【SS】SCP-003-LL「主張の不在」

SS


1:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:45:11.98 ID:aJWAOGrO
【SS】SCP-003-LL「主張の不在」

◾︎◾︎博士によって収容時に撮影された画像。
バストアップ写真にも関わらず、SCP-003-LLの特異性により鼻先から上部の記録に失敗している。
 
2:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:45:54.40 ID:aJWAOGrO
アイテム番号:SCP-003-LL

オブジェクトクラス:Euclid

特別収容プロトコル:
SCP-003-LLは、サイト-◾︎◾︎にあるヒト型生物居住区画へ収容し、その中を自由に移動する事を許可しています。

尚、区画入り口に設置された指紋認証。網膜認証。声紋認証等のセキュリティシステムは、その特異性からSCP-003-LLに対して正常に機能しないため、当該オブジェクトを同伴した居住区画外での実験は、サイト管理官により禁止されています。
 
3:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:46:34.69 ID:aJWAOGrO
概要:
SCP-003-LLは、▪︎▪︎▪︎、▪︎▪︎▪︎区に住む、▪︎▪︎歳の日本人男性です。

SCP-003-LLとコミュニケーションを取る、又は撮像、録音機材等による記録を行った場合、
SCP-003-LLの声。及び、鼻先より上部を記憶、記録する事に必ず失敗します。

SCP-003-LLとの会話に於いて、内容を記憶、又は活字として記録する事は可能です。

しかしながら声質やアクセント、顔の特徴など、当該オブジェクトの個性に関わる全ての記憶、映像の記録、又は画像の記録は欠如します。
 
4:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:47:19.11 ID:aJWAOGrO
コレは、既知の映像処理装置(X線、サーモグラフィック、暗視装置等)などにもその影響を及ぼし、
SCP-003-LLの鼻先より上部、そして声は、如何なる手段を用いても記録、記憶する事が出来ないと言う結果を齎します。

例外として背後からの写真、映像撮影、視認等による観察のみが、SCP-003-LLの顔上部の記録、記憶保持に成功しています。

現在のところ、SCP-003-LLに対してその機能を十分に果たす事が可能な認証システムは
静脈認証。DNA認証。行動認証の3パターンのみに限られます。
 
5:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:49:49.45 ID:aJWAOGrO
【SS】SCP-003-LL「主張の不在」

エージェント◾︎◾︎に装備された、小型遠隔操作カメラにより撮影した確保直前のSCP-003-LL。
この後、エージェント◾︎◾︎と小規模の戦闘行為に発展したため、テーザー銃を用いての鎮圧を余儀なくされた。
 
7:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:50:37.19 ID:aJWAOGrO
【SS】SCP-003-LL「主張の不在」

背後から撮影されたSCP-003-LL
唯一、頭部全体の撮影に成功している。
 
9:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:51:06.31 ID:aJWAOGrO
【SS】SCP-003-LL「主張の不在」

SCP-003-LLの頭部X線写真
 
11:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:52:09.42 ID:aJWAOGrO
──────────────────────
[インタビューログ003-LL]

インタビュアー:◾︎◾︎博士

対象:SCP-003-LL

前述:収容初期、SCP-003-LLの異常性を調べる為
▪︎▪︎博士によって行われた検証実験

以下は、その音声記録である。
──────────────────────
 
12:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:52:52.51 ID:aJWAOGrO
〈録音開始〉


▪︎▪︎博士とSCP-003-LLが入室する。


▪︎▪︎博士「こちらへ。どうぞ」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「いえ、向かいの椅子を使って下さい」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「はい、結構です」
 
13:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:53:15.50 ID:aJWAOGrO
インタビューの為、▪︎▪︎博士とSCP-003-LLがそれぞれの席に着く。
 
15:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:53:46.29 ID:aJWAOGrO
SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「えぇ、はじめまして。SCP-003-LL」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「こちらこそ、宜しくお願いします」

▪︎▪︎博士「それでは、インタビューを始めます」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「最初の質問です」

◾︎◾︎博士「SCP-003-LL。貴方が、貴方の人生に於いて、その特異性を認識したのはいつ頃ですか?」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「……」
 
16:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:55:02.53 ID:aJWAOGrO
博士の質問に対して、SCP-003-LLがその回答と自身の生い立ちについて話しているが、
SCP-003-LLの持つ異常性質のため、音声の記録に失敗している。
 
17:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:56:03.77 ID:/xLcLbgZ
▪︎▪︎博士「はい、分かりました」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「では、日常会話において、貴方とのやり取りに違和感を持っていた方などはいましたか?」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「なるほど、そうですか」

▪︎▪︎博士「……」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「……はい?私ですか?」

SCP-003-LL「……」
 
18:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:56:25.86 ID:/xLcLbgZ
この時、記録を取っていた▪︎▪︎博士の外見についてSCP-003-LLが言及する。
 
20:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:57:41.54 ID:jsw85Dpr
▪︎▪︎博士「申し訳ありません。規則上お答えしかねます」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「そうですね、年齢不詳だとはよく言われますよ」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「すみませんが、此方の質問にだけお答え願えますか?」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「いえ、規則で決まっているだけですので、他意はありません」
 
21:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:58:20.44 ID:jsw85Dpr
SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「ありがとうございます。それでは、次の質問に移ります」

▪︎▪︎博士「SCP-003-LL。貴方の声、及び鼻先より上を記録している映像、または記憶している人物に心当たりはありますか?」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「そうですか」

▪︎▪︎博士「失礼。少し席を外します」


▪︎▪︎博士が席を立つ。
 
22:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 20:59:08.95 ID:jsw85Dpr
この時点でSCP-003-LLの映像記録の確認が行われたが、前述した異常効果によりSCP-003-LLの特徴を示す物は、一切記録されていない。
 
23:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:01:45.95 ID:jsw85Dpr
▪︎▪︎博士「失礼しました」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「いえ、そう言うわけでは……気にしないで下さい」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「はい。それではインタビューの続きを行います」

▪︎▪︎博士「SCP-003-LL。貴方は、貴方自身の顔全体の造形を把握していますか?」

SCP-003-LL「……」

▪︎▪︎博士「では、それを描く事は可能ですか?」

SCP-003-LL「……」
 
24:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:02:11.65 ID:jsw85Dpr
SCP-003-LLが用紙と筆記用具、
それから手鏡を要求する。
 
27:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:21:00.51 ID:Hfzd6f7G
◾︎◾︎博士「描き終わりましたか?」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「では、渡して貰っても構わないですか?」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「ありがとうございます」

◾︎◾︎博士「……」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「ふむ、なるほど」
 
28:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:21:32.74 ID:Hfzd6f7G
◾︎◾︎博士「やはり、貴方が持つ特異性は、貴方自身の行動にも影響を及ぼす様ですね」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「特に意識した訳ではなかったと……分かりました」

◾︎◾︎博士「では、次の質問です」

◾︎◾︎博士「SCP-003-LL。貴方の異常性質について言及してくる様な方は、今までいらっしゃいましたか?」

SCP-003-LL「……」
 
29:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:22:53.88 ID:ohQrUwjy
◾︎◾︎博士「そうですね」

◾︎◾︎博士「例えばですが、学生時代の入学式や修学旅行、卒業式などに撮るだろう写真にも、貴方の能力は適用される訳です」

◾︎◾︎博士「ですが、貴方が写っている限り、これらの写真は正常には撮影されない訳ですよね」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「そう言った場合、周りの方々はどの様な反応をされて、それに対して、貴方はどう応対をなさっていたのでしょう」

SCP-003-LL「……」
 
30:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:24:34.30 ID:ohQrUwjy
SCP-003-LLの語りが数分ほど入る。

SCP-003-LLの異常性質に関わった者は、その性質を認知はするものの、特に気にも留めていなかったと言う。

これにより、SCP-003-LLが保有する異常性質には、その特性を隠蔽する為の認識災害。またはミーム効果が付随するものと推測される。
 
34:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:39:34.82 ID:REP6BJxc
SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「わかりました」

◾︎◾︎博士「辛いお話をさせてしまい、申し訳ありません」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「誰一人、ですか」

◾︎◾︎博士「しかし、こうしてお会いする限りは、貴方の顔を忘れる事は無いと思いますよ」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「ふむ」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「ほう、なるほど」
 
36:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:40:26.56 ID:REP6BJxc
周囲の誰一人として、SCP-003-LL本来の顔を覚えている者はいない事実に対する、現在の心境を語る。

重要性が低いため省略。
 
37:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:44:41.92 ID:b4n9L5VI
SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「薬?普段飲まれている物のことでしょうか」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「……そのお話を、一体どの様なタイミングで知ったのかは存じませんが、確かにそう言った物は存在します」

◾︎◾︎博士「異常性質の暴露や、それに伴い我々が負う事になるでしょう損失を考慮しなければ、確かに、そうする事は可能ではあります」

◾︎◾︎博士「しかし、なぜ貴方が記憶処理薬を?」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「そうですね、検討しておきましょう」
 
39:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:48:14.05 ID:LY7syppt
SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「はい?」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「なにか?」

SCP-003-LL「……」

◾︎◾︎博士「そうですか、分かりました」

◾︎◾︎博士「ご協力有難うございました。次回の日程は追って連絡します」

SCP-003-LL「……」



SCP-003-LL「……」
 
40:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:48:46.57 ID:LY7syppt
SCP-003-LLが、最期に何かを発言したと思わしき身体反応を、カメラが記録していたが
SCP-003-LLの異常性質により、詳細は不明のままである。
 
41:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 21:49:01.31 ID:LY7syppt
[記録終了]
 
43:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 22:00:18.06 ID:yFNnQ8o1
補遺:
下半身の存在を認識できない例の猫とは違い、ちゃんと顔の上半分は存在しているし、
我々もそれを"顔"として、しっかりと識別は出来ている。

しかし、いざそれを思い出そうとしても、何故か顔の上半分
つまり、目の形や光彩、髪型や額の広さ、眉毛の形など、凡そ本人と主張出来得るパーツの類いは一切思い出せない。

それに、描画はおろかそれを口伝する事もそうだし、映像や音声の記録すらも不可能だと言うのだから、管理する側からすれば全くたまったものではない。

この特性は、ある種あの"丸くはない物"に通ずるのではないだろうか。

それは、会話で例えるなら、前後のやり取りに於ける"連想"が可能だと言う事。

そして、今のところ原因が全く解明出来ていないのだが、

唯一背後から撮影した場合のみ、今まで不可能だった頭部の上半分を記憶、記録する事が可能だと言う事が判明している。

コレは仮説なのだが、もしかしたらSCP-003-LLの潜在意識では、顔を見られたくないと言う願望があるのかも知れない。


……そう、


素顔を見てしまった者を無限に追跡し、必ず抹〇する、あのバケモノの様に。
 
44:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 22:01:47.48 ID:yFNnQ8o1
────────────────────
本作品は、SCP財団に掲載されている報告書
とは全くの無関係であり、登場するオブジェ
クト・職員・機動部隊等の特性は、飽くまでも
二次創作の範疇に限ります。
────────────────────
 
45:◆5UDbDqhWOk (浮動国境) 2022/05/02(月) 22:02:03.92 ID:yFNnQ8o1
お粗末さまでした。
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1651491911/

タイトルとURLをコピーしました