【SS】穂乃果「あと一公演で優勝」ことり「夢じゃなくなったね」

SS


1: (茸) 2022/04/02(土) 00:04:41.05 ID:ZX2fupwR
ガチャ
にこ「その通りよ」

8人『お疲れ様ー!!』

にこ「このメンバーは我がスクールアイドル研究部史上最強だと確信してるわ」

凛「そりゃそうにゃ」

にこ「この9人で勝てなきゃ、それはむしろラブライブのルールの方がおかしいのよ!」ドーン
 
2: (茸) 2022/04/02(土) 00:05:54.98 ID:ZX2fupwR
にこ「メイド喫茶注目のエース『ウインクする時は君への合図』で騙した客は星の数、南ことり!」

ことり「卒業までに300人は常連さんになってもらうよぉ」

にこ「顔がよく見えるセンター曲を見せてくれとのファンの声も多いが男関係は真面目、園田海未!」

海未「というよりレズですから」

にこ「人のよさそうな言動に似合わずセクハラ気味な東條希!」

希「さすがにステージの上ではやらんよ」

にこ「センター曲、人気投票一位未だ無し!でも平均順位は4位そこそこ小泉花陽!」

花陽「座右の銘可もなく不可もなく…」
 
3: (茸) 2022/04/02(土) 00:06:25.78 ID:ZX2fupwR
にこ「チーム1の体育会系!にもかかわらずその語尾はなんなんだ星空凛!」

凛「語尾の理由はそれなりに重いにゃ」

にこ「スクールアイドル歴半年を脅威の音楽センスでカバー!西木野真姫!」

真姫「光栄ね、でもこれ以上作曲させたら過労で死ぬわよ」

にこ「納得いかなきゃ廃校だろうが留学だろうが余裕でぶっ飛ばす!音ノ木高の核弾頭、高坂穂乃果!」

穂乃果「なんか言い方酷くない!?」

にこ「校内の隠れファン更に急増中!『希の目が怖い』と訴える!!得意のステップで避けきれっ、絢瀬絵里!」

絵里「勘弁してよ…」
 
4: (茸) 2022/04/02(土) 00:07:21.37 ID:ZX2fupwR
にこ「そしてッ!!!」バサッ

にこ「『音ノ木坂学院関わりたくない女』堂々三年連続ナンバーワン!!多分今でもぶっちぎり!部長、矢澤にこ!!!」ニッコニッコニー

(主な理由:しつこそう、自尊心こわされそう、女の子らしいを超えてメンヘラっぽい)

8人「………」

にこ「…そんなあたしと親友以上な花陽部員」ヒシッ

花陽「……///」ポッ

7人「それが信じらんねって!!」
 
5: (茸) 2022/04/02(土) 00:08:33.22 ID:ZX2fupwR
にこ「いいわね!明後日の決勝に備えて今夜から9時には寝ときなさい!手〇は三回まで!交尾は厳禁よ!!腰に響くからね!」

にこ「けんか、拾い食い、万引き、カツアゲは言うまでもなく百合乱暴や放火、連続〇人も我慢して頂戴!!」

にこ「じゃあたし家で伝伝伝の鬼リピするから!あんたたちも道草しないで帰んなさいよ!!」ガチャッ

穂乃果「…にこちゃん張り切ってるねー」

希「降って湧いた最後のチャンスだからね」

花陽「───みんな、ちょっといいかな?」

花陽「にこちゃんあんな感じで雑だったけど、ほんとはみんなにとってもとっても感謝してるの」

花陽「μ'sにだけじゃなくて、手伝ってくれてた二年の先輩たちとかも含めて『皆に感謝してもしきれない』って泣いてたこともあるんだよ…」
 
6: (茸) 2022/04/02(土) 00:09:35.79 ID:ZX2fupwR
絵里「えぇ?衝撃の事実ね」

真姫(想像つかないわ…)

穂乃果「えー!どこで?まさかここで?」

花陽「うぅん…わたしの部屋…///」

真姫「聞かないでよ…」(´;ω;`)ブワッ

穂乃果「ごめん………」

ガラガラ
にこ「いっけない!私ってば服着るの忘れてるじゃない!近所の中学生がキャーッだってうるさくて取りに戻っちゃったわ!!」

8人(……………)
 
7: (茸) 2022/04/02(土) 00:13:14.50 ID:ZX2fupwR
ガチャ
ヒデコ「ねぇねぇ!明日はやっぱり学院総出での応援になるよ!utxの人たちも来てくれるって!」

穂乃果「ほんとに!?」

にこ「おぉー!文京区中の女子高生の目がステージのにこに集まるのね!明日はピン無しで150デシベル越えるわよー!」アハハハハハハ

真姫「にこちゃん本当に出すからね…」

花陽「うぅ…なんか凄く緊張してきました…」

凛「まだ本番までまる二日あるよ…そんなんじゃ死んじゃうにゃ」

絵里「歌詞間違えたりなんかしたらそれは恥ずかしいわよ?」

海未「町中からひやかされますね。たまりませんよ…」
 
8: (茸) 2022/04/02(土) 00:16:19.64 ID:ZX2fupwR
パァンッ!!!

穂乃果「きゃっ!」

パパパパパパパパパリィィィィィン

カチャカチャカチャカチャカチャカチャ


カチャン
 
9: (茸) 2022/04/02(土) 00:16:47.03 ID:ZX2fupwR
ことり「ま…またこれ…!」

希「………皆怪我はない?」

絵里(大丈夫、私が気を失ってるだけ)

穂乃果「にこちゃん…まただよ…」

ことり「部室の窓がひとりでに…」

にこ「あー、これが例のテーエムオペラ現象ってやつね!気にしたら負けよ負け」ハーッハッハァ!

にこ「窓は私が部費の追加申請出しとくから!じゃ!明日!!」ダッ

希「にこっち…ポルターガイストだってば…」

ことり「言葉の概念があるってだけで安心する典型的なタイプだよね」

凛「平和な人にゃ」
 
10: (茸) 2022/04/02(土) 00:17:56.84 ID:ZX2fupwR
絵里「でも…なんだか前より酷くなってる気がするわ」

海未「えぇ…何故でしょう…」

凛「ライバル校が超能力で攻撃してきたとか…!」

真姫「そんな能力あれば本番で足滑らせた方が良いでしょ」

花陽「やっぱり、気にしないようにするしかないのかな」
 
11: (茸) 2022/04/02(土) 00:19:17.57 ID:ZX2fupwR
穂乃果「そうなんです今度は窓が割れて…。はい、怪我人はいません。はいそうです。書類は明日にこちゃ…うちの部長が持ってきます。はい。じゃあ、お願いします」

穂乃果「ふぅ」ピッ

希「お疲れ様やね、生徒会長」

穂乃果「下校中まで仕事しなきゃなんて労働基準法に触れてるよ!ブラック生徒会だよ!!」

希「えりちは家に持ち帰って仕事してたよ」

穂乃果「おぉぉ…」

穂乃果「え、えと…ここまで何事もなくて良かったね!」

希「何事もなくはなかったと思うけど…。そうだね、みんなのモチベーションが下がったりとかは無さそうやね」

穂乃果「うん…変なことが起きる原因が分かればもっと良いんだけど…」
 
12: (茸) 2022/04/02(土) 00:21:16.02 ID:ZX2fupwR
希「国内外で似た事例はあるんよ」

穂乃果「えっほんとに?」

希「くわしくは知らないけどね」

希「おうちに感受性の強い子供や動物が多いところで起きるのが特徴でね」

希「引っ越しや転勤、家族の不和、事故病気とか大きな変化があったときに始まることがあるって」

希「超心理学では潜在してるストレスが原因で知らないうちに超能力が起きてるってのが定説」

穂乃果「でも、起きてるのは家じゃなくて部室だよ?」

希「うん…だからウチも突っ込んだことはいいたくないんよ。無責任なこと言ってどうなるかわからないし…」

希「99%穂乃果ちゃんじゃないとは思うけどね」

穂乃果「?」
 
13: (茸) 2022/04/02(土) 00:23:07.27 ID:ZX2fupwR
希「…それよりさ、優勝しようね!!」

穂乃果「うーん他の出場校も凄い子達ばっかりだからね…」

希「だめです。絶対に勝つって言いなさい」

穂乃果「理事長っぽく言われても約束は出来ないよ…」

穂乃果「ベストを尽くす。みんな気持ちは一緒でしょ」

希「…うん。それで十分」

にこ\アッ!ホノカーノゾミー!!コウビゲンキンヨー!!!/

穂乃果「部長…ぶん殴りますよ…?」
 
15: (茸) 2022/04/02(土) 00:24:52.77 ID:ZX2fupwR
二日後

雪穂「はぁー…未だに信じらんないなぁ…姉ちゃんが今日決勝に出るなんて…」煎餅パリパリ

亜里沙「雪穂!大変!!」バン!

雪穂「わっ!どしたの突然!待ち合わせ夕方でしょ!?何か忘れ物?」

亜里沙「μ'sが待合室で突然消えちゃったの!!」

雪穂「!?」

亜里沙「実はワタシ、今日も朝から海未さんを追っかけてたの…そのままステージ入り直前で励まそうと思って…」

雪穂「そういうファンの良識を越えた真似は…」

亜里沙「いやもう興奮しちゃって…」
 
16: (茸) 2022/04/02(土) 00:26:19.25 ID:ZX2fupwR
亜里沙「控え室のそばの廊下の角で待ってたんだけど」

亜里沙「ドアが開く音がした瞬間……煙みたいにフッ…と、中からそれまで聞こえてた歌声が聞こえなくなって…それでもう誰もいなくなってて…」

雪穂「えぇ?それじゃ大騒ぎじゃん!運営の人は!?」

亜里沙「それが…開始前でみんな忙しそうにしてて取り合ってくれなくて…」

雪穂「うーん」ポチポチ

雪穂「……………」トゥルルルル トゥルルルル トゥルルルル
 
17: (茸) 2022/04/02(土) 00:27:54.51 ID:ZX2fupwR
雪穂「海未さんもことりさんも出ないね…」

亜里沙「うん…ここに来るまでワタシもお姉ちゃんにかけ続けてたんだけど…」

雪穂「…じゃあやっぱり、あれと関係してるんだろうな…」

亜里沙「『あれ』…?」

雪穂「亜里沙は聞いてない?最近μ‘sの部室で変なことが立て続けに起きてたっていうやつ」

亜里沙「あー…希さんとお姉ちゃん話してたのをチラッと聞いたような…」

亜里沙「後でお姉ちゃんに聞いてみたら『なんでもないわ』以外何も言ってくれなくて…」

雪穂「へぇー心配かけさせまいとしてたんだ。うちのと違ってやっぱりカッコいいなぁ絵里さんは…」

亜里沙(涙目でプルプル震えながらだったんだけど)
 
18: (茸) 2022/04/02(土) 00:29:20.60 ID:ZX2fupwR
雪穂「なんかねー、誰もいなかったのに棚の物が机に山積みになってたり、pcが独りでに起動して爆音を流してたり、部室にいたらいたで変な物音がしたり電気が消えたりしてたみたいでね」

雪穂「こないだなんか窓が全部割れちゃったとか言ってたよ」

亜里沙「напугана…」

雪穂「そんなとこの隣室で決勝前日寝るんだからちょっとおかしいよねあの9人…」

亜里沙「なんてこと…いったい何でそんなこと…」

雪穂「うん、それでわたしも希さんとちょっと調べてみたんだけどね」

亜里沙「いや誰かは分かってるよ雪穂。utxの人達のシワザだね」

雪穂「え?」
 
20: (茸) 2022/04/02(土) 00:31:42.90 ID:ZX2fupwR
亜里沙「μ‘sの実力を認められないからって…!ちょっと行ってくるよ……」

雪穂「いやいやちょっと待って!証拠があるわけじゃないでしょ!」

亜里沙「待つっていつまで!決勝が終わるまで!?」

雪穂「…みんないなくなったことが分かったら日程ずらしたりとかで対応してくれるよ」

亜里沙「最終日のオオトリを逃して!?そんなの棄権も同然だよ!」
 
21: (茸) 2022/04/02(土) 00:32:22.03 ID:ZX2fupwR
亜里沙「ワタシずっと地元のスクールアイドルを追っかけてはいたけど、今はもうμ‘sだけって決めてるの」

亜里沙「あの人たちがどれだけ熱心に練習して、どんな思いであそこに立つのかは雪穂だって知ってるでしょ?」

亜里沙「止めないでね雪穂。ワタシ、雪穂のことだって大好きなんだから……」

雪穂「………亜里沙…あんた……」

雪穂「……わかったわかったよ。その時はわたしも付いてくよ…でも先に会場に行ってみよう」

亜里沙「会場よりも先に閉じ込められてそうな場所に行かなきゃ…!」

雪穂「その可能性が高いんだよ、会場の中」

亜里沙「?」

雪穂「道すがら話そ。まぁほとんど希さんの言ってたことになるんだけど」

雪穂「多分みんなは今─────────
 
22: (茸) 2022/04/02(土) 00:36:13.82 ID:ZX2fupwR
9人「………………………」

穂乃果「は?」

海未「なっ…ん……ですか…これ…は…」

ことり「かーがやーきー……を……?」

希「………巨大な…ライブステージ……が…」

真姫「でもこんな…こんな会場でやるなんて聞いてないわ…」

にこ「ひかりのなーかでー!」

穂乃果「そもそも本番は外ステージだけど…ここは…」

花陽「あああぁあきっあきき…」

凛「かよちん!?大丈夫!?」

花陽「あ、アキバドームだ…よ……ここ………!」
 
23: (茸) 2022/04/02(土) 00:37:25.30 ID:ZX2fupwR
真姫「な、何を…言ってるのよ…今の今まで私達は控室で…イメージトレーニングしてて…」

希「扉が開いて皆がそれに気を取られた瞬間…」

海未「いやいやいや何言ってるんですかそんな。瞬きする間に移動なんて非現実にもほどが」

凛「でも現に起きてるにゃ」

花陽「ぅええっえええええ!!」

ことり「花陽ちゃん!?どうしたの!」

花陽「ぇえぇぇ絵里ちゃんが泡吹いて倒れたぁ!!」ダレカタスケテアゲテー!

絵里「」ブクブクブクブク

穂乃果「絵里ちゃーん!!!」

真姫「出血なし!意識なし!気道確保よし!呼吸よし!!絵里!聞こえる!?聞こえたら手握り返して!!」

絵里「」ヒューヒュー

にこ「ぼくーとーきみーでーきたーよーここーまでー!!」
 
24: (茸) 2022/04/02(土) 00:38:21.79 ID:ZX2fupwR
絵里「いやーびっくりしたわぁ。気を失うときってあんな感じなのね」

ことり「良かったぁすぐよくなって」

絵里「心配かけてごめんなさいね。なんだか怖い夢見ちゃったみたいで──」

絵里「みんなでリラックスしながら歌合せしてたら、いきなり空調の音だけが響くアキバドームにポツンと放り出されて途方に暮れる夢でね」

8人「……………」


ヒュゥゥゥゥゥゥウウゥウウゥ


絵里「…………」ポツン

絵里「……」ブクブクブクブク

穂乃果「ぅ絵里ちゃーーーん!!!」

にこ「ひとつになれっこころkira-kiraぁぁぁあ!!!」

真姫「はぁ…」
 
25: (茸) 2022/04/02(土) 00:40:40.28 ID:ZX2fupwR
真姫「っていうかここちょっとおかしいわ」

凛「ちょっとじゃなくて全部おかしいにゃ」

真姫「いやまぁそうなんだけど…。でもここ、ほんとーにアキバドームなのよね?」

花陽「うん…前に行ったプロのアイドルグループのライブの風景によく似てて…」

ことり「穂乃果ちゃん海未ちゃんと家族ぐるみで野球観戦に来たことあるけど、あの天井とか客席の形は間違いないと思うよ」

真姫「でもそれにしては」サスサス

絵里「人気が無さすぎるわね」プルプル

真姫「そのとおり」

絵里「休日の昼間なら何かしらやってるはずだし、そうで無くともこの静寂はおかしいわ」ガクガク

真姫「砂漠のど真ん中にでも立ってるみたいよ、ここ」


ヒュゥゥウウウウウウウゥゥウゥウ
 
26: (茸) 2022/04/02(土) 00:42:53.72 ID:ZX2fupwR
穂乃果「……よし、わたしちょっと外に出てみる!」

真姫「穂乃果、よしなさいよ」

穂乃果「このままここにいたって埒が明かないよ!誰か調べてみないと」テクテク

希「さすが核弾頭」

凛「凛も行くよ!」

花陽「わっわたしも!」

海未「はぁー…仕方ないですね…」

絵里「待って!30秒まって!!いま立つから!それまでにはなんとか歩けるようなるから置いてかないで!!」プルプル

にこ「あれ?待ってよここまさかアキバドーム?」

ことり「遅すぎるよぉ…」
 
27: (茸) 2022/04/02(土) 00:44:52.42 ID:ZX2fupwR
穂乃果「下から見るスタンドってこんな感じかぁー」

花陽「うわぁー!はわぁー!!」ピョンピョン

凛「ベンチの裏ってどうなってるにゃ?」

海未「気になりますね」

ことり「ドームに来たことあるのは2年生と花陽ちゃんと…」

にこ「あたしもあるわ。家族6人でね」

絵里「私は無いわね。亜里沙がライブ映像に被りついてるのをチラッと見たくらいよ」

希「うちも無いよ」

真姫「来たことはあるわ。物産展のイベントだったけど」

凛「凛はこないだ野球観に行ったよ!」

凛「それでちょっと確認したいんだけど…一塁側のスタンド行っていい?」ヨジヨジ

花「凛ちゃんあぶな…!」ハラハラ
 
28: (茸) 2022/04/02(土) 00:46:00.68 ID:ZX2fupwR
あ、ごめん一文字抜けた
 
29: (茸) 2022/04/02(土) 00:46:49.79 ID:ZX2fupwR
凛「えーと…えーびーしーでぃーいーえふじー…っと。あれ?もうなくなってる…」

希「何がー?」

凛「ここにアイドルグループのステッカーが貼ってあったんだよ。かよちんの家にもあったなーって思ったの覚えてる」

海未「剥がされてしまったのでは?」

凛「うーん結構長いこと貼りっぱなしな感じだったんだけど」

穂乃果「席違うとか?」

凛「いやいやHの11の1。絶対忘れないよこんな分かりやす…あれ?あれれ?」

穂乃果「変だ…どこにも書いて無いよ…席の番号…」

にこ「後楽園ドームと間違えてんじゃないの?」

凛「そんなことないって!たった1ヶ月前のことだよ!?絶対ここ!」
 
30: (茸) 2022/04/02(土) 00:48:37.34 ID:ZX2fupwR
希「…多分だけど、凛ちゃんの言うことは正しいと思うよ」

希「アキバドームの方が間違ってるんよ…きっと…」

真姫「え?」

絵里「あーもー…そういうのいいから楽しい話しましょうよー帰りましょうよぉもー…」

穂乃果「もしかしてこれ、ポルターガイストと関係あるの?」

希「うん。あのね
にこ「くぅぅぅう!いいわねー!アキバドーム!!いつか向こうから『にこさん、次はドームでライブお願いします』って言ってもらうんだから!!」

にこ「見てなさいよ秋元康ー!中田ヤスタカー!木皿ーー!!」ニッコニコニー

真姫「ほっときましょ」
 
31: (茸) 2022/04/02(土) 00:49:58.81 ID:ZX2fupwR
海未「みんな!ちょっとこちらへ!!」

7人『?』

海未「ベンチの向こうの部屋に入ってみたのですが…ここ…どこだか分かりますか?」

絵里「………ひぃっ!」

ことり「そんな…嘘でしょ……!?」

凛「えっ…何なに?」

穂乃果「信じられない…ここ学校のホールのロビー横だよ…」

花陽「ホールの通路の内装なんてどこも同じような物…では…?」

ことり「見覚えがあるものがいっぱいなの…。この赤いソファとかそのまんまだし」

穂乃果「『火』のところだけ貼り直されてる曜日スケジュールとか!」

\アー!タシカニー!/

海未「日陰の隅っこなのにやけに活き活きしてる観葉植物とか!」

\アー!アッタアッター!/
 
32: (茸) 2022/04/02(土) 00:52:28.18 ID:ZX2fupwR
絵里「ということは、この非常口の先…外よね…?」ガチャ

絵里「………」ドサッ

穂乃果「ここは…中学校の体育館?」

凛「ならこの戸を開ければ!」ガララ

ことり「また…高校のロビー…」

海未「一体…いったいここはどうなってるんですか!!」

希「みんなごめん。さっきはにこっちに遮られたこと、ちょっと話させて」

真姫「ほら、失神してないで早く起きなさい絵里。多分大事な話よ」

希「えりちには何回か話してるからだいじょ…いや脳に伝わる前にシャットダウンされてたかも…」
 
33: (茸) 2022/04/02(土) 00:54:00.78 ID:ZX2fupwR
 
 
雪穂「まだ解明されてない自然現象とかの偶然、っていうこともあるだろうけどね。人自身が引き起こした可能性もあるんだよ」

亜里沙「どういうこと?人が一瞬で大人数を抱えて移動するってこと?」

雪穂「移動というかなんというか、まぁとにかく誰かが会場に残ってる可能性は高いよ」

亜里沙「でも確かに部屋にいたはずの皆が居なくなってたよ!」

雪穂「さっき言ってた、ドアを開けた人も?」

亜里沙「それは…物音が無くなっても少しの間角で耳を澄ましてたから…」

雪穂「その人も急に居なくなったみんなを探しに行ったのかも」

亜里沙「でもその人だけ見つけたって意味ないよ!」
 
34: (茸) 2022/04/02(土) 00:57:01.57 ID:ZX2fupwR
雪穂「……1997年に山形の例が一つあってね」

雪穂「えっと…甲子園予選決勝の野球部、部員の士気は高くて勝てる見込みも充分だった。だけど決勝に向かう途中のバスが、突然走行中に消えたの」

亜里沙「それって…」

雪穂「うん。そしてそれから数時間した決勝開始直前、部員たちは泥だらけのユニフォーム姿で球場に現れた」

雪穂「事情を聞いたところ部員達は『一人の部員の心の中にいた』と口を揃えて言ったの」

雪穂「『あいつが負けたときどれだけ悔しかったのか、どれだけ勝ちたがってたか思い知らされた』と言って笑ってた」
 
35: (茸) 2022/04/02(土) 00:57:28.82 ID:ZX2fupwR
雪穂「────こういう一人の人間が複数人を潜在意識に移動させた話があるの。受け売りな上に2chの与太話みたいで悪いんだけどね」

雪穂「この超能力は物凄い集中力とか、極度のストレスの中で引き起こされることが多いらしくて…」

雪穂「ラブライブ決勝のオオトリって、スクールアイドルにとってどのくらいのストレスだと思う?」

亜里沙「それは…………」
 
36: (茸) 2022/04/02(土) 01:00:07.27 ID:ZX2fupwR
穂乃果「ここが誰かの潜在意識の中……!?」

希「多分、としか言いようがないけどね」

穂乃果「…」

海未「…」

ことり「…」

花陽「…」

凛「…」

真姫「…」

絵里「」

にこ「とーどーけっまほーうー!!」

ことり「ちょっと…唐突過ぎない…?」

希「部室で変なことが起こるようになってからけっこう調べてみたんよ」

希「東北に居た頃、似たような噂話聞いてたの思い出してね。極度のストレスが原因で起こったと思われる超能力現象」
 
37: (茸) 2022/04/02(土) 01:04:04.20 ID:ZX2fupwR
希「高校球児が決勝直前に部員を心のなかに閉じ込めた話。最初はラップ音、そして部室の用具が勝手に動いたりガラスが割れたりを繰り返して、最後には部員が消えるっていう」

ことり「それは…」

海未「そっくり…ですね…」

希「超常抜きに用意できる?アキバドームと高校中学の混合空間、こーんなおっきなまがいもの」

海未「そういえば私、こんな雰囲気の夢を見たことあります。舞台に立っていたかと思うと自室にいて…」

ことり「言われてみればこの非現実感、夢に似てるかも」

海未「でしょう?」

凛「でも、それなら一体ここ誰の意識の中にゃ?」
 
38: (茸) 2022/04/02(土) 01:05:19.50 ID:ZX2fupwR
真姫「ビビってる娘でしょ?ライブでは勝ちたい。でも凄く緊張しちゃう子。もし歌詞間違えたりステップ止まったらとか考えて」

真姫「ここに来て緊張が限界に達して『このままパフォーマンス抜きで勝ってしまいたい』とか思っちゃったんじゃないの」

真姫「冗談じゃないわよこんな超能力なんて…まったく、非科学も程々にして頂戴」

花陽「うぅ…ご免なさい…。ならわたしのせいかも……日が経てば経つほど…気持ちが…」

真姫「あっいや別に花陽だって決めつけたわけじゃ…」

凛「というかかよちんの無意識なのにかよちんがここにいるのおかしいにゃ」

絵里「そもそも9人全員いるわ」

希「潜在意識の中ならなんでもありえるよ。夢の中では自分を俯瞰で見たりもするでしょ?」
 
39: (茸) 2022/04/02(土) 01:07:33.83 ID:ZX2fupwR
希「それにこれは表層意識上の緊張と必ずしも一緒とは限らない。『潜在』意識のストレスなんやからね」

希「むしろ表面上平静に振る舞ってる人ほど…」

真姫「…は?なに…?それ私のこといってんの?」ガタッ

希「誰でもあり得るって言ってるんよ」

真姫「何よそれ。さっきから変なことばっかり言って‥」ズイズイ

穂乃果「真姫ちゃん」

花陽「お、落ち着いて!真姫ちゃん!!」

にこ「………凛、ゴー!」

凛「ワン!!」
 
40: (茸) 2022/04/02(土) 01:09:53.52 ID:ZX2fupwR
───
──


希「緊張していた球児は潜在意識の中でかつて惨敗した愛媛代表の敵チームと再戦!」

希「つまり自分の弱さと全力で対峙することで部員を開放して、それから見違えるほどの動きを見せたそうなんやー!」

凛「~♪」タッタッタッタッ

希「その後はポルターガイストも一切起きなくなったー!!」

真姫\チョッ……マッ……ケータイ…カエシナサイッテ…!リン!!!/ゼェゼェ

希「つまりうちが言いたいのはパッと見の様子からストレスの大きさを判断するのは不可能であるってだけで!!」

真姫\ホンバンマエニコンナオーバーワークサセルナンテ,アンタユウショウスルキアルノ!!?/ゼェヒィゼェヒィ

希「決して真姫ちゃんが超能力者なんて言ってるわけじゃないんよー!!!」

真姫\モー‼マチナサーイ!!!/
 
41: (茸) 2022/04/02(土) 01:11:47.12 ID:ZX2fupwR
にこ「止まっちゃ駄目よ凛!部長命令ー!!」

凛\ラジャニャー!!/ダダーッ

にこ「真姫も!そのままステージ20周するか凛に追いつくかのどっちかよ!」

にこ「追いついたら宇宙ナンバーワンアイドルがハグしてあげるから!」

真姫\ッ…!!………ウォォォォオォオッ!!ウェールカームソー!!!!/
 
42: (茸) 2022/04/02(土) 01:14:28.82 ID:ZX2fupwR
──

 
真姫「ほんっと……意味…分かんない…どうだっていいわよ…もう…!!」バッタリ

海未「やはり真姫は持久力に難が残りましたね」

絵里「だから後半になると体幹がぶれるし、普段完璧な声調も安定しなくなる」

凛「真姫ちゃーん!急に止まると体に悪いよー!!こっち来てー!」ピンピン

真姫「…………」グッタリ

真姫「……別に良いのよ…歌い出し間違えようが転ぼうが…誰より悔しいの本人でしょ…」ボソボソ

真姫「でもみんな、これっぽっちも他人のミスを責めたりしないじゃない…!」

真姫「そのせいで本人がどれだけ辛いか、誰も分かんないままで…挙げ句にはこんなことになるまで思い詰めて…」

真姫\そういうのずっと嫌だったのよっ!私はぁ!!/

にこ「よしよし、よく頑張った。よく言った。みんなちゃんと聞いてたわよ」

真姫「………」
 
43: (茸) 2022/04/02(土) 01:16:21.13 ID:ZX2fupwR
にこ「凛に追いつけたの初めて?やれば出来るじゃない。これなら本番も楽勝ね」ギュッ

────
──


希「今ポルターガイスト現象は幽霊の仕業じゃ無くて、人が引き起こす未知の能力って考えられ方が一般的になってるの」

希「ストレスが無くなれば自然と現象も止まるんよ」

穂乃果「要するにあの状態だ」

真姫「………」ギュゥウ

にこ「安心しなさい真姫。ここにいるみんな、少なくともあんたよりは強いんだから。あんたが大丈夫ならみんな大丈夫よ」ナデナデ

真姫「………ん…」ギュウウゥ
 
44: (茸) 2022/04/02(土) 01:20:25.82 ID:ZX2fupwR
絵里「でもこの場合『μ'sを決勝で勝たせたい』けど『決勝が怖い』っていうのがストレスの最大の原因なのよね?」

花陽「……………」

希「…そうだね」

絵里「なら決勝で勝たないと決勝を克服出来ないんじゃない?」

絵里「野球の時はトラウマになった試合を再現することでストレスの源を克服したようだけど、トラウマになったライブなんて私達には…」

花陽「じっ…じゃあ私達…」

ことり「一生ここから出られない?」

絵里「オゴッ」バターン

穂乃果「途中まで賢かったのに…」

海未「自分で導いた答えに慄いて気を失うなんて…器用ですね…」

凛「お化けでも暗闇でも無いんだから、そろそろいい加減にしてほしいところにゃ」
 
45: (茸) 2022/04/02(土) 01:24:04.40 ID:ZX2fupwR
にこ「まぁ待ちなさい。話は大体分かったわ」


7人『にこちゃん…!』パァァァ


にこ「ここでとやかく言っても仕方ない。本番まであと5時間…」


にこ「秋葉から勝どき駅まで20分!目つぶっても間に合うわ!」


7人(にこちゃん……)ドヨオォン
 
46: (茸) 2022/04/02(土) 01:24:46.57 ID:ZX2fupwR
希「あっそうだ!他にも強力な集中力が超能力を引き起こす可能性もあるね!」

穂乃果「集中力?」

ことり「あー『スプーン曲がれー!』って念じるみたいな?」

希「そうそう、人智を超えた能力を出すのは大抵脳だからね。ストレスなんかよりも因子としては強いくらいだよ」

凛「なんで最初に言ってくれなかったの?」

希「なんでだろ…?もう伝わってたような…すっかり忘れてたわ…」
 
47: (茸) 2022/04/02(土) 01:25:50.01 ID:ZX2fupwR
真姫「ちょっと…それ言ったら私があんなしんどいことして滅茶苦茶恥ずかしいことになった意味無くなるんじゃないの…」ゴゴゴゴゴゴゴ

希「いやいやいやいやいやストレスも間違いなく超能力に関係してるから…集中力は引き金みたいなもんだよ」

希「真姫ちゃんの最大のストレスが分かって、それが無くなったのなら間違いなく状況は好転してるんよ」

希(可愛いかったし)

7人「うんうん」

7人(可愛いかったし)
 
48: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:28:38.48 ID:Qfv4/wMh
真姫「……じゃあみんなで腹割って話しましょうよ!普段我慢してること叫べば出れるでしょ、不公平よこのままじゃ!」

穂乃果「えぇーと…じゃあ……海未ちゃんの鬼軍曹ー!」

海未「知ってます。そのお腹たまには隠してください」

花陽「うぅーんと…ことりちゃんの歌詞って可愛いんだけど可愛いすぎて、ちょっと意味が通らなくなって直すのが大変…かなぁ…なんて…」

ことり「可愛いって言ってくれてるの花陽ちゃんだけだったよ!ありがとうね!!」

花陽「えっ!?えっと…えへへ…」

凛「絵里ちゃん最近柔軟の量減らしたにゃ。あれだけ全てに繋がるって言ってたくせにおかしいよ」

絵里「えぇ、言ったとおりよ。みんなの体作りはもう全てに繋がっていたからね。今は異常がないかのチェックをして、体にスイッチを入れるだけで良いの」

絵里「でも新入生が来たら一番固い子に合わせてみんな一緒にやること。くれぐれも焦らせずじっくりとね」

凛「うん、分かった!」
 
49: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:29:18.85 ID:Qfv4/wMh
真姫「仲良しかっ!!」

にこ「仲良しよ」

真姫「知ってる!けど違うでしょ!こんな会話で超能力が出たり消えたりしてたら私はさっき月まで生身でいってるわよ!!」

穂乃果「そうは言っても、案外本心を曝け出すのって難しいよ…」

海未「感情に任せて言ってから『私はそう思ってたんだ…』って実感が湧くこともありますし」

希「とにかく、ストレスから解決の糸口を見つけるのは今はちょっと難しいと思うよ」

真姫「ぐぬぬ」

穂乃果「でもホントに…早くなんとかしなくちゃね…」

絵里「ストレスと集中力両方のせいでそうなってるなら、誰なのか突き止めてから本人の緊張を緩ませることで出られるんじゃないの?」

希「うーんどうだろ。穂乃果ちゃんどう思う?」

穂乃果「え?なんで穂乃果に?」
 
50: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:30:08.15 ID:Qfv4/wMh
希「いや、この中で一番ストレスとか関係なさそうなのにこちゃんか穂乃果ちゃんだし」

にこ「にごぉ!?」

穂乃果「そんなことないよ!?穂乃果だってあれやこれや悩んでたでしょ!?」

ことり「えー?そうかなー?」

穂乃果「おいィ?よりにもよってちょっとことりちゃンん?それ以上言うと雨止ませますよ?」

ことり「だって穂乃果ちゃん、思ったことちゃんと言ってくれるでしょ?」

穂乃果「えっ」

ことり「わたしのときも悩みながら自分で答えを出して、最後まで悩むだけで終わりそうだったこの手を引いてくれた」

海未「あなたがやりたいことを口にしてることで周りがどれだけ救われてるのか、もっと自覚するべきですよ。穂乃果は」

ことり「あのおかげでわたしは決められたの。もう迷わないって」

穂乃果「…えへへ」
 
51: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:31:37.50 ID:Qfv4/wMh
にこ「あっあたしだって悩むことくらい!」

真姫「こないだ宇宙1のアイドルは物憂げな顔は浮かべても悩むことは無い、とかしたり顔で言ってなかった?」

にこ「ぐっ…それは…。他人に言われるとなんかアホって言われてるみたいで癪なんだけど…」

8人「………っ」

8人(……ゴクン)

希「……真姫ちゃんも凛ちゃんも元気に見えて割と繊細だし、結構みんな怪しいんよね…」

穂乃果「そういえばこのグループ、大人しい子が多いかも…」

希「ここまで言っといてなんだけど、うちだって充分に怪しいんよ…。二日前に言った引き起こす人の特徴、誰よりも合致してるのはうちだからね…」

穂乃果「考えすぎだよ…希ちゃんはアキバドームの中がどうなってるか知らなかったんでしょ?」

希「そうだけど…」
 
52: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:38:30.80 ID:Qfv4/wMh
穂乃果「……確かに誰なのかは気になるね…犯人探しみたいでいい気はしないけど」

穂乃果「私この会場の雰囲気、なんか…嫌なんだ…」

花陽「………………!」

穂乃果「真姫ちゃんが言ってくれて気づいたけど、誰かをこんな潜在意識にさせちゃってることがなんていうか…悔しくて…悲しくて…」

絵里「そう!それよ!!そうなのよ!」

絵里「なんかこう、言いようのない不安感というか寂寞感というか…とにかくここに居ちゃいけないって気持ちに押し潰されそうで仕方ないのよ!!」

凛「……これもう犯人にゃ?」

絵里「ハッ!このとめどなく溢れ出るストレスッ!そういうことなの!?」

希「えー?どうだろ…」
 
53: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:40:05.44 ID:Qfv4/wMh
希「集中しすぎて、そしてストレスに耐えきれなくて作り出した空間なのに、それが超能力者本人を追い詰めるようなことをするとは思えないけど…」

ことり「確かに。本人なら楽しい場所に行きたいよね」

海未「そういえば、私達を取り込んでいる本人は現実世界ではどうなっているのでしょう?」

花陽「寝ちゃってこの夢を見てるとかかな?」

真姫「起きてるでしょ。机に備品が山積みになってた時も窓が割れたときも、椅子が倒れてた時だって前後で眠ってる子なんていなかったわ」

穂乃果「あーあったね。丁度雪穂と亜里沙ちゃんが見学に来た時で」

にこ「『イビられてる!?』って不審がる二人の誤解をどう解くか苦労したっけ」

希「焦ったえりちが『ここではいつもこうなのよ』なんて言うせいで、二人が来るたんびに椅子ひっくり返さなきゃいけなくなった」

絵里「だって…」

ことり「悪戯してるみたいで楽しかったけどね」

真姫「………今頃いなくなった私達を探して会場を走り回ってるんでしょうね、超能力者本人は」
 
54: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:42:49.78 ID:Qfv4/wMh
────おかしいなぁ

────あの時確かにみんながいる控え室に入ったはずだったのに…もしかして寝ぼけてるのかな…

────でも服もバッチリだし、スタッフさんに聞いてもやっぱりみんなエントリー済みって…

────余計なこと考えても仕方ない…!早くみんなを見つけないと!!

────絶対、絶対にμ'sは優勝するんだから!!!
 
55: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:47:37.39 ID:Qfv4/wMh
亜里沙「雪穂!誰か見つけた!?」ハァハァ

雪穂「………」フルフル

亜里沙「控室はやっぱりに誰もいなかったよ…」

亜里沙「スタッフの人にも改めて話してみたけど、上の人に話してみるって言われたきり何にも……」

雪穂「突発で決まった上に更に大規模な二回目の大会だもんね…人手不足の準備不足で余裕無いか…」

雪穂「関係者しか入れないところかなぁ…?」
 
56: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:48:02.67 ID:Qfv4/wMh
亜里沙「どうしよう雪穂!やっぱり今からでもutxに!」⊃バールのようなもの⊂

雪穂「よしなさいって…どこから持ってきたのそれ…」

亜里沙「でも、でも時間が!もう始まっちゃうよ!ラブライブ!!」

雪穂「大丈夫だよきっと。超能力を出した人だってスクールアイドルが好きだからここまでやってきたわけでしょ」

雪穂「それが原因で駄目になるようなメンタルだったら、とっくにスクールアイドル諦めてるって」

雪穂「きっと本人にとっては良いイメージを蓄えてるくらいのもので、μ'sの出番になったらあっさり戻してくれるよ」

亜里沙「そうかな…でも…だけど……」

~~~♪

雪穂&亜里沙「「あ───────」」
 
57: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:48:59.60 ID:Qfv4/wMh
 
 
パッ!

にこ「!?」

ことり「眩しっ!!」

ことり「ステージに照明が…!」

絵里「始まったんでしょうね…決勝…」

花陽「携帯の時間とぴったり。予定通りみたいです」

希「潜在意識まで響く衝撃、よほどラブライブが好きなんやろね…」

海未「でも出演者や曲は、こちらには来ないのですね…」

凛「凛たちを探しててそれどころじゃないんだよきっと」
 
58: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:49:57.22 ID:Qfv4/wMh
にこ「…なるほどそういうこと!どういうことかと思ったら夢ねこれは!!ドームでライブするって夢を見てるのよわたしは!」

花陽「にっ…にこちゃん…?」

にこ「よーしスタッフ席で見てなさいよ畑亜貴!あたしの才能は日を追うごとに更にグレードアップしてるわ!」

にこ「誰もいないドームをお祭り騒ぎにして決勝への景気づけにしてやるんだから!!」ヨジヨジ

海未「本気でやる気ですか…にこ…」

絵里「こうなったにこは誰も止められないわよ…」
 
59: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:53:20.57 ID:Qfv4/wMh
ことり「でも気持ちは分かるよ。みんなも一度は思ったことあるでしょ?もしμ‘sがドームでライブ出来たらどれだけ楽しいだろうって」

花陽「一流アーティストですらほんの一握りしかライブ出来ないアキバドーム…そんな所でただの高校生が…」

にこ「真姫!曲流せる!?」

真姫「ヴェッ?どっ…どの曲やるのよ!」

穂乃果「ねぇ希ちゃん、これでめいっぱいやれば…この娘の頭から不安感を全部無くせれば…」

希「うん。きっと…」

真姫「スピーカーに繋げたわよ!みんな!どれやるの!?」
 
60: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:53:36.66 ID:Qfv4/wMh
にこ「決まってるでしょ!?いつかドームでライブになったら歌おうって話した曲あるじゃない!!」

花陽「あっ…あの時体育館で披露した…」

海未「あぁ壮行会代わりにやって全校生徒が集まってくれたあの…」

凛「毎週聴きたくなる曲にゃ」

希「μ‘sを象徴する曲やね」

真姫(大舞台用に別の曲を思いついてるとかいえない)

絵里「決まったんなら早くやるわよ!早く終わらせて早く出ましょ!!」

ことり「穂乃果ちゃん、みんな準備出来てるよ」

穂乃果「よーしみんな、いくよ!!μ‘s、ミュージック…」

9人『スタート!!』
 
61: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:55:35.39 ID:Qfv4/wMh
──────────────────────────


\ボークータチーノキーセーツー/

9人『ハァハァ』(;゚∀゚)=3

9人『ハァハァ』(;・∀・)

9人『ハァハァ』(;´Д`)?

希「───出られとってあられへんやないかい!」

絵里「落ち着いて希、変な関西弁になってる」

凛「いつもそうでは?」

希「くっ…まだ歌い足りないってことやんね…!」

穂乃果「よーし分かった!とことんやろう…!まずは本戦のリハーサルだ!キラセン!!」
 
62: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:56:36.50 ID:Qfv4/wMh
テッテッテーーーテテン!!

海未「僕今!」

\カガヤキヲマッテター/

ことり「ぼららら!」

テレレテッテテレ テッテテテテー テーテテン!!

絵里「スタダ!」

\ッヘイッヘイッヘイスターダッ/

にこ「ストームインラバー!!」

7人\ヒューヒュー‼/パチパチパチパチ

希「ユメトビ!」

ターララッタッタッーポロロロロロン⤴

凛「ダンスタ!」

テーテレテッテッテッテッテー!

真姫「…っスノ…ハレ゛ぇっ!」

ポロロンポロンポロン(シャンシャンシャンシャン
 
63: (らっかせい) 2022/04/02(土) 01:57:49.58 ID:Qfv4/wMh
ことり「さっ流石に…」ゼェゼェ

海未「通しで9曲は…辛い…ですね…」フゥフゥ

真姫「………」ピクピク

絵里「真姫!倒れてても事態は良くならないわ!しっかりして!」

真姫(………)イラッ

希「そんな…ここまでやっても…まだ駄目なんて…」

穂乃果「時間が…危なくなってきた…」

凛「かよちんかよちん!次どれやる?ラブウィングベル?ワンダーゾーン?うぃんがべ?ノーブラ?それともlove wing bell?」

花陽「………その…」

凛「にゃ?」

花陽「…あの……あくまで、ここから出るために…なんですけど…」

ことり「どうしたの?」

花陽「み……μ‘sの……………μ‘sのっ!」
 
64: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:01:36.17 ID:Qfv4/wMh
花陽「μ‘sの終わりを、無しにしませんか!!」

9人「!!!!!!!!!」
 
65: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:06:28.95 ID:Qfv4/wMh
真姫「なっ…花陽!?あなたそれ本気で言ってるの…!?」ムクリ

にこ「………」

花陽「ここに来たときから…いえ…多分ずっとずっと思ってました」

花陽「この空間を作った人の…超能力者さんの力の原動力…。強い緊張や引き金になった集中力も理由なんだろうけど…」

花陽「一番の激しい想いはきっと……未練だと…思うの……」

希「………!」

花陽「花陽に超能力なんてすごい力があるなんて思えないけど…でも…」

花陽「今日『μ‘sが終わる』って現実が近づくほどわたしは……どうしようもないほど胸が…クシャクシャになるんです…」
 
66: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:08:27.03 ID:Qfv4/wMh
8人「…………」

にこ「花陽」

花陽「…」ビクッ

にこ「『私にとってのμ‘sはこの9人で、一人欠けても違う』」

にこ「続けろ、って言うあたしに向かってそう言ったわよね」

花陽「……うん」

にこ「みんなで馬鹿騒ぎしたあと、あんた達大声で宣言したわよね」

花陽「………」

にこ「『大会が終わったらμ‘sはおしまいにします』って」

花陽「……………うん」

にこ「大泣きしながら前向いて帰ったわよね」

花陽「……………………」

花陽「……………………うん」
 
67: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:18:07.30 ID:Qfv4/wMh
希「にこっ…
にこ「なら違うわ」

花陽「え…?」

にこ「あんたのメンタルはμ‘sが終わるくらいでへこたれるようなもんじゃない」

にこ「この宇宙一のアイドルの意思に反するようなことを叫べる子が、それでいて宇宙一のアイドルが最も信頼してる子が、そんな気持ちで逃げ出すはずがないわ」

にこ「あんたは絶対に超能力者じゃない。どれだけ苦しくても、そんな気持ち舞台に立つ情熱が燃やし尽くしてる」

花陽「にこちゃん…」

にこ「勿論あたしでもないし他の誰でもないわ」

にこ「言ってるでしょ。夢よ、これは」

希「……にこっち…」
 
68: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:19:33.35 ID:Qfv4/wMh
ことり「夢だったら、これは最高の夢だね…」

海未「アキバドームに立って、あれだけ好き勝手にライブするなんて、ありえませんからね…」

穂乃果「そうだね………そうだ!」

穂乃果「ねぇ!みんな、新曲を作ろう!」

希「穂乃果ちゃん…また突拍子もないことを…」

穂乃果「でもこんなの初めてなんだよ!みんなの気持ち一つになってるのがこんなに実感出来るなんて!何か形に残したい!!」

ことり「でも開始まであと1時間も無いよ…流石に今からじゃ間に合わせるのは…」

穂乃果「どうせ夢ならなんとかなるよ!出来るって思えば!!」
 
69: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:23:50.41 ID:Qfv4/wMh
凛「でも機材が…」

真姫「もうやってるわ。今時スマホがあればなんとかなるものよ」ポチポチ

穂乃果「聴かせて聴かせて!」

海未「もう、やるだけやるしかありませんね…」

希「出来ることなんてもう思いつかないしね」

花陽「あっあの!私もさっき思いついたフレーズが!」

絵里「あぁもう。やればいいんでしょやれば!」

にこ「センター!センターは3年でしょ!!最後くらい華を持たせなさいよ!?」
 
70: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:38:22.69 ID:Qfv4/wMh
──────────────────────1時間後

穂乃果「………ほんとに出来た」

凛「試験当日の夜でもこんなに集中できたことないにゃ…」

希「完成はした…けど…」

真姫「あと3分でエントリー締切ね」

ことり「出られなかったかぁ」

海未「でも不思議と気分は良いです。みんなとこれだけ調子よく曲が作れるなんて初めてでしたから」

絵里「ふふふ」

花陽「とっても、とっても素敵な曲になりました!!」
 
71: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:38:59.47 ID:Qfv4/wMh
にこ「じゃー打ち上げがてら、ステージ上がって出来立てほやほやを熱唱
絵里「やってられる!?そんなこと!!!」

9人『は?』

絵里「超能力か夢か分からないけどもういい加減にしなさいよ!!」

海未「え、絵里…?」 

絵里「いつまでもうじうじうじうじと、せっかくみんなと心が一つになったっていうのに!」

希「…あー、怖さが限界超えると人は笑い出すことがあるっていうけど」

にこ「怒り出すタイプだったのね、絵里は」
 
72: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:39:30.35 ID:Qfv4/wMh
絵里「ねえ聞こえてる!?現実にいる超能力者!いや黙ってても分かるわ!あなたは聞いてる!そして何食わぬ顔で未だにいじけてるのよ!!」

絵里「いいわ!あなたがそのつもりなら私たちは今からこの空間を叩き壊すから!!必ずみんなに謝らせてあげる!!」

ことり「絵里ちゃん本人だったときは…?」

絵里「土下座でも懺悔でもなんだってするわよ!!」

絵里「にこ!希!今すぐ金属バット取って!!出来ない!?じゃあ貴方たち私の敵!?敵なのね!!違うなら速くっ!!」ブンブン

花陽「ちょっ…危ないよ絵里ちゃん!!」

穂乃果「どうどう!絵里ちゃん!どうどう!」

凛「あ、ここのメロディちょっとズレてない?」

真姫「ホントだ。直すわね」

海未「後にしてこっち手伝って下さい!!」
 
73: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:40:15.03 ID:Qfv4/wMh
係員「あー30分前になってもまだ誰も来ないですねー。この場合棄権の扱いになってましてー」

亜里沙「は?…いや待ってください!!さっき受付の人から探してみるって言われてて!!!」

係員「ですがー規定の時間になりますのでー…」

亜里沙「そんな…そんなっ!!!…海未さん……お姉ちゃんっ……!!」オロオロ

係員「その受付の名前とか分かりますー?」

亜里沙「それは…あのっ…うっ…うぅ……」オドオド

雪穂「………っ!!」

雪穂「亜里沙っ!!あそこ、良く見て!!居るよ!!!」

亜里沙「えっ?」

雪穂「μ‘sがっ!!」
 
74: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:41:04.82 ID:Qfv4/wMh
───────────────────────────────

ことり「お客さん、すごい数なんだろうな…」

海未「楽しみですよね」

ほのこと「「え?」」

海未「もうすっかり癖になりました。沢山の人の前で歌う楽しさが」フフッ

花陽「大丈夫かなぁ…可愛いかなぁ…?」

凛「大丈夫にゃ!すっごく可愛いよ!!エヘヘ、凛はどーお?」

花陽「凛ちゃんも可愛いよ!」

希「今日のうちは、遠慮しないで前に出るから!覚悟しといてね?」

穂乃果「希ちゃんが?」

絵里「なら、私もセンターのつもりで目立ちまくるわよ。最後のステージなんだから!」

希「おもしろいやん…!」

凛「あーっやる気にゃー!真姫ちゃん、負けないようにしないと!」

真姫「分かってるわよ。三年生だからって、ボヤボヤしてると置いてくわよ。宇宙ナンバーワンアイドルさん?」

にこ「ふふん。面白いこと言ってくれるじゃない。わたしを本気にさせたらどうなるか…覚悟しなさいよ!」

海未「さあ、そろそろ時間ですよ」

穂乃果「うん…」

穂乃果「みんな、全部ぶつけよう!今までの気持ちと、思いと、ありがとうを!全部のせて歌おう!!」
 
75: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:42:08.04 ID:Qfv4/wMh
8人『………』フフッ

穂乃果「……………」

海未「どうしたんです?」

穂乃果「なんて言ったらいいか、わからないや」

にこ「なによそれ?」

穂乃果「だって本当に無いんだもん。もう全部伝わってる。もう気持ちは1つだよ」

穂乃果「もうみんな、感じてることも考えてることもおんなじ…そうでしょ!」

希「………そうやね」

穂乃果「…」スゥーハァー

穂乃果「μ‘sラストライブ!全力で飛ばしていこう!!」

穂乃果「1!」

ことり「2!」

海未「3!」

真姫「4!」

凛「5!」

花陽「6!」

にこ「7!」

希「8!」

絵里「9!」

9人『ミューズ!ミュージック!』


9人『スタート!!』
 
76: (らっかせい) 2022/04/02(土) 02:43:48.07 ID:Qfv4/wMh
   
 
  
凛「───でも結局、だれだったんだろうね」

ことり「あはは、全部部長の夢だったんだよ。きっと」
 
79: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:06:17.69 ID:Qfv4/wMh
──────────────────────────後日

神田明神から見える朝の景色は綺麗とはいいにくい
上野方面の中では見晴らしがまぁまぁ良い方、ってくらいだ

でもなんだか見てるとホッとする
今日が始まってくれたことが嬉しくなる
辛いことなんてなにもないんだって言い聞かせられるような、そんな気がする

「もう、終わっちゃったんだ。μ‘s」

ほら。口に出してもそんなに苦しくない。きっともう大丈夫なんだ
もう、自分だけの足で前に進まなきゃ
誰かに背中を押してもらうんじゃなくて。誰かに手を引かれるんじゃなくて

穂乃果「ううん。まだ終わってないよ」
 
80: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:07:12.82 ID:Qfv4/wMh
あると思わなかった返事にびっくりして大声を上げながら振り返ってしまった
肩がぶつかってお互いフラフラだ

穂乃果「うわっと…!」

すぐ下は長い階段。これからも学校を背負う大事な体に何か起きちゃいけない
しどろもどろになりながら謝ろうとする

穂乃果「大丈夫大丈夫。いやーこっちこそ朝からごめんね。一緒に学校行こうなんて言い出して」

これからどれだけ一緒にいられるのかも分からない
朝4時だろうと飛び起きて付いていく

穂乃果「アハハ…それはちょっとわたしが…無理かなぁ…」
 
81: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:07:45.13 ID:Qfv4/wMh
穂乃果「あのね、覚えてるかどうかわかんないんだけど…決勝直前にみんなで曲を作ったでしょ?」



穂乃果「あー覚えてないかー。まぁにこちゃんの夢の話だしねー知らなくて当たり前だよねー」アハハ

???

穂乃果「……ここからの景色、あんま良くないよね」

そんなこと無い。この人といるとそんな気がしてくる

穂乃果「でもあのマンションから登ってくる陽の光が2回目の夜明けみたいでね。こう、手で掴めそうな気がするんだ」

この人なら出来る。そんな気が、してくる

穂乃果「………あれね。あなたのための曲なんだ」
 
82: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:08:27.50 ID:Qfv4/wMh
何故だろう 
何も覚えてないのに
何も知らないはずなのに

待ちかねた言葉をもらえている気がする

穂乃果「誰も何も言わなかったけどね。でもみんな間違いなくそのつもりだった。ここまでも、そしてこれからも頑張るあなたへの応援歌」

このために今までがあったような気がしてる

穂乃果「だからね。今日の放課後に、聴いてほしいんだ。そして一緒に歌ってほしい」

真っ白な鳩たちが飛んでいく

穂乃果「みんなとずっと居た学校の屋上で!来てくれるよね!!」

太陽みたいに大きな手が、こちらに差し伸べられた
 
83: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:09:33.06 ID:Qfv4/wMh
──────────────────更に後日

ガチャ

雪穂「あ、希先輩!お邪魔してます!」

希「おー雪穂ちゃん来てくれてた。でも制服になったからって先輩はやめてよ」

雪穂「えー…でも…」

希「うん。とっても似合ってるよ。あらためて、おめでとう」

雪穂「ありがとうございます!希さんも!!」

希「入学前に来てもらっちゃってごめんね」

雪穂「いえ、こっちこそ大事な日に…。式はまだ大丈夫なんですか?」

希「うん、もうちょっとだけ。エリチ探してたんだけど…部室じゃないならやっぱり生徒会室みたいだね」
 
84: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:11:08.82 ID:Qfv4/wMh
雪穂「あれ?そういえば今日は椅子ひっくり返って無いんですね?」

希「あー。あ……うん。たまにはねー。たまには…うん」

雪穂「それで、話っていうのは…」

希「うん。雪穂ちゃんにはちゃんとお礼言っておかないといけないと思って」

雪穂「えぇ!そんな…私…お礼されるようなことなんか…」

希「ううん。雪穂ちゃんが気付いてくれなかったら、ウチらは決勝出れずじまいだったからね」

希「それどころか未だに戻ってこれずに…行方不明になってたかも…」

雪穂「………」
 
85: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:12:51.66 ID:Qfv4/wMh
希「よく分かってくれたね。ウチはてっきり花陽ちゃんか海未ちゃんかと思いこんでたよ…」

希「…でも花陽ちゃんもウチが思ってるよりずっと強い子だったし、海未ちゃんはそもそもイメージトレーニング中お手洗いに立ってた」

雪穂「希さんが私に話してくれたからですよ。聞かなきゃあたしも亜里沙と二人でオロオロするだけでした」

希「一緒。にこっちもエリチもどうやら途中で勘付いてたみたいだけど…ウチは最後までなーんもわからないまんまだったよ」ガックシ

雪穂「そんなこと…」

雪穂「でも、そう…話を聞いて『なんで私なんかに…?』ってなって考えたんです」

希「あーごめんね。雪穂ちゃんを疑ってたんじゃなくて…穂乃果ちゃんの可能性も0では無かったからね。様子おかしくないか知りたかったんよ」
 
86: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:13:52.29 ID:Qfv4/wMh
雪穂「あはは、姉ちゃんは最後まで姉ちゃんでしたね。でもあたしも最後まで半信半疑でしたよ。もしかしたら、とは思ってはいましたけど」

雪穂「…超能力者にとって一番大きなストレスっていったらやっぱりμ‘sが無くなることでしょって思って。その事実が分かってて一番ショックを受けてる子なんて」
 
87: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:14:31.35 ID:Qfv4/wMh
雪穂「亜里沙しかいないよな、って」

希「…………」

雪穂「二人でじっくり話してみて分かったんです」

雪穂「亜里沙は、あたしが思ってた以上にμ‘sに入りたがってました。もしかしたら、あの子はスクールアイドルじゃなくてμ‘sになりたかったのかもしれない」

希「そっか…」

雪穂「でも、絵里さん達の表情を見て、μ‘sをどうするのか迷ってるのか察してたみたいで…」

雪穂「亜里沙が悩んでるの見てられなくなっちゃって…あたしもお姉ちゃんがどうしようか迷ってるのは知ってたから…」

雪穂「それで結局話し合って『自分のせいでみんなを困らせるかもしれないなら、それならワタシは』って言わせちゃった…」

希「………………そっか」
 
88: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:15:16.37 ID:Qfv4/wMh
雪穂「亜里沙はいつもこっちが申し訳なくなるくらい優しいから…」

雪穂「わたしが…わたしがもっとμ‘sへの加入を勧めてれば…」

希「駄目だよ。雪穂ちゃん」

希「雪穂ちゃんのおかげでμ‘sは決勝に出れたの。分かってる事実はそれだけ」

雪穂「………」

希「誰も悪くないし誰も損をしなかったんだからもういいの。雪穂ちゃんが暗くなってると、亜里沙ちゃんもまた不安になっちゃうよ?」

雪穂「………はい…」
 
89: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:16:04.83 ID:Qfv4/wMh
雪穂「……あの子が転校してきた時にもそういうことがあったんです。席の側にあるカーテンが固結びされてて解けなくなったり、先生の持ち物が亜里沙の机から出てきたり」

雪穂「それで周りから一度距離をおかれちゃって。こないだほどじゃないけどその時も亜里沙、不安になってました」

希「そこからどうして亜里沙ちゃんと仲良くなれたの?」

雪穂「え、なんでだろ。普通にしてたらいつの間にか話すこと増えてたかな?」

希「怖くなかった?変なことが起きて」

雪穂「そりゃ気味悪いなとは思いましたけど。でも亜里沙が悪くないのは明らかなのに、亜里沙を怖がったって意味ないじゃないですか」

雪穂「全部『気の所為』『偶然』で片付けてたらそのうち無くなりましたし」

希「あはは、やっぱり姉妹だねー」

雪穂「えー?…なんか今からかわれてません?あたし…」
 
90: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:17:30.58 ID:Qfv4/wMh
希「いーや。最高の姉と最高の妹だと思うよ」

雪穂「むー。それは向こうに言ってくださいよ…」

希「それで亜里沙ちゃんは?」

雪穂「もう、大丈夫みたいです。今日は西木野先輩から曲の作り方教えてもらうってはりきってましたよ」

希「それならうん、良かったよ」

雪穂「ありがとうございます。あの後、皆さんが励ましてくれたおかげです」

希「もう、だからお礼を言うのはこっちやって。素敵な歌が亜里沙ちゃんのお陰でできたから、それを返しただけ」

雪穂「凄かったですね、亜里沙。初めて聴く曲のはずなのに始まってすぐユニゾンしだして」

希「凛ちゃんなんかまだ歌詞あやふやだったからマラカスで誤魔化してたのにね」
 
91: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:18:06.26 ID:Qfv4/wMh
雪穂「あーあ。あたしも誰か深層心理に閉じ込めてその人に勉強しといてもらおっかなー」

希「出るために自意識を叩き壊そうとしてくるかもよ?」

雪穂「うひゃー怖いなぁ」

希「ほんとに。最悪で最高の瞬間だったからね。あの時以外で雪穂ちゃんが集中させてくれてなかったら、本当にどうなってたか分からなかったんよ」

雪穂「えへへ。たまたまですよぉ…」

希「これからも沢山大変なことがあるだろうけど、その時はウチも頼ってね?また大した役には立てないかもしれないけど…」

雪穂「そそそんな!希さんがいなかったらどうにもならなかったじゃないですか!!」

希「あはは。ありがとう」
 
92: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:18:33.04 ID:Qfv4/wMh
希「そろそろ行くね。生徒会室」

雪穂「あーすいません。式前に話し込みそうになっちゃった」

希「暇なら備品好きに見てていいからね。にこっちこれどうやって持って帰る気やろ…」

雪穂「はい。ありがとうございます」

雪穂「………そういえば亜里沙にあげたあの曲、タイトルなんていうんですか?」

希「決めて無いんよ」

雪穂「えっなんで!?」

希「亜里沙ちゃんにお願いしようってことになって。無かったら無かったで良いし」

雪穂「そうでしたか…」

希「じゃまたね」
 
93: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:19:58.30 ID:Qfv4/wMh
雪穂「あ、希さん」

希「ん?」

雪穂「あたし達、絶対にあれ以上のライブをしてみせますからね」

雪穂「間違いなく最高のライブでしたけど、わたし達はもっともっと楽しいライブを、必ず!」

希「………うん」

希「その意気があれば大丈夫だよ。何があってもね」ニコッ

雪穂「はい!」
 
94: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:20:48.02 ID:Qfv4/wMh
────────────────決勝終了後

亜里沙「ねぇ見て!雪穂!!あのモニター!『winner is μ‘s』の文字!!」

雪穂「もう30分は見てるよ…みんなもう散っちゃったし、いい加減あたし達も…」

雪穂「って亜里沙顔色わるぅ!?真っ青じゃん!!」

亜里沙「もうちょっとだけ…もうちょっとだけ…」フラフラ

雪穂「ちょちょっ…!」ダキッ

亜里沙「えへへ。綺麗だったね。かっこよかったね」グッタリ

雪穂「…うん……そうだね…」

亜里沙「凄かったなぁ。楽しかったなぁ……」
 
95: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:21:15.28 ID:Qfv4/wMh
亜里沙「………でも………あー………」

亜里沙「…………………………………」

亜里沙「……踊りたかったなぁ……μ‘sと……」

雪穂「………」

雪穂「でっ…出来るよきっと!そうだ!明日お姉ちゃんに頼んでみよ!?」

亜里沙「ありがと…雪穂……でも…うん…そういうんじゃなくて………」ボソボソ

雪穂「亜里沙………」

亜里沙「楽しかったなぁ…」

亜里沙「ワタシね、今日のこと、何があっても絶対に忘れないよ」

亜里沙「今日のことさえ覚えてれば、この先何があっても、頑張れる気がするの」


亜里沙「どんなときも、ずっと」
 
96: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:22:30.90 ID:Qfv4/wMh
───────────────────同時刻

ラブライブ運営理事会長「さーて、次の決勝はどこにしようかなー!」

理事会長「井の頭とか代々木とかかなー」ブツブツ

理事会長「武道館とか無理かな…」ブツブツ

理事会長「いや、ここはお台場の高校を貸し切って…」ブツブツ

ヒュッ

理事会長「おっと」

パサッ

理事会長「風もないのになんで資料が?」ヨッコイショ

理事会長「…………」ペラッ

理事会長「んー………ここでいっかー?」


終わり
 
97: (らっかせい) 2022/04/02(土) 06:31:42.53 ID:Qfv4/wMh
レベルeのパロディでした

最初の部員紹介がpixivでもTwitterでも誰もやってくれてる様子がなかったので書きました
あとはおまけです 

Aqours虹リエラでも思いついたら誰か書いてください描いてください

ちなみにレベルeのアニメのシリーズ構成は花田十輝がやってます
この回の脚本は別の人みたいですが

パロった話は原作では3巻の12話
アニメでは11話にあたります
動きが少ない原作をアニメ映えさせるために、
また出番が少ない王子のセリフを増やすために苦心した様子が伺えます
原作知ってると余計なことすんなカスって思います
マネージャーは能登麻美子以外ありえなかったろって思います

でもバスが消える演出と椅子が積み上がってる画は好きです

花田担当回はどれも無難オブ無難な仕上がりです

細かいところまでやりきろうとしてややこしくなるのを避けるため
セリフをかなり簡略化してます
冨樫特有のセンスが損なわれてて大変残念ですが
訛りが徹底されてるのは好感度高かったです

原作付きの花田流の脚本作りを知りたいなら見といて損はないと思います
やっぱりエモさ重点な

でもこれ見るためにdアニに500円払うよかブコフで300円で全3巻の原作を探したほうが有意義だと思います
ジャンプ+ならこの回が40pt(1pt=1円相当)で読めます
このssよりも面白いし早く読み終わります


ありがとうございました
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1648825481/

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