【SS】千砂都「私かのんちゃんができないことを……ガンプラを作れるようになる！！」【ラブライブ！スーパースター!!】

【ある放課後、部室】


かのん「う～……どうしよう……」


すみれ「どうしたのよ……って、何その箱？」


可可「見て分からないのデスか？ユニコーンガンダムデス！」


すみれ「いや、知らないけど。っていうか、なんでガンダムの箱があんのかって聞いてるんだけど」


かのん「ほら、こないだの休みにお台場のスクールアイドル会いに行ったじゃん？」


すみれ「あー……そういえばアンタ、帰り際いろいろ持たされてたわね」


かのん「ほとんどは手作りのお菓子とか漬物とかだったんだけど、その中にこれだけ……」


すみれ「ちょっと待って。こないだかのんが懐から出してきた漬物って、その時の……？」


恋「間違えて入れてしまったわけではないのですか？」


かのん「そういう訳じゃないと思う」


かのん「渡される時、『私も手作りお菓子にしようとしたら、歩夢さん達からやんわり食品以外でと言われたので、私の積みを分けました！』ﾍﾟｶｰ、って言ってたし」
　

すみれ「なら飾ればいいじゃない。ちょっと部室の雰囲気には合わなそうだけど」


かのん「そう思ったんだけどね……」ﾊﾟｶｯ


すみれ「うわ、何これ」


恋「どうやら自分で組み立てる必要があるみたいですね」


可可「ガンプラデスから、自分で組み立てるは当たり前デス！」


かのん「もしかして可可ちゃん、詳しい？」


可可「上海でもガンダムは人気コンテンツ！知らない人いまセン！」


すみれ「それは盛りすぎじゃない？」


かのん「じゃあ可可ちゃん作らない？手先器用だし」


可可「あ無理デス可可ガンプラやったことないデス」


かのん「じゃあ……すみれちゃん」


すみれ「私もパス。こういうの作る柄じゃないわ」


かのん「恋ちゃんは？」


恋「このような細かい部品、チビが口に入れたら怖いので……」


かのん「だよねー……」
　

可可「かのんは作らないのデスか？」


かのん「私は不器用だし、音楽以外だと集中力続かないんだよねー」


恋「なら千砂都さんしか残ってませんね」


かのん「ちぃちゃんかー……。ちぃちゃん今新曲の振り付け考えてもらってるから、こんなの頼めないよ」


すみれ「今“こんなの”って言ったわね」


ガラガラー


千砂都「みんな！遅くなってごめんね。振り付けできたよ！」


クレカス「！！」


千砂都「え？な、なに？」
　

かのん「―って話になってさ」


千砂都「いいよ。私作るよ」


かのん「ホントに！？」


千砂都「だってかのんちゃん、プラモデル作れないんだよね？」


かのん「お恥ずかしながら……」


千砂都「かのんちゃんができないなら、私やるよ！」


かのん「じゃあ、お願いします」


可可「ちょっと待ってくだサイ」


すみれ「何よ。今いい感じで纏まったじゃない」


可可「かのん、それはユニコーンガンダムの何デスカ？」


かのん「何って言われても……ユニコーンガンダムのペル……ペるふぇく……」


可可「RGユニコーンガンダムペルフェクティビリティデスね？」


かのん「多分、そう」


可可「ソレ、アプリで一万円で売れマス」


すみれ「一万円ギャラクシー！？」
　

可可「どうやら、公式のガンプラ専門店でしか売ってない物らしいデス」


恋「限定品、というわけですか」


すみれ「かのん、売るったら売るわよ！」


かのん「待って！頂き物だよ！？」


すみれ「でも市販品でしょ？」


かのん「それは、そうだけど……」


すみれ「私たちには必要ないけど、それを一万円出しても欲しい人がいる。win-winじゃない」


千砂都「私作るよ」


可可「千砂都？」


千砂都「もちろんプレゼントされたものってのもあるけど、かのんちゃんが、みんなができないモノをそのままにはしたくないから」


千砂都「だから……それ渡して？」


かのん「ちぃちゃん……」


かのん「箱閉まんなくなっちゃったよーーー！！」
　

こうして嵐千砂都の新たな挑戦が始まった――


千砂都「道具は……ニッパーとデザインナイフとピンセット……後ヤスリかぁ……」


可可「可可の道具箱から持ってきまシタ！」


すみれ「ヤスリならネイル用のが何本かあるけど」


千砂都「ちゃんとプラモ用を買ってこよう！」


――――

―――

―


すみれ「タミヤの薄刃ニッパー、2,440円。OLFAアートナイフ、781円。タミヤ、フィニッシングペーパー細目セット、154円。タミヤ、精密ピンセット1,120円……」


千砂都「色々調べたら、初心者はこの辺りからって」


恋「言っておきますが、それは部費で落とせませんよ？」


千砂都「う、うぃす……」
　

千砂都「まずは足からなんだ……」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ


千砂都「わざとゲートを残して切って、もう一度切る」ﾊﾟﾁ


恋「ナイフとヤスリは使わないのですか？」


千砂都「あ、そういえば」


可可「千砂都は二回目もニッパーを使ってまシタが、本来はナイフやヤスリで目立たなくする……みたいデス」


すみれ「ま、使わなくてもいいんじゃない？ぱっと見、わかんないし」


千砂都「でも……」


すみれ「それに千砂都なら分かるでしょ？初心者には成功体験をさせて、その楽しみを知ってもらうって」


すみれ「今回は出来はどうあれ、完成させることを目標にしたら？」


千砂都「そっか。そうだよね。ありがとうすみれちゃん」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ


かのん「可可ちゃん見て！スクールアイドルのプラモデルなんかもあるよ！」


恋「かのんさん……もしかしてすでに飽きてません？」
　

【数日後】


千砂都「できたーー！！」


可可「おおっ！やるデス千砂都」


すみれ「よくできてるわね」


恋「かなり細かいですね。これ、お台場に建っていたものですか？」


千砂都「お台場にあったのは普通のユニコーンガンダムで、これはユニコーンガンダムペルフェクティビリティ」


千砂都「ユニコーンガンダムプランＢのアームドアーマーDEをガンダムNTに出てくるユニコーンガンダム３号機フェネクスと同じ仕様にした機体なんだ」


すみれ「……ごめん、何て？」


千砂都「お台場ガンダムの凄いの！」


恋「へぇ……すごいんですねー」


すみれ「恋、解らなければそのままでいいわよ……」


可可「千砂都がガンダムに染まってしまいまシター！！」
　

【さらに数日後】


千砂都「かのんちゃん！見て！完成したよ！」


かのん「…………ああっ！こないだの完成したんだ！」


千砂都「かのんちゃん、ひょっとして忘れてた？」


かのん「まさかそんな……あはははは。それにしてもよくできてるなー」


千砂都「初めてだったからシールがうまく貼れなかったりしたけどね」


すみれ「でもこれで目標達成ね」


千砂都「まだだよ！」


すみれ「え？」


千砂都「今回は説明書通りただパチっただけ。上には上がいるの」


千砂都「別にパチ組みを否定してるわけじゃないの。塗装ができない環境に住んでる人もいるだろうし」


千砂都「でも私は、嵐千砂都はかのんちゃんの横に立つに相応しいモデラーになりたいの！！」


恋「かのんさん、そう言っていますが……」


かのん「う～ん……これで終わりでいいんじゃないかな？」


千砂都「かのんちゃんありがとう！私もっとガンプラ作る！」


可可「しゅみれ～……二人日本人なのに、日本語通じてないデス……」
　

それから千砂都はガンプラ製作にのめり込んでいった――


千砂都「塗装の手間を考えると先に赤塗って……いや、これくらいなら筆塗りでいいかも……」


恋「千砂都さん、プラモデルを塗装する道具に６万かけたらしいですよ？」


すみれ「ギャラクシー！？」


千砂都「塗装ブースは自作で済ましたけどね」


可可「可可が手伝いまシタ」
　

【また数日後】


千砂都「ここは設定画にあるモールドが省略されてるから、追加して……」


すみれ「今度は何作ってるのよ」


恋「理事長から頂いたたーんえーガンダム、というものらしいです」


千砂都「いや～……旧キットだから弄り甲斐あるわ」


すみれ「千砂都、ここ分割するのはいいけど、強度が不安じゃない？」


千砂都「う～ん……∀は背負いものないしシンプルだから大丈夫かなーって」


可可「千砂都！ジャンクパーツの中にアッタこの平手、サイズぴったりデス！」
　

そして時が過ぎ――


千砂都「かのんちゃん！私やったよ！！」ﾊﾞｧﾝ!


かのん「ちぃちゃん！？」


千砂都「私ガンプラのコンテストで大賞獲ったよ！！」


恋「ホントですか！」


可可「レンレン、スゴイデスー」


千砂都「この記事見て！」


すみれ「えーっと『第XX回　全日本オラザク選手権大賞　『ハロの夢』PN.まるまるサークル』」


すみれ「これって……」


千砂都「そう私！」


かのん「ちぃちゃんすごいじゃん！私ガンプラとかよくわかんないけど、ずっと真剣に取り組んでたもんね」


千砂都「ありがとうかのんちゃん。うぃっすー」


かのん「うぃっすー」
　

千砂都「みんなもありがとね」


千砂都「可可ちゃんはガンダムに詳しいし、何度も一緒に世界堂まで付き合ってくれた。すみれちゃんもなんだかんだ言いながら製作手伝ってくれたり」


すみれ「ちょっとレイアウトとか見栄えにアドバイスしただけよ」


千砂都「恋ちゃんにもたくさんジャンクパーツ分けてくれたよね」


恋「いえ、こちらとしても実家の積みを活用してありがとうございました」


千砂都「かのんちゃんは……ずっとそばにいてくれた」


かのん「えへへ」


すみれ「そうだったかしら……」


可可「かのんはシ ーの臭いに耐えられなくテ、逆に距離をとっていまシタ」
　

恋「それで……今後はどうするのですか？続けるのですか？ガンプラ」


千砂都「ううん。もうおしまい」


すみれ「そんな……もったいないったらもったいないわよ！」


恋「せっかく私たちもプラモづくりの楽しさが分かってきたところなのに……」


千砂都「私たちはスクールアイドルだからね。それにかのんちゃんが……」


可可「かのん……やっぱり可可たちがガンプラ作ってるの嫌デスカ？」


かのん「え……」


千砂都「正直に言って、かのんちゃん！嫌なら私たち辞めるから」


かのん「じ、実は……」ｶﾞｻｺﾞｿ
　

可可「それは！」


千砂都「ガールガンレディのデイジー……！」


すみれ「かのんアンタ……」


かのん「みんなが色々作ってるの見たら、私もやってみたくなっちゃって……。それでこっそりビックカメラ行って……」


千砂都「かのんちゃん……」


かのん「シ ナーの臭いは慣れないけどね」


可可「では今から一緒に作りまショウ！」


すみれ「シ 　ーがダメなら、私のシタデルカラー貸してあげるわ」


恋「私のファレホもいいですよ」


かのん「みんな……ありがとう！」


かのん「ところで……」


かのん「このプラモ、何ガンダムに出てくるやつなの？」


チクレス「！！？？」


おしまい