っ嫌い」

栞子「!!・・・そんな、なんで!!」

しずく「私は誰かのためになりたい、そんな夢を追いかけてステージの上で踊る栞子さんのことを尊敬してた」

栞子「!!」

しずく「だけど今は何?自分のことしか見えてない、そのためにかすみさんや璃奈さんの思いまで無駄にしようとするあなたの姿には何も感じない」

栞子「・・・・」

しずく「私は、誰かの道の先を照らす光になろうとする、そんな三船栞子のことが好きなんですよ」

栞子「・・・・」

しずく「どうしますか、あとは栞子さん次第です」
 
56: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 00:07:46.80 ID:4G7fKIhD
栞子「・・・・すみません、取り乱してしまいました」

栞子「そうですよね、このままではかすみさんと璃奈さんの気持ちを踏み躙ってしまいます。それに」

栞子「最後はしずくさんが尊敬する私でいたいです」

しずく「・・・ありがとう、栞子さん」

栞子「お礼を言うのはこちらの方です、しずくさん。」

栞子「それでは改めて、こちらをどうぞ」スッ

しずく「はい、いただきます」

栞子「・・・・」

しずく「・・・・あのぉ・・・栞子さん?」

栞子「・・・これは私が手を離したらしずくさんは消えてしまうのでしょうか・・・?」

しずく「あーー・・・どうでしょう、流石に私も幽霊初体験なのでわからないかなーー・・・」

栞子「何でそんなに適当なんですか・・・」

しずく「えへへ、まぁ何というか幽霊の感というか・・・あ、そうだ、それじゃあ」

栞子「?」
 
57: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 00:15:35.67 ID:4G7fKIhD
しずく「栞子さん、そのまま手を離さずにこっちに来てください」

栞子「はあ・・・構いませんが・・・」スッ

しずく「よし、それじゃあ栞子さん、私からの最後のお願いです!!」

栞子「は、はい!!」

しずく「もう、そんなに畏まらないでよ」

栞子「すみません、最後と聞いてつい・・・」

しずく「もう・・・えーゴホン、それでは栞子さん、改めて私からの最後のお願いです!!」

栞子「はい、なんでしょう」

しずく「最後に私に・・・キス・・・してください///」

栞子「へ!?」

しずく「だって栞子さん、さっき言ってたじゃないですか、『ずっと足りないです・・・』って」
 
58: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 00:23:23.02 ID:4G7fKIhD
栞子「!!///・・・そんなこと、覚えておかないでください・・・///」

しずく「だってあの時の栞子さん、すっごく可愛かったんだもん」

栞子「全く、あなたという人は」

しずく「それで、してくれるんですか?」

栞子「・・・分かりました」

しずく「やった!!じゃあせっかくでしたら、さっきみたいに花嫁さんになってしたいです!!」

栞子「それは構いませんが、手が塞がってしまっていてローブをかぶせれられませんよ?」

しずく「あーそういえば・・・まあ片手ぐらい大丈夫じゃないですか?」

栞子「本当に適当ですね・・・それじゃあ・・・ホッ!!」パッ

しずく「・・・大丈夫そうだね」

栞子「大丈夫そう・・・ですね・・・はああああああ」
 
59: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 00:28:14.63 ID:4G7fKIhD
しずく「もう、栞子さんは大げさだよ」

栞子「もしこれが最後だったらと思うと緊張してしまって・・・」

しずく「・・・大丈夫ですよ、これじゃ私は消えませんから・・・」ボソッ

栞子「何か言いましたか?」

しずく「いえ、それより栞子さん、早く花嫁にローブを被せてください」

栞子「分かりました・・・これでいいですか?」
 
60: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 00:31:26.54 ID:4G7fKIhD
しずく「はい、ありがとうございます!!それではローブを上げてください」

栞子「はい、これでいいですよね?」

しずく「・・・もう、一言足りないですよ」ムスッ

栞子「?・・・はっ、そうでした。えっと・・・綺麗ですよ、しずくさん」

しずく「はい、ありがとうございます、栞子さん」
 
61: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 00:38:49.84 ID:4G7fKIhD
栞子「それでは、誓いのキスを・・・んっ」

しずく「んっ・・・」

栞子「・・・これでいいですか?」

しずく「んんんん・・・栞子さん!!」ガバッ

栞子「ちょっと!!しずくさん、いきなり抱きつかないでください、というか勢いで手離してしまいましたけど!?」

しずく「ごめんなさい栞子さん、でも栞子さんがあまりにも可愛くてつい」

しずく「それに・・・私本当は手を離しても消えないって分かってたの」

栞子「え、それはつまりしずくさんの想い残したことは卒業することではなかったのですか・・・?」

しずく「ううん、みんなと一緒に卒業したかったのは本当」

栞子「それではなぜ」
 
62: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 00:48:03.23 ID:4G7fKIhD
しずく「私ね、人よりちょっとワガママなの。だからやり残したことが3つぐらいあって」

栞子「本当にちょっとワガママですね」

しずく「むーーーっ」ギュウウウ

栞子「ちょっとしずくさん、痛いです」

しずく「栞子さんのバカ・・・これでも少ない方なんですよ」

栞子「すみません、それで3つとは何なのですか?」

しずく「一つ目は栞子さんが言ってくれたみたいに、皆さんと一緒に卒業すること」

しずく「この同好会は私にとってかけがえのない場所ですから」

栞子「・・・・」
 
63: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 00:53:02.20 ID:4G7fKIhD
しずく「そして二つ目は・・・誰かのお嫁さんになること」

栞子「それは」

しずく「うん、今日栞子さんに叶えてもらっちゃった」

しずく「女の子の一生に一度の夢、本当はウェディングドレスとか白無垢も着てみたかったけど」

しずく「でも本当に叶うと思わなかったから、これだけでもう十分だよ」

栞子「・・・叶えましょうよ」

しずく「え?」
 
64: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 01:01:25.12 ID:4G7fKIhD
栞子「叶えましょうよ!!服飾同好会に頼めば似たようなものがあるかもしれません!!」

栞子「難しいかもしれませんが、写真部に頼めば写真だって

しずく「それは無理なの」

栞子「どうして?」

しずく「私ね、この同好会の部室から出られないみたいなの」

栞子「え?」

しずく「何回か試してみたんだけど、どうやら私がいられる場所はここしかないみたいで」

しずく「まあ、本当に心残りのあることはここにあるからなんだけど」

栞子「そんな・・・だってさっきはこの後演劇部に行くって!!」

しずく「ごめんなさい、本当のことを言ったら栞子さん、ここから動かないでしょ?」
 
65: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 01:17:51.53 ID:4G7fKIhD
栞子「それは・・・」

しずく「だけどそんな心配も、もう必要ないかな」スゥ

栞子「?それは一体どういう・・・ってしずくさん、体が!!」

しずく「うん、そろそろさよならの時間みたい」

栞子「!!待ってください!!まだ、まだ私、しずくさんと話したいことが!!」

しずく「ごめんなさい・・・最後に少しだけお話し聞いてくれますか?」

栞子「しずくさん・・・」

しずく「私ね、本当に幸せだったんですよ。」

しずく「演劇をできたこと、スクールアイドルができたこと、皆さんに会えたこと」

しずく「そして、栞子さんに会えたこと」

しずく「栞子さんってば私を見つけてからずっと話に来てくれましたよね」

しずく「早朝にお昼休み、同好会が終わってから最終下校時間までの数十分」

しずく「最後に戸締まりのチェックって言ってよく来てくれましたよね」

しずく「あれ、職権濫用ですよ?」

栞子「・・・」

しずく「でも、それが嬉しかった。」

しずく「本当にありがとう、栞子さん」

栞子「しずくさん・・・」

しずく「最後にお話ししたかったことも言えましたしそろそr ギュウウウウ
 
66: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 01:25:30.71 ID:4G7fKIhD
しずく「・・・もう栞子さん、痛いよ」

栞子「・・・私からも・・・質問していいですか?」

しずく「・・・もちろん、その代わりに時間ないから5個だけですよ」

栞子「・・・頭を撫でてください」

しずく「もう、それ質問じゃなくてお願いだよ?それで、二つ目は?」ナデナデ

栞子「私は・・・立派な人になれるでしょうか・・・?」

しずく「大丈夫ですよ、栞子さんは今でも十分立派です。自信を持ってください」ナデナデ

栞子「・・・」コク
 
67: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 01:31:05.53 ID:4G7fKIhD
栞子「三つ目は・・・先ほど『道を照らす光になる私のことが好き』と言ってくれたのは本心ですか?」

しずく「え!?いやあれはその・・・なんというか・・」

栞子「どうなんですか?」

しずく「うううう・・・好き、です。」

栞子「それはLOVEですか、LIKEですか?」

しずく「ひとつの質問で二つのことは答えられません!!はい、これは終わり!!」

栞子「・・・ケチ・・・」

しずく「ダメなものはダメです、で四つ目は何ですか?」
 
68: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 01:38:20.33 ID:4G7fKIhD
栞子「・・・しずくさんの三つ目の心残り、本当にやり残したことって何ですか?」

しずく「それはさっきの質問に関わってくるからノーコメントです・・・でも安心してください、ちゃんと叶えられましたから」

栞子「なら・・・良かったです」

しずく「うん、ありがとう」

しずく「それじゃあ最後の質問だね、ほら栞子さん。最後くらい可愛いお顔を見せてください」

栞子「・・・・」グスッ

しずく「もう、せっかくのかわいいお顔が涙で台無しですよ」

しずく「栞子さんは一番笑顔が似合うんですから、笑った顔、見せてください、私の旦那さん」

栞子「・・・うん」

しずく「はい、かわいいお顔に戻りました!!」

栞子「・・・」
 
69: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 01:51:33.33 ID:4G7fKIhD
しずく「それでは栞子さん、最後の質問を教えてください」

栞子「・・・私は・・・私は最後に・・・しずくさんのことを、幸せにできましたか?」

しずく「・・・愚問ですね」

栞子「・・・すみません」

しずく「そんなの・・・もちろん幸せに決まってるじゃないですか!!」

しずく「皆さんと一緒に卒業できて、お嫁さんにもなることができて!!」

しずく「・・・好きな人とキスして」ボソ

栞子「え?」

しずく「私は、さいこーーーーーーーーーーーに幸せでした!!」

しずく「もう思い残すことはありません!!」

しずく「だから栞子さん、私のことは心配せずに自分の夢を追いかけてください!!」

しずく「私はいつでも皆さんのこと、栞子さんのこと、一番近くで応援していますから!!」

栞子「・・・しずくさん!!」ポロポロ

しずく「それじゃあ栞子さん・・・ごめんやっぱり、私」

しずく「栞子さんのことが」

栞子「!!」

しずく「____________」スゥ
 
71: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 01:56:07.92 ID:4G7fKIhD
栞子「・・・しずくさん・・・?」

パサッ

栞子「これは、卒業証書・・・・」

栞子「う・・・うぅ・・・」

栞子「うわああああああああああああああああああああ!!!!」

栞子「ああああああああああああああああああああ!!!!」

しずくさん

私は本当にあなたのことを

栞子「愛して・・・います・・・!!」
 
72: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 02:07:05.02 ID:4G7fKIhD
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガラガラ

かすみ「ヤッホー♡みんなのアイドル、かすみんが来ましたよぉ・・・ってどうしたのしお子!?目が真っ赤じゃん!!」

璃奈「大丈夫?目薬貸そうか?」

栞子「いいえ・・大丈夫です・・・。お心遣い感謝します・・・」

璃奈「そう?必要だったらいつでも言ってね?」

かすみ「それにしても何でそんなんに真っ赤に・・・あぁ、そういうことですか」

璃奈「これ、今日しずくちゃんのお家に持っていく手作りの卒業証書」

かすみ「そうだよねしお子、やっぱり寂しくなっちゃうよね。うん、しお子は優しいね」ナデナデ

璃奈「うん、栞子ちゃんはとっても優しい子。つい思い出しちゃったんだね」ナデナデ

かすみ「かすみんも思い出しちゃうもん、しず子との楽しかったこと思い出。それが楽しすぎたから、その分たくさん悲しくなっちゃうこともあるけど」
 
73: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 02:14:41.27 ID:4G7fKIhD
かすみ「だけどかすみん思うんです。しず子が好きだったかすみんはきっと、楽しい思い出で泣いちゃうような弱い子じゃないって」

璃奈「かすみちゃん、勉強はできないけどすっごくいいこと言う」

かすみ「な!?」

璃奈「でも本当だよ、私たちはこれから別々の道を進んで行く。それはしずくちゃんも同じ」

璃奈「それでもみんなからもらった温もりは絶対に消えない。だから私たちは前に進んでいける」

栞子「・・・そうですね、しずくさんにも同じことを言われました・・・」

かすみ「??何を言ってるのしお子、もしかしてちょっと寝ぼけてる?」

璃奈「でもきっとしずくちゃんだってそう言うと思う」
 
74: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 02:23:22.23 ID:4G7fKIhD
かすみ「もうしお子ったら、そんなんじゃしず子に笑われちゃいますよーっと」

かすみ「それじゃあ・・・そろそろ始めますか」

璃奈「うん、私たちにとってとっても大事なこと」

かすみ「・・・久しぶりだね、しず子。って別にここにいる訳じゃないけど」(しずくのロッカーを撫でながら)

かすみ「かすみん達と練習いっぱいいっぱい頑張ったね。まだまだ練習足りないかもだけど、そろそろ一緒に帰ろっか」

璃奈「しずくちゃんの荷物、ずっとあの頃のまま。しずくちゃんはずっと私たちと一緒だった」

かすみ「うん、だから帰る時も一緒。本当はまたパンケーキ食べに行きたいけど、また今度ね」
 
75: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 02:28:21.14 ID:4G7fKIhD
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しずく「って私、まだ部室にいるんですよねー・・・・」

しずく「おかしいなぁ・・・あの時消えたと思ったのに」

しずく「まだやり残したことがあった?いやそれはないと思うけど・・・」

しずく「でももう栞子さんからも見えてないようですし・・・どう言うことなんでしょう?」

しずく「でも、最後にかすみさんたちの顔が見られて良かったです」

しずく「あ、私のロッカーを掃除してくれるんですね。ずっと置いておくわけにもいきませんし、ありがとうございます」

しずく「ん?ロッカー・・・・待ってください!!確かあの中には!!」
 
76: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 02:37:08.18 ID:4G7fKIhD
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガタン

かすみ「流石しず子、久しぶりに見たけど綺麗に整頓されてる」

璃奈「うん、練習用のシューズに練習ノート、応急キットまである」

かすみ「本当に用意周到だなぁ・・・すっごくしず子っぽい」グスッ

璃奈「かすみちゃん、ちょっと泣いてる?」

かすみ「いや泣いてないし!!ちょっと埃が鼻に入っただけだし!!」

璃奈「うん、そう言うことにしておく」

かすみ「りな子、そう言うことを言う時はもっと表情に出さないほうがいいよ。すっごくニヤけてたから」

璃奈「分かった、善処する」

かすみ「それ聞く気ないやつじゃん・・・って何でしょうかあれ?」

璃奈「ん?どれ?」

かすみ「ほらあそこの上の網棚の上。なんか箱がある」

璃奈「取ってみる・・・えっと、「絶対秘密箱」・・・何だろ」

かすみ「何それ、しず子の秘密ってこと!?めちゃくちゃ面白そうじゃん!!早速開けようよ!!」
 
77: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 02:47:21.65 ID:4G7fKIhD
璃奈「ええ・・・それはどうかと思う・・・」

かすみ「いいじゃん!!それに、部室に置いておくほうが悪いんですよーーっと」パカ

璃奈「本当に開けちゃった・・・」

かすみ「えーっと中身は・・・ノートに、うわっ22点のテスト用紙が!!しず子め、自分もテストの点数悪かったんじゃん!!」

璃奈「いや、全教科悪いかすみちゃんとは訳が違うから」

かすみ「う、うるさいっ!!こうなったら他のものも見てやる・・・ってこれは」

璃奈「手紙、かな?」

かすみ「宛名は・・・ってこれ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

栞子「・・・しずくさん・・・」

かすみ「しーお子、どう?そろそろ落ち着いた?」

栞子「かすみさん・・・はい、お陰でだいぶ落ち着きました」

かすみ「ならよかった!!それで何だけどさ、はい」

栞子「これは・・・手紙、ですか?」

かすみ「そ、しず子のロッカーを整理してたら出てきたの」

栞子「宛名は・・・!?私ですか?」

かすみ「うん、なんの手紙かは分からないけど、中身見てみれば?」
 
78: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 02:50:01.75 ID:4G7fKIhD
栞子「ですが、勝手に見てしまってもいいのでしょうか?」

かすみ「もうかすみんが見つけちゃったからいいんじゃない?」

栞子「ええ・・・」

かすみ「それにさ」

栞子「?」

かすみ「届かない気持ちより、届いた気持ちのほうが嬉しいじゃん。しお子が一番分かってると思うけど」

栞子「!!」
 
79: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 02:51:53.85 ID:4G7fKIhD
栞子「・・・分かりました、読んでみますね」

かすみ「出来ればぁ、後でぇ、中身教えてね♡」

栞子「・・・そっちが本音ですか」

かすみ「てへっ♡」

栞子「全く・・・」
 
81: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 02:57:23.27 ID:4G7fKIhD
ペラッ

拝啓 三船栞子様

秋たけなわのこと・・・

栞子「なぜこんなに文章が固いのでしょうか・・・って途中で終わっていますね」

栞子「真面目なしずくさんのことですから、同級生への手紙に礼儀を重んじるか悩んだんでしょう」

栞子「・・・ただ本文は書いてありますね、えっと・・・」
 
82: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 02:58:33.46 ID:4G7fKIhD
栞子さんにお伝えしたいことがあります

単刀直入に言いますね

私はあなたのことが


好きです
 
83: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:04:49.90 ID:4G7fKIhD
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
かすみ「!?」

璃奈「?かすみちゃん、どうかした?」

かすみ「いや・・・ううん、何でもない。なんかちょっと気配を感じて。」

璃奈「だったらいいけど」

かすみ「あ、きっとぉファンの子達が明日のライブを待ちきれなくて私の噂をしてるんですね♡」

璃奈「あーうん、多分そうだね」

かすみ「・・・りな子、本当に強くなったね」

かすみ「(だけど、ううん、多分気のせいだと思うけど)」

かすみ「(私たちのすぐそばに)」

かすみ「(しず子がいる気がした)」
 
84: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:18:53.97 ID:4G7fKIhD
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
かすみ「よーーーし、それじゃありな子、しお子。そして、しず子!!」

かすみ「今日は私たちの最後のライブ、ファンの皆さんを思いっきり笑顔にしちゃいましょう!!」

璃奈「うん!!私、頑張る!!」

栞子「はい!!ファンの皆さんに笑顔を届けましょう!!」

かすみ「・・・しず子の衣装、どれも綺麗なままだね」

栞子「はい、服飾同好会の皆様のお陰です」

璃奈「ステージに一緒に立てなくても気持ちは一つ、しずくちゃんの分も私が歌うよ」

かすみ「あーーずるい!!かすみんだって歌うもん!!」

栞子「それでは私も負けていられませね!!」

かすみ「よーーーしそれじゃあ早速4人で会場に向かいましょう・・・って、ええええ!!」

璃奈「どうしたのかすみちゃん?」

かすみ「外・・・見てください・・・」

栞子「これは・・・雨が降ってますね」

かすみ「どうしてええええ!!今日は侑先輩達も見に来てくれるのにいいいい!!」

璃奈「待ってかすみちゃん、問題ないと思うよ」

かすみ「へ?」

璃奈「雨が降ってるのはあっち側だけ、ステージのある方は晴れてる」

栞子「はい、風向きの関係で少々流れてくるかもですけど問題はありません」

かすみ「そうなんだ・・・良かったぁぁ〜〜〜」
 
85: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:25:06.58 ID:4G7fKIhD
璃奈「寧ろいいかも、雨が流れてくる関係で、ほら」

かすみ「うわああああ、綺麗な虹が掛かってます!!」

栞子「これは・・・最高の舞台ですね!!」

璃奈「お天気雨様さまだね」

かすみ「お天気雨・・・あ、そうだ。ねぇしお子〜」

栞子「はい、何でしょうか?」

かすみ「お天気雨って〜他の呼び方があるんですけど〜知ってますか〜?」

かすみ「(昨日はりな子にちょっと馬鹿にされたけどこれはチャンス!!しお子にも同じ目にあってもらいます!!)」

栞子「・・・はい、知っていますよ」

かすみ「え!?そうなんだ・・・。ちなみに〜なんて言うんですか?」

栞子「もうかすみさん、これは一般常識ですよ」

栞子「狐の嫁入り、ですよね」
 
86: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:25:53.25 ID:4G7fKIhD
以上で本編終了です。
最後にエピローグで締めようと思います。
 
87: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:34:14.11 ID:4G7fKIhD
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
拝啓 桜坂しずく様

近況報告のため、稚筆ながらこのような文を認めております。

現在私は他の人の夢を応援するため、また誰かの道標になるために教師を目指して学問に励んでおります。

元々は姉の受け売りなのですが、私自身も性分にあっているのか日々充実した日々を送っております。

さて、つい先日面白いことがありましたのでご報告を。
 
88: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:37:29.90 ID:4G7fKIhD
私が専攻しているのは国語なのですが、その中で雨にまつわる言葉についての授業がありました。

そこでたまたま「狐の嫁入り」という単語が出てきて、非常に懐かしい気持ちになりました。

それもあって今回お手紙を出すことになって次第です。

ふと興味が湧いた私は他の雨の言葉を調べながら、安直ではありますが「しずく」さんのことを思い出しておりました。
 
89: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:42:37.41 ID:4G7fKIhD
そこで私は「せっかくであればしずくさんが現れた夏の雨について調べてみよう」と思い立ったのです。

夏の雨をしずくさんに見立ててあなたの姿を重ねる、ちょっと風流を感じませんか?

そうして色々と調べるうちに素敵な言葉を見つけたんです。

これを見つけたときには何だか小恥ずかしい気持ちになりながらも、あの季節にしずくさんが現れたことに必然性を感じました。
 
90: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:46:08.41 ID:4G7fKIhD
夏の雨に濡らされ翠々と繁った葉から、一滴のしずくが落ちる。

その様を見て人はその雨をこう名づけたそうです。

「翠雨」と。
 
91: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:47:26.30 ID:4G7fKIhD
以上になります。
長文並びに拙い文章になってしまいすみません。
読んでいただいた方々、いらっしゃいましたら本当にありがとございました。
 
96: (茸) 2023/06/12(月) 08:43:32.83 ID:2urtKPo1
甘々な雰囲気かと思ったら悲しいお話だった
また書いてほしい
 
92: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:56:41.62 ID:jqvCsUbP
切ないけど爽やかな
 
93: (もんじゃ) 2023/06/12(月) 03:57:20.48 ID:jqvCsUbP
途中で送っちゃった
切ないけど爽やかさも感じる読後感
よかったですおつかれさま
 
97: (茸) 2023/06/12(月) 10:40:50.32 ID:HHgu6my8
しおしず最高だ😭
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1686469130/

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