【SS】海が見える町の日常 ~果南編~【ラブライブ!サンシャイン!!】

SS


1: (SIM) 2022/02/10(木) 19:18:09.95 ID:A5UhTPtH
【1】

しずく(ある晴れた夏の日。私たちはここ、淡島に遊びに来ています)

かすみ「海だぁ~!!」

璃奈「うん。海、キレイ」

かすみ「りな子!しず子!おいでよ~!風が気持ちいよ~!!」フリフリ

しずく「かすみさん、柵から身を乗り出すと危ないよ?」

かすみ「いいの!かすみん落っこちないからいいの!」

ソヨソヨ…

かすみ「ん~♪……ねえねえ!写真とって!写真!」

璃奈「写真?」

かすみ「うん!アイドルとかがバカンスで良く撮ってるじゃん!それっぽくお願いっ!」

璃奈「はぁ……」

かすみ「ほらほら!可愛く撮ってね~!」キャルン♪

璃奈「……」
 
2: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:20:31.51 ID:y15D4CPE
ダイヤ「うふふ、皆さん満足いただけたなら良かったですわ」

しずく「あっ、すみません。わざわざ島にご招待いただき、船まで出してもらっちゃって……」ペコリ

果南「いいのいいの、どーせあんまり人も来ないんだし」ヒラヒラ

しずく「あはは……」

璃奈「人、来ないの?」

ダイヤ「お世辞にも賑わっているとは言えませんが、それでも魅力を感じていらして下さる方もいる……と、いった感じですわね」

果南「ちらほらとは観光客の人もいるよ。ほら、あそこで写真撮ってる人とか」

パシャパシャ

璃奈「ふーん」

果南「ところで三人とも、せっかく島まで来てくれたんだし~……どうしよっか?」

果南「見るところって言っても、思い当たるのはてっぺんの神社くらいで

かすみ「はいはいはいはい!泳ぎたい!かすみん海で泳ぎたいで~す!」

しずく「ちょっとかすみさん、ワガママ言うのは迷惑だよ」

かすみ「けど~!かすみんこのためにわざわざ可愛い水着用意してきたんだもん!」

果南「泳ぐ……?……あっ!それなら~」

………
……

 
3: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:23:09.69 ID:y15D4CPE
果南「……じゃじゃーん!スキューバダイビングで使う器材、通称BCD~!ダイビング用具の一式だよ」

かすみ「ってことはかすみんたち海の中に潜らせてもらえるってこと!?」

果南「うん、そうだよ!」

しずく「いいんですか?」

果南「大丈夫大丈夫。ちょうど団体客のキャンセルが出てて、ボンベ余ってたところだし」

かすみ「おぉ~!」

璃奈「でも私、泳げない……」

果南「それも基本的には問題ないかな。だって泳げないダイバーもたくさんいるもん」

璃奈「……ほんとに?」

果南「うん。泳がなくても水中で呼吸が出来るからね。もちろん泳げるに越したことはないけどね」
 
4: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:23:56.72 ID:y15D4CPE
果南「でももっと大切なのは、絶対に海を恐れないこと。水に対する恐怖心さえ持たなければ、ダイビングは誰にでも始められるよ」

璃奈「……」

果南「璃奈ちゃん、やる?」

璃奈「……やる」

果南「オッケー。じゃあ準備して、練習から始めてみよっか!」

かすみ「お~!」


しずく「……」
 
5: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:25:56.87 ID:y15D4CPE
***

~三津浜~

果南「まずは水中での呼吸法を勉強します。これがレギュレーター。海の中ではここから息を吸うんだけど……」

かすみ「わっ!急にブクブク言い始めた!?」ゴボボボ

果南「こらこら、勝手にいじらないの。それ、パージボタンって言って中に入った水を外に出す時に使うやつだから」

璃奈「なるほど……」

果南「見ててね、ほら」

ジュゴゴゴゴ…

果南「ねっ?こうやって吸うんだよ。じゃあみんなもやってみよっか!」

果南「ほら、ここのマウスピースを口の中に咥えて……」

しずく(えっ?)
 
6: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:29:40.22 ID:y15D4CPE
しずく「あ、あのっ!マウスピースって、これ、全部口の中に入れちゃう感じですか……?///」

果南「うん、そうだけど」

しずく「ということは、このマウスピースにも、誰か前に使っていた人がいて……ってことですよね?」

果南「えっ?あ、うん。まぁ……ウチのは全部その都度キレイに消毒しているし、もし気になるんだったら新品のとか

しずく「いえ、そういうことではなく……///」


せつ菜『ほら、歩夢さん。私のマウスピースを使って下さい』キリッ

歩夢『で、でも、それって、間接キスっ……♡///』

せつ菜『いいのですよ。私はそれより、歩夢さんに生きていて欲しいのですから』クイッ

歩夢『はわわ、せつ菜ちゃん……♡///』ドキドキ


しずく(とかどこかで起こってても、不思議じゃないんじゃないかって……////)キュンキュン

しずく「ふふっ……♡///」

璃奈「あ、またしずくちゃんが変なこと考えてる」

かすみ「おーいしず子~、戻ってこーい」
 
7: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:31:44.70 ID:y15D4CPE
果南「じゃあまずはかすみちゃんから!」

かすみ「は~い!いきます!」

チャポン!

かすみ「……?」ブクブク

果南「息が出来てるならオッケーだよ。続いて璃奈ちゃん!」

璃奈「うん。頑張る」

チャポン

璃奈「……」コポポポ

果南「大丈夫そう?」

璃奈「……」コクコク

果南「オッケー。じゃあ最後にしずくちゃん」

しずく「は、はいっ!いきます!」

ブクブク…

しずく「……ぷはっ!はぁ、はぁ」

果南「うん。もう一回やってみて」

しずく「は、はいっ!」

コポコポ

しずく「……ぷはっ!」

果南「……」
 
8: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:33:09.59 ID:y15D4CPE
果南「しずくちゃん、大丈夫?」

しずく「は、はい!大丈夫です!」

果南「そっか。じゃあもう一回やってみよっか」

しずく「は、はい、えっと……」

果南「リラックス、リラックス♪」

しずく「はいっ!」

チャポン

しずく「……」コポコポ…

果南「そうそう、そのままゆっくり、息を吸って~、吐いて……」

しずく「……ぷはっ!はぁ、はぁ……」

果南「……」

しずく「……せ、先輩っ!すごいです!私、さっきよりも10秒も長く潜れてました!」

しずく「すごいなぁ~、ダイビングって楽しいなぁ~、あ、あはは……///」

果南「……ねえ、さっきからずーっと気になってたんだけどさ。しずくちゃん」

しずく「ふぇっ!?」

果南「なんで上がってきたとき息切らしてるの?」

しずく「だ、だってぇ~!水の中じゃ息できないじゃないですかぁ~!!」

果南「いやその背中のボンベは何のためにつけているのさ」
 
9: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:34:35.75 ID:y15D4CPE
***

しずく(と、いうわけで……)

チュンチュン

しずく「はぁ……」

しずく(……私はいま、三津の砂浜に一人でいます)

しずく(あっちの方ではかすみさんと璃奈さんがダイビングの練習をしている傍ら、お休みを貰った惨めな私はというと、砂浜にちょこっと落書きをしたり……)

しずく「はぁ……」

ザァ…ザァ…

しずく(ほんとはダイビング、興味あったんだけどなぁ……)

しずく「……」

ザザーン…ザァァ…

果南「……それっ!」ピトッ

しずく「きゃっ!ちめたいっ!!」
 
10: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:35:27.21 ID:y15D4CPE
果南「ほら、ちゃんと水分もとらないと熱中症になっちゃうよ」

しずく「あ、ありがとう、ございます……」

果南「ん~っと!私も休憩~!」

しずく「いいんですか?かすみさんと璃奈さんのことは……」

果南「ん、まあ浅瀬で遊んでいる分にはね~。私も一応目を光らせてるし」ゴクゴク

しずく「はぁ……」
 
11: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:36:52.13 ID:y15D4CPE
果南「……それで?」

しずく「えっ?」

果南「やっぱりマウスピース、気になる?」

しずく「い、いえっ!そういうことじゃ、なくて……」

果南「なくて?」

しずく「……」

果南「……」

しずく「えっと……」

果南「うん。正直に話してみ」

しずく「その……海が少し怖いなぁ~、って……」

果南「そうかな?」

しずく「だって!!死亡事故とかもありますし!!」

果南「ん~、確かに。そうだね」

しずく「ぅぅ……」
 
12: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:38:55.21 ID:y15D4CPE
果南「ふわぁ~……」ムニャムニャ

しずく「本当は……本当はちょっとだけ、憧れとかもあったんです。私も海の音を聞いてみたいな~って」

しずく「けど、きっと私には無理なんですよね。だから今回は諦めます。また機会がある時に……だから果南さんは、かすみさんと璃奈さんのところに

果南「そっか。じゃあしずくちゃんも一緒においでよ」

しずく「えっ?」

果南「?」

しずく「えっと……あの、話、聞いていましたか?」

果南「うん」

しずく「私、多分今日中には多分無理なので……」

果南「でもダイビング、興味はあるんでしょ?」

しずく「それは、ありますけど……」

果南「その気持ちがあれば大丈夫だよ。海はみんなのことを待ってるもん」

しずく「けど

果南「確かにしずくちゃんの言う通り、海はとっても怖いところだ。人間は水中じゃ息もできないし、残念ながら還ってこれない人もいる」
 
13: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:40:03.82 ID:y15D4CPE
果南「でも今のしずくちゃんは、BCDを着けている。ボンベを背負っているから水中でも息が出来る。100%安全だなんて言い切ることは出来ないかもだけど、しずくちゃんの命を守るたくさんの秘密が、その装備には詰まってるんだよ」

しずく「……」

果南「それになにより一番、私がついてる!私の目が届く範囲にいる限り、絶対にしずくちゃんを危険な目に合わせたりなんてしないよ。それがインストラクターの役目だからね」

しずく「果南さん……」

果南「さっ、おいで!きっと素晴らしい海の世界が、しずくちゃんのことを待ってるよ♪」
 
14: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:41:54.64 ID:y15D4CPE
果南「じゃあさっきみたいにもう一回、海の中に潜ってみよっ。大丈夫、ここら辺は浅瀬だから足が付くよ」

しずく「はい……いきます!」

チャポン!

しずく「……」ブクブク


果南『海に入ったらまず、目を開けて周りを見てみよっか』

しずく『目を?』

果南『うん。しずくちゃんの目で、海の中の世界を確かめて見たらいいんじゃないかな?』


しずく(海の中の世界……)

しずく「……」

ソーッ…

しずく「…!?」
 
15: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:42:48.61 ID:y15D4CPE
キラキラ

しずく(わぁ……すごい、海の中って、こんなに明るい……)シュココココ…

しずく「……」コポコポ

しずく(……あれ?)

しずく「……」ブクブク

しずく(私、海の中で息が出来てる……)

………
……

 
16: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:46:04.75 ID:y15D4CPE
***

かすみ「海の中、ちょーキレイだった!」

璃奈「うん。海藻みたいなのがゆらゆらしてた」

かすみ「かすみんはお魚みたいなの見えた気がする!」

果南「そっか。けどもーっと深くまで潜るともっと近くに感じられるよ」

かすみ「えぇ~!じゃあかすみんたちもそこまで連れて行ってくださいよ~!」

果南「あはは、深く潜るには相応の資格が必要だからね」

かすみ「ぶ~!!果南先輩のケチ~!」

しずく「……海の中がこんなに光に溢れてるってこと、知らなかったなぁ」

果南「そう?」

しずく「はい。空から差し込んだ光が、キラキラと、まるで階段のように……わっ、私!新しい世界が開けたような気がするんです!!」

果南「そっか。うふふっ、それはよかった」

しずく「はいっ!こんなに素敵なことに気が付けたのは、全部果南さんのおかげです!!だから……だからやっぱり果南さんも、新しい世界に踏み出してみるべきなんじゃないかって!!」


果南「……ん?」

果南(あれ?もしかして流れ変わった?)
 
17: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:47:33.96 ID:y15D4CPE
しずく「果南さんには新しい可能性があると思うんです!!愛と鞭で従順を教え込む、王道系の包容力攻めとか!はたまたちょっと脆い部分を見せつつ欲に墜ちていくクール受けとか!もっと新しい世界を見てみてもいいと思うんです、私!」グイグイ

果南「ちょ、ちょっと待って……えっと、話が変わってない?」

しずく「変わってません!!ぜひもっと私たちに探求させてください!ねっ!ねっ!」グイグイ

果南「あのっ、しずくちゃん、近い近い……」

しずく「あっ!こうしちゃいられない!私、待ち合わせの時間があるんだった……ほら!果南さんも行きますよ!」グイッ

果南「わっ!?ちょ、ちょっとしずくちゃん!?」

かすりな「……」

果南「ふ、ふたりとも~!助けてよ~!!」

かすみ「イヤですよ。かすみん巻き込まれたくないですし」

璃奈「果南さん、自業自得」

果南「そんなぁ~!!」

しずく「~♪」



このあとめちゃくちゃ調教された。梨子ちゃん家で
 
18: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:50:41.60 ID:y15D4CPE
【2】

絵里「本当にいいの、真姫?」

真姫「いいのよ。気にしないで」

希「真姫ちゃん、気を使わなくてもいいんだよ」

真姫「別に、気を使ってるわけじゃないわよ。だた興味が向かないだけ」クシクシ

にこ「はぁ。って言うかアンタがいないとにこが一年生に間違えられそうなんだけど」

希「それはにこっちが子供体型なのが悪いんよ」

にこ「っさいわね!!むきーっ!!なんでよりにもよってにこがアンタら二人と一緒に潜らなくちゃいけないのよ!!ウエットスーツとかいうボディライン全開の水着の発明者出てきなさいよー!!」

真姫「はいはい。ほら、あっちで果南が呼んでるわよ」

絵里「悪いわね、真姫。じゃあお言葉に甘えて、私たち三人で楽しんでくるわね。行くわよ希、にこ」

希「ほら、ママについておいで~」ナデナデ

にこ「うるさいうるさううるさぁ~い!!子供扱いするなぁ~!!」

真姫「はぁ……」クシクシ

真姫(……と、いうわけで私は今、にこちゃんたちと一緒に静岡県の小さな島にいる)
 
19: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:52:02.51 ID:y15D4CPE
真姫(希たちが果南にダイビング誘われ、三年生の三人でお呼ばれすることになって。私はその付き添いってわけ)

真姫(ま、私は別にダイビングなんて興味ないんだけど)クシクシ

真姫「さて……」

真姫(三人が戻ってくるまで、どうやって時間をつぶそうかしら……)

ダイヤ「はい、真姫さん」コトッ

真姫「えっ?」

ダイヤ「ジュース、お飲みになりませんか?」

真姫「あっ、ありがと……」

ダイヤ「はい、どういたしまして」

真姫「……」

真姫(うっわ、確かこの人って先輩よね)
 
20: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:53:25.25 ID:y15D4CPE
真姫「……」チューッ

ダイヤ「……」

真姫(どうしよ、気まず)

ダイヤ「ふわぁ~……」

真姫「えっと……そういえば、あなたのところの髪色がオレンジの、うるさ……うっとおしい子とかは

ダイヤ「千歌さんのことですか?千歌さんたちでしたら、今日は水泳の補講がある日だったと思いますが」

真姫「そう」

ダイヤ「ちなみにルビィたちは、今頃沼津の方に遊びに行っているかと思いますわ」

真姫「ふーん」クシクシ

ダイヤ「……」

真姫「……」

真姫(うぇぇ、話も続かないし)
 
21: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:54:57.23 ID:y15D4CPE
ダイヤ「……」

真姫「……」クシクシ

ダイヤ「そういえば、真姫さんは行かなくてもよろしかったのですか?」

真姫「どこに?」

ダイヤ「絵里さんたちについて行かなくて、です。てっきり真姫さんもダイビングをしにいらしたのかと思ったのですが」

真姫「別に。私はただの付き添い。暇なら付き合えって言われただけよ」

ダイヤ「まあ、そうだったのですか」

真姫「ええ」

ダイヤ「……」

真姫「……」クシクシ

ダイヤ「……すみません。真姫さんの暇つぶしの相手にでもなれればと思っていたのですが」

真姫「気を使わなくて結構よ。ここで待ってるだけだもの」クルクル
 
22: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:56:23.54 ID:y15D4CPE
チュン、チュン…

真姫「にしても……本当に何もないわよね、この辺りって。見える景色も海と山と船だけだし」

ダイヤ「ええ、そうですわね。本当に何もありませんわ」

真姫「……」クルクル

ダイヤ「島の風景は気に入っていただけましたか?」

真姫「ん、まあ一応ね。少しだけ」

ダイヤ「そうですか、良かったです」

真姫「……」

ダイヤ「真姫さんが仰る通り、内浦は本当に何にもない町ですし……海が綺麗なことと、風が心地よいことだけが取り柄なのかもしれませんね。もちろんここから見る町の景色も、私はとっても大好きですわ」
 
23: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:57:45.42 ID:y15D4CPE
ダイヤ「けど……町の魅力というものは、決して目に見えるものだけに限らないと思うのです」

真姫「……どういう意味?」

ダイヤ「飛び込んでみないとわからない魅力が何事にも存在する、という意味ですわ。さて、と……」

真姫「!?」

ダイヤ「んっ……」

真姫「ちょ、ちょっと!?何してんのよ!?///」

ダイヤ「何って……」ヌギヌギ

真姫「うぇぇ!?///」

真姫(はぁぁ!?///なんでこの人いきなり服脱いで……)

ダイヤ「?」

真姫(……あっ、下に水着着てたのね。先に言いなさいよ、全く)
 
24: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 19:59:31.52 ID:y15D4CPE
ダイヤ「さて、と……私はこの次の回から果南さんたちと一緒に潜ろうと思っているのですが、真姫さんも一緒にいかがですか?」

真姫「言ったでしょ。私は別に

ダイヤ「先程も申し上げましたが、魅力というものは見えているだけが全てでないと。私はそう思うのです」

真姫「……」

ダイヤ「確かにこの町は何もないところですわ。綺麗な海と、穏やかな風と。どれも東京では決して味わうことのできないモノたちです」

ダイヤ「ですので、もし真姫さんが少しでも魅力を感じていただけたのなら……きっとその先には、もっと深いところには、さらに素敵な世界が待っているのです。ぜひ一緒に見て頂きたいのですわ」

真姫「……そう」

ダイヤ「はい。絶対に後悔させるようなことにはさせませんわ。誰よりも内浦の町と海を知り尽くしている、この私が保証します♪」

真姫「……」
 
25: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:01:04.96 ID:y15D4CPE
***

希「ふぃ~♪」

絵里「凄かったわね、魚の群れ」

希「ね~。あんなに近くで見られるなんて思ってなかったよ~」

にこ「ま、にこの可愛さには劣るけどね~」

希「にこっちは船長さんに中学生と間違われとったもんね~」

にこ「なっ……///うっさい!!忘れようとしてたんだから思い出させるなぁ~!!///」

真姫「……///」クルクル

にこ「……って。なんでアンタがウエットスーツ着てんのよ」

真姫「うぇぇっ!?///それは……」クシクシ

絵里「ふふっ。真姫も一緒に潜りたいんでしょ?」

にこ「なによ。潜りたかったなら最初からそう言い

希「うんうん。みんな一緒の方が楽しいもんね~。ね~、にこっち?」ニギギギ

にこ「ふぉっ!?ふぁふぁふぃふぁふぁいよ~っ!!」フニフニ

果南「そうだね。みんなで一緒にダイブしよっ♪」

真姫「っ……///」カァァッ

………
……

 
26: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:02:05.08 ID:y15D4CPE
~後日 音ノ木坂~

穂乃果「で、みんなで一緒にダイビングして来たんだ」

絵里「そうよ。すっごく楽しかったわ」

穂乃果「えぇぇ~!!ずるいー!!私も行きたかったぁー!!」

海未「仕方ありませんよ。私たち二年生は登校日だったのですから」

穂乃果「うわーん!!ばかばかばかばかぁ~!!学校のバカー!!理事長のばかぁ~!!」

ことり「あ、あはは……」
 
27: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:03:28.58 ID:y15D4CPE
花陽「真姫ちゃんもついて行ってたの?」

真姫「そうね。にこちゃんたちがどうしても来て欲しいって言うから、仕方なくよ」

にこ「はいはい。ほんっと素直じゃないわよね~」

凛「ねえねえ!写真!写真とかないの?凛、写真みたーい!」

絵里「いいわよ……よ、っと!」ドン!

凛「わっ!?」

花陽「もしかしてこれが全部写真なのぉ!!?」

希「たくさん撮ったもんね~」

絵里「数えたら全部で536枚あったわ」

花陽「ごひゃくさんじゅうろくまいぃ!?」

ことり「すごーい!」

真姫「……」クシクシ

凛「けど、この写真……」

ペラッ、ペラッ

凛「魚、ビート板、魚、絵里ちゃん、希ちゃん、魚……で」

にこ「ちょっと。今にこのことビート板って言った?」

凛「肝心の真姫ちゃんが全然写ってないにゃー」
 
28: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:05:00.78 ID:y15D4CPE
絵里「そりゃそうよ。だってその写真、全部真姫が撮ってたんだもの」

花陽「うぇぇ!?」

海未「まぁ。よくこんなに多く良い写真が撮れましたね」

希「それだけ楽しかったってことだもんね~。ねっ、真姫ちゃん?」

真姫「えっ、ま、まぁ……///」

クシクシ

真姫「まぁ……そうね。結構楽しめてたと思うわよ。ふふっ」

8人「……」

ポカーン

真姫「な、なによその眼は……」

穂乃果「いや、真姫ちゃんが珍しくデレてるなーって」

凛「これは静岡で人格を乗っ取られてるかもしれないにゃ」

海未「明日は雪かもしれませんね。真姫」

真姫「うぇぇ!!?///い、意味わかんないんだけどっ!!////」
 
29: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:06:33.62 ID:y15D4CPE
【3】

果南「ん~♪」

ソヨソヨ

果南「今日も風が気持ちいいなぁ~」

果南(私の名前は松浦果南。淡島っていう内浦に浮かぶ小さな無人島で、小さなダイビングショップを手伝っています)

果南「よい、しょ……」ゴトッ

果南(ひと昔前はダイビングブームの波を受けて、ここ内浦も賑わっていたみたいだけど……今は伊豆のダイビングスポットって言えば大瀬崎の方になるのかなぁ?最近は繁盛してる、とは言えない状況です)

果南(ま、それでも別にいいんだけどね。内浦の海を気に入って潜ってくれる常連さんもちらほらいるし)

果南(それに淡島の中には他にも、マリンパークがあるから観光客もちらほら……)

観光客「……」パシャパシャ

果南(観光客も……)

観光客「……」パシャパシャ

果南「……」
 
30: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:07:57.98 ID:y15D4CPE
観光客「……」パシャパシャ

果南「はぁ……」

テクテク

観光客「……」

果南「……あのさ、鞠莉」

観光客「!?」

果南「この前からずーっと気になってたんだけど。コソコソ隠れて何やってるわけ?」

鞠莉「……」

果南「……」

鞠莉「むぅ……!!」プクーッ!
 
31: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:09:09.56 ID:y15D4CPE
鞠莉「……」

果南「……」

鞠莉「だって……」

果南「だって?」

鞠莉「ん!見てよこの写真!」

果南「写真?」

鞠莉「ほら!果南ってば水着の女の子とこんなにもイチャイチャしちゃって!」

果南「……」

鞠莉「この前は虹ヶ咲の一年生でしょ?そして昨日は音ノ木坂のお嬢様たちでしょ?もーっ!!果南ってばすーぐ女の子をとっかえひっかえしちゃって!!マリーが遊びに誘っても忙しいって断るくせに!!」

果南「はいはい。仕事してるんだから、邪魔しないでよね。鞠莉」

鞠莉「むぅ~!!社畜みたいなこと言ってくれちゃって!!」

果南「よいしょ。ボンベはこっちで、ウエットスーツは……」

鞠莉「なによ!!そんなにダイビングのことが大好きなんだったら!!いっそダイビングと結婚でも

果南「ん」

バサッ

鞠莉「きゃっ!?」
 
32: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:10:05.67 ID:y15D4CPE
鞠莉「ちょっと、何するの

果南「じゃ、それ着替えてきてね。私ここで待ってるから」

鞠莉「ホワッツ?着替えるって……ウエットスーツに?」

果南「うん。なるべく早くね~」

鞠莉「ちょっ、果南!?待ちなさ……」

果南「~♪」スタスタ

鞠莉「……」

鞠莉(むぅ……)
 
33: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:11:13.11 ID:y15D4CPE
***

果南「じゃあ私!いっきまーす!」

ザブン!

果南「鞠莉も早くおいでよ!」

鞠莉「……」

鞠莉(なんで私まで潜る羽目に……)

果南「ほーら!言ったでしょ、私から片時も離れないでねって!今日のバディは鞠莉なんだからね~!」

鞠莉「バディ……」

鞠莉(……)

鞠莉「はぁぁ……」

ザブン!
 
34: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:12:35.89 ID:y15D4CPE
鞠莉「……」ブクブク

果南「~♪」

ブクブク

鞠莉(海の中……青い。どこまでも青い。まるで私の心みたい)

鞠莉「……」コポポポ

鞠莉(ノイズは何も聞こえない。私の呼吸と、レギュの音と、ちょっと離れたところにいる果南と)

果南「!?」

鞠莉「?」

果南「!!」ブクブク

果南(みてみて鞠莉!魚群!群れでいるよ!)

鞠莉(そうね。珍しいわね、こんなところで見るなんて)

果南(ね~、ラッキーだね~)

果南「~♪」ブクブク

果南(ほらほら、私もキミたちの仲間だよ~)ユラユラ

鞠莉(……)

果南(鞠莉も早くこっちおいでよ~!)フリフリ

鞠莉「……」コポポポ
 
35: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:13:58.70 ID:y15D4CPE
鞠莉(やっぱり聞こえるのは、どこまで行っても自分のレギュの音だけ。泡と一緒に、私の中の青い想いも海へと溶けていく)

果南「~♪」

果南(ん~、やっぱり魚は可愛いなぁ~♡)

鞠莉「……」コポポポ

鞠莉(はぁ……あ~あ、もう全部どーでもよくなってきちゃったなぁ……)

………
……

 
36: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:15:32.72 ID:y15D4CPE
果南「ぷはぁ~♪」

ザバッ

果南「よっと……はい鞠莉、捕まって」

鞠莉「あ、ありがと」

ヒョイッ

果南「ん~、気持ちいいなぁ~♪」ゴロン

鞠莉「……」

果南「こうやって船でお昼寝って贅沢だよね~、えへへ~♪」

鞠莉「……ねえ、どうして私をダイビングに誘ったの?」

果南「だってダイビングってバディがいないと出来ないじゃん。今日どうしても潜りたくってさ~」

鞠莉「……」

鞠莉(ほんっと、果南ってば性悪鈍感にぶにぶ女なんだから……これじゃあマリーが馬鹿みたいじゃない)プクッ
 
37: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:17:36.22 ID:y15D4CPE
果南「~♪」

鞠莉「……」

果南「ふわぁ~……疲れたからちょっと寝よっかなぁ……」

鞠莉「えっ?」

果南「おやすみ~……」ゴロン

鞠莉「あっ、ちょっと果南」

果南「すぅぅ……」ムニャムニャ

鞠莉「……」

果南「すぅ……」スヤスヤ

鞠莉「……」

鞠莉(ほんっと、このお気楽娘ときたら……)

鞠莉「……ま、いいわ。こうなったらマリーも寝てやるだけなんだから」

ダイヤ「えっ?あっ、ちょっと鞠莉さん?」

鞠莉「おやすみ……」ゴロン

ダイヤ「この船には私も乗って

果南「……」スヤスヤ

鞠莉「……」ムニャムニャ

ダイヤ「……」

ダイヤ(はぁ……ほんっと、このお気楽自由星人とおてんばお嬢様ときたら……)
 
38: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:18:49.07 ID:y15D4CPE
船長「嬢ちゃんどうする?陸の方に戻るかい?」

ダイヤ「あっ、いえ……すみません。少しの間だけこのままでいてもらえますか?」

船長「おうよ。合点」

ダイヤ「すみません。いつもいつもお手数をおかけしてしまい……」

船長「いいってことよ。他ならぬ嬢ちゃんたちの頼みとありゃあな」

ダイヤ「ありがとうございます……」チラッ

果南「むにゃむにゃ……」

鞠莉「すやすや……」

ダイヤ(……)

ダイヤ「はぁぁ……」

ダイヤ(……そんなお気楽すぎる潜りバカとお嬢様を乗せて、船はただゆらゆらと海を揺れます)
 
39: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:20:15.40 ID:y15D4CPE
ダイヤ(ここ内浦の町には、ただ自由な時間だけが流れます。ゆらゆら、そよそよ、いつまでも同じ時間が繰り返し)

ヒュォォォー!

ダイヤ「きゃっ!?」

ザワワ…

ダイヤ「あっ、帽子が……」

帽子「」サヨナラー

ダイヤ(……)

ダイヤ「……まあ、いいですわ。別に」

果南「すぅ、すぅ……」スヤスヤ

鞠莉「むふっ……」ムニャムニャ

ダイヤ「……」

ダイヤ(いつまでも同じではいられない。いつかは変わらなきゃいけない日が来るとはわかりつつも)

ダイヤ(風はただ私をあざ笑うかのように、私たち三人の中を暖かく吹き抜けていくのでした)
 
40: (もんじゃ) 2022/02/10(木) 20:20:59.92 ID:y15D4CPE
終わりです。お読み下さりありがとうございました
果南ちゃん!お誕生日おめでとう!
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1644488289/

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